JP4537525B2 - 粉末化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、さらさらとした粉末の形態を呈していながら、肌に塗布した際に清涼感が得られ、のび、密着性、化粧持続性にも優れる粉末化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
粉末形態の化粧料としては白粉、美白パウダー等があるが、これらは使用中に粉が飛散する、仕上がりが粉っぽくなる等の問題があった。また、水白粉等のように、粉末を水や油分と混合して使用する方法もあるが、使用性などに問題があった。
【0003】
このような問題を解決する技術として、特開昭58-39609号公報、特開平5-65212号公報、特開平6-166611号公報、特開平6-211620号公報、特開平11-130614号公報等に疎水化無水ケイ酸を使用した粉末化粧料が開示されている。これらは、疎水化無水ケイ酸が、それ自体水を包含して粉末化するという性質を利用した、塗擦により液化する粉末化粧料である。しかし、これらは、疎水化無水ケイ酸が温度変化により水を放出してしまうため、保存安定性が悪いという問題がある。
【0004】
また、特開平4-308520号公報には、撥水化処理粉体を用いて水を保持したW/O型メイクアップ化粧料が開示されている。しかし、このものは水の含有量が少ないために清涼感があまり感じられず、かつ肌への密着性が悪いという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、清涼感を有し、肌への密着性等の使用感にも優れ、かつ保存安定性に優れる粉末化粧料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、水との接触角が異なる2種の非水吸着性粉体を組合わせて特定の接触角を示すように調整した粉体成分を用い、これと多量の水を組合わせれば、サラサラとした粉末の形態を呈しながら、肌に塗布した際に清涼感が得られ、のび、密着性、化粧持続性にも優れる粉末化粧料が得られることを見出した。
【0007】
本発明は、(A)水との接触角が100°を超える非水吸着性のフッ素処理無機体質顔料又はフッ素処理無機着色料と、(B)水との接触角が100°以下である非水吸着性のシリコーン処理無機体質顔料、フッ素処理有機体質顔料又は未処理有機体質顔料とからなり、(A)と(B)の重量比(A):(B)が95:5〜50:50であり全体としての水との接触角が100°以上である粉体成分25〜60重量%、及び水35〜70重量%を含有する粉末化粧料を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる粉体成分は、水との接触角が100°を超え、非水吸着性である粉体(A)と、水との接触角が100°以下で、非水吸着性である粉体(B)とから構成され、かつ両者を混合した全粉体成分としての水との接触角が100°以上となるように選ばれる。
【0009】
これらの粉体における水との接触角とは、粉体を2枚の鏡面板に挟み、100kg/cm2で10秒間圧力をかけてペレットを作り、このペレット上に滴下した水滴とペレットとの接触角をいう。ちなみに、特開平4-308520号公報で使用している撥水度25の粉体は、水との接触角では130°前後に相当する。従って、同公報に開示されている粉体は、粉体全体としての水との接触角は本発明の条件を満たすが、接触角100°以下である粉体(B)は含有しない。本発明の粉末化粧料は、この接触角100°以下の粉体(B)を組合わせて用いることにより、優れた感触と肌への密着感を発揮するものである。
【0010】
また、前記特開昭58-39609号公報、特開平5-65212号公報等で用いている疎水化無水ケイ酸は、それ自身が水を吸着して粉末化するという性質を有する点で、本発明で用いる非水吸着性粉体と相違する。なお、本発明にいう「非水吸着性」とは、JIS K6221-1982の粉体の吸油量試験(6.1.2 A法)に準じて測定したときの50v/v%エタノール水溶液の吸着量が150ml/100g以下であることをいう。上記疎水化無水ケイ酸の場合、50v/v%エタノール水溶液の吸着量は、種類にもよるが、一般に400ml/100g以上である。従って、両化粧料における水の存在状態はまったく異なるものであり、疎水化無水ケイ酸を用いた化粧料では水は粉体表面に吸着されているのに対し、本発明の化粧料では水は粉体と粉体との間に分散された状態で存在していると思われる。このため、特開平5-65212号公報等に記載の化粧料は塗布時に液化するのに対し、本発明の化粧料は、液化することなく清涼感を発揮するものである。
【0011】
粉体(A)の水との接触角は100°超であるが、110°以上であることがより好ましい。粉体(A)としては、化粧料用粉体をメチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、メチルポリシロキサン、環状メチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等によるシリコーン処理、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルコール等によるフッ素処理、N-アシルグルタミン酸等によるアミノ酸処理、その他レシチン処理、金属石鹸処理、脂肪酸処理、アルキルリン酸エステル処理等を施したものが挙げられる。
【0012】
表面処理される化粧料用粉体としては、その原料粉体自体が非水吸着性であることが好ましく、例えばタルク、セリサイト、マイカ、カオリン等の無機体質顔料;ナイロン、ポリエチレン、シルクパウダー等の有機体質顔料;酸化チタン、酸化亜鉛、群青、酸化クロム、酸化鉄等の無機着色料;有機タール系色素、レーキ等の有機着色料;及び二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母等の複合化顔料等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】
粉体(B)の水との接触角は、100°以下であるが、95°以下であることがより好ましい。粉体(B)としては、例えば粉体(A)の原料粉体として挙げた未処理の化粧料用粉体の中から、上記条件に適合するものを選択して用いることができる。
【0014】
粉体(A)と粉体(B)の使用比率は、それぞれの粉体の水との接触角によっても異なり特に限定されるものではなく、両者を混合したときに全体として水との接触角が100°以上となるように適宜選択すればよい。ただし、粉体(B)の量が少ないと肌への密着性や感触に劣るものとなるため、粉体(B)は全粉体中の5重量%以上、特に10重量%以上使用するのが好ましい。一方、粉体(B)の量が多すぎると肌に塗布したときののびが悪くなるため、粉体(B)は全粉体中の50重量%以下、特に30重量%以下とするのが好ましい。すなわち、両粉体の重量比(A):(B)は、95:5〜50:50、特に90:10〜70:30が好ましい。
【0015】
本発明の粉末化粧料への全粉体成分及び水の配合量は、肌に十分な清涼感を与えるとともに、粉体と水との分散状態、すなわちサラサラとした粉末としての状態を安定に維持する観点から決定されるものであり、粉体成分は25〜60重量%、水は35〜70重量%である。より好ましい配合量としては、粉体成分が30〜50重量%、水が45〜65重量%である。
【0016】
本発明の粉末化粧料中には、更に(C)成分として少量の油分を配合することにより、粉体の肌への密着感やしっとり感を向上することができる。(C)成分の配合量は、本発明の粉末化粧料中に0.1〜5重量%、特に0.5〜4重量%の範囲が好ましい。
【0017】
油分としては、例えば流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン、ミツロウ、カルナウバロウ、オリーブ油、ラノリン、高級アルコール、脂肪酸、高級脂肪酸、エステル油、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、キャンデリラロウ、ジグリセライド、トリグリセライド、シリコーン油、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン、ホホバ油、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール等の一般に化粧品に汎用される油分が用いられる。
【0018】
本発明の粉末化粧料には、上記各成分のほかに、通常の化粧料に配合される成分、例えば界面活性剤、水溶性高分子、保湿剤、防腐剤、薬剤、紫外線吸収剤、色素、無機塩又は有機酸塩、香料、キレート剤、pH調整剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0019】
本発明の粉末化粧料は、常法に従って製造することができ、例えば粉白粉、固形白粉、パウダーファンデーション、頬紅、アイシャドウ、アイブロウ等のメークアップ化粧料などとすることができる。
【0020】
【実施例】
以下に示す実施例において、(1)水と粉末との接触角及び(2)水吸着性は、以下のようにして測定した。
【0021】
(1) 接触角
粉体を10mmφの鏡面板に挟み、100kg/cm2で10秒間圧力をかけてペレットを作り、協和界面科学社製の接触角計(画像処理式)CA-X型により、このペレット上に垂らした水滴とペレットとの接触角を測定した。
【0022】
(2) 水吸着性
JIS K6221-1982 A法に準じた方法により、油の代わりに50v/v%エタノール水溶液を用い、フロンテックス社製の吸油量測定器S-410Dにより測定した。
【0023】
実施例1〜4・比較例1〜5
表1に示す組成の粉末ファンデーションを製造し、その粉末化状態、安定性及び使用感を評価した。この結果を表2に示す。
【0024】
(製法)
粉体成分を混合粉砕し、これに精製水、油剤成分、保湿剤及び防腐剤を混合したものを添加し、ヘンシェルミキサーにて混合する。混合後、得られた混合粉末を容器に充填する。
【0025】
(評価方法)
・粉末化状態
上記の製法に基づいて製造した直後の各化粧料の状態を目視観察する。
【0026】
○:サラサラとした粉末状を呈している。
×:粉体と水とが分離している。
【0027】
・安定性
−15〜60℃の温度幅で1サイクル/日で変化する環境可変室に各化粧料を6日間保存した後の粉末の状態を目視観察する。
【0028】
○:粉体と水とが分離せず、容器を振ると粉体が容易にサラサラと流動する。
×:容器を傾けると水が分離してくる。
【0029】
・使用感
専門パネラー10名により、各粉末ファンデーションを使用した際ののび、つき、べたつきのなさ、清涼感、きしみ感のなさ、仕上がり、化粧持続性(化粧後5時間)及び総合点について、1〜5点の5段階の官能評価を行い、その平均点を求め、以下の基準に従って判定した。
【0030】
◎ :平均点が4.5〜5.0
○ :平均点が3.5〜4.4
△ :平均点が2.5〜3.4
× :平均点が1.5〜2.4
××:平均点が1.0〜1.4
【0031】
【表1】
【0032】
*1:(C6F13CH2CH2O)PO(OH)2 3重量%で被覆したもの。
*2:メチルハイドロジェンポリシロキサン(KF-99,信越化学社製)5重量%で被覆したもの。
*3:成型性が悪いため、ステアリン酸亜鉛を10重量%添加してペレットを作り測定した。
*4:アエロジルR-972(日本アエロジル社製,比表面積110m2/g)
*5:コハク酸2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルグアニジン
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】
本発明の粉末化粧料は、さらさらとした粉末の形態を呈していながら、肌に塗布した際に清涼感が得られ、のび、密着性、化粧持続性にも優れる。
Claims (3)
- (A)水との接触角が100°を超える非水吸着性のフッ素処理無機体質顔料又はフッ素処理無機着色料と、(B)水との接触角が100°以下である非水吸着性のシリコーン処理無機体質顔料、フッ素処理有機体質顔料又は未処理有機体質顔料とからなり、(A)と(B)の重量比(A):(B)が95:5〜50:50であり全体としての水との接触角が100°以上である粉体成分25〜60重量%、及び水35〜70重量%を含有する粉末化粧料。
- 粉体成分の含有量が30〜50重量%であり、水の含有量が45〜70重量%である請求項1記載の粉末化粧料。
- 更に(C)油分0.1〜5重量%を含有するものである請求項1又は2記載の粉末化粧料。
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