JP4535224B2 - 化粧用塗布具及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、化粧用塗布具に関するもので、各種の粉末や液体の塗布に用いられる化粧用塗布具とその製造方法に関するものである。
より詳しくは、アイシャドウを付けるためのチップ又はアプリケーターとして好適な塗布具とその製造方法に関し、化粧用具製造技術に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
筆記具を始めとして、絵画や医療の分野で、種々の塗布具が使用されている。
しかしながら、その形態は用途に応じて千差万別である。
例えば、化粧用塗布具としては、フェイスブラシ、チークブラシ、アイシャドウブラシ、アイシャドウチップ(アプリケーター)、アイカラーブラシ、アイカラーチップ、リップブラシなどとして、ブラシ状のもの、スポンジ状のものなど種々のものが市販されている。
【0003】
また、塗布具の製造方法としても、例えば、獣毛や合成繊維などを束ねて筆またはブラシとする方法、接着剤で結合した繊維束の先端を尖鋭形状に加工した塗布部材とする方法、合成樹脂製の多孔質スポンジ状材料を穂先とする成形品を塗布部材とする方法、内部にスリット状の毛細管を形成した弾性又は軟質の熱可塑性合成樹脂の押出成形品を塗布部材とする方法などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これら種々の塗布具については、それぞれより良いものを求めて常に検討が行なわれている。
なかでも、パウダーアイシャドウの塗布具、アイシャドウチップ(アプリケーター)やアイシャドウブラシなどの化粧用塗布具には、下記のような種々の問題点が存在し、その解消が強く求められている。
【0005】
すなわち、スポンジチップ(アプリケーター)やNBRチップ(アプリケーター)は、経時による変化が大きく、変色や硬化することが多いため、ボロボロに劣化するおそれがある。
静電植毛を利用したフロッキーチップ(アプリケーター)は、毛が抜け落ちるという問題を有している。
獣毛は、環境保護・動物愛護の面での問題があるとともに、価格面での問題をも有しているものである。
【0006】
発明者はかかる現状に鑑み、ペンや毛筆などの筆記具に広く採用されている繊維、特に合成繊維からなる繊維束を、化粧用塗布具に用いることによって解決することを試みた。
その結果、繊維束を合成樹脂によって結束接着させるに際し、繊維束の接着に用いられる合成樹脂を、繊維束の外周部に多く、中心部に少なくなるよう偏在させることによって、外周部を硬く、中心部を軟らかくすることで、化粧用の塗布具として優れたものが得られることを見出し、この発明を完成させた。
【0007】
すなわち、この発明は、耐久性に優れ、広い用途にも対応することができるとともに、製造が容易で、コスト的にも満足することのできる化粧用塗布具とその製造方法を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、この発明の請求項1に記載の発明は、
ポリエステル又はナイロン繊維束を、ポリウレタン樹脂で接着して塗布具本体を形成するに際し、
前記ポリウレタン樹脂を塗布具本体の外周部に偏在させることによって、塗布具本体の外周部のデュロメータ硬度(JISK6301A型)が63〜96の範囲にあると共に、中心部のデュロメータ硬度(JISK6301A型)の1.94〜2.60倍となるよう前記ポリエステル又はナイロン繊維束を接着したのち、
一方又は両方の端部の外周部を全周に亘って研削することにより露出した、使用の際の僅かな応力でポリエステル又はナイロン繊維束が解れる中心部を塗布部とし、
研削されない外周部を有する箇所を保持部としたこと
を特徴とする化粧用塗布具である。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、
前記塗布部は、
接着されたポリエステル又はナイロン繊維束が解されていること
を特徴とする請求項1に記載の化粧用塗布具である。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、
前記塗布部は、
その形状が、角状、円筒状、略半球状又は砲弾状であること
を特徴とする請求項1に記載の化粧用塗布具である。
【0011】
さらに、請求項4に記載の発明は、
所要の径に収束させたポリエステル又はナイロン繊維束をポリウレタン樹脂溶液に含浸させ、
前記ポリエステル又はナイロン繊維束の一方側はポリウレタン樹脂溶液に浸漬させた状態のまま、他端側のポリエステル又はナイロン繊維束の表面からポリエステル又はナイロン繊維束中に含浸したポリウレタン樹脂溶液中の溶媒を熱風乾燥により除去しながら、前記ポリウレタン樹脂を塗布具本体の外周部に偏在させるとともに、ポリウレタン樹脂を硬化させることによって、
前記塗布具本体の外周部のデュロメータ硬度(JISK6301A型)が63〜96の範囲にあると共に、中心部のデュロメータ硬度(JISK6301A型)の1.94〜2.60倍となるよう前記ポリエステル又はナイロン繊維束を接着し、
得た塗布具本体の一方の端部又は両端部の外周部を全周に亘って研削して、使用の際の僅かな応力でポリエステル又はナイロン繊維束が解れる中心部を露出させることによって、塗布部を形成し、研削されない外周部を有する個所を保持部とすること
を特徴とする化粧用塗布具の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明の化粧用塗布具(以下、単に「塗布具」ともいう。)は、従来のペン先などと同様に、収束した繊維束を合成樹脂(以下、単に「樹脂」という。)によって接着するにあたって、樹脂を含浸させた繊維束の外周部の硬度を、中心部のそれよりも高くさせて塗布具本体を形成するものである。
繊維や樹脂としては、具体的には、以下のようなものが挙げられる。
【0013】
塗布具を構成する繊維としては、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン等の合成繊維を挙げることができる。
これらの合成繊維の中では、ブラシ状の塗布具の調製が容易なポリエステル繊維が、また、柔らかな使用感が得られるナイロン繊維が好ましい。
【0014】
繊維の単糸デシテックスとしては、用途により異なるが、一般的には1〜100デシテックスのものが用いられる。通常、2〜50デシテックスのものが好ましい。
また、使用する繊維の総デシテックスは、塗布具の用途、形状、外径などにより定まり、通常3,000〜170,000デシテックスである。
【0015】
繊維束を接着させるための樹脂としては、不飽和ポリエステル、尿素ホルマリン、フェノール、エポキシ、メラミン、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂や、ポリ酢酸ビニル、ポリオレフィン、低融点ポリエステルなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
その際、塗布性能、樹脂特性および塗布具適応性、生産性などの面からポリウレタン樹脂が好ましい。
【0016】
ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネートとポリオールよりなるものである。
ポリイソシアネートとしては、
トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどで代表されるジイソシアネート化合物、
ジオール又はジアミンとジイソシアネートから誘導されるジイソシアネート化合物、
1分子のトリメチロールプロパンと3分子のトルイレンジイソシアネートから生成されトリイソシアネート及びそれらの誘導体、
さらにこれらのイソシアネート基をフェノール、クレゾールなどのブロック剤でマスクしたブロックイソシアネート
を挙げることができる。
【0017】
これらの樹脂は、繊維束を接着するに際し、溶液にして用いられる。
溶液とする際に用いられる溶媒としては、回収再利用が容易で、蒸発速度の速いものが好適である。
具体的には、メチレンクロライド、メタノール、アセトン、酢酸エチルなどを主体とし、フェノール、クレゾール、ジメチルフォルムアマイド、ジメチルアセトアミドなどが併用される。
また、樹脂溶液としては、含浸条件などに左右されるが、樹脂の濃度が4〜30重量%であるものが好ましい。
より好ましくは2〜30質量%のもの、特に好ましくは2〜20質量%のもので、粘度が50cps以下のものが好ましい。
【0018】
この発明の塗布具においては、前記樹脂を用いて、繊維束を接着させるものである。
その際、塗布具本体の外周部の硬度を、中心部の硬度よりも高くさせること、換言すると、樹脂を外周部に多く(当然、中心部に少なく)偏在させることにより外周部を硬く、中心部を柔らかくすることを必須の条件とするものである。
具体的には、繊維束に含浸させた樹脂溶液中の溶媒の除去を、制御することによって実施するものである。
【0019】
外周部に多く樹脂を偏在させて繊維束を接着する手段としては、適当な長さに切断した繊維束を樹脂溶液に一定時間浸漬したり、樹脂溶液をスプレーする方法も考えられる。
この発明においては、条件的にも工業的にも、従来の繊維束からペン先などを製造するために使用していた装置を転用して行われる。
【0020】
すなわち、従来のペン先などの製造に使用する装置は、品質の均一性を保持するため、樹脂の偏在を防止するための工夫が施され、かつ、それぞれの条件も厳しく設定されていた。
この発明においては、それらの工夫および条件を廃止ないし変更することによって、目的とする、外周部に偏在する樹脂により接着された繊維束を得ることができる。
【0021】
以下、この発明の塗布具を得るための製造装置の一例を、図1に基づいて説明する。
この製造装置は、連続する多数の繊維1を巻き取ったボビン3と、テンション調整用の送りロール2、多数の繊維1を加熱して束状にするための加熱ブロック4、束状に形成された繊維束に樹脂を含浸させるための樹脂溶液槽7、繊維束に含浸した樹脂溶液中の溶媒の除去と樹脂を硬化させるための熱風乾燥炉11、引き取りローラ12から引き取られる樹脂の硬化により接着した繊維束を所要の長さに切断するためのカッター13から構成されるものである。
【0022】
ボビン3から繰り出される多数の繊維1は、送りロール2によりテンション調整されながら、ダイ5に送られ、加熱・圧縮成形が行われ、柱状の繊維束6となる。
ダイ5は、通常、ポリエステル繊維の場合は温度210〜250℃、ナイロン繊維の場合は温度170〜215℃、アクリル繊維の場合は温度190〜250℃の範囲に加熱される。
【0023】
ダイ5により柱状に成形された繊維束6は、オリフィス8、10を介して樹脂溶液槽7に送られる。
同槽を通過させることによって、その内部に樹脂溶液9を含浸させる。
樹脂溶液9が含浸した柱状繊維束6を熱風乾燥炉11に供給し、熱風により表面からの溶剤の除去と内部の樹脂を硬化させる。
【0024】
その際、熱風によって繊維束6の表面から、樹脂溶液9中に含まれる溶剤が蒸発しながら除去される。
同時に、樹脂溶液の含浸により中心部に存在している樹脂が、溶剤の蒸発に伴い、繊維束6の表面に移動し、その結果として、樹脂が外周部に偏在することになる。
しかしながら、熱風乾燥炉11に存在する繊維束6は、樹脂溶液槽7に存在する繊維束6と連続している。
そのため、樹脂溶液9が毛管作用によって、熱風乾燥炉11内の繊維束6にも絶えず供給される。
したがって、加熱条件を種々変更することにより、外周部に偏在させる樹脂量を制御することができる。
【0025】
なお、繊維束の外周部に偏在させる樹脂量は、試用する樹脂溶液9の濃度の調整によっても可能である。
熱風乾燥炉11の温度は、通常、温度40〜250℃の範囲で、樹脂溶液9の樹脂及び溶剤の種類や濃度により、適宜調整される。
【0026】
かくして得られた、外周部に樹脂が偏在し、中心部の硬度よりも外周部の硬度が高くなるよう形成された繊維束6は、引き取りロール12によって引き取られながら、カッター13で任意の長さの繊維束14に切断される。
【0027】
任意の長さに切断された所要の径(太さ)を有する繊維束14は、図2および図3で明らかなように、一方の端部又は両端部の外周部の全周を、所要の長さだけグラインダーなどで切削して中心部を顕出させて塗布部22,23とする。
なお、研削されないその余の外周部を有する箇所を、保持部21として塗布具20とする。
【0028】
樹脂の偏在する外周部を、角状、円筒状又は略半球状あるいは砲弾状に切削して露出させた中心部(塗布部)は、樹脂があまり附着していないので柔らかく、使用するときの僅かな応力で、その先端が解れ、柔らかい使用感を与えるものである。
その際、図2に示すように、中心部に揉むなどの応力を加えて、繊維束を良く解して、図2Aのように円筒状のブラシ状に、あるいは図2B(砲弾状)や図2C(チーゼル状)のように部分的に解して柔らかくし、ブラシ状とすることによって、さらに柔らかな使用感を与えるものである。
【0029】
なお、そのやわらかさや使用感、さらには塗布料の保持力などは、繊維の径、繊維の種類と量、樹脂の種類と量、切削部の長さ、厚さなどにより自由に調節することが可能である。
さらに、繊維束の形状を、円柱状、角柱状、板状などに成形することによっても調整することもできる。
【0030】
この発明の塗布具は、図3や図4に示すように、所要の径を有する繊維束14の両端の外周部を切削して塗布部22,23とすることもできる。
すなわち、図3に示す塗布具20は、保持部21の一端をブラシ状(22)とし、他端を砲弾状(23)としたものである。
図4に示す塗布具30は、保持部31の一端を先鋭角状(33)に、他端を半球状(32)にしたもので、用途、目的に応じて任意に組み合わせることが可能である。
【0031】
この発明の塗布具は、樹脂が偏在して硬い外周部を有する個所を保持部とし、表面全周を切削して中心部を顕出させた端部を塗布部とするものである。
その際、含浸させ又表面に偏在させる樹脂量によって、その特性が大きく変動するものである。
したがって、含浸させ又偏在させる樹脂量を制御することが、この発明にとってきわめて重要なことである。
繊維束中に含浸した又は偏在している樹脂を、測定することは容易ではない。
しかしながら、繊維束の硬度が樹脂量に応じて変動するので、硬度を測定することにより樹脂量を推測し、この発明の塗布具の性能を調整することが可能である。
この方法が、この発明にとり好ましいことである。
【0032】
この発明において、樹脂により接着された繊維束の硬度としては、樹脂が偏在する外周部が、デュロメータ硬度(JISK6301A型)で63〜96である。
また、中心部のデュロメータ硬度としては、32〜50の範囲が好ましい。
外周部の硬度が63未満のものは、使用する時の僅かな応力でも、保持部が折損することがあるので使用に適さない。
また、中心部の硬度が50を越えるようなものは、塗布部が解れにくくなり、使用感が低下するので、避けるのが好ましい。
なお、硬度は、JISK6301A型デュロメータ硬度計を用い、軸方向に垂直に切断した断面について測定した。
【0033】
また、外周部と中心部の硬度の比は、通常、樹脂の偏在を示す。
したがって、この発明の塗布具の性能を良好にするためには、外周部のデュロメータ硬度が中心部のデュロメータ硬度の1.94〜2.60倍であることが必要である。
なお、この値の変化は、樹脂の偏在によるものである、後述するように、外周部に合成樹脂をコーティングした際などには、この範囲を越えても充分に使用可能である。
【0034】
上記のようにして得られた塗布具は、そのままの状態で使用することができる。
保持部や塗布部を染料で着色して使用することによって、外観の変化を楽しむことができる。
使用する染料については格別な制限はないが、繊維としてポリエステル繊維を用いるときは分散染料を用いることが望ましい。
【0035】
また、保持部に樹脂をコーティングし、シュリンクフィルムなどで外装することによって、使い易さを向上することができる。
また、着色されたシュリンクフィルムで外観に変化を持たせることもできる。
さらに、外装したフィルムをスライド可能とし、塗布部の未使用時に、外装フィルムで塗布部、特にブラシ状の塗布部を保護することも可能である。
【0036】
この発明の塗布具は、保持部を持って、塗布部で、別途調整された粉体、ゲル体、液体などの塗付料を塗付するものである。
その際、液状の塗付料の収納された筒状体を末端に接続し、他の末端を塗布部として、当該塗付料を塗付することや、保持部を木軸などの一端に脱着可能に取り付け、塗布料に応じて塗布具を取り替えて試用することも可能なものである。
また、この発明の塗布具は、洗浄剤などを塗布物とし、精密部品の清掃用炉して使用することもできるものである。
【0037】
【実施例】
<実施例1>
単糸の太さが3デシテックスのポリエステル繊維を総量40,000デシテックスになるようにテンション調整しながら収束させ、パイプ状のダイ中で加熱圧縮成型し、外径が4mmφの円柱状の繊維束に仕上げたのち、下記組成の樹脂溶液を収納した樹脂溶液槽内を、オリフィスを介して通過させる。
(樹脂溶液組成)
ウレタン樹脂(イソシアネート+ポリオール) 3質量%
メチレンクロライド 97質量%
樹脂溶液が含浸した円柱状の繊維束を、入口温度100℃、出口温度190℃に設定した熱風乾燥炉を通過せしめて、溶剤を除去し、樹脂を硬化させる。
得られた円柱状の繊維束は、外径が4mm±0.05φで、その内部に約65%の空隙率を有し、中心部のデュロメータ硬度は32、外周部のデュロメータ硬度は63(硬度比1.973)であり、外周部に樹脂分が多く偏在したものであった。
この円柱の状繊維束を長さ50mmに切断し、端部10mmの外周部をグラインダーで切削し、露出した繊維束の中心部を揉んだところ、繊維が容易に解されブラシ状となり、塗布性能に優れる塗布具が得られた。
【0038】
<実施例2〜4、比較例1〜7>
繊維の種類、太さ、繊維束の太さ、樹脂の種類と濃度などの条件を種々変更しながら、実施例1に準じて種々の塗布具を作成した結果を、実施例1の結果とともに表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
<実施例5>
実施例1において、0.01質量%の油性赤色染料(日本化薬株式会社製Kayaset Red K−BL)を溶解した樹脂溶液を用いた以外は同様にして、ブラシ状塗布具を得た。
作製途中の円柱状の繊維束は、その断面の顕微鏡写真である図5から明らかなように、繊維束の外周部に樹脂が偏在しているため、外周部が赤色で中心に向うとともに色が薄くなっていくものであった。
また、この円柱状の繊維束を、グラインダーで研削して得たブラシ状の塗布具は、外周部すなわち保持部が赤色で、ブラシ部が白色のものであった。
【0041】
<実施例6>
実施例5で作製した塗布具を、ポリエステル繊維染色用黄色染料(桂屋ファイングッヅ製コールダイホットH5イエロー)の0.025質量%水溶液に染色助剤0.25g/lを加えた溶液で、1時間、95℃で染色した。
染め上がった塗布具の余分な染料を洗い流すために、0.025質量%のソーピング溶液を用いて、温度80℃、10分間還元洗浄を行い、ブラシ部が黄色で、保持部が橙色となる塗布具を得た。
【0042】
【発明の効果】
この発明の化粧用塗布具は、ポリエステル又はナイロン繊維束をポリウレタン樹脂によって接着させて塗布具本体を形成するに際し、ポリエステル又はナイロン繊維束の外周部のデュロメータ硬度を中心部のデュロメータ硬度よりも高くなるように設定したので、耐候性に優れ、脱毛などの問題点がない。
特に、パウダーアイシャドウの塗布具、アイシャドウチップ(アプリケーター)やアイシャドウブラシが有する経時による変化の大きさ、変色や、樹脂硬化により劣化するなどのおそれがない。
また、中心部(塗布部)は、ポリウレタン樹脂が余り付着していないので柔らかく、使用する時の僅かな応力で、その先端が解れ、柔らかい使用感を与えるものである。
さらに、中心部に揉むなどの応力を加えて、ポリエステル又はナイロン繊維束を良く解して、円筒状のブラシ状、あるいは砲弾状やチーゼル状のように部分的に解して柔らかくし、ブラシ状とすることによって、さらに柔らかな使用感を与えるものである。
【0043】
また、この発明の化粧用塗布具の製造方法は、ポリエステル又はナイロン繊維束をポリウレタン樹脂で接着させる際、外周部からポリウレタン樹脂中の溶剤を適宜の手段で除去するという極めて簡単な手段で、耐候性に優れ、脱毛などのなどのおそれがない。
また、使用する時の僅かな応力で、その先端が解れ、柔らかい使用感を与えるという品質の優れた化粧用塗布具を製造することができる。
さらに、装置も従来の装置を転用することが可能で、しかも単純化されるもので、製造コストを低減するという優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明にかかる化粧用塗布具の、製造工程の一例を示す概略工程図である。
【図2】 製造工程における表面部の切削状態を示す図で、図中(A)は塗布部がブラシ状、(B)は砲弾状、(C)はチーゼル状のものを示す。
【図3】 この発明にかかる化粧用塗布具の形状の一例を示す正面図である。
【図4】 この発明にかかる化粧用塗布具の、さらに他の形状の一例を示す説明図である。
【図5】 この発明にかかる化粧用塗布具の断面の構造を示す顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 繊維束
2 送りロール
3 ボビン
4 加熱ブロック
5 ダイ
6 柱状の繊維束
7 樹脂溶液槽
8 オリフィス
9 樹脂溶液
10 オリフィス
11 熱風乾燥炉
12 引き取りロール
13 カッター
14 切断された繊維束
20,30 化粧用塗布具
21,31 保持部
Claims (4)
- ポリエステル又はナイロン繊維束を、ポリウレタン樹脂で接着して塗布具本体を形成するに際し、
前記ポリウレタン樹脂を塗布具本体の外周部に偏在させることによって、塗布具本体の外周部のデュロメータ硬度(JISK6301A型)が63〜96の範囲にあると共に、中心部のデュロメータ硬度(JISK6301A型)の1.94〜2.60倍となるよう前記ポリエステル又はナイロン繊維束を接着したのち、
一方又は両方の端部の外周部を全周に亘って研削することにより露出した、使用の際の僅かな応力でポリエステル又はナイロン繊維束が解れる中心部を塗布部とし、
研削されない外周部を有する箇所を保持部としたこと
を特徴とする化粧用塗布具。 - 前記塗布部は、
接着されたポリエステル又はナイロン繊維束が解されていること
を特徴とする請求項1に記載の化粧用塗布具。 - 前記塗布部は、
その形状が、角状、円筒状、略半球状又は砲弾状であること
を特徴とする請求項1に記載の化粧用塗布具。 - 所要の径に収束させたポリエステル又はナイロン繊維束をポリウレタン樹脂溶液に含浸させ、
前記ポリエステル又はナイロン繊維束の一方側はポリウレタン樹脂溶液に浸漬させた状態のまま、他端側のポリエステル又はナイロン繊維束の表面からポリエステル又はナイロン繊維束中に含浸したポリウレタン樹脂溶液中の溶媒を熱風乾燥により除去しながら、前記ポリウレタン樹脂を塗布具本体の外周部に偏在させるとともに、ポリウレタン樹脂を硬化させることによって、
前記塗布具本体の外周部のデュロメータ硬度(JISK6301A型)が63〜96の範囲にあると共に、中心部のデュロメータ硬度(JISK6301A型)の1.94〜2.60倍となるよう前記ポリエステル又はナイロン繊維束を接着し、
得た塗布具本体の一方の端部又は両端部の外周部を全周に亘って研削して、使用の際の僅かな応力でポリエステル又はナイロン繊維束が解れる中心部を露出させることによって、塗布部を形成し、研削されない外周部を有する個所を保持部とすること
を特徴とする化粧用塗布具の製造方法。
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