JP4534042B2 - 燐光体ナノ粒子およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、燐光体ナノ粒子およびその製造方法に関し、より詳細には、粒子径(直径)10ナノメートル以下の燐光体ナノ粒子であって、特に、生体分子マーカー用に好適な燐光体ナノ粒子およびその製造方法に関するものである。
半導体ナノ結晶(NC)は、粒度分布が狭くかつルミネセンスの効率の高いことから、光電子装置や生体蛍光標識法などに用いられている。半導体ナノ結晶は量子サイズ効果の影響により、サイズ調整が可能、すなわち粒子サイズが大きければ長波長である発光を呈する。しかしながら、近年の細胞内イメージングに関する研究において、細胞膜での半導体ナノ結晶の易動度がそのサイズに影響されていることが示された。すなわち、半導体ナノ結晶のサイズが大きい場合、半導体ナノ結晶の細胞内トラッキングが複雑になり、特に、核エンベロープを介した半導体ナノ結晶の搬送が阻害されるという報告が出ている。さらに、半導体ナノ結晶の安全性および毒性に関する問題も懸念されることから、半導体ナノ結晶の使用用途が制限される可能性が高くなっている。
生体蛍光標識法には、半導体ナノ結晶のほかに、有機系の蛍光物質も広く用いられているが、半導体ナノ結晶および有機系の蛍光物質はともに、その蛍光寿命が短く、生体自体から生じる蛍光(以下、自家蛍光と呼ぶ)の寿命(数〜数10ナノ秒)と大差がない。そのため、生体蛍光標識法において自家蛍光との区別がつき難い場合も多いという問題がある。
また、燐光性を有した希土類錯体も生体蛍光標識法に用いられることが知られている(例えば、非特許文献1(たとえば、非特許文献1を参照のこと)。ユーロピウムやテルビウムが希土類錯体に該当する。希土類錯体は、半導体ナノ結晶や有機系の蛍光物質に比べて蛍光寿命が長い(一般的に0.5ミリ秒)ため生体標識法として好適である。
K.Matsumoto,Y.Tsukahara,T.Umehara,K.Tsunoda,H.Kume,S.Kawasaki, J.Tadano,T.Matsuya,J.Chromatgr.,B773, (2002)135 B.M.Tissue, H.B.Yuan, J.Solid State Chem., vol 171, (2003), pp.12-18
しかしながら、上記した希土類錯体は安定性が低く、反応溶液中で発光中心金属が外れ易いという問題がある。
そこで、燐光を発する希土類をマトリクスにドープした燐光体の粒子である燐光体粒子が知られている(非特許文献2を参照のこと)。燐光体粒子は、上記した希土類錯体と比較して蛍光寿命に大差はないものの、希土類錯体に比べて安定性が高く、そのため希土類錯体よりも好適に生体標識法に用いることができる。
ところで、上述したように、細胞膜での透過性という観点等から、生体標識法においては生体分子マーカー自体のサイズを考慮する必要がある。具体的には、10nm程度のサイズが好適であることが知られている。しかしながら、上記した燐光体粒子は、結晶性および主としてそれに起因する蛍光強度の問題から、10nm程度のサイズのものを合成(製造)することが困難となっている。つまり、10nm程度の燐光体粒子を製造しようとすると、10nmよりも大きなサイズの燐光体粒子に比べて、その結晶性および蛍光強度の劣化が著しい。また、仮に一次粒子が10nmよりも小さかったとしても、それらの粒子が凝集していれば粗大粒子が形成されるために、易動度が著しく低下し、上述したような細胞内での生体分子挙動等への応用は非常に難しくなる。
そこで、本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、粒子径(直径)10nm以下の、凝集のない燐光体ナノ粒子と、その製造方法を提供することにある。
本願発明者は、燐光体ナノ粒子の製造工程に関して鋭意検討した結果、燐光を発する希土類をマトリクスにドープしてこれを結晶化させるための加熱処理に関して、粒子径(直径)10nm以下の燐光体ナノ粒子を製造することが可能な加熱環境を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る方法は、粒子径10nm以下の燐光体ナノ粒子を製造するための方法であって、希土類含有化合物と、当該希土類含有化合物の希土類をドープさせることができる酸化物を形成させるための原料と、溶媒とを混合して混合液を調製する混合工程と、上記混合液を加熱して、上記希土類を上記酸化物にドープさせた燐光体ナノ粒子を生成する加熱生成工程とを含むことを特徴としている。
上記の方法によれば、上記混合液を加熱することによって、上記酸化物に希土類がドープした粒子径10nm以下の酸化物ナノ結晶(燐光体ナノ粒子)を生成することができる。
本発明の方法によれば、混合工程において酸化物と希土類とが調製されることによって燐光体ナノ粒子の前駆体が形成される。そこで、例えば生体分子マーカーとして用いることが可能な完成した燐光体ナノ粒子を当該前駆体から生成するためには、前駆体の加熱処理が必要となる。本発明に係る方法では、この加熱処理を、前駆体が混合液中に存在している状態で行う。混合液中では前駆体は溶解しており、本発明による方法により形成された燐光体ナノ粒子同士が合成の際の加熱処理において凝集することはないため、凝集による燐光体ナノ粒子の粗大化を回避できる。
また、燐光体ナノ粒子同士の凝集が生じないことから、生成物において粒子径の揃った燐光体ナノ粒子を製造することが可能となる。
これにより、本発明の方法によれば、粒子径10nm以下の微細な燐光体ナノ粒子であっても良好に製造することができる。
また本発明に係る方法は、上記加熱生成工程後の混合液から上記燐光体ナノ粒子を取り出す分離工程をさらに含むことができる。
また本発明に係る方法では、上記加熱生成工程が、互いに異なる温度で上記混合液を加熱する第一加熱生成工程および第二加熱生成工程を含み、上記第一加熱生成工程の後であって、上記第二加熱生成工程の前に、上記混合液とトリオクチルフォスフィンオキサイド等の有効に凝集を抑制できる界面活性剤とを混合することが好ましい。
上記のように、加熱処理を第一加熱生成工程および第二加熱生成工程の2段階に分けて行うことにより、生成される燐光体ナノ粒子の結晶性の向上を図ることができるとともに、燐光体ナノ粒子同士が集積して粗大化することを回避することができる。
具体的には、第一加熱生成工程において非常に微細な燐光体ナノ粒子を生成する。次に、トリオクチルフォスフィンオキサイドを添加・混合した後、第二加熱生成工程において上記の非常に微細な燐光体ナノ粒子の粒子径を10nm以下となるまで成長させる。
トリオクチルフォスフィンオキサイド等の界面活性剤を混合することによって、粒子の凝集を抑制することが可能になるとともに、第二加熱生成工程に置いて生成される燐光体ナノ粒子の結晶性の向上を図ることができる
したがって、上記の構成とすることによって、希土類を良好に酸化物中にドープすることができ、かつ、良好な結晶性を有する燐光体ナノ粒子を製造することができるため、良好な燐光体ナノ粒子を製造することができる。
また、トリオクチルフォスフィンオキサイドを、第一加熱生成工程と第二加熱生成工程との間で混合することによって、粒子の結晶性を保ちながら凝集を抑制する効果を奏する。反応温度が低い場合には、粒子の凝集は起きないが、粒子の結晶性があがらず、十分な蛍光が得られない。一方で、トリオクチルフォスフィンオキサイドを添加せず、結晶性を向上させるために300℃まで加熱すると、結晶性は向上するものの、粒子同士が凝集し、マーカー用蛍光ナノ粒子として使うことが出来ない。混合工程でトリオクチルフォスフィンオキサイドを混合すると、粒子の結晶性が低下し、蛍光が得られない。
また本発明に係る方法は、上記混合工程で脂肪酸をさらに混合するが好ましい。脂肪酸は、この場合、原料を全て均一に溶解させるために必要である。脂肪酸を添加しない場合は、Y2(CO)3等の固体原料は均一な原料溶液を供しない。また、脂肪酸の添加量が低い場合には、溶解に時間がかかる。このため、イットリウム塩に対し、3倍以上のモル数の脂肪酸を加えることが望ましい。また、周知のように、脂肪酸は粒子の表面に吸着し、粒子同士の凝集・合体を抑制する働きも持つ。したがって、粒子径の揃った燐光体ナノ粒子を製造することが可能となるとともに、粒子径10nm以下の微細な燐光体ナノ粒子であっても良好に製造することができる。
また、脂肪酸を上記一級アミンとともに混合液と混合することにより、より一層燐光体ナノ粒子同士が凝集することを防ぐことができる。
なお、ここで「脂肪酸」とは、加熱生成工程における混合液の加熱温度よりも高い沸点を有する脂肪酸のことをさす。
また本発明に係る方法は、上記混合工程で一級アミンをさらに混合することが好ましい。
一級アミンにより、加熱生成工程によって形成される燐光体ナノ粒子同士が混合液中で凝集することを防ぐことができる。また、アミン添加量が少ない場合は溶液の塩基性が低下して沈殿を生じない。このため、脂肪酸:アミンの比は1:2以上が望ましい。したがって、粒子径の揃った燐光体ナノ粒子を製造することが可能となるとともに、粒子径10nm以下の微細な燐光体ナノ粒子であっても良好に製造することができる。
なお、ここで「一級アミン」とは、加熱生成工程における混合液の加熱温度よりも高い沸点を有する一級アミンのことをさす。
また本発明に係る方法は、上記加熱生成工程にて上記混合液を190〜330℃で加熱することが好ましい。
加熱温度が190℃以下であると析出に時間がかかる。加熱温度が高すぎる(たとえば330℃以上の場合)は、トリオクチルフォスフィンオキシドを加えていても生成物が凝集する。
また本発明に係る方法では、上記第一加熱生成工程を190〜260℃で上記混合液を加熱し、上記第二加熱生成工程を260〜330℃で上記混合液を加熱することが好ましい。
これにより、結晶性が高く、しかも凝集の少ない生成物が得られる。たとえば、第1加熱生成工程の時間を長くしても結晶性の高い生成物を得ることも可能であるが、その場合は生成物同士の凝集が起きやすい。
また本発明に係る方法では、上記酸化物として酸化イットリウムを用いることが好ましく、上記酸化物の原料としては、炭酸イットリウムや酢酸イットリウムを用いることができる。酸化物の原料として炭酸イットリウムや酢酸イットリウムを用いることにより、酸化物原料を容易に原料溶液に均一に溶解させることが可能になる。
また本発明に係る方法では、上記希土類含有化合物として炭酸ユウロピウムや酢酸ユウロピウムを用いることができる。これにより、希土類含有化合物を容易に原料溶液に均一に溶解させることが可能になる。
また本発明に係る方法では、上記一級アミンとしてオレイルアミンまたはオクチルアミンを用いることができる。
また本発明に係る方法では、上記脂肪酸としてオレイン酸を用いることができる。これにより、原料を上記混合溶液中に容易に溶解しつつ、なおかつ適切な反応時間で酸化物ナノ粒子を得ることが出来る。
本発明に係る燐光体ナノ粒子は、希土類を酸化物にドープしてなる燐光体ナノ粒子であって、直径10nm以下の円盤形状を有していることを特徴としている。
マトリクスである酸化物に希土類をドープしてなる本発明の燐光体ナノ粒子は、10nm以下の径を有した燐光体ナノ粒子であることから、特に、細胞膜を透過するような生体分子の挙動を観察する場合であっても、燐光体ナノ粒子は支障なく細胞膜を透過できる。そのため、生体標識法の生体分子マーカーとして好適に用いることができる。
さらに、本発明の燐光体ナノ粒子は円盤形状を有している。このため、同一径を有する球形の燐光体ナノ粒子と比較して燐光体ナノ粒子自体の重量が軽くなる。これにより、上記したような生体標識法の生体分子マーカーとして燐光体ナノ粒子を用いる場合に、燐光体ナノ粒子が融合した生体分子の挙動を制限することが軽減され、より正確な観察を行うことができる。
また、本発明の燐光体ナノ粒子は円盤形状、すなわち薄い板状であるため、球形の燐光体ナノ粒子と比較して、ドーピング量を多くしてもドーパントの濃度消光による蛍光量の低下を小さくすることが可能である。
また、本発明に係る燐光体ナノ粒子は、上記の構成に加えて、蛍光寿命が0.5ミリ秒を超えて2ミリ秒までの範囲であることが好ましい。
これにより、本発明の燐光体ナノ粒子を生体標識法の生体分子マーカーとして用いる場合に、上記した半導体ナノ結晶や有機系の蛍光物質と比較して、生体分子の挙動を長時間観察することができる。
また、本発明に係る燐光体ナノ粒子は、上記の構成に加えて、上記酸化物が炭酸イットリウムであることが好ましい。
また、本発明に係る燐光体ナノ粒子は、上記の構成に加えて、上記希土類がユウロピウムであることが好ましい。
本発明に係るキットは、生体内の特定部位を蛍光標識するためのキットであって、直径10nm以下の円盤形状を有した、希土類を酸化物にドープしてなる燐光体ナノ粒子を含むことを特徴としている。
本発明のキットは、直径10nm以下の微細な燐光体ナノ粒子を有しているため、例えば細胞膜を透過するような生体分子の挙動を観察する場合であっても、燐光体ナノ粒子は何ら支障なく細胞膜を透過できる。
また、上記燐光体ナノ粒子は円盤形状を有しているため、同一径を有する球形の燐光体ナノ粒子と比較して燐光体ナノ粒子自体の重量が軽くなる。これにより、燐光体ナノ粒子が融合した生体分子の挙動を制限することがなく、正確な観察を行うことができるキットを提供することができる。
本発明に係る方法は、以上のように、本発明に係る方法は、粒子径10nm以下の燐光体ナノ粒子を製造するための方法であって、希土類含有化合物と、当該希土類含有化合物の希土類をドープさせることができる酸化物と、溶媒とを混合して混合液を調製する混合工程と、上記混合液を加熱して、上記希土類を上記酸化物にドープさせた燐光体ナノ粒子を生成する加熱生成工程とを含むことを特徴としている。
上記の方法によれば、混合工程において酸化物と希土類とが調製されることによって、形成される燐光体ナノ粒子の前駆体が形成され、この前駆体が上記混合液中において加熱され、上記酸化物に希土類がドープした粒子径10nm以下の微細な燐光体ナノ粒子が生成される。前駆体は、混合液中で流動した状態で加熱される。これにより、加熱処理によって形成される燐光体ナノ粒子同士が加熱処理の熱によって凝集することはなく、凝集による燐光体ナノ粒子の粗大化も生じることはない。
したがって、混合液中において、粒子径の揃った、粒子径10nm以下の微細な燐光体ナノ粒子を良好に製造することができる。
また、本発明に係る燐光体ナノ粒子は、希土類をマトリクスである酸化物にドープしてなる燐光体ナノ粒子であって、上記燐光体ナノ粒子は、直径10nm以下の円盤形状を有していることを特徴としている。さらに、本発明に係るキットは、生体内の特定部位を蛍光標識するためのキットであって、直径10nm以下の円盤形状を有した、希土類をマトリクスである酸化物にドープしてなる燐光体ナノ粒子を有することを特徴としている。
本発明の燐光体ナノ粒子はサイズが小さく、例えば細胞膜を透過するような生体分子の挙動を観察する場合であっても、燐光体ナノ粒子は何ら支障なく細胞膜を透過できるため、生体標識法の生体分子マーカーとして好適に用いることができる。さらに、本発明の燐光体ナノ粒子は円盤形状を有しているため、同一径を有する球形の燐光体ナノ粒子と比較して燐光体ナノ粒子自体の重量が軽くなることから、燐光体ナノ粒子を生体標識法の生体分子マーカーとして用いる場合に、燐光体ナノ粒子が融合した生体分子の挙動を制限することがなく、正確な観察を行うことができる。
〔1〕燐光体ナノ粒子
無機の放射性又は電磁気により活性な物質は、それらに作用するエネルギーを吸収し、その後吸収したエネルギーを放出する、結晶性の化合物である。光の放出は、ルミネセンスとして知られている。励起エネルギーの除去後10−8秒以上光を放出し続ける物質は、燐光性であると言われている。燐光性物質は、燐光体や発光体として知られている。燐光性物質とは対照的に、励起後即座に、または10−8秒以内に光の放出が終わる物質は、蛍光性物質と言われている。燐光体の残光の半減期は物質によって変り、典型的には10−6秒〜数日の範囲である。
燐光体は一般的には、ストークス(下側に転換する)燐光体または抗−ストークス(上側に転換する)燐光体として分類され得る。光子の形体でエネルギーを吸収し、低めの周波数域の光子を伝達する燐光体は、下側に転換する燐光体である。これに対し、低い周波数で2またはそれ以上の光子の形体でエネルギーを吸収し、高めの周波数域で放出する燐光体は、上側に転換する燐光体である。燐光体はまた、燐光体を励起させるエネルギーの性質によって分類することができる。例えば、低いエネルギー光子によって励起される燐光体は、光ルミネセンスと呼ばれており、また陰極線によって励起される燐光体は、陰極ルミネセンスと呼ばれている。他の電磁気により活性な粒子としては、顔料および無線周波数吸収体等が挙げられる。
燐光体は、非常に様々な用途において使用されている。この様な用途としては、例えば、大量生産された商品又は高価値の商標登録された物品のコード化、印刷インク、生物学的アッセイ、全般照明、安全照明、x線装置、テレビおよびコンピューターのモニター画面等の陰極線管等が挙げられる。生物学的アッセイの一例として、燐光体を生体分子マーカーとして用いた生体標識法があるが、燐光体を生体標識法に用いる場合、燐光体の細胞膜での透過性を考慮して、10nm程度の粒子(以下、燐光体ナノ粒子と呼ぶ)として調製(製造)する必要がある。
10nm程度の燐光体ナノ粒子の製造方法についての報告は数少なく、特に、酸化物をマトリクスとして用いた燐光体ナノ粒子に関してはほとんど知られていない。酸化物をマトリクスとして用いた燐光体ナノ粒子の製造方法として、溶媒中で燐光体ナノ粒子の前駆体を生成しておき、この前駆体を溶媒から取り出して乾燥させ、続いて上記前駆体を結晶化させるために500℃を超える高熱処理を施すという方法があるが、この方法によって製造できる燐光体ナノ粒子の粒子径は20〜50nmが限界であった。そのため、10nm程度の酸化物をマトリクスとした燐光体ナノ粒子の製造方法については知られていないのが現状である。
そこで、本願発明者らは、燐光を発する希土類金属をマトリクスにドープしてこれを結晶化させるために行う加熱処理に着目し、粒子径10nm以下の燐光体ナノ粒子を製造することが可能な加熱環境を見出し、本発明を完成させるに至った。
以下に、本発明に係る、粒子径10nm以下の燐光体ナノ粒子を製造するための方法の一実施形態について説明する。
なお、以下の説明では、炭酸イットリウムをマトリクス(酸化イットリウム)の原料として用いる燐光体ナノ粒子の製造方法について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、酸化イットリウムの原料は炭酸イットリウムや酢酸イットリウム以外のものであってもよい。さらには、燐光性を有する物質をドープさせることができるマトリクスであればイットリウム以外の希土類酸化物マトリクスであってもよい。また、以下の説明では、炭酸ユウロピウムを、燐光を発する希土類含有化合物として用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、マトリクスクにドープできる、燐光を発するものであれば、ユウロピウム以外の希土類であってもよく、さらには、希土類以外の燐光性を有する物質であってもよい。
図1に本実施形態の方法を説明するフローチャートを示す。本発明に係る方法は、図1に示すように、
(1)炭酸イットリウム(マトリクスとなる酸化物を形成できる原料)と、炭酸ユウロピウム(希土類含有化合物)とを混合して混合液を調製する混合工程(S1)と、
(2)上記混合工程によって調製された混合液を加熱して、酸化イットリウムを格子骨格するマトリクスにユウロピウム(希土類)がドープした燐光体ナノ粒子を生成する加熱生成工程(S2)とを含む方法を提供する。
さらには、加熱生成工程(S2)によって生成された燐光体ナノ粒子を、上記混合液から回収するために、本発明の方法は、上記(1)・(2)に加えて、
(3)上記加熱生成工程(S2)によって生成された上記燐光体ナノ粒子を上記混合液から取り出す分離工程(S3)を含む方法を提供する。
上記混合工程(S1)では、炭酸イットリウムと炭酸ユウロピウムとを、脂肪酸含有溶液(溶媒)と混合して混合液を調製する。脂肪酸含有溶液としては、オレイン酸、リノール酸、デカン酸、ヘキサデカン酸といった脂肪酸を含有する溶液が挙げられる。中でも、続く加熱生成工程で生成される燐光体ナノ粒子同士の凝集を効果的に防ぐために、オレイン酸、リノール酸を用いるのか好ましい。脂肪酸含有溶液にイットリウム塩とユウロピウム塩とを混合することによって、混合液中では金属脂質複合体が形成される(以下、これを燐光体ナノ粒子前駆体と呼ぶ)。
イットリウム塩は、脂肪酸含有溶液10mlに対して0.1mmol以下であると生成物の収量が少なくなり、実用には適さない。また、2mmol以上である場合は、イットリウム塩の溶解速度が著しく低くなり、原料溶液の調整に時間がかかる。
ユウロピウム塩は、イットリウム塩に対して、Eu/Y比がモル比で0.01以上になることが望ましい。Eu/Y比が低くなるにつれて、蛍光強度は低下するが、これ以下であれば、実用的な蛍光強度は得られない。また、Eu/Y比が0.1が最も好適であり、それ以上Eu/Y比を大きくすると徐々に量子収率は低下する。0.5を超えて添加した場合は実用的な蛍光が得られなくなる。また、脂肪酸含有溶液に対して塩濃度が低すぎる場合には、収率が低下する。
イットリウム塩およびユウロピウム塩の混合については、イットリウム塩をユウロピウム塩よりも先に脂肪酸含有溶液に混合してもよく、逆であってもよく、さらには、イットリウム塩およびユウロピウム塩を同時に脂肪酸含有溶液に混合してもよい。
なお、本発明の方法は、上記したように、酸化イットリウム以外の酸化物、およびユウロピウム以外の希土類であっても適用することができる。そこで、上記した濃度は、酸化イットリウム以外の酸化物、およびユウロピウム以外の希土類が用いられる場合であっても適用することができる。
さらに、本実施形態では、脂肪酸含有溶液にさらに一級アミンを混合することが好ましい。一級アミンとしては、オレイルアミン、ドデシルアミン、ヘキシルアミンが挙げられるがこれに限定されるものではない。一級アミンを混合することによって、続く加熱生成工程によって形成される燐光体ナノ粒子同士が混合液中で凝集することを防ぐことができる。一級アミンの混合(添加)量は、脂肪酸に対して、モル比で、(アミン/脂肪酸)=2/1以上であれば、ナノ粒子の生成はなされない。そのため、原料塩が原料溶液に溶解する範囲であれば、アミンの混合量を2/1以上、望ましくは4/1以上にすることが望ましい。
上記加熱生成工程(S2)では、上記混合工程(S1)で得られた混合液を加熱することによって、混合液中に生成した燐光体ナノ粒子前駆体が分解し、様々な粒子系を有する、イットリウムを格子骨格するマトリクスにユウロピウムがドープした酸化物ナノ結晶(燐光体ナノ粒子)が生成する。加熱生成工程(S2)では、図1に示すように、第一加熱生成工程(S2a)および第二加熱生成工程(S2b)を含む。
第一加熱生成工程(S2a)では、混合工程(S1)で得られた混合液を190℃以上、260℃以下の温度で加熱する。これにより、混合液中に生成した燐光体ナノ粒子前駆体が分解し、平均約4nmの非常に微細な燐光体ナノ粒子が生成する。
具体的には、第一加熱生成工程(S2a)では、まず上記混合工程(S1)で得られた混合液を130℃以下、好ましくは約70℃で減圧脱水する。脱水温度が高すぎると、脱水と同時にナノ粒子の析出反応が起こり、生成物の結晶性が低下するなど、生成物の特性制御が難しくなる。減圧脱水時間は、15分以上が望ましいが、10時間以上になると副反応が起こる可能性がある。そして、減圧脱水後の混合液を190℃以上、より好ましくは230℃以上であって、260℃以下、より好ましくは240℃以下の温度で加熱する。200℃以下であれば、ナノ粒子の生成速度が著しく低下し、また、260℃以上であれば、ナノ粒子同士の凝集が激しくなる。第一加熱生成工程(S2a)における加熱時間は温度により好適な時間が異なるが、10分〜20時間行うことが好ましく、約2時間であることが好ましい。高温ほど短時間の加熱でよい。加熱時間が短すぎると、ナノ粒子の生成量が少なく、加熱時間が長すぎると、ナノ粒子同士の凝集が激しくなる。
第一加熱生成工程(S2a)の後に、混合液にトリオクチルフォスフィンオキサイド(以下、TOPOとする)を添加・混合する。TOPOの添加量は、第一加熱生成工程後の混合液に対して1mmol以下であると第二加熱生成工程中の生成ナノ粒子同士の凝集を防ぐことは出来ないため、1mmol以上となるように添加・混合することが好ましく、4mmol以上がより好ましい。TOPOを添加することによってTOPOが生成したナノ粒子に効果的に吸着し、ナノ粒子を安定化させるため、TOPOが添加されていない場合にはナノ粒子同士が凝集するような条件においても、長時間加熱することが可能になり、結晶性が高く、実用的な強度の燐光を生じさせることの出来る生成物を得ることが可能になる。
またTOPOを、第一加熱生成工程後であって、第二加熱生成工程前の混合液に添加することによって、結晶性が高く、燐光を生じさせることが出来、しかも粒子同士の凝集が少ない酸化物燐光ナノ粒子を得ることが可能になる。
続いて、第二加熱生成工程(S2b)では、TOPOが添加・混合された混合液を260℃以上、330℃以下の温度で加熱する。これにより、第一加熱生成工程によって混合液中に生成した非常に微細な燐光粒子を所望の径(10nm以下)の燐光粒子に成長させることができる。
具体的には、第二加熱生成工程(S2b)では、260℃以上、より好ましくは270℃以上であって、330℃以下、より好ましくは300℃以下の温度で加熱する。
第二加熱生成工程(S2b)における加熱時間は、温度にその最適な時間が異なり、より低温ほど長い加熱時間が必要になるが、10分〜2時間の間で行うことが好ましく、約0.5時間行うことが好ましい。加熱時間が不適当に長いと、粒子間の凝集を招くことがある。
以上のような第一加熱生成工程(S2a)および第二加熱生成工程(S2b)では、上記した温度範囲で加熱することができれば従来公知の加熱方法を用いることができる。例えば、後述する実施例にあるように、混合液を入れた容器を油浴に入れて、油浴を所望の温度に設定することによって、容器内の混合液を加熱するという構成を採用することができる。
以上の混合工程(S1)および加熱生成工程(S2)(第一加熱生成工程(S2a)および第二加熱生成工程(S2b))によって、混合液中に形成された燐光体ナノ粒子前駆体を結晶化させ、酸化イットリウムを格子骨格するマトリクスにユウロピウムがドープした燐光体ナノ粒子を生成することができる。
なお、本実施形態ではTOPOを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、有効に凝集を抑制できる界面活性剤であれば種々の界面活性剤を用いることができる。具体的には、トリブチルフォスフィンオキシド、トリフェニルフォスフィンオキシド、トリオクチルフォスフェイト、トリオクチルアミン、トリオクチルカルボン酸などが挙げられる。
最後に、混合液中に生成した燐光体ナノ粒子を混合液から回収するために分離工程(S3)を行う。
分離工程(S3)では、まず、混合液中に生成した燐光体ナノ粒子の洗浄を行う。具体的には、第二加熱生成工程(S2b)を終えた混合液を、60℃〜15℃に冷却する。温度が高すぎると次のメタノールを添加する工程でメタノールの蒸発が激しくなり、制御が難しくなる。また、溶液組成にもよるが、温度が低すぎると生成物を含む溶液が凝固し、洗浄が行いにくくなる。溶液組成に冷却後、混合液に対して200%以上、好ましくは400%以上となるようにメタノールを添加する。メタノールの添加により、混合液中の燐光体ナノ粒子が緩く凝集する。最後に、混合液を遠心分離により沈降させ、その沈殿物を回収する。この沈殿物が、粒子径10nm以下の微細な燐光体ナノ粒子である。なお、この沈殿物(燐光体ナノ粒子)は、トルエンなどの非イオン化した溶剤中に容易に分散させることができ、透明の溶液を与える。
以上に説明した本発明に係る方法によれば、混合工程において酸化物と希土類とが調製されることによって、燐光体ナノ粒子の前駆体を形成し、当該前駆体が混合液中に存在している状態で加熱処理を行う。そのため、混合液中では当該前駆体は分散(流動)しているため、形成された燐光体ナノ粒子同士が加熱処理の熱によって凝集することはなく、凝集による燐光体ナノ粒子の粗大化を回避することができる。
また、燐光体ナノ粒子同士の凝集が生じないことから、粒子径の揃った燐光体ナノ粒子を製造することが可能となる。
すなわち、以上の方法を用いれば、酸化イットリウムにユウロピウムがドープした粒子径10nm以下の微細な燐光体ナノ粒子であっても良好に生成(製造)することができる。
なお、本実施形態では、マトリクスとなる酸化物として酸化イットリウムを用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化ルテニウム、酸化ガドリニウム、イットリウムオキシ硫化物を用いることができる。また、燐光性を有する物質としてユウロピウムを用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、プラセオジム、サマリウム、テルビウム、ジスプロシウム、ガドリニウム、ホルミウム、ツリウム、エルビウムなどの希土類元素を用いることができる。
また、本実施形態では、加熱生成工程(S2)において、第一加熱生成工程(S2a)および第二加熱生成工程(S2b)の2段階の加熱処理を行うように構成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、加熱生成工程(S2)を1段階で構成することも可能である。以下に、加熱生成工程(S2)の他の実施形態を図2および図3を用いて説明する。
図2および図3は、加熱生成工程(S2)の他の実施形態を説明した本発明の方法のフローチャートである。図1で説明した加熱生成工程(S2)では、第一加熱生成工程(S2a)および第二加熱生成工程(S2b)の2段階の加熱処理を行っている。これに対し、図2および図3では1段階の加熱処理で加熱生成工程(S2’)を構成している。図2に示す加熱処理では、図1で説明した加熱生成工程(S2)における第一加熱生成工程(S2a)および第二加熱生成工程(S2b)のうちの何れかの工程を採用した構成である。なお、図2において、TOPOを加熱処理の途中で混合液に添加することができる。図3に示す加熱処理では、加熱生成工程(S2)における第一加熱生成工程(S2a)を採用し、上記した第一加熱生成工程(S2a)の加熱時間を2倍長くした構成である。なお、図3においてもTOPOを加熱処理の途中で混合液に添加することができる。しかしながら、図1で説明した方法を用いることによって、生成される燐光体ナノ粒子の結晶性の向上を図ることができるとともに、燐光体ナノ粒子同士が凝集して粗大化することを回避することができるため、図1の方法を採用することが好ましい。
図1〜図3に示す各方法により得られる燐光体ナノ粒子の具体的な特性については、後述する実施例において説明する。
〔2〕燐光体ナノ粒子の利用
本発明はまた、粒子径10nm以下の円盤形状を有した、希土類をマトリクスである酸化物にドープしてなる燐光体ナノ粒子を備える、生体内の特定部位を蛍光標識するためのキットを提供する。なお、本明細書中において使用される場合、用語「キット」は、特定の材料を内包する容器(例えば、ボトル、プレート、チューブ、ディッシュなど)を備えた包装が意図される。好ましくは該材料を使用するための指示書を備える。本明細書中においてキットの局面において使用される場合、「備える」は、キットを構成する個々の容器のいずれかの中に内包されている状態が意図される。また、本発明に係るキットは、複数の異なる組成物を1つに梱包した包装であり得、ここで、組成物の形態は上述したような形態であり得、溶液形態の場合は容器中に内包されていてもよい。本発明に係るキットは、物質Aおよび物質Bを同一の容器に混合して備えても別々の容器に備えてもよい。「指示書」は、紙またはその他の媒体に書かれていても印刷されていてもよく、あるいは磁気テープ、コンピューター読み取り可能ディスクまたはテープ、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)などのような電子媒体に付されてもよい。本発明に係るキットはまた、希釈剤、溶媒、洗浄液またはその他の試薬を内包した容器を備え得る。
本発明に係るキットにおける燐光体ナノ粒子およびその他の物質の使用方法は、上述した組成物の使用形態に準じればよいことを、本明細書を読んだ当業者は容易に理解する。
本発明は、以下の実施例によってさらに詳細に説明されるが、これに限定されるべきではない。
〔実施例1〕
本発明者らは、上記した方法を用いて燐光体ナノ粒子の製造(生成)を行った。本実施例では、図1に示すフローチャートに沿って燐光体ナノ粒子を製造した。
まず、混合工程(図1のS1)において、0.5mmolの炭酸イットリウム(Sigma-Aldrich Corp.社)と、0.025〜0.4mmolの炭酸ユウロピウム(Sigma-Aldrich Corp.社)と、10gのオレイン酸(Wako Pure Chemical Industries Ltd.社)とを密閉したガラス製の容器に入れ、マグネチックスターラーを用いて60℃で一晩かけて混合し溶解させた。なお、炭酸イットリウムおよび炭酸ユウロピウムは、吸湿性があるので、全ての作業は乾性窒素ガス下で行った。
次に、炭酸イットリウムと、炭酸ユウロピウムと、オレイン酸との混合液を1gとり、4gのオレイルアミンと混合した。
そして、混合液を50mlのガラス製の容器に入れ、冷却水凝結機を使用して70℃、1時間、真空下で脱水した。
次に、油浴の温度を230℃に設定した加熱器を用いて、脱水処理した混合液を油浴中で2時間保持した(第一加熱生成工程、図1のS2a)。
次に、結晶性を改善するために、230℃で加熱処理した混合液にTOPOを添加した。添加量は、混合液(2g)に対してTOPO(1g)となるように添加し、混合した(図1のS2b)。
続いて、TOPOが添加された混合液が入った容器を、280℃に設定した油浴に入れ30分間加熱処理した(第二加熱生成工程、図1のS2c)。加熱後は混合液の温度が室温になるまで冷却した。冷却後、メタノールを添加した。メタノールは、生成した溶液に対して約4倍となるように添加した。
メタノールを添加した混合液は混濁し、白い沈殿物が生成した。そこで、混合液を遠心分離(5000rpm、10分間)し、沈殿物を回収した。沈殿物はトルエン中に容易に分散した。
比較例
次に、図2に示したフローチャートの方法に沿って燐光体ナノ粒子の製造(生成)を行った。本比較例では、260℃で2時間の加熱処理を行った。
具体的には、上記実施例1と同様に混合工程(S1)によって炭酸イットリウムと、炭酸ユウロピウムと、オレイン酸との混合液を調製したのち、この混合液を1gとり、4gのオレイルアミンと混合し、混合液を50mlのガラス製の容器に入れて、冷却水凝結機を使用して70℃、1時間真空下で脱水した。
次に、油浴の温度を260℃に設定した加熱器を用いて、脱水処理した混合液を油浴中で2時間保持した(図2のS2’)。
加熱後は混合液の温度が室温になるまで冷却し、メタノールを添加した。メタノールは、生成した溶液に対して約4倍となるように添加した。メタノールを添加した混合液は混濁し、白い沈殿物が生成した。そこで、混合液を遠心分離(5000rpm、10分間)し、沈殿物を回収した。沈殿物はトルエン中に容易に分散した。
以下に、実施例1および比較例によって生成された沈殿物(本発明に係る燐光体ナノ粒子)の解析を行った。
図4(a)〜(c)は、TEM(TEM:transmission electron microscope)による顕微鏡画像である。図4(a)は、実施例1における第一加熱生成工程(図1のS2a)直後の混合液中で生成した単分散ナノ結晶を観察した画像である。図4(b)は、比較例における分離工程後に得られた沈殿物(本発明に係る燐光体ナノ粒子)を観察した画像である。図4(c)は、実施例1における分離工程後に得られた沈殿物(本発明に係る燐光体ナノ粒子)を観察した画像である。また、図5は、図4(a)〜(c)で観察した単分散ナノ結晶および沈殿物のX線回折(XRD:X-ray diffractometer、日本フィリップス株式会社製PW1820)の結果を示している。図5中のスペクトルaが図4(a)の単分散ナノ結晶のX線回折結果であり、図5中のスペクトルbが図4(b)の沈殿物のX線回折結果であり、図5中のスペクトルcが図4(c)の沈殿物のX線回折結果である。
まず、図4(a)の単分散ナノ結晶が、図5中のスペクトルaから、Yの立方晶であることが示され、ピークが幅広であることから当該立方晶のサイズは小さいことが示された。HRTEM(high resolution transmission electron microscope)を用いて、単分散ナノ結晶は約4nmの粒子径を有していることがわかった。なお、この混合液をさらに2時間230℃で加熱する、または260℃に温度を上げて加熱すると、図5中のスペクトルaのピークは鋭くなり、当該立方晶のサイズが大きくなった。
図4(b)は、比較例における分離工程後に得られた沈殿物であり、粒子の多くが互いに集積していることが示された。これらの粒子をSEM(株式会社日立製作所製、S-5200)およびHRTEMを用いて解析したところ、各粒子は直径15nmで、高さ2nmの円盤形状を有していることがわかった。
図4(c)は、2段階の加熱処理を行った実施例1の沈殿物を解析したものである。解析結果から、この沈殿物が、直径6nmの良好な分散性を有し、かつ粒子同士が集積していない、結晶性の優れたY:Eu(燐光体ナノ粒子)であることが示された。また、図4(a)や(b)に比べて、365nmの紫外線ランプ(1mW/cm)により紫外線を照射して、目視により赤色の良好な光ルミネセンスを示すことがわかった。
そこで、実施例1の沈殿物(Y:Eu)の詳細な解析を行った。解析結果を図6〜図7に示す。
図6は、実施例1の沈殿物(Y:Eu)の蛍光スペクトル解析結果である。発光スペクトル解析には、UV可視分光光度計(株式会社島津製作所製、UV-1600)および分光蛍光光度計(JASCO Inc.社製、FP-6600)を使用した。トルエン中に分散した沈殿物(Y:Eu)は、、および遷移に起因する594nm、614および628nm、656nm、および709nmにおいてピークを示した。なお、ここでは、600nm付近の励起ピークを回避するため、466nmの励起波長を使用したので、発光ピークが明確になった。バルクY:Euとは異なり、全ての発光ピークは広がり、628nmを中心とした1つの新しいピークが現れた。
これまでの、立方晶Y:Eu3+遷移に関する多くの研究において、611、612、614、621、626、および631nmでの複数のピークが予測されており、中でも611または612nmピークが最も強く、他のピークはマイクロ結晶およびナノ結晶の双方において弱いことが予測されていた。したがって、本発明に係る方法によって、初めて、遷移に対する同等のレベルを示す2つのピークが、614および628nmにおいて観察された。
また、610と630nmとの間の2つの近接したピークの、ローダミンBを基準物質として測定した量子収率は、約2.6%、消光係数は1000L/mol・cm−1以上、蛍光寿命は約2msである。これは現状で市販されている希土類錯体と同程度の物であり、この材料の高い安定性を考慮すれば、この材料(本発明に係る燐光体ナノ粒子)の生体標識法への利用を促進させることが期待できる。
波長614nmに対する励起スペクトルを図7に示す。図7から、複数のピークが、(381nm)、(394nm)、(416nm)、(466nm)、(536nm)、および(580nm)に対する励起遷移を示していることが明らかである。また、280nm〜380nmにおいて連続した励起ピークがあることがわかる。換言すれば、614nmでは、これらの範囲の波長の何れにおいても強く発光することがわかる。
次に、実施例1において、炭酸ユウロピウムのドーピング量を0.025〜0.4mmolの範囲で変化させた場合のQYを測定した。測定する際、DNA鎖における吸収や生物学的機構における潜在的に有害な影響を最小限にするために、330nmの励起波長を用いた。その結果、全てのサンプルにおいて同等の発光および励起ピークが現れ、614nmおよび628nmの2つのピークに基づいて算出した場合、イットリウムに対して、15%のモル数のEuドーピングサンプルが最適なQY(2.6%)を示した。言うまでもなく、本実施例で生成したY:EuのEuの消光濃度は、従来のもの(通常6〜8%)と比較して最も高かった。また、15%のEuドーピングサンプルに関しては、330nmにおける吸収係数が10L/molであった(蛍光免疫測定法(FIR)に用いるフルオレサミンといった蛍光有機プローブは、吸収係数:6.4×10L/mol、QY:10%である)。さらに蛍光寿命に関しては、約2ミリ秒であった。したがって、無機材料の本質的な安定性により再分散可能な本発明のY:Euナノ結晶の燐光体ナノ粒子は、TR−FIR(時間分解蛍光免疫測定法:time resolved fluorescence immunoassay)の新しいプローブとして好適であることが示された。
〔参考例〕
本参考例では、TOPOを添加せず、270℃の加熱処理を、加熱処理時間を変化させた方法によって生成したY:Euナノ結晶の構造を解析した。
具体的には、実施例1および比較例と同じく、混合工程(S1)を行った後、加熱生成工程において270℃で、それぞれ20分間、40分間、70分間加熱したサンプルを調製した。
図8(a)〜(d)は、参考例の方法によって生成したY:Euナノ結晶の顕微鏡画像である。図8(a)は加熱処理20分のサンプルのTEM解析画像、図8(b)は加熱処理40分のサンプルのTEM解析画像、図8(c)は加熱処理70分のサンプルのTEM解析画像であり、図8(d)は加熱処理70分のサンプルのSEM解析画像である。また、図8(e)は、比較例で得られたY:Euナノ結晶(図4(b))のHRTEM解析画像である。
図8(a)から、加熱開始20分後に1次元ナノディスク集積体が生成していることが示された。また、図8(b)の加熱開始40分後には、2次元ナノディスク集積体が生成していることが示された。加熱開始60分後には、トルエンに対する分散性を示さない沈殿物が混合液中に生成された。図8(c)・(d)に示した加熱開始70分後のサンプル中のY:Euナノ結晶は、図8(a)・(b)と同じくディスク集積体であるが、鎖状に集積した3次元集合体となっていることがわかった。
以上のように、本発明に係る方法は、非加水分解的で、かつ比較的低い温度で、分散性に優れた立方晶のY:Euナノ結晶を容易に製造することができる。また、このY:Euナノ結晶のトルエン溶液からは、2つの強い発光ピーク(614nmおよび628nm)と、280〜380nmの励起波長範囲において連続したピークとが得られ、15mol%のEuドーピングのものでは量子収量2.6%を達成することができた。このように、本発明に係る方法によって製造されたY:Euナノ結晶は、分散性に優れており、蛍光寿命が長く、量子収量が改善されているため、生体標識法としての適用が期待できる。また、注目すべきは、Y:Euナノ結晶自体の毒性が低い点である。さらに、本発明に係る方法においてTOPOを添加することなく製造された円盤形状のY:Euナノ結晶は、互いに集積(自己集積)して1〜3次元構造を構成する。この1〜3次元構造は、将来的に、ナノデバイスへの適用が期待できるものである。
上記実施例1および比較例にて説明したように、本発明の製造方法によれば、互いに凝集することなく粒子径10nm以下の微細な燐光体ナノ粒子を良好に製造することができることが示された。また、製造された燐光体ナノ粒子は、蛍光寿命が比較的長いことから、特に、生体分子マーカーとしての利用が期待できるものである。
本発明に係る方法によれば、粒子径10nm以下の微細な燐光体ナノ粒子を製造することができる。
従って、燐光体ナノ粒子が適用されたインクジェットプリンターで使用可能なインク組成物や、コンピューターのモニター等の製造に適用できるばかりでなく、粒子径10nm以下の燐光体ナノ粒子を生体分子マーカーとして用いることによって、生体活性を妨げることなくその挙動を観察することができるため、燐光体ナノ粒子を用いた生体分子マーカーの製造に適用することができる。
本発明の方法の一実施形態を示した燐光体ナノ粒子製造のフローチャートである。 本発明の方法の一実施形態を示した燐光体ナノ粒子製造のフローチャートであり、図1の構成とは異なる加熱生成工程を含む燐光体ナノ粒子製造のフローチャートである。 本発明の方法の一実施形態を示した燐光体ナノ粒子製造のフローチャートであり、図1の構成とは異なる加熱生成工程を含む燐光体ナノ粒子製造のフローチャートである。 (a)〜(c)は、本発明の方法によって製造された燐光体ナノ粒子のTEM解析画像である。 図4(a)〜(c)の燐光体ナノ粒子のX線回折結果を示すグラフである。 実施例1の沈殿物(燐光体ナノ粒子)の発光スペクトル解析結果を示したグラフである。 実施例1の沈殿物(燐光体ナノ粒子)の波長614nmに対する励起スペクトルを示したグラフである。 (a)〜(d)は、実施例3の方法によって生成したY:Euナノ結晶の顕微鏡画像であり、(e)は図4(b)に示した燐光体ナノ粒子(Y:Euナノ結晶)のHRTEM解析画像である。

Claims (10)

  1. 粒子径10nm以下の燐光体ナノ粒子を製造するための方法であって、
    希土類含有化合物と、当該希土類含有化合物の希土類をドープさせることができる酸化物を形成できる原料と、溶媒とを混合して混合液を調製する混合工程と、
    上記混合液を加熱して、上記希土類を上記酸化物にドープさせた燐光体ナノ粒子を生成する加熱生成工程とを含み、
    上記加熱生成工程は、互いに異なる温度で上記混合液を加熱する第一加熱生成工程および第二加熱生成工程を含み、
    上記第一加熱生成工程の後であって、上記第二加熱生成工程の前に、上記混合液と界面活性剤を混合し、
    上記酸化物を形成できる原料として、炭酸イットリウムもしくは酢酸イットリウムを用い、
    上記界面活性剤として、トリオクチルフォスフィンオキサイド、トリブチルフォスフィンオキシド、トリフェニルフォスフィンオキシド、トリオクチルフォスフェイト、トリオクチルアミン、または、トリオクチルカルボン酸を用いることを特徴とする方法。
  2. 上記混合工程では、脂肪酸をさらに混合することを特徴とする請求項に記載の方法。
  3. 上記混合工程では、一級アミンをさらに混合することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 上記第一加熱生成工程を190〜260℃で上記混合液を加熱し、上記第二加熱生成工程を260〜330℃で上記混合液を加熱することを特徴とする請求項からの何れか1項に記載の方法。
  5. 上記希土類としてユウロピウムを用いることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の方法。
  6. 上記一級アミンとしてオレイルアミンまたはオクチルアミンを用いることを特徴とする請求項に記載の方法。
  7. 上記脂肪酸としてオレイン酸を用いることを特徴とする請求項に記載の方法。
  8. 請求項1から7までの何れか1項に記載の方法によって得られる燐光体ナノ粒子であって、
    上記燐光体ナノ粒子は、直径10nm以下の円盤形状を有していることを特徴とする燐光体ナノ粒子。
  9. 蛍光寿命が、0.5ミリ秒を超えて2ミリ秒までの範囲であることを特徴とする請求項に記載の燐光体ナノ粒子。
  10. 生体内の特定部位を蛍光標識するためのキットであって、
    請求項1から7までの何れか1項に記載の方法によって得られる、直径10nm以下の円盤形状を有した燐光体ナノ粒子を有することを特徴とするキット。
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