JP4534825B2 - 欠陥検査方法および欠陥検査装置 - Google Patents
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例えば、検査対象画像をCCDカメラによって撮像して、各カメラ画素(撮像画素)での受光輝度により構成される受光輝度分布データを取得し、ある1つのカメラ画素を選択し、その周囲の4近傍の画素との輝度値を比較して輝度差が所定の範囲にある場合にはこれらの各画素を一つの領域にまとめる処理を繰り返し、対象領域を複数の連続した部分領域に分割し、この部分領域の輝度値をそこに含まれる全画素の平均値で置き換えて表示することにより、対象領域に存在する輝点やムラなどの欠陥部分を視認しやすくした色ムラ欠陥検査方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
同様の問題は、輝点欠陥などの異常発光欠陥を検出する場合に限らず、黒点欠陥などの異常非発光欠陥の有無の検査でも発生していた。すなわち、撮像画素の輝度値に基づいて欠陥検出を行う場合に共通する問題であった。
ここで、異常発光欠陥とは、検査対象画像における平均的な輝度よりも所定程度以上大きい輝度を有する欠陥のことであり、輝点欠陥や白ムラ欠陥等を意味する。また、異常非発光欠陥とは、検査対象画像における平均的な輝度よりも所定程度以上小さい輝度を有する欠陥のことであり、黒点欠陥や黒ムラ欠陥等を意味する。なお、異常発光欠陥と異常非発光欠陥とをまとめる場合、「異常発光/非発光欠陥」と表記する。
すなわち、OLED等では、輝点欠陥部分、つまり輝度が局所的に高くなる部分は、同時にその部分の色が他の正常部分の色と異なっていることが多い。従って、各撮像画素の輝度情報を、その撮像画素の色情報偏差に基づく強調係数で補正すれば、輝点欠陥部分のように、色が異なる欠陥部分の輝度情報をより大きく強調することができる。このため、補正後の輝度情報を用いれば、欠陥部分と非欠陥部分とで輝度値の差を大きくでき、これらを区別する閾値も容易に設定でき、欠陥部分を容易にかつ精度良く検出することができる。
基準色情報を求める方法としては、例えば、色彩計などの他の装置を用いて基準色情報を求めることもできるが、色の測定工程が必要となるため、検査時間が長くなる。これに対し、本発明のように、撮像画素の色情報の平均値を基準色情報とすれば、データ処理のみで基準色情報を求めることができ、処理が容易となって検査時間も短縮できる。
また、撮像された実データに基づいて基準色情報を算出できるので、設計情報などに基づいて予め基準色情報を設定する場合に比べて、精度の高い基準色情報を得ることができる。このため、基準色情報に基づいて求められる強調係数も精度の高いものが得られ、欠陥部分の輝度情報を適切に強調でき、欠陥部分を精度良く検出できる。
このような本発明においては、輝度情報用閾値を超えている撮像画素の輝度情報のみを補正することができるので、すべての撮像画素に対して補正する場合に比べて、補正処理時間を短縮することができ、輝点欠陥部分を効率的に検出することができる。
そして、各強度データVr,Vg,Vbの少なくとも1種類の強度データや各撮像画素の輝度データを所定の閾値と比較するなどして検査対象領域を判定し、その検査対象領域内の各撮像画素の強度データVr,Vg,Vbを、各撮像画素の色情報および輝度情報に変換しているので、撮像データの全領域の強度データVr,Vg,Vbを、各撮像画素の色情報および輝度情報に変換する場合に比べて、データ変換工程の処理時間を短縮でき、効率的に処理できる。
なお、各撮像画素の輝度データは、例えば、RGBの各強度データから算出すればよい。
RGBの撮像データをHSL空間の情報に変換すれば、色情報を色相データVhの1つのパラメータのみで示すことができるので、各撮像画素の色情報と基準色情報との比較も容易に行うことができる。また、HSL空間は、等色差性を持っているので、測定対象がどのような色であっても、色情報および基準色情報の偏差を適切な大きさで表すことができ、前記色情報偏差に基づく強調係数も精度良くかつ簡単に設定できる。
すなわち、強調係数Veは、Ve=|Vh−V0|/Voで求め、補正輝度情報VL’は、VL’=VL+VL×Veによって求めることが好ましい。
そして、前記撮像画素における輝度データVLが180であった場合、補正輝度情報VL’は次のように求められる。すなわち、VL’=VL+VL×Ve=180+180×0.05=189となる。
同様に、他の撮像画素の色相データVhが66、輝度データVLが190であった場合、VL’=209となる。各撮像画素の元の輝度データVLの差は「10」であるが、補正輝度情報VL’の差は「20」となり、大幅に拡大する。従って、補正輝度情報VL’を所定の閾値と比較するなどの処理を行う際に、欠陥部分の補正輝度情報VL’と、正常部分の補正輝度情報VL’の差が大きくなるため、前記閾値を適切に設定でき、輝点等の欠陥を高精度に検出することができる。
すなわち、強調係数Veは、Ve=|Vh−V0|/Voで求め、補正輝度情報VL’は、VL’=VL+α×Veによって求めることが好ましい。
図1に、本実施形態にかかる欠陥検査装置(異常発光欠陥検査装置)としての輝点欠陥検査装置1と、画像表示装置としての有機ELパネル2を示す。
輝点欠陥検査装置1は、有機ELパネル2によって表示される検査対象画像を撮像する撮像手段としてのCCDカメラ11と、CCDカメラ11から入力される撮像データに基づいて画像処理を行い、検査対象画像における輝点欠陥の有無を検査する画像処理部12を備えて構成される。
CCDカメラ制御手段120は、CCDカメラ11を制御し、検査対象の有機ELパネル2の撮影を制御する。
撮像画素データ取得手段121は、CCDカメラ11で得られた撮像データにおいて検査対象領域を検出し、その検査対象領域の色情報および輝度情報を各撮像画素毎に取得する。
強調係数算出手段122は、前記検査対象領域全体の基準色情報を求め、この基準色情報に対する各撮像画素の色情報の偏差を求め、この色情報偏差に基づく強調係数を求める処理を行う。
輝度情報補正手段123は、前記強調係数算出手段122で求めた強調係数を用いて前記各撮像画素の輝度情報を補正して補正輝度情報を求める。
欠陥検出手段124は、前記輝度情報補正手段123で求めた補正輝度情報に基づいて前記検査対象領域内の欠陥を検出する。
本実施形態において、輝度欠陥を検出する画像検査方法は、図2に示すように、撮像工程S1、撮像画素データ取得工程S2、強調係数算出工程S3、輝度情報補正工程S4、欠陥検出工程S5を備える。以下、各工程を詳述する。
撮像工程S1が実施されると、CCDカメラ制御手段120は、有機ELパネル2によって表示される検査対象画像を、CCDカメラ11によって撮像する。
具体的には、CCDカメラ11は、図3に示す有機ELパネル2の各表示画素21を撮像し、図4に示すような撮像データ41を取得している。
図4は、図3において点線によって囲まれるエリア23をCCDカメラ11によって撮像して得られるデータである。
従って、CCDカメラ11は、RGB用に設けられた各CCDのカメラ画素111での受光輝度に応じてRGB3色の強度データVr,Vg,Vbを出力する。このため、CCDカメラ11からは、図4に示すように、各カメラ画素111のR(赤)の強度データVrが二次元に配列された撮像データ41Rと、G(緑)の強度データVgが二次元に配列された撮像データ41Gと、B(青)の強度データVgが二次元に配列された撮像データ41Bとが出力される。ここで、各撮像データ41R,41G,41Bにおける強度データの数、つまりカメラ画素111の数は、撮像倍率などに応じて適宜設定できる。例えば、図4の例では、カメラ画素111は縦000〜038の計39行、横000〜014の計15列の計585個設けられている。
撮像工程S1の後に、撮像画素データ取得工程S2が実行される。撮像画素データ取得工程S2は、撮像画素データ取得手段121により実行され、図2に示すように、CCDカメラ11から入力されるRGBの各強度データVr,Vg,Vbを取得するRGBデータ取得工程S21と、前記RGBの3種類の強度データから1種類の強度データを選択し、選択した強度データが、予め設定された強度データ用閾値を超えている撮像画素領域を検査対象領域と判定する領域判定工程S22と、検査対象領域にある各撮像画素の強度データVr,Vg,Vbを、その撮像画素の色情報および輝度情報に変換するデータ変換工程S23とが実行される。
次に、領域判定工程S22が実行されると、撮像画素データ取得手段121は、撮像データ41R,41G,41Bの各強度データVr,Vg,Vbのうち、最も大きな強度データを有する1種類の撮像データ41(例えばRの撮像データ41R)を選択する。そして、その撮像データ41Rにおける各カメラ画素111の強度データVrを所定の強度データ用閾値と比較し、強度データ用閾値以上のカメラ画素111の領域を選択する。例えば、図4においては、強度データVrが強度データ用閾値以上のカメラ画素111を選択した領域を領域Aとしている。なお、ブラックマトリックス22の強度データVrと、表示画素21部分の強度データVrとの間には差があるので、強度データ用閾値を各強度データの間となるように適切に設定すれば、撮像されたエリア23において、発光する表示画素21部分と、ブラックマトリックス22とを分離でき、表示画素21部分を検査対象領域として抽出できる。
なお、この検査対象領域Aは、表示画素21部分であるから、他の2つの強度データにおいても同じ検査対象領域Aを設定すればよい。
変換式は例えば以下のようなものが利用できる。
式1〜5を用いた変換を、検査対象領域Aに含まれるすべてのカメラ画素111に対して行って撮像画素データ取得工程S2を終了すると、強調係数算出工程S3が実行される。
強調係数算出工程S3が実行されると、強調係数算出手段122は、まず、検査対象領域A全体の基準色情報を求める。本実施形態では、強調係数算出手段122は、検査対象領域Aに含まれるすべてのカメラ画素111の色相データVhの平均値V0を求め、この値を検査対象の表示画素21の正常な色相と見なし、基準色情報V0と定義する。
強調係数Veを求めて強調係数算出工程S3が終了すると、輝度情報補正工程S4が実行される。
輝度情報補正工程S4が実行されると、輝度情報補正手段123は、検査対象領域Aに含まれる各カメラ画素111の輝度データVLのうち、予め設定された輝度情報用閾値Vthより大きい輝度データVLのカメラ画素111を選択する。このような処理を行うのは、本実施形態では、輝点欠陥を検出するものであるため、検査対象領域Aの中で、ある程度、輝度データVLが高く、輝点欠陥の候補となり得るカメラ画素111を抽出するためである。
カメラ画素111の補正輝度データVL’が求められて輝度情報補正工程S4が終了すると、欠陥検出工程S5が実行される。
欠陥検出工程S5が実行されると、欠陥検出手段124は、各カメラ画素111の輝度データに基づいて欠陥を検出する。例えば、輝点欠陥検出用閾値を設定し、上記各カメラ画素111の補正輝度データVL’が輝点欠陥検出用閾値を超えた場合には、そのカメラ画素111部分を輝点欠陥と判断し、欠陥を検出する。
また、欠陥検出手段124による欠陥検出方法としては、例えば、本出願人が既に出願した特願2004-292799の画像検査方法や、前記特許文献1(特開2001-266122号公報)に開示された色ムラ欠陥検査方法を利用してもよい。
(1)カメラ画素111の輝度データVLに基づいて欠陥検出を行う際に、基準色情報V0に対する各カメラ画素111の色相データVhの偏差に基づいて強調係数Veを求め、この強調係数Veによって前記輝度データVLを補正輝度データVL’に強調補正しているので、輝点欠陥部分の輝度データと正常部分の輝度データの差を大きくできる。このため、欠陥部分と正常部分の輝度差が小さい場合には、輝点欠陥検出用閾値を適切に設定することが難しく、欠陥部分を正常部分と誤検出したり、逆に正常部分を欠陥部分と誤検出してしまうことがあるが、本実施形態では、色相の偏差に基づいて欠陥部分と正常部分の輝度差を大きくできるので、輝点欠陥検出用閾値を適切に設定することができ、欠陥部分を精度良く検出することができる。
従って、特に、有機ELパネル2のように、輝度が局所的に高くなると同時にその部分の色が正常部分と異なることが多い検査対象における輝点欠陥を、容易にかつ高精度に検出することができる。
特に、前記実施形態のように、乗算(VL×Ve)が含まれる演算処理はコンピュータにおいて時間がかかるため、補正処理を行うカメラ画素111を必要最小限に抑えることで処理時間を大幅に短縮することができ、計算処理によるスループットの低下も防止できる。
例えば、輝度情報補正手段123による補正輝度データVL’の算出方法は前記実施形態に限らず、予め定数αを設定し、VL’=VL+α×Veによって補正輝度データVL’を求めてもよい。なお、定数αは検査対象等に応じて最適な値を設定すればよい。要するに、補正輝度データVL’の算出方法は、強調係数Veが大きくなった際に、補正輝度データVL’が強調されて大きな値になるようなものであればよい。
また、前記実施形態では、検査対象領域Aの全カメラ画素111の色相データVhの平均値で基準色情報V0を求めていたが、例えば、欠陥部分と推測されるカメラ画素111の色相データVhが影響しないように、所定の輝度値範囲内のカメラ画素111の色相データVhのみで平均値を算出してもよい。さらに、基準色情報V0の算出方法は、例えば、色彩計などの他の装置を用いて基準色情報を求めてもよいし、設計上の各表示画素21の色情報を基準色情報としてもよい。
Claims (8)
- 複数の撮像画素を有する撮像手段によって検査対象を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で撮像された撮像データにおいて検査対象領域を検出し、その検査対象領域の色情報および輝度情報を各撮像画素毎に取得する撮像画素データ取得工程と、
前記検査対象領域全体の基準色情報を求め、この基準色情報に対する各撮像画素の色情報の偏差を求め、この色情報偏差に基づいて強調係数を求める強調係数算出工程と、
前記強調係数算出工程で求めた強調係数を用いて、前記各撮像画素の輝度情報を補正輝度情報に補正する輝度情報補正工程と、
前記輝度情報補正工程で補正された補正輝度情報に基づいて前記検査対象領域内の欠陥を検出する欠陥検出工程と、
を備えることを特徴とする欠陥検査方法。 - 請求項1に記載の欠陥検査方法において、
前記強調係数算出工程は、
前記検査対象領域に含まれる各撮像画素の色情報の平均値を基準色情報とし、この基準色情報に対する各撮像画素の色情報の偏差の絶対値を求め、この偏差の絶対値に基づいて強調係数を求めることを特徴とする欠陥検査方法。 - 請求項1または請求項2に記載の欠陥検査方法において、
前記輝度情報補正工程は、
撮像画素の輝度情報が予め設定された輝度情報用閾値を超えている場合のみ、前記強調係数算出工程で求めた強調係数を用いて、前記各撮像画素の輝度情報を補正輝度情報に補正することを特徴とする欠陥検査方法。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の欠陥検査方法において、
前記撮像画素データ取得工程は、
各撮像画素毎にR,G,Bの各強度データVr,Vg,Vbを取得するRGBデータ取得工程と、
前記RGBの3種類の強度データの少なくとも1種類の強度データまたは各撮像画素の輝度データに基づいて検査対象領域を判定する領域判定工程と、
検査対象領域にある各撮像画素の強度データVr,Vg,Vbを、その撮像画素の色情報および輝度情報に変換するデータ変換工程と、
を備えることを特徴とする欠陥検査方法。 - 請求項4に記載の欠陥検査方法において、
前記データ変換工程は、
RGB空間の情報をHSL空間の情報に変換する変換式を用いて、検査対象領域にある各撮像画素の強度データVr,Vg,Vbを、色相データVh、彩度データVs、輝度データVLに変換し、前記色相データVhを撮像画素の色情報とし、輝度データVLを撮像画素の輝度情報とすることを特徴とする欠陥検査方法。 - 請求項5に記載の欠陥検査方法において、
前記強調係数算出工程は、
前記各撮像画素の色相データVhの平均値を基準色情報V0とし、この基準色情報V0に対する各撮像画素の色相データVhの偏差の絶対値を求め、この偏差の絶対値を前記基準色情報V0で除することで強調係数Veを算出し、
前記輝度情報補正工程は、輝度データVLに強調係数Veを乗じて算出した強調値を輝度データVLに加算して補正輝度情報VL’を求めることを特徴とする欠陥検査方法。 - 請求項5に記載の欠陥検査方法において、
前記強調係数算出工程は、
前記各撮像画素の色相データVhの平均値を基準色情報V0とし、この基準色情報V0に対する各撮像画素の色相データVhの偏差の絶対値を求め、この偏差の絶対値を前記基準色情報V0で除することで強調係数Veを算出し、
前記輝度情報補正工程は、予め設定された定数をαとした際に、定数αに強調係数Veを乗じて算出した強調値を輝度データVLに加算して補正輝度情報VL’を求めることを特徴とする欠陥検査方法。 - 複数の撮像画素を有し、検査対象を撮像して撮像データを取得する撮像手段と、
前記撮像手段で得られた撮像データにおいて検査対象領域を検出し、その検査対象領域の色情報および輝度情報を各撮像画素毎に取得する撮像画素データ取得手段と、
前記検査対象領域全体の基準色情報を求め、この基準色情報に対する各撮像画素の色情報の偏差を求め、この色情報偏差に基づいて強調係数を求める強調係数算出手段と、
前記強調係数算出手段で求めた強調係数を用いて、前記各撮像画素の輝度情報を補正輝度情報に補正する輝度情報補正手段と、
前記輝度情報補正手段で補正された補正輝度情報に基づいて前記検査対象領域内の欠陥を検出する欠陥検出手段と、
を備えることを特徴とする欠陥検査装置。
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