JP4538635B2 - ホルムアルデヒドの除去触媒およびその製造方法 - Google Patents

ホルムアルデヒドの除去触媒およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ホルムアルデヒドを吸着・分解・除去するのに有用なホルムアルデヒドの除去触媒およびその製造方法に関する。
現在、重要な地球環境問題の一つとして、大気汚染を挙げることができる。そして、その代表的な環境汚染要因物質として、硫黄酸化物(SOX)、二酸化炭素(CO2)、窒素酸化物(NOX)、一酸化炭素、炭化水素、ホルムアルデヒド、VOC等がある。この中で窒素酸化物の分解方法としては、接触還元や接触分解が知られている。自動車のガソリンエンジンの分野では、白金−ロジウム−パラジウムを主体とし、還元剤として排気ガス中のHC,CO,H2を使用し、HCおよびCOと共にNOXを処理する3元触媒が知られている。
しかし、上記3元触媒は、ガソリンエンジンについて好適なものであり、かつ、所定の空燃比を満足しなければ有効に機能しない。従って、当該3元触媒では、その用途が限定されてしまう。また、白金を始めとした貴金属を使用するため、コストも高くなってしまう。
一方、脱硝触媒として、チタニア(TiO2)を担体とし、活性成分として五酸化バナ
ジウム(V25)、三酸化タングステン(WO3)等の金属酸化物等を少なくとも一つ担
持したものが使用されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、当該触媒は、200℃以下の低温での活性が低く、常温での使用が困難であるという問題がある。
また、チタニア自体を窒素酸化物分解の活性成分として使用する光触媒では、例えば、トンネル内やパイプ、装置内部などの光のない暗所での使用は、紫外光の照射なしには不可能である。
以上から、高価な金属触媒によらないで、高温を必要とせず、また、光の有無を問わずに、良好な分解特性を発揮し得る窒素酸化物、硫黄酸化物、一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水素、ホルムアルデヒド、VOCなどの環境負荷物質の吸着、分解用触媒は、未だ見出されていないといえる。
特開2001−79394号公報
本発明は、上記事実を考慮し、下記目的を達成することを課題とする。すなわち、本発明は、高価な金属触媒によらないで、触媒の作用時には高温を必要とせず、また、光の有無を問わずに、良好な吸着分解特性を発揮し得るホルムアルデヒドの除去触媒およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者らは、下記本発明に想到し当該課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、炭化ケイ素を含有することを特徴とするホルムアルデヒドの除去触媒である。
本発明の環境負荷物質の除去触媒は、下記(1)〜()のいずれかの態様を少なくとも1つ具備することが好ましい。
(1)前記環境負荷物質が粉末である態様である。
)前記炭化ケイ素の粉末の平均粒径が0.005〜100μmである態様である。
)前記炭化ケイ素が、担体上に担持されている態様である。
)前記炭化ケイ素が、担体となっている態様である。
)熱処理および粉砕処理のいずれかの処理が施されてなる態様である。
また、本発明は、ホルムアルデヒドの除去触媒の製造方法であって、少なくとも炭化ケイ素に熱処理を施す熱処理工程および炭化ケイ素に粉砕処理を施す粉砕工程のいずれかを含むことを特徴とするホルムアルデヒドの除去触媒の製造方法である。
本発明によれば、高価な金属触媒によらないで、触媒の作用時には高温を必要とせず、また、光の有無を問わずに、ホルムアルデヒドに対し良好な吸着分解特性を発揮し得るホルムアルデヒドの除去触媒およびその製造方法を提供することができる。
ホルムアルデヒドの除去触媒]
本発明のホルムアルデヒドの除去触媒は、ホルムアルデヒドを分解除去するための触媒である。当該触媒は、炭化ケイ素を含有する。炭化ケイ素は、耐磨耗性に優れ、化学的安定性が高く、高温でも強度が低下しないといった性質を有するが、本発明者らは、炭化ケイ素(炭化ケイ素微粉末)が、ホルムアルデヒドを吸着および分解して除去するという特性を見出し、その触媒機能について、種々の検討を行ってきた。
本発明のホルムアルデヒドの除去触媒において、炭化ケイ素微粉末の平均粒径は、0.005〜100μmであることが好ましく、0.005〜1μmであることがより好ましい。また、比表面積は、大きいほど好ましいが、0.02〜400m2/gであることが好ましく、10〜400m2/gであることがより好ましい。
平均粒径を0.005〜100μmとするか、または比表面積を0.02〜400g/m2とすることで、ホルムアルデヒドとの接触面積を十分にとれ、かつ、同量の吸着・分解量に対して触媒量を減らすことができる。なお、平均粒径は、動的光散乱法、画像処理法、レーザー回折法などの公知の方法により測定して求めることができる。また、比表面積は、吸着種として窒素を用いるBET法により求めることができる。
前記炭化ケイ素微粉末が、熱処理および粉砕処理のいずれかの処理が施されてなることが好ましく、これらの処理は、非酸化性雰囲気で行なうことがより好ましい。非酸化性雰囲気としては、窒素、アルゴンなど不活性ガス雰囲気下が挙げられる。図1に、粉砕処理(ボールミル(BM)による粉砕処理)が、炭化ケイ素の窒素酸化物の吸着・分解能に与える影響を調べた結果を示す。
粉砕処理を行なう際の温度は、一般的に温度が低いと材料が脆くなり割れやすく、温度が上がると、ガス化や原子の拡散が速くなって、反応が促進されるという観点から、−196〜400℃が好ましい。
なお、使用した炭化ケイ素微粉末の平均粒径、比表面積について、下記表1に示す。また、図2および図3の結果を得るために使用した炭化ケイ素微粉末も同様である。
Figure 0004538635
図1(A)に示すように、測定開始時の二酸化窒素の濃度で規格化した場合の経過時間と酸化窒素濃度との関係では、粉砕処理時間が長いほど初期の二酸化窒素の濃度変化が大きいことがわかる。すなわち、粉砕処理時間の長かった炭化ケイ素微粉末ほど、二酸化窒素の吸着量が大きくなることがわかる。このような現象の詳細なメカニズムについては、必ずしも明らかではないが、粉砕処理により、炭化ケイ素微粉末の表面にクラックなどが発生し、酸化皮膜が壊れて活性の高い炭化ケイ素の新生面が発生したものと考えられる。
粉砕処理としては、ボールミル粉砕、ジェットミル粉砕、ピンミル粉砕、フレットミル、自動乳鉢等を用いた公知の粉砕処理が挙げられる。これらのうち、適度な大きさの粉砕エネルギーを経済的に与えることができることから、ボールミル粉砕が好適に用いられるが、これに限定されるものではない。
上記結果から、ボールミルによる粉砕処理の場合の条件は、粉砕に関わる強度にもよるが、不活性雰囲気(特に、アルゴン雰囲気)で、10時間以上とすることが好ましく、工業的な生産性の観点から10〜24時間とすることがより好ましい。また、ボールミル粉砕を行う場合には、容器の全体積に対して、炭化ケイ素微粉末とボールの混合物とを半分以下として混合することが混合度の面から好ましい。
ボールミルの粉砕処理後における炭化ケイ素の平均粒径は、小さいものほど好ましいが、たとえば、数nm以下が好ましく、1nm以下がより好ましい。
ボールミルの粉砕処理後における炭化ケイ素の比表面積は、大きいほど好ましいが、1000m2/g以上が好ましく、1500m2/g以上がより好ましく、2000m2/g以上がさらに好ましい。
一方、炭化ケイ素微粉末による二酸化窒素の分解能について、一酸化窒素の濃度変化から検討すると、図1(B)に示すように、二酸化窒素から一酸化窒素への分解反応が進行していることが確認できる。
このような二酸化窒素の吸着分解量の増加は、非酸化性雰囲気での加熱処理を施した炭化ケイ素微粉末についても見られる。すなわち、当該加熱処理によっても、クラックなどの発生により酸化皮膜が壊れて活性の高い炭化ケイ素の新生面が発生するものと考えられる。当該非酸化性雰囲気としては、窒素雰囲気やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
また、加熱処理の温度については、高温で行う方が炭化ケイ素の膨張率の差が大きくなるので、更に割れやすくなる点、および炭化ケイ素に存在している結晶の欠陥がわずかながら回復する点から、二酸化窒素吸収分解能がよくなる可能性がある。しかし、加熱処理を高温で行うと、炭化ケイ素が酸化しやすくなり、高温熱処理によるエネルギー損失も大きくなる傾向がある。したがって、これらを考慮すると、加熱処理の温度は、100〜1000℃とすることが好ましく、200〜500℃とすることがより好ましく、300〜400℃とすることがさらに好ましい。また、加熱時間は、加熱温度および加熱方法によって適宜選択できるが、たとえば、0.0001〜12時間が好ましく、0.0001〜1時間がより好ましく、0.1〜1時間がさらに好ましく、0.1〜0.5時間が特に好ましく、1秒〜10分が最も好ましい。また、熱処理におけるエネルギーのロスが少ないという観点から、加熱手段は急速加熱が好ましい。
なお、当該加熱処理として、粉砕処理と同様、空気中などの酸化性雰囲気にて処理すると、炭化ケイ素微粉末の表面に酸化皮膜が形成されてしまい、触媒活性が低下してしまうため好ましくない。
本発明のホルムアルデヒドの除去触媒は、特に、二酸化窒素の分解に供する場合には、暗所にて使用することもできる。図2に暗所(0ルクス)における窒素酸化物吸着確認実験の結果を示す。なお、本実験は、窒素酸化物の吸着分解実験の後、空気を流したものである。
図2(A)に示すように、暗所においては、二酸化窒素の吸着量が初期の段階で大きくなっていることがわかる。すなわち、炭化ケイ素微粉末は、二酸化窒素を吸着することがわかる。一方、図2(B)に示すように炭化ケイ素微粉末は、暗所の場合、一酸化窒素を吸着しないことが考えられる。
本発明のホルムアルデヒドの除去触媒において、炭化ケイ素微粉末は、α型およびβ型のどちらでも構わない。α型の粉末は一般にアチソン法により製造され、珪砂(シリカ)とカーボンブラックなどの混合物を加熱することにより得られる。特に、炭化ケイ素微粉末の純度を高める必要がある場合には、特に限定されないが、例えば、液状のケイ素化合物と、酸素を分子内に含有し、加熱により炭素を生成する液状の有機化合物(以下、適宜、炭素源と称する)と、少なくとも有機化合物と均一に溶する重合触媒または架橋触媒とを均質に混合して得られた混合物を、非酸化性雰囲気下で加熱焼成して製造され、好ましくは前記液状のケイ素化合物と炭素源と触媒を均質に混合して得られた混合物を固化して固形物を得る固化工程と、得られた固形物を非酸化性雰囲気下で加熱炭化した後、さらに非酸化性雰囲気下で焼成する焼成工程とを含む製造方法により得られる粉末を用いることができる。
当該炭化ケイ素微粉末の製造方法に用いられるケイ素源としては、高純度のテトラアルコキシシラン、その重合体、酸化ケイ素から選択される1種以上を用いることができる。ここで、酸化ケイ素とは、二酸化ケイ素、一酸化ケイ素を包含するものとする。ケイ素源としては、具体的には、テトラエトキシシランに代表されるアルコキシシラン、その低分子量重合体(オリゴマー)、及び、さらに重合度が高いケイ酸ポリマー等や、シリカゾル、微粉体シリカ等の酸化ケイ素化合物が挙げられる。アルコキシシランとしては、メトキシシラン、エトキシシラン、プロポキシシラン、ブトキシシラン等が例示され、なかでも、ハンドリング性の観点から、エトキシシランが好ましく用いられる。ここでオリゴマーとは重合度2〜15程度の重合体を指す。
これらケイ素源のなかでも、均質性やハンドリング性が良好な観点から、テトラエトキシシランのオリゴマーや、テトラエトキシシランのオリゴマーと微粉体シリカとの混合物等が好適である。また、これらのケイ素源は用途に応じて高純度の物質を用いることが好ましく、その場合には、初期の不純物含有量が20ppm以下であることが好ましく、5ppm以下であることがさらに好ましい。
また、前記炭化ケイ素粉末と混合される、加熱により炭素を生成する有機化合物として用いられる物質は、具体的には、残炭率の高いコールタールピッチ、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂やグルコース等の単糖類、蔗糖等の少糖類、セルロース、デンプン等の多糖類等の各種糖類が挙げられる。これらはケイ素源と均質に混合するという目的から、常温で液状のもの、溶媒に溶解するもの、熱可塑性或いは熱融解性のように加熱することにより軟化するもの或いは液状となるものが好適に用いられるが、なかでも、残炭率が高く、触媒又は加熱により重合又は架橋する炭素原子、水素原子、及び窒素原子のみから構成される化合物、具体的には、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルなどが好ましい。
炭化ケイ素微粉末を製造するにあたっての、炭素とケイ素とのモル比(以下、C/Si比と略記)は、混合物を炭化して得られる炭化物中間体を、元素分析することにより定義される。化学量論的には、C/Si比が3.0の時に生成炭化ケイ素中の遊離炭素が0%となるはずであるが、実際には同時に生成するSiOガスの揮散により低C/Si比において遊離炭素が発生する。この生成炭化ケイ素微粉末中の遊離炭素量が適当でない量にならないように予め配合を決定することが重要である。通常、1気圧近傍で1600℃以上での焼成では、C/Si比を2.0〜2.5にすると遊離炭素を抑制することができ、この範囲を好適に用いることができる。C/Si比を2.5以上にすると遊離炭素が顕著に増加するが、この遊離炭素は粒成長を抑制する効果を持つため、粒子形成の目的に応じて適宜選択しても良い。但し、雰囲気の圧力を低圧又は高圧で焼成する場合は、純粋な炭化ケイ素を得るためのC/Si比は変動するので、この場合は必ずしも前記C/Si比の範囲に限定するものではない。
この方法においては、前記の常温で液状のケイ素化合物と、炭素源とをよく混合した後、これらの化合物と均一に溶化する触媒とを均質に混合して混合物を得るものであるが、触媒はこれらの原料を十分攪拌した後に添加することが好ましい。
この製造方法においては、少なくとも有機化合物と均一に溶化し、炭素原子、水素原子及び酸素原子のみから構成される化合物を触媒として用いることが特徴であり、炭素原子、水素原子及び酸素原子のみから構成され、従来、汎用の触媒であるトルエンスルホン酸(C783S)の如く分子内に硫黄原子を含まないため、加熱・焼成工程においても有害な硫黄化合物が発生しない。硫黄原子を含まない従来の触媒は非水系及び親水系原料の均一混合に難があり、適当なものが用いられなかったが、この製造方法に用いられる特定の触媒は少なくとも反応に使用される有機化合物と均一に溶化しうるため均質性が良好であり、さらに、反応性向上の観点からは、カルボキシル基を含む化合物が好ましいことが見出された。なお、「有機化合物と均一に溶化する」とは、有機化合物と混合により分子レベルに均一になることを指すものとする。
カルボキシル基を含む化合物としては、例えば、飽和又は不飽和のカルボン酸、ジカルボン酸類、芳香族カルボン酸、なかでも、飽和脂肪族ジカルボン酸類、不飽和脂肪族カルボン酸類及びその誘導体等が好適である。好ましい触媒としては、具体的には、マレイン酸(pKa=1.75)、アクリル酸(pKa=4.26)、シュウ酸(pKa1=1.04、pKa2=3.82)、イタコン酸(pKa1=3.85、pKa2=5.45)、マロン酸(pKa1=2.62、pKa2=5.28)、コハク酸(pKa1=4.00、pKa2=5.24)等が挙げられ、なかでもpKa、水に対する溶解度の観点からマレイン酸及びその誘導体から選択される少なくとも1種が好ましい。マレイン酸誘導体としては、無水マレイン酸等が挙げられる。なお、芳香族カルボン酸としては、サリチル酸(pKa=2.81)、フェノキシ酢酸(pKa=2.99)、フタル酸(pKa=2.75)等が挙げられる。
触媒であるマレイン酸を例に挙げれば、(1)pKaの値がトルエンスルホン酸(pKa=1.4)にほぼ匹敵し(pKa=1.75)、酸強度がある、(2)不飽和結合とカルボキシル基両方を分子内に含むため、疎水性部分親水性部分同士の親和性を有しており、ケイ素源と炭素源とを均一混合し易い、(3)反応自体が強い発熱反応ではないため、硬化反応が緩やかで、触媒の添加量により反応速度を制御しうる等の利点を有するものである。
この製造方法に用いる混合物の配合比としては、例えば、ケイ素源100質量部に対して、炭素源が40〜60質量部、触媒が5〜10質量部程度であることが好ましい。触媒は、不純物を含有しない溶媒に溶解して配合することもでき、例えば、水、アセトン等の飽和溶液として配合することができる。この混合物を均質に混合することが、その後の炭化・焼成工程の均一な反応に重要であるため、混合物の均質度合いに応じ適宜、混合物に界面活性剤を添加してもよい。ここで用い得る界面活性剤としては、スパン(Span)20、ツィーン(Tween)20(商品名、関東化学社製)などが挙げられ、添加量としては、混合物総量に対して5〜10重量%程度であることが好ましい。
こうして、配合後によく攪拌されて均一化された混合物は固化されるが、その方法としては、触媒を加えた後、攪拌を続けること以外に加熱を併用してもよい。また、必要に応じて、該固化物を窒素、アルゴン等の非酸化性雰囲気中800℃〜1000℃の温度において30〜120分間加熱することで炭化する工程を加えてもよい。こうして得られた炭化物は、非酸化性雰囲気中において、1350℃〜2400℃で加熱することにより炭化ケイ素になる。焼成温度と時間は希望する粒径などの特性に応じて適宜選択できるが、より効率的な生産のためには、1600〜2000℃での焼成が好ましい。また、生成した粉末は微細粒化や粒径を揃える必要がある場合、また、比表面積を増加させる必要がある場合には、粉砕、分級などの処理を加えてもよい。
[触媒担持体]
本発明のホルムアルデヒドの除去触媒は、触媒担持体として使用することもできる。具体的には、ホルムアルデヒドの除去触媒を担持した態様となる。本発明のホルムアルデヒドの除去触媒は、微粉末の状態で使用することもできるが、実用上の観点から、当該触媒を適当な樹脂やセラミック材料などに分散担持させた触媒担持体として、使用に供することが好ましい。ペンキなどの樹脂へは、予め液状にて適量混合し、後に溶媒を除去するか重合により固体化して、粉末を固定することもできる。本発明の用途としては、当該触媒を分散させた塗料、コーティング材などの形態として用いることができ、スパッタリングなどの方法により基材に塗布することもできる。
具体的には、ガラス、アルミナ、ゼオライト等からなる基材を担体とし、その表面に当該触媒を公知の方法により担持すればよい。当該触媒(触媒担持体)の形態としては、板状やペレット状等種々の形態とすることができる。また、当該触媒は常温暗所で活性を示すことから、自動車からの排ガスが多く暗所であるトンネル内や、窒素酸化物が発生しやすい実験室および工場内、その他、住居空間内などに適用することができる。また、光が存在しないような排ガスが通過するパイプの内側表面に溶射などの手法で固定することもできる。
ホルムアルデヒドの除去方法]
本発明のホルムアルデヒドの除去触媒を使用した除去方法の一態様として、下記窒素酸化物の除去方法(分解方法)について説明する。当該方法は、少なくとも、窒素酸化物の接触反応により窒素酸化物を分解する方法である。また、当該触媒を担持した既述の触媒担持体を使用してもよい。
本発明のホルムアルデヒドの除去触媒
本発明のホルムアルデヒドの除去触媒によるホルムアルデヒドの除去方法では、本発明のホルムアルデヒドの除去触媒と、除去したいホルムアルデヒドとを接触させることが好ましい。
下記実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
ホルムアルデヒドの除去触媒の調製)
原料として、常温で液状のケイ素化合物であるエチルシリケート305gと、加熱により炭素を発生する有機化合物であるレゾール型フェノール142gを約3000r.p.m.の攪拌速度で5分間攪拌した後、この混合物に触媒として無水マレイン酸(三菱化学社製)の飽和水溶液100gを添加してさらに3000r.p.m.の攪拌速度で約15分間攪拌した。
次に、この混合物を180℃の温度で約2時間硬化させた後、得られた樹脂状固形物を窒素雰囲気中、900℃の温度で約1.5時間炭化処理を行い、その後アルゴンガス雰囲気中、1900℃の温度で約10分間焼成し、ホルムアルデヒドの除去触媒として炭化ケイ素微粉末を作製した。この炭化ケイ素微粉末の平均粒径および比表面積は、表に示すとおりである。
(窒素酸化物の接触分解)
28×48×1mm(w×l×h)のガラス基板の表面で、上述の炭化ケイ素微粉末0.3gをエタノール16mlを用いて均一に分散させた後、80℃で乾燥させてガラス基板上に炭化ケイ素微粉末を0.18g担持させた触媒担持体を作製した。試験ガスとして加湿した空気に二酸化窒素を加えたもの(二酸化窒素濃度:約1ppm、一酸化窒素濃度:0.05ppm以下)を使用し、この試験ガスを空気と触媒担持体とが入った暗室(暗所:0ルクス)内のアクリル製容器に流量3.0リットル/分で15分間流通させた。そして、二酸化窒素および一酸化窒素の濃度変化を測定した。図3に二酸化窒素の濃度変化を示し、図4に一酸化窒素の濃度変化を示す。
さらに、流通後の気体を、GC−MS(JEOL社製、AutomassSun200)により測定を行なった。その結果、窒素および酸素由来のピークが観測された。図5に、得られた酸素および窒素のGC−MSチャートを示す。なお、GC−MSについては、1.5cc/秒で流しながら測定した。
(SiC触媒の加熱処理時間に対する二酸化窒素の分解量の変化)
次に、炭化ケイ素微粉末の加熱処理温度400℃に設定し、加熱時間に対する二酸化窒素の減少量を測定した。図6に加熱時間に対する二酸化窒素の濃度変化を示す。図6より、加熱時間10分までは急速に二酸化窒素の分解吸着量が増大し、その後30分までは漸増し、それ以降は60分まで少し減少したが、6時間まで二酸化窒素の減少量は、ほぼ一定量となった。
また、比較として、前記ホルムアルデヒドの除去触媒と同量の酸化チタン(平均粒径:7nm)を触媒として、上記と同様にして触媒担持体を作製し常温暗所で窒素酸化物の接触分解を行った。この結果も併せて図3および図4に示す。
図3および図4の結果から、暗所の状態においては、時間の経過と共に二酸化窒素の濃度が減少し、一酸化窒素の濃度が増加していることがわかった。すなわち、窒素酸化物分解用触媒が二酸化窒素を吸着し、分解して一酸化窒素を生成していることが確認できた。また、光触媒として利用される酸化チタンよりも優れた吸着・分解能を有することがわかった。
さらに、図5のGC−MSチャートより、炭化ケイ素を接触させると、新たに酸素と窒素のピークが現れていることから、二酸化窒素または一酸化窒素が分解され、酸素および窒素が形成されることがわかった。
(ホルムアルデヒドの接触分解)
上述の炭化ケイ素微粉末6gをエタノールを用いて均一に分散させた後、乾燥させて触媒担持体を作製した。試験ガスとしてホルムアルデヒドを加えたもの(濃度:約102ppm(N2バランス))を使用し、この試験ガスを空気と触媒担持体とが入った暗室(暗所:0ルクス)内のアクリル製容器(容器内体積:310mL)に入れ、触媒担持体と調整したホルムアルデヒドを接触させ、接触後に存在する気体をGC−MSにて測定した。なお、GC−MSについては、1.5cc/秒で流しながら測定した。触媒担持体によるホルムアルデヒドの接触分解後のトータルイオンクロマトグラムを図7に示す。図7において各ピークに付された番号は、それぞれ1:N2、2:N2、O2、およびAr、3:CO2、4:H2O由来のものである。また、各ピークにおけるマススペクトルを図8に示す。図7および図8より、ホルムアルデヒド由来のピークが消失し、新たに二酸化炭素と水のピークが現れた。
また、図9より、触媒担持体によるホルムアルデヒドの接触分解後の二酸化炭素の濃度は、触媒担持体のないものと比べ増大していることが分かる。なお、CO2の濃度変化は3回実験を行い、再現性を確認した。
以上より、ホルムアルデヒドは分解され、二酸化炭素が生成したものと考えられる。
ホルムアルデヒドの除去触媒の吸着分解能への粉砕処理の影響を示す図であり、(A)は二酸化窒素の濃度変化を示し、(B)は一酸化窒素の濃度変化を示す。 ホルムアルデヒドの除去触媒の吸着性を示す図であり、(A)は二酸化窒素の濃度変化を示し、(B)は一酸化窒素の濃度変化を示す。 ホルムアルデヒドの除去触媒の暗所における接触分解の結果(二酸化窒素の濃度変化)を示す図である。 ホルムアルデヒドの除去触媒の暗所における接触分解の結果(一酸化窒素の濃度変化)を示す図である。 ホルムアルデヒドの除去触媒の暗所におけるGC−MSの窒素および酸素のピークを示す図であり、(A)は接触分解前、(B)は接触分解後のピークを示す図である。 加熱時間に対するホルムアルデヒドの除去触媒の暗所における接触分解の結果を示す図である。 ホルムアルデヒドの除去触媒における接触分解後のトータルイオンクロマトグラムである。 ホルムアルデヒドの除去触媒における接触分解後の質量分析の結果を示す図である。 ホルムアルデヒドの除去触媒の暗所における接触分解の結果(二酸化炭素の濃度変化)を示す図である。

Claims (6)

  1. 炭化ケイ素を含有することを特徴とするホルムアルデヒドの除去触媒。
  2. 前記炭化ケイ素が粉末である請求項1に記載のホルムアルデヒドの除去触媒。
  3. 前記炭化ケイ素の粉末の平均粒径が0.005〜100μmである請求項に記載のホルムアルデヒドの除去触媒。
  4. 前記炭化ケイ素が、担体上に担持されている請求項1〜のいずれか1項に記載のホルムアルデヒドの除去触媒。
  5. 前記炭化ケイ素に熱処理および粉砕処理の少なくともいずれかの処理が施されてなる請求項1〜のいずれか1項に記載のホルムアルデヒドの除去触媒。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のホルムアルデヒドの除去触媒の製造方法であって、少なくとも炭化ケイ素に熱処理を施す熱処理工程および炭化ケイ素に粉砕処理を施す粉砕工程のいずれかを含むことを特徴とするホルムアルデヒドの除去触媒の製造方法。
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