以下、図を参照しながら、この発明によるシステム、装置の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、映像音声再生装置としてデジタルテレビ放送信号の利用が可能なテレビ受像機と、CDやDVDの再生装置(プレーヤー)を内蔵したアンプ装置(プレーヤー内蔵アンプ装置)とにより構成するシステムにこの発明による映像音声再生システムを適用し、この映像音声再生システムに用いられるプレーヤー内蔵アンプ装置に、この発明によるアンプ装置を適用した場合を例にして説明する。
[映像音声再生システムの概要]
図1は、この実施の形態の映像音声再生システムの概要を説明するためのブロック図である。図1に示すように、この実施の形態の映像音声再生システムは、プレーヤー内蔵アンプ装置1と、テレビ受像機2とにより構成されたものである。プレーヤー内蔵アンプ装置1には、スピーカーSPが接続され、テレビ受像機2には、デジタル放送信号の受信アンテナANTが接続されている。
プレーヤー内蔵アンプ装置1は、詳しくは後述もするが、供給される音声データをデコードし、各種の効果を付加したり、増幅したりする処理を行うアンプ部1APと、DVDプレーヤーなどのプレーヤー部1PYとを備えている。また、テレビ受像機2は、デジタルテレビ放送の受信選局が可能なテレビチューナ部21と、モニター部(表示素子)22とを備えている。
そして、テレビ受像機2のテレビチューナ部21は、デジタルテレビ放送を受信選局し、映像データと音声データとを分離、デコードして、映像と音声とを再生できるようにするものである。しかし、放送番組を構成する映像データと音声データとでは、データ量や処理内容が異なる。このため、データ量が多く、処理内容も複雑になる映像データについての処理が、音声データについての処理に比べて時間がかかり、この処理時間の差がリップシンクのずれの発生原因になる。
そこで、テレビチューナ部21は、音声遅延回路212を備え、映像データについての処理時間(映像処理時間)を考慮して、適切な時間分、音声データを遅延させることができるようにしている。この音声遅延回路212の機能により、受信選局されたデジタル放送信号により提供されるテレビ番組の映像と音声との間にリップシンクのずれを生じさせないようにしている。
そして、デジタルテレビ放送により提供されるテレビ放送番組だけでなく、プレーヤー内蔵アンプ装置1に内蔵されたプレーヤー部1PYにおいて再生するようにされる映像データと音声データとのそれぞれに応じた映像と音声との間においても、あるいは、プレーヤー内蔵アンプ装置1に接続された各種のプレーヤーなどの外部機器3からの映像データと音声データとのそれぞれに応じた映像と音声との間においても、リップシンクのずれを生じさせることなく再生できるようにする必要がある。
このため、この実施の形態のプレーヤー内蔵アンプ装置1は、同期を取って処理すべき映像データと音声データとの両方を処理する場合には、映像データVdと音声データAuとの両方をテレビ受像機2に供給する。そして、音声データAuについては、テレビ受像機2側の音声遅延回路212において遅延処理するようにし、処理後の音声データAuDの供給を受けて、デコードし、増幅してスピーカーSPに供給するようにする。
このようにすることによって、テレビ受像機2における映像データVdに対する処理にかかる時間分、音声データAuを遅延処理させることができ、テレビ受像機2のモニター部22の表示画面に表示される映像と、プレーヤー内蔵アンプ装置1に接続されるスピーカーSPから放音される音声との同期を取り、リップシンクのずれを生じさせないようにしている。
なお、プレーヤー内蔵アンプ装置1に内蔵されるプレーヤー部には、あるいは、プレーヤー内蔵アンプ装置1に接続される外部機器には、音楽CD用のプレーヤーのように、基本的に、映像信号を再生することの無いものも存在する。しかし、音声信号のみを再生する場合には、リップシンクのずれを生じさせないようにするための遅延処理を行うことは無意味である。このため、音声信号だけを再生する場合には、再生対象の音声データAuをテレビ受像機2には供給せずに、アンプ部1APにおいて処理して、スピーカーSPに供給することができるようにしている。
このように、この実施の形態の映像音声再生システムにおいては、映像と音声とを同期をとって再生する場合には、テレビ受像機がもともと備える音声遅延回路を用いることにより、ユーザーの手を煩わせることなく、再生映像と再生音声との間にリップシンクのずれが生じることが無いようにし、また、音声データのみを再生する場合には、遅延処理を行うことなく適切に音声の再生を行うことができるようにしている。
[プレーヤー内蔵アンプ装置の構成例とその動作について]
次に、プレーヤー内蔵アンプ装置1の具体的な構成例とその動作について説明する。なお、上述したように、音声信号をテレビ受像機2を経由させるか否か、すなわち、音声信号について遅延処理が必要か否かを判別する方法には、以下に説明するように、(1)記録媒体情報を用いて判別する方法、(2)映像信号の有無を検出し、この検出結果に応じて判別する方法、(3)ファンクションキーにより選択された信号入力経路の映像入力端子の有無に応じて判別する方法が考えられる。
(1)の方法は、記録媒体情報を利用するので、内蔵プレーヤーで再生された信号を処理する場合に用いることができ、(2)、(3)の方法は、内蔵プレーヤーで再生された信号を処理する場合と、プレーヤー内蔵アンプ装置1に接続された外部機器からの信号を処理する場合との両方の場合に用いることができるものである。以下、上述した(1)、(2)、(3)の各方法毎に、その方法を用いたプレーヤー内蔵アンプ装置の構成と動作について説明する。
[(1)記録媒体情報を用いて判別する方法を用いる場合]
まず、記録媒体情報を用いて、処理対象の音声データに対して遅延処理が必要か否かを判別する方法を用いるプレーヤー内蔵アンプ装置1(A)の構成例について説明する。図2は、この例のプレーヤー内蔵アンプ装置1装置(A)を説明するためのブロック図である。
図2に示すように、プレーヤー内蔵アンプ装置1(A)には、テレビ受像機2が接続されている。このテレビ受像機2は、デジタルテレビ放送の受信選局が可能であり、映像デコーダ211、音声遅延回路212を備えたテレビチューナ部21と、モニター部22とを備えたものである。そして、テレビチューナ部21の音声遅延回路212に対しては、外部からの音声データの供給を受け付けるための入力端inと、外部に対して音声データを出力するための出力端outとが設けられているものである。
そして、この例のプレーヤー内蔵アンプ装置1(A)は、図2に示すように、CD再生装置(CDプレーヤー)11、DVD再生装置(DVDプレーヤー)12、DIR(Digital Audio Interface Receiver)13、DSP(Digital Signal Processor)14、アンプ15、制御部16、5つのセレクタSL1〜SL5を備えている。
また、この例のプレーヤー内蔵アンプ装置1(A)は、図2に示すように、テレビチューナ部21の音声遅延回路212に供給する音声データを出力するための音声信号出力端子Aot1と、テレビチューナ部2の音声遅延回路212からの遅延処理後の音声データの供給を受け付ける音声信号入力端子Ain2とを備えている。
さらに、この例のプレーヤー内蔵アンプ装置1(A)は、図2に示したように、外部機器との接続端子として用いられる音声入力端子Ain1、映像入力端子Vin1と、テレビチューナ部21に供給する映像信号の出力端子Votと、外部機器に供給する音声信号の出力端子Aot2とを備えたものである。なお、図2において、点線で示した信号経路が映像信号経路であり、実線で示した信号経路が音声信号経路である。
ここで、制御部16は、CPU(Central Processing Unit)161、ROM(Read Only Memory)162、RAM(Random Access Memory)163がCPUバスによって接続され、マイクロコンピュータの構成とされたものであり、この例のプレーヤー内蔵アンプ装置1(A)の各部を制御するものである。制御部16は、セレクタSL1〜S5の切り換え制御をも行うものである。
また、制御部16には、図示しないが、ユーザーからの指示入力を受け付けるキー操作部や時計回路なども接続されており、ユーザーからの指示入力に応じて各部を制御したり、時計回路から現在時刻を取得して、図示しないLCDに表示したりすることもできるものである。
DIR13は、音声データの入力端a、b、c、dと出力端とを有し、何れの入力端に供給された音声データを後段のDSP14に供給するかを、制御部16の制御により選択するものである。後述もするが、この例の場合、DIR13の入力端aには、音声入力端子Ain2を通じて供給されるテレビチューナ部21の音声遅延回路212から出力される遅延処理済みの音声データが供給される。
また、DIR13の入力端bには、セレクタSL1によって選択されたCD再生装置部11からの音声データが供給するようにされ、入力端cには、セレクタSL2によって選択されたDVD再生装置部12からの音声データが供給するようにされ、入力端dには、セレクタSL3によって選択された外部機器3からの音声データが供給するようにされている。
DSP14は、DIR13から供給された音声データをデコードし、音質の調整など、音声データに対する種々の処理を行うとともに、この例の場合、デジタル音声データのアナログ信号への変換も行うものである。また、アンプ部15は、制御部16の制御に応じて、DSP14から供給される音声信号のレベルを調整するものである。
そして、セレクタSL1は、CD再生装置部11から出力された音声データA1を、遅延処理させるためにセレクタSL4側に出力するか、遅延処理をしないようにDIR13に供給するかを切り換えるものである。同様に、セレクタSL2は、DVD再生装置部12から出力された音声データA2を、遅延処理させるためにセレクタSL4側に出力するか、遅延処理をしないようにDIR13に供給するかを切り換えるものである。同様に、音声入力端子Ain1を通じて供給される外部機器からの音声データA3を、遅延処理させるためにセレクタSL4側に出力するか、遅延処理をしないように、DIR13に供給するかを切り換えるものである。
また、セレクタSL4は、セレクタSL1によって選択されたCD再生装置部11からの音声データA1と、セレクタSL2によって選択されたDVD再生装置部12からの音声データA2と、セレクタSL3によって選択された外部機器からの音声データA3とのうち、どれをテレビ受像機2のテレビチューナ部21に搭載された音声遅延回路212に供給するかを切り換えるものである。
また、セレクタSL5は、CD再生装置部11からの映像データV1と、DVD再生装置部12からの映像データV2と、映像入力端子Vin1を通じて受け付けた外部機器からの映像データV3とのうち、どれをテレビ受像機2のテレビチューナ部21に搭載された映像デコーダ211に供給するかを切り換えるものである。
そして、同期を取って処理すべき映像データと音声データとの両方を再生する場合においては、リップシンクのずれを生じさせないようにするため、映像データのデコード処理等にかかる時間を考慮した遅延処理を音声データに対して施す必要がある。このため、再生する信号が、同期を取って処理すべき映像データと音声データとであるか、音声データだけであるのかを正確に判別しなければならない。
この例のプレーヤー内蔵アンプ装置1(A)には、図2に示したように、テレビ受像機2以外の外部機器は接続されていない。このような場合、再生する信号は、内蔵されたCD再生装置部11、DVD再生装置部12に装填されたCDやDVDから読み出される信号だけである。
このため、この例のプレーヤー内蔵アンプ装置1(A)においては、内蔵された各プレーヤーに装填されたCDやDVDなどの記録媒体から、その記録媒体が、映像データと音声データとの両方が記録されているものか、あるいは、映像データと音声データとの両方が記録可能なものであるかを示す、記録媒体情報(ディスク情報)を読み出し、この読み出した記録媒体情報に基づいて、映像データと同期を取って再生すべき音声データが存在するか否かを判別する。
例えば、内蔵プレーヤーに装填された記録媒体から、媒体属性情報やフォーマット情報などの記録媒体情報を読み出し、その読み出した記録媒体情報が、「DVD−Video」や「Video CD」であることを示しているときには、映像データと音声データとの両方が記録された記録媒体であり、再生する音声データについては遅延処理が必要であると判別することができる。また、読み出した記録媒体情報が、例えば、音楽CDである「CD−DA(CD Digital Audio)」であることを示しているときには、音声データが主に記録された記録媒体であり、音声データの遅延処理は必要ないと判別することができる。
そこで、この例のプレーヤー内蔵アンプ装置1(A)においては、制御部16がディスク情報判別部としての機能を備え、CD再生装置部11やDVD再生装置部12において、これらに装填されたディスク記録媒体から読み出された記録媒体情報の供給を受けて、映像データと音声データとの両方が記録された記録媒体か否かを判別し、その判別結果に基づいて、制御部16が、セレクタSL1あるいはセレクタSL2を切り換えるようにしている。
この場合、セレクタSL1とセレクタSL2とのうちどちらを切り換えればよいか、また、セレクタSL4、セレクタSL5の切り換えは、CD再生装置部11が動作するように指示されたか、DVD再生装置部12が動作するように指示されたかに応じて、制御部16によって制御される。
例えば、CD再生装置部11にCDが装填され、CD再生装置部11が動作するように操作された場合には、これに応じて、セレクタ1、セレクタ4、セレクタ5が制御部16によって切り換え制御される。
この場合、CD再生装置部11に装填されたCDから読み出された記録媒体情報が、「Video CD」などの映像データを伴うものである場合には、制御部16は、セレクタSL1をセレクタSL4に音声データA1を供給するように切り換えるとともに、セレクタSL4をセレクタSL1からの音声データA1を出力するように切り換え、セレクタSL5をCD再生装置部11からの映像データV1を出力するように切り換える。
これによって、プレーヤー内蔵アンプ装置1(A)のCD再生装置部11から出力された映像データV1がセレクタ5、映像出力端子Votを通じてテレビ受像機2の映像デコーダ211に供給され、CD再生装置部11からの映像データに応じた映像がモニター部22の表示画面に表示される。
また、CD再生装置部11から出力された音声データA1が、セレクタSL1、セレクタSL4、音声出力端子Aot1を通じて、テレビ受像機2のテレビチューナ部21に搭載された音声遅延回路212に供給され、ここで映像データの処理に応じた時間分の遅延処理が行われた後、遅延処理された音声データが音声入力端子Ain2を通じてプレーヤー内蔵アンプ装置1(A)に戻され、DIR13、DSP14,アンプ15を通じてスピーカーSPに供給され、CD再生装置部11からの音声データA1に応じた音声が、スピーカーSPから放音される。
この場合、上述したように、CD再生装置部11から出力された音声データA1は、CD再生装置部11から出力された映像データV1に対するテレビ受像機2における映像デコーダ211における処理時間などの映像処理時間に応じて、テレビ受像機2の音声遅延回路212において適切に遅延処理が施されているので、再生映像と再生音声との間で、リップシンクのずれが発生しないようにされる。
なお、CD再生装置部11において音楽CD(CD−DA)が再生するようにされた場合には、CD再生装置部11からは音声データしか出力されないので、この場合には、セレクタSL1が、CD再生装置部11からの音声データA1をDIR13に供給するように切り換えられ、音声データA1に対して遅延処理を施すことなく、DIR13、DSP14,アンプ15を通じてスピーカーSPに供給され、CD再生装置部11からの音声データA1に応じた音声が、スピーカーSPから放音される。すなわち、音声データに対する不必要な遅延処理を行うことがないようにしている。
また、DVD再生装置部12にDVDが装填され、DVD再生装置部12が動作するように操作された場合には、これに応じて、セレクタ2、セレクタ4、セレクタ5が制御部16によって切り換え制御される。
この場合、DVD再生装置部12に装填されたDVDから読み出された記録媒体情報が、「DVD−Video」などの映像データを伴うものである場合には、制御部16は、セレクタSL2をセレクタSL4に音声データA2を供給するように切り換えるとともに、セレクタSL4をセレクタSL2からの音声データA2を出力するように切り換え、セレクタSL5をDVD再生装置部12からの映像データV2を出力するように切り換える。
これによって、プレーヤー内蔵アンプ装置1(A)のDVD再生装置部12から出力された映像データV2がセレクタ5、映像出力端子Votを通じてテレビ受像機2の映像デコーダ211に供給され、DVD再生装置部12からの映像データに応じた映像がモニター部22の表示画面に表示される。
また、DVD再生装置部12から出力された音声データA2が、セレクタSL2、セレクタSL4、音声出力端子Aot1を通じて、テレビ受像機2のテレビチューナ部21に搭載された音声遅延回路212に供給され、ここで映像データの処理に応じた時間分の遅延処理が行われた後、遅延処理された音声データが音声入力端子Ain2を通じてプレーヤー内蔵アンプ装置1(A)に戻され、DIR13、DSP14,アンプ15を通じてスピーカーSPに供給され、CD再生装置部11からの音声データA1に応じた音声が、スピーカーSPから放音される。
この場合、上述したように、DVD再生装置部12から出力された音声データA2は、DVD再生装置部12から出力された映像データV2に対するテレビ受像機2の主に映像デコーダ211における処理時間に応じて、テレビ受像機2の音声遅延回路212において適切に遅延処理が施されているので、再生映像と再生音声との間で、リップシンクのずれが発生しないようにされる。
なお、DVD再生装置部12において、例えば「DVD−Audio」などの主に音声データが記録されているDVDが再生するようにされた場合には、DVD再生装置部12からは音声データしか出力されないと判断し、この場合には、セレクタSL2が、DVD再生装置部12からの音声データA2をDIR13に供給するように切り換えられ、音声データA2に対して遅延処理を施すことなく、DIR13、DSP14,アンプ15を通じてスピーカーSPに供給され、DVD再生装置部12からの音声データA2に応じた音声が、スピーカーSPから放音される。すなわち、音声データに対する不必要な遅延処理を行うことがないようにしている。
また、図2に示したプレーヤー内蔵アンプ装置1(A)において、DVD再生装置部12は、音楽専用のDVD−Audioを再生する場合についても考慮したが、DVDの場合、音声データだけが記録されている場合は少ないと考えられるので、セレクタSL2を設けずに、DVD再生装置部12からの音声データA2を直接にセレクタSL4に供給するように構成することも可能である。
[(2)映像信号の有無を検出し、この検出結果に応じて判別する方法を用いる場合]
次に、映像信号の有無を検出し、この検出結果に応じて、音声データに遅延処理が必要か否かを判別する方法を用いたプレーヤー内蔵アンプ装置1(B)の構成例に付いて説明する。図3は、この例のプレーヤー内蔵アンプ装置1(B)を説明するためのブロック図である。
この例の場合にも、プレーヤー内蔵アンプ装置1(B)には、テレビ受像機2が接続されている。このテレビ受像機2は、図2に示した例の場合と同様に、映像デコーダ211と音声遅延回路212を備えたテレビチューナ部21と、モニター部22とを備えたものであり、テレビチューナ部21の音声遅延回路212は、外部から供給される音声データを受け付けて遅延処理を施し、その遅延処理した音声データを外部に出力することができるものである。
さらに、この図3に示す例の場合、プレーヤー内蔵アンプ装置1(B)には、外部機器3、外部機器4が接続されている。外部機器3は、例えばDVD再生装置など再生装置であり、外部機器4は、例えば、録音処理を行うことが可能なMDレコーダなどの装置である。
そして、図3に示すこの例のプレーヤー内蔵アンプ装置1(B)は、セレクタSL5の後段に音声信号検出回路17を設けた点を除けば、図2に示したプレーヤー内蔵アンプ装置1(A)と同様に構成されたものである。このため、図3に示すこの例のプレーヤー内蔵アンプ装置1(B)において、図2に示したプレーヤー内蔵アンプ装置1(A)と同様に構成される部分には、同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略することとする。なお、図3においても、点線で示した信号経路が映像信号経路であり、実線で示した信号経路が音声信号経路である。
図3に示したように、例えば、外部機器3としてDVD再生装置(DVDプレーヤー)が、プレーヤー内蔵アンプ装置1(B)に接続された場合、外部機器3からこれに装填されたDVDから読み出される記録媒体情報を得ることはできない。記録媒体情報は、DVDプレーヤーである外部機器3内においてのみ用いられ、通常、外部に出力されることはない。
このため、外部機器3から音声データの供給を受けた場合に、これに遅延処理を施す必要があるか否かを適性に判断するために、セレクタSL5の後段に、出力映像データが存在するか否かを検出するための映像信号検出回路17を設けている。この映像信号検出回路17は、これに供給される映像データ(映像信号)のレベルを監視し、所定レベル以上の信号が供給された場合に、音声データと同期を取って処理すべき映像データが存在すると判断し、映像信号が存在する旨の通知を制御部16に対して行う。
すなわち、制御部16に接続されたキー操作部を通じて、外部機器3から供給された信号を処理するようにする指示入力を受け付けると、制御部16は、セレクタSL5を切り換え制御し、映像入力端子Vin1を通じて供給を受け付けた外部機器3からの映像信号を映像信号検出回路17、映像出力端子Votを通じてテレビ受像機2に供給するように切り換える。
そして、制御部16は、映像信号検出回路17からの通知(検出出力)を確認し、映像信号検出回路17から映像信号が存在する旨の通知を受けた場合には、処理対象の音声データについては遅延処理が必要であると判断し、セレクタSL3を映像入力端子Vinを通じて供給された外部機器3からの映像信号V3をセレクタ4側に出力するように切り換えるとともに、セレクタSL4を、セレクタSL3から出力された音声データA3を手段出力するように切り換える。
これによって、映像入力端子Vin1を通じて受け付けた外部機器3からの映像データV3が、セレクタSL5、映像信号検出回路17、映像出力端子Votを通じてテレビ受像機2の映像デコーダ211に供給され、外部機器3からの映像データに応じた映像がモニター部22の表示画面に表示される。
また、音声入力端子Ain1を通じて受け付けた外部機器3からの音声データA3が、セレクタSL3、セレクタSL4、音声出力端子Aot1を通じて、テレビ受像機2のテレビチューナ部21に搭載された音声遅延回路212に供給され、ここで映像データの処理に応じた時間分の遅延処理が行われた後、遅延処理された音声データが音声入力端子Ain2を通じてプレーヤー内蔵アンプ装置1(B)に戻され、DIR13、DSP14,アンプ15を通じてスピーカーSPに供給され、CD再生装置部11からの音声データA1に応じた音声が、スピーカーSPから放音される。
この場合、上述したように、外部機器3から出力された音声データA3は、外部機器3から出力された映像データV3に対するテレビ受像機2の主に映像デコーダ211における処理時間に応じて、テレビ受像機2の音声遅延回路212において適切に遅延処理が施されているので、再生映像と再生音声との間で、リップシンクのずれが発生しないようにされる。
なお、外部機器3から供給された信号を処理するようにする指示入力に応じて、セレクタSL5を映像入力端子Vin1を通じて供給を受け付けた外部機器3からの映像信号を出力するように切り換えた後において、映像信号検出回路17で映像信号が検出できなかったときには、外部機器3からは映像データは供給されていないので、制御部16は、音声入力端子Ain1を通じて受け付けた音声データをDIRに供給するように切り換え、音声データについて遅延処理を施さないようにする。
すなわち、この場合には、セレクタSL3が、外部機器3からの音声データA3をDIR13に供給するように切り換えられ、音声データA3に対して遅延処理を施すことなく、DIR13、DSP14,アンプ15を通じてスピーカーSPに供給され、外部機器3からの音声データA3に応じた音声が、スピーカーSPから放音される。すなわち、音声データに対する不必要な遅延処理を行うことが無いようにしている。したがって、外部機器3が例えばCD−DAプレーヤーである場合においては、音声データしか出力されないので、このような場合に再生される音声データに対して遅延処理を施すことが無いようにすることができる。
[(3)ファンクションキーにより選択された信号入力経路の映像入力端子の有無に応じて判別する方法を用いる場合]
次に、ファンクションキーにより選択された信号入力経路の映像入力端子の有無に応じて、音声データに遅延処理が必要か否かを判別する方法を用いたプレーヤー内蔵アンプ装置1(C)の構成例について説明する。図4は、この例のプレーヤー内蔵アンプ装置1(C)を説明するためのブロック図である。
この例の場合にも、プレーヤー内蔵アンプ装置1(C)には、テレビ受像機2が接続されている。このテレビ受像機2は、図2、図3に示した例の場合と同様に、映像デコーダ211と音声遅延回路212を備えたテレビチューナ部21と、モニター部22とを備えたものであり、テレビチューナ部21の音声遅延回路212は、外部から供給される音声データを受け付けて遅延処理を施し、その遅延処理した音声データを外部に出力することができるものである。
さらに、この図4に示す例の場合においても、図3に示した例の場合と同様に、プレーヤー内蔵アンプ装置1(C)には、外部機器3、外部機器4が接続されている。外部機器3は、例えばDVD再生装置など再生装置であり、外部機器4は、例えば、録音処理を行うことが可能なMDレコーダなどの装置である。なお、図4においても、点線で示した信号経路が映像信号経路であり、実線で示した信号経路が音声信号経路である。
そして、図4に示すこの例のプレーヤー内蔵アンプ装置1(C)は、制御部16に接続するようにされたファンクション選択部18を設けるとともに、複数の信号入力経路として、音声入力端子Ain1−1、Ain1−2、Ain1−3、映像入力端子Vin1−2、Vin1−3を設けたものである。これ以外の部分は、図2に示したプレーヤー内蔵アンプ装置1(A)と同様に構成されたものである。このため、図4に示すこの例のプレーヤー内蔵アンプ装置1(C)において、図2に示したプレーヤー内蔵アンプ装置1(A)と同様に構成される部分には、同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略することとする。
そして、上述もしたように、この例のプレーヤー内蔵アンプ装置1(C)には、複数の信号入力系路が設けられているが、接続を可能にする外部機器によって、映像入力端子と音声入力端子とをペアで設けるか、音声入力端子だけを設けるかが異なる。例えば、DVDプレーヤーなど、映像と音声を再生する機器用には、映像入力端子と音声入力端子とをペアで設ける必要があり、また、音楽CDプレーヤーやラジオチューナなど音声のみを再生する機器用には、音声入力端子のみを設けておけばよいことになる。
このように、複数の外部機器に対する信号入力経路を設けるようにした場合、どの信号入力経路に接続された外部機器からの信号を処理するようにするかは、プレーヤー内蔵アンプ装置1(C)に設けられるキー操作部等のファンクション選択部を通じて行うことになる。このように、信号入力経路の選択キーが設けられ、ユーザーからの選択入力を受け付けるようにしている部分が、ファンクション選択部18である。
そして、図5に示すように、各信号入力経路について、映像入力端子と音声入力端子との両方を備えるものか、音声入力端子のみを備えるものかを、制御部16が把握しておくようにする。この例の場合、音声入力端子Ain1−1が外部入力1に対するものであり、音声入力端子Ain1−2、映像入力端子Vin1−2が外部入力2に対するものであり、音声入力端子Ain1−3、映像入力端子Vin1−3が外部入力3に対するものである。
すなわち。図5に示した例の場合、外部入力1は、CDプレーヤーやラジオチューナの接続を想定したものであり、音声入力端子Ain1−1のみが設けられていることを示している。また、外部入力2は、DVDプレーヤーなどの接続を想定したものであり、映像入力端子Vin1−2と音声入力端子Ain1−2との両方が設けられていることを示している。外部入力3はテレビチューナなどの接続を想定したものであり、映像入力端子Vin1−3と音声入力端子Ain1−3との両方が設けられていることを示している。
そして、制御部16は、ファンクション選択部18を通じて受け付けたユーザーからの選択入力が、外部入力1、外部入力2、外部入力3の何れが選択されたかを検知する。そして、外部入力1が選択された場合には、供給される音声データの遅延処理は必要ないと判断し、外部入力2または外部入力3が選択された場合には、映像データと音声データとの両方が存在するため、音声データについては、映像データに対する処理にかかる時間を考慮した遅延処理が必要であると判断することができる。
具体的には、制御部16は、ファンクション選択部18を通じて受け付けたユーザーからの選択入力が、外部入力1を選択するものであると検知したときには、セレクタSL3を音声入力端子Ain1−1を通じて受け付けた音声データをDIR13に供給するように切り換える。この場合、音声入力端子Ain1−1を通じて供給された音声データに遅延処理が施されることがないようにされる。
また、制御部16は、ファンクション選択部18を通じて受け付けたユーザーからの選択入力が、外部入力2を選択するものであると検知したときには、セレクタSL3を音声入力端子Ain1−2を通じて受け付けた音声データをセレクタ4側に供給するように切り換えるとともに、セレクタ4をセレクタ3からの音声データを出力するように切り換える。また、同時に、制御部16は、セレクタSL5を映像入力端子Vin1−2を通じて受け付けた映像データを出力するように切り換える。
また、制御部16は、ファンクション選択部18を通じて受け付けたユーザーからの選択入力が、外部入力3を選択するものであると検知したときには、セレクタSL3を音声入力端子Ain1−3を通じて受け付けた音声データをセレクタ4側に供給するように切り換えるとともに、セレクタ4をセレクタ3からの音声データを出力するように切り換える。また、同時に、制御部16は、セレクタSL5を映像入力端子Vin1−3を通じて受け付けた映像データを出力するように切り換える。
このように、選択された信号入力経路が映像入力端子を備えるものである場合には、その選択された信号入力経路の音声入力端子を通じて供給を受ける音声データが、セレクタSL3、セレクタSL4、音声出力端子Aot1を通じてテレビチューナ部21の音声遅延回路212に供給された後、音声入力端子Ain2を通じてプレーヤー内蔵アンプ装置1(C)に戻され、DIR13、DSP14、アンプ15を通じてスピーカーSPに供給され、音声が放音するようにされる。
この場合、音声データは、映像データのテレビ受像機2における処理時間に応じて、音声遅延回路212で遅延処理されているので、当該映像データによる映像と当該音声データによる音声との間にリップシンクのずれを生じさせることも無い。
なお、図5に示した各信号入力経路の映像入力端子、音声入力端子の有無の管理は、制御部16により行われ、図5に示した情報は、例えば、制御部16のROM162に記憶保持されているものである。また、図5に示した情報の場合、音声信号については、アナログ入力端子(ANALOG IN)と、光通信によりデジタル入力端子(OPTICAL IN)とがある場合に、どちらが利用可能であるかをも示すようにしているものである。
また、上述したように、音声データについて遅延処理が必要か否かを判別する場合に、(1)記録媒体情報を用いて判別する方法、(2)映像信号の有無を検出し、この検出結果に応じて判別する方法、(3)ファンクションキーにより選択された信号入力経路の映像入力端子の有無に応じて判別する方法を用いることが可能であり、(1)、(2)、(3)のそれぞれを個別に用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。また、以下に説明するように、(1)の方法、(2)の方法、(3)の方法の全部を使用できるようにしておき、場合に応じて使い分けるようにしてもよい。
[音声データに遅延処理が必要か否かの判別方法の使い分けについて]
図2、図3、図4を用いて説明したプレーヤー内蔵アンプ装置1(A)の機能を備えるとともに、プレーヤー内蔵アンプ装置1(B)の機能と、プレーヤー内蔵アンプ1(C)との機能のうちのいずれかを備えるプレーヤー内蔵アンプ装置1を考える。すなわち、制御部16は、ディスク情報の判別機能を備え、映像信号検出回路17を有するか、あるいは、複数の信号入力経路が設けられ、これを選択するためのファンクション選択部18も設けられており、図5を用いて説明したように、各信号入力系路毎に、映像入力端子の有無を制御部16が把握しているものとする。
このようなプレーヤー内蔵アンプ装置1において、処理対象の音声データについて遅延処理が必要か否かを判別する場合の処理は、図6、図7、図8に示すように行うことができる。図6、図7、図8は、処理対象の音声データについて遅延処理が必要か否かを判別する場合の処理を説明するためのフローチャートである。この図6、図7、図8の処理は、プレーヤー内蔵アンプ装置1に電源が投入された後に、適宜のタイミングで実行するようにしたり、あるいは、ファンクション選択部18の選択キーが操作されたタイミングで実行するようにしたり、また、ユーザーからキー操作部を通じて実行が指示された場合に、制御部16のCPU161により実行するようにされる処理である。
まず、制御部16は、自機が内蔵するCD再生装置部11やDVD再生装置部12で音声データ等の再生が行うように指示されているか否かを判断する(ステップS101)。ステップS101の判断処理において、自機が内蔵する再生装置(プレーヤー)での再生が指示されていると判断したときには、制御部16は、再生が指示された再生装置を制御し、装填されている記録媒体から所定の記録媒体情報を読み出して取得し、その記録媒体情報が、当該記録媒体が「DVD」であることを示しているか、あるいは、「Video CD」であることを示しているか否か、すなわち、映像データを再生するか否かを判断する(ステップS102)。
ステップS102の判断処理において、再生対象の記録媒体が、「DVD」か、あるいは、「Video CD」であると判断した場合には、映像データと音声データとを同期を取って再生する必要があるので、音声データに対して遅延処理が必要であると判断する(ステップS103)。ステップS102の判断処理において、再生対象の記録媒体が、「DVD」でも、「Video CD」でもないと判断した場合には、音声データのみの再生であると判断して、音声データに対して遅延処理は不用であると判断する(ステップS104)。
また、ステップS101の判断処理において、自機が内蔵する再生装置(プレーヤー)での再生が指示されていないと判断したときには、制御部16は、図7に示す処理に進み、ROM162などに保持している自己の機能情報から、自機は映像信号検出回路17を備えたものか否かを判断する(ステップS201)。
ステップS201の判断処理において、映像信号検出回路17を備えていると判断したときには、映像信号検出回路17からの検出出力を参照し、映像信号が入力されているか否かを判断する(ステップS202)。ステップS202の判断処理おいて、映像信号が入力されていると判断したときには、制御部16は、映像データと音声データとを同期を取って再生する必要があるので、音声データに対して遅延処理が必要であると判断する(ステップS203)。ステップS202の判断処理において、映像信号が入力されていないと判断したときには、制御部16は、音声データのみの再生であると判断して、音声データに対して遅延処理は不用であると判断する(ステップS204)。
ステップS201の判断処理において、映像信号検出回路17を備えていないと判断したときには、制御部16は、ファンクション選択部18を通じて選択されている信号入力経路に対する入力端子情報をROM162から参照し、映像入力端子のあるファンクション(信号入力経路)が選択されているか否かを判断する(ステップS301)。
ステップS301の判断処理において、映像入力端子のあるファンクション(信号入力経路)が選択されていると判断したときには、映像データと音声データとを同期を取って再生する必要があるので、音声データに対して遅延処理が必要であると判断する(ステップS302)。また、ステップS301の判断処理において、映像入力端子のあるファンクション(信号入力経路)は選択されていない(映像入力端子の無いファンクションが選択されている)と判断したときには、制御部16は、音声データのみの再生であると判断して、音声データに対して遅延処理は不用であると判断する(ステップS303)。
図6、図7、図8に示したように、プレーヤー内蔵アンプ装置1は、自機の動作状態、自己の有する機能などに基づいて、処理対象となっている音声データに対して、同期を取って処理すべき映像データが存在するか否かを適切かつ正確に検出し、同期を取って処理すべき映像データが存在すると判断した場合にのみ、処理対象の音声データに対して、映像データのついての処理時間に応じた時間分、遅延処理を自動的に施すことによって、同時に処理される映像データによる映像と音声データによる音声との間にリップシンクのずれが生じないようにすることができる。
[プレーヤー内蔵アンプ装置の変形例について]
図2、図3、図4に示したプレーヤー内蔵アンプ装置においては、CD再生装置部11、DVD再生装置部12の何れにおいても、映像データと音声データとを同期を取って再生する場合があり、また、音声データのみを再生する場合があるものとして説明した。
しかし、実際には、DVD再生装置部12で再生されるDVDは、音声データだけが記録されているものは少なく、同期を取って処理すべき映像データと音声データとからなる映像音声データ(AVデータ)を処理する場合が殆どである。逆に、CD再生装置部11で再生するCDは、殆どが音楽CD(CD−DA)である。すなわち、音声データしか処理されない。
そこで、CD再生装置部11においては音声データのみが再生され、DVD再生装置部12においては映像データと音声データとの両方が再生されるものとすれば、プレーヤー内蔵アンプ装置の構成を簡単化することができる。図9は、内蔵するCD再生装置部11は音声データのみを再生し、内蔵するDVD再生装置部12は映像データと音声データとの両方を再生するものとした場合のプレーヤー内蔵アンプ装置の構成例を示すブロック図である。
この図9に示すプレーヤー内蔵アンプ装置1(D)の場合にも、図2、図3、図4に示したプレーヤー内蔵アンプ装置と同様に構成される部分には、同じ参照符号を付し、その詳細な説明については省略する。また、制御部16に接続されたキー操作部19は、ファンクション選択部18としての機能をも備えたものである。すなわち、キー操作部19は、信号入力経路を選択するためのファンクションキーをも備えたものである。
図9に示すように、CD再生装置部11は、音声データしか再生しないので、その再生出力をDIR13のみに供給するようにし、また、DVD再生装置部12は、映像データと音声データとを再生するものであるので、DVD再生装置部12からの音声データは、テレビ受像機2の音声遅延回路212に音声データを供給するための音声出力端子Aot1に接続されたセレクタSL6に供給され、DVD再生装置部12からの映像データは、テレビ受像機2の映像デコーダ211に映像データを供給するための映像出力端子Votの前段のセレクタSL8に供給される。
そして、セレクタSL6は、DVD再生装置部12からの音声データを出力するか、セレクタSL7を通じて供給される外部機器3からの音声データを出力するかを切り換えるものとして用いられ、セレクタSL8は、DVD再生装置部12からの映像データを出力するか、映像入力端子Vin1を通じて供給された外部機器3からの映像データを出力するかを切り換えるものとして用いられる。
この場合、DVD再生装置部12で再生が行うようにされた場合には、セレクタ8からはDVD再生装置部12からの映像データが出力するように切り換えられ、映像信号検出回路17、映像出力端子Votを通じてテレビ受像機2に供給され、映像デコーダで処理された映像データに応じた映像がモニター部22の表示画面に表示される。
また、この場合、セレクタ7からは、DVD再生装置部12からの音声データが出力され、音声出力端子Aot1を通じて、テレビ受像機2の音声遅延回路212に供給され、ここで遅延処理された後、音声入力端子Ain2を通じて、プレーヤー内蔵アンプ装置1(D)に戻され、これが、DIR13,DSP14、アンプ15を通じてスピーカーSPに供給され、遅延処理された音声データに応じた音声が放音するようにされる。
この場合、音声データは、テレビ受像機2の音声遅延回路212において、映像データの処理時間に応じた時間分の遅延処理が施されているので、再生映像と再生音声との間にリップシンクのずれが生じることが無い。
また、外部機器3からの再生信号を処理する場合には、セレクタ7を映像入力端子Vinからの映像データを出力するように切り換え、映像信号検出回路17において、映像信号が検出できたか否かを判断し、検出できた場合には、セレクタ7を音声入力端子Ain1を通じて供給を受けた外部機器3からの音声信号をセレクタSL6に供給するように切り換え、セレクタSL6をセレクタSL7からの音声データを出力するように切り換える。
これにより、セレクタ8からは外部機器3からの映像データが出力するようにされ、外部機器3からの映像データが、映像信号検出回路17、映像出力端子Votを通じてテレビ受像機2に供給され、映像デコーダ211で処理された映像データに応じた映像がモニター部22の表示画面に表示される。
また、この場合、セレクタ7からは、外部機器3からの音声データが出力され、音声出力端子Aot1を通じて、テレビ受像機2の音声遅延回路212に供給され、ここで遅延処理された後、音声入力端子Ain2を通じて、プレーヤー内蔵アンプ装置1(D)に戻され、これが、DIR13,DSP14、アンプ15を通じてスピーカーSPに供給され、遅延処理された音声データに応じた音声が放音するようにされる。
この場合、音声データは、テレビ受像機2の音声遅延回路212において、映像データの処理時間に応じた時間分の遅延処理が施されているので、再生映像と再生音声との間にリップシンクのずれが生じることがない。
また、セレクタSL7を映像入力端子Vinを通じて供給される外部機器3からの映像データを出力するように切り換えても、映像信号検出回路17において、映像信号が検出されなかった場合には、同期を取って再生すべき映像データは無いと判断し、音声入力端子Ain1を通じて供給された外部機器3からの音声データをDIR13に供給するようにセレクタ7が切り換えられる。
この場合には、外部機器3からの音声データは、遅延処理されることなく、DIR13を通じてDSP14に供給され、ここで形成された音声信号がアンプ15で増幅されてスピーカーSPに供給され、外部機器3からの音声データに応じた音声が放音される。この場合には、音声データに対して不必要な遅延処理を施すことも無く、適切かつ迅速に外部機器3からの音声データを再生して利用することができるようになる。
[アンプ側の音声遅延回路を用いるようにした場合の例]
ところで、従来、アンプ装置側に音声遅延回路が搭載されているものも提供されている。このアンプ側の音声遅延回路を用いるようにすることももちろん可能である。図10は、音声遅延回路を搭載したプレーヤー内蔵アンプ装置の構成例を説明するためのブロック図である。
この図10に示すプレーヤー内蔵アンプ装置1(E)においても、図2、図3、図4を用いて説明したプレーヤー内蔵アンプ装置と同様に構成される部分には、同じ参照符号を付し、その詳細な説明については省略することとする。また、図10に示すテレビ受像機2、外部機器3、4もまた、図2、図3、図4に示したものと同様に構成されるものである。
図10に示すように、この例のプレーヤー内蔵アンプ装置1(E)もまた、CD再生装置部11、DVD再生装置部12、DIR13、DSP14、アンプ15、制御部16、映像信号検出回路17、ファンクション選択部18を備えるものである。そして、この例のプレーヤー内蔵アンプ装置1(E)は、DSP14とアンプ15との間に音声遅延回路20が設けられたものである。
また、プレーヤー内蔵アンプ装置1(E)は、セレクタSL9、SL10とを備えたものである。セレクタSL9は、テレビ受像機2からの音声データと、外部機器3からの音声データとを切り換えるものであり、セレクタSL10は、出力する映像データを切り換えるものである。
そして、ファンクション選択部18を通じて、テレビ受像機2を利用するのか、外部機器5を利用するのか、内蔵のCD再生装置部11を利用するのか、内蔵のDVD再生装置部12を利用するのかの選択入力に応じて、セレクタSL9、セレクタSL10が、制御部16により切り換えられる。
すなわち、ファンクション選択部18を通じて、テレビ受像機2を利用することが選択された場合には、制御部16は、セレクタSL9を音声入力端子Ain2を通じて供給を受けるテレビ受像機からの音声データを出力するように切り換えるとともに、DIR13を入力端bに供給されたセレクタSL9からの音声データを出力するように制御する。また、制御部16は、例えば、セレクタSL10からは映像データを出力しないように制御する。
また、外部機器5を利用することが選択された場合には、制御部16は、セレクタSL9を音声入力端子Ain1を通じて供給を受ける外部機器5からの音声データを出力するように切り換えるとともに、DIR13を入力端bに供給されたセレクタSL9からの音声データを出力するように制御する。また、制御部16は、セレクタSL10からは、映像入力端子Vin1を通じて供給を受ける外部機器5からの映像データを出力するように切り換える。
また、内蔵のCD再生装置部11を利用することが選択された場合には、制御部16は、DIR13を入力端aに供給されたCD再生装置部11からの音声データを出力するように制御する。また、制御部16は、セレクタSL10からは、CD再生装置部11からの映像データを出力するように切り換える。
同様に、内蔵のDVD再生装置部12を利用することが選択された場合には、制御部16は、DIR13を入力端cに供給されたDVD再生装置部12からの音声データを出力するように制御する。また、制御部16は、セレクタSL10からは、DVD再生装置部12からの映像データを出力するように切り換える。
そして、制御部16は、図6、図7、図8を用いて説明したように、処理対象の音声データが映像データを伴うものか否か、すなわち、音声データと同期を取って処理すべき映像データが存在し、このプレーヤー内蔵アンプ装置1(E)から出力するようにされているか否かを判断する。
音声データと同期を取って処理すべき映像データが存在し、このプレーヤー内蔵アンプ装置1(E)から出力するようにされていると判断したときには、制御部16は、音声遅延回路20を制御して、音声遅延処理を行うようにする。この場合、プレーヤー内蔵アンプ装置1(E)の制御部16は、入力端子CTを通じて供給を受ける、テレビ受像機2からの映像デコーダ211における処理時間などに応じた音声データの遅延量を示す情報に基づいて、音声遅延回路20における音声データの遅延を適正に行うように制御することができるようにしている。
もちろん、音声遅延回路20の遅延量を、制御部16に接続された図示しないキー操作部などを通じてユーザーが調整するようにすることも可能である。また、接続されたテレビ受像機2に応じて、音声データの遅延量を予めプレーヤー内蔵アンプ装置1(E)の音声遅延回路20に設定するようにすることももちろん可能である。
また、音声データと同期を取って処理すべき映像データは存在しないと判断したときには、制御部16は、音声遅延回路20を制御して、音声データに対して遅延音声遅延処理を行わないようにする。簡単には、音声遅延回路20をバイパスするようにする。このようにすることによって、映像データと同期を取る必要が無い場合には、音声データに対して無駄に遅延処理を施すことも無いようにすることができる。
しかしながら、この図10に示す例の場合、テレビ受像機2側とプレーヤー内蔵アンプ装置1(E)との両方に音声遅延回路が設けられることになる。このため、図2、図3、図4に示したプレーヤー内蔵アンプ装置1(A)、1(B)、1(C)のように、音声データについての遅延処理を一元的に行うようにすることができず、音声データの遅延処理について、ユーザーの調整作業が必要になる可能性がある。また、プレーヤー内蔵アンプ装置に音声遅延回路20を設けなければならないので、その分のコストがかかることになる。
したがって、テレビ受像機2側の音声遅延回路212を利用する図2、図3、図4に示したプレーヤー内蔵アンプ装置1(A)、1(B)、1(C)の方が、映像データの処理時間に応じて、音声データに対して適正な遅延処理を施すことができるので、リップシンクのずれを生じさせない信頼性の高いシステムを構築することができる。
[プレーヤーを内蔵しないアンプ装置単体への適用について]
上述した実施の形態においては、プレーヤー内蔵アンプ装置にこの発明を適用した場合を例にして説明したが、これに限るものではない。プレーヤーを内蔵しないアンプ装置にもこの発明を適用することができる。
図11は、プレーヤーを内蔵しないアンプ装置5にこの発明を適用した場合の例を説明するためのブロック図である。図11に示すように、この例のオーディオアンプ装置(以下、単にアンプ装置という。)5は、DIR51、DSP52、アンプ部53、制御部54、ファンクション選択部55、音声遅延回路56、セレクタSL11、SL12、SL13を備えたものである。
そして、図11に示すように、複数の音声入力端子Au1〜Au5を備えると共に、複数の映像入力端子Vd1〜Vd3を備えたものである。音声入力端子と映像入力端子でその数が異なるのは、例えば、CDプレーヤーなどの音声データのみを出力する外部機器と、DVDプレーヤーのような、音声データと映像データとの両方を出力する外部機器とを想定し、音声データのみを受け付ける入力系と、音声データと映像データとの両方を受け付ける入力系とを設けているためである。
そして、セレクタSL11は、処理対象の音声データを選択するものであり、セレクタSL13は、処理対象の映像データを選択するものである。これらセレクタSL11とセレクタ12とは、ファンクション選択部55を通じて受け付けた、ユーザーからの外部機器の選択入力に応じて、制御部54の制御により切り換えられる。
また、セレクタSL12は、処理対象の音声データが映像データを伴うものか否か、すなわち、音声データと同期を取って処理すべき映像データが存在し、このアンプ装置5から出力するようにされているか否かに応じて、処理対象の音声データの供給先を選択するものである。
すなわち、この図11に示すアンプ装置5の場合にも、制御部54は、図6、図7、図8を用いて説明したように、音声データと同期を取って処理すべき映像データが存在し、このプレーヤー内蔵アンプ装置1(E)から出力するようにされているか否かを判断する。そして、音声データと同期を取って処理すべき映像データが存在し、このアンプ装置5から出力するようにされていると判断した場合には、セレクタSL12を音声出力端子Aot1を通じてテレビ受像機2側の音声遅延回路212に音声データを出力するように切り換え、そうでない場合には、セレクタSL12をDIR51側に音声データを出力するように切り換える。
これにより、音声入力端子Au1〜Au5、映像出力端子Vd1〜Vd3に接続された外部機器のうち、音声データと映像データとの両方を、アンプ装置5に供給してきた外部機器からの音声データについては、テレビ受像機2が内蔵する音声遅延回路212を用いて、音声データに対して遅延処理を施し、この遅延処理された音声データを、音声遅延回路212から音声入力端子Ainを通じて受け付けて、DIR51、DSP52、アンプ部53を通じてスピーカーSPに供給し、遅延処理された音声データに応じた音声が放音するようにされる。
この場合、音声データに対する遅延処理は、アンプ装置5を介してテレビ受像機2に供給される映像データに対する映像デコード処理などにかかる時間が考慮された分の遅延処理がテレビ受像機2の音声遅延回路212で自動的に行われるので、テレビ受像機2のモニター部22の表示画面に表示される映像と、スピーカーSPから放音される音声との間にリップシンクのずれが生じることもないようにされる。
なお、音声データと同期を取って処理すべき映像データが存在しないと判断したときには、音声データをDIR51側に出力するように、制御部54がセレクタ12を切り換え制御するので、処理対象の音声データについては遅延処理が施されることなく、通常通りの再生処理が行うようにされる。すなわち、音声データと同期を取って処理すべき映像データが存在しない音声データについては、不要な遅延処理が行われることもない。
このように、プレーヤーを内蔵しないアンプ装置の場合にも、処理対象の音声データと同期を取って処理すべき映像データの有無に応じて、テレビ受像機2側の音声遅延回路212において遅延処理を施すか否かを自動的に選択し、テレビ受像機2における映像データに対するデコード処理等に応じた時間分の遅延処理を自動的に施すようにすることができる。
そして、上述したプレーヤー内蔵アンプ装置の場合にも、また、プレーヤーを内蔵しないアンプ装置の場合にも、映像音声処理装置であるテレビ受像機2がもともと備える音声遅延回路に音声データを供給し、遅延処理を施した音声データをプレーヤー内蔵アンプ装置、アンプ装置に戻す経路を設け、この音声遅延回路を経由する経路と、音声遅延回路を経由しない通常の経路とを設けようにする。
そして、何れの経路を用いるかを、音声データと同期を取って処理する映像データが存在するか否かに応じて自動的に選択することにより、音声データと映像データとを同期を取って処理する場合に、映像データに対するデコード処理などにかかる時間に応じて、適正な時間分の遅延処理を音声データに対して自動的に施すことができるようにされる。
しかも、音声遅延回路は、映像データを処理して映像を表示するようにするテレビ受像機などの映像音声処理装置にもともと設けられているものが用いられる。したがって、音声遅延回路における音声データに対する遅延量は、自機内において行われる映像デコード処理等にかかる時間を考慮した適切なものとされており、ユーザーが音声データに対する遅延量を設定したり、調整したりするなどの手間をかけることも一切ない。
また、音声遅延回路を新たに設ける必要もないので、アンプ装置のコストアップにつながることもない。
なお、上述の実施の形態においては、データ量が多くデコーダ処理も複雑な映像データに対する処理の方が、音声データに対する処理よりも時間がかかるため、映像データにかかる処理時間に応じて、音声データについて遅延させるようにした。しかし、これに限るものではない。
例えば、5.1チャンネルやそれ以上のチャンネル数のいわゆるマルチチャンネル方式の音声データを処理する場合などにおいて、音声データに対する処理の方が、映像データに対する処理よりも時間がかかる場合には、映像データの方を、音声データに対する処理時間に応じて自動的に遅延させるようにすることもできる。
このような場合には、テレビ受像機側に映像遅延回路を設け、同期を取って処理すべき音声データと映像データとの両方が存在する場合に、テレビ受像機2側で映像データについて遅延処理を行うようにしたり、また、アンプ装置側で遅延処理した映像データをテレビ受像機2に供給したりするようにすればよい。
また、上述した実施の形態においては、テレビ受像機2とプレーヤー内蔵アンプ装置やアンプ装置との間、また、外部機器とプレーヤー内蔵アンプ装置やアンプ装置との間においては、デジタル音声データ、デジタル映像データを送受する場合を例にして説明したが、これに限るものではなく、各機器間においては、アナログ音声信号、アナログ映像信号を送受する場合においても、この発明を適用することができる。
また、種々のデジタルインターフェースのように、音声データと映像データとがパケット化され、時分割多重されて提供されるような場合であっても、この発明を適用することができる。このような場合には、例えば、プレーヤー内蔵アンプ装置やアンプ装置において、音声データと映像データとを分離するようにし、映像データを伴う音声データの場合に、テレビ受像機2側の音声遅延回路212によって遅延処理した音声データを戻すように構成すればよい。
また、上述した実施の形態においては、テレビ受像機2に内蔵された音声遅延回路を用いる場合を例にして説明したが、これに限るものではない。例えば、別体のデジタルテレビチューナとモニタ受像機が別個に設けられる場合もあると考えられるが、このような場合には、デジタルテレビチューナに内蔵された音声遅延回路を用いるようにすればよい。すなわち、映像音声処理装置としては、テレビ受像機やテレビチューナなどの映像信号と音声信号とを同期を取って処理する機器であって、音声遅延回路、あるいは、映像遅延回路を備えた種々の機器を用いるようにすることができる。
また、音楽CDのみを再生するCDプレーヤーであっても、操作ガイダンスなどの種々のメッセージを表示するための映像信号を形成し、これをテレビ受像機などに供給して、その表示画面に表示するようにすることを行うものもある。このような場合には、単に映像信号の有無を検出しただけでは、音声データと同期を取って処理すべき映像データが存在するか否かを正確に検知することができない場合もあると考えられる。
このため、例えば、プレーヤー内蔵アンプ装置の制御部16などにおいて形成されるメッセージ表示用の映像信号は、制御部16において映像信号と見なさないようにすることによって、音声データと同期を取って処理する必要のない映像データ(映像信号)の存在を、音声データと同期を取って処理する必要のある映像データが存在すると誤検出することがないようにすることができる。
また、上述した実施の形態においては、内蔵プレーヤーからの信号を処理する場合には、記録媒体情報を用いて、音声データと同期を取って処理すべき映像データが存在するか否かを判別するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、外部機器等から供給される音声データや映像データ、あるいは、映像データ、音声データがパケット化されて多重化されて供給されるAVデータなどの場合、それらに含まれる情報に基づいて、音声データと同期を取って処理すべき映像データが存在するか否かを判別するようにしてもよい。
1、1(A)、1(B)、1(C)、1(D)、1(E)…プレーヤー内蔵アンプ装置、11…CD再生装置、12…DVD再生装置、13…DIR、14…DSP、15…アンプ部、16…CPU、17…映像信号検出部、18…ファンクション選択部、19…キー操作部、20…音声遅延回路、SL1〜SL10…セレクタ、2…テレビ受像機、21…テレビチューナ部、211…映像デコーダ、212…音声遅延回路、3、4…外部機器、5…アンプ装置、51
…DIR、52…DSP、53…アンプ部、54…制御部、55…ファンクション選択部、SL11〜SL13…セレクタ、Ain1、Ain2…音声入力端子、Vin1…映像入力端子、Aot1、Aot2…音声出力端子、Vot…映像出力端子