JP4539084B2 - 薄膜圧電体素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、薄膜圧電体素子とその製造方法並びにこれを用いたアクチュエータに関する。
近年、半導体技術の進歩とともに半導体製造技術により極めて小型のマイクロマシンを実現しようとする努力がなされており、アクチュエータ等の機械的電気素子が脚光を浴びている。このような素子により小型で高精度の機構部品を実現することができ、かつ、半導体プロセスを用いることでその生産性を大幅に改善できる。特に、圧電体素子を用いたアクチュエータは走査型トンネル顕微鏡の微小変位用や磁気ディスク記録再生装置(以下、ディスク装置とよぶ)のヘッドスライダの微小位置決め用等に応用されている。
例えば、ディスク装置においては、より高密度の記録を可能とするために磁気ヘッドの位置決めのためのアクチュエータとして、ピギーバッグアクチュエータ(あるいは2段アクチュエータともよばれる)の開発が行われている(例えば、非特許文献1、特許文献1)。これらにおいては、ディスクに対して情報の記録再生を行う磁気ヘッドがヘッドスライダに搭載され、さらにヘッドスライダはフレクシャーに取り付けられている。また、圧電体素子からなるアクチュエータが同様にフレクシャー上に取り付けられている。このフレクシャーはサスペンションに取り付けられ、さらに、このサスペンションがアームに固定されている。このような構成とすることで、アームをボイスコイルモータ(以下、VCMとよぶ)により揺動させて磁気ヘッドをディスク上の所定のトラック位置に位置決めするだけでなく、さらに圧電体素子からなるアクチュエータにより微小位置決めも行い、高精度でトラック位置に追従させることが可能となる。
図22は、ディスク装置に用いられる従来の2段アクチュエータの一例を示す平面図である。なお、図22においては、フレクシャーに取り付けられた薄膜圧電体素子を用いた微小位置決め用のアクチュエータ領域部のみを示している。また、図23は、図22のD−D線に沿った断面図を示している。薄膜圧電体素子100は、一対の第1の圧電体素子ユニット100Aと第2の圧電体素子ユニット100Bから構成されている。これらは、それぞれが鏡面対称な構造であり、フレクシャー122上に接着固定されている。なお、フレクシャー122はサスペンション140に、その一端部が固着されている。このサスペンション140は、その一端部がアーム(図示せず)に固着されている。
第1の圧電体素子ユニット100Aと第2の圧電体素子ユニット100Bのうち、一方が矢印Eに示すように伸長する方向に変位し、他方が矢印Dに示すように収縮する方向に変位することによって、先端に設けられたスライダ保持部160を微小に回転させる。これにより、スライダ保持部160に取り付けられているヘッドスライダ101が微小に回転するので、ヘッドスライダ101の先端に取り付けられた磁気ヘッド130は矢印Cに示すように微小移動させることができる。
図23に示すように、第1の圧電体素子ユニット100Aおよび第2の圧電体素子ユニット100Bは、第1圧電体薄膜111Aおよび第2圧電体薄膜111Bが積層配置された2層構造を有している。第1圧電体薄膜111Aは第1電極112Aと第2電極112Bとにより挟まれている。同様に、第2圧電体薄膜111Bは第3電極112Cと第4電極112Dとにより挟まれている。第2電極112Bと第3電極112Cとは接着層113で接着されており、これにより全体が一体的に固着されている。
また、第1の圧電体素子ユニット100Aおよび第2の圧電体素子ユニット100Bの端部には、それぞれ電極端子部を形成するためのビアホール部114、115と接続配線部116、117が設けられている。これらのビアホール部114、115は、第2電極112Bと第3電極112Cとを短絡するための接続配線部116、117を形成するためのものである。この接続配線部116、117には端子線118が接続されており、この端子線118は接地電極119に接続されている。
一方、第1の圧電体素子ユニット100Aの第1電極112Aと第4電極112Dには端子線120が接続されており、この端子線120は駆動電源121Aに接続されている。これにより、第1の圧電体素子ユニット100Aに所定の電圧を印加することができる。さらに、第2の圧電体素子ユニット100Bの第1電極112Aと第4電極112Dには端子線120が接続されており、この端子線120は駆動電源121Bに接続されている。これにより、第2の圧電体素子100Bに所定の電圧を印加することができる。
また、これら第1の圧電体素子ユニット100Aと第2の圧電体素子ユニット100Bはフレクシャー122上に接着固定されている。
ところで、このような微小位置決め用のアクチュエータを実現するために、小型、軽量であり、かつ低電圧で大きな変位量が得られることから薄膜圧電体素子の開発が進められている。しかしながら、薄膜圧電体素子は製造工程が複雑であるため比較的高価である。このため、薄膜圧電体素子の配線数を減らして組み立てを容易にすることや、その製造工程を簡略にすることが要求される。
圧電体薄膜を積層する構成のアクチュエータとしては、例えば、酸化マグネシウム(MgO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)あるいはサファイヤ(Al3)等の単結晶基板上に、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、金(Au)または銀(Ag)等の電極層と、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)やチタン酸ジルコン酸ランタン酸鉛(PLZT)等の圧電材料からなる圧電層、さらに上記と同様な材料の電極層とを形成し、さらにこれらの膜上にガラスまたはシリコンから構成される接合層を形成して、圧電部材を作製する。次に、陽極接合法により圧電部材同士を接合層を介して接合する工程と、その後さらに積層する側の基板を研磨等により除去して露出した電極層上に接合層を形成する工程と、この接合層と別の圧電部材の接合層とを上述したような手順で接合し、再び基板を除去する工程とを繰り返すことで複数層に積層した積層体を形成する。この後、この積層体中の内層電極を交互に両側から取出すことで積層型アクチュエータを製造する方法も示されている(例えば、特許文献2)。この製造方法においては、基板の除去は研磨後にエッチング処理を施して残留部分が生じないようにしており、また、圧電部材同士の接合方法としては、陽極接合法だけでなく、表面活性化接合法や接着剤接合法を用いてもよいことが示されている。
特開2002−134807号公報 特開平8−88419号公報 超高TPI化とピギーバックアクチュエータ(IDEMA Japan News No.32、pp4−7、国際ディスクドライブ協会発行)
しかしながら、特許文献1に示されている薄膜圧電体素子からなるアクチュエータでは、製造工程や組み立て工程の簡略化については未だ充分ではなかった。すなわち、薄膜圧電体素子の配線としては、第1の圧電体素子ユニットと第2の圧電体素子ユニットとからは、共通電極としての接地電極への接続が必要なため、フレクシャー上の配線数が増加する。また、そのための接続部を設ける必要もあり、工程の簡略化が困難であった。さらに、第1の圧電体素子ユニットと第2の圧電体素子ユニットとにはビアホール部を形成し、接続配線部を設ける工程も必要である。このため、製造歩留まりを低下させるだけでなく、ビアホールを形成するためのドライエッチング等により側壁部に残渣が生じて導通不良が発生する等の課題があった。これは、圧電体薄膜は一般的に数μmの厚みを有し、かつ、圧電性を有する薄膜、例えばPZT等はドライエッチングが非常に難しいことによる。
一方、特許文献2における製造方法では、圧電部材を多層に積層した積層体の2つの側面部から絶縁層を介して外部電極を形成するのでドライエッチングは不要となり、ドライエッチングによる不良発生は防止できる。しかし、この製造方法では、少なくとも外部電極の形成は個々の積層体ごとに行う必要があり、量産性に課題がある。また、基板面に対して垂直方向の変位を生じる構成のため、例えばディスク装置のヘッドスライダの微小位置決め用のアクチュエータとして用いる構造には適さないという課題があった。
本発明は、微小位置決め用のアクチュエータとして、配線構成が簡便で、かつ製造工程を簡略化可能な薄膜圧電体素子とその製造方法並びにそれを用いたアクチュエータを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の薄膜圧電体素子は、第1主電極膜と第1対向電極膜とで挟まれた第1圧電体薄膜と、第2主電極膜と第2対向電極膜とで挟まれた第2圧電体薄膜とを、第1対向電極膜および第2対向電極膜を対向させて接着層で接合した構成の第1構造体と第2構造体とを同一面上に配置し、第1構造体の第1主電極膜と第2主電極膜間、および第2構造体の第1主電極膜と第2主電極膜間をそれぞれ接続する接続配線部とを有する一対の圧電体素子ユニットと、第1構造体と第2構造体との間に設けられ、それぞれの第1対向電極膜同士および第2対向電極膜同士が部分的に連結された結合領域部とからなる構成を有する。
この構成により、それぞれの主電極膜とそれぞれの対向電極膜とが形成された圧電体薄膜を積層した第1構造体と第2構造体から構成される薄膜圧電体素子の電極取出し構成が単純となり、製造工程や組み立て工程を簡略化できる。
また、本発明の薄膜圧電体素子の結合領域部において、第1構造体の第1圧電体薄膜と第2構造体の第1圧電体薄膜とが一体的に連結され、かつ第1構造体の第2圧電体薄膜と第2構造体の第2圧電体薄膜とが一体的に連結された構成としてもよい。この構成とすることにより、一対の圧電体素子ユニットが一体となるため、所定の間隔の中心線に対して正確な鏡面対称性を保持したまま、フレクシャー等へ接着固定することが容易にできる。
また、本発明の薄膜圧電体素子を構成する一対の圧電体素子ユニットのうち、第1の圧電体素子ユニットの外部接続端子は第1構造体の第1主電極膜面上または第2主電極膜面上に1つ設けられ、第2の圧電体素子ユニットの外部接続端子は第2構造体の第1主電極膜面上または第2主電極膜面上に1つ設けられ、外部接続端子が2端子構成からなる。この構成により、薄膜圧電体素子と外部電源との接続は2本の接続配線のみでよく、フレクシャー上の端子との接続が容易になり、組み立て工程を簡略化できる。
また、本発明の薄膜圧電体素子は、第1構造体の第1主電極膜および第2主電極膜を接続する接続配線部と、第2構造体の第1主電極膜および第2主電極膜を接続する接続配線部とが、第1構造体および第2構造体のそれぞれの先端部あるいは後縁部近傍に形成された構成としてもよい。この構成とすることにより、接続配線部は圧電動作に影響しない場所に形成できるので、接続配線部の形成により圧電動作が悪化することがなく、変位量を保持しながら量産性を改善できる。
また、本発明の薄膜圧電体素子は、第1構造体および第2構造体のそれぞれの先端部あるいは後縁部近傍において、第1構造体および第2構造体のそれぞれの第1主電極膜が第1構造体および第2構造体からそれぞれ露出した突出部を有し、それぞれの接続配線部は第1構造体および第2構造体の外周面上に形成された導体膜により、第1主電極膜の突出部と第2主電極膜とがそれぞれ電気的に接続された構成としてもよい。
この構成とすることにより、接続配線部を形成する場合に圧電体薄膜にビアホール等のエッチングプロセスが不要となり、作製が容易で、しかも高信頼性の薄膜圧電体素子を実現できる。
さらに、本発明のアクチュエータは、保持基板と、この保持基板面上に一定の間隔を有して一対の圧電体素子ユニットからなる薄膜圧電体素子を配置し、一対の圧電体素子ユニットがそれぞれ逆方向の伸縮動作を行い、保持基板に取り付けられた被制御素子を保持基板面に平行な方向に微動させる構成であって、上記薄膜圧電体素子は一対の圧電体素子ユニットのそれぞれの圧電動作を生じる領域が保持基板面上の一定の間隔の中心線を基準として鏡面対称な形状であり、第1主電極膜と第1対向電極膜とで挟まれた第1圧電体薄膜と、第2主電極膜と第2対向電極膜とで挟まれた第2圧電体薄膜とを、第1対向電極膜および第2対向電極膜を対向させて接着層で接合した構成の第1構造体と第2構造体とを同一面上に配置し、第1構造体の第1主電極膜と第2主電極膜間、および第2構造体の第1主電極膜と第2主電極膜間をそれぞれ接続する接続配線部とを有する一対の圧電体素子ユニットと、第1構造体と第2構造体との間に設けられ、それぞれの第1対向電極膜同士および第2対向電極膜同士が部分的に連結された結合領域部とからなる構成を有する。
この構成により、それぞれの圧電体素子ユニットの第1対向電極膜や第2対向電極膜は、特に外部電源に接続する必要がないので、薄膜圧電体素子の製造工程を簡略化でき、信頼性に優れたアクチュエータを実現できる。また、薄膜圧電体素子のそれぞれの圧電体部は伸縮動作に対してそりや曲げが重畳され難い構造で、しかもこれらを一対として用いることで一方を伸長させ、他方を収縮させるように構成すると、伸縮方向に対してほぼ直角方向の変位を精度よく生じさせることができる。
さらに、本発明のヘッド支持機構は、記録と再生の少なくとも一方を行うヘッドと、ヘッドが搭載されたヘッドスライダと、ヘッドスライダが取り付けられたフレクシャーと、ヘッドスライダに隣接してフレクシャー上に固定された薄膜圧電体素子とフレクシャーからなる保持基板により構成されるアクチュエータとを有し、アクチュエータが上記記載の構成からなり、被制御素子がヘッドであることを特徴とする。
この構成により、ディスク装置や光磁気ディスク装置あるいは光ディスク装置等において使用されるヘッド支持機構として、フレクシャー上に固定された薄膜圧電体素子を用いたアクチュエータによりヘッドを高精度に位置決めすることが可能となる。
さらに、本発明のディスク記録再生装置は、ディスクと、ヘッドが搭載されたヘッドスライダと、ヘッドスライダを固定するフレクシャーと、フレクシャーが固定されたアームと、ディスクの所定のトラック位置にヘッドスライダを位置決めするために第1の位置決め手段と第2の位置決め手段とを有し、第1の位置決め手段はアームを回転させる駆動手段であり、第2の位置決め手段はフレクシャーからなる保持基板とフレクシャー上に固定された薄膜圧電体素子により構成されたアクチュエータであり、アクチュエータが上記記載の構成からなり、被制御素子がヘッドであり、アクチュエータによりヘッドをディスクの所定のトラック位置に微動させる構成からなる。
この構成により、第1の位置決め手段で従来と同様な精度で位置決めを行い、さらに第2の位置決め手段で非常に微小な位置決めを行うことができるので、ディスクのトラックピッチを微小化しても充分追従できる。この結果、さらに記録密度の大きなディスク記録再生装置を実現できる。
さらに、上記ディスク記録再生装置において、ディスクが磁気記録用ハードディスクであり、ヘッドが磁気ヘッドである構成としてもよい。この構成により、ハードディスク記録再生装置の記録密度を大幅に高めることができる。
さらに、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、第1の基板上に第1主電極膜、第1圧電体薄膜および第1対向電極膜を順次積層する工程と、第2の基板上に第2主電極膜、第2圧電体薄膜および第2対向電極膜を順次積層する工程と、第1対向電極膜と第2対向電極膜とを対向させて接着層により接着固定する工程と、第2の基板のみを選択的に除去する工程と、第1主電極膜、第1圧電体薄膜、第1対向電極膜、第2主電極膜、第2圧電体薄膜、第2主電極膜および接着層を所定の形状に加工して、圧電動作を生じる領域が一定の間隔の中心線を基準として鏡面対称な形状の一対の構造体と、部分的に一体構造の結合領域部を形成する工程と、結合領域部上の第2主電極膜を除去する工程と、一対の構造体を樹脂層で被覆し、さらに仮固定用基板を接着する工程と、第1の基板のみを選択的に除去する工程と、第1の基板を除去することで露出した結合領域部上の第1主電極膜を除去する工程と、仮固定用基板を接着した接着層の接着力を低下させて仮固定用基板を分離する工程とを有する方法からなる。
この方法により、圧電体薄膜を積層した場合に内部に配置される第1対向電極膜と第2対向電極膜とは外部電源に接続する必要がないので外部電源に接続するためのビアホールの形成が不要となり、歩留まりの高い薄膜圧電体素子を実現できる。
さらに、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、第1の基板上に所定の幅のスリットを有する第1主電極膜を所定のマスクを用いて形成するとともに、第1圧電体薄膜および第1対向電極膜を順次積層する工程と、第1主電極膜を形成したマスクと同一形状のマスクを用いて第2の基板上に第2主電極膜を形成するとともに、第2圧電体薄膜および第2対向電極膜を順次積層する工程と、第1主電極膜のスリットと第2主電極膜のスリットとの位置が一致するように第1対向電極膜と第2対向電極膜とを対向させて接着層により接着固定する工程と、第2の基板のみを選択的に除去する工程と、第1主電極膜、第1圧電体薄膜、第1対向電極膜、第2主電極膜、第2圧電体薄膜、第2主電極膜および接着層を所定の形状に加工して、圧電動作を生じる領域がスリットの中心線を基準として鏡面対称な形状で、かつ部分的に一体構造の結合領域部上にスリットが位置するように一対の構造体を形成する工程と、一対の構造体を樹脂層で被覆し、さらに仮固定用基板を接着する工程と、第1の基板のみを選択的に除去する工程と、仮固定用基板を接着した接着層の接着力を低下させて仮固定用基板を分離する工程とを有する方法からなる。
この方法により、第1主電極膜を成膜時に同時に所定の形状に形成することができるので、フォトリソプロセスとエッチングプロセスを簡略化することができ、薄膜圧電体素子の製造工程の簡略化と歩留まりの改善が可能となる。
さらに、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、第1の基板上に所定の幅のスリットを有する第1主電極膜を形成し、第1主電極膜上とスリット上に第1圧電体薄膜を形成し、さらにスリットに直交する方向の第1の基板の所定位置から所定の幅を残して第1圧電体薄膜上に第1対向電極膜を形成する工程と、第1の基板上のスリットの幅と同じ幅のスリットを有する第2主電極膜を第2の基板上に形成し、第1圧電体薄膜と同じ形状の第2圧電体薄膜および第1対向電極膜と同じ形状の第2対向電極膜をさらに積層する工程と、第1主電極膜のスリットと第2主電極膜のスリットとの位置が一致するように第1対向電極膜と第2対向電極膜とを対向させて接着層で接着固定する工程と、第2の基板を除去する工程と、第1の基板上で第1主電極膜、第1圧電体薄膜、第1対向電極膜、第2対向電極膜、第2圧電体薄膜、第2主電極膜および接着層を加工して、圧電動作を生じる領域がスリットの中心線を基準として鏡面対称な形状で、かつ、部分的に一体構造とした結合領域部上にスリットが位置するように一対の構造体を形成するとともに、一対の構造体のそれぞれの第1主電極膜の一部に構造体より露出した突出部を形成する工程と、一対の構造体のそれぞれの第1主電極膜の突出部と第2主電極膜とを接続する接続配線部を形成する工程と、第1の基板を除去する工程とを有する方法からなる。
この方法により、第1対向電極膜および第2対向電極膜のそれぞれから外部に接続するために圧電体薄膜にビアホール等のエッチングプロセスが不要で、かつ第1主電極膜と第2主電極膜との電気的な接続工程も簡単となり、量産性と歩留まりに優れた薄膜圧電体素子を製造することができる。
さらに、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、第1の基板上に第1スリットに対して鏡面対称で所定形状の一対の第1主電極膜を形成し、第1スリットに直交する方向の一端部において第1主電極膜より小さな寸法形状を有し、かつ第1スリット上の一部を含めて一対の第1主電極膜上に略U字形状の第1圧電体薄膜を形成し、さらに上記一端部のみが第1圧電体薄膜よりも小さな寸法形状を有する第1対向電極膜を形成する工程と、第2の基板上に第1スリットと同じ幅を有する第2スリットを中心として第2スリットに直交する方向で第1スリットの一端部と同じ端部のみが第1主電極膜より小さな寸法形状を有する第2主電極膜を形成し、第2主電極膜上と第2スリット上の一部を含めて略U字形状の第2圧電体薄膜を形成し、さらに上記端部のみが第2圧電体薄膜よりも小さな寸法形状の第2対向電極膜を形成する工程と、第1主電極膜の第1スリットと第2主電極膜の第2スリットとの位置が一致するように第1対向電極膜および第2対向電極膜を対向させて接着層で接着固定する工程と、第2の基板を除去する工程と、第1の基板上で接着層を加工して圧電動作を生じる領域が第1スリットおよび第2スリットの中心線を基準として鏡面対称な形状で、かつ部分的に一体構造とした結合領域部上にスリットが位置するように一対の構造体を形成するとともに、一対の構造体のそれぞれの第1主電極膜の一部に構造体より露出した突出部を形成する工程と、一対の構造体のそれぞれの第1主電極膜の突出部と第2主電極膜との間を接続する接続配線部を形成する工程と、第1の基板を除去する工程とを有する方法からなる。
この方法により、圧電体薄膜、主電極膜および対向電極膜はマスクを用いた直接パターン成膜方式で形成するので、フォトリソプロセスとエッチングプロセスとは接着層のみについて行うだけでよい。このため、特にエッチングプロセスを大幅に簡略化でき、かつ歩留まりも改善することが可能となる。
本発明の構成とすることにより、両面に電極膜が形成された圧電体薄膜を積層した一対の構造体から構成される薄膜圧電体素子のパターン加工、特に電極取出し加工工程を非常に簡略化できる。さらに、一対の圧電体素子ユニットが結合領域部で連結されているので、薄膜圧電体素子を保持基板であるフレクシャー上へ実装する工程も容易にできる。この結果、量産性と歩留まりの改善が可能で、かつ高信頼性の薄膜圧電体素子およびこれを用いたアクチュエータを安価に実現できるという大きな効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、それぞれの図面において、同じ構成要素については同じ符号を付している。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態における薄膜圧電体素子27の構成を示す斜視図であり、図2は図1のB−B線に沿った断面図である。
本実施の形態における薄膜圧電体素子27は、一対の圧電体素子ユニットにより構成されている。すなわち、第1の圧電体素子ユニット27Aと第2の圧電体素子ユニット27Bは両者の一部が連結しており、かつ鏡面対称な形状である。
第1の圧電体素子ユニット27Aは第1圧電体薄膜460と第2圧電体薄膜520とが積層されて構成されている。第1圧電体薄膜460の上面と下面には第1対向電極膜480と第1主電極膜440とが形成されている。また、第2圧電体薄膜520の上面と下面にも第2主電極膜540と第2対向電極膜500とが形成されている。さらに、第1対向電極膜480と第2対向電極膜500とは接着層570によって接合されている。
一方、第2の圧電体素子ユニット27Bは第1圧電体薄膜460と第2圧電体薄膜520とが積層されて構成されている。第1圧電体薄膜460の上面と下面には第1対向電極膜480と第1主電極膜580が形成されている。また、第2圧電体薄膜520の上面と下面にも第2主電極膜600と第2対向電極膜500が形成されている。さらに、第1対向電極膜480と第2対向電極膜500とは接着層570によって接合されている。接着層570は導電性接着層でもよい。
本実施の形態では、第1の圧電体素子ユニット27Aと第2の圧電体素子ユニット27Bとが結合領域部Aで一体的に連結された構成となっている。すなわち、結合領域部Aでは、第1圧電体薄膜460、第2圧電体薄膜520、第1対向電極膜480、第2対向電極膜500および接着層570が、それぞれ一体的に連結して形成されている。これらの第1の圧電体素子ユニット27Aと第2の圧電体素子ユニット27Bとにより薄膜圧電体素子27を構成し、さらに全体が柔軟性のあるコーティング樹脂(図示せず)によってカバーされている。また、同一部材で構成される第1圧電体薄膜460と第2圧電体薄膜520とは、それぞれ矢印E1の方向および矢印E2の方向に分極されている。
図2は、図1のB−B線に沿った断面形状を示すと同時に、さらに薄膜圧電体素子27を駆動するための接続配線部の構成についても示している。第1の圧電体素子ユニット27Aを構成する第1主電極膜440と第2主電極膜540とが接続配線部181により接続される。一方、第2の圧電体素子ユニット27Bを構成する第1主電極膜580と第2主電極膜600とが接続配線部182により接続されている。さらに、接続配線部181、182は、駆動電源3に接続されている。
このような薄膜圧電体素子27を用いて、例えばディスク装置の磁気ヘッドを微小位置決めするためのアクチュエータとしたときの構成を図3に示す。なお、図3は、保持基板であるフレクシャー4に薄膜圧電体素子27を搭載した近傍部分の平面図を示している。フレクシャー4の先端にはスライダ保持部41がある。このスライダ保持部41上に、磁気ヘッド21を搭載したヘッドスライダ43がアクチュエータ26により微動可能に支持されている。なお、ヘッドスライダ43は、薄膜圧電体素子27が接着固定されている同じ面側に支持されるが、同一平面上ではなく、ディスク(図示せず)を基準として比較すると薄膜圧電体素子27よりも近接して配置されている。
薄膜圧電体素子27は、一対の第1の圧電体素子ユニット27Aと第2の圧電体素子ユニット27Bとから構成されている。これらは、それぞれが鏡面対称な構造であり、フレクシャー4上に接着固定されている。フレクシャー4はサスペンション19にその一端部が固着され、さらにサスペンション19は図示しないアームに固定されている。フレクシャー4上には、磁気ヘッド21からの信号と薄膜圧電体素子27を駆動するための電極配線がアームの近傍まで引き回されているが、図示していない。なお、薄膜圧電体素子27からは、例えば第1の圧電体素子ユニット27Aの第1主電極膜440と第2の圧電体素子ユニット27Bの第1主電極膜580とは、薄膜圧電体素子27の下面でフレクシャー4に設けられた電極配線と接続し、第1の圧電体素子ユニット27Aの第2主電極膜540と第2の圧電体素子ユニット27Bの第2主電極膜600とは上記の電極配線とワイヤリードにより接続すればよいが、これらについては図示していない。
図2に示す接続構成において、駆動電源3から、例えば接続配線部181に正の電位、接続配線部182に負の電位を印加すると、第1の圧電体素子ユニット27Aの第1主電極膜440および第2主電極膜540は正の電位となり、第2の圧電体素子ユニット27Bの第1主電極膜580および第2主電極膜600が負の電位となる。さらに、結合領域部Aを介して第1の圧電体素子ユニット27Aと第2の圧電体素子ユニット27Bに共通接続されている第1対向電極膜480および第2対向電極膜500には、それぞれに正負の電荷が誘導されて相殺され、零電位に保たれる。これは、実験的に確認している。そのため、2本の接続配線部181、182に電圧を印加するだけで、例えば第1の圧電体素子ユニット27Aの第1圧電体薄膜460と第2圧電体薄膜520とは収縮し、第2の圧電体素子ユニット27Bの第1圧電体薄膜460と第2圧電体薄膜520とは伸長する。したがって、第1の圧電体素子ユニット27Aと第2の圧電体素子ユニット27Bの変位が逆平行方向に生じる。これにより、薄膜圧電体素子27が固定されているフレクシャー4も変形し、ヘッドスライダ43が矢印Cのように回転してヘッドスライダ43上の磁気ヘッド21を微動させることができる。
本実施の形態では、図1および図2に示すように第1の圧電体素子ユニット27Aと第2の圧電体素子ユニット27Bとは結合領域部Aにおいて、第1圧電体薄膜460、第1対向電極膜480、第2対向電極膜500、第2圧電体薄膜520が一体的に連結した形状に形成されている。したがって、第1の圧電体素子ユニット27Aの第1対向電極膜480、および第2の圧電体素子ユニット27Bの第2対向電極膜500を接地電極に接続することなしに、薄膜圧電体素子27を駆動することができる。そのため、2端子配線のみで接続配線が構成でき、組み立てを簡略化できる。さらに、第1対向電極膜480および第2対向電極膜500を接地電極に接続するためのビアホールや配線層の形成も必要がなくなるため、製造工程を大幅に簡略化できる。
図4は、この薄膜圧電体素子27を微小位置決め用のアクチュエータとしたディスク装置の要部斜視図を示す。ディスク18が主軸20に固定され、回転手段22により所定の回転数で回転駆動される。この回転手段22としては、一般的にスピンドルモータが使用される。ディスク18面側にフレクシャー(図示せず)が設けられたサスペンション28がアーム30に固定され、このアーム30は軸受部32で回転自在に軸支されている。ヘッドスライダ24はフレクシャー(図示せず)に固定されている。同様に、薄膜圧電体素子27もフレクシャーに接着されており、これらによりアクチュエータ26を構成している。
第1の位置決め手段34によりアーム30を揺動させ、ヘッドスライダ24をディスク18の所定のトラック位置に位置決めする。従来のディスク装置では、この第1の位置決め手段34のみであったが、本実施の形態ではさらに第2の位置決め手段を有し、上述したようなアクチュエータ26によりヘッドスライダ24を微動させる。このアクチュエータ26の微動は薄膜圧電体素子27に印加する電圧により制御できるので、微小なトラック位置にも充分追従させることができ、さらに高密度の記録再生が可能となる。したがって、例えばハードディスクを用いたディスク装置の高密度記録を実現できる。なお、ディスク装置は、筐体36と図示しない蓋により全体が覆われるようになっている。
次に、本実施の形態における薄膜圧電体素子27の製造方法を説明する。薄膜圧電体素子27は、後述する図6に示すように、第1の圧電体素子ユニット27Aを構成する第1構造体45Aと第2の圧電体素子ユニット27Bを構成する第2構造体45Bとから構成されている。両者の第1主電極膜、第1圧電体薄膜、第1対向電極膜、第2主電極膜、第2圧電体薄膜および第2対向電極膜の材料と構成は同一であり、それらを基板上で一体的に形成する。
図5は、薄膜圧電体素子27を形成する主要工程の断面図であり、薄膜圧電体素子27の第1構造体45Aと第2構造体45Bを一括して形成する工程を示している。
まず、図5(A)に示すように、第1の基板290上に第1主電極膜440、580となる電極膜を成膜する。次に、図5(B)に示すように第1主電極膜440、580となる電極膜上に第1圧電体薄膜460をスパッタリング法、分子線蒸着(MBE)法、化学気相成膜(CVD)法またはゾルゲル法等で結晶成長させる。さらに、図5(C)に示すように、第1圧電体薄膜460の上面に第1対向電極膜480を形成する。第1圧電体薄膜460の分極方向は、成膜時点で図5(C)中に矢印Pで示すように結晶のc軸方向に向いている。このようにして、図1に示す薄膜圧電体素子27の下部の構成部分となる1層目のユニットA30が第1の基板290上に形成される。全く同様にして上部の構成部分となる2層目のユニットB31を第2の基板295上に形成する。
図6では、図5(A)から図5(C)にて形成したユニットA30とユニットB31を積層して圧電体素子ユニットを形成する工程を説明する断面図を示す。なお、図6は、図1に示すB−B線に沿った断面形状を示す図である。
まず、図6(A)に示すように、第1の基板290上に形成されたユニットA30と第2の基板295上に形成されたユニットB31とを、第1対向電極膜480と第2対向電極膜500とを対向して配置する。
次に、図6(B)に示すように第1対向電極膜480と第2対向電極膜500間に接着層570を配置し、この接着層570により両者を接合する。
次に、図6(C)に示すように、ユニットB31の第2の基板295をエッチングプロセスで除去する。
その後、図6(D)に示すように、積層構成の膜を薄膜圧電体素子27の形状とするためにフォトリソプロセスとエッチングプロセスにより加工する。ここで、本実施の形態では、第1構造体45Aと第2構造体45Bとは、図1に示す結合領域部Aで両者が一体的に連結して形成されている。図7は、図6に示す加工工程のうちの図6(D)と図6(E)のそれぞれの形状まで加工した状態の平面形状を示す図である。図7(A)からわかるように、図6(D)まで加工した状態においては、第1構造体45Aと第2構造体45Bとが、結合領域部Aとなる接続部370により一体的に連結した形状にエッチング加工されている。また、第1構造体45Aと第2構造体45Bとの間には、スリット550が設けられており、接続部370を除いて第1構造体45Aと第2構造体45Bとは完全に分離されている。
次に、図6(E)に示すように、エッチング加工された薄膜圧電体素子27の第2主電極膜540、600のうち、接続部370上に形成されている電極膜をフォトリソプロセスとエッチングプロセスによりエッチング除去する。図7(B)からわかるように、接続部370では電極膜がエッチングされ、第2圧電体薄膜520が露出し、第2主電極膜540、600はそれぞれ分離されている。
次に、図6(F)に示すように、薄膜圧電体素子の腐食を防止するために、薄膜圧電体素子27の表面をコーティング樹脂330で覆う。
その後、図6(G)に示すように、仮固定用基板350を第2主電極膜540、600上のコーティング樹脂330面と仮接着し、その状態で第1の基板290をエッチング除去する。エッチング除去された状態を図6(H)に示す。
その後、図6(I)に示すように、第1主電極膜440、580となる電極膜のうち、接続部370上の電極膜をフォトリソプロセスとエッチングプロセスにより除去する。
さらに、図6(J)に示すように、仮固定用基板350を剥離し、第1構造体45Aおよび第2構造体45Bのそれぞれの第1主電極膜440、580が形成された面側を、図3に示すようにフレクシャー4上に接着する。その後、第1の圧電体素子ユニット27Aの第1主電極膜440と第2主電極膜540、第2の圧電体素子ユニット27Bの第1主電極膜580と第2主電極膜600とを、それぞれ接続する。なお、これらの接続は薄膜圧電体素子27で行ってもよい。または、フレクシャー4の同一の配線電極に、例えば一方は導電性接着剤で接続し、他方はワイヤリードにより接続することで、結果として2端子構成となるようにしてもよい。
また、図8には、本実施の形態の変形例の製造方法により作製された薄膜圧電体素子270の概略斜視図を示す。第1の圧電体素子ユニット270Aと第2の圧電体素子ユニット270Bとは、結合領域部である接続部370で一体化されている。そして、接続部370では、第1圧電体薄膜465と第2圧電体薄膜525とが、第1主電極膜445、585と第2主電極膜545、605とそれぞれ同一平面となるように形成されている。第1圧電体薄膜465は第1主電極膜445、585と同一平面となっており、第2圧電体薄膜525は第2主電極膜545、605と同一平面となっている。
この薄膜圧電体素子270の製造方法について簡単に説明する。まず、第1の基板上に所定の幅のスリットを有する第1主電極膜を所定のマスクを用いて形成するとともに、第1圧電体薄膜465および第1対向電極膜485を順次積層する。同様に、第1主電極膜を形成したマスクと同一形状のマスクを用いて第2の基板上に第2主電極膜を形成するとともに、第2圧電体薄膜525および第2対向電極膜505を順次積層する。
次に、第1主電極膜のスリットと第2主電極膜のスリットとの位置が一致するように第1対向電極膜485と第2対向電極膜505とを対向させて接着層575により接着固定する。この後、第2の基板のみを選択的に、例えばエッチングプロセスにより除去する。
さらに、第1主電極膜、第1圧電体薄膜465、第1対向電極膜485、第2主電極膜、第2圧電体薄膜525、第2主電極膜および接着層575を所定の形状に加工して、圧電動作を生じる領域がスリットの中心線を基準として鏡面対称な形状で、かつ部分的に一体構造の結合領域部上にスリットが位置するように一対の構造体を形成する。
その後、一対の構造体を樹脂層で被覆し、さらに仮固定用基板を接着した後、第1の基板のみを選択的に、例えばエッチングプロセスにより除去する。そして、仮固定用基板を接着した接着層の接着力を低下させて仮固定用基板を分離すれば、図8に示す薄膜圧電体素子270が得られる。
以上のように、本変形例の製造方法は、第1主電極膜445、585同士の間、および第2主電極膜545、605同士の間にスリット状に電極膜を形成しない領域を有するマスクを用いて成膜することがポイントである。それ以外については、本実施の形態と同じように形成することができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、マスク成膜方式等の直接パターン成膜法を用いること、および各々の圧電体素子ユニットにおける第1主電極膜と第2主電極膜との間の接続配線部を各々の圧電体素子ユニットの外周領域で、かつ圧電特性にほとんど影響しない領域部に形成するとともに、保持基板上の圧電体電極パッドとの接続構成を簡略化したことである。
図9から図16までの図面を用いて、本実施の形態について説明する。図9は、本発明の第2の実施の形態の薄膜圧電体素子2を用いて構成した微小位置決め用のアクチュエータ領域部分の平面図を示す。このアクチュエータは、第1の実施の形態において説明したディスク装置においてヘッドスライダ24をディスク18上の所定のトラック位置に高精度に微小位置決めするために用いられるものであり、図3に示した構成と基本的には同じである。図9では、図3と同様に保持基板であるフレクシャー4上に薄膜圧電体素子2が接着固定されてアクチュエータを構成している平面図を示している。
なお、この薄膜圧電体素子2は、Y−Y線に対して互いが鏡像の関係の構造を有する第1の圧電体素子ユニット2Aと第2の圧電体素子ユニット2Bとが結合領域部42で一体的に連結されており、かつ、それぞれの第1対向電極膜同士および第2対向電極膜同士が電気的に接続されている。さらに、第1の圧電体素子ユニット2Aと第2の圧電体素子ユニット2Bの各々の第1主電極膜44、58を、それぞれフレクシャー4に形成された圧電体電極パッド6、8に対して、例えば導電性接着層を用いて直接接続している。
フレクシャー4は、薄膜圧電体素子2を接着している領域から延在してヘッドスライダ(図示せず)を固定するためのスライダ保持部10を有している。このスライダ保持部10には、ヘッドスライダに搭載されているヘッド(図示せず)の配線部と接続するためのヘッド電極パッド(図示せず)が設けられている。このヘッド電極パッドからは、ヘッド電極配線14が薄膜圧電体素子2の第1の圧電体素子ユニット2Aと第2の圧電体素子ユニット2Bとの間のフレクシャー4上を引き回され、圧電体電極パッド6、8と接続する圧電体電極配線16と同様に外部機器との接続パッド(図示せず)まで引き回されている。
このような構成のアクチュエータの動作については、第1の実施の形態にて説明した動作と同じであるので説明は省略する。このアクチュエータは、図4に示したディスク装置に搭載され、ヘッドをディスク上の所定のトラック位置に高精度で位置決めすることができる。例えば、薄膜圧電体素子2の各々の圧電体薄膜の厚さを2.5μmとし、第1の圧電体素子ユニット2Aの主電極膜に+5Vを印加し、第2の圧電体素子ユニット2Bの主電極膜に−5Vを印加すれば、Cで示す方向に対してヘッド部分の変位量を±0.8μmとすることも可能である。
このアクチュエータを構成する薄膜圧電体素子2の断面構造を図10に示す。図10(A)は図9に示すX1−X1線に沿った断面形状を、図10(B)はY1−Y1線に沿った断面形状をそれぞれ示す。図9と図10とを用いて、薄膜圧電体素子2の構成について説明する。本実施の形態の薄膜圧電体素子2は、図9中のX1−X1線に沿った部分では、第1の圧電体素子ユニット2A、第2の圧電体素子ユニット2Bと、それらを接続する結合領域部42から構成される。
第1の圧電体素子ユニット2Aは、第1主電極膜44と第1対向電極膜48によって挟まれた第1圧電体薄膜46と、第2主電極膜54と第2対向電極膜50によって挟まれた第2圧電体薄膜52とを、第1対向電極膜48および第2対向電極膜50を対向させ絶縁性接着層56で接合した構造である。また、第2の圧電体素子ユニット2Bも同様に、第1主電極膜58と第1対向電極膜48によって挟まれた第1圧電体薄膜46と、第2主電極膜60と第2対向電極膜50によって挟まれた第2圧電体薄膜52とを、第1対向電極膜48および第2対向電極膜50を対向させ絶縁性接着層56で接合した構造である。
また、結合領域部42では、第1圧電体素子ユニット2Aと第2圧電体素子ユニット2Bを構成する第1対向電極膜48、第1圧電体薄膜46、第2対向電極膜50、第2圧電体薄膜52および絶縁性接着層56が一体的に連結して形成されている。これらにより第1の圧電体素子ユニット2Aと第2の圧電体素子ユニット2Bが一体化されるとともに、それぞれの第1対向電極膜48同士、および第2対向電極膜50同士が電気的に接続されている。
また、図10(B)に示すように、第1の圧電体素子ユニット2Aの先端部、すなわちヘッドスライダを搭載する側において、第1主電極膜44と第2主電極膜54とを導体膜からなる接続配線部66によって電気的に接続している。同様に、第2の圧電体素子ユニット2Bもその先端部において、図9に示すように導体膜からなる接続配線部68を形成し、第1主電極膜58と第2主電極膜60とが接続されている。なお、これらの接続配線部66、68は、第1対向電極膜48と第2対向電極膜50とに対しては電気的に接続されないように絶縁性接着層56により保護されている。
このような構成とした薄膜圧電体素子2の動作については、第1の実施の形態で説明したのと同じであるので説明は省略する。
この薄膜圧電体素子2は、第1主電極膜44、58の一部がフレクシャー4に形成した圧電体電極パッド6、8上に直接それぞれ導電性接着層62で電気的に接着固定されている。なお、導電性接着層62として、銀粒子やその他金属粒子、カーボン等を配合した導電性接着剤を使用できる。また、これ以外の接着方法としては通常のはんだ付けによっても可能である。
このような構成とすることにより、薄膜圧電体素子2をフレクシャー4面上に配置して圧電体電極パッド6、8と接続することが容易で、かつ信頼性よく行うことができる。したがって、量産性のよいアクチュエータを実現できる。また、薄膜圧電体素子2の第1の圧電体素子ユニット2Aおよび第2の圧電体素子ユニット2Bともに伸縮動作に対してそりや曲げが重畳され難い構造で、しかもこれらを一対として用いることで一方を伸長させ、他方を収縮させるように構成すると、伸縮方向に対してほぼ直角方向の変位を精度よく生じさせることができる。
また、前述の結合領域部42で第1の圧電体素子ユニット2Aと第2の圧電体素子ユニット2Bとが一体化されているため、薄膜圧電体素子2を実装する場合に取り扱い易いという特徴がある。
なお、図9に示すように、薄膜圧電体素子2には、樹脂材料による補強部70と、電極パッド部を除く表面に絶縁樹脂層64を形成することで、圧電動作にあまり影響しないで、かつ、より一体的な強度を大きくできるので取り扱いが容易となり、さらに耐湿性を含めた信頼性を向上することもできる。
以上のように、本実施の形態の薄膜圧電体素子2では、貼り合せたときに内部に形成される第1対向電極膜48および第2対向電極膜50を外部電源と接続するためのビアホールと電極パッド形成工程が不要である。さらに、第1主電極膜44、58と第2主電極膜54、60とを、それぞれの先端部において導体膜による接続配線部66、68で電気的に接続するので、複雑なフォトリソプロセス、エッチングプロセスが不要となる。また、このような接続配線部66、68の形成時に圧電体薄膜をエッチングする必要がないので、エッチング残渣等による不良発生を防止できる。この結果、薄膜圧電体素子2の製造工程を大幅に簡略化でき、かつ歩留まりを改善することもできる。
以下、本実施の形態の薄膜圧電体素子2の製造方法を図11から図16までに示す図面を用いて詳細に説明する。
まず、図11と図12とに示す図面を参照しながら説明する。図11は、第1の基板上での薄膜形成と加工工程を示す平面図である。図12には、図11に示す加工工程に対応して、それぞれY1−Y1線とX1−X1線に沿った断面図を示す。図12(A)から図12(C)までは、図11(A)から図11(C)までのそれぞれY1−Y1線に沿った断面図であり、図12(D)から図12(F)までは、同様にX1−X1線に沿った断面図である。
図11(A)、図12(A)および図12(D)に示すように、第1の基板72上に第1主電極膜44、58を形成する。このとき、例えばマスクを用いた成膜方式であるマスク蒸着法等の手段を用いることで、第1スリット74には成膜されないようにする。
次に、図11(B)、図12(B)および図12(E)に示すように、第1圧電体薄膜46を第1の基板72の全面に成膜する。したがって、第1圧電体薄膜46は第1スリット74を埋めるように形成される。
さらに、図11(C)、図12(C)および図12(F)に示すように、第1対向電極膜48をY1−Y1線方向に、第1主電極膜44、58より小さな領域、すなわち第1の基板72の上端45から所定距離はなれた平行線47と上端45とで囲まれた所定領域49以外の全面に形成する。なお、薄膜圧電体素子2は第1の基板72上において複数個作製するので、第1の基板72の上端45に薄膜圧電体素子2が位置する場合には上記のように上端45を所定位置として所定領域49を設定すればよい。一方、第1の基板72の上端45以外の位置に薄膜圧電体素子2が設けられている場合には、例えば薄膜圧電体素子2間の隙間領域の中央線を所定位置として、所定領域を設定すればよい。
第2の基板上でも、第1の基板72上の場合と同様な薄膜形成と加工工程を行う。このとき、第1スリット74と同一位置になるように第2スリットを設ける。この第2の基板上での製造方法については、第1の基板上と同様であるので図による説明は省略する。第2の基板上で形成された構造については、図14(D)に示しているので後述する。なお、上述した所定領域49は、後に説明する第1主電極膜44、58から延出する突出部を設けるための領域である。また、この所定領域49は、図11(C)、図12(C)および図12(F)に示す位置と反対側に形成してもよい。
次に、図13および図14は、図11(C)、図12(C)および図12(F)に示した形状まで加工した状態の基板同士を接着固定し、その後、第1の基板72上で所定のパターン加工を行う工程を説明する図である。図13は平面図であり、図14(A)から図14(C)はこれらと対応して、図13(A)から図13(C)に示すY1−Y1線に沿った断面図であり、図14(D)から図14(F)はX1−X1線に沿った断面図である。
図13および図14を参照しながら説明する。まず、図13(A)は、第1対向電極膜48と第2対向電極膜50とを対向させて接着固定した状態を示し、第2の基板76側からみた平面図である。すなわち、図14(A)および図14(D)に示すように、第1の基板72上の第1主電極膜44、58と第1対向電極膜48とで挟まれた第1圧電体薄膜46と、第2の基板76上の第2主電極膜54、60と第2対向電極膜50とで挟まれた第2圧電体薄膜52とを対向させて、絶縁性接着層56によって接着固定されている。図14(D)に示すようにX1−X1線方向では、各主電極膜が電気的に分離された形になっており、また図14(A)に示すように、Y1−Y1線方向の所定領域49では、第1対向電極膜48および第2対向電極膜50が形成されておらず、第1圧電体薄膜46と第2圧電体薄膜52とが絶縁性接着層56により直接接着されている。
次に、図13(B)、図14(B)および図14(E)に示すように、第2の基板76のみを選択的に除去する。この除去方法としては、エッチングプロセス、研磨または所定の厚さまで研磨後エッチングする等の方法により行うことができる。第1の基板72と第2の基板76とが同一の材料である場合には、これらの基板をエッチング除去する薬液で侵されない樹脂で第1の基板72の面を覆うように塗布した後にエッチングすればよい。第2の基板76を除去すると、第2スリット78中に埋めこまれた構成の第2圧電体薄膜52面と、第2スリット78によってそれぞれが分離された第2主電極膜54、60が露出する。
次に、図13(C)、図14(C)および図14(F)に示すように、第1の基板72上でフォトリソプロセスとエッチングプロセスを用いて、第1構造体40Aおよび第2構造体40Bを形成するとともに、この第1構造体40Aと第2構造体40B間を結合する結合領域部42を形成する。その際、第1構造体40Aおよび第2構造体40Bの各々の先端部において、第1主電極膜44、58からY1−Y1線方向に延在する突出部86、88をそれぞれ形成する。
図15および図16は、第1構造体40Aと第2構造体40Bに対して、接続配線部66、68を形成して薄膜圧電体素子2を完成するまでの工程を説明する平面図と断面図である。図15(A)から図15(C)は、それぞれの工程の平面図である。図16(A)から図16(C)は、図15(A)から図15(C)に示すY1−Y1線に沿った断面図で、図16(D)から図16(F)はX1−X1線に沿った断面図である。
図15(A)、図16(A)および図16(D)に示すように、第1構造体40Aと第2構造体40Bの先端部において、第1構造体40Aの第1主電極膜44の突出部86と第2主電極膜54との間に導体膜を形成し、接続配線部66を設ける。また、同様に第2構造体40Bの第1主電極膜58の突出部88と第2主電極膜60との間に導体膜を形成し、接続配線部68を設ける。なお、第1対向電極膜48および第2対向電極膜50は、各構造体の先端部において接続配線部66、68とは、第1圧電体薄膜46、第2圧電体薄膜52および絶縁性接着層56により電気的に絶縁されている。
図15(B)、図16(B)および図16(E)は、第1構造体40Aと第2構造体40Bとの外周部に絶縁樹脂層64を形成した状態を示す図である。このようにすることによって、接続配線部66、68を含めた全体が絶縁樹脂層64で覆われるため、耐湿性が著しく向上する。さらに、第1構造体40Aと第2構造体40Bとを連結する補強部70を同じ絶縁樹脂材料で形成すれば、薄膜圧電体素子2の取り扱いが非常に容易になり、かつ損傷を防ぐことができる。
なお、絶縁樹脂層64には、例えば液状のポリイミド溶液をスピンナで塗布し120℃で乾燥させた後に、250℃で加熱して硬化させた膜を用いることができる。これだけでなく、その他の有機高分子材料を塗布して熱硬化または光硬化させて形成してもよい。ただし、この絶縁樹脂層64は図15(B)、図16(B)および図16(E)からわかるように、第1対向電極膜48および第2対向電極膜50と側面で接触するので充分な電気絶縁性が要求されるだけでなく、所定の形状にエッチング加工できる材料であることが要求される。
このような加工工程により第1の基板72上で薄膜圧電体素子2が形成されるので、この薄膜圧電体素子2の全面をワックス等の樹脂(図示せず)で保護する。この後、第1の基板72をエッチングして除去し、さらにそれらの表面に付着しているワックス等の樹脂を溶解除去すれば、基板から完全に分離した薄膜圧電体素子2が得られる。これを、図15(C)、図16(C)および図16(F)に示す。この後、前述したようにフレクシャー上に接着固定すれば、アクチュエータが構成される。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法は、第2の実施の形態の製造方法に比較して、フォトリソプロセスとエッチングプロセスをさらに少なくして薄膜圧電体素子をより安価に製造できる方法である。
図17から図21を用いて、本実施の形態の薄膜圧電体素子とその製造方法について説明する。図17および図18は、第1の基板および第2の基板上にマスク成膜法を用いて所定の薄膜パターンを直接形成する工程を示す平面図と断面図である。図17(A)から図17(C)は、マスク成膜法を用いて第1の基板72上に、図17(D)から図17(F)は同様に第2の基板76上に所定の薄膜パターンをそれぞれ形成する工程を説明する平面図である。また、図18(A)から図18(C)は、図17(A)から図17(C)に対応し、Y1−Y1線に沿った断面図である。また、図18(D)から図18(F)は、図17(A)から図17(C)に対応し、X1−X1線に沿った断面図である。
なお、第2の基板76上に形成する薄膜パターン形状および薄膜の形成方法については、第1の基板72上に形成する薄膜形成方法および薄膜パターンとほぼ同様であるので、第2の基板76上の図17(F)に対応する形状のY1−Y1線およびX1−X1線に沿った断面図のみをそれぞれ図18(G)と図18(H)に示した。
まず、図17(A)、図18(A)および図18(D)に示すように、第1の基板72上で、第1スリット74の両側に、この第1スリット74に対して鏡面対称な形状に第1主電極膜44、58を形成する。これは、図示するような形状を有するマスクを用いて、例えばPt膜を蒸着すれば容易に形成できる。
次に、図17(B)、図18(B)および図18(E)に示すように、全体としては第1主電極膜44、58とほぼ同じ形状であるが、先端部のみが図示するように第1主電極膜44、58よりL1だけ短く、かつ結合領域部42で連接されたU字形状の第1圧電体薄膜46を形成する。これは、第2の実施の形態で説明したように、例えばマスクを用いてPZT膜をスパッタリングにより成膜するマスク成膜方式で容易に形成できる。
さらに、図17(C)、図18(C)および図18(F)では、第1圧電体薄膜46と同じ形状であるが、全体にやや小さく、かつ図示するように先端部のみが第1圧電体薄膜46よりL2だけ短い形状の第1対向電極膜48を形成する。これは、第1圧電体薄膜46と同様にマスクを用いて、例えばPt膜を蒸着すれば容易に形成できる。
次に、第2の基板76上での成膜、加工について説明する。図17(D)では、第2の基板76上に第2主電極膜54、60を形成した状態を示す。この第2主電極膜54、60は、第1の基板72の第1主電極膜44、58と全体形状は同じであるが、図示するように先端部が第1主電極膜44、58よりもL1だけ短く形成されている。この作製も同様にマスクを用いて、例えばPt膜を蒸着すれば容易に形成できる。
さらに、図17(E)に示すように第2主電極膜54、60上に、この第2主電極膜54、60とほぼ同じ形状で、かつ結合領域部42部分で連接されたU字形状の第2圧電体薄膜52を形成する。
この後、図17(F)、図18(G)および図18(H)に示すように、第2圧電体薄膜52上に、第1対向電極膜48と同じ形状の第2対向電極膜50を形成する。この結果、第2対向電極膜50は、第2圧電体薄膜52よりも図示するようにL2だけ先端部では短く形成される。なお、L1、L2の具体的な長さについては、後述する接続配線部を形成できる程度あればよく、数μmから300μmの範囲で適宜選択すればよい。また、この部分が接続配線部を形成するための第1主電極膜44、58のそれぞれの突出部となる。
次に、図19および図20を用いて、第1の基板72上に形成したパターンと第2の基板76上に形成したパターンとを貼り合せ、薄膜圧電体素子200を形成する工程について説明する。図19は、この工程を説明する平面図であり、図20はそれぞれの工程における図19に示すY1−Y1線に沿った断面図である。
図19(A)および図20(A)は、第1対向電極膜48、第2対向電極膜50のそれぞれを互いに対向させ、絶縁性接着層56で接着固定した工程を示す。第1の基板72上の第1主電極膜44の長さが、第1圧電体薄膜46、第2主電極膜54および第2圧電体薄膜52よりL1だけ突出しており、突出部86が形成されている。
次に、図19(B)および図20(B)に示すように、第2の基板76を第1の実施の形態の製造方法と同様な方法で除去する。この結果、第2主電極膜54、第2圧電体薄膜52、第2対向電極膜50、絶縁性接着層56、第1対向電極膜48、第1圧電体薄膜46および第1主電極膜44が積層された構成からなる第1構造体40Aと、同様な積層構成からなる第2構造体40Bと、それらを連接する結合領域部42を含む薄膜圧電体素子200の基本構成が露出する。なお、絶縁性接着層56は、第1構造体40Aと第2構造体40Bの全周囲にも形成されている。
次に、図19(C)および図20(C)に示すように、第1構造体40Aと第2構造体40Bとの外形寸法よりやや大きな外形寸法を有するように絶縁性接着層56をフォトリソプロセスとエッチングプロセスにより加工する。このとき、各構造体の先端部において、第1対向電極膜48と第2対向電極膜50との側面部は、第1圧電体薄膜46、第2圧電体薄膜52および絶縁性接着層56により覆われ、絶縁される。また、第1主電極膜44、58のそれぞれの突出部86、88が露出するようにフォトリソプロセス、エッチングプロセスにより加工する。
この後、同様にマスク成膜法を用い、第1構造体40Aの先端部において第1主電極膜44の突出部86と第2主電極膜54との間、第2構造体40Bの先端部において第1主電極膜58の突出部88と第2主電極膜60との間にそれぞれ導体膜を形成し、接続配線部66、68を作製する。
このようにして、第1の基板72上で薄膜圧電体素子200が作製される。この薄膜圧電体素子200を第1の基板72から分離し、フレクシャー上に接着固定すれば、アクチュエータが作製される。この工程に関しては、第3の実施の形態の製造工程と同様であるので詳細な説明は省略する。
この製造方法によれば、接続配線部66、68を形成する場合に圧電体薄膜にビアホール等のエッチング加工が不要となり、作製が容易で加工時間の大幅な短縮が図られ、高信頼性の薄膜圧電体素子200が得られる。また、圧電体薄膜や電極膜はマスク成膜法により形成し、フォトリソプロセスとエッチングプロセスによる加工は接着層のみとすることができるので、さらに大幅に工程の簡略化ができ、かつ歩留まりも改善できる。
なお、本発明の実施の形態では、接続配線部66、68を第1構造体40Aおよび第2構造体40Bの先端部に設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図21には上記製造方法と同様な製造方法を用いて、後縁部に接続配線部96、98を設けた変形例の薄膜圧電体素子250の構造を示している。図21(A)は、その平面図で、図21(B)はY1−Y1線に沿った断面図を示す。図21に示すように、第1の基板上72において、第1構造体40Aと第2構造体40Bのそれぞれの後縁部で、第1主電極膜44、58にそれぞれ突出部92、94を形成する。その後、第1主電極膜44の突出部92と第2主電極膜54との間、第1主電極膜58の突出部94と第2主電極膜60との間にそれぞれ導体膜を形成し、接続配線部96、98を作製する構成としてもよい。
この構成によれば、接続配線部96、98は圧電動作に影響しない場所に形成できるので、接続配線部96、98の形成による圧電動作の低下を生じることはなく、変位量の大きな薄膜圧電体素子を量産性よく作製できる。
なお、第2の実施の形態と第3の実施の形態では、先端部や後縁部に接続配線部を設ける構成としたが、本発明はこれに限定されず、各構造体の変位の妨げにならない領域であれば、各構造体の側面等の領域に形成してもよい。
また、第2の実施の形態と第3の実施の形態では、第1対向電極膜と第2対向電極膜とを接着固定するために絶縁性接着層を用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、対向電極膜同士間を導電性接着層の形成、はんだ付けあるいは金(Au)とスズ(Sn)との共晶による導電性の接着を行ってもよい。この接着後、第1構造体および第2構造体の外周部に絶縁性被膜を形成すれば、第1主電極膜と第2主電極膜とを導体膜で接続する接続配線部を形成しても対向電極膜とショートすることを防止できる。
さらに、第2の実施の形態と第3の実施の形態では、薄膜圧電体素子をフレクシャー上の圧電体電極パッドと導電性接着層によりそれぞれ直接接続する構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、薄膜圧電体素子の第2主電極膜表面に外部接続端子を設けてワイヤリードで接続するようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、ディスク装置のアクチュエータとして用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、光磁気ディスク装置や光ディスク装置等のディスク記録再生装置に用いることもできる。また、水平方向に微小駆動させる機構が要求されるアクチュエータとしても使用可能である。
なお、本実施の形態では、第1の圧電体素子ユニットと第2の圧電体素子ユニットとの結合領域部に、第1圧電体薄膜と第2圧電体薄膜と一体的に連結して設けられている。しかし、必ずしもそれらの圧電体薄膜はこの結合領域部には設ける必要はなく、第1対向電極膜と第2対向電極膜が第1の圧電体素子ユニットと第2の圧電体素子ユニットとに共通して電気的に連結されていればよい。
なお、本実施の形態に用いる基板、圧電体薄膜、主電極膜および対向電極膜としては、それぞれの実施の形態で説明した材料および作製方法には限定されない。良好な圧電特性を有する圧電体薄膜は、例えば基板としてMgO基板を用い、主電極膜としてc軸配向したPt膜をこのMgO基板上にスパッタリングで形成し、このPt膜上に圧電性を有するPZT膜をスパッタリングで形成すれば得ることができる。なお、このPZT膜形成時にMgO基板の温度を約600℃として成膜することで、膜面に垂直方向に分極配向したPZT膜が得られる。
また、基板としては、MgO基板のみでなく、チタン酸ストロンチウム基板、サファイヤ基板あるいはシリコン単結晶基板(Si基板)を用いることができる。また、主電極膜としてはPt膜だけでなく、Au、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、Ag、レニウム(Re)、およびパラジウム(Pd)のうちのいずれかの金属、あるいはその酸化物を用いることもできる。さらに、圧電体薄膜としてはPZTだけでなく、PLZT、チタン酸バリウム等を用いることもできる。
さらに、対向電極膜としては、良好な導電性を有し、選択的にエッチング可能であれば金属単層膜や合金膜が使用できる。また、これらの材料の上にAu、Ag、Cu等の材料を積層した多層膜構成でもよい。
本発明にかかる薄膜圧電体素子およびその製造方法並びにこれを用いたアクチュエータは、両面に電極膜が形成された圧電体薄膜を積層した第1構造体と第2構造体とから構成される薄膜圧電体素子のパターン加工、特に電極取出し加工工程を非常に簡略化でき、かつ薄膜圧電体素子を保持基板であるフレクシャー上への実装等も容易に行える、薄膜圧電体素子とこれを用いたアクチュエータ等として有用である。
本発明の第1の実施の形態における薄膜圧電体素子の構成を示す斜視図 同実施の形態の薄膜圧電体素子で、図1に示すB−B線に沿った断面図 同実施の形態の圧電体素子をアクチュエータとしたときの構成を示す平面図 同実施の形態の圧電体素子をアクチュエータとして用いたディスク装置の要部斜視図 同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法における主要工程の断面図 同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法において、ユニットA30とユニットB31とを積層し、圧電体素子ユニットを形成する工程を説明する、図1に示すB−B線に沿った断面図 (A)は同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法において、図6(D)に示す加工状態の平面図(B)は同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法において、図6(E)に示す加工状態の平面図 同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法の変形例により作製された薄膜圧電体素子の概略斜視図 本発明の第2の実施の形態の薄膜圧電体素子を用いて構成したアクチュエータ領域部分の平面図 (A)は、同実施の形態の薄膜圧電体素子で、図9に示すX1−X1線に沿った断面図(B)は、同実施の形態の薄膜圧電体素子で、図9に示すY1−Y1線に沿った断面図 同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法において、第1の基板上での薄膜形成と加工工程を示す平面図 (A)から(C)までは、同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法において、図11(A)から図11(C)のそれぞれのY1−Y1線に沿った断面図(D)から(F)までは、同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法において、図11(A)から図11(C)のそれぞれのX1−X1線に沿った断面図 同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法において、基板同士を接着固定し、所定のパターン加工を行う工程を説明するための平面図 (A)から(C)までは、同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法において、図13(A)から図13(C)のそれぞれのY1−Y1線に沿った断面図(D)から(F)までは、同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法において、図13(A)から図13(C)のそれぞれのX1−X1線に沿った断面図 同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法において、第1構造体と第2構造体に対して接続配線部を形成し薄膜圧電体素子を完成するまでの工程を説明する平面図 (A)から(C)までは、同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法において、図15(A)から図15(C)のそれぞれのY1−Y1線に沿った断面図(D)から(F)までは、同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法において、図15(A)から図15(C)のそれぞれのX1−X1線に沿った断面図 (A)から(C)までは、本発明の第3の実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法において、第1の基板上での薄膜パターンを形成する工程を説明する平面図(D)から(F)までは、同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法において、第2の基板上での薄膜パターンを形成する工程を説明する平面図 (A)から(C)までは、同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法において、図17(A)から図17(C)に示すY1−Y1線に沿った断面図(D)から(F)までは、同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法において、図17(A)から図17(C)に示すX1−X1線に沿った断面図(G)は、同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法において、図17(F)に示すY1−Y1線に沿った断面図(H)は、同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法において、図17(F)に示すX1−X1線に沿った断面図 同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法において、第1の基板と第2の基板とを貼り合せて薄膜圧電体素子を形成する工程を説明する平面図 (A)から(C)までは、同実施の形態の薄膜圧電体素子の製造方法において、図19(A)から図19(C)のそれぞれのY1−Y1線に沿った断面図 (A)と(B)は、同実施の形態の薄膜圧電体素子の変形例の平面図と、Y1−Y1線に沿った断面図 ディスク装置に用いられる従来のピギーバックアクチュエータの一例を示す平面図 同アクチュエータで、図22に示すD−D線に沿った断面図
符号の説明
2,27,100,200,250,270 薄膜圧電体素子
2A,27A,100A,270A 第1の圧電体素子ユニット
2B,27B,100B,270B 第2の圧電体素子ユニット
3,121A,121B 駆動電源
4,122 フレクシャー
6,8 圧電体電極パッド
10,41,160 スライダ保持部
14 ヘッド電極配線
16 圧電体電極配線
18 ディスク
19,28,140 サスペンション
20 主軸
21,130 磁気ヘッド
22 回転手段
24,43,101 ヘッドスライダ
26 アクチュエータ
30 アーム
32 軸受部
34 第1の位置決め手段
36 筐体
40A,45A 第1構造体
40B,45B 第2構造体
42 結合領域部
44,58,440,580,445,585 第1主電極膜
45 上端
46,111A,460,465 第1圧電体薄膜
48,480,485 第1対向電極膜
49 所定領域
50,500,505 第2対向電極膜
52,111B,520,525 第2圧電体薄膜
54,60,540,600,545,605 第2主電極膜
56 絶縁性接着層
62 導電性接着層
64 絶縁樹脂層
66,68,96,98,116,117,181,182 接続配線部
70 補強部
72,290 第1の基板
74 第1スリット
76,295 第2の基板
78 第2スリット
86,88,92,94 突出部
112A 第1電極
112B 第2電極
112C 第3電極
112D 第4電極
113,570,575 接着層
114,115 ビアホール部
118,120 端子線
119 接地電極
330 コーティング樹脂
350 仮固定用基板
370 接続部
550 スリット
A30,B31 ユニット

Claims (4)

  1. 第1の基板上に第1主電極膜、第1圧電体薄膜および第1対向電極膜を順次積層する工程と、
    第2の基板上に第2主電極膜、第2圧電体薄膜および第2対向電極膜を順次積層する工程と、
    前記第1対向電極膜と前記第2対向電極膜とを対向させて接着層により接着固定する工程と、
    前記第2の基板のみを選択的に除去する工程と、
    前記第1主電極膜、前記第1圧電体薄膜、前記第1対向電極膜、前記第2主電極膜、前記第2圧電体薄膜、前記第2主電極膜および前記接着層を所定の形状に加工して、圧電動作を生じる領域が一定の間隔の中心線を基準として鏡面対称な形状の一対の構造体と、部分的に一体構造の結合領域部を形成する工程と、
    前記結合領域部上の前記第2主電極膜を除去する工程と、
    一対の前記構造体を樹脂層で被覆し、さらに仮固定用基板を接着する工程と、
    前記第1の基板のみを選択的に除去する工程と、
    前記第1の基板を除去することで露出した前記結合領域部上の前記第1主電極膜を除去する工程と、
    前記仮固定用基板を接着した接着層の接着力を低下させて前記仮固定用基板を分離する工程とを有することを特徴とする薄膜圧電体素子の製造方法。
  2. 第1の基板上に所定の幅のスリットを有する第1主電極膜を所定のマスクを用いて形成するとともに、第1圧電体薄膜および第1対向電極膜を順次積層する工程と、
    前記第1主電極膜を形成したマスクと同一形状のマスクを用いて第2の基板上に第2主電極膜を形成するとともに、第2圧電体薄膜および第2対向電極膜を順次積層する工程と、前記第1主電極膜の前記スリットと前記第2主電極膜の前記スリットとの位置が一致するように前記第1対向電極膜と前記第2対向電極膜とを対向させて接着層により接着固定する工程と、
    前記第2の基板のみを選択的に除去する工程と、
    前記第1主電極膜、前記第1圧電体薄膜、前記第1対向電極膜、前記第2主電極膜、前記第2圧電体薄膜、前記第2主電極膜および前記接着層を所定の形状に加工して、圧電動作
    を生じる領域が前記スリットの中心線を基準として鏡面対称な形状で、かつ部分的に一体構造の結合領域部上に前記スリットが位置するように一対の構造体を形成する工程と、
    一対の前記構造体を樹脂層で被覆し、さらに仮固定用基板を接着する工程と、
    前記第1の基板のみを選択的に除去する工程と、
    前記仮固定用基板を接着した接着層の接着力を低下させて前記仮固定用基板を分離する工程とを有することを特徴とする薄膜圧電体素子の製造方法。
  3. 第1の基板上に所定の幅のスリットを有する第1主電極膜を形成し、前記第1主電極膜上と前記スリット上に第1圧電体薄膜を形成し、さらに前記スリットに直交する方向の前記第1の基板の所定位置から所定の幅を残して前記第1圧電体薄膜上に第1対向電極膜を形成する工程と、
    前記第1の基板上の前記スリットの幅と同じ幅のスリットを有する第2主電極膜を第2の基板上に形成し、前記第1圧電体薄膜と同じ形状の第2圧電体薄膜および前記第1対向電極膜と同じ形状の第2対向電極膜をさらに積層する工程と、
    前記第1主電極膜の前記スリットと前記第2主電極膜の前記スリットとの位置が一致するように前記第1対向電極膜と前記第2対向電極膜とを対向させて接着層で接着固定する工程と、
    前記第2の基板を除去する工程と、
    前記第1の基板上で、前記第1主電極膜、前記第1圧電体薄膜、前記第1対向電極膜、前記第2対向電極膜、前記第2圧電体薄膜、前記第2主電極膜および前記接着層を加工して、圧電動作を生じる領域が前記スリットの中心線を基準として鏡面対称な形状で、かつ、部分的に一体構造とした結合領域部上に前記スリットが位置するように一対の構造体を形成するとともに、一対の前記構造体のそれぞれの前記第1主電極膜の一部に前記構造体より露出した突出部を形成する工程と、
    一対の前記構造体のそれぞれの前記第1主電極膜の前記突出部と前記第2主電極膜とを接続する接続配線部を形成する工程と、
    前記第1の基板を除去する工程とを有することを特徴とする薄膜圧電体素子の製造方法。
  4. 第1の基板上に、第1スリットに対して鏡面対称で、所定形状の一対の第1主電極膜を形成し、前記第1スリットに直交する方向の一端部において前記第1主電極膜より小さな寸法形状を有し、かつ、前記第1スリット上の一部を含めて一対の前記第1主電極膜上に略U字形状の第1圧電体薄膜を形成し、さらに前記一端部のみが前記第1圧電体薄膜よりも小さな寸法形状を有する第1対向電極膜を形成する工程と、
    第2の基板上に、前記第1スリットと同じ幅を有する第2スリットを中心として、前記第2スリットに直交する方向で、前記第1スリットの前記一端部と同じ端部のみが前記第1主電極膜より小さな寸法形状を有する第2主電極膜を形成し、前記第2主電極膜上と前記第2スリット上の一部を含めて略U字形状の第2圧電体薄膜を形成し、さらに前記端部のみが前記第2圧電体薄膜よりも小さな寸法形状の第2対向電極膜を形成する工程と、
    前記第1主電極膜の前記第1スリットと前記第2主電極膜の前記第2スリットとの位置が一致するように前記第1対向電極膜および前記第2対向電極膜を対向させて接着層で接着固定する工程と、
    前記第2の基板を除去する工程と、
    前記第1の基板上で、前記接着層を加工して、圧電動作を生じる領域が前記第1スリットおよび前記第2スリットの中心線を基準として鏡面対称な形状で、かつ、部分的に一体構造とした結合領域部上に前記スリットが位置するように一対の構造体を形成するとともに、一対の前記構造体のそれぞれの前記第1主電極膜の一部に前記構造体より露出した突出部を形成する工程と、
    一対の前記構造体のそれぞれの前記第1主電極膜の前記突出部と前記第2主電極膜との間を接続する接続配線部を形成する工程と、
    前記第1の基板を除去する工程とを有することを特徴とする薄膜圧電体素子の製造方法。
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