JP4531517B2 - コンクリートのひびわれ補修方法 - Google Patents
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Description
上記ひびわれは、堤体上流面に生じるものや下流面に生じるものがあり、また、その形態も、図2に示すように、ダムの堤体50のブロックの中央部分に生じる、横継ぎ目51に平行に、複数リフトをまたいで延長する鉛直ひびわれ11や、水平打ち継ぎ目52に平行に生じる水平ひびわれ12などがある。中でも、堤体50の上流面に生じるひびわれは、上流に水を溜めたときに、上記ひびわれから堤体50に染込んだ水が、横継ぎ目51や水平打ち継ぎ目52を経由して下流面に至る恐れがあり、このため、コンクリートダムとしての信頼性を損ねる原因となる。
実際にコンクリートダムに発生しているひびわれは、一般には、幅の広いものであっても0.5mm程度とそれほど大きいものではないが、ダムの安定を確認するために行う試験湛水(周辺地山の地滑りの有無や漏水状態を確認するため、上流ダム湖の湛水時における最上の水位まで試験的に水を溜めること)を開始してからでは、上記ひびわれを補修することが困難であるので、上記ひびわれを上記湛水前に予め補修しておくことがコンクリートダムの信頼性や美観の点から望ましい。
また、費用的な問題から、ひびわれに、人力によりセメント粉末を摺り込む方法も行なわれている。
また、結晶増殖剤を充填する方法では、表面のクラックなどの浅いひびわれには有効であるが、コンクリートダムなどのひびわれに対して止水効果が十分ではなく、また、季節によるひびわれの幅の変化に対して追従できないといった問題点がある。
また、Vカット62を施し、そこに樹脂63を充填する方法では、止水材である樹脂63と堤体50との縁が切れるため、耐久性に問題がある。
一方、削孔64からウレタン材などの止水材65を圧送して充填する方法では、細いひびわれにはなかなか浸透しないだけでなく、止水材65を高圧にて圧入するため、図5(b)に示すような、粗骨材50Gとモルタルとの接着面が破壊され、ひびわれ10に注入した上記止水材65が、上記付着が破壊された粗骨材50Gとモルタルの隙間10Gにも浸透してこれがコンクリート表面に出てきてしまい、そのため不都合も併発するので問題である。また、上記止水材65は大変高価であるので、全てのひびわれについて上記止水材65の充填を実施するのは現実的ではない。
また、セメント粉末を摺り込む方法は、ひびわれ表面部の1〜2mmを充填するのにとどまり、ひびわれの奥までセメント紛を摺り込んで上記ひびわれを充填することが困難であった。
図1は、本発明の最良の形態に係るコンクリートのひびわれ補修方法であるセメントベントナイトブラスティング工法の概要を示す図で、このセメントベントナイトブラスティング工法は、小型のブラスト手段であるサンドブラスティングガン1にセメント粉末とベントナイト粉末との混合粉末2が収納された粉末タンク3を取付け、コンプレッサ4からエアホース5を介して上記サンドブラスティングガン1に圧送される空気に上記混合粉末2を混入させて堤体50の上流側のコンクリート表面に開口するひびわれ10に噴射し、上記ひびわれ10内に上記混合粉末2を付着させて目詰まりさせることにより、上記ひびわれ10を補修するものである。
上記サンドブラスティングガン1は、詳細には、噴射ノズル1aに圧送される圧搾空気の流路に吸出し側がセットされた吸込み管1bの吸込み口を、上記噴射ノズル1aの根元側に設けられたタンク取付部1cに取付けられた粉末タンク3に収納された混合粉末2内に挿入し、噴出レバー1dを操作して上記圧搾空気を上記流路内に導入し、上記流路内において、上記圧搾空気の作る負圧にて上記混合粉末2を上記圧搾空気内に取り込み、上記噴射ノズル1aのノズル口より、上記混合粉末2の混入された圧搾空気を上記ひびわれ10に吹付けるもので、これにより、上記圧搾空気が上記ひびわれ10を抜ける際に、上記混合粉末2を上記ひびわれ10内に引っ張り込んで、上記ひびわれ10内に定着・目詰まりさせることができる。
本例では、上記混合粉末2として、粒径が20μm〜40μmのセメント粉末と粒径が40μm〜60μmのベントナイト粉末とを、体積比で1:1に混合したものを用いている。ここで、セメントは周囲のコンクリートへの定着性を有し、ベントナイトは膨潤性と半永久的な保水性を有するので、これらの混合粉末2を上記ひびわれ10内に定着させて目詰まりさせることにより、上記ひびわれ10の閉塞を長期にわたり促進することができる。また、補修したひびわれ周囲のコンクリート表面も上記混合粉末2により被覆されるので、美観についても向上する。
また、上記ひびわれ10の幅が比較的広い場合には、事前に上記ひびわれ10内に水を染込ませた後、上記混合粉末2を吹付けるようにすれば、上記セメント粉末とベントナイト粉末との混合粉末2を確実に上記ひびわれ10内に定着させて目詰まりさせることができる。
一方、上記ひびわれ10の幅が比較的狭い場合には、先に水を染込ませると、圧搾空気がひびわれ10の奥まで浸入しにくく、上記混合粉末2が上記染込ませた水に捕獲される恐れがあるので、上記混合粉末2を吹付けた後、水を染込ませるようにすることが好ましい。これにより、ひびわれ幅が0.2mm程度のヘアクラックであっても、ひびわれ幅が0.5mm程度の幅の広いひびわれであっても、上記ひびわれ10を確実にかつ長期にわたって閉塞させることができる。
なお、混合粉体2の噴出量についてはひびわれ10の幅やリバウンドの量などにより適宜調整することが好ましく、その調整方法としては、噴出ノズル1aのセット深さあるいはコンプレッサ4の圧送する空気の圧力の大きさなどを変更してやればよい。
また、混合粉末2中のベントナイトは半永久的な保水性、体積変化を有するので、季節変化などにより、ひびわれ幅が変化した場合にも追従可能である。
また、本発明のセメントベントナイトブラスティング工法では、ひびわれの深さが1cm〜数cmであってもこれを確実に閉塞することができるので、ひびわれ10の表面に近いところに水が溜まりにくいこと、また、水が溜まっても表面から深いところなので、ひびわれ中の水は外気温の影響を受けにくいので、氷結によるコンクリートの破壊は起こらない。
更に、本工法は、セメントの定着性により、雨水やダム湖の水の吸出し効果による材料の流出の可能性も少ないといった利点を有する。
また、上記例では、セメント粉末とベントナイト粉末とを、体積比で1:1に混合した混合粉末2を用いたが、これに限るものではなく、その混合比は補修するコンクリートの種類などにより適宜決定すればよい。また、セメント粉末のみ、あるいは、ベントナイト粉末のみであっても、ひびわれ10を十分に閉塞することが可能であるが、上記ひびわれ10の閉塞を長期にわたり促進するためには、本例のように、セメント粉末とベントナイト粉末との混合粉末を用いることが好ましい。
また、上記例では、ブラスト手段として、噴射ノズル1aの流路で混合粉末2と圧搾空気とを混合するタイプのサンドブラスティングガン1を用いたが、予め混合粉末2を圧搾空気を混合してノズルから噴出させるタイプのものなど、他のブラスト装置あるいはブラスト手段を用いて上記混合粉末2を吹付けるようにしてもよい。
1c タンク取付部、1d 噴出レバー、
2 セメント粉末とベントナイト粉末との混合粉末、3 粉末タンク、
4 コンプレッサ、5 エアホース、10 ひびわれ、50 堤体。
Claims (1)
- コンクリートのひびわれを補修する方法であって、
コンクリート表面に開口したひびわれ内に水を染込ませた後、セメント粉末またはベントナイト粉末、あるいは、セメント粉末とベントナイト粉末との混合粉末のいずれかの粉末を圧搾気体に混入して上記ひびわれに吹付け、上記粉末をひびわれ内に定着させるか、
もしくは、上記粉末を圧搾気体に混入して上記ひびわれに吹付けた後に、上記ひびわれ内に水を染込ませ、上記粉末をひびわれ内に定着させることを特徴とするコンクリートのひびわれ補修方法。
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