JP4534847B2 - 裁断方法および裁断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動制御により被裁断材を所望の製品にカットする裁断方法および裁断装置に関するものである。
一般に、被裁断材を所望の製品にカットする裁断装置は、被裁断材が載置される固定盤と、固定盤の上方に上下動可能に設けられ、下側に刃型が交換可能に取り付けられた可動盤と、可動盤を上下動させ被裁断材をカットする駆動制御装置と、固定盤上の被裁断材を移動させる送り出し手段とを備えている(例えば、特許文献1参照)。また、従来、クランク軸機構により可動盤を上下動させ、クランク軸機構のクランク軸には、クラッチおよびベルトを介してインバータモータが連結される裁断装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。さらに、従来、過回転を防止するため刃を待機位置でロックするブレーキを備えたシート切断装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2001−162590号公報(第4頁、図1) 特開平8−243984号公報(第3頁、図2) 特開2003−200382号公報(第5、6頁、図2)
しかしながら、上記従来の裁断装置では、予め決められた一定の速度で可動盤が上下動するので、被裁断材が高強度不織布、高強度織布、高粘着材、高強度延材等の異なる裁断力を要する材料の場合、それらの材質に応じて可動盤の上下動速度を変更することはできるものの、裁断時の裁断速度のみを変化させることはできないという問題があった。さらに、可動盤を間欠的に上下動させる場合、裁断性能を一定のレベルに保持するため上端(上下動ストロークの上死点)で停止させるブレーキを設けると、ブレーキの摩耗や温度、湿度により停止位置が一定せず、不安定で補正や修正の必要があるという問題がある。また、被裁断材の材質に応じて確実に裁断を果たすため、刃の裁断完了状態を指定した時間保持する必要がある場合、すなわち、刃型を被裁断材に押し付けた状態に保持する場合でも、ブレーキにより可動盤を下端(上下動ストロークの下死点)で停止させるよう構成しても、ブレーキの性能上停止位置が不安定になる虞があり、裁断位置を正確に維持することができにくいという問題がある。さらに、ブレーキの摩耗粉、クラッチの摩耗粉、伝達ベルトの摩耗粉が周囲に飛散してしまうという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、簡素な構成で可動盤の上下動の行程中の速度を可変にし、単一の装置で材質の異なる多種の被裁断材を確実にかつ効率的に裁断することができる裁断方法および裁断装置を提供することを目的とするものである。
本発明の第1の発明に係る裁断方法は、被裁断材が載置される固定盤と、固定盤の上方に上下動可能に設けられ、下側に刃型が交換可能に取り付けられた可動盤と、可動盤を上下動させ被裁断材をカットする駆動制御装置と、固定盤上の被裁断材を移動させる送り出し機構とを備え、送り出し手段により被裁断材を固定盤上に順次送り込み、駆動制御装置により可動盤を上下動させて被裁断材をカットする裁断方法であって、可動盤が上下動する行程中の速度を可変に制御し、可動盤を、被裁断材の厚みに応じて刃型が裁断直前位置から裁断完了位置に達するまでの間のみ予め設定された低速度で降下させるようにするとともに、裁断時、被裁断材の材質に応じて、刃型を裁断完了位置で予め設定された時間保持し押し付けた状態のままにするよう可動盤を制御するようにしたものである。
上記第1の発明に係る裁断方法では、被裁断材が載置される固定盤と、固定盤の上方に上下動可能に設けられ、下側に刃型が交換可能に取り付けられた可動盤と、可動盤を上下動させ被裁断材をカットする駆動制御装置と、固定盤上の被裁断材を移動させる送り出し機構とを備え、送り出し手段により被裁断材を固定盤上に順次送り込み、駆動制御装置により可動盤を上下動させて被裁断材をカットする裁断方法であって、可動盤が上下動する行程中の速度を可変に制御し、可動盤を、被裁断材の厚みに応じて刃型が裁断直前位置から裁断完了位置に達するまでの間のみ予め設定された低速度で降下させるようにするとともに、裁断時、被裁断材の材質に応じて、刃型を裁断完了位置で予め設定された時間保持し押し付けた状態のままにするよう可動盤を制御するようにしたので、刃型が上方位置から裁断直前の位置に達するまでの間、可動盤を裁断の間の低速度よりも高速で降下させ、その後、刃型が裁断を開始して完了するまでの間、可動盤を予め設定された低速度で降下させ、その後、刃型が裁断完了位置から上方位置に達するまでの間、可動盤を再び裁断の間の低速度よりも高速で上昇させることができる。このため、被裁断材の材質に応じて裁断の間の刃型の速度を遅くするよう設定することができ、たとえ材質の異なる被裁断材であっても確実にカットすることができる。しかも、裁断の間以外の可動盤の上下動時には、すなわち、刃型が上方位置から裁断直前の位置に達するまでの間および刃型が裁断完了位置から上方位置に達するまでの間、可動盤を裁断の間の低速度よりも高速で上下動させることができ、作業時間を短縮することができる。
請求項に係る裁断方法は、可動盤の上下のストローク幅を可変にしたものである。
請求項に係る裁断方法では、可動盤の上下のストローク幅を可変にしたので、被裁断材の材質に応じて可動盤の上下のストローク幅を短くすると作業時間が短縮される。
本発明の第2の発明に係る裁断装置は、被裁断材が載置される固定盤と、固定盤の上方に上下動可能に設けられ、下側に刃型が交換可能に取り付けられた可動盤と、可動盤を上下動させ被裁断材をカットする駆動制御装置と、固定盤上の被裁断材を移動させる送り出し機構とを備えた裁断装置であって、可動盤が上下動する行程中の速度を可変に制御し、可動盤を、被裁断材の厚みに応じて刃型が裁断直前位置から裁断完了位置に達するまでの間のみ予め設定された低速度で降下させるとともに、裁断時、被裁断材の材質に応じて、刃型を裁断完了位置で予め設定された時間保持し押し付けた状態のままにする駆動制御装置を備えたものである。
本発明の第2の発明に係る裁断装置では、被裁断材が載置される固定盤と、固定盤の上方に上下動可能に設けられ、下側に刃型が交換可能に取り付けられた可動盤と、可動盤を上下動させ被裁断材をカットする駆動制御装置と、固定盤上の被裁断材を移動させる送り出し機構とを備えた裁断装置であって、可動盤が上下動する行程中の速度を可変に制御し、可動盤を、被裁断材の厚みに応じて刃型が裁断直前位置から裁断完了位置に達するまでの間のみ予め設定された低速度で降下させるとともに、裁断時、被裁断材の材質に応じて、刃型を裁断完了位置で予め設定された時間保持し押し付けた状態のままにする駆動制御装置を備えたので、被裁断材の材質に応じて裁断時の刃型の速度を予め遅くするよう設定することができ、たとえ材質の異なる被裁断材であっても確実にカットすることができる。しかも、裁断の間以外の可動盤の上下動時には、すなわち、刃型が上方位置から裁断直前の位置に達するまでの間および刃型が裁断完了位置から上方位置に達するまでの間、可動盤を裁断の間の低速度より速い速度で上下させることができ、作業時間を短縮することができる。このため、単一の装置で材質の異なる多種の被裁断材をカットすることができ、しかも作業時間が短縮化される。
請求項に係る裁断装置は、裁断時、駆動制御装置にかかる負荷を検出して演算し、演算結果を裁断力として表示する裁断力表示機構を設けたものである。
請求項に係る裁断装置では、裁断時、駆動制御装置にかかる負荷を検出して演算し、演算結果を裁断力として表示する裁断力表示機構を設けたので、裁断力をリアルタイムで確認しながら作業を行うことができ、裁断力が適切かどうか監視することにより不良品の発生を未然に防ぐことができる。また、裁断力を考慮して被裁断材の材質に合致した最適な裁断速度を設定することができる。
請求項に係る裁断装置は、駆動制御装置は、可動盤を上下動させるクランク軸機構と、このクランク軸機構のクランクシャフト一端に減速機を介して接続されたサーボモータと、このサーボモータに電気的に接続されたサーボアンプと、このサーボアンプと位置決めユニットおよびアナログ入力ユニットを介して電気的に接続され、予め入力された作業プログラムが収納された制御部と、制御部と電気的に接続された表示装置と、クランクシャフトの他端に接続されたエンコーダと、このエンコーダと電気的に接続されるとともに、アナログ入力ユニットと制御部とに電気的に接続された高速カウンタとを備えているようにしたものである。
請求項に係る裁断装置では、駆動制御装置は、可動盤を上下動させるクランク軸機構と、このクランク軸機構のクランクシャフト一端に減速機を介して接続されたサーボモータと、このサーボモータに電気的に接続されたサーボアンプと、このサーボアンプと位置決めユニットおよびアナログ入力ユニットを介して電気的に接続され、予め入力された作業プログラムが収納された制御部と、制御部と電気的に接続された表示装置と、クランクシャフトの他端に接続されたエンコーダと、このエンコーダと電気的に接続されるとともに、アナログ入力ユニットと制御部とに電気的に接続された高速カウンタとを備えているようにしたので、サーボモータを制御することにより、可動盤が上下動する速度を可変に制御することができるとともに、クランク軸を揺動させて可動盤の上下のストローク幅を可変にすることができる。また、サーボモータにより可動盤の上下方向位置を正確に設定することができるので、従来のように、クラッチやブレーキを設ける必要がない。さらに、可動盤の上下動速度を自在に制御できるので、被裁断材に応じて最適な裁断速度を指定することができる。また、サーボモータを制御することにより、刃型を設定された時間裁断完了位置で被裁断材に押し当て続けることができる。
本発明の第1の発明に係る裁断方法では、被裁断材が載置される固定盤と、固定盤の上方に上下動可能に設けられ、下側に刃型が交換可能に取り付けられた可動盤と、可動盤を上下動させ被裁断材をカットする駆動制御装置と、固定盤上の被裁断材を移動させる送り出し機構とを備え、送り出し手段により被裁断材を固定盤上に順次送り込み、駆動制御装置により可動盤を上下動させて被裁断材をカットする裁断方法であって、可動盤が上下動する行程中の速度を可変に制御し、可動盤を、被裁断材の厚みに応じて刃型が裁断直前位置から裁断完了位置に達するまでの間のみ予め設定された低速度で降下させるようにするとともに、裁断時、被裁断材の材質に応じて、刃型を裁断完了位置で予め設定された時間保持し押し付けた状態のままにするよう可動盤を制御するようにしたことにより、材質の異なる多種の被裁断材であっても速度を落として確実にカットすることができる。また、裁断時以外の可動盤の上下動の行程中の速度を速くすることができるので、作業効率が向上する。
本発明の第2の発明に係る裁断装置では、被裁断材が載置される固定盤と、固定盤の上方に上下動可能に設けられ、下側に刃型が交換可能に取り付けられた可動盤と、可動盤を上下動させ被裁断材をカットする駆動制御装置と、固定盤上の被裁断材を移動させる送り出し機構とを備えた裁断装置であって、可動盤が上下動する行程中の速度を可変に制御し、可動盤を、被裁断材の厚みに応じて刃型が裁断直前位置から裁断完了位置に達するまでの間のみ予め設定された低速度で降下させるとともに、裁断時、被裁断材の材質に応じて、刃型を裁断完了位置で予め設定された時間保持し押し付けた状態のままにする駆動制御装置を備えたことにより、材質の異なる多種の被裁断材を確実にかつ効率的に裁断することができる。
材質の異なる多種の被裁断材を確実にかつ効率的に裁断するという目的を、可動盤が上下動する行程中の速度を可変に制御し、可動盤を、裁断の間のみ予め設定された低速度で降下させ、裁断の間以外の上下動時には上記低速度より速い速度で上下動させるように構成したことにより実現した。
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は、本実施例に係る裁断装置の構成図である。本実施例に係る裁断装置2は、図1に示すように、上面を被裁断材(図示せず)が搬送される固定盤3と、固定盤3の上方に上下動可能に設けられた可動盤4と、この可動盤4の下面に交換可能に取り付けられる刃型5と、可動盤4および図示しない被裁断材の送出し機構を、入力された作業プログラムに基づいて動作させる駆動制御装置20とを備えて構成される。被裁断材は、樹脂フィルム、セロハン、パッキン、フェルト、スポンジ、ゴム、ウレタンフォーム、アルミホイール、銅ホイール、布、紙だけでなく、高強度不織布、高強度織布、高粘着材、高強度延材等、ロール素材、シート素材が用いられ軟質硬質を問わず裁断力の異なる種々の素材が用いられる。
可動盤4には、可動盤4を固定盤3に対して一定の上下ストロークで上下動させるクランク軸機構6が連結される(図2の(A)、(B)参照)。クランク軸機構6は、図9の(A)ないし(C)に示すように、固定盤3の下側で被裁断材の搬送方向に対して直交する方向に設けられたクランクシャフト7と、可動盤4の上盤30の両側から下方に延びたスライドシャフト31に取り付けられたスライドブロック32と、両スライドブロック32間を連結するジョイントシャフト33と、一端側がこのジョイントシャフト33の両側にそれぞれ回動自在に連結されるとともに他端に形成された円孔34にクランクシャフト7のクランクピン7Aが挿通されたコネクティングプレート35とを備えて構成される。クランク軸機構6は、クランクシャフト7が回転駆動されると、クランクピン7Aが円孔34内周面に沿って回り、偏心コネクティングプレート35の上部が揺動しつつ上下動してジョイントシャフト33を上下動させ、可動盤4を固定盤3に対して一定のストロークSt1(図8(A)参照、本実施例の場合、40mm)で上下動させるようになっている。
駆動制御装置20は、クランク軸機構6と、このクランク軸機構6のクランクシャフト7の一端に接続された減速機11と、この減速機11に連結されクランクシャフト7を回転駆動するサーボモータ12と、このサーボモータ12に電気的に接続されたサーボアンプ13と、このサーボアンプ13と位置決めユニット14およびアナログ入力ユニット15を介して電気的に接続されたシーケンサ(制御部)16とを備えている。シーケンサ16には、ディスプレー装置17が電気的に接続される。シーケンサ16はマイクロプロセッサの機能を果たすもので、シーケンサ16には、記憶装置(メモリ、FDドライブ、FD)やキーボードが接続される。シーケンサ16に内蔵されたメモリ、または、記憶装置には、複数の作業プログラムが予め記憶される。この作業プログラムには、被裁断材の寸法、ショット数、送り量等の製品情報、この製品情報に適合する刃型5の刃型指示情報、各刃型の刃高データ等が含まれる。ここでいう刃高とは、可動盤4の下面から刃型の刃先端までの高さをいう。駆動制御装置20は、予め作業プログラムが収納されたシーケンサ16からの指令信号が位置決めユニット14を介してサーボアンプ13に出力されると、サーボアンプ13は、位置決めユニット14からの指令信号を受けてサーボモータ12を制御して駆動するようになっている。また、サーボアンプ13はアナログ入力ユニット15にサーボモータ12のモータトルク値をアナログ電圧で出力するようになっている。駆動制御装置20は、図示しない送り出し機構を駆動し被裁断材を固定盤3に向けて送り出すようになっている。
駆動制御装置20は、クランクシャフト7の他端に接続されたエンコーダ(検出器)18と、このエンコーダ18と電気的に接続されるとともに、アナログ入力ユニット15とシーケンサ16とに電気的に接続される高速カウンタ19とを備えている。高速カウンタ19は、エンコーダ18を介してクランクシャフト7の回転角度を検出すると、その信号をシーケンサ16に出力し、ディスプレー装置17に表示するようになっている。また、高速カウンタ19は検出されたクランクシャフト7の回転角度のデータをアナログ入力ユニット15にアナログ電圧で出力するようになっている。シーケンサ16は、位置決めユニット14によりサーボアンプ13を制御しつつ、アナログ入力ユニット15および高速カウンタ19、さらに機械構成により予め一意に決定される値を参照して、刃型5が裁断を行う裁断部の裁断力を演算し、その結果をディスプレー装置17に表示するようになっており、これら構成要素により裁断力表示機構を構成している。すなわち、裁断力表示機構は、裁断時、サーボモータ12にかかる負荷を検出して演算し(サーボモータ12に流れる裁断負荷電流値を変換して演算し)、演算結果を裁断力として表示するようになっている。このため、裁断力をリアルタイムで確認しながら作業を行うことができるので、裁断力が適切かどうか監視しながら作業を行うことができる。このため、不良品の発生を未然に防ぐことができる。また、裁断力を考慮して被裁断材の材質に合致した最適な裁断速度を設定することができる
ところで、本実施例に係る裁断装置2では、サーボモータ12が減速機11を介してクランクシャフト7に連結されているので、クランクシャフト7の回転を、回転中に変速させ、加速したり減速したりできるようになっている。このように可動盤4が上下動する行程中の速度を可変に制御することができるので、可動盤4を、裁断以外の上下動時には、高速度Hで上下動させるようになっている(図3のパターンAおよび図6の(A)参照)。そして、裁断時には、クランク運動により可動盤4の速度はクランクシャフト7が下死点に近づくに従い減速され、下死点に達すると最も速度が減速され、その後、再び加速される。裁断時のクランク運動による減速は、被裁断材の質に応じて予め設定される。裁断終了後は、上述のように高速度Hで上下動されるので、作業が効率化される。可動盤4は、裁断時以外は高速度Hで上下動されるので、裁断時、相対的に低速となる。
また、上述のように、本実施例に係る裁断装置2では、サーボモータ12が減速機11を介してクランクシャフト7に連結され、クランクシャフト7の回転を、回転中に変速させ、加速したり減速したりできるようになっているので、可動盤4が上下動する行程中の速度を可変に制御することができる。このため、可動盤4を、裁断の間のみ予め設定された低速度Lで降下させ、しかも、裁断以外の上下動時には上記低速度Lより速い予め設定された高速度H(H>L)で上下動させるようにしている(図3のパターンBおよび図6の(B)参照)。すなわち、被裁断材の材質に応じて、例えば、裁断しにくい材質の場合、裁断時の刃型5の速度を予め遅くするよう設定し、クランク運動に起因してクランクシャフト7が下死点に近づくに従い減速されるのに加え、裁断時には、クランクシャフト7の回転を減速させて、確実にカットするようにしている。そして、裁断時以外の可動盤4の上下動時には、すなわち、刃型5が上方位置から裁断直前の位置に達するまでの間および刃型5が裁断完了位置(最下端位置または最下端位置に近い位置)から上方位置に達するまでの間、可動盤4を予め設定された速い速度Hで上下動させるようにしている。このため、従来の裁断機が可動盤4を同一速度で上下のストロークを繰り返さなければならないのに比べ、本願発明の裁断機2では、ストローク毎の上下動速度を変化させることができるので、裁断時以外の可動盤4の上下動の速度を速めて作業時間を短縮するようにしている。上述のように、この裁断装置2は、サーボモータ12で駆動するようにしているので、従来の装置のように複雑な機構を有するクラッチやブレーキを設けなくとも、起動や停止を自在にかつ高精度に行うことができ、可動盤4の上端位置(上死点)や下端位置(下死点)での停止も精度よく自由に行うことができる。なお、本実施例でいう刃型5の裁断開始位置とは、降下している刃型5が被裁断材の上面に達する位置または被裁断材に接する位置をいい、刃型5の裁断完了位置は、刃型5が被裁断材をカットし終わり刃型5が最下端位置または最下端に近いところにある位置をいう。
また、駆動制御装置20は、被裁断材の材質に応じて、例えば、より遅い速度で裁断を行うことが好ましい材質の場合、刃型が裁断直前位置から裁断完了位置に達するまでの間、上記低速度Lよりさらに減速させた速度Lv(Lv<L)で可動盤4を降下させるようにすることもできる。このため、より遅い速度で裁断を行うことが求められる被裁断材であっても、確実にカットすることができる。
さらに、駆動制御装置20は、裁断時、刃型5が裁断完了位置で予め設定された時間T1保持されるよう可動盤4を制御するようになっている(図3のパターンCおよび図6の(C)参照)。このため、被裁断材の材質に応じて、例えば、軟質であったり伸びやすい材質の被裁断材であっても、刃型5を裁断完了位置で設定された時間T1の間押し付けた状態のままにしておくことで、カットしやすくなる。また、この裁断装置2は、クランクシャフト7をサーボモータ12で駆動するようにしているので、クランクシャフト7を一方向に回転させることができるだけでなく、クランクシャフト7を下死点を通過させ、かつ、下死点を中心に360度以内の角度で正逆に回動させることにより、可動盤4の上下のストローク幅St1(図8の(A)および図4のパターンDないしパターンF参照)を短くすることができる(図8の(B)のストローク幅St2参照)。さらに、クランクシャフト7を、下死点を通過させないようにし、かつ、180度以内の角度で正逆に回動させることにより、可動盤4の上下のストローク幅ST1を短くすることができる(図8の(B)のストローク幅St3および図5のパターンGないしパターンI参照)。このため、裁断以外の可動盤4の上下動の無駄な動作を省略することができ、作業時間を短縮することができる。
次に、本発明に係る裁断方法について、上記実施例に係る裁断装置2の作用に基づいて説明する。裁断装置2は、固定盤3の上面に図示しない送り出し機構により被裁断材を順次送り込むとともに、駆動制御装置20により可動盤4の刃型5を上下動させ被裁断材をカットするようにしている。駆動制御装置20は、予め作業プログラムが収納されたシーケンサ6により被裁断材の材質やカットの仕方に応じて作業プログラムが選択されると、この作業プログラムに基づいて、位置決めユニット14に位置決め情報が送出され、この位置決め情報に基づいてサーボアンプ13がサーボモータ12を制御して駆動させ、サーボモータ12の駆動力は減速機11を介してクランクシャフト7に伝達される。クランクシャフト7の回転駆動により可動盤4は上下動される。サーボモータ12は、シーケンサ16の作業プログラムに基づいて、刃型5が上方位置から裁断直前の位置に達するまでの間、可動盤4を予め設定された速い速度H(図8参照)で降下させると(第1のステップ)、続いて、刃型5が裁断を開始して完了するまでの間、可動盤4を予め設定された遅い速度Lで降下させ(第2のステップ)、刃型5の裁断完了後、刃型5が裁断完了位置から上方位置に達するまでの間、可動盤4を再び予め設定された速い速度Hで上昇させるようにしている(第3のステップ)。このため、被裁断材の材質に応じて、すなわち、裁断のしにくさ等に応じて、裁断時の刃型5の速度を予め遅くするよう設定することができ、たとえ材質の異なる被裁断材であっても単一の装置で確実にカットすることができる。しかも、裁断時以外の可動盤4の上下動時には、すなわち、刃型5が上方位置から裁断直前の位置に達するまでの間および刃型5が裁断完了位置から上方位置に達するまでの間、可動盤4を予め設定された速い速度Hで上下動させることができ、作業時間を短縮することができる。
なお、上記実施例に係る裁断装置2では、可動盤4を上下動させる機構をクランク軸機構6により構成しているがこれに限られるものではなく、クランク軸機構に代えてカム機構により構成してもよいことはいうまでもない。また、上記実施例に係る裁断方法では、第3のステップで刃型5の裁断完了後、刃型5が裁断完了位置から上方位置に達するまでの間、可動盤4が裁断直前まで降下する速度Hと同じ速度としているがこれに限られるものではなく、裁断時の遅い速度Lより速い速度であればよいことはいうまでもない。
本発明の一実施例に係る裁断装置の構成図である。(実施例1) 図1の裁断装置の可動盤とクランク軸機構とを示す説明図である。 クランク軸が回転する際の裁断時の減速パターンを示す図である。 クランク軸が下死点を通過して揺動する際の裁断時の減速パターンを示す図である。 クランク軸が下死点を通過せずに揺動する際の裁断時の減速パターンを示す図である。 (A)ないし(C)はそれぞれ、クランク軸が回転する際の裁断時の減速パターン毎にサーボモータの回転速度とクランク軸角度との関係を示すグラフである。 (A)ないし(D)はそれぞれ、クランク軸が揺動する際の裁断時の減速パターン毎にサーボモータの回転速度とクランク軸角度との関係を示すグラフである。 (A)、(B)はそれぞれ、回転時と揺動時における図1の裁断装置の可動盤の速度と上下位置との関係を、従来のものと比較して示すグラフである。 (A)ないし(C)はそれぞれ、クランク軸機構を示す説明図である。
符号の説明
2 裁断装置
3 固定盤
4 可動盤
5 刃型
20 駆動制御装置
L 設定された低速度

Claims (5)

  1. 被裁断材が載置される固定盤と、固定盤の上方に上下動可能に設けられ、下側に刃型が交換可能に取り付けられた可動盤と、可動盤を上下動させ被裁断材をカットする駆動制御装置と、固定盤上の被裁断材を移動させる送り出し機構とを備え、送り出し手段により被裁断材を固定盤上に順次送り込み、駆動制御装置により可動盤を上下動させて被裁断材をカットする裁断方法であって、
    可動盤が上下動する行程中の速度を可変に制御し、可動盤を、被裁断材の厚みに応じて刃型が裁断直前位置から裁断完了位置に達するまでの間のみ予め設定された低速度で降下させるようにするとともに、裁断時、被裁断材の材質に応じて、刃型を裁断完了位置で予め設定された時間保持し押し付けた状態のままにするよう可動盤を制御することを特徴とする裁断方法。
  2. 可動盤の上下のストローク幅を可変にしたことを特徴とする請求項に記載の裁断方法。
  3. 被裁断材が載置される固定盤と、固定盤の上方に上下動可能に設けられ、下側に刃型が交換可能に取り付けられた可動盤と、可動盤を上下動させ被裁断材をカットする駆動制御装置と、固定盤上の被裁断材を移動させる送り出し機構とを備えた裁断装置であって、
    可動盤が上下動する行程中の速度を可変に制御し、可動盤を、被裁断材の厚みに応じて刃型が裁断直前位置から裁断完了位置に達するまでの間のみ予め設定された低速度で降下させるとともに、裁断時、被裁断材の材質に応じて、刃型を裁断完了位置で予め設定された時間保持し押し付けた状態のままにする駆動制御装置を備えたことを特徴とする裁断装置。
  4. 裁断時、駆動制御装置にかかる負荷を検出して演算し、演算結果を裁断力として表示する裁断力表示機構を設けたことを特徴とする請求項に記載の裁断装置。
  5. 駆動制御装置は、可動盤を上下動させるクランク軸機構と、このクランク軸機構のクランクシャフト一端に減速機を介して接続されたサーボモータと、このサーボモータに電気的に接続されたサーボアンプと、このサーボアンプと位置決めユニットおよびアナログ入力ユニットを介して電気的に接続され、予め入力された作業プログラムが収納された制御部と、制御部と電気的に接続された表示装置と、クランクシャフトの他端に接続されたエンコーダと、このエンコーダと電気的に接続されるとともに、アナログ入力ユニットと制御部とに電気的に接続された高速カウンタとを備えていることを特徴とする請求項3または4に記載の裁断装置。
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