JP4536230B2 - 土壌病虫害防除剤および土壌病虫害防除法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、土壌病虫害防除剤および土壌病虫害防除法に関する。さらに詳しくは、簡便で、安全性が高く、かつ自然環境に悪影響を及ぼすことのない土壌病虫害防除剤および土壌病虫害防除法に関する。
【0002】
【従来の技術】
農業生産においては、限られた耕地で最大限の収穫をあげるため、同一の土壌に同一作物を連作し続けている。このため、耕地の土壌に棲息する微生物相のバランスが崩れ、土壌病虫害が多発している。そこで、この土壌病虫害を防除するために、農作物の作付け前に、土壌消毒が行われている。
【0003】
この土壌消毒には、通常、臭化メチルやクロールピクリンなどの人体に対して毒性の強いガス剤が用いられている。土壌消毒剤として臭化メチルやクロールピクリンが用いられているのは、これら化合物が卓越した殺菌殺虫力を有しているからである。したがって、耕作土壌をこれらガス剤で処理すると、土壌病虫害を引き起こす病原性微生物群を殺すだけに止まらず、土壌に棲息する有用微生物群をも殺してしまう。このように、耕作土壌中の微生物を完全に殺すと、土壌消毒の効力消滅後に、土壌に混入してきた病原性微生物の大増殖を招くという問題がある。また、臭化メチルは、土壌の消毒に使用後、大気中に拡散してオゾン層の破壊を招くおそれのある物質であることから、これに代わる安全性が高く、かつ環境負荷の少ない土壌消毒法の開発が求められている。
【0004】
このような要請から、土壌の太陽熱消毒や熱水消毒、水蒸気消毒が検討されているが、太陽熱だけでは十分な消毒をすることができず、熱水消毒や水蒸気消毒では、移動可能な熱水や水蒸気の発生設備を必要とし、エネルギー消費量も大きいという欠点がある。そこで、多大なエネルギーを消費することなく土壌消毒する方法として、微生物の有する機能を利用した、安全で環境負荷の少ない土壌病虫害防除法が検討されている。例えば、特開平7−227293号公報においては、土壌病虫害に拮抗作用を有するグリオトキシン(Gliotoxin)の生産能を有するグリオクラディウム・ビレンス(Gliocladium virens)種の菌を固体培養して、その固体培養物からグリオトキシンを抽出することからなるグリオトキシンの生産方法を提案している。しかしながら、このグリオクラディウム・ビレンス種の菌においても、その菌株によってグリオトキシンの生産性が大幅に変動するという難点がある。
【0005】
このようなことから、グリオトキシンを多量にしかも安定して生産し得る微生物を利用することにより、安全で環境負荷の少ない土壌病虫害防除剤および土壌病虫害防除法の開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、簡便で、安全性が高く、かつ自然環境に悪影響を及ぼすことなく、土壌病虫害を防除することのできる土壌病虫害防除剤および土壌病虫害防除法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するため、種々探索を重ねた結果、グリオクラディウム・ビレンス(Gliocladium virens)G2〔FERM P−17381〕菌株がグリオトキシンを多量にしかも安定して生産し得ることを見出し、これら知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1) グリオクラディウム・ビレンス(Gliocladium virens)G2〔FERM P−17381〕菌株の培養物を含有する土壌病害防除剤。
(2) グリオクラディウム・ビレンス(Gliocladium virens)G2〔FERM P−17381〕菌株の培養物と増量剤および栄養源の混合物からなる土壌病害防除剤。
(3) 栄養源が、グルコース、硫酸アンモニウム、大豆粉、フスマおよび小麦粉の群から選択される1種または2種以上の物質である前記(2)に記載の土壌病害防除剤。
(4) 土壌病害が、糸状菌、細菌、線虫、線虫媒介ウィルスまたは微生物媒介ウィルスにより発生する土壌病害である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の土壌病害防除剤。
(5) グリオクラディウム・ビレンス(Gliocladium virens)G2〔FERM P−17381〕菌株の培養物を用いることを特徴とする土壌病害防除法。
(6) グリオクラディウム・ビレンス(Gliocladium virens)G2〔FERM P−17381〕菌株の培養物と増量剤および栄養源の混合物を用いることを特徴とする土壌病害防除法。
(7) 栄養源が、グルコース、硫酸アンモニウム、大豆粉、フスマおよび小麦粉の群から選択される1種または2種以上の物質である前記(6)に記載の土壌病害防除法。
(8) 土壌病害が、糸状菌、細菌、線虫、線虫媒介ウィルスまたは微生物媒介ウィルスにより発生する土壌病害である前記(5)〜(7)のいずれかに記載の土壌病害防除法。
(9) 土壌が、作付け前の本圃土壌または移植前の育苗培土である前記(5)〜(8)のいずれかに記載の土壌病害防除法。
(10)グリオクラディウム・ビレンス(Gliocladium virens)G2〔FERMP−17381〕菌株。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の土壌病虫害防除剤は、グリオクラディウム・ビレンス(Gliocladium virens)G2〔FERM P−17381〕菌株〔以下、グリオクラディウム・ビレンスG2菌株と略称する。〕の培養物を含有する土壌病虫害防除剤である。
【0010】
このグリオクラディウム・ビレンスG2菌株の形態学的性質は、グリオクラディウム・ビレンス種に特有の形態学的性質を有している。すなわち、その分生子柄は、無色、直立、単純または分岐した形態を有し、その高さが、60〜150μmである。そして、一次分岐metulaは、輪生または対生で、その長さが6〜15μmであり、その最先端のフィアライド上に、分生胞子塊を形成している。この分生胞子は、淡緑色であり、集合体は暗緑色で、広楕円形または亜球形をなし、単胞で一端がやや突出しており、その大きさは、2〜5×2〜4μmである。さらに、厚膜胞子は、球形または亜球形であり、その直径が7〜12μmである。
【0011】
そして、このグリオクラディウム・ビレンスG2菌株の培養方法については、通常の微生物の培養方法と同様の方法により培養することができる。具体的には、往復動式振盪培養、ジャーファメンター培養などによる液体培養法や、固体培養法によることができる。この培養に際して用いる培地成分としては、特に制約はなく、炭素源としてグルコース、シュークロース、糖蜜などの糖類、クエン酸などの有機酸類、グリセリンなどのアルコール類、また窒素源としてアンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどのアンモニウム塩や硝酸塩が用いられる。また、有機窒素源としては、酵母エキス、コーン・スティープ・リカー、肉エキス、小麦胚芽、ポリペプトン、大豆粉などが用いられる。さらに、無機塩類として、リン酸、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸マンガン、硫酸第1鉄などを用いることができる。
【0012】
また、培養条件は、通気攪拌や振盪培養などの好気的条件下で行われる液体培養や固体培養が望ましく、培養温度は、10〜37℃の範囲が好ましく、15〜32℃がより好ましい。そして、培養期間は、1〜14日間、好ましくは2〜7日間である。さらに、大量培養する場合には、タンク培養などの通常の液体培養でもよいし、また、フスマなどの植物由来の固体成分、糖類や窒素源を含浸させた多孔質体などを用いた固体培養を採用してもよい。
【0013】
このようにして培養で得られた培養物は、そのまま用いることもできるが、培養物を培地とともに粉砕または細断して用いてもよい。また、培養物中の培地から菌体をかき取って用いてもよいし、この培養物の遠心分離により菌体を分離して用いてもよい。さらに、ここで回収した培養物の粉砕物や菌体は、自然乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥などにより乾燥粉末として用いるのがよい。この乾燥粉末は、水分含有量が20質量%以下であるものが好ましく、粒径は5mm以下であるものが好ましい。
【0014】
このようにして得られるグリオクラディウム・ビレンスG2菌株の培養物や、その粉砕物あるいはその乾燥粉末をそのまま土壌病虫害防除剤として用いることもできるが、さらに、この培養物に増量剤および栄養源を配合して、これらの混合剤の形態で用いるのが好ましい。
【0015】
ここで用いる増量剤としては、カオリンクレー、パイロフェライトクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、珪藻土、合成含水酸化珪素、酸性白土、タルク類、粘土、セラミック、石英、セリサイト、バーミキュライト、パーライト、大谷石、アンスラ石、石灰石、石炭灰、ゼオライト、アタパルジャイトなどの鉱物質微粉末が好適に用いられる。
【0016】
また、栄養源としては、籾殻、フスマ、カニ殻、エビ殻、オキアミ微粉末、米糠、小麦粉、トウモロコシ穂軸、落花生殻、骨粉、魚粉、粕粉、鋸屑、木粉、炭、くん炭、バーク炭、籾殻くん炭、草木灰、ピートモス、草炭、乾燥畜糞、活性炭、油粕、脱脂大豆粉、全脂大豆粉などの有機物微粉末が好適に用いられる。
【0017】
つぎに、グリオクラディウム・ビレンスG2菌株の培養物に、増量剤および栄養源を配合した混合物を土壌病虫害防除剤として用いる場合、これら各成分の配合割合については、この培養物の乾燥粉末100質量部に対して、増量剤を0〜95質量部、好ましくは5〜90質量部とし、栄養源を1〜99.9質量部、好ましくは5〜99.5質量部とすればよい。
【0018】
また、このグリオクラディウム・ビレンスG2菌株の培養物に増量剤や栄養源を配合して製剤する際には、液体担体を用いることができる。この液体担体としては、水、植物油、液体動物油、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸などの水溶性高分子化合物が用いられる。さらに、必要に応じて、デンプンの加水分解物やD−ソルビトール、ラクトース、マルチトースなどの可溶性増量剤、カゼインやゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸、ベントナイトなどの固着剤や分散剤、プロピレングリコールやエチレングリコールなどの凍結防止剤、キサンタンガムなどの天然多糖類やポリアクリル酸などの増粘剤を用いてもよい。
【0019】
そして、このグリオクラディウム・ビレンスG2菌株の培養物やこれを有効成分として含有する土壌病虫害防除剤は、その菌濃度が、グリオクラディウム・ビレンスG2菌体のコロニー形成単位において、1×102 〜1×1010cfu/g、好ましくは1×103 〜1×109 cfu/g、さらに好ましくは5×103 〜1×108 cfu/gであるものが好適に用いられる。
【0020】
また、この土壌病虫害防除剤を用いて土壌処理をするにあたっては、作物の播種あるいは苗の植え付け前の本圃土壌や、播種または苗を移植する前の育苗培土に施用するのがよい。また、この土壌病虫害防除剤の施用量は、本圃土壌10アール当たり、10〜300kgとするのがよい。
【0021】
そして、この土壌病虫害防除剤を用いて土壌処理をすることによって防除することのできる土壌病虫害は、糸状菌、細菌、線虫、線虫媒介ウィルス、微生物媒介ウィルスによって、植物の地下部に発生する土壌病虫害の防除に有効に作用する。これら土壌病虫害の中でも、例えば、ウリ科、ナス科、バラ科、マメ科、アブラナ科、ユリ科、キク科、アカザ科、セリ科などに発生する炭そ病、白絹病、根ぐされ病、萎ちょう病、根ぐされ萎ちょう病、萎黄病、つる割れ病、急性萎ちょう病、根こぶ病、苗立枯病、半身萎ちょう病などの土壌病害や、シストセンチュウ、ネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウによって引き起こされる土壌線虫害の防除に特に有効に作用する。
【0022】
【実施例】
つぎに、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
〔実施例1〜13〕
(1)菌株の選定
グリオクラディウム属に属する各種菌株について、それらのグリオトキシンの生産性を評価し、最も有用性の高い菌株を選定した。
【0023】
ここでの評価には、第1表に示す10種の菌株を用いた。これら菌株は、いずれもポテトデキストロース培地中に凍結保存されている種菌を植菌して、28℃において、36時間振盪培養した。得られた培養液は、遠心分離機を用いて、3,000rpm、30分間の条件での遠心分離により沈殿物を除去した後、さらに0.45μmのディスクフィルターでろ過し、培養液上清を得た。
【0024】
つぎに、これら10種の各菌株毎に培養液上清各50ミリリットルを用いて、これらをそれぞれ分液漏斗に入れ、50ミリリットルのクロロホルムを加えて攪拌下にクロロホルムを回収する操作を2回行うことにより、グリオトキシンのクロロホルム溶液を得た。このグリオトキシンのクロロホルム溶液を減圧下に乾固させた後、再び、クロロホルムに溶解させて、ODAカラムを用いたHPLCにより、上清中のグリオトキシンの含有量を測定した。
【0025】
これら結果を第1表に示す。
【0026】
【表1】
第1表に示す結果より、グリオトキシンを最も多量に安定して生産する能力の高いグリオクラディウム・ビレンスG2菌株を選定した。
【0027】
(2)土壌病虫害防除剤の製造
ポテトデキストロース培地中に凍結保存されているグリオクラディウム・ビレンスG2菌株の種菌を植菌して、28℃において、24時間振盪培養した。培養担体として押麦500gを用い、この押麦に、培養液と滅菌水を合わせたもの350ミリリットルを添加した。
【0028】
ついで、縦36cm、横22cm、深さ6cmのトレーに、培養液を加えた押麦を、厚さが約5cmになるように入れた。このトレーの上面には、通気孔を有する蓋をして、28℃で、10日間の静置培養した。この培養期間中は、光が当たる条件において培養し、培養開始から3日目に担体全体をかき混ぜた。
【0029】
培養の終了後、培養物を乾燥トレーに移しかえて、厚さ1cm程度に薄く広げ、表面を濾紙で覆って、30〜35℃の乾燥機により24時間乾燥した。この培養物は、乾燥後に粉砕して、菌乾燥粉末を得た。
【0030】
つぎに、この菌乾燥粉末に、増量剤として乾燥草炭を用い、また栄養源として小麦粉、ふすま、脱脂大豆粉、全脂大豆粉、グルコース、硫安を用いて、これらを第2表に示す割合で配合することにより、土壌病虫害防除剤を製造した。
【0031】
(3)土壌病虫害防除剤のグリオトキシン生産性の評価
モデル土壌として、滅菌した中国産バーミキュライト50gに、上記(2)で製造した土壌病虫害防除剤をそれぞれ5g混和し、滅菌水を加えて水分含有割合が50質量%となるように調整して、バイオポットに充填した。
【0032】
つぎに、このバイオポットを、25℃に保たれているインキュベーター内に静置し、3日後に200ミリリットルのイオン交換水を加えて攪拌した。ついで、これをろ過し、そのろ液50ミリリットルを分液漏斗に移し、クロロホルム50ミリリットルによるグリオトキシン抽出操作を2回行った。得られた抽出液は、乾固した後、0.7ミリリットルのクロロホルムに溶解し、0.45μmのディスクフィルターでろ過した後、HPLC分析により定量した。ここでの分析条件は、ODSカラムを使用し、流速を1ミリリットル/分、検出波長254nmとした。このようにして得られた分析値より、モデル土壌100g当たりのグリオトキシン生産量を算出した。これら結果を第2表に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
(4)リゾクトニア苗立枯れ病の防除試験
土壌病害として、トマトのリゾクトニア菌による苗立枯れ病について、上記(3)における評価で、グリオトキシン生産量の高い土壌病虫害防除剤を選別して、その土壌病虫害防除試験を行った。
フスマで培養したリゾクトニア菌を、滅菌土壌〔サカタ種苗社製;サカタ スーパーミックス〕に混和して、リゾクトニア菌による汚染土壌を製造した。
この汚染土壌に、上記(2)で製造した土壌病虫害防除剤のうち、実施例1、2および4で製造した土壌病虫害防除剤を、それぞれ含有割合が5v/v%となるように混和した区画と、土壌病虫害防除剤を無添加の区画を設定し、これら各区画にトマト〔品種;ハウス桃太郎〕を用いて植物検定を実施した。
【0035】
トマトの種子は、土壌病虫害防除剤を汚染土壌に混和して5日後に播種し、その播種日から14日後に調査をした。そして、健全苗の株数と立枯れ病に罹病した苗の株数を調べて、これらの数から健全株率を算出した。また、この健全株率の土壌病虫害防除剤無添加区画での健苗率に対する指数を、対無処理指数として算出した。これら結果を、第3表に示す。
【0036】
【表3】
【0037】
(5)フザリウムレタス根腐れ病の防除試験
土壌病害として、レタスのフザリウム菌による根腐れ病について、上記(3)における評価で、グリオトキシン生産量の高い土壌病虫害防除剤を選別して、その土壌病虫害防除試験を行った。
汚染土壌として、群馬県のレタス圃場で採取したフザリウム菌汚染土壌を用いた。この汚染土壌1g中のフザリウム菌数を測定した結果、そのコロニー形成単位が3.5×106 cfuであった。
【0038】
この汚染土壌に、上記(2)で製造した土壌病虫害防除剤のうち、実施例1、2および4で製造した土壌病虫害防除剤を、それぞれ含有割合が5v/v%となるように混和した区画と、土壌病虫害防除剤を無添加の区画を設定し、これら各区画にレタス〔品種;パトリオット〕を用いて植物検定を実施した。
【0039】
レタスの種子は、土壌病虫害防除剤を汚染土壌に混和して5日後に播種し、その播種日から3週間後に調査をした。そして、健全苗の株数と根腐れ病に罹病した苗の株数を調べて、これらの数から健苗率を算出した。また、この健苗率の土壌病虫害防除剤無添加区画での健苗率に対する指数を、対無処理指数として算出した。さらに、播種日から3週間後における土壌中に棲息するフザリウム菌数を測定し、その対無処理指数を算出した。これら結果を、第4表に示す。
【0040】
【表4】
【0041】
〔比較例1〜3〕
実施例1〜13の(1)での評価において、グリオトキシンを比較的多く生産する能力を有する公知のATCC31969菌株につき、実施例1〜13と同様の評価試験を実施した。
(1)土壌病虫害防除剤の製造
グリオクラディウム・ビレンスG2菌株に代えて、ATCC31969菌株を用いた他は、実施例1〜13の(2)と同様にして、土壌病虫害防除剤を製造した。その配合比率を第5表に示す。
【0042】
【表5】
【0043】
(2)リゾクトニア苗立枯れ病の防除試験
上記(1)で得られた土壌病虫害防除剤を用いた他は、実施例1〜13の(4)と同様にして、トマトのリゾクトニア苗立枯れ病の防除試験を行った。これら結果を、第6表に示す。
【0044】
【表6】
【0045】
(3)フザリウムレタス根腐れ病の防除試験
上記(1)で得られた土壌病虫害防除剤を用いた他は、実施例1〜13の(5)と同様にして、レタスのフザリウム菌による根腐れ病の防除試験を行った。これら結果を、第7表に示す。
【0046】
【表7】
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、簡便で、安全性が高く、かつ自然環境に悪影響を及ぼすことなく土壌病虫害を防除することのできる土壌病虫害防除剤および土壌病虫害防除法を提供することができる。
Claims (10)
- グリオクラディウム・ビレンス(Gliocladiumvirens)G2〔FERMP−17381〕菌株の培養物を含有する土壌病害防除剤。
- グリオクラディウム・ビレンス(Gliocladiumvirens)G2〔FERMP−17381〕菌株の培養物と増量剤および栄養源の混合物からなる土壌病害防除剤。
- 栄養源が、グルコース、硫酸アンモニウム、大豆粉、フスマおよび小麦粉の群から選択される1種または2種以上の物質である請求項2に記載の土壌病害防除剤。
- 土壌病害が、糸状菌、細菌、線虫、線虫媒介ウィルスまたは微生物媒介ウィルスにより発生する土壌病害である請求項1〜3のいずれかに記載の土壌病害防除剤。
- グリオクラディウム・ビレンス(Gliocladiumvirens)G2〔FERMP−17381〕菌株の培養物を用いることを特徴とする土壌病害防除法。
- グリオクラディウム・ビレンス(Gliocladiumvirens)G2〔FERMP−17381〕菌株の培養物と増量剤および栄養源の混合物を用いることを特徴とする土壌病害防除法。
- 栄養源が、グルコース、硫酸アンモニウム、大豆粉、フスマおよび小麦粉の群から選択される1種または2種以上の物質である請求項6に記載の土壌病害防除法。
- 土壌病害が、糸状菌、細菌、線虫、線虫媒介ウィルスまたは微生物媒介ウィルスにより発生する土壌病害である請求項5〜7のいずれかに記載の土壌病害防除法。
- 土壌が、作付け前の本圃土壌または移植前の育苗培土である請求項5〜8のいずれかに記載の土壌病害防除法。
- グリオクラディウム・ビレンス(Gliocladiumvirens)G2〔FERMP−17381〕菌株。
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