JP4296995B2 - フルオレン化合物およびその製造方法 - Google Patents
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しかしながら、この有機EL素子を構成する機能性有機材料は低分子量のものであることから、物理的耐久性および熱的耐久性が小さい、という問題がある。
本発明の他の目的は、以上のような新規なフルオレン化合物の製造方法を提供することにある。
下記一般式(2)で示されるフェニルピリジン化合物と、下記一般式(3)で示されるフルオレン誘導体とを反応させることによって中間反応生成物を得、
この中間反応生成物と、下記一般式(4)で示される金属錯体化合物とを反応させることを特徴とする。
下記一般式(6)で示されるフェニルピリジン化合物と、上記一般式(3)で示されるフルオレン誘導体とを反応させることによって中間反応生成物を得、
この中間反応生成物と、上記一般式(4)で示される金属錯体化合物とを反応させることを特徴とする。
<第1のフルオレン化合物>
本発明のフルオレン化合物は、上記一般式(1)で示される構造を有する化合物であって、この第1のフルオレン化合物は、2つの反応性置換基および特定の金属錯体部位を有するスピロフルオレン骨格構造を有するものである。
ここで、上記一般式(1)において、X1 およびX2 は、それぞれ位置番号2および7の炭素原子に結合されていることが好ましい。
ここで、R4 およびR5 が、各々、ベンゼン環またはピリジン環を形成する炭素原子の複数に結合して多環構造が形成されていてもよい。
ここで、R4 およびR5 に係るアルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基などを挙げることができる。
アリール基の具体例としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。
また、Lは有機配位子である。この有機配位子は、上記Mである金属原子に対して配位性を有する有機化合物によって形成されてなるものである。有機配位子の数wは1〜3の整数であり、用いられている金属原子の原子価および当該金属原子による中性錯体の安定配位数などを考慮して選択される。
ここに、「オルトメタル化錯体」とは、例えば山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」150頁、232頁、裳華房社(1982年発行)や、H. Yersin著「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」71〜77頁、135〜146頁、Springer−Verlag社(1987年発行)等に記載されている化合物群の総称である。
すなわち、本発明のフルオレン化合物の製造方法においては、上記一般式(2)で示されるフェニルピリジン化合物(以下、単に「特定のフェニルピリジン化合物(A)」ともいう。)と、上記一般式(3)で示されるフルオレン誘導体(以下、単に「特定のフルオレン誘導体」ともいう。)とを反応させることにより、下記一般式(7)で示されるように、その構造中にスピロ環骨格を有する中間反応生成物である中間体(以下、単に「特定の中間体(A)」ともいう。)が得られる。(以下、この反応工程を「第1次反応工程(A)」という。)
次いで、第1次反応工程(A)において得られた特定の中間体(A)と、上記一般式(4)で示される金属錯体化合物(以下、単に「特定の金属錯体化合物」ともいう。)とを反応させることにより、目的とする、上記一般式(1)で示されるフルオレン化合物が合成(以下、この反応工程を「第2次反応工程(A)」という。)される。
第1次反応工程(A)に用いられる特定のフェニルピリジン化合物(A)を示す一般式(2)において、X3 は、例えばフッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子であって、好ましくは臭素原子を挙げることができる。
具体的には、前反応処理(A)は、グリニャール反応を利用するものであって、当該グリニャール反応においては、適宜の極性溶剤が用いられ、例えばテトラヒドロフランおよびエーテルが好ましく用いられる。
第2次反応工程(A)に用いられる特定の金属錯体化合物を示す一般式(4)において、R8 は、2個の配位原子を有すると共に、当該配位原子によって中心金属であるイリジウムに結合する、二座の特定の反応性キレート配位子を示す。特定の反応性キレート配位子としては、具体的には、アセチルアセトナト配位子が好ましく用いられる。
これらの中では、特にグリセリンを好ましく用いることができる。
また、反応時間は、10〜50時間、好ましくは15〜30時間とされる。
また、本発明のフルオレン化合物は、上記一般式(5)で示される構造を有する化合物であってもよく、この第2のフルオレン化合物は、2つの反応性置換基および特定の金属錯体部位を有するスピロフルオレンに由来する骨格構造を有するものである。
ここで、上記一般式(5)において、X1 およびX2 は、それぞれ位置番号2および7の炭素原子に結合されていることが好ましい。
ここで、R5 がベンゼン環またはピリジン環を形成する炭素原子の複数に結合して多環構造が形成されていてもよい。
ここで、R5 に係るアルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基などを挙げることができる。
アリール基の具体例としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。
以上において、R5 としては、メチル基を好ましく挙げることができる。
また、Lは有機配位子である。この有機配位子は、上記Mである金属原子に対して配位性を有する有機化合物によって形成されてなるものである。有機配位子の数wは1〜3の整数であり、用いられている金属原子の原子価および当該金属原子による中性錯体の安定配位数などを考慮して選択される。
ここに、「オルトメタル化錯体」とは、例えば山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」150頁、232頁、裳華房社(1982年発行)や、H. Yersin著「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」71〜77頁、135〜146頁、Springer−Verlag社(1987年発行)等に記載されている化合物群の総称である。
すなわち、本発明のフルオレン化合物の製造方法においては、上記一般式(6)で示されるフェニルピリジン化合物(以下、単に「特定のフェニルピリジン化合物(B)」ともいう。)と、上記一般式(3)で示されるフルオレン誘導体とを反応させることにより、下記一般式(8)で示されるように、その構造中にスピロ環骨格を有する中間反応生成物である中間体(以下、単に「特定の中間体(B)」ともいう。)が得られる(以下、この反応工程を「第1次反応工程(B)」という。)。
次いで、第1次反応工程(B)において得られた特定の中間体(B)と、上記一般式(4)で示される特定の金属錯体化合物とを反応させることにより、目的とする、上記一般式(5)で示されるフルオレン化合物が合成(以下、この反応工程を「第2次反応工程(B)」という。)される。
第1次反応工程(B)に用いられる特定のフェニルピリジン化合物(B)を示す一般式(6)において、X3 は、例えばフッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子であって、好ましくは臭素原子を挙げることができる。
具体的には、前反応処理(B)は、グリニャール反応を利用するものであって、当該グリニャール反応においては、適宜の極性溶剤が用いられ、、例えばテトラヒドロフランおよびエーテルが好ましく用いられる。
第2次反応工程(B)においては、上記第2次反応工程(A)と同一の特定の金属錯体化合物を用いることができ、その具体例としては、例えば、上記構造式(5)で示される化合物を好ましく挙げることができる。
これらの中では、特にグリセリンを好ましく用いることができる。
また、反応時間は、10〜50時間、好ましくは15〜30時間とされる。
2- ブロモピリジン24.5g(155mmol) を脱水ジエチルエーテル400mlに溶解した系をアセトン−ドライアイスバスを用いて−78℃に冷却した後、当該系にn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液) 97mlを滴下し、その後、30分間撹拌した。次いで、トリメトキシボラン32.2g(310mmol)を滴下した後、当該系を、アセトン−ドライアイスバスから外して室温にまで上昇させ、その後、24時間撹拌した。得られた反応溶液を水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、更に、溶媒を減圧蒸留することにより、中間生成物(A−1)を得た。
<前反応処理(A)>
マグネシウム1.8g(68.6mmol) をエーテル20mlに浸漬し、微量のジブロモエタンを添加してグリニャール反応を開始した。そして、当該グリニャール反応を途切れさせないように適宜ヒートガンで加熱しつつ、この系に、フェニルピリジン化合物(A)4.5g(12mmol) をエーテル70mlに溶解して得られた溶液を滴下した。その後、当該系を3時間加熱還流させて、グリニャール反応溶液を熟成させた。
次いで、窒素雰囲気下において、上記構造式(3)に示される2,7−ジブロモフルオレノン3.4g (10mmol) をエーテル50mlに溶解して得られた溶液に、室温に冷却したグリニャール反応溶液をキャニュレーションにより滴下し、8時間加熱還流させた後、当該グリニャール反応溶液を室温に冷却すると共に、塩化アンモニウム水溶液を添加して30分間攪拌した。その後、得られた反応溶液から有機層を抽出し、この有機層を、水、飽和食塩水の順で洗浄すると共に、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、更に、溶媒を減圧蒸留して、固体状の中間生成物(A−3)を得た。
得られた固体状の中間生成物(A−3)の全量を酢酸200mlに溶解した系に、濃塩酸1mlを添加して、4時間加熱還流した。得られた反応溶液を室温に冷却し、これにより析出した結晶をろ過した。その後、結晶をヘキサン中において12時間攪拌することにより不純物を溶出させて、上記構造式(4)で示される特定の中間体(A)2.7g(4.4mmol)を得た。
特定の中間体(A)2.0g(3.3mmol)、および上記構造式(5)で示される特定の金属錯体化合物(ビス(2−フェニルピリジン)イリジウムアセチルアセトナート)2.1g( 3.5mmol) をグリセリン10mlに溶解した系を200℃に加熱し、3時間撹拌した。その後、室温に冷却した当該系にクロロホルムを添加し、得られたクロロホルム溶液を飽和食塩水で洗浄した。次いで、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧蒸留した。
2−ブロモピリジン15.4g (100mmol)、3,4−ジメトキシフェニルボロン酸27.6g (110mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)5.0g(4.3mmol) を、トルエン600mlおよび2NのNa2 CO3 水溶液300mlの混合溶剤に溶解した系を110℃に加熱し、その後、24時間撹拌した。次いで、当該系をトルエンによって抽出処理し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、更に、溶媒を減圧蒸留した。得られた粗生成物を、展開溶媒としてクロロホルムを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、中間生成物(B−1)14.9g(69mmol)を得た。
<前反応処理(B)>
マグネシウム1.2g(50mmol)をエーテル50mlに浸漬し、微量のジブロモエタンを添加してグリニャール反応を開始した。そして、当該グリニャール反応を途切れさせないように適宜ヒートガンで加熱しつつ、この系に、フェニルピリジン化合物(B)12.3g(40mmol) をエーテル50mlに溶解して得られた溶液を滴下した。その後、当該系を3時間加熱還流させて、グリニャール反応溶液を熟成させた。
次いで、窒素雰囲気下において、上記構造式(3)に示される2,7−ジブロモフルオレノン12.8g(38mmol) をエーテル100mlに溶解して得られた溶液に、室温に冷却したグリニャール反応溶液をキャニュレーションにより滴下し、8時間加熱還流させた後、当該グリニャール反応溶液を室温に冷却すると共に、塩化アンモニウム水溶液を添加して30分間攪拌した。その後、得られた反応溶液から有機層を抽出し、この有機層を、水、飽和食塩水の順で洗浄すると共に、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、更に、溶媒を減圧蒸留して、固体状の中間生成物(B−2)を得た。
得られた固体状の中間生成物(B−2)の全量を酢酸200mlに溶解した系に、濃塩酸3mlを添加して、4時間加熱還流した。得られた反応溶液を室温に冷却し、これにより析出した結晶をろ過した。その後、結晶をヘキサン中において12時間攪拌することにより不純物を溶出させて、上記構造式(8)で示される特定の中間体(B)8.6g(16mmol)を得た。
特定の中間体(B)0.6g(1mmol)、および上記構造式(5)で示される特定の金属錯体化合物(ビス(2−フェニルピリジン)イリジウムアセチルアセトナート)0.7 g (1.1mmol) をグリセリン3mlに溶解した系を200℃に加熱し、3時間撹拌した。その後、室温に冷却した当該系にクロロホルムを添加し、得られたクロロホルム溶液を飽和食塩水で洗浄した。次いで、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧蒸留した。
る。
Claims (4)
- 下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とするフルオレン化合物。
- 請求項1に記載のフルオレン化合物を製造する方法であって、
下記一般式(2)で示されるフェニルピリジン化合物と、下記一般式(3)で示されるフルオレン誘導体とを反応させることによって中間反応生成物を得、
この中間反応生成物と、下記一般式(4)で示される金属錯体化合物とを反応させることを特徴とするフルオレン化合物の製造方法。
- 下記一般式(5)で表される構造を有することを特徴とするフルオレン化合物。
- 請求項3に記載のフルオレン化合物を製造する方法であって、
下記一般式(6)で示されるフェニルピリジン化合物と、下記一般式(3)で示されるフルオレン誘導体とを反応させることによって中間反応生成物を得、
この中間反応生成物と、下記一般式(4)で示される金属錯体化合物とを反応させることを特徴とするフルオレン化合物の製造方法。
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