JP4530508B2 - 加熱殺菌可能な樹脂製キャップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱殺菌可能な易開封性樹脂製キャップに関するもので、より詳細には、耐熱性と易開封性との組合せを有する易開封性樹脂製キャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
飲料用ボトル等に用いる樹脂製キャップは、今日では一般的であり、一般にプロピレン系重合体や、エチレン系重合体などのオレフィン系樹脂製のものが広く使用されている。
【0003】
本出願人の提案に係る実開昭64−26257号公報には、容器首部と係合するための螺子部を内面に有するポリプロピレン製樹脂キャップにおいて、該螺子部表面は、JIS B 0651に基づいて測定した表面粗さが2乃至6μmの範囲にあることを特徴とするポリプロピレン製樹脂キャップが提案されている。
【0004】
また、特開平9−315451号公報には、天面及びスカートから成るキャップにおいて、少なくとも容器口に接する天面内面が密度が0.935g/cm3以下のエチレン系重合体の連続相と、エチレン系重合体−オルガノポリシロキサン共重合体の分散相との樹脂組成物で形成されていることを特徴とするキャップが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ポリプロピレン製キャップは、耐熱性にもある程度優れており、耐環境応力亀裂性にも優れているという利点があるが、開封性に未だ問題を有している。
【0006】
即ち、一般に樹脂製キャップはボトルの口部にネジにより締結されるが、ポリプロピレンは滑り性が悪く、開栓トルクが大きくなり、締まりが硬く、開栓しにくいという問題を有している。
この問題を解決するために、キャップに成形するポリプロピレンに滑剤を含有させる手段が採用されているが、開栓トルクの低減・改善には未だ限度があるとともに、滑剤は味や臭いの問題があるので、その添加量には自ずから限度あり、また、ワックスによるトルク制御では、経時変化が著しく、しかも温度依存性も大きく、扱いにくい面を有している。
【0007】
特に、ワンピース構造の樹脂製キャップでは、密封性を保持するには、キャップの密封部を容器口部に強く押さえる必要があるが、樹脂製キャップにおける開栓及び閉栓のためのトルクと、容器口部との密封性(シール性)とは相対立する関係にあるのが一般的であり、密封性を上げようとすると、トルクが高くなってしまい、締まりが硬く、開栓しにくいという問題がある。
【0008】
したがって、本発明の目的は、熱間充填などの加熱殺菌に耐える耐熱性を有すると共に、少量の滑剤の使用量で開栓トルクを低い値に抑制でき、密封性と開栓性と機械的強度などの組合せに優れた易開封性樹脂製キャップを提供するに有る。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、メルトフローレート(温度230℃、荷重21.18N)が3〜20g/10分のプロピレン共重合体と、メルトフローレート(温度190℃、荷重21.18N)が1〜20g/10分で密度が0.940〜0.970g/cm3の高密度ポリエチレンとを、プロピレン系重合体100重量部当たり高密度ポリエチレンが2〜10重量部となる量比で含有し、且つ樹脂当たり0.3〜1.0重量%の滑剤を含有する樹脂組成物から形成されていることを特徴とする加熱殺菌可能な樹脂製キャップが提供される。
本発明の樹脂製キャップにおいては、
1.プロピレン系共重合体が1500MPa以上の曲げ弾性率を有するものであること、
2.プロピレン系共重合体がエチレン含有量が2〜10重量%のプロピレン・エチレンブロック共重合体であること、
3.滑剤が高級脂肪酸アミドであること、
が好ましい。
【0010】
【発明の実施形態】
[作用]
本発明の樹脂製キャップでは、ベースとなる主樹脂成分として、メルトフローレート(温度230℃、荷重21.18N)が3〜20g/10分のプロピレン系重合体を用いること;このベース樹脂に配合する補助樹脂成分として、メルトフローレート(温度190℃、荷重21.18N)が1〜20g/10分で密度が0.940〜0.970g/cm3の高密度ポリエチレンを選択すること;プロピレン共重合体100重量部当たり高密度ポリエチレンが2〜10重量部となる量比で含有させること;及び上記の樹脂当たり0.3〜1.0重量%の滑剤を含有させること;の組合せに特徴を有するものである。
【0011】
本発明において、樹脂製キャップの主樹脂成分として、プロピレン系重合体を用いるのは、プロピレン系重合体が熱間充填などの加熱殺菌に耐える耐熱性を有していることによるものであり、更に、プロピレン系重合体が、ポリエチレン系樹脂とは異なり、耐環境応力亀裂性に優れていることによるものである。
キャップの場合、キャップのシール部には容器口部との密封圧力(シール圧)が必ず印加されており、しかもこのシール部には内容物やその蒸気が接触するため、環境応力亀裂が至って発生しやすい環境となっている。ワンピース型の樹脂製キャップでは、シール部にこのような亀裂が発生すると、この亀裂がたとえ微細なマイクロクラックであっても、漏洩や密封不良を招くことになるのであるが、本発明で用いるプロピレン系重合体は耐環境応力亀裂性に優れているので、優れた密封性が保持される。
【0012】
プロピレン系重合体は、このような利点を有する反面、滑り性に欠けており、開栓トルクが異常に大きい値となる欠点があり、単に滑剤を配合するだけでは、開栓トルクを易開栓性と一般に呼ばれるレベルに抑制することが困難である。
本発明においては、このプロピレン系重合体に特定の高密度ポリエチレンを少量配合すると、少量の滑剤の配合で開栓トルクを低減させることが可能となると共に、開栓トルクの経時的増加傾向をも抑制することが可能となる。
【0013】
後述する実施例を参照されたい。
プロピレン系重合体に滑剤を0.9重量%配合した樹脂組成物から形成したキャップでは、キャッパーの巻締設定トルク18で巻締を行った場合、巻締直後の開栓トルクが21kgfcmであり、5℃で1日間経時後の開栓トルクは25Kgfcmに増加する。
これに対して、プロピレン系重合体に5.0重量%の高密度ポリエチレンを配合し、これらの樹脂当たり滑剤を0.9重量%配合した樹脂組成物から形成したキャップでは、キャッパーの巻締設定トルク18kgfcmで巻締を行った場合、巻締直後の開栓トルクが15kgfcmに抑制され、5℃で1日間経時後の開栓トルクも17kgfcmに抑制されるのである。
【0014】
この結果は、高密度ポリエチレンと滑剤とが相乗的に滑り易さに寄与していることを示すものである。
何となれば、この例で用いたプロピレン系重合体の動摩擦係数(傾斜法)は 0.32であるのに対して、プロピレン系重合体に高密度ポリエチレンを配合したブレンド物では、動摩擦係数が0.22に減少しているからである。
このことから、プロピレン系重合体に配合された高密度ポリエチレンは、このブレンド物の滑り性を向上させると共に、配合された滑剤の作用(滑性)をも増大化させるように作用しているものと認められる。
【0015】
[樹脂組成物]
(1)プロピレン系重合体
本発明に用いるプロピレン系重合体は、メルトフローレート(温度230℃、荷重21.18N)が3〜20g/10分の範囲にあるものである。
このメルトフローレートが上記範囲を下回ると、射出成形や圧縮成形によるキャップの成形性が低下するので好ましくなく、一方メルトフローレートが上記範囲を上回ると、キャップの機械的強度や密封性能が、上記範囲内にある場合に比して、低下するようになるので好ましくない。
【0016】
用いるプロピレン系重合体は、曲げ弾性率(ASTM D790)が1500MPa以上であることが、キャップの密封性や機械的強度の点で好ましい。
【0017】
プロピレン系重合体としては、プロピレンの単独重合体や共重合体が使用される。これらのプロピレン系重合体は結晶性であることが必須であり、その構造はアイソタクティック構造のものでも、シンジオタクティック構造のものでもよい。
プロピレン系共重合体としては、プロピレンとそれ以外のオレフィン、例えばエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等との共重合体が挙げられ、この共重合体はランダム共重合体であっても、またブロック共重合体であってもよい。
【0018】
本発明においては、プロピレン系重合体がエチレン含有量が2〜10重量%のプロピレン・エチレンブロック共重合体であることが特に好ましい。というのは、このプロピレン・エチレンブロック共重合体は、高密度ポリエチレンとの相溶性に優れており、ブレンド物の状態でのキャップへの成形性、キャップの機械的特性、キャップとしての開栓性に特に優れているからである。
【0019】
(2)高密度ポリエチレン
本発明に用いる高密度ポリエチレンは、メルトフローレート(温度190℃、荷重21.18N)が1〜20g/10分の範囲にあり、且つ密度が0.940〜0.970g/cm3の範囲にあるものである。
【0020】
高密度ポリエチレンのメルトフローレートが上記範囲を下回ると、プロピレン系重合体に対する分散性が十分でなく、一方高密度ポリエチレンのメルトフローレートが上記範囲を上回ると、キャップの機械的特性や密封性が上記範囲内にある場合に比して低下するようになる。
【0021】
本発明で用いるポリエチレンは、上述した範囲の密度を有することも重要である。即ち、密度が上記範囲を下回るポリエチレンを用いると、滑性の向上作用が得られなくなる傾向があると共に、キャップの耐熱性や剛性も低下する傾向がある。
【0022】
(3)滑剤
本発明に用いるキャップ形成用樹脂組成物は、上記成分に加えて、滑剤を含有する。このような滑剤としては、一般にプロピレン系重合体に使用されるもの全てが適用可能である。
すなわち、滑剤は(イ) 流動、天然または合成パラフィン、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、塩素化ポリエチレンワックス等の炭化水素系のもの、(ロ) ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系のもの、(ハ) ステアリン酸アミド、バルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、エルシル酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸モノアミド系またはビスアミド系のもの、(ニ) ブチルステアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレート等のエステル系のもの、(ホ) セチルアルコール、ステアリルアルコール等のアルコール系のもの、(ヘ) ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石ケンおよび(ト) それらの混合系が一般に用いられるが、特に脂肪酸モノアミド系またはビスアミド系が好ましい。
【0023】
(4)ブレンド物
本発明では、プロピレン系重合体100重量部当たり、前記高密度ポリエチレンを2乃至10重量部の量で使用する。
高密度ポリエチレンの配合量が上記範囲を下回ると、上記範囲内にある場合に比して、滑り性の付与が十分でなく、開栓トルクの減少の程度が不十分となる。一方、高密度ポリエチレンの配合量が上記範囲を上回ると、上記範囲内にある場合に比して、耐熱性が低下し、剛性も低下し、密封性も低下するので好ましくない。
【0024】
本発明に用いるキャップ成形用樹脂組成物は、樹脂当たり滑剤を0.3乃至1.0重量%の比較的少ない量で含有する。
滑剤の配合量が上記範囲を下回ると、滑り性の付与による開栓トルクの低下の程度が不十分となり、一方滑剤の配合量が上記範囲を上回ると、開栓性の点での不都合はないが、滑剤によるフレーバー低下などの好ましくない影響がある。
【0025】
この樹脂組成物は、それ自体公知の樹脂用配合剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、着色剤、充填剤等をそれ自体公知の処方で含有することができる。
【0026】
[樹脂製キャップ]
本発明は、上述した特定の樹脂組成物をキャップの構成材料として用いる点に特徴を有するものであり、キャップの形状及び構造はそれ自体公知の任のものであってよい。
しかしながら、本発明のキャップは、上述した樹脂組成物をキャップの成形に用いる点に特徴を有するので、上記樹脂組成物から圧縮成形や射出成形で形成され、天面部とその周囲から垂下するスカート部とから成り、天面部内面には容器口部と当接するシール部を有し、スカート部内周には容器口部外周のネジと係合するネジを備え、且つスカート部の下部には開封明示機構を備えているものに好適に適用できる。
以下、この例について説明する。
【0027】
ワンピース型のキャップの一例を示す図1において、このプラスチックキャップ10は、容器口部の形状にあわせてほぼ円筒形状をしており、天面12と天面12の周縁部から垂下したスカート状側壁部13とから形成されているキャップ本体1と、スカート状側壁部13の下側に環状切断面3を介して位置する開封明示用の周状バンド2からなる。
【0028】
キャップ本体1と周状バンド2とは環状切断面3により分割されていると共に、ブリッジ4により連結されている。キャップ本体1側に設けたストッパー5は、環状切断面3を越えて、周状バンド2の側に延びており、キャップの閉栓方向側にほぼ垂直な係止部を有する。ストッパー5とブリッジ4とは、閉栓方向側(係止部の側)で、円周方向に小間隔(S)、例えば0.1乃至1.0mmの間隔をおいて配置されている。
【0029】
スカート状側壁部13の外面には、キャップの把持を容易にするためのローレット溝14が形成されており、一方スカート状側壁部13の内面側には、容器口部(図示せず)との締結を可能にするためのネジ15が形成されている。ネジ15の所々には、開栓に際してガス抜きを速やかに行い、キャップの飛翔を防止するためのガス抜き溝16が形成されていてもよい。
【0030】
キャップ本体1の天面部12内面には、容器口部のシール機構17が天面部と一体に設けられており、このシール機構17は、容器口部の内周面と係合するインナーリング18と、容器口部の頂面乃至外周側肩部と当接する外周リング19とからなっており、これらにより容器口部の密封が行われるようになっている。
【0031】
側壁部13の下部が周状バンド2に向けて外径の増大する部分、特にテーパー状の部分20から成っており、この下にブリッジ4やリブ5の形成用スペースが確保されている。同様に、周状バンド2の外面も下向きに径の増大するテーパー面22となっている。
【0032】
側壁部下部20の内面側には段部21が形成されており、この段部下面側からリブ5及びブリッジ4が周状バンド2側に延びており、型抜き等の成形性を良好にしている。
【0033】
キャップ本体1と周状バンド2とは環状切断面3により分割されているが、ブリッジ4は環状切断面3よりも内側に位置していることが了解されよう。
【0034】
周状バンド2は、容器口部への係止のために、径内方向且つ斜め上方向に延びる片状のフラップ片25を多数周状に配置して備えているが、このフラップ片25は、リブ5の下側に存在しており、キャップ本体1の回転を妨げないようになっている。フラップ片25は容器口部外周に設けられたあご部の下側と係合してキャップを容器口部に係止させるものである。
【0035】
また、周状バンド2の内面側には、フラップ片25の付け根26が存在するが、この付け根26の上側でバンドの内面側には凹部27が形成されており、またフラップ片25には上側から下向きの切欠部28が形成されている。フラップ片25は斜め下向きの状態で成形されるが、バンド2の切欠部28はフラップ片25の径外方向への変形を容易にして、その無理抜きを容易にするものであり、一方、バンド2の上側凹部27は、フラップ片25が上向きに反転されて容器口部に閉栓されるとき、やはりフラップ片25の径外方向への変形を容易にして、容器口部への閉栓を可能にするものである。
【0036】
キャップの容器への締結に際しては、キャップ本体1を閉栓方向に回転させると、フラップ片25の内面が容器口部外周に設けられたネジ及びあご部と係合して、付け根部を基点として周方向外方に変形して、ネジ及びあご部を乗り越えてあご部の下側に係合して、容器口部に周状バンド2及びキャップ本体1を締結させることが可能となる。
【0037】
一方、キャップの開栓時においては、上記のようにフラップ片25等の固定機構により周状バンド2が容器口部に固定され、キャップ本体1のみが開栓方向に回転するので、剪断力によりブリッジ4が破断する。この破断により、キャップ本体1と周状バンド2とが分離して開封が行われる。
【0038】
このワンピースタイプの樹脂キャップ10では、キャップを、前述したプロピレン系重合体、高密度ポリエチレン及び滑剤を特定の量比で含有する樹脂組成物で形成したため、天面の内圧による変形も小さく抑えられ、また耐環境応力亀裂性にも優れているため、優れた密封性が得られると共に、容器口部との滑り性にも優れており、開栓操作が容易であるという利点が奏されるものである。
【0039】
図1に示すキャップにおいて、キャップによる密封は、インナーリング18及びアウターリング19の何れか一方、或いは両方で行うことができるし、また、インナーリング18及びアウターリング19の少なくとも一方と中間部19’とで密封的係合が行われるようにすることもできる。
【0040】
ツーピース型のキャップの他の例を示す図2において、このプラスチックキャップ10は、基本的には図1に示すものと同様であるが、周状バンド2には、容器口部への係止のために、径内方向且つ斜め方向に延びる片状のフィン30を多数周状に配置して備えているが、このフィン30は、閉栓時において、容器口部外周下方のあご部(図示せず)の下に係合するようになっている。
【0041】
図2に示すキャップの容器への閉栓に際しては、キャップを閉栓方向に回転させると、容器口部のネジとスカート部内面のネジ15とが係合して、閉栓が進行する。この場合、周状バンド2のフィン30の延びる方向と閉栓方向とが一致しているため、このフィン30は容器口部のあご(図示せず)を乗り越えて、その下部に達し、フィン30による周状バンド2の保持が確実に行われる。
【0042】
図2に示すキャップにおいて、キャップによる密封部7は、ライナーをキャップシェル内に供給した溶融樹脂を圧縮成形することにより成形することができる。
この場合においても、シェル材としての本発明の効果は上記内容と同等であり、滑り性をコントロールする必要があるキャップにおいては、この発明内容が有効に作用する。
【0043】
【実施例】
本発明を次の例で更に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0044】
(1)組成物の作成
表1に示す各樹脂及び添加剤の重量を精密に測定し、ヘンシルミキサーで均一に混合後、押出機にて溶融混合し、ペレットを作成した。この溶融混合は60mm径押出機(L/D28ダルメージ型混合スクリュー)を使用して210℃で溶融押出し、ペレットにした。
【0045】
(2)シェルの成形に使用した樹脂材の物性の測定は次の通りである。
1)メルトフローレート(MFR)の測定
JIS−K7210に準拠して測定した。230℃、21.18Nの荷重の条件で測定した。
2)曲げ弾性率
射出成形機により樹脂温度が220℃、金型温度40℃にて成形した試験片を、JIS−K7106に準拠して測定した。
【0046】
(3)シェルの成形
試験用シェルを圧縮成形機を使用して成形した。すなわち、シェル成形用の各種樹脂をスクリュー径が50mmの押出機が設置してある圧縮成形機で、それぞれの樹脂ごとに170℃〜220℃に樹脂温度をセットして、樹脂を押し出し、この溶融樹脂を押出機の先端のイズルに接触している回転カッターにより、連続的に切断する。この溶融樹脂の押し出し量は、押出機のスクリュー回転数にて調整する。カッターで切断された溶融樹脂は、直下に配置されたシェル金型中に落下し、圧縮成形機により押圧され、シェル成形がなされ、金型が冷却後、成形機から排出される。このキャップを試験用に使用した。
【0047】
(4)キャップの性能評価
85℃の熱湯を500mlのPETボトルに注入し、圧縮成形機で成形したキャップをキャッピングする。キャッパーの巻締設定トルクを18kgfcm、ヘッドプレッシャーは15kgf、回転数が200rpmにセットした。熱湯を充填後、30秒間PETボトルを横倒し、冷却水にて室温まで冷ます。その後、必要に応じて、各種試験条件に放置後キャップの性能を確認する。
1)キャッピング時のキャップの締まり状態(閉栓性能)観察
・キャップの締まり不足で、ルーズ状態となっているものがある →×
・キャップの締まりがすべて管理値範囲にある →○
・キャップの締まりが管理値を越えているものがある →△
2)キャップの開栓性能
熱湯を充填し、冷却した500mlPETボトルを5℃に24時間放置後、開栓トルク値を測定し、開栓性能を評価した。その平均値で3段階の判定をした。開栓トルク値は10〜20kgfcmが最適である。
・開栓トルク値が10kgfcm以下 →×
・開栓トルク値が10kgfcm〜20kgcm →○
・開戦トルク値が20kgfcm以上 →△
3)キャップの密封性能
キャップの開栓性能と同じ条件放置し、24時間後にPETボトルの真空度があることを確認しながら、キャップを開栓し、ブリッジが破損する時の角度と真空度の低下が開始する時の角度を調べた。10本のPETボトルの試料を使用して、ブリッジが破損する前に真空度が低下する試料数を調べた。併せて、キャップを開栓する前に、すでに真空度が低下している試料も、不良本数に加えた。
【0048】
(5)実施例1〜4、比較例5〜8
シェルの試作及びキャップの評価(1)
各PP樹脂A〜Hの8種類とHDPE樹脂J、L、Mの3種類に添加剤として滑剤Nを表2の比率となるように計量し、必要に応じて着色材を混合し、ヘンシルミキサーでドライブレンドした。これを押出機でペレット化後、圧縮成形機にてシェルを成形した。そのシェルを85℃の温水を充填した500mlPETボトルにキャッピングし、キャップの締まり状態、開栓性、密封性を評価した。
その結果を表2に示した。
表2の結果から、本発明で明らかな様に、PP樹脂のMFRが3より小さい場合ではキャップ締まり状態、開栓性、密封性のすべてが劣っていた。又PP樹脂のMFRが20より大きい場合ではキャップ締まり状態や密封性が劣り、総合評価で不的確となった。
樹脂の曲げ弾性率が1500以下の物性では、密封性やキャップの締まり状態が劣り、総合評価で不合格となった。実施例であげた配合処方では全て良好なキャップの性能結果となった。従って、樹脂材のMFRが2〜20、曲げ弾性率が1500以上の範囲で、問題の無い結果となった。
【0049】
(6)実施例9〜12、比較例13〜16
シェルの試作及びキャップの評価(2)
上記記載の実施例、比較例で、すでに述べた通りのキャップの試作を、樹脂材を変更して同様に作成した。すなわち、PP樹脂A〜Dの4種類とHDPEのI〜Lの4種類に滑剤N、O2種類を表3の比率になるように計量し、必要に応じて着色材を混合して、ペレットを作成し、シェル成形をした。
その後、前記記載と同様にキャップの性能を評価した。実施例の9〜12に掲げた条件であるHDPEの添加量が2〜10重量部で、滑剤量が0.3〜1.0重量%ではキャップの総合評価で全て良好であった。比較例として示した13〜16の配合例では、HDPEの添加量が多いと密封性に影響が発生し、又、滑剤の添加量が多くても、少なくても、適切な巻き締め基準の範囲以外となり、いずれも総合評価で不適格となった。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【発明の効果】
本発明では、プロピレン系重合体に特定の高密度ポリエチレンを特定の少量配合し、更に少量の滑剤を配合し、これをキャップの成形に用いることにより、プロピレン系重合体の優れた剛性や耐熱性を損なうことなしに、優れた密封性を保持しながら、開栓トルクを有効に低減させ、また開栓トルクの経時的増加傾向をも抑制することが可能となり、これにより開栓性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のキャップの一例を示す一部断面側面図である。
【図2】本発明のキャップの他の例を示す一部断面側面図である。
Claims (4)
- メルトフローレート(温度230℃、荷重21.18N)が3〜20g/10分のプロピレン系重合体と、メルトフローレート(温度190℃、荷重21.18N)が1〜20g/10分で密度が0.940〜0.970g/cm3の高密度ポリエチレンとを、プロピレン共重合体100重量部当たり高密度ポリエチレンが2〜10重量部となる量比で含有し、且つ樹脂当たり0.3〜1.0重量%の滑剤を含有する樹脂組成物から形成されていることを特徴とする加熱殺菌可能な樹脂製キャップ。
- プロピレン系重合体が1500MPa以上の曲げ弾性率を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製キャップ。
- プロピレン系重合体がエチレン含有量が2〜10重量%のプロピレン・エチレンブロック共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂製キャップ。
- 滑剤が高級脂肪酸アミドであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の樹脂製キャップ。
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