JP4531313B2 - ウレタンカバーを有するゴルフボール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コアをポリウレタンカバーで被覆してなるゴルフボールに関し、特に打球感、反発性、ドライ時及びウェット時の双方でのコントロール性に優れるゴルフボールに関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ゴルフボールにおいて、コアを被覆するカバーには、耐久性に優れているという点から、主に、アイオノマー樹脂製カバーが用いられている。しかし、アイオノマー樹脂製カバーは、バラタゴム製カバーに比べて打撃時にゴルファーが受ける衝撃が大きく打球感が劣る傾向にある。
【0003】
近年、バラタカバーに近い打球感を達成し、バラタよりも耐久性を有する安価なカバー材料として、ポリウレタンが注目されている。例えば、特許第2662909号にポリウレタンカバーが開示されている。
【0004】
特許第2662909号では、反応の遅いポリアミン硬化剤、具体的には3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミン、N,N′−ジアルキルジアミノジフェニルメタン、トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゾエート、若しくはポリテトラメチレンオキサイド−ジ−p−アミノベンゾエート又はこれらの混合物を用いることで、ウレタンプレポリマーとポリアミン硬化剤の反応進行による急激な粘度上昇を抑えて、カバー成形を可能にしている。しかし、得られたウレタンカバーは、アイオノマーカバーと比べて、反発性、コントロール性の点で十分とは言えず、更なる向上が求められている。
【0005】
特に、プロゴルファーのように、飛距離を確保できるゴルファーにとっては、コントロール性が重要である。また、コントロール性については、晴天のときだけでなく、比較的ボールが滑りやすくなる雨天のときにも、確保しておくことが望まれる。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、反発性及びコントロール性を満足できるポリウレタンカバーを有するゴルフボールを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のゴルフボールは、コアと、該コアを被覆するポリウレタンカバーを有するゴルフボールにおいて、前記ポリウレタンカバーは、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートとポリオキシテトラメチレングリコールの反応生成物を主構成成分とするイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを、下記一般式で表わされるアミン系硬化剤で硬化してなる硬化体で構成され、
【0008】
【化2】
【0009】
(nは2〜6の整数で、Nは1〜40の整数である)
前記ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基に対する前記アミン系硬化剤中のアミノ基の当量比率(NH2/NCO)は1.05〜1.35であり、前記ウレタンカバーの厚みが0.5〜1.5mmであり、前記ゴルフボール表面のショアD硬度が35〜55である。
【0010】
前記アミン系硬化剤は、ポリテトラメチレンオキサイド−ジ−p−アミノベンゾエートであることが好ましい。
【0011】
前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマーにおける遊離NCO基含有率は5〜12質量%であることが好ましく、前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマーの数平均分子量は3000〜3500であることが好ましい。
【0012】
前記コアは、ジエン系ゴム、α,β−不飽和カルボン酸及び/又はその亜鉛塩、及び有機過酸化物を含むゴム組成物の加硫体であって、前記コアに初荷重98Nから終荷重1275N負荷したときの該コアの変形量が2.85〜3.00mmであることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のゴルフボールは、1層又は2層以上の加硫ゴム体で構成されるコア又は糸巻きコアを、特定のポリウレタンカバーで被覆したことに特徴を有している。
【0014】
本発明で用いられるポリウレタンカバーは、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートとポリオキシテトラメチレングリコールの反応生成物を主構成成分とするイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを、下記一般式で表わされるアミン系硬化剤で硬化させたものである。
【0015】
【化3】
【0016】
(式中、nは2〜6の整数であり、Nは1〜40の整数である)
はじめに、本発明にかかるウレタンカバー材料のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーについて説明する。
【0017】
本発明で用いられるイソシアネート末端ウレタンプレポリマーは、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とポリオキシテトラメチレングリコールの反応生成物を主構成成分とするウレタンプレポリマーである。
【0018】
本発明で用いられるイソシアネート末端ウレタンプレポリマーは、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートとポリオキシテトラメチレングリコールとを反応させて得られるが、末端イソシアネート基を含む遊離NCO基の含有率は5〜12質量%、より好ましくは5〜10質量%であるように反応させたものが好ましく用いられる。遊離NCO基の含有率が5質量%未満では、最終的に得られるポリウレタンにおいて網状の架橋構造を形成する架橋点の割合が少なくなり、ウレタンカバーが軟らかくなりすぎて、反発性が低下し、飛距離が低下するからである。一方、12質量%超では、架橋密度が高くなりすぎて、硬いウレタンカバーとなり、打球感が低下するだけでなく、スピンがかかりにくくなって、コントロール性が低下するからである。。
【0019】
また、本発明で用いられるイソシアネート末端ウレタンプレポリマーは、数平均分子量が3000〜3500であることが好ましく、より好ましくは3020〜3400である。3000未満では、遊離NCO基の含有率が相対的にあがることになり、結果として得られるウレタンカバーが硬くなり、スピン量が減少するからである。逆に、3500超では、遊離NCO基の含有率が相対的に下がることになり、結果として得られるウレタンカバーが軟らかくなり、反発性が低下するからである。
【0020】
尚、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーの製造原料であるイソシアネート成分として、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートの以外のイソシアネート(「その他のイソシアネート」という)をイソシアネート成分の45質量%以下、好ましくは30質量%以下であれば、以下のようなイソシアネートを用いてもよい。
【0021】
他のイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物(TDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3'−ビトリレン−4,4'−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)等の芳香族ジイソシアネート;4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環式ジイソシアネート又は脂肪族ジイソシアネート等のうちの1種または2種以上の混合物、カルボジイミド変成ジフェニルメタンジイソシアネート(液状化MDI)が挙げられる。
【0022】
また、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの原料として用いられるポリオールとしては、ポリオキシテトラメチレンメチレングリコール以外のポリオール(「その他のポリオール」という)をポリオール成分の45質量%以下、好ましくは30質量%以下であれば、以下のようなポリオールを用いてもよい。
【0023】
その他のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのトリオール;活性水素を持つ開始剤とアルキレンオキサイドとの反応によって得ることができるポリエーテルポリオール;アジピン酸等の2塩基酸とグリコール又はトリオールとの脱水縮合によって得られる縮合系ポリエステルポリオール;ε−カプロラクタム等のラクタムの開環重合によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール;環状ジオールを用いて合成されるポリカーボネートジオール;アクリル系共重合体に適宜水酸基を導入してなるアクリルポリオールなどのポリマーポリオールが挙げられる。前記ポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)等が挙げられ、縮合系ポリエステルポリオールとしてはポリエチレンアジぺート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)などが挙げられ、ラクトン系ポリエステルポリオールとしてはポリ−ε−カプロラクトン(PCL)などが挙げられる。
【0024】
次に、本発明で用いられるアミン系硬化剤について説明する。
【0025】
本発明で用いられるアミン系硬化剤は、下記一般式で表わされるアミン系硬化剤で硬化させたものである。
【0026】
【化4】
【0027】
式中、nは2〜6の整数であり、Nは1〜40の整数である。
【0028】
すなわち、エチレンオキシド、トリメチレンオキシド、テトラメチレンオキシド、ペンタメチレンオキシド、ヘキサメチレンオキシドといった直鎖アルキレンオキシド;プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンチレンオキシド、へキシレンオキシドといった分岐アルキレンオキシドを繰り返し単位として、繰り返し数(N)が1〜40のポリエーテル部分が介在した芳香族ジアミン硬化剤が用いられる。
【0029】
このようなアミン系硬化剤は、嵩高いバルク基を持っていないことから、硬化反応により生成されるポリウレタンが配向結晶化しやすく、高硬度で耐傷つき性に優れたポリウレタンカバーを得ることができる。一方、分子内には、嵩高いバルク基やアミノ基の反応性を低下させる電子吸引性基はないが、アミノ基がポリエーテル部及び介在基で離間されているため、作業に必要なポットライフを確保できる程度の速さで硬化する。さらに、ポリエーテル部分はポリウレタンのソフトセグメントとして作用することができ、最終的に得られるポリウレタンに適度な引張伸びを付与することができる。これにより、ウレタンプレポリマーとアミン系硬化剤から形成されるアロファネートやビュレットによる3次元架橋密度を低減しても、打撃によるボールの変形に追随して、ボールの耐久性を確保することができる。
【0030】
このようなアミン系硬化剤としては、例えば、4,7,10−トリオキシトリデカン−1,13−ジアミン、4,7,10,13−テトラオキシヘキサデカン−1,16−ジアミン、4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン、4,9,14−トリオキシヘプタデカン−1,17−ジアミン、BASFジャパン製のポリエーテルアミンD 2000(数平均分子量2000)、ポリエーテルアミンD 400(数平均分子量400)、ポリエーテルアミンD 230(数平均分子量230)、ポリテトラメチレンオキサイド−ジ−pアミノベンゾエートなどが挙げられ、これらのうちポリテトラメチレンオキサイド−ジ−pアミノベンゾエートが好ましく用いられる。
【0031】
本発明のゴルフボールのウレタンカバーは、前述のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを、上記芳香族ジアミン硬化剤で硬化することにより得られる。ここで、ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基に対するアミン系硬化剤中のアミノ基の当量比率(NH2/NCO)は、1.05以上、好ましくは1.08以上で、1.35以下、好ましくは1.32以下とする。従来の熱硬化性ポリウレタンカバーは、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーとアミン系硬化剤を、イソシアネート基に対するアミノ基の当量比率(NH2/NCO)が1.0未満で行い、アロファネート結合やビュレット結合を作り、3次元的架橋を形成していた。しかしながら、本発明では、イソシアネート基に対するアミノ基の当量比率(NH2/NCO)を上記範囲とするところに特徴がある。すなわち、イソシアネート基に対するアミノ基の当量比率(NH2/NCO)が1.05以上とすることにより、アロファネート結合やビュレット結合による3次元的架橋の形成を抑制し、スピンをかかりやすくする。すなわち、三次元架橋が抑制されたために、隣あった分子鎖同士が単に水素結合だけで弱く作用していることになり、打撃により分子鎖のずれが生じやすくなると考えられる。そして、これにより、クラブとボールの接触時間が長くなって、濡れた滑りやすい状態であっても、必要量のスピンを生じさせ、コントロール性を確保することができると考えられる。一方、イソシアネート基に対するアミノ基の当量比率(NH2/NCO)の上限を1.35以下としたのは、1.35超では、アロファネート結合やビュレット結合による3次元的架橋の形成がほとんどなくなるため、耐磨耗性や引っ張り強度といった機械的強度、反発性が低下しすぎる。
【0032】
本発明に係るポリウレタンカバーの成形材料には、上記イソシアネート末端ウレタンプレポリマー及び硬化剤の他、ウレタン反応で使用される従来より公知の触媒を含有してもよい。前記触媒としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンなどのモノアミン類;N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミン等のポリアミン類;1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)、トリエチレンジアミン等の環状ジアミン類;ジブチルチンジラウリレート、ジブチルチンジアセテートなどの錫系触媒などが挙げられる。また、必要に応じて、硫酸バリウム等の充填剤;二酸化チタン等の着色剤;分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料、蛍光増白剤等の添加剤等をゴルフボールカバーによる所望の特性が損なわれない範囲で含有してもよい。
【0033】
ポリウレタンの硬化反応は、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーと硬化剤とが均質に混合された状態で行う必要がある。本発明で用いられるアミン硬化剤は常温で液体であるが、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーは粘稠固体である。従って、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーが溶融状態となるまで加温し、これにアミン硬化剤を添加混合し、該混合物を、その混合温度近くにまで昇温した金型に注入すればよい。使用する硬化剤及びイソシアネート末端ウレタンプレポリマーの種類にもよるが、一般に60〜120℃で10〜120分程度で硬化させることができる。このような条件で硬化させることにより、カバー成形時のゴム加硫体、糸巻きコアの糸状ゴムに対する影響が少なく、且つ生産性、作業性が良い。
【0034】
以上のような材料で構成されるウレタンカバーの厚みは、0.5mm以上、好ましくは0.7mm以上であり、上限は1.5mm以下、好ましくは1.3mm以下である。カバー厚みの上限を1.5mm以下というように従来のカバー厚みよりも薄くすることにより、軟らかいウレタンカバーに起因する反発性の低下を防止している。しかしながら、0.5mm未満では薄すぎて成形が困難であり、たとえ成形できたとしても、打撃により傷ついたり、クラブフェースとの摩擦等により、コアが露出してしまうおそれがあるからである。
【0035】
本発明のゴルフボールに用いられるコアは、特に制限はなく、従来よりマルチピースソリッドゴルフボールで用いられているソリッドコアや糸巻きコアを用いることができるが、ブタジエンゴム等のジエン系ゴム、有機過酸化物、不飽和カルボン酸又はその亜鉛塩を含むゴム組成物の加硫成型体で、該コアに初荷重98Nから終荷重1275N負荷したときの該コアの変形量が2.85〜3.00mmであるソリッドコアを用いることが好ましい。
【0036】
コア径は、直径39.8〜41.8mmで、好ましくは40.2〜41.4mmである。
【0037】
本発明のソリッドゴルフボールは、以上のようなコアを、上述のウレタンカバーで被覆したものである。ウレタンカバーの成形に際しては、ディンプルが形成されることが好ましい。
【0038】
以上のようにして製造される本発明のゴルフボールは、ボール表面(ディンプルが形成されている場合には非ディンプル部分)のショアD硬度は35以上、好ましくは40以上で、55以下、好ましくは54以下である。硬度が35未満では耐傷付き性が劣り、反発性が低下する。55超では打球感が硬くなるとともに、打撃による変形が少なくなりすぎて、クラブフェースとボールの接触時間の短縮から、スピンがかかりにくくなるからである。
【0039】
尚、本発明のゴルフボールは、ゴルフボールの美観および商品価値を高めるために、カバー表面にさらにペイントの塗装、マーキングスタンプの印刷等を施して市場に投入される。
【0040】
【実施例】
〔測定、評価方法〕
▲1▼コアの荷重変形量(mm)
コアに初荷重98N(10kgf)から終荷重1275N(130kgf)負荷したときの該コアの変形量を測定した。
【0041】
▲2▼ボールの硬度
ゴルフボール表面の非ディンプル部分を、ショアD硬度計を用いて測定した。
【0042】
▲3▼反発指数
各ゴルフボールに、198.4gのアルミニウム製円筒物を速度45m/secで衝突させ、衝突前後の該円筒物及びゴルフボールの速度を測定し、それぞれの速度及び重量から、各ゴルフボールの反発係数を算出した。測定は、各ゴルフボールで5回行って、その平均を算出した。
【0043】
ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に対する硬化剤のアミノ基の割合が1.0であるゴルフボール(No.7)の反発係数を100として、指数化した。反発指数が大きいほど、反発性が高いことを示している。
【0044】
▲4▼スピン量
ボール及びクラブともに乾いた状態(ドライ条件)、ボール及びクラブともに水で濡らした状態(ウェット条件)について、下記方法でスピン量を測定した。
【0045】
スイングロボットにサンドウェッジを取り付け、ヘッド速度20m/sで打撃したときのスピン量(rpm)を測定した。
【0046】
▲5▼実打感
プロゴルファー及びアマチュアゴルファー10人が実打し、打球感、コントロール性、飛距離について、各自が評価し、5人以上の回答があったものを、そのボールについての感想とした。
【0047】
〔ゴルフボールの製造〕
(1)ソリッドコアの製造
表1に示す配合組成を有するゴム組成物を、165℃で20分間加硫成形することにより、表1に示すコア径、質量、荷重変形量を有するコアA,B,Cを得た。
【0048】
尚、表1中、ブタジエンゴムとしては、JSR株式会社製のハイシスポリブタジエン(シス含有率96%)を用い、アクリル酸亜鉛としては日本蒸留製の「ZNDA90S」を用い、亜鉛華としては東邦亜鉛製の「亜鉛華第1号」を用い、ジクミルパーオキサイドとしては日本油脂株式会社製の「パークミルD」を用いた。
【0049】
【表1】
【0050】
(2)ウレタンプレポリマーの合成
▲1▼ウレタンプレポリマーa;
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(BASFジャパン製で、数平均分子量1962)と4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業製)とを、OH基に対するNCO基の配合モル比(NCO/OH)が2/1となる量で配合し、窒素雰囲気下、70℃で攪拌しながら3時間反応させて、NCO含量3.3質量%で数平均分子量3850のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーaを合成した。
【0051】
▲2▼ウレタンプレポリマーb;
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(BASFジャパン製で、数平均分子量1962)と4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業製)とを、OH基に対するNCO基の配合モル比(NCO/OH)が4/1となる量で配合し、窒素雰囲気下、70℃で攪拌しながら3時間反応させて、NCO含量8.1質量%で数平均分子量3090のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーbを合成した。
【0052】
▲3▼ウレタンプレポリマーc;
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(BASFジャパン製で、数平均分子量1962)と4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業製)とを、OH基に対するNCO基の配合モル比(NCO/OH)が8/1となる量で配合し、窒素雰囲気下、70℃で攪拌しながら3時間反応させて、NCO含量14.5質量%で数平均分子量2900のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを合成した。
【0053】
(3)カバーの作成
上記で調製したウレタンプレポリマーa,b又はcと、硬化剤としてイハラケミカル工業製の「エラスマー250P」(ポリテトラメチレンオキサイド−ジ−pアミノベンゾエート(アミン価249.4mgKOH/g))を、硬化剤中のアミノ基に対するウレタンプレポリマー中のイソシアネート基の割合(NH2/NCO)が表2に示すような割合で配合し、さらにウレタンプレポリマーと硬化剤の総量100質量部に対して、石原産業株式会社製の酸化チタンA100を2質量部添加混合し、粘稠液体のカバー用組成物を調製した。
【0054】
先に製造したコアA,B又はCを、ディンプル形成用凸部を備えた半球状金型に保持し、この金型内に、調製したカバー用組成物を注入し、次いでこれを反転して、カバー用組成物を注入した別の半球状金型(ディンプル形成用凸部を具備)と合わせて、80℃で15分間加熱プレス成形し、硬化を行った。
【0055】
硬化後、ボールを金型から取出し、表面をバリ取りした後、表面に白色ペイントさらにはクリアペイントを施して、直径42.8mm、質量45.2〜45.7gのゴルフボールNo.1〜11を得た。
【0056】
製造したゴルフボールについて、硬度、反発指数、ドライ時及びウェット時のスピン量、実打感を、上記評価方法に従って評価した。結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
No.1〜3,5〜8から、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に対する硬化剤のアミノ基の割合が大きくなるのに従って、反発性が劣る傾向にあり、一方、スピン量は増える傾向にあることがわかる。
【0059】
また、No.2,9,10から、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に対する硬化剤のアミノ基の割合を1.05以上とし、カバー厚みを1.5mm以下とした場合であっても、ウレタンプレポリマーのNCO含量が大きすぎると(数平均分子量が3050未満)スピン量が減少しすぎ、逆にウレタンプレポリマーのNCO含量が小さすぎると(数平均分子量が3500超)反発係数が低下しすぎることがわかる。
【0060】
さらに、No.2,4,11から、異なる硬さのコアを使用し、同じ組成を有するウレタンカバーを用いても、カバーの厚みを変えることによりボール全体としての硬さを調整することはできるが、カバーの厚みが大きくなるのに従って、反発性が低下し、スピン量も若干減少する傾向にあることがわかる。
【0061】
従って、飛距離を確保できる程度に反発性を維持しつつ、コントロール性を高めるためには、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に対する硬化剤のアミノ基の割合を1.05〜1.35とし、カバーの厚みを0.5〜1.5mmとし、さらにウレタンプレポリマーにおけるNCO含量を5〜12質量%とすればよいことがわかる。
【0062】
【発明の効果】
本発明の熱硬化性ウレタンカバーを有するゴルフボールは、ウレタンカバーにおける架橋密度、ウレタンカバーを構成するウレタンプレポリマー及び硬化剤の種類、カバーの厚み、ボールとしての硬度を規定することにより、ゴルフボールとして必要な反発性を維持しつつ、晴天のときはもちろん、雨天のときであっても優れたコントロール性を確保できる。

Claims (3)

  1. コアと、該コアを被覆するポリウレタンカバーを有するゴルフボールにおいて、
    前記ポリウレタンカバーは、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートとポリオキシテトラメチレングリコールの反応生成物を主構成成分とするイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを、下記一般式で表わされるアミン系硬化剤で硬化してなる硬化体で構成され、
    (nは2〜6の整数で、Nは1〜40の整数である)
    前記ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基に対する前記アミン系硬化剤中のアミノ基の当量比率(NH/NCO)は1.05〜1.35であり、
    前記ウレタンカバーの厚みが0.5〜1.5mmであり、
    前記ゴルフボール表面のショアD硬度が35〜55であり、
    前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマーにおける遊離NCO基含有率は5〜12質量%であり、
    前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマーの数平均分子量は3000〜3500であるゴルフボール。
  2. 前記アミン系硬化剤は、ポリテトラメチレンオキサイド−ジ−p−アミノベンゾエートである請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 前記コアは、ジエン系ゴム、α,β−不飽和カルボン酸及び/又はその亜鉛塩、及び有機過酸化物を含むゴム組成物の加硫体であって、
    前記コアに初荷重98Nから終荷重1275N負荷したときの該コアの変形量が2.85〜3.00mmである請求項1又は請求項2に記載のゴルフボール。
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