JP4536475B2 - 中間転写体 - Google Patents

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Description

本発明は中間転写体に関し、詳しくは、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に内蔵される中間転写体として用いられるものである。
中間転写体を内蔵した画像形成装置で画像が形成される場合、まず、感光ドラム上に静電潜像が形成され、該感光ドラム上にトナーが供給されて、トナー像が形成される。このトナー像は、感光ドラムから中間転写体上に一旦転写され、次いで中間転写体から紙等の被印刷体に転写されて定着される。カラー印刷の場合、ブラック、マゼンダ、シアンおよびイエローの4色のトナー(ブラックを除く3色の場合もある)が順次中間転写体に転写され、これらが被印刷体に転写される。こうして、所望の画像が印刷される。
電子写真方式の画像形成装置では、近年のカラー化に伴う高画質化、高速化の要請を受けて、半導電性の中間転写体が用いられている。トナー像の転写機構上、中間転写体の体積抵抗率は10Ω・cm〜1013Ω・cm程度になるように設計されている。また、従来の紙への印刷に加えて、フィルムやガラスへの印刷も考案されており、さらなる高画質化、高転写性が望まれてきている。
従来の中間転写体は、高画質化、高速化に対応するために複層構造とすることが主流であり、その構造は複雑化し、それに伴って、画像形成装置の製造コストも増大している。
従来の複層構造の中間転写体は、金属シートあるいは樹脂フィルムからなるベース層と、導電性弾性層からなる中間層と、印刷層となる表層の少なくとも3層構造とされている場合が多く、例えば、以下の方法で作製されている。
まず、高剛性材料の前駆体溶液を遠心成形して、基層のシームレスベルトを作成する。ベルトは加熱によりある程度硬化が進んだ段階で成形機から脱型し、別の金型へ装着し、オーブン等を用いて完全硬化させる。次に、中間層の材料をロールコータ、バーコート、スプレーコート、ディップコート等により基層へ塗布し、加熱硬化させる。次いで、静電塗装にて、表層の材料を中間層上へ塗布している。
特開2000−10417号公報(特許文献1)では、導電性弾性層と、導電性補強層と、導電性保護層とを有する複層構造の転写ベルトが提案されている。弾性体層は、転写ベルトの印刷圧と電気抵抗の制御を行い、補強層はその伸びを低減し、保護層はトナーの離型性確保および弾性体層の保護を担う表層である。補強層には、ウレタン樹脂、ウレア樹脂等が用いられ、保護層(表層)には、フッ素樹脂、フッ素樹脂含有塗料等が用いられている。
表層はトナーとの良好な離型性が要求されるものであるため、前記のようにフッ素樹脂が好適に用いられるが、シリコーンゴムが用いられることも多い。シリコーンゴムは、トナーとの離型性に優れる他、弾性、耐熱性にも優れることから、表層として適している。
例えば、特開2004−126380号公報(特許文献2)では、トナーとの良好な離型性を維持しつつ、基層と表層との接着性を良好なものとするために、基層の表面に、自己接着性を有する付加型シリコーンゴムの層を介して、自己接着性を有しない付加型シリコーンゴムの層を形成した印刷用転写体が提案されている。
特開平10−260594号公報(特許文献3)でも、シリコーンゴムを用いた表層を有する中間転写媒体が提案されており、その中間転写媒体は、基層であるベース層上に液状シリコーンゴムを塗布し、硬化させることで製造されている。また、特開2002−284385号公報(特許文献4)では、液状シリコーンゴムと光触媒を含む光触媒層を表層とする原稿搬送ベルトが提案されている。
特開2000−10417号公報 特開2004−126380号公報 特開平10−260594号公報 特開2002−284385号公報
前記のように、画像の高画質化や高速化に対応するために、中間転写体は剛性を保持すると共に導電性を付与するためのベース層と、弾性と抵抗制御を行う中間弾性層と、表面保護とトナー離型性確保のための表層との3層以上の複層構造化する傾向にある。よって、製造工程は煩雑となり、製造コストが高くなる。
そこで、本発明は、高画質、高転写性を確保しつつ、中間転写体の層構成を減らして、製造コストの低減を図ることを課題としている。
従来の中間転写体において、トナーの離型性確保および下層の保護を行う表層には、フッ素樹脂やシリコーンゴムが用いられる。これらは絶縁体であるが、表層の厚みを10μm以下程度とすることで、下部に位置する弾性体層の影響により、電気抵抗の制御がなされている。
本発明では、電気抵抗の制御とトナーの離型性とを両立させるために、液状シリコーン成分に導電性を付与し、これを基層上に塗布し、硬化させることによって、弾性層および表層の両者の機能を兼ねる表面印刷層を設け、該表面印刷層を従来の基層上に設けて2層構造を実現している。
基層には剛性と導電性を付与するため、従来公知の導電剤(カーボンブラック等の電子導電剤あるいは/およびイオン導電剤)が配合された熱硬化性樹脂フィルムや金属フィルムを用い、電気抵抗の制御は表面印刷層で行う構成としている。
具体的には、本発明の中間転写体は、基層と表面印刷層との2層構造とされ、
前記表面印刷層は、電子導電剤を分散させた液状シリコーン成分の硬化物からなり、
前記電子導電剤として鎖状ニッケルからなる金属導電剤を含み、該金属導電剤は前記表面印刷層中で0.1〜2体積%を占める割合で配合されていることを特徴とする中間転写体からなる。
記鎖状ニッケルは、平均粒径が50nm〜200nmのニッケル粉末を連結して、平均長さ1μm〜30μmとされているものが好適に用いられる。
また、前記表面印刷層の表面粗さRzは01μm〜1.0μmと小さくされていることが好ましい。
前記のように、本発明の中間転写体は、弾性体層と表層の二層を形成する代わりに一層の表面印刷層を形成することで、2層構造を実現し、中間転写体の製造コストを低減している。
導電性には、イオン導電性と電子導電性があるが、シリコーンゴムにイオン導電剤を添加すると、層表面にブリードして転写性に悪影響を及ぼすことがある。従って、本発明では電子導電剤が用いられる。電子導電剤には、一般にカーボンブラックが広く用いられているが、本発明では鎖状ニッケルを用いている。
発明の鎖状ニッケルからなる金属導電剤の配合量は、表面印刷層が液状シリコーンゴムとシリコーンオイルとからなる液状シリコーン成分と前記金属導電剤のみからなる場合には、この液状シリコーン成分と金属導電剤の合計に対して0.1〜2.0体積%となる
発明の鎖状ニッケルからなる金属導電剤を配合する場合は、配合量を表面印刷層の0.1〜2.0体積%としている。
れは、鎖状ニッケルでは鎖構造により導電パスが形成しやすくなり、その結果、少量配合するだけで所要の導電性を得られることによる。
発明では、前記金属導電剤の配合量を、該表面印刷層と基層との2層構造の中間転写体の体積抵抗率107〜1013Ω・cmとなる範囲に設定している。
即ち、基層は、カーボンブラック等の電子導電剤あるいはイオン導電剤が配合された熱硬化性樹脂フィルムあるいは金属フィルムからなる導電層とされていると共に、該基層上の前記表面印刷層は電気抵抗の制御層とされ、表面印刷層と基層との2層構造からなる中間転写体の体積抵抗率が1×107Ω・cm〜1×1013Ω・cmとされている。
前記電子導電剤は前記金属導電剤のみから構成することが好ましいが、中間転写体の体積抵抗率が1×10Ω・cm〜1×1013Ω・cmの範囲に達するように、カーボンブラックを配合してもよい。其の場合、カーボンブラックは前記金属導電剤100体積%に対して25体積%以下で配合することが好ましい。
前記のように、カーボンブラックを配合した場合に、その配合量を少量としているのは下記の理由に因る。
表面印刷層の電子導電剤としてカーボンブラックのみとした場合、体積抵抗率10〜1013Ω・cmを達成する量のカーボンブラックを分散させた液状シリコーンゴムを基層上に塗布すると、塗布時に層表面に発生する微少凹凸や微少筋が完全に消えず、液状シリコーンの硬化後も残る。これは、固形分が多くなることから、カーボンブラックを分散させた液状シリコーンゴムの粘度が上がり、その流動性が低下するためと考えられる。
カーボンブラックを分散させた液状シリコーンゴムに、低分子量のシリコーンオイルを添加して、組成物の粘度低下を図っても、要求される体積抵抗率を達成するカーボンブラック量では、満足できる表面性は得られない。
そのため、電子導電剤は前記銀粉末、ニッケル粉末あるいは鎖状ニッケルを主成分とし、カーボンブラックの配合量を少量としている。
また、前記表面印刷層の厚さは100μm〜300μmとされ、該表面印刷層の厚さが前記基層の厚さの1.0〜3.0倍とされていることが好ましい。より好ましくは、基層の厚さを約100μmとし、表面印刷層の厚さを約200μmとして2倍程度としている。
従来の中間転写体では、剛性層を構成する基層の厚さは、表層の厚さに対して10倍以上とされている場合が多いが、本発明では、表面印刷層は、従来の中間弾性層と表層との機能を合わせ持たせ、特に、弾性機能も持たせているため、その厚さを基層の厚さ以上としている。
本発明の中間転写体は、電子写真印刷において、感光ドラム上に形成されたトナー像を転写する中間転写ベルトとして好適に用いられる。
前記中間転写ベルトからなる中間転写体は、円筒状金型の周面に巻き付けられた基層上に、液状シリコーン成分および電子導電剤からなる組成物を塗布し、前記金型を回転させながら前記液状シリコーン成分を硬化させて表面印刷層を形成し、前記金型から前記基層と前記表面印刷層とが一体化した中間転写体を脱型して製造している。
上述したように、本発明の中間転写体は、基層と表面印刷層との2層からなるため、従来の3層以上の複層構造のものに比べて製造コストが低減する。また、表面印刷層は、電子導電剤を分散させた液状シリコーン成分の硬化物からなるため、シリコーン成分によるトナーの離型性が得られ、かつシリコーンゴムのゴム弾性が、転写性に有効に寄与する。
子導電剤に鎖状ニッケルを用いる、要求される体積抵抗率を達成し、かつ鏡面のような良好な表面性を有し、適度な離型性と弾性を兼ね備えた表面印刷層の設計が可能となる。
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1(A)(B)に示すように、本発明の中間転写体1は、基層2と表面印刷層3との2層構造の中間転写ベルトからなる。基層2の厚さT1に対して表面印刷層3の厚さT2を1〜3倍としている。本実施形態では基層2の厚さT1は100μm、表面印刷層3の厚さT2を200μmとして、T2をT1の2倍としている。
前記表面印刷層3は、参考第1実施形態では、銀粉末あるいは/およびニッケル粉末からなる電子導電剤を分散させた液状シリコーン成分の硬化物からなる。前記電子導電剤は、該硬化物からなる表面印刷層中に10.0〜25.0体積%配合している。
電子導電剤の配合量を上記範囲とすることにより、中間転写体の体積抵抗率を107Ω・cm〜1013Ω・cmの範囲に設定するためであり、10体積%未満では、中間転写体1の導電性が不足して体積抵抗率が高くなりすぎる一方、25体積%を超えると、体積抵抗率が低くなりすぎ、表面性もわるくなり、転写性に不具合が生じることによる。
なお、銀粉末もしくは/およびニッケル粉末と共に、少量のカーボンブラックとを併用してもよいが、その場合においても、中間転写体1の体積抵抗率を10Ω・cm〜1013Ω・cmの範囲となるように配合している。該カーボンブラックの量は、電子導電剤全体の25体積%以下としていることが好ましい。
前記銀粉末、ニッケル粉末の平均粒径は100nm〜1000nmとしている。好ましくは300nm〜800nmである。
前記銀粉末あるいは/およびニッケル粉末は、液状シリコーンゴムとシリコーンオイルとからなる液状シリコーン成分中に分散して配合し、これを基層2の表面に塗布し、硬化させて設けている。
前記のように、液状シリコーンゴムには、粘度を下げてレベリング性(表面の平滑化)を確保するために、シリコーンオイルを配合している。ただし、シリコーンオイルは、液状シリコーンゴムの40体積%以下とすることが望ましい。シリコーンオイルの割合が多すぎると、オイルが層表面にブリードして、良好な転写性が得られなくなったり、液状シリコーンゴムの硬化が阻害されたりすることがある。
シリコーンゴムは、液状シリコーンゴムと混練可能なミラブル型シリコーンゴムとに大別されるが、本発明では液状シリコーンゴムが用いられる。
通常、液状シリコーンゴムを基層上に塗布すると、液状シリコーンゴムの硬化とともに、経時的に塗布層の表面がレベリングして平滑面が得られる。
一方、ミラブル型シリコーンゴムの場合、硬化後に、厚みおよび表面性を制御するために研磨しなければならず、表面印刷層の表面粗さも粗くなる。高画質化の要請のため、トナー径は現在5μm程度となっており、中間転写体の表面はトナー径以下の表面性を有することが望まれる。以上のような理由で、シリコーンゴムとしては、硬化後に研磨を必要としない液状シリコーンゴムを用いている。
前記液状シリコーンゴムには、1液性重縮合型、2液性付加重合型等があり、いずれを用いてもよい。ただし、重縮合型シリコーンゴムは、硬化に伴い副生物を生じることから、表面印刷層の表面粗さの制御に工夫を要する。従って、付加重合型のシリコーンゴムを用いることが好ましい。液状シリコーンゴムを構成するオルガノポリシロキサン骨格の有機基は特に限定されないが、例えばメチル基、フェニル基、ビニル基、含フッ素アルキル基等が挙げられる。
2液性付加重合型の液状シリコーンゴムは、ビニル基等の官能基を含むシリコーンと、ヒドロシリル基(−SiH)等の官能基を含むシリコーンとの組み合わせからなることが多いが、これには限定されない。ビニル基を含むシリコーンと、ヒドロシリル基を含むシリコーンとを混合し、必要に応じて触媒等を添加すると、ヒドロシリル化反応が起こり、硬化したシリコーンゴムが得られる。
2液性付加重合型のシリコーンゴムの具体例として、例えば信越化学工業(株)製の室温硬化型(RTV型)のシリコーンゴム、GE東芝シリコーン(株)製の加熱硬化型のシリコーンゴム等を挙げることができる。
前記銀粉末あるいは/およびニッケル粉末からなる電子導電剤を分散させた液状シリコーン成分の硬化物からなる表面印刷層3の厚みT2は、100μm〜300μmが好ましく、150μm〜250μmが更に好ましい。表面印刷層の厚みが、100μmよりも薄いと、弾性が低下すると共にレベリング性に影響し、300μmを超えると、中間転写体の比熱が増大して、転写速度の低下につながることがある。本実施形態では前記したように、200μmとしている。
前記基層2は、従来公知の導電剤(カーボンブラック等の電子導電剤あるいは/およびイオン導電剤)が配合された熱硬化性樹脂フィルムあるいは金属フィルムで構成している。本実施形態ではポリアミドイミドにカーボンブラックを配合して形成している。
なお、前記ポリアミドイミドに限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリイミド等を用いてもよい。また、ニッケル、アルミニウム、ステンレス鋼等からなる金属フィルムを用いてもよい。
中間転写体1の体積抵抗率は、表面印刷層3の導電性により制御しているため、基層2の体積抵抗率は表面印刷層3の体積抵抗率よりも低く設定している。
また、基層2の厚みT1は、50μm〜300μmが好ましく、50μmより薄いと、中間転写体の強度が不足することがあり、300μmより厚いと中間転写体の比熱が増大して、転写速度の低下につながることがある。
前記したように、基層2の厚さT1に対して表面印刷層3の厚さT2を1〜3倍としており、本実施形態では基層2の厚さを100μmとしている。
以下に、前記中間転写体の製造方法を説明する。
ポリアミドイミド前駆体溶液にカーボンブラックを添加して分散させ、必要に応じて粉体の分散剤、レベリング剤等を添加してカーボン分散ワニスを作製する。該ワニスを円筒状金型の表面に塗工し、液ダレ防止のために金型を回転させながらオーブン等で加熱し、硬化して、シームレスベルト状の基層2を得る。
ついで、前記銀粉末あるいは/および銀粉末を分散させた液状シリコーン成分を、前記円筒状金型の周面に巻き付けられている基層上に塗布し、液ダレ防止のために金型を回転させながら液状シリコーン成分を硬化させて、表面印刷層3を形成している。
基層2には、表面印刷層3を形成する前に、基層2と表面印刷層3との接着性を向上させるために、プライマーを塗布することが好ましい。
なお、前記基層2上に電子導電剤を分散させた液状シリコーン成分を塗布する方法としては、例えば、ディスペンサ、ナイフコータ、ロールコータ等を用いる方法が挙げられるが、前記したように、円筒状金型を用いて基層2を形成し、つづいて、該基層2の表面に、前記電子導電剤を分散させた液状シリコーン成分を塗布し、金型を低速で回転させながら液状シリコーンゴムを硬化させること、シリコーン成分のレベリングと硬化とが同時に進行するため好ましい。
シリコーンゴムの硬化後、基層と表面印刷層とが一体化したベルトを金型から取り外すことで、中間転写体1を得る。表面印刷層3のレベリングが速い場合には、加熱によりシリコーンゴムの硬化を促進しても良く、その場合、より効率的に中間転写体を得ることができる。硬化温度は200℃以下が好ましく、150℃以下が更に好ましい。
本発明の実施形態の中間転写体は、参考実施形態と同様な基層と表面印刷層とからなる2層構造の中間転写ベルトからなる。参考実施形態との相違点は、電子導電剤として、鎖状ニッケルを用い、その配合量を表面印刷層中で0.1〜2.0体積%としている点である。
前記鎖状ニッケルは、平均粒径が50nm〜200nmのニッケル粉末を連結して、平均長さ1μm〜30μmとしたものを用いている。
前記鎖状ニッケルを用いた場合は、導電パスが形成されやすく、参考実施形態のニッケル粉末と比較して導電性が高くなるため、その合量を前記したように、0.1〜2体積%、としている。該配合量とすることで、中間転写体の体積抵抗率を107Ω・cm〜1013Ω・cmとすることができ、0.1体積%未満では、中間転写体の導電性が不足して体積抵抗率が高くなりすぎ、2体積%を超えると、体積抵抗率が低くなりすぎる。鎖状ニッケルは、極少量を液状シリコーン成分に添加するだけで良いので、液状シリコーンの流動性が良く、良好な表面性が得られる。
他の構成および製造方法は参考実施形態と同様であるため説明を省略する。
以下、本発明の参考実施形態の参考実施例1〜3とその比較例1〜3、および実施形態の実施例4〜6とその比較例4〜6について詳述する。
参考実施形態)
(i)基層の作製
3本ロールを用いて、ポリアミドイミド前駆体溶液に、カーボンブラックを添加して分散させ、ワニスを調製した。カーボンブラックは、ポリアミドイミド前駆体の100質量部あたり、8.8質量部を添加した。ポリアミドイミド前駆体の溶媒には、NMP(nメチルピロリドン)を用いた。
得られたワニスをディスペンサーにて適量を吐出させて、円筒状金型の周面に塗布し、液ダレ防止のために金型を回転させながらオーブンを用いて加熱硬化させ、基層を得た。基層の厚みは100μmとした。その後、表面印刷層と基層とを接着させるためのシリコーンプライマーを基層表面に薄く塗布した。
シリコーンプライマーには、信越化学工業(株)製の「プライマーNo.4(商品名)」を用いた。
(ii)表面印刷層の作製
各実施例および各比較例の表面印刷層の成分および配合量は下記の表1に示す。表1中、成分量を示す数値の単位は体積%である。
表1中に記載の各成分は以下の通りである。
液状シリコーンゴム:信越化学工業(株)製の「KE1603A、B(商品名)」(室温硬化型の2液性付加重合型の液状シリコーンゴム)
シリコーンオイル:信越化学工業(株)製の「RTVシンナー(商品名)」
ニッケル粉末:三井金属鉱業(株)製のニッケル粉「2020SS(商品名)」、平均粒径500nm
銀粉末:三井金属鉱業(株)製の銀粉「SPQ03(商品名)」、平均粒径600nm
カーボンブラック:三菱化学(株)製の「MA100(商品名)」、平均粒径24nm
参考実施例1)
液状シリコーンゴム(KE1603AとKE1603Bとの合計)67体積部、シリコーンオイル20体積部、銀粉末13体積部を準備した。KE1603Bに銀粉末を添加し、3本ロールを用いて銀粉末を液状シリコーンゴムの一液に分散させた。得られた混合物にKE1603Aおよび粘度を下げるためのシリコーンオイルを加え、高速回転攪拌機にて混合し、表面印刷層用のゴム組成物を得た。
ゴム組成物をディスペンサーにて適量を吐出させて、円筒状金型上の基層の表面上に塗布し、液ダレ防止のために金型を低速回転させながら、常温で放置した。その間に、液状シリコーン成分のレベリングと同時に硬化が進み、平滑な表面を有する表面印刷層が形成された。表面印刷層の厚みは200μmとした。
なお、ここでは常温でシリコーンゴムを硬化させたが、硬化を促進させるために、ヒーター等で加熱してもよい。
シリコーンゴムの硬化後に、基層と表面印刷層とが一体化したベルトを金型から取り外すことで、中間転写体を得た。
参考実施例2〜3および比較例1〜3)
ゴム組成物の配合を表1記載のように変更したこと以外、実施例1と同様にして、参考実施例2〜3および比較例1〜3の中間転写体を得た。
Figure 0004536475
(評価)
上記のように作製した各実施例および各比較例の中間転写体について、下記の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
(体積抵抗率)
JIS−K6911に準拠した(株)ダイヤインスツルメンツ製の測定装置「ハイレスタUP(商品名)」により、URSプローブを使用して、印加電圧250V、印加時間10sの条件で測定した。
(表面粗さ)
表面印刷層の表面粗さを、(株)東京精密製の測定装置「Surfcom570A(商品名)」により、十点平均粗さRzで評価した。
(結果考察)
表1において、電子導電剤としてカーボンブラックを単独で用いた比較例1と比較例2は、いずれも表面粗さが大きくなっている。比較例1の表面粗さは4.8μmと比較的小さいが、導電性が不足して、体積抵抗率が1014Ω・cmを超えていた。比較例2の体積抵抗率は1.3×1012Ω・cmであり、適正値であるが、それだけの体積抵抗値を得るためには表面印刷層の12.8体積%を占めるカーボンブラックが必要であり、表面粗さが15.3μmと大幅に大きくなっていた。これは、多量のカーボンブラックを分散させた液状シリコーンのレベリング性がわるく、表面が平滑化する前に硬化が進んでしまうことによると認められる。
一方、電子導電剤としてニッケル粉末、銀粉末を用いた参考実施例1〜3では、いずれも表面粗さが小さく(1.2〜4.1μm)、良好な表面性が得られた。さらに、体積抵抗率も適正値を示していた(7.4×107〜5.3×1011Ω・cm)。ただし、表面印刷層中に占める電子導電剤の割合が25体積%を超える比較例3(ニッケル粉末:28体積%)では、電子導電剤の割合が13〜23体積%である参考実施例1〜3とは異なって、体積抵抗率が107Ω・cm未満と低くなりすぎており、表面粗さも5.4μmと大きくなっていた。
以上より、中間転写体の表面印刷層には、電子導電剤としてニッケル粉末、銀粉末を用いることが有利であり、それらが表面印刷層中に占める割合は10〜25体積%が好適であることが確認できた。
(実施形態)
各実施例4〜6および各比較例4〜6の表面印刷層の成分および配合量は、下記の表2に示す。表2中、成分量を示す数値の単位は体積%である。
表2中に記載の各成分は以下の通りである。
液状シリコーンゴム:信越化学工業(株)製の「KE1603A、B(商品名)」(室温硬化型の2液性付加重合型の液状シリコーンゴム)
シリコーンオイル:信越化学工業(株)製の「RTVシンナー(商品名)」
鎖状ニッケル:住友電気工業(株)製の鎖状ニッケル粉末、一次粒子の平均粒径50〜100nm、鎖の平均長さ20μm
ニッケル粉末:三井金属鉱業(株)製のニッケル粉「2020SS(商品名)」、平均粒径500nm
(実施例4〜6および比較例4〜6)
ゴム組成物の配合を表2記載のように変更したこと以外、実施例1と同様にして、実施例4〜6および比較例4〜6の中間転写体を得た。
Figure 0004536475
(評価)
上記のように作製した各実施例および各比較例の中間転写体について、実施形態1と同様の測定および評価を行った。その結果を表2に示す。
(結果考察)
表2において、電子導電剤として鎖状ニッケルを用いた実施例4〜6は、いずれも表面粗さが0.4〜0.7μmと極めて小さく、鏡面に近い表面性が得られた。その上、実施例4〜6は、表面印刷層中に占める電子導電剤の割合が0.2〜1.5体積%と微量であるにもかかわらず、体積抵抗率が1.7×10〜1.7×1010Ω・cmと適正値を示していた。
一方、表面印刷層が鎖状ニッケルを含まない比較例4の場合、表面粗さは、実施例4と同じく0.4μmと鏡面に近くなるが、体積抵抗率は実施例4の4桁以上も高くなっていた。また、比較例6は、実施例4〜6に比べて表面印刷層が多量の電子導電剤を含んでいるにもかかわらず、体積抵抗率は実施例4〜6の4桁以上も高くなっていた。
ただし、表面印刷層中に占める鎖状ニッケルの割合が2体積%を超える比較例5(鎖状ニッケル:3体積%)では、鎖状ニッケルの割合が0.2〜1.5体積%である実施例4〜6とは異なって、体積抵抗率が10Ω・cm未満と低くなりすぎていた。
以上より、中間転写体の表面印刷層には、電子導電剤として鎖状ニッケルを用いることが極めて有利であり、それらが表面印刷層中に占める割合は0.1〜2体積%が好適であることが確認できた。
本発明の中間転写体は、例えば電子写真印刷において感光ドラム上に形成されたトナー像を転写するために用いられる。本発明の中間転写体は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に内蔵される。また、本発明の中間転写体は、オンデマンド印刷機、オフセット印刷機等に用いることもできる。
(A)は本発明の実施形態の中間転写体を示す概略斜視図、(B)は一部断面拡大図である。
符号の説明
1 中間転写体
2 基層
3 表面印刷層

Claims (7)

  1. 基層と表面印刷層との2層構造とし、
    前記表面印刷層は、電子導電剤を分散させた液状シリコーン成分の硬化物からなり、
    前記電子導電剤として鎖状ニッケルからなる金属導電剤を含み、該金属導電剤は前記表面印刷層中で0.1〜2体積%を占める割合で配合されていることを特徴とする中間転写体。
  2. 前記鎖状ニッケルは、平均粒径が50nm〜200nmのニッケル粉末を連結して、平均長さ1μm〜30μmとされている請求項1記載の中間転写体。
  3. 前記電子導電剤は前記金属導電剤のみからなり、あるいは該金属導電剤とカーボンブラックとからなると共に該カーボンブラックは前記金属導電剤100体積%に対して25体積%以下で配合している請求項1または請求項2に記載の中間転写体。
  4. 前記基層は、カーボンブラック等の電子導電剤あるいはイオン導電剤が配合された熱硬化性樹脂フィルムあるいは金属フィルムからなる導電層とされていると共に、該基層上の前記表面印刷層は電気抵抗の制御層とされ、
    体積抵抗率が1×10 7 Ω・cm〜1×10 13 Ω・cmとされている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の中間転写体。
  5. 前記表面印刷層の厚さは100μm〜300μmとされ、該表面印刷層の厚さが前記基層の厚さの1.0〜3.0倍とされ、表面粗さRzが0.4〜0.7とされている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の中間転写体。
  6. 電子写真印刷において、感光ドラム上に形成されたトナー像を転写する中間転写ベルトからなる請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の中間転写体。
  7. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の中間転写体を備えた画像形成装置。
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