JP4530513B2 - 車両用変速装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、前進発進クラッチおよび後進発進クラッチを備えた車両用変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図17には前進発進クラッチおよび後進発進クラッチを備えた従来の車両用変速装置が示される。この車両用変速装置は遊星歯車機構Pおよびベルト式無段変速機Tを備えており、エンジンEのクランクシャフト01に接続された遊星歯車機構Pはサンギヤ02、リングギヤ03、プラネタリキャリヤ04およびピニオン05から構成される。入力要素であるサンギヤ02は入力軸06を介してエンジンEのクランクシャフト01に接続され、出力要素としてのプラネタリキャリヤ04はドライブギヤ07およびドリブンギヤ08を介してベルト式無段変速機Tの入力軸09に接続され、ベルト式無段変速機Tの出力軸010はファイナルドライブギヤ011およびファイナルドリブンギヤ012を介して駆動輪に接続される。そして遊星歯車機構Pのサンギヤ02およプラネタリキャリヤ04は前進発進クラッチC1を介して締結可能であり、リングギヤ03は後進発進クラッチC2を介してケーシングに締結可能である。
【0003】
従って、車両の前進走行時に前進発進クラッチC1を締結すると、サンギヤ02およプラネタリキャリヤ04が一体化されて遊星歯車機構Pがロック状態となり入力軸06の回転はそのままドライブギヤ07に伝達されて車両を前進走行させる。一方、車両の後進走行時に後進発進クラッチC2を締結すると、リングギヤ03がケーシングに締結されるために入力軸06の回転は逆回転になり、かつ減速されてドライブギヤ07に伝達され、車両を後進走行させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記従来のものは、前進発進クラッチC1および後進発進クラッチC2を潤滑する潤滑油が、図中に破線矢印で示すように半径方向内側の前進発進クラッチC1を通過した後に半径方向外側の後進発進クラッチC2を潤滑するようになっており、前進発進クラッチC1および後進発進クラッチC2には、その締結状態および締結解除状態を問わずに同量の潤滑油が供給されるようになっている。そのため、前進発進クラッチC1が締結状態にあるときに締結解除状態にある後進発進クラッチC2に必要以上の潤滑油が供給されてしまい、潤滑油の引きずりによりフリクションの増加が発生する問題があり、また後進発進クラッチC1が締結状態にあるときに締結解除状態にある前進発進クラッチC1に必要以上の潤滑油が供給されてしまい、潤滑油の引きずりによりフリクションの増加が発生する問題があった。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、前進発進クラッチおよび後進発進クラッチに必要かつ充分な潤滑油を供給して潤滑性能の確保およびフリクションの低減を両立させることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、湿式多板クラッチより構成されて車両の前進走行時に締結される前進発進クラッチと、湿式多板クラッチより構成されて車両の後進走行時に締結される後進発進クラッチと、前進発進クラッチおよび後進発進クラッチに潤滑油を供給する潤滑制御手段とを備えた車両用変速装置において、前記潤滑制御手段は、車両の前進走行時には前進発進クラッチに供給される潤滑油量が後進発進クラッチに供給される潤滑油量よりも多くなるように制御し、車両の後進走行時には後進発進クラッチに供給される潤滑油量が前進発進クラッチに供給される潤滑油量よりも多くなるように制御し、かつ前記車両用変速装置のフェイル時には、車両の前進走行時および後進走行時ともに後進発進クラッチを締結して発進を行うとともに、前記潤滑制御手段は、後進発進クラッチに供給される潤滑油量が前進発進クラッチに供給される潤滑油量よりも多くなるように制御することを特徴とする車両用変速装置が提案される。
【0007】
上記構成によれば、車両の前進走行時には、締結状態になる前進発進クラッチに供給される潤滑油量を締結解除状態になる後進発進クラッチに供給される潤滑油量よりも多くし、また車両の後進走行時には、締結状態になる後進発進クラッチに供給される潤滑油量を締結解除状態になる前進発進クラッチに供給される潤滑油量よりも多くするので、締結解除状態にあって負荷が小さいクラッチに必要以上の潤滑油が供給されるのを防止し、潤滑油の引きずりによるフリクションを最小限に抑えることができる。また車両用変速装置のフェイル時には車両の前進走行時および後進走行時ともに後進発進クラッチを締結して発進を行うが、そのときに締結する後進発進クラッチに供給される潤滑油量が前進発進クラッチに供給される潤滑油量よりも多くなるように制御するので、車両用変速装置のフェイル時であっても、負荷が大きい後進発進クラッチに充分な潤滑油を供給しながら負荷が小さい前進発進クラッチに過剰な潤滑油が供給されるのを防止することができる。
【0008】
尚、実施例の第1クラッチC1は本発明の前進発進クラッチに対応し、実施例の第2クラッチC2は本発明の後進発進クラッチに対応し、実施例のSC−LUB SIFT VALVE123は本発明の潤滑制御手段に対応する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
図1〜図13は本発明の第1実施例を示すもので、図1は無段変速装置のスケルトン図、図2は図3〜図5のレイアウトを示すマップ、図3は図2のA部拡大図、図4は図2のB部拡大図、図5は図2のC部拡大図、図6は図3の6−6線断面図、図7は図8〜図10のレイアウトを示すマップ、図8は図7のD部拡大図、図9は図7のE部拡大図、図10は図7のF部拡大図、図11は無段変速装置の通常時の動力伝達経路の説明図、図12は無段変速装置のフェイル時の動力伝達経路の説明図、図13は遊星歯車機構の速度線図である。
【0010】
図1および図3〜図5に示すように、自動車用の無段変速装置はトロイダル型無段変速機Tと、シングルピニオン式の遊星歯車機構Pと、湿式多板クラッチよりなる前進発進クラッチC1(以下、第1クラッチC1という)と、湿式多板クラッチよりなる後進発進クラッチ兼トルクスプリットクラッチC2(以下、第2クラッチC2という)とを備える。エンジンEのクランクシャフト11はダンパー12を介してトロイダル型無段変速機Tのインプットシャフト13に接続される。トロイダル型無段変速機Tのインプットシャフト13に対して第1軸14、第2軸15および第3軸16が平行に配置されており、第1クラッチC1は第3軸16の左端に設けられ、第2クラッチC2は第2軸15の右端に設けられる。トロイダル型無段変速機Tのインプットシャフト13に固設したドライブスプロケット17と第2軸15の右端に相対回転自在に支持したドリブンスプロケット18とが無端チェーン19で接続されており、従って第2軸15上のドリブンスプロケット18と、このドリブンスプロケット18と一体の第2クラッチC2のクラッチアウター20とは、エンジンEの運転中に常時回転する。
【0011】
一対のベアリング21,22でケーシングに支持された第1軸14には第1ヘリカルギヤ23および第2ヘリカルギヤ24が固設されており、第1ヘリカルギヤ23はトロイダル型無段変速機Tのアウトプットギヤ25に噛合し、第2ヘリカルギヤ24は第3軸16に相対回転自在に嵌合するスリーブ26に固設した第3ヘリカルギヤ27に噛合する。一対のベアリング28,29でケーシング支持された第2軸15に相対回転自在に嵌合するスリーブ30に第4ヘリカルギヤ31が固設されており、この第4ヘリカルギヤ31は第3軸16のスリーブ26の外周に相対回転自在に嵌合するスリーブ32に固設した第5ヘリカルギヤ33に噛合する。また第2軸15に第6ヘリカルギヤ34が相対回転自在に支持されており、この第6ヘリカルギヤ34は第3軸16に固設した第7ヘリカルギヤ35に第8ヘリカルギヤ36を介して噛合する。第8ヘリカルギヤ36はリバースアイドルギヤであって、図4には図示が省略されている。スリーブ30(つまり第4ヘリカルギヤ31)および第6ヘリカルギヤ34は、シフターSによって第2軸15に選択的に結合可能である。第2軸15には第2クラッチC2のクラッチインナー38が固設されており、従って第2クラッチC2を締結するとドリブンスプロケット18が第2軸15に結合される。
【0012】
第3軸16に設けられた遊星歯車機構Pは、スリーブ26に固設したサンギヤ39と、リングギヤ40と、スリーブ32に固設したキャリヤ41に複数のピニオンシャフト42…を介して回転自在に支持されて前記サンギヤ39およびリングギヤ40に噛合する複数のピニオン43…とから構成される。第1クラッチC1は遊星歯車機構Pのリングギヤ40および第3軸16と一体のクラッチアウター44と、サンギヤ39およびスリーブ26と一体のクラッチインナー45とを備えている。従って、第1クラッチC1を締結すると遊星歯車機構Pがロック状態になり、リングギヤ40に連なる第3軸16と、サンギヤ39に連なるスリーブ26と、キャリヤ41に連なるスリーブ32とが一体化される。第3軸16の右端に固設したファイナルドライブギヤ46がディファレンシャルギヤ47に設けたファイナルドリブンギヤ48に噛合する。第3軸16はスリーブ32の外周に設けたベアリング49と、該第3軸16の外周に設けたベアリング50とによってケーシングに支持される。
【0013】
次に、トロイダル型無段変速機Tの構造を説明する。
【0014】
エンジンEのクランクシャフト11にダンパー12を介して接続されたトロイダル型無段変速機Tのインプットシャフト13には、実質的に同一構造の第1無段変速機構61aおよび第2無段変速機構61bが支持される。第1無段変速機構61aは、インプットシャフト13に固定された概略コーン状の入力ディスク62と、インプットシャフト13に相対回転自在に支持された概略コーン状の出力ディスク63と、ローラ軸64回りに回転自在に支持されるとともにトラニオン軸65,65回りに傾転自在に支持されて前記入力ディスク62および出力ディスク63に当接可能な一対のパワーローラ66,66とを備える。入力ディスク62および出力ディスク63の対向面はトロイダル曲面から構成されており、パワーローラ66,66がトラニオン軸65,65回りに傾転すると、入力ディスク62および出力ディスク63に対するパワーローラ66,66の接触点が変化する。
第2無段変速機構61bは、アウトプットギヤ25を挟んで前記第1無段変速機構61aと実質的に面対称に配置される。
【0015】
而して、パワーローラ66,66が矢印a方向に傾転すると、入力ディスク62との接触点がインプットシャフト13に対して半径方向外側に移動するとともに、出力ディスク63との接触点がインプットシャフト13に対して半径方向内側に移動するため、入力ディスク62の回転が増速して出力ディスク63に伝達され、トロイダル型無段変速機Tのレシオが連続的にOD側に変化する。一方、パワーローラ66,66が矢印b方向に傾転すると、入力ディスク62との接触点がインプットシャフト13に対して半径方向内側に移動するとともに、出力ディスク63との接触点がインプットシャフト13に対して半径方向外側に移動するため、入力ディスク62の回転が減速して出力ディスク63に伝達され、トロイダル型無段変速機Tのレシオが連続的にLOW側に変化する。
【0016】
次に、図3および図6を参照しながらトロイダル型無段変速機Tの構造を更に説明する。
【0017】
第1無段変速機構61aの入力ディスク62は、一対のベアリング67,68でケーシングに支持されたインプットシャフト13に一体と形成される。第1、第2無段変速機構61a,61bの出力ディスク63,63は一体に形成されており、インプットシャフト13にベアリング69,69を介して相対回転可能かつ軸方向摺動可能に支持される。第2無段変速機構61bの入力ディスク62は、インプットシャフト13にローラスプライン70を介して相対回転不能かつ軸方向摺動可能に支持される。インプットシャフト13の左端にシリンダ71が同軸に設けられており、このシリンダ71の内部に摺動自在に嵌合する第2無段変速機構61bの入力ディスク62との間に油室72が形成される。従って、油室72に油圧を供給すると、第2無段変速機構61bの入力ディスク62と、第1、第2無段変速機構61a,61bの出力ディスク63,63とが、第1無段変速機構61aの入力ディスク62に向けて押圧され、入力ディスク62,62および出力ディスク63,63とパワーローラ66…との間のスリップを抑制する荷重を発生させることができる。
【0018】
一対のパワーローラ66,66を支持する左右のトラニオン73,73がインプットシャフト13を挟むように配置されており、油圧制御ブロック74に設けた左右の油圧アクチュエータ75,75のピストンロッド76,76が前記トラニオン73,73の下端にそれぞれ結合される。油圧アクチュエータ75,75は、油圧制御ブロック74に形成されたシリンダ77,77と、このシリンダ77,77に摺動自在に嵌合して前記ピストンロッド76,76に結合されたピストン78,78と、ピストン78,78の上側に区画された上部油室79,79と、ピストン78,78の下側に区画された下部油室80,80とから構成される。
【0019】
ピストンロッド76,76はトラニオン軸65,65と同軸上に設けられており、従ってトラニオン73,73はピストンロッド76,76を支軸としてトラニオン軸65,65回りに傾転可能である。また一方の油圧アクチュエータ75の下部油室80に油圧が供給されると、他方の油圧アクチュエータ75の上部油室79に油圧が供給される。従って、左右のピストンロッド76,76は相互に逆方向に駆動され、左右のトラニオン73,73は、その一方がトラニオン軸65に沿って上動すると、その他方がトラニオン軸65に沿って下動する。
【0020】
上述した左右のトラニオン73,73の上下動を確実に同期させるべく、左右のトラニオン51,51の上端間および下端間がそれぞれアッパーヨーク81およびロアヨーク82で接続される。即ち、アッパーヨーク81の中央部が油圧制御ブロック74に球面継ぎ手83を介して揺動自在に枢支されるとともに、アッパーヨーク81の左右両端部が左右のトラニオン73,73の上端部に球面継ぎ手84,84を介して揺動自在かつ回動自在に枢支される。またロアヨーク82の中央部が油圧制御ブロック74に球面継ぎ手85を介して揺動自在に枢支されるとともに、ロアヨーク82の左右両端部が左右のトラニオン73,73の下端部に球面継ぎ手86,86を介して揺動自在かつ回動自在に枢支される。
【0021】
トラニオン73,73にパワーローラ66,66を支持するピボットシャフト87,87は、トラニオン73,73にベアリング88,88を介して回転自在に支持されたトラニオン支持部89,89と、パワーローラ66,66をベアリング90,90を介して回転自在に支持するパワーローラ支持部91,91とを備えており、一方のピボットシャフト87はパワーローラ支持部91に対してトラニオン支持部89が下方に偏心しており、他方のピボットシャフト87はパワーローラ支持部91に対してトラニオン支持部89が上方に偏心している。そしてパワーローラ66,66とトラニオン73,73との間に、トラニオン73,73に対するパワーローラ66,66のスムーズな相対移動を許容すべくベアリング92,92が配置される。而して、左右のトラニオン73,73が相互に逆方向に移動すると、入力ディスク62および出力ディスク63から受ける反力によってパワーローラ66,66がトラニオン73,73と共にトラニオン軸65,65回りに図1に矢印a,bで示す方向に傾転し、第1、第2無段変速機構61a,61bのレシオが相互に同期して連続的に変化する。
【0022】
次に、無段変速装置を制御する油圧制御回路の構成を、図8〜図10に基づいて説明する。
【0023】
油圧制御回路は、オイルタンク101と、オイルポンプ102と、PH REGULATOR VALVE103と、電子制御ソレノイド104により作動する+TC VALVE105と、電子制御ソレノイド106により作動する−TC VALVE107と、TQ CONTROL VALVE108と、CLCH REDUCING VALVE109と、MANUAL VALVE110と、D−INH VALVE111と、RVS CPC VALVE112と、SERVO VALVE113と、SIFT INHIBITOR VALVE114と、電子制御ソレノイド115により作動するSC CONTROL VALVE116と、電子制御ソレノイド117により作動するRVS SCC VALVE118と、SC BACK UP VALVE119と、RSC BACK UP VALVE120と、SC SIFT VALVE121と、LUBRICATION VALVE122と、SC−LUB SIFT VALVE123とを備える。
【0024】
次に、上記構成を備えた無段変速装置の作用を、通常時(非フェイル時)における前進走行時と、通常時(非フェイル時)における後進走行時と、フェイル時における前進走行時と、フェイル時における後進走行時とに場合分けして説明する。
(1) 通常時における前進走行時
先ず、トロイダル型無段変速機Tの変速制御について説明する。オイルポンプ102の吐出圧をPH REGULATOR VALVE103で調圧したPH圧は、電子制御ソレノイド104で作動する+TC VALVE105およびTQ CONTROL VALVE108で調圧されてTQC圧となり、またPH圧は電子制御ソレノイド106で作動する−TC VALVE107で調圧されて−TC圧となる。高圧のTQC圧はトロイダル型無段変速機Tの左側の油圧アクチュエータ75の下部油室80および右側の油圧アクチュエータ75の上部油室79に作用するとともに、−TC圧はトロイダル型無段変速機Tの左側の油圧アクチュエータ75の上部油室79および右側の油圧アクチュエータ75の下部油室80に作用する。更に前記TQC圧はトロイダル型無段変速機Tの油室72(図3参照)に作用し、軸方向の推力を発生してパワーローラ66…の滑りを防止する。
エンジンEのトルクがトロイダル型無段変速機Tに加わると、パワーローラ66…は入力ディスク62,62の回転方向に引かれる荷重でレシオが低くなる方向に傾斜しようとするが、TQC圧および−TC圧の差圧で油圧アクチュエータ75,75のピストン78,78を駆動することにより、前記荷重に対抗する逆方向の荷重が発生する。そして油圧アクチュエータ75,75により発生する荷重がエンジンEのトルクにより発生する荷重よりも大きければトロイダル型無段変速機TのレシオはOD側に変化し、エンジンEのトルクにより発生する荷重が油圧アクチュエータ75,75により発生する荷重よりも大きければトロイダル型無段変速機TのレシオはLOW側に変化する。従って、一対の電子制御ソレノイド104,106のデューティ比を制御することにより、トロイダル型無段変速機TのレシオをLOWレシオ(本実施例では2.415)およびODレシオ(本実施例では0.415)間で変化させることができる。
【0025】
さて、車両を前進走行させるべくセレクタをDレンジに入れると、MANUAL VALVE110のスプールが左動するため、CLCH REDUCING VALVE109でPH圧を減圧したCR圧が、MANUAL VALVE110のCRポートからCR(FWD)ポートを経てD−INH VALVE111のCR(F)ポートと、RVS CPC VALVE112のCR(F)ポートとに伝達される。その結果、RVS CPC VALVE112のスプールは図示した右動位置に保持されるため、CLCH REDUCING VALVE109に連なるCRポートが遮断され、SERVO VALVE113のCR(R)ポートは大気開放となる。一方、D−INH VALVE111のCRポートには、第1クラッチC1を締結する第1クラッチ圧SCが後述する経路で伝達されるため、D−INH VALVE111のスプールは右動する。その結果、CR(F)ポートがSERVO VALVE113のCR(R)ポートに連通してスプールが左動し、シフターSが前進側(図1の矢印F方向)に切り替えられる。
【0026】
通常時にSIFT INHIBITOR VALVE114は図示した右動位置にあるため、MANUAL VALVE110のCR(FWD)ポートからのCR圧を電子制御ソレノイド115で作動するSC CONTROL VALVE116でSC圧に調圧し、第1クラッチC1を締結することができる。またRVS SCC VALVE118のCRポートにもSERVO VALVE113のCR(F)ポートからCR圧が伝達されるため、そのCR圧を電子制御ソレノイド117で作動するRVS SCC VALVE118でRSC圧に調圧し、第2クラッチC2を締結することができる。尚、前述したように、SC圧はD−INH VALVE111のSCポートに伝達され、そのスプールを右動させる。
【0027】
さて通常時における前進走行時には、トロイダル型無段変速機TをLOWレシオの状態にして車両を発進させ、そこからODレシオに達するまで車両を加速する。この走行モードをダイレクトモードという。このときの動力伝達経路は図11(A)に太線で示されており、また遊星歯車機構Pの速度線図は図13(A)に示されている。このダイレクトモードでは、第2クラッチC2を非締結状態に保持したまま、第1クラッチC1だけを締結する。即ち、図1および図4において、第1クラッチC1を締結すると、リングギヤ40およびサンギヤ39が一体化されて遊星歯車機構Pがロック状態になるため、エンジンEのトルクはトロイダル型無段変速機Tおよび第1クラッチC1を経て駆動輪W,Wに伝達されることになる。具体的には、エンジンEのトルクは、クランクシャフト11→ダンパー12→トロイダル型無段変速機Tのインプットシャフト13→トロイダル型無段変速機Tのアウトプットギヤ25→第1ヘリカルギヤ23→第2ヘリカルギヤ24→第3ヘリカルギヤ27→スリーブ26→第1クラッチC1→第3軸16→ファイナルドライブギヤ46→ファイナルドリブンギヤ48→ディファレンシャルギヤ47→駆動輪W,Wの経路で伝達され、車両を前進走行させる。
【0028】
その間、遊星歯車機構Pのキャリヤ41の回転はスリーブ32→第5ヘリカルギヤ33→第4ヘリカルギヤ31→スリーブ30→シフターS→第2軸15→第2クラッチC2のクラッチインナー38に伝達されるが、第2クラッチC2は非締結状態にあるため、インプットシャフト13にドライブスプロケット17、無端チェーン19およびドリブンスプロケット18を介して接続された第2クラッチC2のクラッチアウター20との間で干渉が生じることはない。
【0029】
而して、第1クラッチC1の完全締結後は、エンジン回転数、車速、アクセル開度等に基づいて一対の電子制御ソレノイド104,106のデューティ比を制御することにより、トロイダル型無段変速機TのレシオをLOWからODへと変化させながら車両を加速する。その間のレシオ幅は、トロイダル型無段変速機TのLOWレシオ(2.415)およびODレシオ(0.415)の比である5.8となる。
【0030】
トロイダル型無段変速機TがODレシオに達すると、SC CONTROL VALVE116の電子制御ソレノイド115およびRVS SCC VALVE118の電子制御ソレノイド117のデューティ比を制御し、それまで締結状態にあった第1クラッチC1を締結解除するとともに、それまで非締結状態にあった第2クラッチC2を締結し、更に電子制御ソレノイド104,106のデューティ比を制御してトロイダル型無段変速機TのレシオをODからLOWに変化させる。これにより、無段変速装置全体のレシオを、トロイダル型無段変速機T単独の最高レシオであるODレシオよりも更に高レシオ側に変化させ、ダイレクトモードのレシオ幅5.8を8.7まで拡大することができる。この走行モードをトルクスプリットモードという。このときの動力伝達経路は図11(B)に太線で示されており、また遊星歯車機構Pの速度線図は図13(B)に示されている。
【0031】
このトルクスプリットモードでは、エンジンEのトルクは、クランクシャフト11→ダンパー12→トロイダル型無段変速機Tのインプットシャフト13→ドライブスプロケット17→無端チェーン19→ドリブンスプロケット18→第2クラッチC2のクラッチアウター20→第2クラッチC2のクラッチインナー38→第2軸15→シフターS→スリーブ30→第4ヘリカルギヤ31→第5ヘリカルギヤ33→スリーブ32の経路を経て遊星歯車機構Pのキャリヤ41に伝達される。遊星歯車機構Pのキャリヤ41のトルクの大部分はリングギヤ40→第1クラッチC1のクラッチアウター44→第3軸16→ファイナルドライブギヤ46→ファイナルドリブンギヤ48→ディファレンシャルギヤ47→駆動輪W,Wの経路で伝達され、車両を前進走行させる。また遊星歯車機構Pのキャリヤ41のトルクの一部分は、遊星歯車機構Pのサンギヤ39→スリーブ26→第3ヘリカルギヤ27→第2ヘリカルギヤ24→第1ヘリカルギヤ23→アウトプットギヤ25を経てトロイダル型無段変速機Tのインプットシャフト13に逆伝達され、そこから第2クラッチC2を通る前記経路を経て駆動輪W,Wに伝達される。
【0032】
このトルクスプリットモードでトロイダル型無段変速機TをODレシオ側からLOWレシオ側に変速していくと、無段変速装置全体のレシオは更に高レシオ側に変化する。その理由は、トロイダル型無段変速機TがLOWレシオになってアウトプットギヤ25の回転数が減少すると、そのアウトプットギヤ25に接続された遊星歯車機構Pのサンギヤ39の回転数が低くなるため、それに応じて駆動輪W,Wに接続された遊星歯車機構Pのリングギヤ40の回転数が高くなるためである。
【0033】
車両の前進発進時には発進クラッチとして機能する第1クラッチC1の負荷が大きくなる。この第1クラッチC1に充分なオイルを供給して冷却を図るべく、PH REGULATOR VALVE103のLUBポートからでたオイルはSC SIFT VALVE121のLUBポートおよびLUB′ポートを経て、更にSC−LUB SIFT VALVE123のLUBポートおよびR−Lポートを経て第1クラッチC1の被潤滑部に供給される。このとき、SC−LUB SIFT VALVE123のS−Lポートは閉鎖されており、第2クラッチC2へはオリフィスを通過した僅かなオイルだけが供給されるため、締結解除状態にある第2クラッチC2のオイルの引きずりを最小限に抑えてフリクションを低減することができる。
(2) 通常時における後進走行時
車両を後進走行させるべくセレクタをRレンジに入れると、MANUAL VALVE110のスプールが右動するため、CLCH REDUCING VALVE109でPH圧を減圧したCR圧が、MANUAL VALVE110のCRポートからCR(RVS)ポートを経てD−INH VALVE111のCR(R)ポートに伝達され、D−INH VALVE111のスプールを左動させる。またCLCH REDUCING VALVE109からのCR圧はRVS CPC VALVE112のCRポートに伝達され、そのスプールを左動させる。その結果、RVS CPC VALVE112のCR(R)ポートに入力されたCR圧は、SERVO VALVE113のCR(R)ポートに入力され、SERVO VALVE113のスプールが右動してシフターSが後進側(図1の矢印R方向)に切り替えられる。
【0034】
SERVO VALVE113のCR(R)ポートから出力されたCR圧の一方はSC−LUB SIFT VALVE123CR(R)ポートに伝達され、そのスプールを左動させる。またSERVO VALVE113のCR(R)ポートから出力されたCR圧の他方は、MANUAL VALVE110のCR(RVS)ポートおよびCR(RVS,FWD)ポートを経て、電子制御ソレノイド117で作動するRVS SCC VALVE118のCRポートに伝達され、第2クラッチC2を作動させるRSC圧の元圧となる。
【0035】
さて通常時における後進走行時には、トロイダル型無段変速機TをLOWレシオの状態にして車両を発進させる。このとき、第1クラッチC1は非締結状態に保持したまま、第2クラッチC2だけを締結する。このときの動力伝達経路は、図11(C)に太線で示される。
【0036】
即ち、図1および図4において、第2クラッチC2を締結すると、エンジンEのトルクは、クランクシャフト11→ダンパー12→トロイダル型無段変速機Tのインプットシャフト13→ドライブスプロケット17→無端チェーン19→ドリブンスプロケット18→第2クラッチC2→第2軸15→シフターS→第6ヘリカルギヤ34→第8ヘリカルギヤ36→第7ヘリカルギヤ35→第3軸16→ファイナルドライブギヤ46→ファイナルドリブンギヤ48→ディファレンシャルギヤ47→駆動輪W,Wの経路で伝達され、車両を後進走行させる。その間、トロイダル型無段変速機Tのアウトプットギヤ25の回転は遊星歯車機構Pのサンギヤ39に入力され、キャリヤ41から出力されて第2軸15のスリーブ30に伝達されるが、シフターSが後進側に切り替わっているために第2軸15の回転と干渉することはない。
【0037】
このように、車両の後進走行時にはエンジンEのトルクはトロイダル型無段変速機Tおよび第1クラッチC1を通過せず、第2クラッチC2を介して駆動輪W,Wに伝達される。後進発進時には発進クラッチとして機能する第2クラッチC2の負荷が大きくなるが、前述したようにSC−LUB SIFT VALVE123のスプールが左動することにより、LUBポートからのオイルをS−Lポートを経て第2クラッチC2の被潤滑部に優先的に供給して冷却が図られる。而して、車両の後進走行時に締結解除状態となる第1クラッチC1にオリフィスを通過した僅かなオイルだけを供給することにより、第1クラッチC1のオイルの引きずりを最小限に抑えてフリクションを低減することができる。
(3) フェイル時における前進走行時
無段変速装置の電子制御系がフェイルすると、電子制御ソレノイド104,106,115,117の機能が失われるため、上述したトロイダル型無段変速機Tのレシオ制御ができなくなる。特に車両の停止時にフェイルが発生した場合に、車両の発進時にトロイダル型無段変速機TのレシオをLOWレシオよりも更に低レシオ側に変化させる荷重や、ODレシオよりも更に高レシオ側に変化させる荷重が作用してしまい、そのためにトロイダル型無段変速機Tの耐久性が低下する可能性がある。またレシオがODレシオに固定されると、駆動輪W,Wに伝達されるトルクが小さくなって発進性能が極端に低下する可能性がある。そこで、本実施例ではフェイル時に前進走行する場合に、第1クラッチC1および第2クラッチC2を以下のように制御して上記問題を解決している。
【0038】
電子制御系のフェイルによって+TC VALVE105の電子制御ソレノイド104および−TC VALVE107の電子制御ソレノイド106に流れる電流が0になると、+TC VALVE105が出力する+TC圧が最高圧になる。この+TC圧がSIFT INHIBITOR VALVE114の+TCポートに伝達されるとスプールが右動し、第1クラッチC1および第2クラッチC2がSC CONTROL VALVE116およびRVS SCC VALVE118から切り離され、その代わりにSC BACK UP VALVE119およびRSC BACK UP VALVE120に接続される。SIFT INHIBITOR VALVE114のスプールが右動すると、CRポートに入力されたCR圧がSIポートからSI圧として出力され、このSI圧が伝達されるSC SIFT VALVE121のスプールおよびSC−LUB SIFT VALVE123のスプールを左動させる。
【0039】
SC SIFT VALVE121のスプールが左動するとLUBポートおよびLUB′ポートの連通が遮断されるため、それまでSC SIFT VALVE121を通過していたオイルがオリフィス124を通過するようになり、そのオリフィス124の前後にオイルの流量(オイルポンプ102の吐出量、つまりエンジン回転数)に応じた差圧が発生する。従って、前記差圧がLUBポートおよびLUB′ポートに伝達されるSC BACK UP VALVE119は、CR圧をエンジン回転数に応じたSCB圧の調圧し、また前記差圧がLUBポートおよびLUB′ポートに伝達されるRSC BACK UP VALVE120は、CR圧をエンジン回転数に応じたRSB圧に調圧する。このとき、SC BACK UP VALVE119のスプールは、トロイダル型無段変速機Tのトラニオン73,73の傾転角(つまりトロイダル型無段変速機Tのレシオ)に応じて左動するようになっており、従ってSC BACK UP VALVE119が出力するSCB圧はエンジン回転数およびレシオの両方に応じて変化する。具体的には、エンジン回転数が増加するほど、またトロイダル型無段変速機Tのレシオが低くなるほどSCB圧は増加する。
【0040】
ところで、フェイル時における前進発進時にトロイダル型無段変速機Tの入力ディスク62,62および出力ディスク63,63の回転数差がLOWレシオ(2.415)およびODレシオ(0.415)の間に納まっていれば、トロイダル型無段変速機Tに過剰な負荷が加わることが防止される。しかしながら、前進発進時に第1クラッチC1だけを締結すると、停止している駆動輪W,Wに接続された遊星歯車機構Pのリングギヤ40の回転数は0であるため、トロイダル型無段変速機Tのアウトプットギヤ25に接続されたサンギヤ39がリングギヤ40に拘束されて制動されることにより、レシオがLOWレシオよりも更に低レシオ側に変化しようとして大きな負荷が生じてしまう。逆に、前進発進時に第2クラッチC2だけを締結すると、停止している駆動輪W,Wに接続された遊星歯車機構Pのリングギヤ40の回転数は0であり、かつエンジンEに接続されたキャリヤ41の回転が増加するため、サンギヤ39の回転が高速でアウトプットギヤ25に伝達されてしまい、レシオがODレシオよりも更に高レシオ側に変化しようとして大きな負荷が生じてしまう。
【0041】
そこで、第1クラッチC1の締結によるサンギヤ39の回転数の低下と、第2クラッチC2の締結によるキャリヤ41の回転数の増加とが相殺されるように、第1クラッチC1および第2クラッチC2の締結力を設定することにより、トロイダル型無段変速機TのレシオをLOWレシオおよびODレシオ間の所定レシオ(本実施例では1.6)に保持し、トロイダル型無段変速機Tの過負荷を防止することができる。例えば、レシオが所定レシオ1.6よりもLOW側にずれようとすると、SC BACK UP VALVE119から第1クラッチC1に伝達されるSCB圧を減少させてトロイダル型無段変速機Tのアウトプットギヤ25の回転数の増加を許容し、レシオが所定レシオ1.6よりもLOW側にずれるのを防止する。逆に、レシオが所定レシオ1.6よりもOD側にずれようとすると、SC BACK UP VALVE119から第1クラッチC1に伝達されるSCB圧を増加させてトロイダル型無段変速機Tのアウトプットギヤ25の回転数の増加を規制し、レシオが所定レシオ1.6よりもOD側にずれるのを防止する。このときの動力伝達経路は、図12(A)に太線で示される。
【0042】
本実施例ではレシオを1.6に保持するように第1、第2クラッチC1,C2の締結力をバランスさせながら次第に増加させてゆく際に、第1クラッチC1の締結力を優先的に制御し、第2クラッチC2の締結力を第1クラッチC1の締結力の例えば30%に設定している。第1クラッチC1が締結した後、エンジン回転数と駆動輪W,Wの回転数との差回転は主として第2クラッチC2のスリップにより吸収されるため、第2クラッチC2は発熱する。しかしながら、前述した通常時における後進走行時と同様に、SI圧でSC−LUB SIFT VALVE123のスプールが左動することにより、LUBポートからのオイルをS−Lポートを経て第2クラッチC2の被潤滑部に優先的に供給して冷却が図られる。
【0043】
車速の増加に伴って第1クラッチC1が完全に締結すると、トロイダル型無段変速機Tのレシオは所定レシオ1.6からODレシオに向けて高まり、ODレシオに達したときに第2クラッチC2が完全に締結する。この後は、エンジン回転数の増加に伴ってODレシオのまま車両が加速されていく。レシオが所定レシオ1.6からODレシオまで変化する間、トロイダル型無段変速機Tはトルクの伝達を行わない。例えば、トロイダル型無段変速機Tの出力回転数がそのときのレシオに比べて僅かに小さければ、パワーローラ66…に荷重が加わって傾転角が変化し、トロイダル型無段変速機Tのレシオは前記荷重が加わらない方向に変化する。このように、トロイダル型無段変速機Tは入力回転数および出力回転数の変化に応じてレシオを自己調整する。
(4) フェイル時における後進走行時
無段変速装置の電子制御系がフェイルした状態で後進走行を行う場合にも、エンジンEのトルクをトロイダル型無段変速機Tを介さずに、第2クラッチC2だけを介して駆動輪W,Wに伝達することにより、トロイダル型無段変速機Tの耐久性低下が防止される。この場合も、前述したフェイル時における前進走行時と同様に、+TC圧でSIFT INHIBITOR VALVE114のスプールが右動するため、第2クラッチC2は電子制御ソレノイド117で作動するRVS SCC VALVE118から切り離され、エンジン回転数に応じてRSB圧を出力するRSC BACK UP VALVE120に接続される。また前述した通常時における後進走行時と同様に、SERVO VALVE113のスプールが右動してシフターSが後進側に切り替えられる。
【0044】
従って、車両を後進走行させるべく第1クラッチC1を非締結状態に保持したまま第2クラッチC2を締結すると、シフターSが後進側に切り替わっているために、エンジンEのトルクはトロイダル型無段変速機Tを介さずに第2クラッチC2を経て駆動輪W,Wに伝達されることになり、電子制御系のフェイルにも拘わらずトロイダル型無段変速機Tに過剰な負荷が加わるのを防止することができる。このときの動力伝達経路は、図12(B)に太線で示される。
【0045】
次に、本発明の第2実施例を図14および図15に基づいて説明する。尚、本実施例において第1実施例の構成要素に対応する構成要素には同じ参照符号が付してある。
【0046】
図1に示す第1実施例の遊星歯車機構Pがシングルピニオン型であるのに対し、本実施例の遊星歯車機構Pはダブルピニオン型とされている。また第1実施例ではトロイダル型無段変速機Tのアウトプットギヤ25が遊星歯車機構Pのサンギヤ39に接続されるのに対し、第2実施例ではトロイダル型無段変速機Tのアウトプットギヤ25が遊星歯車機構Pのキャリヤ41′に接続される。また第1実施例では駆動輪W,Wが遊星歯車機構Pのリングギヤ40に接続されるのに対し、第2実施例では駆動輪W,Wが遊星歯車機構Pのサンギヤ39′に接続される。また第1実施例では第2クラッチC2がシフターSを介して遊星歯車機構Pのキャリヤ40に接続されるのに対し、第2実施例では第2クラッチC2がシフターSを介して遊星歯車機構Pのリングギヤ40′に接続される。従って、第2実施例における遊星歯車機構Pのキャリヤ41′、サンギヤ39′およびリングギヤ40′は、それぞれ本発明の第1要素、第2要素および第3要素に対応する。
【0047】
第2実施例の第1クラッチC1、第2クラッチC2およびシフターSの制御は前述した第1実施例と同じであり、それにより第1実施例と同じ効果を達成することができる。以下、通常時およびフェイル時における前後進の作用の概略を説明する。
(1) 通常時における前進走行時
通常時における前進走行時には第1クラッチC1だけを締結したダイレクトモードで車両を発進させる。第1クラッチC1を締結すると、リングギヤ40′およびサンギヤ39′が一体化されて遊星歯車機構Pがロック状態になり、またシフターSは前進側(図14の矢印F方向)に移動する。このとき、エンジンEのトルクはトロイダル型無段変速機Tおよび第1クラッチC1を経て駆動輪W,Wに伝達されることになる。具体的には、エンジンEのトルクは、クランクシャフト11→ダンパー12→トロイダル型無段変速機Tのインプットシャフト13→トロイダル型無段変速機Tのアウトプットギヤ25→第1ヘリカルギヤ23→第2ヘリカルギヤ24→第3ヘリカルギヤ27→スリーブ26→遊星歯車機構Pのキャリヤ41′→遊星歯車機構Pのサンギヤ39′→第3軸16→ファイナルドライブギヤ46→ファイナルドリブンギヤ48→ディファレンシャルギヤ47→駆動輪W,Wの経路で伝達され、車両を前進走行させる。その間、遊星歯車機構Pのリングギヤ40′の回転は第5ヘリカルギヤ33→第4ヘリカルギヤ31→スリーブ30→シフターS→第2軸15を経て第2クラッチC2のクラッチインナー38に伝達されるが、第2クラッチC2は非締結状態にあるため、インプットシャフト13と一体のクラッチアウター20との間で干渉が生じることはない。
【0048】
而して、第1クラッチC1の完全締結後は、トロイダル型無段変速機TのレシオをLOWからODへと変化させながら車両を加速する。
【0049】
トロイダル型無段変速機TがODレシオに達すると、それまで締結状態にあった第1クラッチC1を締結解除するとともに、それまで非締結状態にあった第2クラッチC2を締結した状態で、トロイダル型無段変速機TのレシオをODからLOWに変化させることにより、トルクスプリットモードで無段変速装置全体のレシオをODレシオよりも更に高レシオ側に変化させる。このトルクスプリットモードでは、エンジンEのトルクは、クランクシャフト11→ダンパー12→トロイダル型無段変速機Tのインプットシャフト13→ドライブスプロケット17→無端チェーン19→ドリブンスプロケット18→第2クラッチC2のクラッチアウター20→第2クラッチC2のクラッチインナー38→第2軸15→シフターS→スリーブ30→第4ヘリカルギヤ31→第5ヘリカルギヤ33の経路を経て遊星歯車機構Pのリングギヤ40′に伝達される。遊星歯車機構Pのリングギヤ40′のトルクの大部分はリングギヤ40′→ピニオン43o…,43i…→サンギヤ39′→第3軸16→ファイナルドライブギヤ46→ファイナルドリブンギヤ48→ディファレンシャルギヤ47→駆動輪W,Wの経路で伝達され、車両を前進走行させる。また遊星歯車機構Pのリングギヤ40′のトルクの一部分は、リングギヤ40′→キャリヤ41′→スリーブ26→第3ヘリカルギヤ27→第2ヘリカルギヤ24→第1ヘリカルギヤ23→アウトプットギヤ25を経てトロイダル型無段変速機Tのインプットシャフト13に逆伝達され、そこから第2クラッチC2を通る前記経路を経て駆動輪W,Wに伝達される。
(2) 通常時における後進走行時
通常時における後進走行時には、シフターSを後進側(図14の矢印R方向)に切り替えた状態で、第1クラッチC1を非締結状態に保持したまま、第2クラッチC2だけを締結する。これにより、エンジンEのトルクは、クランクシャフト11→ダンパー12→トロイダル型無段変速機Tのインプットシャフト13→ドライブスプロケット17→無端チェーン19→ドリブンスプロケット18→第2クラッチC2→第2軸15→シフターS→第6ヘリカルギヤ34→第8ヘリカルギヤ36→第7ヘリカルギヤ35→第3軸16→ファイナルドライブギヤ46→ファイナルドリブンギヤ48→ディファレンシャルギヤ47→駆動輪W,Wの経路で伝達され、車両を後進走行させる。その間、トロイダル型無段変速機Tのアウトプットギヤ25の回転は遊星歯車機構Pのキャリヤ41′に入力され、リングギヤ40′から出力されるが、シフターSが後進側に切り替わっているために支障はない。
(3) フェイル時における前進走行時
無段変速装置の電子制御系のフェイル時には、第1クラッチC1の締結によるリングギヤ40′の回転数の低下と、第2クラッチC2の締結によるリングギヤ40′の回転数の増加とが相殺されるように、第1クラッチC1および第2クラッチC2の締結力を制御することにより、トロイダル型無段変速機TのレシオをLOWレシオおよびODレシオ間の所定レシオ(本実施例では1.6)に保持し、トロイダル型無段変速機Tの過負荷を防止する。即ち、シフターSで第2クラッチC2のクラッチインナー38を遊星歯車機構Pのリングギヤ40′に接続し、かつ第1クラッチC1および第2クラッチC2を所定の締結力で徐々に締結することにより、トロイダル型無段変速機TのレシオがLOWレシオよりも更に低レシオ側あるいはODレシオよりも更に高レシオ側に変化しないように制御する。第1クラッチC1が完全に締結するとトロイダル型無段変速機Tのレシオは前記所定レシオからODレシオに向かって変化し、やがて第2クラッチC2が完全に締結するとODレシオに固定した状態でエンジン回転数を増加させて車両を加速する。この間、エンジンEのトルクは第2クラッチC2、シフターSおよび遊星歯車機構Pを介して駆動輪W,Wに伝達され、トロイダル型無段変速機Tは変速のみを行ってトルク伝達に寄与しない。
(4) フェイル時における後進走行時
無段変速装置の電子制御系がフェイルした状態で後進走行を行う場合にも、通常時と同様にエンジンEのトルクをトロイダル型無段変速機Tを介さずに、第2クラッチC2だけを介して駆動輪W,Wに伝達することにより、トロイダル型無段変速機Tの耐久性低下が防止される。
【0050】
本実施例によれば、遊星歯車機構Pのレシオ幅を第1実施例と同じ5.8に保ちながら、無段変速装置のトータルのレシオ幅を第1実施例の8.7から10.6まで拡大することができる。第2実施例のその他の作用および効果は、前述した第1実施例の作用および効果と同一である。
【0051】
次に、本発明の第3実施例を図16に基づいて説明する。
【0052】
第1実施例および第2実施例の無段変速装置はエンジンEを横置きしたフロントエンジン・フロントドライブ車両に適したものであるが、本実施例の無段変速装置はエンジンEを縦置きしたフロントエンジン・リヤドライブ車両に適したものである。尚、本実施例において第1、第2実施例の構成要素に対応する構成要素には同じ参照符号が付してある。
トロイダル型無段変速機Tのインプットシャフト13と同軸に第1軸131および第2軸132が配置されており、第1軸131はインプットシャフト13と一体に回転し、第2軸132は図示せぬ駆動輪W,Wに接続される。第1軸131および第2軸132と平行に第3軸133および第4軸134が配置されており、第3軸133には第1ヘリカルギヤ135および第2ヘリカルギヤ136が固設され、第4軸134には第3ヘリカルギヤ137および第4ヘリカルギヤ138が固設される。第3軸133の第1ヘリカルギヤ135はトロイダル型無段変速機Tのアウトプットギヤ25に噛合し、第2ヘリカルギヤ136は遊星歯車機構Pのキャリヤ41′および第1クラッチC1のクラッチインナー45と一体の第5ヘリカルギヤ139に噛合する。第2クラッチC2のクラッチアウター20は第1軸131に固定され、クラッチインナー38は第1軸131の外周に嵌合するスリーブ140に固定される。従って、第2クラッチC2を締結すると、第1軸131がスリーブ140に結合される。スリーブ140の外周に嵌合するスリーブ141に設けた第6ヘリカルギヤ142が、第7ヘリカルギヤ143を介して第4軸134の第3ヘリカルギヤ137に噛合する。そして第4軸134の第4ヘリカルギヤ138が第2軸132の第8ヘリカルギヤ144に噛合する。
【0053】
シフターSが前進側(図16の矢印F方向)に移動すると遊星歯車機構Pのリングギヤ40がスリーブ140に結合され、後進側(図16の矢印R方向)に移動すると、第6ヘリカルギヤ142がスリーブ140に結合される。第1クラッチC1のクラッチアウター44は第2軸132と一体であり、従って第1クラッチC1を締結すると遊星歯車機構Pのキャリヤ41′が第2軸132を介してサンギヤ39′と一体化され、遊星歯車機構Pはロック状態となる。
【0054】
尚、第3実施例における遊星歯車機構Pのキャリヤ41′、サンギヤ39′およびリングギヤ40′は、それぞれ本発明の第1要素、第2要素および第3要素に対応する。
【0055】
第3実施例の第1クラッチC1、第2クラッチC2およびシフターSの制御は前述した第1実施例と同じであり、それにより第1実施例と同じ効果を達成することができる。以下、通常時およびフェイル時における前後進の作用の概略を説明する。
(1) 通常時における前進走行時
通常時における前進走行時には第1クラッチC1だけを締結したダイレクトモードで車両を発進させる。第1クラッチC1を締結すると、キャリヤ41′およびサンギヤ39′が一体化されて遊星歯車機構Pがロック状態になり、またシフターSは前進側(図16の矢印F方向)に移動する。このとき、エンジンEのトルクはトロイダル型無段変速機Tおよび第1クラッチC1を経て駆動輪W,Wに伝達されることになる。具体的には、エンジンEのトルクは、クランクシャフト11→ダンパー12→トロイダル型無段変速機Tのインプットシャフト13→トロイダル型無段変速機Tのアウトプットギヤ25→第1ヘリカルギヤ135→第3軸133→第2ヘリカルギヤ136→第5ヘリカルギヤ139→第1クラッチC1→第2軸132→駆動輪W,Wの経路で伝達され、車両を前進走行させる。その間、遊星歯車機構Pのキャリヤ41′の回転はリングギヤ40′→シフターS→スリーブ140を経て第2クラッチC2のクラッチインナー38に伝達されるが、第2クラッチC2は非締結状態にあるため、インプットシャフト13と一体のクラッチアウター20との間で干渉が生じることはない。
【0056】
而して、第1クラッチC1の完全締結後は、トロイダル型無段変速機TのレシオをLOWからODへと変化させながら車両を加速する。
【0057】
トロイダル型無段変速機TがODレシオに達すると、それまで締結状態にあった第1クラッチC1を締結解除するとともに、それまで非締結状態にあった第2クラッチC2を締結した状態で、トロイダル型無段変速機TのレシオをODからLOWに変化させることにより、トルクスプリットモードで無段変速装置全体のレシオをODレシオよりも更に高レシオ側に変化させる。このトルクスプリットモードでは、エンジンEのトルクは、クランクシャフト11→ダンパー12→トロイダル型無段変速機Tのインプットシャフト13→第1軸131→第2クラッチC2のクラッチアウター20→第2クラッチC2のクラッチインナー38→スリーブ140→シフターSの経路を経て遊星歯車機構Pのリングギヤ40′に伝達される。遊星歯車機構Pのリングギヤ40′のトルクの大部分はキャリヤ41′→サンギヤ39′→第2軸132→駆動輪W,Wの経路で伝達され、車両を前進走行させる。また遊星歯車機構Pにリングギヤ40′のトルクの一部分は、キャリヤ41′→第5ヘリカルギヤ139→第2ヘリカルギヤ136→第3軸133→第1ヘリカルギヤ135→アウトプットギヤ25を経てトロイダル型無段変速機Tのインプットシャフト13に逆伝達され、そこから第2クラッチC2を通る前記経路を経て駆動輪W,Wに伝達される。
(2) 通常時における後進走行時
通常時における後進走行時には、シフターSを後進側(図16の矢印R方向)に切り替えた状態で、第1クラッチC1を非締結状態に保持したまま、第2クラッチC2だけを締結する。これにより、エンジンEのトルクは、クランクシャフト11→ダンパー12→トロイダル型無段変速機Tのインプットシャフト13→第1軸131→第2クラッチC2→スリーブ140→シフターS→第6ヘリカルギヤ142→第7ヘリカルギヤ143→第3ヘリカルギヤ137→第4軸134→第4ヘリカルギヤ138→第8ヘリカルギヤ144→第2軸132→駆動輪W,Wの経路で伝達され、車両を後進走行させる。その間、トロイダル型無段変速機Tのアウトプットギヤ25の回転は遊星歯車機構Pのキャリヤ41′に入力され、リングギヤ40′から出力されるが、シフターSが後進側に切り替わっているために支障はない。
(3) フェイル時における前進走行時
無段変速装置の電子制御系のフェイル時には、第1クラッチC1の締結によるキャリヤ41′の回転数の低下と、第2クラッチC2の締結によるリングギヤ40′の回転数の増加とが相殺されるように、第1クラッチC1および第2クラッチC2の締結力を制御することにより、トロイダル型無段変速機TのレシオをLOWレシオおよびODレシオ間の所定レシオ(本実施例では1.6)に保持し、トロイダル型無段変速機Tの過負荷を防止する。即ち、シフターSで第2クラッチC2のクラッチインナー38を遊星歯車機構Pのリングギヤ40′に接続し、かつ第1クラッチC1および第2クラッチC2を所定の締結力で徐々に締結することにより、トロイダル型無段変速機TのレシオがLOWレシオよりも更に低レシオ側あるいはODレシオよりも更に高レシオ側に変化しないように制御する。第1クラッチC1が完全に締結するとトロイダル型無段変速機Tのレシオは前記所定レシオからODレシオに向かって変化し、やがて第2クラッチC2が完全に締結するとODレシオに固定した状態でエンジン回転数を増加させて車両を加速する。この間、エンジンEのトルクは第2クラッチC2、シフターSおよび遊星歯車機構Pを介して駆動輪W,Wに伝達され、トロイダル型無段変速機Tは変速のみを行ってトルク伝達に寄与しない。
(4) フェイル時における後進走行時
無段変速装置の電子制御系がフェイルした状態で後進走行を行う場合にも、通常時と同様にエンジンEのトルクをトロイダル型無段変速機Tを介さずに、第2クラッチC2だけを介して駆動輪W,Wに伝達することにより、トロイダル型無段変速機Tの耐久性低下が防止される。
【0058】
而して、本第3実施例によっても、前記第1、第2実施例と同様の作用効果を達成することができる。
【0059】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0060】
例えば、実施例ではトロイダル型無段変速機Tを例示したが、本発明は有段変速機および無段変速機を問わず任意の自動変速機に適用することできる。
【0061】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、車両の前進走行時には、締結状態になる前進発進クラッチに供給される潤滑油量を締結解除状態になる後進発進クラッチに供給される潤滑油量よりも多くし、また車両の後進走行時には、締結状態になる後進発進クラッチに供給される潤滑油量を締結解除状態になる前進発進クラッチに供給される潤滑油量よりも多くするので、締結解除状態にあって負荷が小さいクラッチに必要以上の潤滑油が供給されるのを防止し、潤滑油の引きずりによるフリクションを最小限に抑えることができる。また車両用変速装置のフェイル時には車両の前進走行時および後進走行時ともに後進発進クラッチを締結して発進を行うが、そのときに締結する後進発進クラッチに供給される潤滑油量が前進発進クラッチに供給される潤滑油量よりも多くなるように制御するので、車両用変速装置のフェイル時であっても、負荷が大きい後進発進クラッチに充分な潤滑油を供給しながら負荷が小さい前進発進クラッチに過剰な潤滑油が供給されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 無段変速装置のスケルトン図
【図2】 図3〜図5のレイアウトを示すマップ
【図3】 図2のA部拡大図
【図4】 図2のB部拡大図
【図5】 図2のC部拡大図
【図6】 図3の6−6線断面図
【図7】 図8〜図10のレイアウトを示すマップ
【図8】 図7のD部拡大図
【図9】 図7のE部拡大図
【図10】 図7のF部拡大図
【図11】 無段変速装置の通常時の動力伝達経路の説明図
【図12】 無段変速装置のフェイル時の動力伝達経路の説明図
【図13】 遊星歯車機構の速度線図
【図14】 第2実施例に係る無段変速装置のスケルトン図
【図15】 第2実施例に係る遊星歯車機構の速度線図
【図16】 第3実施例に係る無段変速装置のスケルトン図
【図17】 従来の無段変速装置のスケルトン図
【符号の説明】
C1 第1クラッチ(前進発進クラッチ)
C2 第2クラッチ(後進発進クラッチ)
123 SC−LUB SIFT VALVE(潤滑制御手段)
Claims (1)
- 湿式多板クラッチより構成されて車両の前進走行時に締結される前進発進クラッチ(C1)と、湿式多板クラッチより構成されて車両の後進走行時に締結される後進発進クラッチ(C2)と、前進発進クラッチ(C1)および後進発進クラッチ(C2)に潤滑油を供給する潤滑制御手段(123)とを備えた車両用変速装置において、
前記潤滑制御手段(123)は、車両の前進走行時には前進発進クラッチ(C1)に供給される潤滑油量が後進発進クラッチ(C2)に供給される潤滑油量よりも多くなるように制御し、車両の後進走行時には後進発進クラッチ(C2)に供給される潤滑油量が前進発進クラッチ(C1)に供給される潤滑油量よりも多くなるように制御し、
かつ前記車両用変速装置のフェイル時には、車両の前進走行時および後進走行時ともに後進発進クラッチ(C2)を締結して発進を行うとともに、前記潤滑制御手段(123)は、後進発進クラッチ(C2)に供給される潤滑油量が前進発進クラッチ(C1)に供給される潤滑油量よりも多くなるように制御することを特徴とする車両用変速装置。
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