JP4529674B2 - ホログラム素子内蔵レンズの作製方法 - Google Patents

ホログラム素子内蔵レンズの作製方法 Download PDF

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Description

本発明は、ホログラム光学素子をプリズム等の他の光学素子に接合してなるホログラム素子内蔵レンズの作製方法に関し、特に、光学基材どうしの接合に関する。
従来より、種々の用途においてホログラム光学素子が広く用いられている。例えば、観察者頭部に装着されて、ハンズフリーで情報を得ることのできる装置として知られているウェアラブルディスプレイ(眼鏡型ディスプレイ装置)は、眼鏡レンズ部分の表面にホログラム光学素子が貼り付けられ又はその内部に埋設されることにより保持されている。
ホログラム光学素子は、コヒーレントな2光束を干渉させて、その干渉縞を乳剤等のホログラム感材シートに記録させることで作製される。このホログラム感材シートはホログラムを形成するためのホログラム感材用組成物、バインダー等から形成されており、このバインダーはゲル状の性質を有する素材(以下、ゲル素材と言う)であるため、ホログラム感材用組成物などの化学組成物を均一的に混合して平坦なシート状に形成している。また、このようにホログラム感材シートはゲル素材のバインダーを有しているので、その表面や内部に傷、しわ、撓みが生じやすい。そのため、ポリエチレンテレフタレート等の可撓性をもつ硬い素材によってホログラム感材シートの上下をカバーシート及びベースシートによって挟み込み、さらに、カバーシートとホログラム感材シートとの間には接着層を介在させ、ホログラム感材シートとベースシートとの間には剥離可能な粘着層を介在させて互いに密着させることにより積層シートを形成している。
このような積層シートは、カバーシートを剥離して露出した接着層をガラス板等の光学基材(プリズム)に貼り付けるとともに、ベースシートを巻き取ることによってホログラム感材シートからベースシートを剥離している。このようにしてホログラム光学素子を作製する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このようにして作製されたホログラム光学素子は、さらにプリズム等の他の光学基材に接合してホログラム素子内蔵レンズとして使用することが知られている。
一般に、部品どうしを互いに接着する場合には、接着面を粗面化することによって接着強度を上げることが周知である。
特開平10−109811号公報
しかしながら、特にホログラム光学素子の接合に関しては、使用する接着剤が限られ、その接着強度が弱いことが問題とされている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ホログラム光学素子を他の光学基材に強固かつ確実に接合することのできるホログラム素子内蔵レンズの作製方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、ウェラブルディスプレイに使用されるホログラム素子内蔵レンズの作製方法であって、
順に、
カバーシートとベースシートとの間に、未記録のホログラム感材シートが密着して積層されてなる積層シートに対し、露光せずに剥離する不要部分と、露光する露光部分とを分離するために、前記カバーシート側から少なくとも前記ベースシートまで達する切り込みを入れる半切断工程と、
前記積層シートから前記カバーシートを剥離し、前記ホログラム感材シートを露出させる第1剥離工程と、
前記露出したホログラム感材シートの面を第1の光学基材に載置して、第1の光学基材に前記積層シートを貼り付ける貼付工程と、
前記貼付工程で貼り付けられた前記積層シートから、前記ベースシートとともに前記ホログラム感材シートの露光せずに剥離する不要部分を剥離する第2剥離工程と、
前記第1の光学基材上に貼り付けられている前記ホログラム感材シートの露光部に、ホログラムを記録するための露光を行う露光工程と、
前記第1の光学基材に前記ホログラムが貼り付けられたホログラム光学素子を、第2の
光学基材に接着して接合する接合工程と、を有することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のホログラム素子内蔵レンズの作製方法において、
前記ホログラム光学素子と前記第2の光学基材とが互いに接合する各接合面のうち、前記露光部分に接触する箇所を除く接合面に凹凸部を形成することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のホログラム素子内蔵レンズの作製方法において、前記半切断工程において、前記ベースシートまで達するとともに前記ベースシートを貫通しない切り込みが形成されている半切断部と、前記カバーシートを貫通しない切り込みが形成されている非半切断部とを形成することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3に記載のホログラム素子内蔵レンズの作製方法において、前記非半切断部は一部にのみ形成されており、前記第2剥離工程では、前記第1剥離工程と反対側から前記ベースシートを剥離することを特徴とする。
請求項の発明によれば、ホログラム光学素子と第2の光学基材とが互いに接合する各接合面のうち、露光部分に接触する箇所を除く接合面に凹凸部を形成するので、各接合面の表面積が増え、よって、ホログラム光学素子と第2の光学基材とを強固に接合することができる。特に、接合面の凹凸部に接着剤を塗布して接合する場合には、凹凸部内に接着剤が入り込むため、接合面どうしの接触面積が増えて、密着強度が増す。
また、接合面のうち、露光部分に接触する箇所以外の接合面に凹凸部が形成されており、露光部分が貼り付けられる接合面は平坦であるため、光学基材に貼り付けられたホログラム感材シートの露光部分は剥がれることなく、強固に密着させることができる。一方、凹凸部に貼り付けられる不要部分は、この凹凸部によって容易に剥離することができる。
本発明に係るホログラム素子内蔵レンズの作製方法によれば、ホログラム光学素子と第2の光学基材とが互いに接合する各接合面のうち、露光部分に接触する箇所を除く接合面に凹凸部を形成するので、ホログラム光学素子と第2の光学基材とを強固に接合することができる。
また、光学基材に貼り付けられたホログラム感材シートの露光部分は剥がれることなく、強固に密着させることができる。一方、凹凸部に貼り付けられる不要部分は、容易に剥離することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
まず、本発明に係るホログラム素子内蔵レンズの作製方法に用いられる積層シートについて説明する。
図1に示すように、積層シート1は4層構造をなしており、下側から順にカバーシート2、ホログラム感材シート3、バリアシート4、ベースシート5が互いに密着して積層されてなり、このうち、ホログラム感材シート3が光学基材L1に貼り付けられて露光されることによって、ホログラム光学素子100が作製される(図10参照)。
カバーシート2及びベースシート5は、ホログラム感材シート3の上下面に設けられてホログラム感材シート3を保護する保護シートとしての機能を有しており、これらカバーシート2及びベースシート5は、ホログラム感材シート3を保護するための強度と可撓性とを確保するために、約20μm〜200μmであることが好ましい。
バリアシート4は、ホログラム感材シート3に直接設けられて、ホログラム感材シート3を直接保護する保護シートとしての機能を有しており、このバリアシート4も、ホログラム感材シート3を保護するための強度と可撓性との確保の点から、約2μm〜20μmであることが好ましい。
ホログラム感材シート3は、後述するレーザ露光、紫外線照射、ベイク処理等によってホログラムの映像を形成するシートである。このホログラム感材シート3は、ホログラム感光性組成物、色素組成物、発熱吸熱組成物等の化学組成物及びバインダー等を含むものをシート状に形成したものである。ホログラム感材シート3の厚さは、約10μm〜30μmであることが好ましい。
ホログラム感光性組成物は、感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、光重合剤及び還元剤等を含むものからなる。
バインダーとしては、天然ポリマー、合成ポリマー及びコポリマー、その他シートを形成する媒体等が挙げられる。例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルピロリドン、カゼイン、デンプン、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリ酸、ポリ塩化ビニル、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリビニルアセタール類、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリエステル類、ポリウレタン類、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリエポキシド類、ポリカーポネート類、ポリビニルアセテート類、セルロースエステル類、ポリアミド等が挙げられ、親水性でも非親水性でも良い。これらは、溶解する溶媒とともに溶液として用いても良いし、ラテックスのような水分散物の形状で用いても良い。
カバーシート2、バリアシート4及びベースシート5の素材としては、例えば、紙、プラスチック、ガラス、金属等が挙げられる。状況に応じてロール状や平坦状にすることのできる可撓性を有し、内部のホログラム感材シート3に損傷を与えにくい強度を有する紙やプラスチックが好ましい。また、適度な可撓性及び強度を有するポリエチレンテレフタレートがさらに好ましい。
金属としては、例えば、アルミニウムやステンレス等が挙げられる。プラスチックとしては、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーポネート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリシクロペンタジエン、ポリノルボルネン、ナイロン、セルロースアセテート等が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。特に好ましい素材としては、ポリエチレンナフタレート及びシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を含むプラスチックが挙げられる。
各シート2〜5間に塗布する粘着剤は、各シート2〜5が接合して密着できるとともに剥離することができれば特に限定されるものではない。例えば、アクリル系樹脂、アクリル酸エステル樹脂、又はこれらの共重合体、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリロニトリル、炭化水素樹脂、フェノール系樹脂、アルクルフェノール樹脂、ロジン系樹脂、テルペン樹脂、クロマンインデン樹脂、ポリビニルエーテル、マレイミド系、ポリオレフィン系、ポリビニルエーテル系等のいずれか一つ又はこれらの複合物が挙げられる。また、イソシアネート系架橋剤、金属キレート系架橋剤等を添加して架橋する、いわゆる二液架橋型粘着剤でも良い。
ゴム系樹脂は、例えば、ブチルゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ニトリルブタジエンゴム、アクリルゴム、スチレン−ブタジエン共重合樹脂等が挙げられる。
酢酸ビニル系樹脂は、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
ロジン系樹脂は、例えば、ロジン、ロジンエステル、ロジントリグリセリド、水素化ロジン等が挙げられる。
このような粘着剤の粘着力は、各シート2〜5が接合して密着できるとともに剥離することができるように調整されていれば特に限定されない。密着と剥離との両方を満たすように、ピール試験で10g/25mm〜100g/25mmであることが好ましい。カバーシート2、ベースシート5、バリアシート4の順に剥離が行い易いように、バリアシート/ホログラム感材シート間、ホログラム感材シート/カバーシート間、ベースシート/バリアシート間の順に密着力が強くなるように調整することが好ましい。また、粘着剤を塗布する厚さは、1μm〜50μmであれば良く、1μm〜20μmが好ましい。積層シート1全体の厚さ寸法を抑えることができるからである。
上述の積層シート1が貼り付けられる光学基材L1としては、例えば、透明なガラス又は樹脂からなるプリズムが挙げられる。また、積層シート1がプリズムに貼り付けられてなるホログラム光学素子100は、さらに、他の光学基材L2に接合されることによりホログラム素子内蔵レンズ200として使用することができる(図10参照)。具体的には、眼鏡のレンズ部分に接合されることにより周知のウェラブルディスプレイとして使用することができる。なお、このレンズ部分もプリズムと同様に透明なガラス又は樹脂により作製されたものが好ましい。なお、光学基材L1は本発明で言う第1の光学基材であり、他の光学基材L2は本発明で言う第2の光学基材である。
次に、本発明のホログラム素子内蔵レンズ100を作製する際に使用する各装置の機構及びホログラム素子内蔵レンズ200の作製方法について説明する。
ホログラム素子内蔵レンズ200を作製する工程としては、主に、光学基材加工工程、裁断工程、半切断工程、第1剥離工程、貼付工程、第2剥離工程、露光工程、接合工程等が挙げられる。
まず、射出成形や射出圧縮成形等により成形された光学基材L1、L2を成形型から取り出した後、ニッパーやカッター等の切断工具を用いてゲートカットする。
なお、この光学基材L1、L2の成形の際に、予め、光学基材L1と他の光学基材L2とが互いに接合する各接合面のうち、後述する島状ホログラム感材シート3a(ホログラム感材シート3の露光部分)に接触する箇所を除く接合面に微細な凹凸部22を形成しておく(光学基材加工工程)。すなわち、島状ホログラム感材シート3aが貼り付けられる接合面は平坦面23とし、梯子状ホログラム感材シート3b(ホログラム感材シート3の不要部分)が貼り付けられる接合面を凹凸面化する(図10参照)。
凹凸部22は、例えば、梨地状であっても良いし、溝状であっても良く、平坦面ではなく、表面積が増えるような形状であれば特に限定しない。また、梨地状の凹凸部22を形成する方法としては、予めサンドブラストやエッチング等により梨地処理がなされた成形型に、光学基材L1、L2の材料となる溶融樹脂等を注入することによって各光学基材L1、L2を成形すると同時に形成することができる。また、その他の方法として、各光学基材L1、L2を成形した後に、各光学基材L1、L2の所定箇所にそれぞれ切削工具や研磨工具を使用して形成することができる。
一方、図4に示すように、長尺なロール状に巻き付けられている積層シート1Aを短冊状に裁断する(裁断工程)。ロール状の積層シート1Aは、例えば幅300mmのものが使用できる。そして、この積層シート1Aを、その長尺方向に対して直交する方向(幅方向)に例えばロールカッター等を使用して短冊状となるように裁断する。具体的には、積層シート1Aの長尺方向に15〜25mm間隔で裁断する。得られた積層シート1は、幅5mmで長さ300mmの短冊状とされる。
なお、このロール状の積層シート1Aのその幅方向両端部には、ホログラム感材シート3が設けられていないことが好ましい。すなわち、このロール状の積層シート1Aを短冊状に裁断することによって、短冊状の積層シート1の長尺方向両端部にホログラム感材シート3が設けられていない隙間が形成され、この隙間を利用してカバーシート2、バリアシート4及びベースシート5の剥離を容易に行うことができるようになっている。
次いで、図2、図3、図5に示すように、裁断された積層シート1に切込みを入れて半切断部Kを形成する(半切断工程)。切込みを入れて半切断するのは、カバーシート2、バリアシート4及びベースシート5をホログラム感材シート3から剥がし易いようにするためであり、また、ホログラム感材シート3のうち、露光しない不要部分を剥がして、露光する露光部分のみを光学基材L1に貼り付けるためである。
半切断部Kを形成する半切断形成機構は、積層シート1に切込みを入れる切込み刃11を有する切込みローラ12と、この切込みローラ12に対向して配置され積層シート1の上面を押さえる押さえローラ13と、これら切込みローラ12と押さえローラ13とを上下に駆動させる駆動源(図示しない)とを備えている。切込み刃11は、後述する半切断部Kの形状に対応した平面視略四角形状に形成されている。
また、切込みローラ12と押さえローラ13とには、これら切込みローラ12と押さえローラ13との隙間を調整するためのスプリングやシリンダ等の制御装置(図示しない)が設けられている。この制御装置によって切込みローラ12と押さえローラ13との隙間を調整した後、この隙間に積層シート1を挟み込むとともに、切込みローラ12と押さえローラ13とで圧着しながら切込み刃11によって積層シート1に所定形状の半切断部Kを形成する。
このような半切断部Kを形成するためには、制御装置により、切込みローラ12と押さえローラ13との隙間の距離を制御することによって、切込み刃11の先端が積層シート1の少なくともベースシート5まで達するように切込み刃11の高さ寸法を調整することが好ましい。
切込み刃11はベースシート5の1%〜99%までの間に達することが好ましい。切込み刃11がベースシート5を貫通しないように切断することによって、後述する第2剥離工程で、ベースシート5が複数に切断されずに、一度にベースシート5を剥離することができる(図8参照)。また、切込み刃11がベースシート5の1%〜60%までの間に達することがより好ましく、さらには、切込み刃11がベースシート5の20%〜60%までの間に達することが好ましい。また、切込み刃11がベースシート5の30%〜50%までの間に達することが最も好ましく、ベースシート5剥離の際のホログラム感材シート3に生じる撓みやしわ等の発生を防止することができるためである。
具体的には、半切断部Kの深さは約125μmとされている。
切込み刃11によって形成される半切断形状は、直線、曲線、多角形状、楕円形状等、特に限定されるものではないが、光学基材L1の貼り付け面に対応する形状であることが好ましい。光学基材L1の貼り付けの際に、光学基材L1の貼付面の形状に対応してホログラム感材シート3をさらに裁断する工程を省略することができるためである。
光学基材3の貼り付け面が四角形状である場合には、図3(a)に示すように、切込形状を略四角形状とすることが好ましい。
また、特に、本発明では図3(c)に示すように、半切断部Kと非半切断部Kaとを交互に形成して、いわゆるミシン目状の切込形状とすることが好ましい。半切断部Kとは、上述のように切込み刃11の先端が少なくともバリアシート4まで達した部分を言い、非切断部Kaとは、切込み刃11の先端が少なくともカバーシート2を貫通せずにホログラム感材シート3まで達しなかった部分を言う。
このようにミシン目状とすることにより、後述するカバーシート2剥離の際に、島状のカバーシート2aと梯子状カバーシート2bとを一緒に剥離することができる(図6参照)。
また、ミシン目状に限らず、図3(b)に示すように、一部にのみ非半切断部Kaを形成した形状としても構わない。この場合にも、島状のカバーシート2aと梯子状のカバーシート2bとを一緒に剥離することができる。
これら図3(a)〜(c)に示すように、半切断形状を略四角形状に形成することによって、積層シート1は、平面視略四角形状の島状積層シート1aと、島状積層シート1a以外の部分の梯子状積層シート1bとに分けられる。すなわち、ホログラム感材シート3は、後述するベースシート5を剥離する際に、半切断部Kによって、露光部分の島状ホログラム感材シート3aと、露光しない不要部分の梯子状ホログラム感材シート3bとに切断されて、島状ホログラム感材シート3aのみを光学基材L1に貼り付けることができるようになっている(図8参照)。
また、これら図3(a)〜(c)はいずれも下面図であり、ベースシート5を貫通して切り込まれていないので、ベースシート5剥離の際には、ベースシート5を一度に剥離することができる(図8参照)。
さらに、1つの半切断部K又は切込み刃11の形状は、図2に示すように先端部が尖った三角形状であっても良いし、図示しないが、先端部を平坦とした断面視略矩形状としても良い。図2は、図3(c)におけるX−X断面図であり、切込み刃11によって切込まれる状態を示している。
なお、上述の切込みローラ12と押さえローラ13とで積層シート1を押圧して半切断部Kを形成する場合以外に、切込みローラ12と押さえローラ13の代わりに板状の切込み板と、押さえ板とを互いに対向して配置し、これら切込み板と押さえ板とによって挟み込んで半切断部Kを形成するように構成しても構わない。具体的には、図示しないが、積層シート1の下側に切込み刃11を有する切込み板を配設し、積層シート1の上側に押さえ板を配設し、これら切込み板と押さえ板とを上下に押圧することによって切込み刃11による半切断部Kを形成する。
次いで、図6(a)、(b)に示すように、半切断工程で形成された半切断部Kを有する積層シート1のうち、下面のカバーシート2を剥離する(第1剥離工程)。
カバーシート2を剥離する第1剥離機構は、第1剥離ローラ14と除電流体放出装置15とから構成されている。第1剥離ローラ14は、その表面に、カバーシート2を吸引するための吸引孔14aが形成されており、吸引孔14aには減圧吸引できる吸引装置(図示しない)が接続されている。吸引孔14aは単数又は複数のいずれでも良い。
また、第1剥離ローラ14の表面は、少なくとも静電気を放電するこのとできる金属からなることが好ましい。そして、この金属部分には、静電気を放電するアースが設けられていることが好ましい。このようにすることにより、カバーシート2を剥離する際に生じる静電気を放電することができる。
また、カバーシート2を剥離する第1剥離ローラ14の前又は後に、積層シート1に接触する金属線、金属棒、金属ローラ16等を備えても良い。これらには、静電気を放電するアースが設けられている。金属としては、銅、銀、アルミニウム、鉄、金、白金等の導電性の高い金属が好ましい。
除電流体放出装置15は、除電流体を発生させる除電器15aと、積層シート1を剥離する部分に除電流体を放出することのできる単数又は複数の除電流体放出口15bとを備えている。除電流体とは、正又は負に帯電させたイオンを含む気体又は液体である。
除電器15aとしては、主としてコロナ放電タイプ又は軟X線タイプ等が挙げられ、軟X線タイプが除電効果が大きい点で好ましい。
また、除電流体放出口15bは、除電効果を高めるとともに剥離をより容易にするために、受電流体の放出量を多くすることから、その数を増やし、口径を小さくすることが好ましい。
なお、剥離するカバーシート2の表面に両面粘着剤を接着する粘着剤供給装置(図示しない)を設けても良い。この粘着剤を接着されたカバーシート2に第1剥離ローラ14が接着し、第1剥離ローラ14が回転することによってカバーシート2がホログラム感材シート3から剥離される。また、直接、第1剥離ローラ14に粘着剤を設けても良い。このとき、カバーシート2の剥離開始毎に粘着シートが備えられている筒等を第1剥離ローラ14に装填するように構成する。
また、第1剥離ローラ14に剥離するカバーシート2を挟むためのクリップ状の部材(図示しない)を設けても良い。すなわち、このクリップ状の部材でカバーシート2を挟むことによって第1剥離ローラ14に容易に巻き取ることが可能となる。
したがって、第1剥離機構において、第1剥離ローラ14の吸引口14aにカバーシート2を吸引させることによって、第1剥離ローラ14に密着させながら第1剥離ローラ14を回転させて、島状カバーシート2a及び梯子状カバーシート2bを一緒に剥離するとともに第1剥離ローラ14に巻き付けていく。また、カバーシート2の剥離の際に、剥離するカバーシート2とホログラム感材シート3との間に、除電流体放出口15bから放出された除電流体を吹き付ける。これによって、カバーシート3剥離時における静電気の発生が軽減される。
次いで、図7(a)、(b)に示すように、第1剥離工程でカバーシート2が剥離された積層シート1のうち、下面に露出したホログラム感材シート3を光学基材L1に載置して押圧することによって、積層シート1を貼り付ける(貼付工程)。
積層シート1を貼り付ける貼付機構は、光学基材L1に載置された積層シート1を押圧する押圧ローラ18と、押圧ローラ18を駆動させる駆動源等から構成されている。また、必要に応じて真空下で減圧した状態で押圧するために真空ポンプ等を設けても構わない。
したがって、貼付機構において、積層シート1を光学基材L1上に載置し、押圧ローラ17によって積層シート1及び光学基材L1を押圧して貼り付ける。これによってしわや撓みが生じることなく、積層シート1を光学基材L1に確実に貼り付けることができる。
次いで、図8(a)、(b)に示すように、貼付工程で光学基材L1に貼り付けられた積層シート1のうち、上面のベースシート5を剥離する(第2剥離工程)。
ベースシート5を剥離する第2剥離機構は第1剥離機構と同様の構成であるので、その説明を省略する。
したがって、第2剥離機構において、第2剥離ローラ20の吸引口20aにベースシート5を吸引させることによって、第2剥離ローラ20に密着させながら第2剥離ローラ20を回転させて、ベースシート5を剥離するとともに第2剥離ローラ20に巻き付けていく。ここで、ベースシート5は、半切断部Kがベースシート5を貫通していないことから複数に切断されて剥離されずに、一度に剥離されることとなる。
さらに、梯子状ホログラム感材シート3b(ホログラム感材シート3の不要部分)及びその上面のバリアシート4も半切断部Kで切断されて同時に剥離され、光学基材L1上には島状ホログラム感材シート3a(ホログラム感材シート3の露光部分)及びその上面のバリアシート4のみ残される。これは、梯子状ホログラム感材シート3bは、貼り付けられた面に凹凸部22が形成されており、簡単に剥離されるためであり、一方、島状ホログラム感材シート3aは、貼り付けられた面が平坦面23であり、光学基材L1に密着されているためである。
また、この剥離の際に、第1剥離工程と反対側からベースシート5を剥離することが好ましい。さらに、剥離するベースシート5とバリアシート4との間に、除電流体放出口15bから放出された除電流体を吹き付ける。これによって、バリアシート4剥離時における静電気の発生が軽減される。
次いで、図9に示すように、第2剥離工程によってベースシート5が剥離された積層シート1の未記録のホログラム感材シート3にレーザ露光する(露光工程)。
露光装置21としては、周知の装置を使用することができ、赤、青、緑の3原色のレーザ光で露光することが好ましい。
したがって、ベースシート5が剥離された積層シート1付き光学基材L1に対して、表面に露出したバリアシート4の上方からレーザ照射することにより、不図示のビームスプリッタによって分けられた参照光がホログラム感材シート3の一方の主面に入射し、物体光がホログラム感材シート3の他方の主面に入射する。これにより、参照光と物体光とがホログラム感材シート3上において干渉し、参照光と物体光との干渉によって生じる干渉縞がホログラム感材シート3に記録される。
次いで、露光後の積層シート1を、さらに、UV照射装置により1〜4時間UV照射することによってホログラム感材シート3全面を記録固定し、露光したホログラムを安定化させる(UV照射工程)。
その後、光学基材L1を熱処理装置により恒温槽で約80〜110℃、12〜24時間ベイクして、不必要な化学物質を飛ばしてさらに安定化させ、耐久性を高めるとともにより回折効率を向上させる(ベイク処理工程)。
次いで、バリアシート4に、例えば粘着剤等を軽く付着させることによってバリアシート4を剥離する(バリアシート剥離工程)。その結果、ホログラム光学素子100が作製される。
このようにして作製されたホログラム光学素子100を、図10(a)に示すように他の光学基材L2に接着して接合する(接合工程)。すなわち、予め、ホログラム光学素子100の光学基材L1と他の光学基材L2とに形成された凹凸部22に接着剤を塗布して、各光学基材L1、L2の接合面を貼り合わせることによって接合する。したがって、両光学基材L1、L2の凹凸部22に接着剤が埋め込まれることにより強固に接合される。また、凹凸部22によって接合面の表面積が増えて接着強度が増すこととなる。
接着剤としては、両光学基材L1、L2の屈折率と同じ屈折率のものを使用することが好ましく、UV硬化型のものが好ましい。具体的には、主にアクリルやポリカーボネートを含む接着剤が好ましい。
そして、両光学基材L1、L2を接合後、UV照射を行い硬化させた後、他の光学基材L2とホログラム光学素子100間の貼合面をクリーニングし、ホログラム素子内蔵レンズ200とする(図10(b)参照)。
以上、本発明の実施の形態のホログラム素子内蔵レンズ200の作製方法によれば、ホログラム光学素子100と他の光学基材L2とが互いに接合する各接合面のうち、島状ホログラム感材シート3aに接触する箇所は平坦面23とし、それ以外の箇所には凹凸部22を形成するので、凹凸部22内に接着剤が入り込み、接合面どうしの接触面積が増えて密着強度が増し、強固に接合することができる。
また、島状ホログラム感材シート3aが貼り付けられる接合面は平坦面23であるので、光学基材L1に貼り付けられた島状ホログラム感材シート3aは剥がれることなく、強固に密着させることができる。一方、凹凸部22に貼り付けられた梯子状ホログラム感材シート3bは、第2剥離工程の際にベースシート5と一緒に容易に剥離することができる。
さらに、凹凸部22に塗布する接着剤は、両光学基材L1、L2の屈折率と同じ屈折率であるので、接着剤によって光線がほとんど屈折することがなく、光学的に非常に優れたホログラム素子内蔵レンズ200とすることができる。
なお、本発明の実施の形態は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限り、適宜変更可能である。
例えば、上記実施の形態では、長尺なロール状の積層シート1Aを裁断して短冊状とした積層シート1を貼り付ける場合について説明したが、これに限らず、長尺なロール状の積層シート1Aをそのまま光学基材L1に貼り付けても良いし、多角形状、円形状等に裁断したもの、また、長尺なロール状の積層シート1Aの幅方向において裁断した後にパンケーキ状に巻き取ったもの等、いずれの形状であっても良い。なお、上記実施の形態のように短冊状とした場合は、長尺なロール状に比べて扱いやすく、積層シートの無駄が生じることなくコスト面で有利である。
さらに、一連の工程を自動化させるために、積層シート1の各工程への搬送は、例えば搬送ベルトや搬送ローラ等の周知の機構によって搬送可能に構成しても構わない。
本発明の実施の形態を示すためのもので、積層シートの断面図である。 同、図3(c)におけるX−X断面図であり、積層シートに切込み刃によって切り込まれる状態を示している。 同、(a)〜(c)は、積層シートの下面から見た際の切込み形状のパターンを示す図である。 同、裁断工程を示す斜視図である。 同、半切断工程を示す斜視図である。 同、第1剥離工程を示す断面図であり、(b)は(a)の拡大図である。 同、貼付工程を示す断面図であり、(b)は(a)の拡大図である。 同、第2剥離工程を示す断面図であり、(b)は(a)の拡大図である。 同、露光工程を示す断面図である。 同、(a)、(b)は、接合工程を示す斜視図である。
符号の説明
3 ホログラム感材シート
3a 島状ホログラム感材シート(露光部分)
3b 梯子状ホログラム感材シート(不要部分)
22 凹凸部
100 ホログラム光学基材
200 ホログラム素子内蔵レンズ
L1 光学基材
L2 他の光学基材

Claims (4)

  1. ウェラブルディスプレイに使用されるホログラム素子内蔵レンズの作製方法であって、
    順に、
    カバーシートとベースシートとの間に、未記録のホログラム感材シートが密着して積層されてなる積層シートに対し、露光せずに剥離する不要部分と、露光する露光部分とを分離するために、前記カバーシート側から少なくとも前記ベースシートまで達する切り込みを入れる半切断工程と、
    前記積層シートから前記カバーシートを剥離し、前記ホログラム感材シートを露出させる第1剥離工程と、
    前記露出したホログラム感材シートの面を第1の光学基材に載置して、第1の光学基材に前記積層シートを貼り付ける貼付工程と、
    前記貼付工程で貼り付けられた前記積層シートから、前記ベースシートとともに前記ホログラム感材シートの露光せずに剥離する不要部分を剥離する第2剥離工程と、
    前記第1の光学基材上に貼り付けられている前記ホログラム感材シートの露光部に、ホログラムを記録するための露光を行う露光工程と、
    前記第1の光学基材に前記ホログラムが貼り付けられたホログラム光学素子を、第2の光学基材に接着して接合する接合工程と、を有することを特徴とするホログラム素子内蔵レンズの作製方法。
  2. 前記ホログラム光学素子と前記第2の光学基材とが互いに接合する各接合面のうち、前記露光部分に接触する箇所を除く接合面に凹凸部を形成することを特徴とする請求項1に記載のホログラム素子内蔵レンズの作製方法。
  3. 前記半切断工程において、前記ベースシートまで達するとともに前記ベースシートを貫通しない切り込みが形成されている半切断部と、前記カバーシートを貫通しない切り込みが形成されている非半切断部とを形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のホログラム素子内蔵レンズの作製方法。
  4. 前記非半切断部は一部にのみ形成されており、前記第2剥離工程では、前記第1剥離工程と反対側から前記ベースシートを剥離することを特徴とする請求項3に記載のホログラム素子内蔵レンズの作製方法。
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