JP4529782B2 - 撮像装置およびその信号処理方法 - Google Patents
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Description
高解像度CCDの駆動方式は、奇数ラインと偶数ラインの画素信号を加算して読み出す全画素読み出し(プログレッシブ)方式と、奇数ラインと偶数ラインの画素信号を交互に読み出すインターレース方式の二つである。一般に電子スチルカメラでは垂直方向の解像度を高めるために、後者のインターレース方式を採用する。
高解像度CCDを搭載した電子スチルカメラで暗所撮影する場合、CCDの電荷蓄積時間は当然長くなる。この電荷蓄積時間は銀塩カメラの露光時間(シャッタ時間とも言う)に相当し、上記感度差により、銀塩カメラの露光時間よりもかなり長くなる。
しかしながら、CCDは、露光時間が長くなると暗電流(または暗電圧;以下「暗電流」で代表する)と呼ばれる雑音電流が増加する欠点を有しており、暗所撮影時に良好な画像を生成できないという問題点があった。
“暗所撮影画像”と“暗電流補正画像”は共にCCDの出力画像であるが、CCDへの入射光を許容するか否かの点で相違する。すなわち、前者はCCDのメカシャッタ(「メカ絞り」ともいう)を開状態にして入射光を許容した画像であり、後者は同メカシャッタを閉状態にして入射光を遮断した画像である。どちらも露光時間(CCDの電荷蓄積時間)は同一である。
したがって、暗所撮影画像は被写体像と雑音成分(暗電流による雑音成分+ランダム雑音成分)の両方を含み、暗電流補正画像は雑音成分(暗電流による雑音成分+ランダム雑音成分)のみを含むので、暗所撮影画像から暗電流補正画像を減算処理することにより、暗所撮影画像の雑音成分を取り除き、暗所撮影時の画質劣化を回避することができる。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、暗所撮影時の画質劣化を回避しつつ撮影時間を短くして連続的な撮影を可能にすることを目的とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記シャッタキーが操作され、且つ前記判別手段により前記第1の露光時間が前記所定時間を超えていないと判断された場合に、前記光路開閉手段を閉じた状態で前記撮像素子を前記第1の露光時間露光させることにより第3の画像データを得る第3の撮影制御手段と、前記第3の撮影制御手段により得られた第3の画像データを用いて前記第1の撮影制御手段により得られた第1の画像データを補正する第3の補正手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記第2の撮影制御手段は、前記シャッタキーが操作され、且つ前記判別手段により前記第1の露光時間が前記所定時間を超えていると判断された場合に、前記光路開閉手段を閉じた状態で前記撮像素子を前記所定時間露光させることにより第2の画像データを得ることを特徴とする。
図1において、11は写真レンズ、12は写真レンズ11の光軸上に設けられた絞り機構を兼ねるメカシャッタ、13はメカシャッタ12の開度を調節する駆動部、14はメカシャッタ12を通過した光を受けて被写体の撮像信号を出力するCCD(詳細構成は後述)、15はCCD14のドライバ、16はCCD14の電荷蓄積時間(電子的なシャッタ時間;以下、電子シャッタ時間という)を制御する信号などの各種タイミング信号を発生するタイミング発生器、17はCCD14からの撮像信号をサンプリングしてノイズを除去する相関二重サンプリング回路(CDS)、18はノイズ除去後の撮像信号をディジタル信号に変換するアナログディジタル変換回路(A/D)、19はガンマ補正回路(γ:詳細構成は後述)である。
ここに、CCD14は、発明の要旨に記載の「被写体像を撮像し画像データを得る撮像素子」に相当し、メカシャッタ12は、「撮像素子への入射光路を開閉する光路開閉手段」に相当する。
また、25はプログラムROM25aに格納された制御プログラムをユーザワークRAM25bにロードして実行し、画像の記録や再生に必要な各種の制御を行うCPU、26はシャッタボタンや各種の機能ボタンの操作に応答してキー入力信号を発生するキー入力部である。
また、27は工場出荷時等にあらかじめ後述の補正データテーブルを書き込むデータメモリ、28はバッファメモリ22に保持されているYUV信号を表示に適した信号形式に変換するディジタルビデオエンコーダ、29はディジタルビデオエンコーダ28からの信号を表示する画像モニター用の液晶ディスプレイ、30は各部を接続するバスである。
ここに、CPU25は、後述のプログラムを実行することにより、発明の要旨に記載の、(1)「光路開閉手段を開いた状態で撮像素子を第1の露光時間露光させることにより第1の画像データを得る第1の撮影制御手段」、(2)「光路開閉手段を閉じた状態で撮像素子を第2の露光時間露光させることにより第2の画像データを得る第2の撮影制御手段」、(3)「第2の撮影制御手段により得られた第2の画像データを、第1の露光時間に基づいて補正する第1の補正手段」、(4)「第1の補正手段により補正された第2の画像データを用いて第1の撮影制御手段により得られた第1の画像データを補正する第2の補正手段」の各機能を実現する。
光電変換素子14aに蓄積された信号電荷は、ドライバ15(図1参照)から印加される読み出し信号XSGに応答して隣接する垂直転送部14bに取り込まれ、垂直転送部14bの内部を垂直転送クロックφVに同期して図面下方向に順次転送される。すべての垂直転送部14bの出力端は水平転送部14dに接続されており、水平転送部14dには、垂直転送クロックφVに同期して1ライン分の信号電荷が順次に取り込まれる。水平転送部14dに取り込まれた信号電荷は、水平転送クロックφHに同期して図面左方向に順次転送され、水平転送部14dの出力端に到達した信号電荷は、電荷検出部14eで電気信号に変換され、アンプ14fにより増幅された後、端子14gからCCD出力として外部に取り出される。
因みに、フィールド読み出しでは、図2に示したCCD14において、光電変換素子14aの奇数ラインOi(iは1、2、3、………)と偶数ラインEiの画素信号を加算して同時に出力し、フレーム読み出しでは、奇数ラインOiと偶数ラインEiの画素信号を交互に出力する。
図6は、TBLの概念図であり、このTBLは、長時間露光の各露光時間に対応する補正値を保持する。図示の例では、露光時間は1秒、2秒、3秒、4秒、5秒……の離散的な値を持ち、補正値も各露光時間ごとの値(K1 、K2 、K3 、K4 、K5 ……)を持つが、これに限らず、線形的な値であってもよい。ここで、所定時間Taに対応する露光時間(1秒)の補正値K1 は「1」であり、この補正値K1 を含む各補正値は傾きを「A」とする一次関数直線33によって与えられる。一般的なCCDは、露光時間のA倍(例えば、A=2)に比例して暗電流成分の大きさが増大するという特性があるからである。ここに、所定時間Taに対応する露光時間(図では1秒であるがこれに限定されない。長時間露光の露光時間の最小時間であればよい。)は、発明の要旨に記載の第2の露光時間に相当する。
図7は、CPU25で実行される制御プログラムの全体的な概略を示すフローチャートである。このプログラムは、電子スチルカメラの不図示の電源スイッチをオンにしたときに実行を開始し、まず、動作チェックなどの初期設定を行った後(ステップS21)、動作モード(記録モードか再生モードか)を判定し(ステップS22)、その判定結果に応じた分岐処理(ステップS23の再生モード処理やステップS24の記録モード処理)を実行するという動作を繰り返す。なお、システム設定モードなど他の動作モードもあるが、説明の簡単化のために、ここでは省略する。
再生モード処理は、要するに、フラッシュメモリ24に記録された撮影済みの画像を読み出して、液晶ディスプレイ29に再生表示するというものであるが、この再生モード処理は本発明にとって重要ではないので、詳細な説明は割愛する。
そして、シャッタキーの“全押し”を判定すると、T1がTa以上であるか否かを判定し(ステップS35;発明の要旨に記載の判別手段に相当)、Ta以上でなければ、通常露光(後述の長時間露光よりも短い露光時間)用の画像キャプチャ処理を実行(ステップS36)する一方、Ta以上であれば、長時間露光用の画像キャプチャ処理を実行する(ステップS37)。
図9〜図12は、長時間露光用の画像キャプチャ処理プログラムのフローチャートである。このフローチャートでは、まず、ガンマ補正特性を非線形(第二のガンマ補正特性32)にする(ステップS37a)。これにより、ガンマ補正回路19は、図4(b)に示す線形なガンマ補正特性に基づく入出力特性を持つこととなり、ガンマ補正処理を実質的にオフにする。
次に、メカシャッタ12を“閉”にしたまま、電子シャッタを“開”にして(ステップS37f)、所定時間Taを経過するまで待機する(ステップS37g;発明の要旨に記載の第2の撮影制御手段に相当)。すなわち、Taは上記のとおり、発明の要旨に記載の第2の露光時間に相当し、例えば、1秒であるので、1秒経過後に電子シャッタを“閉”にして、CCD画像を読み込み(ステップS37h)、メカシャッタ12を“開”にし(ステップS37i)、そのCCD画像をTa秒の露光時間に対応するダークフレーム画像として、バッファメモリ22に記憶(ステップS37j)する。
すなわち、露光時間T1に対応する補正値をTBL(図6参照)から読み込み(ステップS37k)、その補正値を用いてDATA2の画素値を補正する(ステップS37m;発明の要旨に記載の第1の補正手段に相当)。ここで、画素値の補正は画素値に補正値を乗じることによって行うものとする。
そして、所定レベル以上であれば、DATA1の(i,j)画素の値を抽出し(ステップS37r)、抽出した値が画素値の飽和レベルに達しているか否かを判定し(ステップS37s)、飽和レベルに達していなければ、DATA1の(i,j)画素の値から補正後のDATA2の(i,j)画素の値を減算した後(ステップS37t;発明の要旨に記載の第2の補正手段に相当)、ループ変数iを+1して(ステップS37u)、式「i>imax」(imaxはDATA1の1ライン分の画素数)の評価結果がTrueになるまで(ステップS37v)、ステップS37p以降のループを繰り返す。
そして、式「j>jmax」の評価結果がTrueになると、DATA1に対し、ソフト的なガンマ補正処理(ステップS37y)と圧縮・伸張回路23における圧縮処理(ステップS37z1)を施した後、フラッシュメモリ24に記録(ステップS37z2)してプログラムを終了する。
通常露光用の画像キャプチャ処理プログラムは、以下の点を除き、前述の長時間露光用の画像キャプチャ処理プログラム(図9〜図12)と類似する。
(1)ステップS37gの判定条件を「Ta経過?」から「T1経過?」と読み替える。“T1”は、発明の要旨に記載の第1の露光時間に相当し、同読み替えにより、ステップS37gは、発明の要旨に記載の第3の撮影制御手段に相当する。
(2)ステップS37jの処理内容を「T1に対応するダークフレームデータ(DATA3)として記憶」と読み替える。“T1”は、発明の要旨に記載の第1の露光時間に相当し、“DATA3”は、発明の要旨に記載の第3の画像データに相当する。
(3)ステップS37kの処理をパスする。すなわち、「T1に対応する補正値をTBLから読み込む」という処理を実行しない。
(4)ステップS37mの処理をパスする。すなわち、「その補正値を用いてDATA2を補正」するという処理を実行しない。
(5)ステップS37pおよびステップS37tの「DATA2」を「DATA3」と読み替える。すなわち、ステップS37pにおいては、「DATA3の(i,j)画素の値を抽出」する処理を実行し、ステップS37tにおいては、「DATA1の(i,j)画素の値からDATA3の(i,j)画素の値を減算」する処理を実行する。同読み替えにより、ステップS37tは、発明の要旨に記載の第3の補正手段に相当する。
したがって、実施の形態の通常露光用の画像キャプチャ処理プログラムにおいては、メカシャッタ12を開いた状態でCCD14をT1秒露光して撮影画像(DATA1)を取得した後、メカシャッタ12を閉じたまま、CCD14をT1秒露光してダークフレーム画像(DATA3)を取得する。そして、このダークフレーム画像(DATA3)を用いて撮影画像(DATA1)の補正を行うので、DATA1からDATA3の成分(暗電流成分+ランダム雑音成分)を取り除いて、暗所撮影時の画質劣化を回避することができる。すなわち、通常の露光処理(露光時間T1が所定時間Ta未満の場合の露光処理)では、ダークフレーム画像(DATA3)の補正を行なうことなく、DATA1に対する暗電流補正を実行することができる。
また、実施の形態では、ダークフレーム画像(DATA2またはDATA3)の生成時期を撮影画像(DATA1)の生成直後としているが、撮影画像(DATA1)の生成直前にしてもよい。
また、実施の形態では、被写体の明るさを測定して最適な露光時間を計算することにより露光時間(T1)を決定するようにしたが(図8のS33参照)、ユーザーがキー入力部26を操作することによりユーザーの所望する露光時間(T1)を選択設定できるようにしてもよい。
また、実施の形態では、CCD14への入射光を遮断した状態でCCD14をTa秒間露光したときのCCD画像をDATA2としてバッファメモリ22に記憶し、その後、露光時間T1に対応する補正値をTBLから読み出し、その補正値を用いてDATA2を補正するようにしたが、バッファメモリ22に記憶する前のCCD画像のゲインを露光時間T1に応じてCDS17で上げたり、ガンマ補正回路19のガンマ補正特性を露光時間T1に応じて変更するようにしてもよい。
DATA2 CCD画像(第2の画像データ)
DATA3 CCD画像(第3の画像データ)
Ta 所定時間(第2の露光時間)
T1 露光時間(第1の露光時間)
S35 ステップ(判別手段)
S37c ステップ(第1の撮影制御手段)
S37g ステップ(第2の撮影制御手段、第3の撮影制御手段)
S37m ステップ(第1の補正手段)
S37t ステップ(第2の補正手段、第3の補正手段)
12 メカシャッタ(光路開閉手段)
14 CCD(撮像素子)
25 CPU(第1の撮影制御手段、第2の撮影制御手段、第3の撮影制御手段、第1の補正手段、第2の補正手段、第3の補正手段)
Claims (4)
- 被写体像を撮像し画像データを得る撮像素子と、
この撮像素子への入射光路を開閉する光路開閉手段と、
シャッタキーと、
このシャッタキーが操作された場合に、前記光路開閉手段を開いた状態で前記撮像素子を第1の露光時間露光させることにより第1の画像データを得る第1の撮影制御手段と、
前記第1の露光時間が所定時間を超えているか否かを判別する判別手段と、
前記シャッタキーが操作され、且つ前記判別手段により前記第1の露光時間が前記所定時間を超えていると判断された場合に、前記光路開閉手段を閉じた状態で前記撮像素子を前記第1の露光時間よりも短い第2の露光時間露光させることにより第2の画像データを得る第2の撮影制御手段と、
この第2の撮影制御手段により得られた第2の画像データを補正する第1の補正手段と、
この第1の補正手段により補正された第2の画像データを用いて前記第1の撮影制御手段により得られた第1の画像データを補正する第2の補正手段と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。 - 前記シャッタキーが操作され、且つ前記判別手段により前記第1の露光時間が前記所定時間を超えていないと判断された場合に、前記光路開閉手段を閉じた状態で前記撮像素子を前記第1の露光時間露光させることにより第3の画像データを得る第3の撮影制御手段と、
前記第3の撮影制御手段により得られた第3の画像データを用いて前記第1の撮影制御手段により得られた第1の画像データを補正する第3の補正手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。 - 前記第2の撮影制御手段は、前記シャッタキーが操作され、且つ前記判別手段により前記第1の露光時間が前記所定時間を超えていると判断された場合に、前記光路開閉手段を閉じた状態で前記撮像素子を前記所定時間露光させることにより第2の画像データを得ることを特徴とする請求項1又は2記載の撮像装置。
- 被写体像を撮像し画像データを得る撮像素子およびこの撮像素子への入射光路を開閉する光路開閉手段を備えた撮像装置の信号処理方法において、
シャッタキーが操作された場合に、前記光路開閉手段を開いた状態で前記撮像素子を第1の露光時間露光させることにより第1の画像データを得る第1のステップと、
前記第1の露光時間が所定時間を超えているか否かを判別する第2のステップと、
前記シャッタキーが操作され、且つ前記第1の露光時間が前記所定時間を超えていると判断された場合に、前記光路開閉手段を閉じた状態で前記撮像素子を前記第1の露光時間よりも短い第2の露光時間露光させることにより第2の画像データを得る第3のステップと、
この第3のステップにより得られた第2の画像データを補正する第4のステップと、
この第4のステップにより補正された第2の画像データを用いて前記第1のステップにより得られた第1の画像データを補正する第5のステップと、
を含むことを特徴とする撮像装置の信号処理方法。
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