JP2006106255A - 中間転写体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基層およびその上に形成された表面印刷層の2層構造とし、表面印刷層は、電子導電剤を分散させた液状シリコーンの硬化物からなる。電子導電剤に銀粉末あるいは/およびニッケル粉末を用いるとき、液状シリコーンと電子導電剤との合計中、電子導電剤の量は10〜25体積%である。電子導電剤に鎖状ニッケルを用いるとき、液状シリコーンと電子導電剤との合計中、電子導電剤の量は0.1〜2体積%である。
【選択図】 図1
Description
従来の複層構造の中間転写体は、金属シートあるいは樹脂フィルムからなるベース層と、導電性弾性層からなる中間層と、印刷層となる表層の少なくとも3層構造とされている場合が多く、例えば、以下の方法で作製されている。
まず、高剛性材料の前駆体溶液を遠心成形して、基層のシームレスベルトを作成する。ベルトは加熱によりある程度硬化が進んだ段階で成形機から脱型し、別の金型へ装着し、オーブン等を用いて完全硬化させる。次に、中間層の材料をロールコータ、バーコート、スプレーコート、ディップコート等により基層へ塗布し、加熱硬化させる。次いで、静電塗装にて、表層の材料を中間層上へ塗布している。
そこで、本発明は、高画質、高転写性を確保しつつ、中間転写体の層構成を減らして、製造コストの低減を図ることを課題としている。
基層には剛性と導電性を付与するため、従来公知の導電剤(カーボンブラック等の電子導電剤あるいは/およびイオン導電剤)が配合された熱硬化性樹脂フィルムや金属フィルムを用い、電気抵抗の制御は表面印刷層で行う構成としている。
前記表面印刷層は、電子導電剤を分散させた液状シリコーン成分の硬化物からなり、
前記電子導電剤として銀粉末あるいは/およびニッケル粉末からなる金属導電剤を含み、該電子導電剤は前記表面印刷層中で10.0〜25.0体積%を占める割合で配合されていることを特徴とする中間転写体からなる。
前記銀粉末、ニッケル粉末の平均粒径は100nm〜1000nmであることが望ましい。
また、前記表面印刷層の表面粗さRzは1μm〜4.5μmと小さくされていることが好ましい。
前記鎖状ニッケルは、平均粒径が50nm〜200nmのニッケル粉末を連結して、平均長さ1μm〜30μmとされているものが好適に用いられる。
また、前記表面印刷層の表面粗さRzは0,1μm〜1.0μmと小さくされていることが好ましい。
導電性には、イオン導電性と電子導電性があるが、シリコーンゴムにイオン導電剤を添加すると、層表面にブリードして転写性に悪影響を及ぼすことがある。従って、本発明では電子導電剤が用いられる。電子導電剤には、一般にカーボンブラックが広く用いられているが、第1の本発明では銀粉末、ニッケル粉末を用い、第2の本発明では鎖状ニッケルを用いている。
一方、第2の発明の鎖状ニッケルからなる金属導電剤を配合する場合は、配合量を表面印刷層の0.1〜2.0体積%としている。
即ち、第2の発明では第1の発明に対して金属導電剤の配合量を1/10と低減している。これは、鎖状ニッケルでは鎖構造により導電パスが形成しやすくなり、その結果、少量配合するだけで所要の導電性を得られることによる。
即ち、基層は、カーボンブラック等の電子導電剤あるいはイオン導電剤が配合された熱硬化性樹脂フィルムあるいは金属フィルムからなる導電層とされていると共に、該基層上の前記表面印刷層は電気抵抗の制御層とされ、表面印刷層と基層との2層構造からなる中間転写体の体積抵抗率が1×107Ω・cm〜1×1013Ω・cmとされている。
表面印刷層の電子導電剤としてカーボンブラックのみとした場合、体積抵抗率107〜1013Ω・cmを達成する量のカーボンブラックを分散させた液状シリコーンゴムを基層上に塗布すると、塗布時に層表面に発生する微少凹凸や微少筋が完全に消えず、液状シリコーンの硬化後も残る。これは、固形分が多くなることから、カーボンブラックを分散させた液状シリコーンゴムの粘度が上がり、その流動性が低下するためと考えられる。
カーボンブラックを分散させた液状シリコーンゴムに、低分子量のシリコーンオイルを添加して、組成物の粘度低下を図っても、要求される体積抵抗率を達成するカーボンブラック量では、満足できる表面性は得られない。
そのため、電子導電剤は前記銀粉末、ニッケル粉末あるいは鎖状ニッケルを主成分とし、カーボンブラックの配合量を少量としている。
従来の中間転写体では、剛性層を構成する基層の厚さは、表層の厚さに対して10倍以上とされている場合が多いが、本発明では、表面印刷層は、従来の中間弾性層と表層との機能を合わせ持たせ、特に、弾性機能も持たせているため、その厚さを基層の厚さ以上としている。
前記中間転写ベルトからなる中間転写体は、円筒状金型の周面に巻き付けられた基層上に、液状シリコーン成分および電子導電剤からなる組成物を塗布し、前記金型を回転させながら前記液状シリコーン成分を硬化させて表面印刷層を形成し、前記金型から前記基層と前記表面印刷層とが一体化した中間転写体を脱型して製造している。
また、電子導電剤に鎖状ニッケルを用いる場合には、要求される体積抵抗率を達成し、かつ鏡面のような良好な表面性を有し、適度な離型性と弾性を兼ね備えた表面印刷層の設計が可能となる。
図1(A)(B)に示すように、本発明の中間転写体1は、基層2と表面印刷層3との2層構造の中間転写ベルトからなる。基層2の厚さT1に対して表面印刷層3の厚さT2を1〜3倍としている。本実施形態では基層2の厚さT1は100μm、表面印刷層3の厚さT2を200μmとして、T2をT1の2倍としている。
電子導電剤の配合量を上記範囲とすることにより、中間転写体の体積抵抗率を107Ω・cm〜1013Ω・cmの範囲に設定するためであり、10体積%未満では、中間転写体1の導電性が不足して体積抵抗率が高くなりすぎる一方、25体積%を超えると、体積抵抗率が低くなりすぎ、表面性もわるくなり、転写性に不具合が生じることによる。
前記のように、液状シリコーンゴムには、粘度を下げてレベリング性(表面の平滑化)を確保するために、シリコーンオイルを配合している。ただし、シリコーンオイルは、液状シリコーンゴムの40体積%以下とすることが望ましい。シリコーンオイルの割合が多すぎると、オイルが層表面にブリードして、良好な転写性が得られなくなったり、液状シリコーンゴムの硬化が阻害されたりすることがある。
通常、液状シリコーンゴムを基層上に塗布すると、液状シリコーンゴムの硬化とともに、経時的に塗布層の表面がレベリングして平滑面が得られる。
一方、ミラブル型シリコーンゴムの場合、硬化後に、厚みおよび表面性を制御するために研磨しなければならず、表面印刷層の表面粗さも粗くなる。高画質化の要請のため、トナー径は現在5μm程度となっており、中間転写体の表面はトナー径以下の表面性を有することが望まれる。以上のような理由で、シリコーンゴムとしては、硬化後に研磨を必要としない液状シリコーンゴムを用いている。
2液性付加重合型のシリコーンゴムの具体例として、例えば信越化学工業(株)製の室温硬化型(RTV型)のシリコーンゴム、GE東芝シリコーン(株)製の加熱硬化型のシリコーンゴム等を挙げることができる。
なお、前記ポリアミドイミドに限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリイミド等を用いてもよい。また、ニッケル、アルミニウム、ステンレス鋼等からなる金属フィルムを用いてもよい。
前記したように、基層2の厚さT1に対して表面印刷層3の厚さT2を1〜3倍としており、本実施形態では基層2の厚さを100μmとしている。
ポリアミドイミド前駆体溶液にカーボンブラックを添加して分散させ、必要に応じて粉体の分散剤、レベリング剤等を添加してカーボン分散ワニスを作製する。該ワニスを円筒状金型の表面に塗工し、液ダレ防止のために金型を回転させながらオーブン等で加熱し、硬化して、シームレスベルト状の基層2を得る。
ついで、前記銀粉末あるいは/および銀粉末を分散させた液状シリコーン成分を、前記円筒状金型の周面に巻き付けられている基層上に塗布し、液ダレ防止のために金型を回転させながら液状シリコーン成分を硬化させて、表面印刷層3を形成している。
(i)基層の作製
3本ロールを用いて、ポリアミドイミド前駆体溶液に、カーボンブラックを添加して分散させ、ワニスを調製した。カーボンブラックは、ポリアミドイミド前駆体の100質量部あたり、8.8質量部を添加した。ポリアミドイミド前駆体の溶媒には、NMP(nメチルスピロリドン)を用いた。
シリコーンプライマーには、信越化学工業(株)製の「プライマーNo.4(商品名)」を用いた。
各実施例および各比較例の表面印刷層の成分および配合量は下記の表1に示す。表1中、成分量を示す数値の単位は体積%である。
液状シリコーンゴム:信越化学工業(株)製の「KE1603A、B(商品名)」(室温硬化型の2液性付加重合型の液状シリコーンゴム)
シリコーンオイル:信越化学工業(株)製の「RTVシンナー(商品名)」
ニッケル粉末:三井金属鉱業(株)製のニッケル粉「2020SS(商品名)」、平均粒径500nm
銀粉末:三井金属鉱業(株)製の銀粉「SPQ03(商品名)」、平均粒径600nm
カーボンブラック:三菱化学(株)製の「MA100(商品名)」、平均粒径24nm
液状シリコーンゴム(KE1603AとKE1603Bとの合計)67体積部、シリコーンオイル20体積部、銀粉末13体積部を準備した。KE1603Bに銀粉末を添加し、3本ロールを用いて銀粉末を液状シリコーンゴムの一液に分散させた。得られた混合物にKE1603Aおよび粘度を下げるためのシリコーンオイルを加え、高速回転攪拌機にて混合し、表面印刷層用のゴム組成物を得た。
なお、ここでは常温でシリコーンゴムを硬化させたが、硬化を促進させるために、ヒーター等で加熱してもよい。
シリコーンゴムの硬化後に、基層と表面印刷層とが一体化したベルトを金型から取り外すことで、中間転写体を得た。
ゴム組成物の配合を表1記載のように変更したこと以外、実施例1と同様にして、実施例2〜3および比較例1〜3の中間転写体を得た。
上記のように作製した各実施例および各比較例の中間転写体について、下記の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
JIS−K6911に準拠した(株)ダイヤインスツルメンツ製の測定装置「ハイレスタUP(商品名)」により、URSプローブを使用して、印加電圧250V、印加時間10sの条件で測定した。
表面印刷層の表面粗さを、(株)東京精密製の測定装置「Surfcom570A(商品名)」により、十点平均粗さRzで評価した。
表1において、電子導電剤としてカーボンブラックを単独で用いた比較例1と比較例2は、いずれも表面粗さが大きくなっている。比較例1の表面粗さは4.8μmと比較的小さいが、導電性が不足して、体積抵抗率が1014Ω・cmを超えていた。比較例2の体積抵抗率は1.3×1012Ω・cmであり、適正値であるが、それだけの体積抵抗値を得るためには表面印刷層の12.8体積%を占めるカーボンブラックが必要であり、表面粗さが15.3μmと大幅に大きくなっていた。これは、多量のカーボンブラックを分散させた液状シリコーンのレベリング性がわるく、表面が平滑化する前に硬化が進んでしまうことによると認められる。
各実施例4〜6および各比較例4〜6の表面印刷層の成分および配合量は、下記の表2に示す。表2中、成分量を示す数値の単位は体積%である。
液状シリコーンゴム:信越化学工業(株)製の「KE1603A、B(商品名)」(室温硬化型の2液性付加重合型の液状シリコーンゴム)
シリコーンオイル:信越化学工業(株)製の「RTVシンナー(商品名)」
鎖状ニッケル:住友電気工業(株)製の鎖状ニッケル粉末、一次粒子の平均粒径50〜100nm、鎖の平均長さ20μm
ニッケル粉末:三井金属鉱業(株)製のニッケル粉「2020SS(商品名)」、平均粒径500nm
ゴム組成物の配合を表2記載のように変更したこと以外、実施例1と同様にして、実施例4〜6および比較例4〜6の中間転写体を得た。
上記のように作製した各実施例および各比較例の中間転写体について、実施形態1と同様の測定および評価を行った。その結果を表2に示す。
表2において、電子導電剤として鎖状ニッケルを用いた実施例4〜6は、いずれも表面粗さが0.4〜0.7μmと極めて小さく、鏡面に近い表面性が得られた。その上、実施例4〜6は、表面印刷層中に占める電子導電剤の割合が0.2〜1.5体積%と微量であるにもかかわらず、体積抵抗率が1.7×107〜1.7×1010Ω・cmと適正値を示していた。
2 基層
3 表面印刷層
Claims (9)
- 基層と表面印刷層との2層構造とされ、
前記表面印刷層は、電子導電剤を分散させた液状シリコーン成分の硬化物からなり、
前記電子導電剤として銀粉末あるいは/およびニッケル粉末からなる金属導電剤を含み、該金属導電剤は前記表面印刷層中で10.0〜25.0体積%を占める割合で配合されていることを特徴とする中間転写体。 - 前記銀粉末あるいは/およびニッケル粉末の平均粒径は、100nm〜1000nmとされている請求項1記載の中間転写体。
- 基層と表面印刷層との2層構造とし、
前記表面印刷層は、電子導電剤を分散させた液状シリコーン成分の硬化物からなり、
前記電子導電剤として鎖状ニッケルからなる金属導電剤を含み、該金属導電剤は前記表面印刷層中で0.1〜2体積%を占める割合で配合されていることを特徴とする中間転写体。 - 前記鎖状ニッケルは、平均粒径が50nm〜200nmのニッケル粉末を連結して、平均長さ1μm〜30μmとされている請求項3に記載の中間転写体。
- 前記電子導電剤は前記金属導電剤のみからなり、あるいは該金属導電剤とカーボンブラックとからなると共に該カーボンブラックは前記金属導電剤100体積%に対して25体積%以下で配合している請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の中間転写体。
- 前記基層は、カーボンブラック等の電子導電剤あるいはイオン導電剤が配合された熱硬化性樹脂フィルムあるいは金属フィルムからなる導電層とされていると共に、該基層上の前記表面印刷層は電気抵抗の制御層とされ、
体積抵抗率が1×107Ω・cm〜1×1013Ω・cmとされている請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の中間転写体。 - 前記表面印刷層の厚さは100μm〜300μmとされ、該表面印刷層の厚さが前記基層の厚さの1.0〜3.0倍とされている請求項1乃至請求項6に記載の中間転写体。
- 電子写真印刷において、感光ドラム上に形成されたトナー像を転写する中間転写ベルトからなる請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の中間転写体。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の中間転写体を備えた画像形成装置。
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