JP4530336B2 - 飛灰に含有されるダイオキシン類の熱分解方法及び装置 - Google Patents

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本発明は、灰溶融炉の排ガスより捕集された溶融飛灰中に含まれるダイオキシン類を熱分解除去する方法及び装置に関する。
灰溶融炉の排ガス中に含まれる飛灰には、ダイオキシン類や重金属類等の有害物質が含有されている。この飛灰は熱処理炉の後段に設けられたバグフィルタや電気集塵機等の集塵装置により捕集し、溶融固化、セメント固化、キレートによる安定化などの処理を施して無害化している。
しかし、ダイオキシン類はセメント固化、キレートによる安定化後も溶出する惧れがあるため、飛灰を加熱してダイオキシン類を熱分解し、除去する方法が望ましい。
一般にダイオキシン類は、排ガス中に含まれる塩素化芳香族化合物等のダイオキシン類前駆体が、飛灰の触媒作用によりダイオキシン類を形成すると考えられている。このダイオキシン類の熱分解処理には、従来よりハーゲンマイヤープロセス、即ちダイオキシン類を含む飛灰を窒素ガスなどの還元性雰囲気下で300〜400℃で1〜2時間保持する処理方法が有効であるとされており、この処理方法に即した装置が種々提案されている。
例えば、特許文献1(特許第2953889号公報)や特許文献2(特許第2645799号公報)等により、灰加熱手段にて酸素不足下で飛灰を400℃以上の高温状態で30分以上保持し、ダイオキシン類を熱分解するとともに、水銀等の低沸点重金属類を気化させ、重金属類を含む熱ガスを分離して冷却し、熱ガス中の重金属類を凝縮分離する装置が提供されている。
これらの装置により、飛灰中に含まれるダイオキシン類や重金属類等の有害物質を分離除去して飛灰を無害化することが可能となる。
しかし、これらの装置を円滑に運転するためには幾つか問題がある。その一つとして、飛灰中に含まれる低融点物質が装置へ溶融付着し、固化してしまうために、装置の運転を阻害し、装置を損傷させてしまうという問題が挙げられる。
そこで、特許文献1では、灰加熱手段の後段に設けられた灰冷却装置への飛灰の固着トラブルを防止するために、灰加熱手段にて発生したガスを吸引して低融点重金属類を分離した後に灰加熱手段にフィードバックしてガスを循環させている。
また、特許文献2では、灰ホッパや供給ロータリーバルブ等の飛灰供給手段を加熱する手段を設け、飛灰供給手段に飛灰が固着することを防止している。
特許第2953889号公報 特許第2645799号公報
このように、飛灰中のダイオキシン類を熱分解する際には、飛灰中に含まれる低融点物質が付着、固化することにより運転を阻害し、装置の損傷を招いてしまうという問題があった。特許文献1及び2に開示された装置を用いることにより、飛灰冷却装置や灰供給装置への付着、固化は防止できるが、熱分解装置(ヒーティングドラム)自体への低融点物質の付着、固化は防ぐことができていないのが実状であった。
熱分解装置(ヒーティングドラム)の内壁に低融点物質が付着、固化すると、該装置に備え付けられた撹拌子等の撹拌手段が固着した溶融物をこすり、異音や異常振動を発生させ運転不可能な状態となってしまう。
そこで、従来は熱分解装置(ヒーティングドラム)への低融点物質の溶融付着を防止するために、濾過式集塵機で使用されるAl2O3やSiO2を主成分とする融点の高いろ布保護剤を飛灰に混入させ、飛灰の融点を上昇させる方法が採られていた。
しかし、このようなろ布保護剤は非常に高価であり、処理コストが嵩むという問題がある。さらにまた、ろ布保護剤を混入させると、熱分解後に飛灰をセメントと混練し、固化する際に、撥水性の高いろ布保護剤が悪影響を及ぼし、均一に混練することが出来なかった。
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、低コストでかつ簡単に熱分解装置(ヒーティングドラム)への飛灰の溶融付着を防止でき、さらには熱分解処理後のセメント固化における混練処理に悪影響を与えることがない飛灰に含有されるダイオキシン類の熱分解方法及び装置を提供することを目的とする。
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、
一般廃棄物を焼却処理した後に回収された灰を灰溶融炉にて溶融処理した後、該灰溶融炉で発生した排ガスから集塵装置により捕集された前記排ガス中の溶融飛灰を、ドラム内を加熱する加熱手段と該ドラム内に挿設された回転軸に取り付けられた撹拌手段を備えたヒーティングドラムに導入し、該ヒーティングドラムにて酸素欠乏雰囲気下で前記溶融飛灰を撹拌しながらドラム内を350〜380℃に加熱して該溶融飛灰に含有されるダイオキシン類を熱分解除去する方法において、
前記ヒーティングドラム内に直接若しくは前記灰溶融炉の排ガス出口側より前記ヒーティングドラムまでの空間内に、前記集塵装置捕集された前記溶融飛灰に対し、25wt%以上の消石灰を添加して前記ヒーティングドラム内における前記溶融飛灰の融点を上昇させて該ヒーティングドラム内壁への溶融飛灰の固着を防止させたことを特徴とする。
本発明によれば、溶融飛灰に消石灰を添加することにより該溶融飛灰の融点が上昇し、前記熱分解装置内における低融点物質の溶融固着を防止でき、撹拌手段との摩擦による異音、異常振動を回避することができ、延いては装置の損傷を防止し、安定した運転を行なうことが可能となる。また、本発明では、安価な消石灰を使用しているため、処理コストを低廉化することができる。さらにまた、後段にてセメントを混合して混練処理を行う場合にも、悪影響を与えることがなく、均一な混練が可能となる。
さらに本発明では、前記消石灰の添加量を、前記溶融飛灰の25wt%以上とするとことにより溶融飛灰の融解開始温度を400℃以上に上昇させることができる。
又本発明によれば、従来より塩化水素や硫黄酸化物を除去する目的で集塵装置にて消石灰を添加していたが、この消石灰添加手段を利用可能であるため、既設の設備で対応可能であり、設備費を削減できる。
集塵装置では、上記したように塩化水素や硫黄酸化物を除去する目的で消石灰を吹き込む場合がある。このとき添加する消石灰は、溶融飛灰の約2〜8重量%程度、多くとも約10重量%以内に抑えられていた。これは、集塵装置における集塵効率を鑑みた量であり、例えばバグフィルタの目詰まりや電気集塵機における電流効率等をもとに決定されるものである。
しかしながら、本発明では溶融飛灰の融点を上昇させることを主目的として消石灰を添加しており、そのため消石灰の添加量は25wt%以上と従来に比べて多量の消石灰を混入させている。この量の消石灰を添加することにより、溶融飛灰の融点を400℃以上まで確実に上昇させることができ、集塵装置の下流に配設された熱分解装置における不具合を防止できる。
また、本発明において、前記ヒーティングドラム内の温度を、350〜380℃としたことを特徴とする。
一般に、ダイオキシン類は酸素欠乏雰囲気下で350〜500℃に加熱するか、若しくは800℃以上で燃焼させると熱分解することが判っている。そこで、本発明では溶融飛灰を350〜380℃で加熱することによりダイオキシン類を熱分解し、さらに380℃以下とすることにより熱効率を向上させるとともに、消石灰により融点が400℃以上に上昇した溶融飛灰を溶融することなく熱分解することが可能となり、溶融飛灰を溶融固着せずにダイオキシン類の除去が達成できる。
さらに、前記ヒーティングドラムは回転軸の回転によりドラム内壁を摺接する攪拌子により溶融飛灰を撹拌しながらドラム内を加熱するヒーティングドラムであって、酸素欠乏雰囲気を維持する為に該ヒーティングドラムに導入される不活性ガスに前記消石灰を搬送させて前記集塵装置で捕集された消石灰添加前の溶融飛灰に対し25wt%以上の消石灰を添加することを特徴とする。前記ヒーティングドラムは、酸素欠乏雰囲気に維持するためにNガス等の不活性ガスがドラム内に導入される。この不活性ガスに搬送させて前記消石灰をドラム内に導入することにより、新たに消石灰添加手段を設ける必要がなく、また不活性ガス流により消石灰が固まることなく溶融飛灰に均一に添加、混合することができる。
また、溶融飛灰中のダイオキシン類を好適に熱分解可能な装置の発明として、
一般廃棄物を焼却処理した後に回収された灰を溶融処理する灰溶融炉と、該灰溶融炉で発生した排ガスから前記排ガス中の溶融飛灰を捕集する集塵装置と、
ドラム内を加熱する加熱手段と該ドラム内に挿設された回転軸に取り付けられた撹拌手段を備えたヒーティングドラムと、からなるダイオキシン類の熱分解装置であって、
前記集塵装置により捕集された溶融飛灰を前記ヒーティングドラム内で酸素欠乏雰囲気下で前記撹拌手段により撹拌しながら350〜380℃に加熱して、該溶融飛灰に含有されるダイオキシン類を熱分解除去する装置において、
前記ヒーティングドラム内に直接若しくは前記灰溶融炉の排ガス出口側より前記ヒーティングドラムまでの空間内に、前記集塵装置で捕集された溶融飛灰に対し、25wt%以上の消石灰を添加する手段を設け、前記ヒーティングドラム内壁への溶融飛灰の固着を防止させたことを特徴とする。
さらに、前記ヒーティングドラムが、ドラム内を加熱する加熱手段と前記ドラム内壁を摺動する攪拌子からなるヒーティングドラムである前記装置において、
記消石灰を添加する手段を前記集塵装置に設けたことを特徴とする。
さらにまた、前記消石灰添加する手段が、酸素欠乏雰囲気を維持する為に前記熱分解装置に設けられた不活性ガス導入口であり、不活性ガスに搬送させて前記消石灰を溶融飛灰に添加するようにしたことを特徴とする。
また、前記熱分解装置の下流側に、該熱分解装置から排出する溶融飛灰をセメント固化する混練機を設けたことを特徴とする。従来は、熱分解装置における溶融飛灰の溶融固着防止にAl2O3やSiO2を主成分とする、ろ布保護剤を溶融飛灰に混入させており、混練の際に悪影響を及ぼし均一な混練が困難であったが、本発明では撥水性が低い消石灰を利用しているため、均一な混練が可能である。
以上記載のごとく本発明では、溶融飛灰に消石灰を添加することにより該溶融飛灰の融点が上昇し、熱分解装置内における低融点物質の溶融固着が防止でき、撹拌手段との摩擦による異音、異常振動を回避することができ、延いては装置の損傷を防止し、安定運転を達成することが可能となる。また、本発明では、安価な消石灰を使用しているため、処理コストを低廉化することができる。さらにまた、後段にてセメントを混合して混練処理を行う場合にも、混練に悪影響を及ぼすことがなく、均一な混練が可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の実施例に係る熱分解装置を備えた灰処理システムの全体構成図、図2は本発明の実施例1に係るダイオキシン類熱分解装置の構成図、図3は図2のヒーティングドラムの拡大図、図4は消石灰添加率に対する溶融飛灰溶融点の実測データを示す表、図5乃至図7は夫々消石灰添加率を異ならせた時の溶融飛灰の温度曲線と示差熱曲線を示すグラフである。
図1に、本実施例に係る熱分解装置を適用した灰処理システムの一例を示す。かかる灰処理システムは、一般廃棄物や産業廃棄物を焼却処理した後に回収された主灰及び飛灰を夫々貯留する主灰貯槽11及び飛灰貯槽12を備え、該飛灰貯槽11及び飛灰貯槽12より投入された灰を溶融炉13にて溶融処理し、該溶融炉13で発生した排ガスを二次燃焼室14にて高温燃焼させた後に冷却装置14にて熱回収、冷却し、バグフィルタ16に導入して排ガス中の溶融飛灰を捕集する。
捕集された溶融飛灰は、一旦灰貯槽21に集積され、所定量ずつヒーティングドラム24に導入される。該溶融飛灰は、前記ヒーティングドラム24内にて酸素欠乏雰囲気下で撹拌しながら加熱され、ダイオキシン類を熱分解除去した後にクーリングドラム27に導入されて冷却される。
前記クーリングドラム27にて冷却された溶融飛灰は、灰排出装置29を介して混練機32に導入される。該混練機32には、セメント貯槽30からセメント供給装置31を介してセメントが所定量ずつ投入され、該混練機32にて前記溶融飛灰と混練された後に、成形機33にて成形、固化される。これにより、溶融飛灰中に含まれる有害な重金属類はセメント中に固定化される。尚、混練の前段で液体キレート剤などの薬剤を加え、重金属を溶解度の低い重金属化合物に変化させて不溶化させることも溶融飛灰の無害化において有効な方法である。
図2に本実施例におけるダイオキシン類熱分解装置の概略を示す。かかるダイオキシン類熱分解装置20は、溶融飛灰を貯留する灰貯槽21と、スクリューフィーダ等の灰送り手段を具備する灰供給装置22と、酸素欠乏雰囲気下で溶融飛灰を撹拌しながら加熱するヒーティングドラム24と、該ヒーティングドラム24内の加熱ガスをフィルタリングしながら吸引するダストフィルタ26と、前記ヒーティングドラム24から排出される溶融飛灰を冷却するクーリングドラム27と、冷却された溶融飛灰を混練機33に送り出す灰排出装置29と、を主要構成とする。
前記灰貯槽21に蓄えられる溶融飛灰は、例えば図1に示されるように溶融炉13の排ガスから集塵装置により捕集された溶融飛灰である。この溶融飛灰は塩化物を多く含み、ダイオキシン類を発生し易く、かつ融解開始温度が低いという特性を有するが、本実施例に示す熱分解装置を利用することにより容易に無害化することができる。
また、前記ヒーティングドラム24及び前記クーリングドラム27は酸素欠乏雰囲気とする必要があるため、前記灰供給装置22とヒーティングドラム24との間、前記クーリングドラム27と前記灰排出装置29の間にはロータリーバルブ23、28が設けられており、これらのドラム内を酸素欠乏雰囲気とするとともに、溶融飛灰の定量切り出しを行うことができるように構成されている。
前記ヒーティングドラム24は、撹拌子25等の撹拌手段と、内部を間接加熱する加熱手段とを有しており、投入された溶融飛灰を撹拌しながら加熱し、溶融中に含まれるダイオキシン類を熱分解するとともに、水銀等の低沸点の重金属類を揮発させる。このとき、前記加熱手段では、ドラム内部を350〜380℃、好ましくは350〜360℃に加熱することが好適である。
揮発した低沸点の重金属類を含む加熱ガスは、不図示の循環ファンにより吸引されてダストフィルタ26を経て煤塵を取り除かれた後、不図示のガス冷却手段により冷却される。冷却により前記重金属類は凝縮して分離除去される。分離した重金属類は、キレート処理等により安定化する。一方、重金属類を分離したガスは、再度ヒーティングドラム24に導入して循環利用しても良い。
ここで、図3により前記ヒーティングドラム24の具体的構成の一例につき説明する。図3(a)はヒーティングドラム24の側断面図、(b)は(a)図のX−X線断面図である。かかるヒーティングドラム24は、横置円筒型の外殻を有し、該外殻の中心軸上に回転軸42が挿設され該回転軸の円周方向には複数の撹拌子25が周設されている。該撹拌子25は、前記外殻の内壁に摺接して外殻内部を撹拌するように構成される。
また、前記ヒーティングドラム24は、外周部からドラム内を間接加熱する加熱手段41を有している。これは、前記溶融炉13の排熱を利用して加熱しても良いし、電熱ヒータやガスヒータ等を利用しても良い。
さらに、本実施例において主特徴とする構成は、前記ヒーティングドラム24に投入する溶融飛灰に、消石灰を添加する手段を設けたことである。この消石灰の添加手段は、前記ヒーティングドラム24に直接、若しくは該ヒーティングドラム24の上流側に設けられる。該消石灰添加手段は、例えば図2に示されるように、前記ヒーティングドラム24内を酸素欠乏雰囲気にするために導入するNガス導入口を利用し、該Nガスに搬送させてドラム内に直接導入することもできる。また、該ヒーティングドラム24の上流側、即ち前記灰貯槽21、灰供給装置22、前記集塵装置21等に消石灰添加手段を設けても良い。
また、前記消石灰は、市販の消石灰(Ca(OH)2)単独、または消石灰を混入させたセメント類やセメント単独を粉体として用いることもでき、高融点無機化合物を含む非撥水性の粉体であれば何れでも良い。
このように、溶融飛灰に消石灰を添加することにより溶融飛灰の融点が上昇し、前記ヒーティングドラム24内にて溶融飛灰を加熱する際に、該ドラムの内壁に溶融飛灰が溶融固着することを防止でき、撹拌子25の摩擦による異音や異常振動を回避することができる。さらに、消石灰は安価であるため操業コストを削減することができ、また撥水性ではないため下流側に設けられた混練機32での混練、セメント固化処理に悪影響を及ぼすことがない。
また、前記消石灰の添加量は、溶融飛灰の25wt%以上、好適には25wt%〜40wt%程度とすると良い。これは、発明者らが溶融飛灰への消石灰添加量を異ならせて溶融飛灰融解開始温度を測定した結果、図4に示される実測データが得られ、これにより、消石灰を前記添加量とした場合に溶融飛灰の融点が400℃以上まで上昇することが明らかとなった。図4は実測データの一部を提示しており、これは図5〜図7に示されるような温度−示差熱熱曲線から得られるものである。図7は本実施例(消石灰26%混合)における温度曲線と示差熱曲線を示すグラフ、図5は比較例1(消石灰無添加)における温度曲線と示差熱曲線を示すグラフ、図6は比較例2(消石灰10%混合)における温度曲線と示差熱曲線を示すグラフである。
示差熱曲線は示差熱分析(DTA)により得られる。示差熱分析とは、試料と基準物質の温度を一定のプログラムに従って変化させながら、その試料と基準物質との温度差を温度の関数として測定する方法であり、温度に対する溶融飛灰の物性変化を追随する有効な方法である。図5〜図7に示される示差熱曲線からは溶融飛灰の転移温度が得られ、溶融飛灰に消石灰を添加しない図5の比較例1では溶融開始温度が327.6℃であることが判り、溶融飛灰への消石灰添加量が10%である図6の比較例2では溶融開始温度が357.6℃であり、溶融飛灰への消石灰添加量が26%である図7の実施例1では溶融開始温度が408.5℃であることが判る。
また、本発明者らが実測した他のデータを基に、消石灰添加量が26%前後の温度曲線及び示差熱曲線のグラフ(不図示)から、溶融飛灰溶融開始温度が400℃以上となるのは、消石灰添加量が25wt%以上であることが判った。
前記ヒーティングドラム24は350〜380℃程度で運転するため、上記した消石灰添加量とすることにより溶融飛灰の融点を400℃以上とすることができ、これにより前記ドラム内への溶融飛灰の溶融固着を防止でき、熱分解装置の安定運転が可能となる。
本発明の実施例に係る熱分解装置を備えた灰処理システムの全体構成図である。 本発明の実施例1に係るダイオキシン類熱分解装置の構成図である。 図2のヒーティングドラムの側断面図(a)、(a)図のX−X線断面図(b)である。 消石灰添加量に対する溶融飛灰溶融点の実測データを示す表である。 比較例1(消石灰無添加)における温度曲線と示差熱曲線を示すグラフである。 比較例2(消石灰10%混合)における温度曲線と示差熱曲線を示すグラフである。 本実施例(消石灰26%混合)における温度曲線と示差熱曲線を示すグラフである。
13 溶融炉
16 バグフィルタ
21 灰貯槽
22 灰供給機
24 ヒーティングドラム
25 撹拌子
26 ダストフィルタ
27 クーリングドラム
32 混練機
33 成形機
41 加熱手段
42 回転軸

Claims (6)

  1. 一般廃棄物を焼却処理した後に回収された灰を灰溶融炉にて溶融処理した後、該灰溶融炉で発生した排ガスから集塵装置により捕集された前記排ガス中の溶融飛灰を、ドラム内を加熱する加熱手段と該ドラム内に挿設された回転軸に取り付けられた撹拌手段を備えたヒーティングドラムに導入し、該ヒーティングドラムにて酸素欠乏雰囲気下で前記溶融飛灰を撹拌しながらドラム内を350〜380℃に加熱して該溶融飛灰に含有されるダイオキシン類を熱分解除去する方法において、
    前記ヒーティングドラム内に直接若しくは前記灰溶融炉の排ガス出口側より前記ヒーティングドラムまでの空間内に、前記集塵装置捕集された前記溶融飛灰に対し、25wt%以上の消石灰を添加して前記ヒーティングドラム内における前記溶融飛灰の融点を上昇させて該ヒーティングドラム内壁への溶融飛灰の固着を防止させたことを特徴とする飛灰に含有されるダイオキシン類の熱分解方法。
  2. 前記ヒーティングドラムは回転軸の回転によりドラム内壁を摺接する攪拌子により溶融飛灰を撹拌しながらドラム内を加熱するヒーティングドラムであって、酸素欠乏雰囲気を維持する為に該ヒーティングドラムに導入される不活性ガスに前記消石灰を搬送させて前記集塵装置で捕集された消石灰添加前の溶融飛灰に対し25wt%以上の消石灰を添加することを特徴とする請求項1に記載の飛灰に含有されるダイオキシン類の熱分解方法。
  3. 一般廃棄物を焼却処理した後に回収された灰を溶融処理する灰溶融炉と、該灰溶融炉で発生した排ガスから前記排ガス中の溶融飛灰を捕集する集塵装置と、
    ドラム内を加熱する加熱手段と該ドラム内に挿設された回転軸に取り付けられた撹拌手段を備えたヒーティングドラムと、からなるダイオキシン類の熱分解装置であって、
    前記集塵装置により捕集された溶融飛灰を前記ヒーティングドラム内で酸素欠乏雰囲気下で前記撹拌手段により撹拌しながら350〜380℃に加熱して、該溶融飛灰に含有されるダイオキシン類を熱分解除去する装置において、
    前記ヒーティングドラム内に直接若しくは前記灰溶融炉の排ガス出口側より前記ヒーティングドラムまでの空間内に、前記集塵装置で捕集された溶融飛灰に対し、25wt%以上の消石灰を添加する手段を設け、前記ヒーティングドラム内壁への溶融飛灰の固着を防止させたことを特徴とする飛灰に含有されるダイオキシン類の熱分解装置。
  4. 前記ヒーティングドラムが、ドラム内を加熱する加熱手段と前記ドラム内壁を摺動する攪拌子からなるヒーティングドラムである請求項3記載の装置において、
    記消石灰を添加する手段を前記集塵装置に設けたことを特徴とする飛灰に含有されるダイオキシン類の熱分解処理装置。
  5. 前記消石灰添加する手段が、酸素欠乏雰囲気を維持する為に前記熱分解装置に設けられた不活性ガス導入口であり、不活性ガスに搬送させて前記消石灰を前記溶融飛灰に添加するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の飛灰に含有されるダイオキシン類の熱分解装置。
  6. 前記熱分解装置の下流側に、該熱分解装置から排出した溶融飛灰をセメント固化する混練機を設けたことを特徴とする請求項3若しくは4に記載の飛灰に含有されるダイオキシン類の熱分解装置。
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