JP4537762B2 - 段付き圧粉成形体の製造方法、製造装置、及び段付き圧粉成形体 - Google Patents

段付き圧粉成形体の製造方法、製造装置、及び段付き圧粉成形体 Download PDF

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本発明は、段つき歯車等として用いられる段付き圧粉成形体の製造方法に関する。又、本発明は、該段付き圧粉成形体の製造方法を実施するための段付き圧粉成形体の製造装置、及び該製造方法により製造される段付き圧粉成形体に関するものである。
段つき歯車等、高密度焼結部品として用いられる段付き圧粉成形体は、ダイ、上パンチ及び下パンチを有し、いずれかのパンチが互いに独立して運動する複数のパンチからなる成形装置により、原料粉末を圧縮して製造される。原料粉末は、ダイ及び下パンチで形成するキャビティ内に充填され、上パンチ及び下パンチの相対運動により加圧、圧縮され成形される。段付き圧粉成形体は軸方向薄肉部(加圧方向について薄い部分)と軸方向厚肉部(加圧方向について厚い部分。軸方向薄肉部以外の部分)を有するので、軸方向薄肉部と軸方向厚肉部の成形後の密度を均一にするため、複数のパンチは、段差の部分で分割され、粉末の圧縮比が均一になるように作動される。
しかるに、圧縮の全工程にわたって軸方向薄肉部と軸方向厚肉部に対応する部分(以下、それぞれ、軸方向薄肉部、軸方向厚肉部と表現する。)の粉末の圧縮比を常に等しく保つように制御することは困難である。圧縮の工程中に軸方向薄肉部と軸方向厚肉部の粉末の圧縮比に差違が生じると、両部分間に粉末の移動が起こり、その結果、成形後の製品中に密度差を生じる。例えば、圧縮の工程中に軸方向薄肉部の圧縮比が、軸方向厚肉部より小さくなると、軸方向厚肉部の原料粉末が軸方向薄肉部に移動し、成形後の製品において、軸方向薄肉部の密度が軸方向厚肉部より大きくなり均一な密度の製品は得られない。
特開2002−153996号公報(特許文献1)には、このような問題を解決し、圧縮の全工程にわたって軸方向薄肉部と軸方向厚肉部の粉末の圧縮比が常に等しく保つことを目的とした装置が開示されている。この装置は、外側の下パンチ(下浮動第1パンチ)が固定される浮動パンチプレートと、内側の下パンチ(下固定第2パンチ)が固定されるベースプレートの間に、バネを設け、前記バネは、粉末加圧中は浮動パンチプレートを上方へ付勢することを特徴とする粉末成形装置である(請求項1)。前記バネとして、上パンチおよび下固定第2パンチによる粉末圧縮比と、上パンチおよび下浮動第1パンチによる粉末圧縮比が同一又は近似するようなバネ特性(バネ定数)を有するものを選ぶ(請求項2、段落0012)ことにより、圧縮の全工程にわたって、粉末の圧縮比を各部分(軸方向薄肉部と軸方向厚肉部)間で同一又は近似に保つことができる(図8)。
しかし、粉末圧縮比を、各部分で同一又は近似にするバネ特性は、原料粉末の種類や粉径、又軸方向薄肉部の大きさ等により変動する。従って、この方法では、原料粉末等を変える毎に、最適のバネ特性を求め、そのバネ特性を有するバネを設置する必要がある。又実際には、最適のバネ特性を求めることは困難であり、種々の微調整が必要となる場合が多い。
一方、圧縮の全工程において、各部分の粉末(被圧縮体)の密度が互いに常に等しくなるように、各パンチを、常に制御する装置も開発されている。しかし、この装置では、各パンチ間を互いに調整しながら制御する必要があるので、その制御は複雑なものとなり、装置も高価なものとなる。
特開2002−153996号公報(請求項1、請求項2、段落0012)
本発明は、ダイ、上パンチ及び下パンチを有し、上パンチ及び下パンチのいずれかが互いに独立して運動する複数のパンチからなる装置を用いて行う段付き圧粉成形体の製造方法であって、容易な制御により、圧縮され成形される工程での軸方向薄肉部と軸方向厚肉部間の粉末の移動を抑え、かかる粉末移動による密度差のない段付き圧粉成形体が得られ、かつ原料粉末の変更等の条件変更にも容易に対応可能な段付き圧粉成形体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、又、該段付き圧粉成形体の製造方法を実施するための段付き圧粉成形体の製造装置、及び、該製造方法により製造される均一な密度を有する段付き圧粉成形体を提供することも課題とする。
本発明者は、検討の結果、段付き圧粉成形体の軸方向薄肉部の原料粉末を、該原料粉末の被圧縮体が抗折強度を生じる密度まで圧縮し、その後他の部分(軸方向厚肉部)の圧縮を行えば、工程中に、各部分間で圧縮比の差違を生じても、原料粉末の軸方向薄肉部への原料粉末の移動は起こらず、その結果、原料粉末の移動による密度差のない段付き圧粉成形体が得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、ダイ及び1つ又は複数の下パンチで形成するキャビティ内に原料粉末を充填し、上パンチ及び該下パンチの相対運動で、キャビティ内の粉末を圧縮する段付き圧粉成形体の製造方法であって、該段付き圧粉成形体の軸方向薄肉部に対応する部分の原料粉末を、該原料粉末の被圧縮体が抗折強度を生じる密度に対応する圧力に達するまで圧縮した後、該軸方向薄肉部以外の部分に対応する原料粉末を、該圧力まで圧縮する工程を有することを特徴とする段付き圧粉成形体の製造方法を提供するものである(請求項1)。
本発明の段付き圧粉成形体の製造方法においては、先ず、ダイ及び1つ又は複数の下パンチで形成するキャビティ内に、原料粉末が充填される。充填された原料粉末は、上パンチ及び下パンチの相対運動、すなわち上パンチ及び下パンチの間隔を減少することにより圧縮(加圧)され、さらに、原料粉末はダイとのスラスト運動によっても圧縮される。複数のパンチは、互いに独立して運動するので、その運動(相対位置の変化)や圧縮の圧力は、それぞれ個別に制御されるが、本発明では、軸方向薄肉部に対応するパンチによる圧縮を先行させ、先ず、軸方向薄肉部の原料粉末を、該原料粉末の被圧縮体が抗折強度を生じる密度に対応する圧力に達するまで圧縮することを特徴とする。なお、この圧縮の間、軸方向薄肉部以外の圧縮は行わないか、又は軸方向薄肉部の圧縮より小さい圧力での圧縮しか行われない。すなわち、軸方向薄肉部以外の圧縮は、軸方向薄肉部が抗折強度を生じる密度に対応する圧力に達した後に行えばよい。従って、この圧縮に関して厳密な管理は必要なく、その制御は容易である。軸方向薄肉部の原料粉末を、抗折強度を生じるまで圧縮することにより、軸方向薄肉部と軸方向厚肉部間で圧縮比に差違を生じても、原料粉末の流れは生ぜず、その結果、原料粉末の移動による密度差のない圧粉成形体が得られる。
原料粉末を一定密度以上になるように圧縮すると、粉末同士が結合し、圧縮された原料粉末、すなわち被圧縮体が一つの塊となり、抗折強度が発生する。このような抗折強度は、原料粉末を圧縮して、所定の形状、大きさの角棒状の被圧縮体(抗折強度の測定用試料)を形成し、該被圧縮体を折ることができる力(図3中のQ)を測定することにより求めることができる。図3は、抗折強度の測定法を示す斜視図であり、抗折強度の測定用試料を2個の支えに載せ、その中央に荷重を加えることにより、抗折強度が測定されている。
同じ原料粉末については、該抗折強度と被圧縮体の密度とは対応し、又該密度と圧縮の圧力も対応するので、該抗折強度は、圧縮の圧力とも対応する。そこで、抗折強度と密度又は圧力の関係を、グラフとして表すことが可能である。図4は、この関係を概念的に示すグラフ図であり、縦軸に抗折強度を採り、横軸に密度を採っており、図4中のa、b、c、d及びeは測定点である。
図4中のd及びe点は、圧力が低く粉末同士が結合していない状態に対応し、従って抗折強度は発生していない(抗折強度=0)。又、抗折強度が小さい場合は、密度と抗折強度の関係はほぼ直線上になる。すなわち、a、b及びc点は、ほぼ直線上に乗っているので、該直線と横軸(抗折強度=0に該当する)との交点Aを求めることができる。この交点Aに対応する密度が、抗折強度を生じる密度であり、本発明においては、この密度に対応する圧力、すなわち交点Aに対応する圧力まで、軸方向薄肉部の原料粉末を、他の部分の圧縮に先行して圧縮(加圧)することを特徴とする。
抗折強度を生じる密度やその密度に対応する圧力は、原料粉末が異なれば、変動する。しかし、それぞれの原料粉末についての該密度や該圧力は、上記の方法により容易に測定することが可能である。すなわち、本発明の製造方法を用いれば、原料粉末の変更にも容易に対応することができる。なお、本発明において、該密度や該圧力を測定する方法は、上記の方法に限定されず、他の方法により、抗折強度を生じる密度やその密度に対応する圧力を求めてもよい。
該原料粉末を、その被圧縮体が抗折強度を生じる密度に対応する圧力に達するまで圧縮した後、該軸方向薄肉部以外の部分に対応する原料粉末が圧縮される。通常、軸方向薄肉部以外の部分の原料粉末は、その部分に接する下パンチと上パンチの相対運動により、軸方向薄肉部と同じ密度、すなわち抗折強度が生じる密度になるまで圧縮され、その後、軸方向薄肉部及び他の部分の全体を、下パンチと上パンチの相対運動により、目的とする最終の密度に達するまで加圧、圧縮し、段付き圧粉成形体が得られる。
軸方向薄肉部及び他の部分の全体を、加圧、圧縮する工程における、各部分の圧縮比の変動については、特に厳密な制御を要しない。厳密な制御を行わない結果、該工程の途中で、軸方向薄肉部に対応する部分と軸方向厚肉部に対応する部分間で、密度や圧縮比に差違が生じることもある。しかし、すでに原料粉末は抗折強度が生じる密度になるまで圧縮されているので、原料粉末の各部分間での移動は起こらない。その結果、均一な密度を有する段付き圧粉成形体が得られる。すなわち、本発明の製造方法を用いれば、圧縮の際に、軸方向薄肉部と軸方向厚肉部間での、原料粉末の流れを防ぐことができ、その結果、従来の段付き圧粉成形体の製造方法の場合と比べて、はるかに容易な制御により、均一な密度を有する段付き圧粉成形体を得ることができる。
このようにして得られた段付き圧粉成形体は、通常の成形体の製造方法の場合と同様な方法により、キャビティから離型され取出される。段付き圧粉成形体の製品がキャビティから取出された後、該キャビティ内には、原料粉末が供給され、次の段付き圧粉成形体の製造が開始される。
本発明は、その請求項2として、ダイ、上パンチ及び下パンチを有し、さらに、該ダイ及び下パンチで形成するキャビティ内に充填された原料粉末を、該上パンチ、下パンチ及びダイを相対運動させて圧縮する加圧手段(圧縮手段)を有し、該上パンチ及び下パンチの少なくともいずれかが、互いに独立して運動する複数のパンチからなる段付き圧粉成形体の製造装置であって、さらに、軸方向薄肉部に対応する部分の原料粉末が、その被圧縮体が抗折強度を生じる密度に対応する圧力に圧縮されるように該加圧手段を制御する制御手段を有することを特徴とする段付き圧粉成形体の製造装置を提供する。この製造装置を用いることにより、前記の本発明の製造方法を容易に実施することができる。
この段付き圧粉成形体の製造装置は、さらにコアを有していてもよい。請求項3は、さらにコアを有する態様に該当するものである。
この製造装置において、原料粉末の圧縮は、制御手段により制御された加圧手段により、上パンチ、下パンチ及びダイの、又は上パンチ、下パンチ、ダイ及びコアの相対運動が起されて行われる。本発明においては、(厳密な圧力変動の管理は不要であるが)、原料粉末を圧縮するための圧力を、軸方向薄肉部の面積により変更する必要がある。又、必要な圧力は100MPa程度と大きいので、加圧手段としては、圧力の変更が容易で、大きな圧力が得られる油圧装置を用いたものが好ましい。本発明の請求項4は、この好ましい態様に該当し、前記の段付き圧粉成形体の製造装置であって、加圧手段が、油圧装置を用いることを特徴とする段付き圧粉成形体の製造装置を提供するものである。
又、制御手段が、抗折強度を生じる密度に対応する圧力を入力する手段を有し、この入力された圧力に基づき、下パンチや上パンチ等が自動制御されると、管理が容易となり省力化も達成できるので好ましい。本発明の請求項5は、この好ましい態様に該当し、前記の段付き圧粉成形体の製造装置であって、制御手段が、抗折強度を生じる密度に対応する圧力を入力する手段を有し、入力された圧力に基づき自動制御することを特徴とする段付き圧粉成形体の製造装置を提供するものである。
本発明は、その請求項6として、本発明の製造方法により製造されることを特徴とする段付き圧粉成形体を提供する。この段付き圧粉成形体は、均一な密度を有し、軸方向薄肉部と軸方向厚肉部間の密度差がないものである。
本発明の段付き圧粉成形体の製造方法によれば、ダイ、上パンチ及び下パンチを有し、上パンチ及び下パンチの少なくともいずれか複数である装置を用いて、原料粉末を圧縮する工程において、軸方向薄肉部と軸方向厚肉部の粉末の圧縮比を常に等しく保つように制御しなくても、軸方向薄肉部と軸方向厚肉部間の原料粉末の流れを生じることはない。その結果、容易な制御により、軸方向薄肉部と軸方向厚肉部間の密度差のない、均一な密度を有する段付き圧粉成形体を得ることができる。かつ原料粉末の変更等にも容易に対応可能である。この製造方法は、本発明の段付き圧粉成形体の製造装置を用いることにより容易に実施することができる。そして、本発明の段付き圧粉成形体の製造方法により得られた段付き圧粉成形体は、均一な密度を有するものであり、段つき歯車等の高密度焼結部品等として好適に用いられる。
本発明の段付き圧粉成形体の製造方法は、軸方向薄肉部又は軸方向厚肉部の径方向(加圧方向に対して垂直な方向)の大きさが、圧粉成形体内で均一でない場合にも適用され、優れた効果を奏する。例えば、圧粉成形体内で、軸方向厚肉部が、径方向に薄い部分及び径方向に厚い部分を有する場合、従来の製造方法では、圧縮工程中で原料粉末の流れを生じ、両者間に密度の差違を生じる。又は、原料粉末の流れを生じないように、両者の圧縮比を調整するためには、非常に複雑な制御を要し、又高価な装置が必要である。本発明の段付き圧粉成形体の製造方法によれば、前記の容易な制御により、原料粉末の流れを生じることなく、径方向に薄い部分及び径方向に厚い部分間での密度を均一にすることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の製造装置の一例の構造を説明するための部分断面図である。この例の装置は、浮動パンチプレート9上に固定された下第1パンチ1と、ベースプレート10上に固定された下第2パンチ2と、上パンチ3と、粉末成形体の中心孔を形成するためのコアロッド5(コア)と、ダイ4を有する。浮動パンチプレート9は、加圧手段(圧縮手段)11に連結している。加圧手段11は、油圧装置(図示されていない)を有するものであり、制御手段(図示されていない)により制御されている。該制御手段には、抗折強度を生じる密度に対応する圧力を入力する手段(図示されていない)を有し、入力された圧力に基づき、先ず、軸方向薄肉部に対応する部分が抗折強度を生じる密度に達するように、加圧手段11が制御される。
次に、本発明の製造方法の一例を、図を用いて説明する。
下第1パンチ1、下第2パンチ2、コアロッド5及びダイ4によって、キャビティ6が形成される。先ず、該キャビティ6の軸方向薄肉部7及び軸方向厚肉部8(軸方向薄肉部7以外の部分)に、原料粉末供給手段(図示されていない)により原料粉末が供給される。例えば、キャビティ6形成後、その上部にシューボックスと言われる原料粉末供給手段が移動し、キャビティ6内に原料粉末を供給し、その後シューボックスはキャビティ6上部から取り除かれて、キャビティ6上部には上パンチ3が配置される。
キャビティ6内に原料粉末が供給された後、上パンチ3、ダイ4及びコアロッド5を下降させる。同時に下第1パンチ1も下降させるが、加圧手段11により、浮動パンチプレート9を通して下第1パンチ1を上方に加圧し、下第1パンチ1と上パンチ3との相対位置を制御して、軸方向薄肉部7にある原料粉末を、該原料粉末の被圧縮体が抗折強度を生じる密度に対応する圧力に達するまで圧縮する。この間、下第2パンチ2は、ベースプレート10上に固定されているので、その位置は上下しない。しかし、この間の上パンチ3の移動距離は小さいので、軸方向厚肉部8にある原料粉末の密度はわずかに上昇するだけであり、軸方向薄肉部7にある原料粉末の密度より小さい範囲に保たれる。すなわち、この工程においては、加圧手段11を、原料粉末の被圧縮体が抗折強度を生じる密度に対応する圧力に圧縮されるように制御するだけでよく、複数の加圧手段を調整しながら制御する従来の方法に比べて、その制御ははるかに容易である。
軸方向薄肉部7にある原料粉末を、該原料粉末の被圧縮体が抗折強度を生じる密度に対応する圧力に達した後は、ダイ4及びコアロッド5及び上パンチ3をさらに下降させ(下第2パンチ2は動かない。)、軸方向厚肉部8にある原料粉末を、軸方向薄肉部7と同等な密度になるまで、圧縮する。その後、軸方向薄肉部7及び軸方向厚肉部8について、所定の密度、圧縮比に達するまで圧縮を行い、通常の方法により、離型を行い、段付き圧粉成形体の製品を得る。
図2は、前記の例の工程の圧縮比の推移の概念を示すグラフ図である。圧縮が開始された直後(図中のB点に達するまで)は、先ず軸方向薄肉部が圧縮され、その間軸方向厚肉部はあまり圧縮されない。軸方向薄肉部が、抗折強度の発生に対応する圧縮比まで圧縮された後(図中のB点)、軸方向厚肉部の圧縮が行われる。軸方向厚肉部の圧縮比が、軸方向薄肉部の圧縮比と同等になった後(図中のC点)は、いずれの部分についても圧縮されるが、その圧縮の際には厳密な制御は行わない。そこで、図2に示されるように、軸方向厚肉部と軸方向薄肉部との間で、圧縮比に差違が生じることがある。しかし、すでに原料粉末は抗折強度の発生に対応する圧縮比まで圧縮されているので、原料粉末の移動は起こらず、その結果、均一な密度を有する段付き圧粉成形体を得ることができる。
図5は、軸方向厚肉部が、径方向に薄い部分21及び径方向に厚い部分22を有する圧粉成形体の一例を模式的に示す。図5aは平面図であり、図5bは、A−A線断面図である。本発明の製造方法は、このような圧粉成形体の製造に、特に好適に用いられ、圧縮工程中の原料粉末の流れを防ぎ、均一な密度を有する圧粉成形体を得ることができる。
図5の例の圧粉成形体を、本発明の装置により製造し、軸方向薄肉部へ先行して加える圧力、すなわち軸方向厚肉部への加圧開始時の軸方向薄肉部に加えられている圧力と、得られた圧粉成形体の径方向に薄い部分21及び径方向に厚い部分22の間の密度差の関係を求めた。図6は、得られた結果を示すグラフ図である。1.1ton/cmは、抗折強度が発生する圧力である。この結果から明らかなように、抗折強度が発生する圧力まで、軸方向薄肉部へ先行して圧縮することにより、軸方向厚肉部が、径方向に薄い部分21及び径方向に厚い部分22を有する圧粉成形体の場合でも、圧縮工程中の原料粉末の流れを防ぎ、均一な密度の圧粉成形体を得ることができる。
以上、本発明の一具体例について説明したが、この記載内容は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨を逸脱することなく各種の変更が可能である。例えば、パンチ(又は上パンチ)の数は2に限定されず、3以上の下パンチ(又は上パンチ)を有する場合にも、本発明は適用可能である。
3以上の下パンチ(又は上パンチ)を有する場合には、例えば、軸方向(加圧方向)についてより薄い部位から順に抗折強度が発生する圧縮比まで圧縮する方法により、圧縮工程における原料粉末の流れを防ぐことができ、圧縮工程中の原料粉末の流れによる密度差を生じない段付き圧粉成形体を得ることができる。又、前記の例では、軸方向薄肉部は圧粉成形体の外周部にあるが、内周部側に軸方向薄肉部があってもよい。
本発明の製造装置の一例の構造を説明するための部分断面図である。 本発明の工程の一例の、圧縮比の推移の概念を示すグラフ図である。 抗折強度の測定法を示す斜視図である。 抗折強度と密度の関係の一例を示すグラフ図である。 圧粉成形体の一例を示す平面図及び断面図である。 軸方向薄肉部へ先行して加える圧力と径方向に薄い部分及び径方向に厚い部分間の密度差の関係を示すグラフ図である。
符号の説明
1 下第1パンチ
2 下第2パンチ
3 上パンチ
4 ダイ
5 コアロッド
6 キャビティ
7 軸方向薄肉部
8 軸方向厚肉部
9 浮動パンチプレート
10 ベースプレート
11 加圧手段
21 径方向に薄い部分
22 径方向に厚い部分

Claims (6)

  1. ダイ及び1つ又は複数の下パンチで形成するキャビティ内に原料粉末を充填し、上パンチ及び該下パンチの相対運動で、キャビティ内の粉末を圧縮する段付き圧粉成形体の製造方法であって、該段付き圧粉成形体の軸方向薄肉部に対応する部分の原料粉末を、該原料粉末の被圧縮体が抗折強度を生じる密度に対応する圧力に達するまで圧縮し、この間、軸方向薄肉部以外の圧縮は行わないか、又は軸方向薄肉部の圧縮より小さい圧力で圧縮し、その後離型されない状態で、該軸方向薄肉部以外の部分に対応する原料粉末を、該圧力まで圧縮し、その後離型され取出される工程を有することを特徴とする段付き圧粉成形体の製造方法。
  2. ダイ、上パンチ及び下パンチを有し、さらに、該ダイ及び下パンチで形成するキャビティ内に充填された原料粉末を、該上パンチ、下パンチ及びダイを相対運動させて圧縮する加圧手段を有し、該上パンチ及び下パンチの少なくともいずれかが、互いに独立して運動する複数のパンチからなる段付き圧粉成形体の製造装置であって、さらに、軸方向薄肉部に対応する部分の原料粉末が、その被圧縮体が抗折強度を生じる密度に対応する圧力に圧縮されるように該加圧手段を制御する制御手段を有することを特徴とする段付き圧粉成形体の製造装置。
  3. さらに、コアを有することを特徴とする請求項2に記載の段付き圧粉成形体の製造装置。
  4. 該加圧手段が、油圧装置を用いることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の段付き圧粉成形体の製造装置。
  5. 該制御手段が、抗折強度を生じる密度に対応する圧力を入力する手段を有し、入力された圧力に基づき自動制御することを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の段付き圧粉成形体の製造装置。
  6. 請求項1に記載の段付き圧粉成形体の製造方法により製造されることを特徴とする段付き圧粉成形体。

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