JP4536144B1 - 無土壌面樹木植栽緑化工法 - Google Patents

無土壌面樹木植栽緑化工法 Download PDF

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Abstract

【課題】
屋上等に植栽マット体を用いて植栽緑化を施工する場合、規格品の植栽マット体だけでは難しく、現場で植栽マット体を加工する余分な手間と労務費が掛かる。さらに施工箇所が遠距離の場合、成形物である植栽マット体の運搬費等が嵩み施工単価が割高になっていた。これらの課題を解決の上で、景観上支障となる地上支柱がなくとも強風によって植栽木が倒木することなく、既存の建物屋上にでも高木を交えた庭園型植栽緑化を可能とする植栽緑化工法の開発。
【解決手段】
現地調達の植生基盤土と不織布シート・ラッセルネットシートとを 現場で型枠を用いて現場形状に合わせた植栽マット体を形成し、植栽マット体上の樹木植栽位置に鉄筋・鉄輪・鋼管を用いた樹木固定基礎体を配置し、根鉢部に根鉢補助具を装着した植栽木を樹木固定基礎体に樹木固定具を用いて垂直に固定し、該根鉢部を含め全体に10cm厚程度の覆土をして、全面に張芝を施した無土壌面樹木植栽緑化工法。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリートを打設した屋上床面やアスファルト又はコンクリートで舗装さ
れた無土壌面に植栽マット体を形成し、地上に突出する支柱を使用せず、樹木の大きさを
問わず植栽できる植栽緑化工法に関するものである。
市街地は、都市化が進むにしたがって高層建築が乱立すると共に、地面の多くがアスフ
ァルトやコンクリートによる舗装が行なわれ植物の生育する場所が減少し、草花や樹木類
の植物が少なくなり自然環境が失われている。しかも高層建築物から排出される熱エネル
ギーは、地球温暖化など自然環境を壊す一因となっている。このため、人間社会に癒しや
潤いを与え、生活周辺に自然環境を取り戻すために市街地の緑化が強く要求されている。
そこで、当社が開発した特許文献1の「樹木固定具を用いたコンクリート打設面用の樹
木生育装置とその樹木生育工法」や特許文献2の「樹木系植物の緑化工法と薄型緑化シス
テム」を用いての植栽緑化が普及しつつある。
しかし、特許文献1の工法は、ボックス型植栽箱に樹木固定具を用いて植栽木を固定植
栽する植栽工法で、屋上や店舗前の修景緑化に適しているが、植栽箱を配置する庭園設計
は、従来の庭園造りとしては、自然観に物足りなさがあった。さらに緑化範囲に基礎鉄筋
部と貯水部を設けてあるため、荷重制限が厳しい既存建物への設置は重量的にげんかいが
あった。
また、特許文献2の手法は、薄型植生マット体の表面に、腐食しにくいネット状又は格
子状の抑え体が固定されている緑化対象域に、樹木系植物を植栽し、無土壌面や既存の植
生緑化施工面に草花類及びセダム系植物を植えるだけでなく、樹木を含め簡単に緑化する
ための樹木系植物の緑化工法とそのための薄型システムであるが、樹木と言っても低木植
栽となるため既存建物への設置は可能であったが庭園的な風景に物足りなさがあった。
特許第3416799号 特許第3896360号公報
荷重制限を考慮して屋上等の無土壌面に植栽マット体を用いて植栽緑化を施工する場合に
、一般的に施工域の形状は不整形が多いため、規格品の方形植栽マットだけで緑化範囲を
覆うことが難しいため、現場状況に合わせ植栽マット体を手縫い加工(植栽マット体を切
断すると縫い糸がほどけマット体がバラバラになってしまう。)して、敷設すると余分な手
間と労務費が掛かる。さらに施工箇所が遠距離の場合、成形物である植栽マット体の運搬
費等経費がかさみ施工単価が割高になっていた。これらの課題を解決した上で既存の建物
屋上にでも高木や中低木を交えた庭園型植栽緑化を可能とし、景観上支障となる支柱木が
なくとも、ビル風や風雨などの強風によって植栽木が倒木することなく、自然的な樹木の
景観を保てる植栽緑化工法の開発。
上記課題を解決するため、現地にて植基盤土を調達し、現場にて掛止角が突出している
基本枠と掛止角が通る孔口が形成されている割増型枠に不織布シート、ラッセルネット、
樹脂系ネットを用いて植栽基盤土を現場形状に合せた植栽マット体を形成敷設し、縁廻り
末端部に空間が開く場合には、植栽マット体と端部の間に空いた空間部にラッセルネット
シート、不織布シートの順に敷設し、水で練った植基盤土を覆土し、該不織布シート、
該ラッセルネットシートで包み込み植栽マット体を形成する。また、荷重制限が厳しい既
存の建物屋上への高木や忠低木を交えた庭園型植栽緑化は、荷重の大部分を占める植栽土
壌を5cm厚の植栽マット体及び約10cm厚の盛土により、植物が生育可能な15cm
前後の生育基盤土層として、5cm厚の植栽マット体上に樹木固定基礎体・根鉢補助具・
樹木固定具を用いて植栽木を垂直固定植栽後、全体にやく10cm厚に盛土し、表面に張
芝を施し、風雨等による飛散や流出の防止と軽量化を図った無土壌面樹木植栽緑化工法。
現地調達の植基盤土を用い、型枠を使って施工箇所にあった植栽マット体を成型し、緑
化域に残った不整形の空間部に従来のように縫製することなく施工箇所にあった植栽マッ
ト体包製成形し、敷設することにより、労務費等の経費削減が図られ施工単価を引き下げ
られた。また、植栽マット内に樹脂系ネットが入っていることにより持ち運ぶ場合でも
型くずれすることなく設置でき、やがて植栽植物の根が該樹脂系ネットに絡み植栽マット
体と一体になり、植栽植物が強風で飛散することがない。
屋上緑化に植栽マット体を使用したことにより、風雨等による植栽基盤土の流失がなく、
樹木を植栽する場合でも特別厚い盛土を形成することなく、また樹木固定基礎体と樹木固
定具を用いた簡単な組立作業により、支柱を使わず自由な位置に植栽し、盛土層内に安定
した状態で保持できるため、本格的庭園造りが短期間に低コストで施工できる。
また、植栽木の根鉢を、樹木根鉢補助具に仮植することにより、根鉢底部が平になるた
め、植栽木は傾きやぐらつきがなく、樹木固定基礎体に垂直に固定され、強風や振動によ
って倒木することがなく、さらに基礎鉄筋部と貯水槽部をなくしたことにより盛土を含め
重量の大幅削減が図られ、既存のビル屋上にでも高木を交えた庭園緑化が可能となった。
植栽マット体を形成する型枠を示す平面図である。 植栽基盤土を水重量で圧縮する転圧ローラーを示す斜視図である。 植栽マット体を形成する手順を示す説明図である。 植栽木を固定する樹木固定基礎体を示す斜視図である。 植栽木の根鉢部を保護固定する樹木根鉢補助具を示す斜視図である。 根鉢部固定具の部材を示す説明図である。 樹木固定基礎体に植栽木を植立固定した状態を示す斜視図である。 植栽マット上に樹木植栽と周囲を芝生緑化した状態を示す完成図である。
以下、本発明の緑化工法の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
始めに屋上の植栽緑化範囲に防水シートを、防水シートの重ね合わせ箇所に粘着剤を施
しながら隙間なく敷設し、その上全面とパラペット部の立ち上がり部分に防根シートを、
防根シートの重ね合せ箇所に粘着剤を施しながら隙間なく敷設し、その上に植栽マット体
を隙間なく敷設する。
図1に示す平面図は、現地調達した植基盤土を不織布シートとラッセルネットシートと
で包み、5cm厚の植栽マット体を形成するアルミ板型枠を示したものである。
イは、植栽基盤土を植栽マット体化する基本型枠1を示す。その大きさは、型枠内が縦1
m・横1m・高さが5cmで、上部L型部1aは、幅3cmで、その一辺に3箇所ラッセ
ルネットシートが掛止めできる掛止角1bが突出しており、縦1m横1m厚さ5cm
のマット体を形成するための基本型枠である。なお、他に基本型枠の大きさは、縦1m
横50cm、縦50cm横50cmの他、また形は、三角形、台形等、現場に合わせ製
作可能な基本型枠がある。
ロは、イの上に重ねて使用する割増型枠2で、型枠内の大きさは、縦1m・横1m・高さ
が2cmで、下部L型2aは幅3cmで、一辺に3箇所掛止角が通る孔2bが形成され、
植栽基盤土を転圧ローラーで転圧した時の目減り量約3割(約2cm)の植栽基盤土を盛
土するための割増型枠である。なお、この割増型枠は、基本型枠の大きさに合わせて製作
されている。
図2は、割増型枠内の所定位置まで盛土した植栽基盤土を基本型枠の高さまで転圧する
転圧ローラー3である。直径30cm・長さが40cm前後の鋼管の両端を塞ぎ、左右円
の中心部にベアリング3aを用いた牽引棒3bと円周近くに水の給排水口3cが形成され
た転圧ローラー3である。この転圧ローラーは、使用時ローラー内部に吸水して水の重さ
で植栽基盤土を転圧し、片付けるときには、水を抜き取るため、軽量で持ち運びが便利な
転圧ローラーである。なお、転圧ローラーは、鋼管だけでなくアルミ缶・樹脂管にて形成
される場合もある。
図3は、図1の基本型枠と図2の転圧ローラーを用いて、植生基盤土を植栽マット体に
する手順を示した説明断面図である。
イは、基本型枠1内に、まず植栽基盤土を包み込む不織布シート5を保護する中低圧ポリ
エチレンのラッセルネットシート4を、上部L型部1aの平面部に重なるように重ね掛止
角1bに掛止させ、枠内に添って敷設する。次にその上に植栽基盤土を包み込むポリエス
テル製の不織布シート5を該ラッセルネットシートと同じく敷設する。なお、いずれのシ
ートも植物の根や芽を通す目合のシートで基本型枠の大きさに植栽基盤土の厚さと上部L
型部の長さと表面を覆う長さで切り揃えたシートである。
ロは、イでラッセルネットシートと不織布シートとを敷設した基本型枠の上部L型部1
aの掛止角に、割増型枠2の下部L型部2aに形成した孔口が重なるように割増型枠を重
ね、枠内の中間部分の高さまで植栽基盤土6を盛土し、切断加工が容易な樹脂系ネット7
を枠内幅に合わせ敷設し、その上に転圧後5cm厚になるように該割増型枠内の上部まで
植栽基盤土6を盛土した常態を示したものである。
ハは、型枠内に盛土した植栽基盤土6上に転圧ローラー3を載せ、基本型枠1の5cm
高まで植栽基盤土を転圧した状態を示したものである。なお、植栽基盤土は、軽量で保水
力の高い機能をもつ、ココピート30%、水苔20%、バーク堆肥20%、黒土20%、
ピートモス10%の混合土に有機肥料、遅効性肥料、化成肥料を混合した植栽基盤土とす
る。
ニは、基本型枠1の5cm高まで植栽基盤土の転圧完了後、割増型枠を外し、基本型枠
の上部L型平面部1aの掛止角1bに掛止している不織布シート5を外し、植栽基盤土6
の縁周り土を巻き込むように不織布シートで包み込む、次に掛止角からラッセルネットシ
ート4を外し、不織布シートと同じ手順で、縁周りを巻き込んでいるラッセルネットシー
トと表面を覆うラッセルネットシートが重なり合う縁周りでラッセルネットシート同士を
約20cm前後の一定間隔で粘着し植栽基盤土をマット体化する。
以上図の3のイからニの手順で、型枠を用いて現場形状に合わせた規格外の植栽マット
体を形成し、緑化範囲に隙間なく敷設していき、縁周り末端部に空間が空く場合には、植
栽マット体と端部の間に開いた空間分にラッセルネットシート、不織布シート、の順に敷
設し、植生基盤土を覆土転圧し、該不織布シート、該ラッセルネットシートで包み込みラ
ッセルネットシート同士の重ね合わせ箇所を一定間隔で粘着し植栽マット体形成する。
図4は、植栽マット体上に地上部支柱を使用せずに樹木の植栽を可能とする樹木固定基
礎体を示すものである。
イは、樹木固定基礎体8の部材を示すもので、植栽木の樹高・枝張・幹周に応じて太さ9
ミリ〜22ミリの鉄筋で根鉢径に合わせ格子状に形成する長さ1mの鉄筋8aと 樹木固
定具のJ型アンカーの掛止フック部を掛止する鉄輪8bと 樹木に合わせ鉄筋を継ぎ足す
場合の継手用鋼管8cからなる樹木固定基礎体8である。
ロは、樹木固定基礎体を緑化範囲で樹木植栽位置に設置した状態を示したもので植栽樹木
の根鉢径に合わせ鉄筋8aを格子状に組み、鉄筋の交差部分を鉄線や結束バンドで結束8
d後、格子上に組んだ鉄筋の下部となった鉄筋に鉄輪8bを格子状の四隅に形成し、植栽
樹木を固定する樹木固定基礎体8の設置である。
図5は、植栽木を安定した状態で樹木固定基礎体に移植固定できる樹木根鉢補助具を示
すものである。硬質ポリエチレン有孔板9aを、植栽する樹木根鉢の高さと根鉢周囲長よ
り一回り大きいリング状に形成し、リング内壁面に孔口から用土が流失しないようにポリ
エステルの不織布シート5を装着した樹木根鉢補助具9である。なお、樹木根鉢補助具へ
の植栽樹木根鉢部の設置手順は、まず樹木根鉢補助具内に植栽樹木根鉢部を据置し、根鉢
とリング内の隙間に水で十分に練った肥沃土(ココピート40%、水苔20%、バーク堆
肥20%、山砂10%、炭10%の混合土に有機肥料、遅効性肥料を混合したもの)を詰
込み根鉢底を水平で安定した状態にする。
図6は、根鉢部固定具10の部材を示す斜視図である。植栽木の根鉢部を抑えるための
鉄パイプ11a、それを連結するワイヤー11b、それを結束するワイヤークリップ11
cからできている補助金具11と、 該補助金具を掛止固定する掛止爪部12a、J型ア
ンカー13に固定される連結固定部12bとを有している爪体12と、及び該爪体を連結
固定する頭部ネジ切部13aとナット14、樹木固定基礎体に連結固定する掛止フック部
13bを有するJ型アンカー13にて構成されていることを示す斜視図である。
図7は、図1から図6の手順で屋上等のコンクリート面上の植栽緑化範囲に防水シート
、防根シートの順に敷き詰め、その上に植栽マット体15を敷設し、樹木植栽する位置に
樹木固定基礎体8を配置し、該樹木固定基礎体8が隠れる程度に用土を覆土し、格子状に
組んだ樹木固定基礎体8の中心上に樹木根鉢補助具9で根鉢を覆った植栽木16を垂直に
据え置き、根鉢上面部に根鉢部固定具の補助金具11(鉄パイプを連結したワイヤー)を
載置し、該補助金具11aの複数箇所にJ型アンカー13を複数本配置し、該J型アンカ
ーの掛止フック部13bを樹木固定基礎体の鉄輪8bに掛止し、爪体12の掛止爪部12
aを補助金具の鉄パイプに掛止して樹木根鉢を抑えるようにJ型アンカーの頭部ネジ切部
に連結固定部を通しナット14を締め付けることにより根鉢部を樹木固定基礎体に固定し
、植栽木が垂直に植栽される状態を示したものである。
図8は、以上図1〜図7の手順で樹木植栽後、根鉢部やそれ以外の植栽マット上に約
10cm厚の覆土を施し、全体を張芝17で覆った植栽基盤土15cmの無土壌面樹木植
栽緑化工法の完成図である。
重量制限が厳しい既存のコンクリート建物が多い都市部の屋上に樹木を交えた植栽緑化が低価格でできる無土壌面樹木植栽緑化工法は、植物の温度上昇を緩和及びオアシス効果によりヒートアイランド現象を緩和し、癒しの場所として、さらに都市景観の向上を図れることから、これからの都市緑化として今後利用される可能性が高いものになった。
1 基本型枠
1a 上部L型部
1b 掛止角
2 割増型枠
2a 下部L型部
2b 孔
3 転圧ローラー
3a ベアリング
3b 牽引棒
3c 給排水口
4 ラッセルネットシート
5 不織布シート
6 植栽基盤土
7 樹脂系ネット
8 樹木固定基礎体
8a 鉄筋
8b 鉄輪
8c 鋼管
8d 結束
9 樹木鉢部固定具
9a 硬質ポリエチレン有孔板
10 根鉢部固定具
11 補助金具
11a 鉄パイプ
11b ワイヤー
11c ワイヤークリップ
12 爪体
12a 掛止爪部
12b 連結固定部
13 J型アンカー
13a 頭部ネジ切部
13b 掛止フック部
14 ナット
15 植栽マット体
16 植栽木
17 張芝

Claims (2)

  1. 掛止角を装着した基本型枠上にラッセルネットシートと不織布シートとを敷設して、その上に掛止角が通る孔が形成されている割増型枠を重ね合わせて、型枠内に中間部まで植栽基盤土を盛り込み、その上に樹脂系ネットを敷き、さらに植栽基盤土を割増型枠の高さに盛り込み、その高さを転圧ローラーにて基本型枠の高さに転圧した後、割増型枠を外し、植栽基盤土を不織布シートで包み、さらにラッセルネットシートで覆い、形成する定形の植栽マット体と、 定形の植栽マット体敷設部分の周囲と緑化対象の周辺部に囲まれた不定形部分については、不定形部分に直接、ラッセルネットシートと不織布シートを敷き、その上に植栽基盤土を盛り、周囲の既設マット体の高さに転圧後に、不織布シート及びラッセルネットシートで包み込んで形成する前記不定形部分の形状に合わせた植栽マット体とを 現場の形状に合わせて現場で形成することを特徴とする植栽マット体製造方法。
  2. 請求項1で形成された植栽マット体を敷設した緑化対象域のうち、樹木植栽位置の植栽
    マット体上に鉄筋・鉄輪・鋼管を用いた樹木固定基礎体を配置し、根鉢部に根鉢補助具を
    装着した樹木を、樹木固定具を用いて該樹木固定基礎体に垂直に固定し、該根鉢部を含め
    緑化対象域全体に10cm厚程度の覆土をし、全面に張芝を施した無土壌面樹木植栽緑化
    工法。
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