JP4529015B2 - 金属結合タンパク質と関連した方法 - Google Patents

金属結合タンパク質と関連した方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4529015B2
JP4529015B2 JP2003526941A JP2003526941A JP4529015B2 JP 4529015 B2 JP4529015 B2 JP 4529015B2 JP 2003526941 A JP2003526941 A JP 2003526941A JP 2003526941 A JP2003526941 A JP 2003526941A JP 4529015 B2 JP4529015 B2 JP 4529015B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal
metal binding
protein
substrate
nucleic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003526941A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005503798A5 (ja
JP2005503798A (ja
Inventor
ロジャー・エイ・エイシー
マイケル・マスティロ
ブレントン・ジー・ハーファーム
Original Assignee
エムジーピー・バイオテクノロジーズ・エルエルシー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by エムジーピー・バイオテクノロジーズ・エルエルシー filed Critical エムジーピー・バイオテクノロジーズ・エルエルシー
Publication of JP2005503798A publication Critical patent/JP2005503798A/ja
Publication of JP2005503798A5 publication Critical patent/JP2005503798A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4529015B2 publication Critical patent/JP4529015B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/43504Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from invertebrates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/005Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from viruses
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2740/00Reverse transcribing RNA viruses
    • C12N2740/00011Details
    • C12N2740/10011Retroviridae
    • C12N2740/16011Human Immunodeficiency Virus, HIV
    • C12N2740/16311Human Immunodeficiency Virus, HIV concerning HIV regulatory proteins
    • C12N2740/16322New viral proteins or individual genes, new structural or functional aspects of known viral proteins or genes
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2333/00Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
    • G01N2333/005Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from viruses
    • G01N2333/08RNA viruses
    • G01N2333/15Retroviridae, e.g. bovine leukaemia virus, feline leukaemia virus, feline leukaemia virus, human T-cell leukaemia-lymphoma virus
    • G01N2333/155Lentiviridae, e.g. visna-maedi virus, equine infectious virus, FIV, SIV
    • G01N2333/16HIV-1, HIV-2
    • G01N2333/163Regulatory proteins, e.g. tat, nef, rev, vif, vpu, vpr, vpt, vpx
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A50/00TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
    • Y02A50/30Against vector-borne diseases, e.g. mosquito-borne, fly-borne, tick-borne or waterborne diseases whose impact is exacerbated by climate change

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)

Description

発明の背景
1.発明の分野:
本発明は、重金属への高い結合アフィニティーを有するユニークな金属結合タンパク質に概して関する。より特別には、本発明は、ユニークな金属結合タンパク質を包含する組成物と、関連した産生の方法、並びに重金属の低下又は回収が所望される場合の使用に向けられる。
2.背景と技術水準
金属回収及び金属救済(remediation)と金属廃棄物の浄化の効率的で安全な方法への関連ニーズは、金属汚染物質によりもたらされるヒトの健康への毒性及び潜在リスク、並びに貴重な重金属の経済価値のために、不断の環境及びビジネス上の関心事となっている。実際、農業、工業、及び他の商業活動からの重金属のような有毒廃棄物の放出が続くにつれて、有効かつ安全で低コストの金属救済法へのニーズが高まっている。米国環境保護局(EPA)による最近の報告書において、金属汚染は、多くの汚染地域で依然として重要な関心事であり、これまでもそうであった(USEPA 作業アサインメント番号011059、1997年3月5日、契約番号68−W5−0055)。さらに、汚染した土壌又は廃棄物質からの金属中毒の結果としてヒトの健康への危険だけでなく、野生生物、家畜、植物への損害に関する数多くの公表報告がある(「鉛汚染土壌の公衆衛生に及ぼす影響(Impact of Lead-Contaminated Soil on Public Health)」Xintaras, C. 著、1992年5月、http://www.atsdr.cdc.gov/cxlead.html)。例えば、ヒトへの主要な懸念は、鉛(Pb)汚染により創出される健康被害である。鉛への曝露は、食物、水、土壌からの鉛の摂取、又は粉塵の吸入といった多様な方法を介して起こり得る。鉛中毒はきわめて危険で潜在的に致命的であり、発作、精神遅滞、及び行動障害を含む症状を伴う。故に、金属救済の方法は、我々の環境の保護と疾患からの保護の両方できわめて貴重である。
様々な廃棄物、放棄物、又は再利用の努力から回収された金属は、環境汚染制御を強めることだけでなく莫大な経済価値を提供する。金属回収は、廃棄電子部品(トランジスタ、チップ、変圧器、母線、カソード、及びマイクロプロセッサー、集積コンピュータ回路板、PCB、マザーボード)のような数多くの様々な供給源に由来し得る。金属救済が存在しない産業廃棄物の危険な処理に関連したコストは、莫大である。故に、金属の再利用、又はスクラップや放棄された金属含有物から抽出した金属の再使用は、専門化した処理及び取扱いの努力を必要とする金属廃棄物の量及びコストを低下させるだけでなく、再生された金属はまた再販売又は再使用されて付加的な経済価値を提供する場合がある。
金属汚染を処理する先行技術の営為は、これまで、主に物理的に除去してから汚染物質を処理することからなる浄化技術を利用してきた。これらの方法論は、労働集約的で非効率であるだけでなく、大型又はバルク量の汚染廃棄物の除去及び処理に関連した高い経費を伴う。化学物質又は有機物質のような他のタイプの廃棄物と違い、金属は直に破壊又は変換することができないので、金属汚染は救済することが特に困難である。例えば、金属汚染土壌を救済する現行の技術は、主に埋立て処理するか又は土壌を掘って金属汚染物質を物理的又は化学的に分離することからなる。汚染地下水の処理は、通常、フラッシング、濾過、又は化学抽出して汚染金属を除去することを伴う。結果として、土壌又は地下水の救済コストは高く、各地域あたりの予測5ヵ年コストは数億〜数十億ドルに及ぶ(米国環境保護局、1993年)。
さらに、重金属汚染からのヒト及び環境へのリスクは、土壌や地下水にとどまらず、工業廃棄物、汚泥廃棄物、排水、放射性核種(研究及び医療廃棄物からのような)、及び採鉱廃棄物のような他の供給源も含まれる。除去すべき金属汚染物質の物理及び化学形態、並びに特別な救済アプローチの費用便益分析に依存して、特別な地域にどの既存技術がより適しているかはまちまちである。しかしながら、これまでの浄化技術の高コストにより、さほど高額でなくて安全で有効な重金属回収及び浄化技術への大きなニーズがあることに変わりはない。
重金属汚染廃棄物の回収又は救済に現在利用可能ないくつかの技術がある。一般に、これらの技術は、以下の一般アプローチの1以上を組み合わせる:単離、固定化、毒性低下、物理的分離、又は金属汚染物の廃棄製品からの抽出。単離技術は、汚染した地域若しくは領域を封じ込めて有毒な金属廃棄物のさらなる拡散を防ぐ試みにおいて、封じ込め戦略を利用する。固定化技術は、金属汚染物質の移動を抑制し、基底層の土壌(金属汚染物質を含有する)を表土から分離するための不浸透バリアーを提供する系が含まれる。また、非汚染地下水の汚染地域を通過する流れを制限する物理バリアーも使用される。さらに、化学若しくは生物学の技術を概して使用して金属汚染物質の毒性又は移動を減らす毒性低減方法もある。毒性低減方法に含まれるのは生物学的処理技術であり、これはより新しい生物技術アプローチに適用される。
金属救済は生物学的処理技術の比較的新しい応用であり、生物蓄積、植物救済、植物抽出、及び根濾過(rhizofiltration)が含まれる。これらの生物学的処理は、いずれも特定の植物及び微生物を使用して、汚染金属イオンの吸着、吸収、又は濃縮により金属を救済する。例えば、生物蓄積では、植物又は微生物が汚染環境から金属を活発に取り込んで蓄積する。
植物救済では、金属イオンを土壌から選択的に除去する能力を発達させた特定の植物を使用する。こうした植物には、高山 pennycrass 植物のような「高蓄積体(hyperaccumulator)」種が含まれ、これは毒性症状を示す前に、ほとんどの植物より260倍高いレベルで金属を蓄積することが可能である。しかしながら、ほとんどの高蓄積体植物は、非常に生育が遅く、特定の生育要件を有する。これら生育要件の中には、金属の回収若しくは救済が必要とされる地域又は状況においてこれらの植物を使用することに向かないものがある。さらに、回収若しくは救済の使用に知られているか又は利用可能な植物種はほとんどない。故に、環境及び廃棄物の地域で永続的で高発生率の金属汚染があるとすれば(特別融資用地(Superfund Sites)の約75%は、汚染の形態として金属イオンを含有する、米国環境保護局、1996年)、重金属を汚染源から除去するのにより有効な方法及びアプローチが依然として必要とされる。
より最近、上記のニーズを満たす試みにおいて、バイオテクノロジーのアプローチが金属の回収及び救済への代替戦略として利用されてきた。これらのバイオテクノロジーアプローチに含まれるのは、メタロチオネイン遺伝子を発現するように操作されたタバコ植物の使用である(Maiti et al., 1991)。メタロチオネイン(MT)は、動物界全体に普遍的に分布している小さな金属結合タンパク質である。それらは高い金属結合アフィニティーを有し、フリー金属イオンの細胞内レベルを制御するのに重要であると考えられている。しかしながら、その機能や生物学上の目的については他にほとんどわかっていない。MTは、1957年にウマの組織において初めて発見された。それ以来、それらは、真菌及び甲殻動物からマウス及びヒトに及ぶ種において確認されてきた。
MTの構造特徴には、高いシステイン組成と芳香族アミノ酸の不足が含まれる。システイン残基は、このタンパク質の高アフィニティー金属イオン結合能力の原因である。一般に、先行技術のMTは、高い度合いのアミノ酸配列類似性を有する。しかしながら、このタンパク質やこの先行技術タンパク質をコードする既知の遺伝子配列は、研究の場か又は疾患治療の方法論のいずれかで主に使用されてきた。
従って、本発明の目的の1つは、新規の金属結合タンパク質とその産生に関連した方法を提供することである。本技術は、環境廃棄物や他の重金属汚染材料から重金属を効率的、費用効果的、安全かつ簡略に除去することを可能にするだろう。
発明の要約
先行技術のメタロチオネイン(MT)タンパク質は、一般に約60〜68アミノ酸残基のサイズであり、異なる種の間で高い度合いの配列保存性を有する。この高い度合いの配列保存性及び類似性はこのMT遺伝子の発見の容易さに大いに貢献したが、本発明の新規金属結合タンパク質は配列が実質的に異なるが故に、入手するのがずっと困難で、より多くの忍耐を必要とした。
既知の先行技術のMTと異なり、ブラインシュリンプ(brine shrimp)(アルテミア)由来のMTは、ずっとサイズが小さく(約48アミノ酸残基)、明瞭にユニークなアミノ酸及びDNAの配列を有する。先行技術のMTからの配列におけるこれらの分岐性の結果として、本発明に先立って、本発明の新規金属結合タンパク質は入手するのがきわめて困難で、これらの新規金属結合タンパク質をコードする核酸配列は知られていなかった。本発明の新規金属結合タンパク質は、高い能力と高アフィニティー金属結合が可能である。このことにより、それらは、汚染制御、金属再利用、金属採掘と他の金属回収及び金属救済技術における使用に特に適したものになる。
上記と他の目的は、重金属の様々な発生源からの効率的で信頼し得る封鎖をもたらす、本発明の組成物及び方法により達成される。本発明の新規金属結合タンパク質は、金属救済、金属再利用、金属採掘、又は1以上の重金属の結合が所望される他のタイプの方法といった目的のために容易に発現及び産生することができる。
本発明の教示によれば、新規な金属結合タンパク質が提供される。本発明には、ブラインシュリンプ(アルテミア)由来の少なくとも1つの金属結合タンパク質配列に類似したアミノ酸配列を有する、少なくとも1つの実質的に精製された金属結合タンパク質が含まれる。実質的に精製された金属結合タンパク質は:
Figure 0004529015
[配列番号4]
のようなアミノ酸配列と、配列番号2又は配列番号4の1以上の保存性(conservative)アミノ酸置換を取り込む配列を包含することができる。本発明を金属回収及び金属救済の文脈で今後論じるが、本発明は、重金属の除去、回収、又は単に結合が所望される、多くの他の使用にも容易に適用可能であることに留意すべきである。
本発明の金属結合タンパク質には、多数の異性型を有する金属結合タンパク質のファミリーも含まれる。従って、金属結合タンパク質のファミリーには、少なくとも5つの金属結合タンパク質の異性型が含まれる。これら金属結合タンパク質異性体のいずれか及びすべてが重金属の除去又は回収における使用に適している。本発明の「異性体」は、それらを金属結合タンパク質として分類する必須の構造特徴を有する。これらの特徴には、その高システイン含量が含まれ、それによりその金属結合能力が与えられる。故に、本発明の金属結合タンパク質は、その異性型も含め、金属救済、金属再利用、金属採掘、又は金属結合が関わる他のタイプの方法のような目的のために発現され、容易に産生することができる。
本発明の新規金属結合タンパク質はまた、本発明の方法におけるその使用をさらに高め、それらを先行技術からさらに識別させる特徴も有する。これらの有利な特徴により、本発明の新規金属結合タンパク質とその関連方法は、多種多様な金属回収及び金属救済の場において特に有用になる。例えば、金属結合タンパク質は、中等度の温度〜高温の条件下のような条件の範囲の下で重金属結合が可能である。金属結合活性は、約4℃〜約100℃で起こる。本発明の金属結合タンパク質が実践される特別な応用又は操作に依存して、特別な温度範囲が好ましい場合がある。故に、本発明によれば、好適な温度の範囲には、約4℃〜約100℃ならどこでも含まれる。いくつかの先行技術の方法論とは不適合であるこの温度範囲の条件により、我々の実質的に精製された金属結合タンパク質は、金属回収、金属救済、又は重金属結合を必要とする他の方法における使用にとってより汎用的で好ましくなる。さらに、本発明の金属結合タンパク質は、多様な化学条件において金属へ結合することができる。例えば、金属結合活性は、約pH4.0〜約10.0で起こる。結合した金属イオンは、pHを約1.0へ低下させることによって、本発明の金属結合タンパク質から解離させるか又は除去することができる。例示の方法は、例えばジチオスレイトール(DTT)のような還元剤の存在下でpHを約7.0へゆっくりと高めることを含む。これにより金属結合タンパク質の金属結合活性が回復するので、金属結合タンパク質を、所望されるならば、再使用することができる。
さらに本発明の教示によれば、金属結合タンパク質をコードする単離核酸が提供される。これらの単離核酸は、ブラインシュリンプ(アルテミア)由来の少なくとも1つの金属結合タンパク質配列に類似したアミノ酸配列を有する金属結合タンパク質をコードする。本発明の単離核酸は:
Figure 0004529015
[配列番号1]
のようなDNA配列を包含することができる。
あるいは、本発明の単離核酸には、機能的な金属結合タンパク質の翻訳を可能にするのに十分である最小のDNA配列が含まれる場合がある。本発明の機能的な金属結合タンパク質をコードするDNA配列は、完全なネーティブの金属結合タンパク質遺伝子配列を含む必要はないが、重金属への結合を与える配列番号1の部分若しくは領域だけであり得る。例えば、本発明には:
Figure 0004529015
[配列番号3]
を含んでなるDNA配列を包含することができる。
さらに、本発明にはまた、配列番号1の配列を有するDNA分子、又は配列番号1のヌクレオチド残基1〜66の配列を有するDNA分子に対して少なくとも80%以上の配列同一性を有するDNAが含まれる。
本発明の単離核酸にはまた、開示される金属結合タンパク質の異性型若しくは代替型のいくらか及び全部をコードする核酸も含まれる。さらに、本発明の単離核酸には、MT異性体の全体コード配列を含む必要がないが、例えば、本発明の金属結合タンパク質異性体の機能的又は金属結合領域のような、MT異性体をコードするコード配列のドメイン若しくは部分をコードする核酸配列が含まれる場合がある。
さらに本発明の教示によれば、新規金属結合タンパク質は、そのままの(naked)組成分として利用してよいか、又は本明細書に開示されるような金属回収、金属救済、又は金属結合の方法において金属結合タンパク質の分散、取扱い、包装、又は機能のいずれかを促進する、支持体、基質、又は、他の搬送系と結合して提供してもよい。故に、本発明のどの金属結合タンパク質も、金属を含有する流体(fluid)が接触する膜又はフィルターのような支持体へ連結させてよい。
本発明は、金属回収、金属救済、又は金属再利用の処理及び方法での使用に特によく適している。これらの方法には、少なくとも1つの重金属のある濃度を有する基質若しくは材料と、ブラインシュリンプ(アルテミア)由来の少なくとも1つの金属結合タンパク質配列に類似したアミノ酸配列を有する本発明の金属結合タンパク質を接触させて、この金属を金属結合タンパク質へ結合させること;及び、次いで、結合した金属を基質若しくは材料から分離することが含まれる。
例えば、本発明の方法は、少なくとも1つの重金属のある濃度を有する物質の処理と結びつけて有用である。当業者により理解されるように、こうした重金属含有物質は、ある濃度の金属を含有する、地下水、飲料水、汚染土壌、廃棄物、等のような環境若しくは産業上のあらゆる物質であってよい。同様に、本発明の方法は、除去することが望まれる金属を含有する産業若しくは都市廃棄物を処理するのにも等しく有用である。この広い有用性により、本発明の組成物と関連した方法は、多種多様な環境において特に有用になる。
さらに本発明の新たな教示によれば、本発明の新規金属結合タンパク質を産生する発現系が提供される。開示される発現系により産生されるこれらの新規金属結合タンパク質には、先に論じたように、ブラインシュリンプ(アルテミア)由来の少なくとも1つの結合タンパク質配列に類似したアミノ酸配列を有する金属結合タンパク質が含まれる。これらの発現系には、より大規模な商業若しくは工業プラント、並びにより小規模な地域特定の応用において機能し得るこれら組成物の生産若しくは製造用のシステムが含まれる。本発明の教示にまた含まれるのは、修飾された生物及び宿主細胞のような、生きた、又は生きている産生体(production entities)の発現系である。これらには、トランスジェニック植物、トランスジェニック動物及び細菌と、本発明の新規金属結合タンパク質を産生するように遺伝子工学的に処理された他の修飾生物が含まれる。
従って、本発明は、既知の先行技術の金属結合タンパク質とは異なるユニークな特性及び配列を有する、ユニークで比較的小さな金属結合タンパク質を提供する。さらに、本発明の新規金属結合タンパク質は、様々な条件において重金属への高い結合アフィニティーを保持するので、ある基質、又は金属を含有するか又は金属で汚染されたあらゆる源からの重金属の除去若しくは回収が所望される状況においてそれらは特に有用になる。本発明の新規金属結合タンパク質とその関連方法は、多種多様な基質からの重金属の効率的、費用効果的で安全な除去及び回収をもたらす。
以下の詳細な説明は、本発明のさらに可能な開示を提供し、当業者に対してその追加の特徴及び利点を明らかにする。
発明を実施するための形態
好ましい態様の詳細な説明
ヒト、齧歯動物、細菌、カニ、ニワトリ、等のような様々な種より単離された既知の金属結合タンパク質(MT)は、類似のサイズ(約6.0〜6.8kDa)、高いアミノ酸配列保存性、及びタンパク質の全アミノ酸組成中の高比率のシステイン残基のような非常に類似した構造特徴を有することが知られている。亜鉛、銅、カドミウム、水銀、コバルト、鉛、ニッケル、白金、銀、及び金のような重金属へのこのタンパク質の結合アフィニティーを説明するのは、これらの既知MTのシステイン組成である。
本発明の新規金属結合タンパク質は、本発明のタンパク質がユニークな異なるアミノ酸配列及びDNA配列を有するので、他のすべての既知MTとは異なる。さらに、本発明のタンパク質は、他の種由来の既知MTに比較したとき、サイズがずっと小さい。しかしながら、これらの違いにかかわらず、本発明のタンパク質は、予想外に高いアフィニティーで金属へ結合する能力を保持する。また、この類稀な配列分岐性により、本発明の新規金属結合タンパク質は、先行技術のMTに比較して、単離して特性決定することがずっと難しい。例えば、本発明の新規金属結合タンパク質は、産業、都市、及び環境の廃棄物からの重金属の効率的で費用効果的な除去に特に有用である。上記金属結合タンパク質の金属救済への使用は、汚染制御に特に価値があり、地下水、汚染土壌、飲料水、又は重金属汚染を有するあらゆる材料からの重金属の除去に特に適用可能である。
あるいは、本発明の新規金属結合タンパク質はまた、金属、特に貴金属の回収に大変有用である。例えば、本発明の金属結合タンパク質は、金、白金、及び銀のような貴金属の単離及び除去の金属採掘法に使用することができる。そのようにすれば、選鉱からの金属精製の最終段階において水銀のような他の有毒金属を使用する必要がなくなる。上記と同じ新規技術は、産業若しくは都市の廃棄物からそうした金属を回収するために利用してよい。使い捨て部品や他の電子部品の使用が高まるにつれて、そうした廃棄物の供給源は、そうした金属でますます一杯になり、回収を価値のある営為とする。
どの状況においても、本明細書に提供される上記タンパク質のより小さいサイズと、ユニークに特定の配列情報により、本発明の新規金属結合タンパク質は、金属回収、金属採掘、金属再利用、金属救済、汚染制御、又は金属封鎖を含むあらゆる方法における使用のために、本明細書に開示されるように天然の供給源から容易かつ効率的に単離するか、又は合成的に生成することができる。故に、本発明の新規金属結合タンパク質と関連した方法は、金属結合の側面を有するあらゆる方法における使用への汎用的で、容易に産生され、効率的で信頼し得る資源を提供する。
本発明の新規金属結合タンパク質は、当初、ブラインシュリンプ(アルテミア)より単離された。それらは、「異性体」と呼ばれる金属結合タンパク質のファミリーである。これらタンパク質のユニークなアミノ酸組成の解析により、それぞれのアイソフォームが本質的に同等であることが示された。本発明の教示によれば、少なくとも5つの個別アイソフォームが同定された。高い度合いの配列相同性若しくは類似性を共有する他の生物由来のMTと異なり、本発明の新規金属結合タンパク質は、予想外に異なる構造特性を有するが、相互に高い度合いの配列相同性を保有する。本発明のこれらタンパク質のこれらの独特な配列特性は、それらのより早期の単離及び特性決定を妨げた。
先行技術の教示とMT配列情報に基づいた慣用のアプローチを使用してブラインシュリンプMTをコードする遺伝子を単離する、数多くの不成功な試みの後で、以下の技術を利用して本発明の新規な金属結合タンパク質をコードする核酸配列を提供した。はじめに、ブラインシュリンプ(アルテミア)からの金属結合タンパク質の試料を単離して精製した。この金属結合タンパク質含有試料についてN末端アミノ酸配列解析を実施した。このアミノ酸配列解析は、ウマ及びヒトのMTと比較したときに標的ブラインシュリンプ(アルテミア)金属結合タンパク質の最初の6つのシステイン残基の位置が保存されていることを示し、このタンパク質の金属結合機能におけるこれらのアミノ酸残基の重要性を示した。
このN末端アミノ酸配列情報を使用して、当該技術分野において知られているように、このN末端アミノ酸配列に対応するオリゴヌクレオチドプライマーを構築した。これらのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、ブラインシュリンプ(アルテミア)由来の標的金属結合タンパク質の少なくとも1つをコードするMT遺伝子配列の潜在的な候補物をPCR増幅した。製造業者のプロトコールを使用して、QiaPrepスピンカラム(Qiagen社)を使用してPCR産物を精製してTAクローニングベクター、CR2.1(InVitrogen)へクローニングした。この組換えベクターで電気反応性(electrocompetent)E. coli(InVitrogenからのSure Shot細胞)を形質転換し、アンピシリン(100μg/mL)及び1% グルコースを含有するLB寒天プレートへプレート培養した。このプレートを37℃に一晩置いた。個別コロニーを摘出し、アンピシリンと1%グルコースを補充した5mlのLBブロスに接種するために使用した。この培養物をロータリーインキュベーターにおいて37℃で一晩インキュベートした。製造業者(Qiagen)のプロトコール通りにQiaPrepスピンカラムを使用して、2mlの細胞懸濁液よりプラスミドを単離した。次いで、M13普遍フォワード及びリバースプライマーを使用して、Li Cor 4200Lでこのプラスミドを配列決定した。金属結合タンパク質をコードする配列であることを証明して決定したならば、ブラインシュリンプMT遺伝子を細菌発現ベクター、pTMZへサブクローニングした。同定したMTコード配列に基づいて、本発明の第一の新規金属結合タンパク質のアミノ酸配列を決定した。図1は、本発明の例示の金属結合タンパク質を利用する例示の溶離プロフィールを詳述する。このプロフィールは、以下の例示プロトコールを利用して入手した。
E. coli(ER2566菌株)を、MT遺伝子配列[配列番号1]を(pTMZ)に含有するプラスミド発現ベクターで形質転換した。1%グルコースを含有するLBブロスにおいて37℃でA600が0.6になるまで細菌を増殖させた。この細菌細胞を採取し、0.1%グルコースを含有するLBブロスに再懸濁し、同じ温度で45分間インキュベートした。イソプロピルb−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を0.1mMの最終濃度になるまで加えた。この細菌細胞を約16時間インキュベートした。非形質転換細菌を対照として使用した。細胞を遠心分離により採取し、10mM Tris,pH8.0,5mM DTT,及び0.5mM PMSFにおいて音波処理した。このホモジェネートを4℃で1時間、150,000gで遠心分離した。上清を採取し、2μCiの109Cdとともに室温でインキュベートした。次いで、この放射標識した上清をG−50分子排除カラムにかけ、50mM Tris,pH8.0で溶出させた。5mlの分画を採取し、放射活性(CPM)と亜鉛(PPB)についてアッセイしたが、亜鉛は、形質転換細菌により発現される外因性金属結合タンパク質と会合する内因性金属である。カラムから溶出する各分画についてICPMS(誘電共役プラズマ質量分析法)によりZnをアッセイした。本発明の教示により提供されて開示されるように、機能的な金属結合タンパク質をコードする、[配列番号3]のようなDNA配列を利用してもよい。
故に、本発明は、ブラインシュリンプ(アルテミア)由来の少なくとも1つの金属結合タンパク質配列に類似したアミノ酸配列を有する、実質的に精製された金属結合タンパク質を提供する。本明細書に使用される用語「実質的に精製された」は、その本来の環境から除去され、単離されるか又は分離されて、それが本来結合している他の成分から少なくとも60%フリー、好ましくは75%フリー、90%以上フリーである、核酸、アミノ酸、又はタンパク質を意味する。
本発明の教示による実質的に精製された金属結合タンパク質は:
Figure 0004529015
[配列番号2]
に類似したアミノ酸配列を有する。本発明の範囲内にはまた、タンパク質の金属結合アフィニティーを保存する、上記配列番号2の配列の変異体である、実質的に精製された金属結合タンパク質もある。特に、本発明の範囲内の保存性アミノ酸置換は、以下のいずれを含んでもよい:(1)イソロイシンのロイシン若しくはバリンでの置換、ロイシンのイソロイシンでの置換、そしてバリンのロイシン若しくはイソロイシンでの置換;(2)アスパラギン酸のグルタミン酸での置換とグルタミン酸のアスパラギン酸での置換;(3)グルタミンのアスパラギンでの置換とアスパラギンのグルタミンでの置換;並びに(4)セリンのスレオニンでの置換とスレオニンのセリンでの置換。
本明細書に使用される「保存性アミノ酸置換」は、類似した構造若しくは化学特性を有するアミノ酸を置換することによるアミノ酸配列の改変を意味する。当業者は、本発明のタンパク質の金属結合特性を変えずに、どのアミノ酸残基を置換、挿入、又は改変することができるかを決定することができる。
特別なアミノ酸の環境によっては、他の置換も保守的とみなされる場合がある。例えば、グリシン(G)とアラニン(A)は、アラニンとバリン(V)のように、相互交換可能であり得る。相対的に疎水性であるメチオニン(M)は、しばしばロイシン及びイソロイシンと、時にはバリンと相互交換することができる。リジン(K)とアルギニン(R)は、アミノ酸残基の重要な特徴がその電荷であり、これら2つのアミノ酸残基の異なるpKとそれらの異なるサイズが重要でない位置においては、交換可能である。当該技術分野で知られるように、特別な環境においてはなお他の変化が「保存性」とみなされる場合がある。
例えば、タンパク質の表面のアミノ酸が、別のタンパク質サブユニットやそのタンパク質により結合するリガンドのような、他の分子との水素結合又は塩架橋相互作用に関与しない場合、グルタミン酸及びアスパラギン酸のような陰電荷アミノ酸は、リジン又はアルギニンのような陽電荷アミノ酸で置き換えることができて、逆もまた可能である。アルギニンやリジンより弱い塩基性であり、中性pHで一部荷電するヒスチジン(H)も、これらより塩基性のアミノ酸に置き換えてよい場合がある。さらに、アミドのグルタミン(Q)及びアスパラギン(N)は、そのカルボン酸相同体のグルタミン酸及びアスパラギン酸に置き換えてよい場合がある。
本発明の新規金属結合タンパク質とその関連した産生及び使用の方法は、多数の異性型を有する金属結合タンパク質のファミリーに関する。結果として、本発明には、重金属の除去又は回収における使用に適した少なくとも5つの異性型の金属結合タンパク質が含まれる。異性体は、同じ化学組成を有するが、構造形態において異なる2以上の化合物の1つである。本発明の「異性体」は、それらを金属結合タンパク質として分類する必須の構造特徴を有する。これらの特徴にはその高いシステイン含量が含まれ、それがその金属結合能力をもたらす。異性体は2以上のアミノ酸残基により異なり、個別異性体について異なるpIをもたらす。このpIの違いにより、アイソフォームの容易な分離及び特性決定が可能になる。故に、本発明の金属結合タンパク質は、効率的かつ容易に発現させて産生することができる。
その金属結合特性だけでなく、本発明の金属結合タンパク質は、多種多様な金属回収及び金属救済の場においてそれらを特に有用にする特徴も明示する。例えば、これらの新規な金属結合タンパク質は、中温〜高温の条件下のようなある範囲の条件下での重金属結合が可能である。新規金属結合タンパク質は、室温で重金属結合することが可能であり、故に多くの応用に特に理想的である。新規金属結合タンパク質はまた、例えば、約4℃〜約100℃の温度範囲のような広い温度範囲内での重金属結合も可能である。当業者は、金属結合タンパク質を利用することが可能である特別な応用又は操作に依存して、ある特別な温度範囲が実践的若しくは経済的な理由で好ましい場合があることを理解されよう。例えば、金属結合タンパク質を(利用可能なコスト内で得ることができる特別な温度範囲が指定される)環境汚染の「現場で」又は場所で使用することは、より実践的であり得る。一方、本発明の金属結合タンパク質の相対的に高い温度条件下での使用により、ある基質に対するより有効な金属抽出が達成される場合がある。故に、本発明の教示によれば、本発明を実施するのに適した温度の範囲には、約4℃〜約100℃の範囲が含まれる。この温度範囲の条件により、本発明の金属結合タンパク質はより汎用的で有用になる。
さらに本発明の教示によれば、金属結合タンパク質は、そのままの組成分としてか、又は金属回収、金属救済、又は金属結合の方法において金属結合タンパク質の分散、取扱い、包装、又は機能のいずれかを促進する、支持体又は分散手段と一緒に利用もよい。こうした金属結合タンパク質は、有毒であるか又は他の潜在的に危険なタイプの化学品へ使用者を曝露する、化学抽出法のような他の方法論に比較して、より容易かつ安全に使用することができるので、金属回収、金属救済、及び金属結合の方法において特に有用である。
新規金属結合タンパク質の取扱い又は分散を促進する多様な支持体が使用可能であり、それには固形支持体、マトリックス、膜、半透膜、粉体、デバイス、装置、液体、製剤、及び他の材料が含まれる。新規金属結合タンパク質の追加の特徴が、それらが可逆的な重金属結合も可能であることに注目すべきである。例えば、結合した金属は、酸性条件を使用するか、又は瞬時の交換反応若しくは無機キレート剤により、金属結合タンパク質から溶出されるか又は引き離すことができる。例えば、放射活性Cdと金属結合タンパク質のインキュベーションの間に、109Cd金属は、金属結合タンパク質へ結合する内因性の金属に交換される。約pH1.0で、この金属はこのタンパク質より放出される。溶液のpHを約8.0まで高めると、このタンパク質の金属結合活性が再生される。故に、新規金属結合タンパク質の可逆的な結合特性により、本発明はまた、実質的に精製された金属結合タンパク質を含んでなる組成物、製剤、粉体、液体、デバイス、又は装置を提供し、これは一回以上利用するか、又は再使用することができる。
本発明の新規金属結合タンパク質の遺伝子工学に関する例示の考察に注目すると、ブラインシュリンプ(アルテミア)由来の金属結合タンパク質のアイソフォームの1つのヌクレオチド配列を、上記に論じたように同定した。一般に、この単離方法は:(1)ブラインシュリンプ(アルテミア)由来の核酸を含有する1以上の試料の調製;(2)アルテミアからの全RNAの単離;(3)全RNAからのcDNAの調製;(4)金属結合タンパク質遺伝子配列の増幅;及び(5)ブラインシュリンプ(アルテミア)由来の金属結合タンパク質遺伝子(MT)としての単離核酸配列のクローニング、配列決定、及び検証を含む。
上記の手順より、金属結合タンパク質遺伝子、MTの1つについて全コード配列を得た。この配列は:
Figure 0004529015
[配列番号1]
である。
故に、本発明はまた、ブラインシュリンプ(アルテミア)由来の少なくとも1つの金属結合タンパク質配列に類似したアミノ酸配列を有する、実質的に精製された金属結合タンパク質をコードする1以上の核酸配列を提供する。この核酸配列には、配列番号1の配列;配列番号1に相補的な配列;又はストリンジェント条件下で約15%以下のミスマッチがある、配列番号1に相補的な配列が含まれる。好ましくは、ミスマッチの度合いは約5%以下であり;最も好ましくは、ミスマッチは約2%以下である。
あるいは、単離核酸は、機能的な金属結合タンパク質の翻訳を可能にするのに十分な最小のDNA配列を含む場合がある。機能的な金属結合タンパク質は、全体のネーティブな金属結合タンパク質である必要はなく、重金属へ結合することが可能なタンパク質をコードする配列番号1の部分若しくは領域だけであってもよい。故に、本発明にはまた、配列番号1のヌクレオチド残基1〜66の配列を有するDNA分子に対して少なくとも80%の配列同一性を有するDNAを含む、単離核酸も含まれる。
本発明内にまたあるのは、本発明の新規金属結合タンパク質のいずれか1つをコードする核酸配列である。こうした新規金属結合タンパク質は、約5,800ダルトンの分子量を有する場合があり、亜鉛、銅、カドミウム、水銀、コバルト、鉛、ニッケル、白金、銀、及び金、等のような重金属イオンへ高いアフィニティーで結合することができる。新規金属結合タンパク質には:配列番号2と、その1以上の保存性アミノ酸置換を取り込む配列からなる群より選択されるアミノ酸配列が含まれ、ここで保存性アミノ酸置換は以下のいずれかである:(1)イソロイシン、ロイシン、及びバリンのいずれかをこれらアミノ酸の他のいずれかに;(2)アスパラギン酸をグルタミン酸に、そしてその逆;(3)グルタミンをアスパラギンに、そしてその逆;及び(4)セリンをスレオニンに、そしてその逆。標準的な遺伝暗号を使用して代わりの核酸配列を決定することが可能であり;代わりのコドンは本配列中の各アミノ酸について容易に決定可能である。
注目すべきことに、本明細書に提供される単離核酸は、新規な金属結合タンパク質を産生するか又は発現するために使用可能であるが、それらはまた、本発明の新規金属結合タンパク質をコードする追加の金属結合タンパク質遺伝子の単離及び同定にも特に有用である。例えば、この戦略と、本明細書に提供される例示の方法及び核酸配列を使用して、金属結合タンパク質異性体のいずれかをコードするDNA配列を入手することができる。故に、本発明には、本発明の金属結合タンパク質の異性若しくは代替形態のいくらか及びすべてをコードする核酸が含まれる。さらに、単離核酸は、MT異性体の全コード配列を含む必要はないが、それには、本発明の金属結合タンパク質異性体の機能的若しくは金属結合領域のような、MT異性体をコードするコード配列のドメイン若しくは部分をコードする核酸配列が含まれる。
本発明に記載の核酸配列の構築及び単離は、固相ヌクレオチド合成、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術、DNAのRNAからの逆転写、DNAポリメラーゼ及びリガーゼの使用、並びに他の技術を含む、当該技術分野でよく知られている技術により達成することができる。本発明の金属結合タンパク質又は金属結合タンパク質の部分をコードするアミノ酸配列を使用して、当該技術分多で知られている遺伝暗号に従って、対応する核酸配列を構築することができる。
本発明の別の側面は、本発明に記載の核酸配列とそれに機能的に連結した、その核酸配列の発現若しくは調節を制御する少なくとも1つの制御配列を含んでなるベクターである。こうした制御配列は当該技術分野でよく知られていて、オペレーター、プロモーター、エンハンサー、プロモーター近傍要素、及び複製起点が含まれる。クローニング、ライゲーション、ギャップ充填、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法の使用、固体状態のオリゴヌクレオチド合成、並びに他の技術を含むベクター構築の技術はいずれも当該技術分野でよく知られていて、ここで詳しく記載するに及ばない。本発明のベクターは、修飾された生物、宿主細胞、又は他のタイプの発現系のいずれかにより新規金属結合タンパク質を産生するのに特に有用である。
故に、本発明の別の側面は、本発明に記載のベクターでトランスフェクトされた宿主細胞又は修飾生物である。使用することができる宿主細胞には、細菌、植物、藻類、シュリンプ、魚、又は本発明の新規な金属結合タンパク質を産生するための遺伝子修飾に適したあらゆる生物がある。
トランスフェクションは、形質転換としても知られていて、使用する宿主細胞若しくは生物に適切な標準技術を使用して実施される。こうした技術は、例えば、Sambrook et al., 同上、に記載されている。
以下、本発明の新規金属結合タンパク質の使用に注目する。これらには、金属救済、汚染制御、金属再利用、又は金属採鉱のような、金属結合タンパク質の汚染制御応用が含まれる。例えば、新規金属結合タンパク質は、環境物質中の重金属の濃度を低下させるために使用することができる。この物質は、地下水、汚泥、廃水、等のような液体であってよい。さらに、新規金属結合タンパク質を、汚染制御に使用される1以上の組成物若しくはデバイスへ取り込ませてよい。例えば、新規金属結合タンパク質は、綿状物若しくは粉末の形態で現場に適用しても、又は処理工場において膜濾過や汚染基質からの重金属の除去に使用される他のタイプの固形支持体デバイスの一部として使用してもよい。
上記の金属結合方法に使用される新規金属結合タンパク質は、その天然源から精製される産物として提供されるか、又は生物工学技術により産生することができる。例えば、新規金属結合タンパク質は、トランスジェニック生物又は修飾生物により産生することができる。修飾生物には、トランスジェニック動物、細菌、又は植物が含まれる。例えば、修飾植物は、本発明の1以上の新規金属結合タンパク質を発現するようにそのゲノムが遺伝的に改変された、トランスジェニックタバコ植物であり得る。修飾生物にはまた、金属救済が所望される汚染地域でか又はその内部で生育させることが可能である植物又はバイオマスが含まれる場合がある。修飾生物による金属汚染物質の抽出はまた、汚染地域から有毒金属を濃縮する。これは、重金属をより少ない量へ変換する追加の利点を提供し、並びに、処理又はさらなる加工のためにより容易かつ安全に取り扱われる最終生成物を提供する。
重金属の基質中の濃度を低下させる方法には、重金属を有する基質と本発明の新規な金属結合タンパク質を接触させることが含まれる。例えば、ブラインシュリンプ(アルテミア)由来の少なくとも1つの金属結合タンパク質配列に類似したアミノ酸配列を有する金属結合タンパク質を、ある濃度の少なくとも1つの重金属を有する物質と接触させて、この重金属を金属結合タンパク質へ結合させることができる。引き続き、この結合した重金属を基質から分離し、元の基質中の重金属の濃度を低下させることができる。
先に述べたように、本発明の新規金属結合タンパク質の追加の有利な特徴には、酸抽出、無機キレート剤、及び/又は交換反応技術を使用して、結合した重金属を放出するその能力が含まれる。これにより、使用者は、所望されるならば、結合した重金属を新規金属結合タンパク質から溶離させることが可能になる。重金属が本発明の金属結合タンパク質から溶離されたならば、金属結合タンパク質は、金属抽出におけるさらなる使用のために再生(又は再利用)することができる。故に、本発明はまた、新規金属結合タンパク質を含んでなる、再使用可能な組成物、デバイス、及び装置を使用して基質中の重金属の濃度を低下させる方法を提供する。
本発明の金属結合タンパク質は、基質中の金属イオンの濃度を低下させる方法に使用される場合、金属結合タンパク質を使用することができる特別な使用、状況、投与形式、又は環境に適切であるようなやり方で提供することができる。例えば、金属救済又は汚染制御において使用される場合、金属結合タンパク質は、粉末のような支持体へ連結して、例えば、綿状物として使用してよく、金属結合タンパク質を分散する簡便で効率的な手段を提供する。
あるいは、本金属結合タンパク質は、膜、半透膜、フィルター、又は新規金属結合タンパク質の重金属含有基質への十分な曝露を可能にして基質から重金属を結合するか又は封鎖するのに適切な他の手段へ連結して提供してよい。新規金属結合タンパク質を含んでなる膜若しくはフィルターは、化学抽出法において必要とされるようなさらなる浄化を伴わずに、その膜若しくはフィルターを通る通過により汚染水を精製することができるので、地下水又は廃水を処理する特に効率的な手段を提供する。新規金属結合タンパク質を支持体又は支持マトリックスへ連結させることはまた、特に大量スケール又は工業応用に使用されるときに、金属結合タンパク質のより容易な取扱いを提供する。
本発明の金属結合タンパク質の使用は、重金属の除去が所望される方法に限定されず、物質中の重金属の回収若しくは濃縮を達成すべき方法も含まれる場合がある。例えば、新規金属結合タンパク質は、金、白金、及び銀を含む貴金属の回収のように、金属採鉱に使用することができるか、又は放射活性金属を含有する有害廃棄物のように、有害状態にある金属を濃縮するために使用することができる。こうした有害な金属廃棄物は、数多くの研究、商業、又は工業上の使用から生じる場合がある。
放射活性金属を廃棄物から濃縮することにおける新規金属結合タンパク質の使用はまた、処理すべき有害廃棄物の総計若しくは量を低下させる。有害金属廃棄物の量を低下させることはまた、ある個人が被曝する放射活性のレベルを低下させる。例えば、有害重金属を含有する材料を用いて、又はその近くで作業している個人では、ヒトの取扱いが必要とされる放射活性廃棄物の量若しくは容量の減少により、放射活性金属廃棄物への全体被曝量が低下されるだろう。これにより、本発明の新規金属結合タンパク質を金属結合法において使用する追加の有利な側面が提供される。
重金属の物質中の濃度を低下させる方法には、新規金属結合タンパク質を修飾生物において産生することが含まれる。修飾生物には、例えば、トランスジェニック生物又はトランスジェニック宿主が含まれる。例えば、シュリンプ、植物、細菌、又は藻類のような宿主若しくは生物を、当該技術分野でよく知られている分子及び遺伝子工学技術を使用して修飾することができる。例えば、Sambrook et al.,「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」(ニューヨーク:コールドスプリングハーバー・プレス、2001);Ausubel et al.「分子生物学の現代プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」(ウィリーインターサイエンス・パブリッシャーズ、1995);米国商務省/NOAA/NMFS/NWFSC 分子生物学プロトコール(URL:http://research.nwfsc.noaa.gov/protocols.html);又はプロトコール・オンライン(Protocols Online)(URL:www.protocol-online.net/molbio/index.htm)に記載されるこれらの技術を使用して、新規な金属結合タンパク質の発現をもたらすようにそのゲノムが修飾される生物が提供される。本発明の新規金属結合タンパク質には、ブラインシュリンプ(アルテミア)由来の少なくとも1つの金属結合タンパク質に類似したアミノ酸配列を有する金属結合タンパク質が含まれる。修飾生物を作製及び使用して、上記の新規金属結合タンパク質と本明細書に提供される方法に有用な新規金属結合タンパク質を産生することができる。
本発明の新規な金属結合タンパク質を産生する修飾生物には、ブラインシュリンプ(アルテミア)由来の金属結合タンパク質に実質的に類似したアミノ酸配列を有する少なくとも1つの金属結合タンパク質を産生する修飾生物が含まれる。修飾生物にはまた、配列番号2に実質的に類似した配列又はその保存性アミノ酸置換を有する金属結合タンパク質を産生する生物が含まれる。
あるいは、本発明の新規金属結合タンパク質の修飾生物からの産生又は発現は、新規金属結合タンパク質のゲノム発現に限定されず、新規金属結合タンパク質の修飾生物からの後成的(epigenetic)発現も含まれる。修飾生物からの後成的発現を入手するための方法及び技術には、例えば、当該技術分野で知られている、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、プラスミド、及び一過性発現の技術が含まれる。
真核生物由来の遺伝子を取扱う場合、天然の遺伝子は、典型的に、翻訳されない介在配列若しくはイントロンを含有するので、cDNAを使用することが好ましい。あるいは、アミノ酸配列が知られているのなら、ホスホトリエステル若しくは亜リン酸トリエステル法のような標準的な固相オリゴデオキシリボヌクレオチド合成法によって、分取すべきタンパク質をコードする合成遺伝子を構築してよい。合成遺伝子の配列は、それぞれの天然に存在するアミノ酸が1以上のコドンにより特定される遺伝暗号により決定される。さらに、異性体や他の変異体の金属結合タンパク質では、異性体のタンパク質配列のある部分は知られているが、遺伝子又はメッセンジャーRNAが単離されていなければ、遺伝暗号の既知の縮重性に従って、そのアミノ酸配列を使用して、縮重したプローブのセットを構築することができる。クローニングの一般的な側面は、例えば、Sambrook et al., 同上;B. Perbal,「分子クローニングの実践ガイド(A Practical Guide to Molecular Cloning)」(第2版、ジョンウィリー・アンド・サンズ、ニューヨーク、1988);Berger & Kimmel,「分子クローニング技術の手引き(Guide to Molecular Cloning Techniques)」(「酵素学の方法(Methods in Enzymology)」152巻、アカデミックプレス社、サンディアゴ、1987);及び D. V. Goeddel 監修「遺伝子発現技術(Gene Expression Technology)」(「酵素学の方法(Methods in Enzymology)」185巻、アカデミックプレス社、サンディアゴ、1991)に記載されている。
本発明には、本発明の新規金属結合タンパク質を産生する方法が含まれる。例えば、ブラインシュリンプ(アルテミア)由来の少なくとも1つの金属結合タンパク質に類似したアミノ酸配列を有する金属結合タンパク質を産生する方法には、発現系を提供すること、該発現系を使用して新規な金属結合タンパク質を産生すること、並びに、該新規金属結合タンパク質を精製するか又は単離して本発明の金属結合タンパク質を入手することが含まれる。
発現系は、伝統的な製造プラントのような系でよい。例えば、ブラインシュリンプのような生物を増殖させて、本発明の新規金属結合タンパク質をブラインシュリンプの組織から精製するか又は抽出することができる。あるいは、新規金属結合タンパク質を産生することが可能な遺伝子工学処理生物(本明細書に記載のように産生される)を使用するバイオ製造系を使用して、新規金属結合タンパク質を産生してもよい。例えば、金属結合タンパク質発現ベクターを含有する細菌を(特別なニーズに依存して)大量又は小量のスケールで培養することができる。次いで、この細菌ブロスから新規金属結合タンパク質を精製して、金属結合の方法に使用することができる。
故に、本発明の新規な金属結合タンパク質は、金属結合タンパク質をコードする核酸配列の修飾生物又は宿主細胞における発現により産生することができる。こうした核酸配列には、例えば、[配列番号1]のようなMT遺伝子、又はMT遺伝子の断片若しくは機能的金属結合ドメインをコードする配列が含まれる。本発明の金属結合タンパク質をコードする核酸配列若しくは切片の単離は、上記に記載されている。単離したならば、これらの核酸配列を発現ベクターへ取り込ませる。次いで、この発現ベクターを使用して、本発明の新規金属結合タンパク質を産生するための生物を修飾する。発現又は産生は、典型的には、このベクター構築体に関連した様々な制御要素の制御下にある。こうした要素には、プロモーター、オペレーター、エンハンサー、並びに、本発明の新規金属結合タンパク質の産生を調節することを使用者に可能にする、ネガティブ調節要素が含まれる場合がある。クローニングされたタンパク質配列の修飾生物における発現に求められる条件は、当該技術分野でよく知られている。
次いで、発現された金属結合タンパク質を、標準技術を使用して精製する。クローニングされたタンパク質の精製の技術は当該技術分野でよく知られていて、ここでさらに詳述するに及ばない。1つの特に好適な精製の方法は、金属結合タンパク質への固定化抗体を利用するアフィニティークロマトグラフィーである。他のタンパク質精製法には、イオン交換樹脂でのクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、等電点分離法、及びゲル濾過がとりわけ含まれる。あるいは、本発明の金属結合タンパク質は、その発現に続き、試薬(例、硫酸アンモニウム又は硫酸プロタミン、並びに、当該技術分野でよく知られている他の方法)での沈殿のような方法により、修飾生物から精製することができる。
当業者は、以下の非限定的な実施例の考察より、本発明のさらなる理解を得ることができよう。これらの実施例は、本発明の教示に従って、重金属の基質からの除去若しくは回収に有用である例示の金属結合タンパク質のクローニング及び発現を例示する。
これらの実施例は、本発明の原理及び教示の例示であり、本発明の範囲を例示のブラインシュリンプ(アルテミア)金属結合タンパク質だけに限定する意図はないことを断っておく。
実施例1
本発明の教示に従って、以下の例示プロトコールは、本発明の新規金属結合タンパク質の産生、精製、及び解析に有用な方法を例示する。
試料調製
新規金属結合タンパク質の単離における準備工程として、アルテミア・ブラインシュリンプを人工海水(AS)(422.7mM NaCl,7.24mM KCl,22.58mM MgCl・6HO,25,52mM MgSO・7HO,1.33mM CaCl・2HO,及び0.476mM NaHCO)に成育させた。アルテミア嚢胞(2.5g)を、抗生物質補充ASの250mlにおいて、125rpmで回転させながら30℃で48時間インキュベートした。24時間後、光合成アルテミアを採取し、さらに24時間培養してから、布濾過により採取した。このシュリンプを秤量し、すぐに使用しなければ、−80℃に保存した。
次いで、このアルテミアをホモジェナイゼーション緩衝液(HB)(10mM Tris−HCl(pH8.0),0.1mM DTT,0.5mM PMSF,及び10μg/ml ダイズトリプシン阻害剤)においてホモジェナイズし、シュリンプの湿重量1gにつき4mlのHBに再懸濁した。このホモジェネートを、Yamato LH−21ホモジェナイザーに800rpmの設定で3回通し、Miracloth(カルビオケム)に通して濾過し、濾液をSorvall SA−600ローターにおいて14,300rpm、4℃で30分間遠心分離した。上清の頂にある脂質層を真空吸引により除去し、下部の上清層を採取し、Beckman 50.2TIローターにおいて40Krpm、4℃で90分間遠心分離した。再び上部の脂質層を除去し、下部の上清を150Kで再度遠心分離した(150K上清)。次いで、150K上清を直ちに使用するか、又は−80℃に保存した。直ちに使用する場合、この産物を以下のようにゲル濾過へかけた。このゲル濾過試験により、重金属へ結合する新規金属結合タンパク質の能力を証明した。
ゲル濾過試験
150K上清をSorvall SA−600ローターにおいて8,500rpm、4℃で30分間遠心分離した。次いで、生じた上清を、HPLC保証0.45ミクロンLC13アクロディスク(acrodisk)フィルター(Gelman Sciences)に通して濾過した。濾過した150K上清の20mlアリコートを2μlの109Cd(0.066μCi)とともに4℃で20分間インキュベートして金属結合タンパク質を放射標識した。次いで、この試料を、Nで飽和した50mM Tris−HCl(pH8.0)で予め平衡化したSephadex G−50分子量排除カラム(2.6x94cm)にかけた。試料ロードに先立って1モルのDTT(2μl)を分画60〜100へ加え、低分子量の金属結合タンパク質を含有する分画において還元条件を維持した。溶出液を280nmでモニターしながら、20ml/時間の流速の50mM Tris(pH8.0)でカラムを溶出した。溶出時間の間、緩衝液リザバーは絶えずNでパージした。アミノ酸分析に使用する試料は放射標識しなかった。
カラム分画の109Cd含量(CPM)を、Auto−Logicガンマカウンター(アボットラボラトリーズ)で決定した。亜鉛含量は、炎光若しくは火炉原子吸光分光法(Flame or Furnace Atomic Absorption Spectroscopy)により測定し、PPB亜鉛/分画として表した。これまでの試験は、2つの種類(classes)の金属結合タンパク質が存在し、一方の種類が高分子量分画であることを示唆した。しかしながら、109Cdの大部分は、金属結合タンパク質を含有する低分子量の種類の亜鉛とともに溶出された。図1に示すように、放射活性の金属結合タンパク質は、亜鉛に対応する溶出ピーク(ほぼ、分画番号50)を有していた。Sephadex G−50分画のタンパク質濃度は、製造業者のプロトコールに従って、BCA全タンパク質アッセイキット(ピアス)で決定した。低分子量分画のタンパク質濃度は、標準プロトコールより高い感度を有する亢進プロトコールを使用して決定した。次いで、以下の試験において本発明の新規金属結合タンパク質の明瞭な構造特徴を同定した。
金属結合タンパク質の特性決定試験
新規金属結合タンパク質の構造特徴を確認するために、あらゆるクロマトグラフィー及び分子量試験を実施した。使用したプロトコールはいずれも B. Harpham,「金属結合タンパク質のアルテミアからの単離(Isolation of Metal Binding Proteins From Artemia)」、修士論文、カリフォルニア州立大学、ロングビーチライブラリー(1998)にすでに記載の通りであった。当該技術分野でよく知られていて、例えば B. Harpham,「金属結合タンパク質のアルテミアからの単離(Isolation of Metal Binding Proteins From Artemia)」、同上に記載される、陰イオン交換及び逆相クロマトグラフィー技術を使用して、アルテミア由来の金属結合タンパク質を精製し、他の既知の金属結合タンパク質より予想外に低い分子量とアミノ酸配列長さを有することを決定した。SDS−PAGE条件下で、アルテミアの金属結合タンパク質は、他の哺乳動物種由来の金属結合タンパク質の6〜7kDaに比較して、約5.8kDaの分子量を有する。アルテミア金属結合タンパク質のタンパク質分析は、48個のアミノ酸の配列長さを示す。アルテミアのアミノ酸配列は、60〜68個のアミノ酸残基の長さに及ぶ他の既知の金属結合タンパク質よりも、長さが予想外に、そして有意に短かかった。
新規金属結合タンパク質の予想外に明瞭な構造特徴のために、これまでの方法論を使用して本発明の新規な金属結合タンパク質をコードする核酸配列を単離する試みは失敗した。故に、新規な金属結合タンパク質をコードする我々のMT遺伝子を単離するために、代わりの戦略を利用した。
実施例2
本発明の教示により、以下に、新規な金属結合タンパク質の遺伝子をクローニングするのに有効な例示の戦略を教示する。クローニングした金属結合タンパク質遺伝子とその配列情報は、本発明の方法に有用な金属結合タンパク質の発現に特に有用である。
ブラインシュリンプ(アルテミア)の金属結合タンパク質をコードする遺伝子をクローニングして入手するこれまでの試みは、すでに不成功であった。故に、例えば B. Harpham,「金属結合タンパク質のアルテミアからの単離(Isolation of Metal Binding Proteins From Artemia)」、同上に記載されるタンパク質精製技術を使用して、アルテミア金属結合タンパク質のアイソフォームのN末端領域について配列データを入手した。4つの金属結合タンパク質アイソフォームからの配列データは、アミノ酸番号10までが同一のアミノ酸配列であることを示した。この配列情報を使用して、以下のように、我々の新規金属結合タンパク質にユニークなオリゴヌクレオチドプライマーを構築し、新規な金属結合タンパク質をコードする遺伝子を単離するために使用した。
アルテミア金属結合タンパク質をコードする遺伝子のクローニング及び配列決定
RNAゾール(zol)法を使用して、48時間のナウプリウスより全RNAを単離した。48時間ナウプリウスの試料は、実施例1において上記に記載のように調製した。次いで、PolyTract Procedure(プロメガ、ウィスコンシン州)を使用して全RNA試料よりmRNAを単離した。SuperScript及び3’RACEキット法(カタログ番号18373、ギブコ/BRL、ウィスコンシン州)を使用してmRNAよりcDNAを産生してから、以下の合成反応へかけた。
Figure 0004529015
上記の混合物を70℃で10分間インキュベートしてから、氷上に1〜2分間置いた。10,000rpmで10分間の遠心分離により、揮発液体を採取した。次いで、以下を上記のRNAカクテルへ加えてPCR溶液を産生した:
Figure 0004529015
次いで、上記の生じたPCR溶液を混合し、42℃で5分間インキュベートした。5μlのSuperScript II RTを加え、この混合物をcDNA合成のために42℃で50分間インキュベートした。この溶液を70℃で15分間インキュベートすることによって、逆転写反応を終わらせた。次いで、5μlのRNアーゼを加え、この溶液を37℃で20分間インキュベートした。次いで、アルテミアcDNAを含有する最終溶液を、以下に記載のようなPCR増幅に使用するまで−20℃で保存した。
アルテミア金属結合タンパク質配列のPCR増幅
使用した初発のPCRプライマー配列は以下の通りであった:
「MT−NotI」[配列番号5]と命名した5’プライマー(N末端側)は:
Figure 0004529015
(下線を施したヌクレオチドは、NotI制限部位を明示する)からなり;そして
「dT−SpeI」と命名した3’プライマー(C末端側)は:
Figure 0004529015
であった。
次いで、上記の5’及び3’プライマーを以下の増幅カクテル中に使用した。
Figure 0004529015
上記のPCR反応カクテルに対し、Gem50ワックスビーズをこの試験管へ加え、その管を80℃で2〜3分間インキュベートした。室温で10〜15分の間にこのワックスが硬化したらすぐに、以下のものをこの硬化ワックスの頂面に層状に重ねた:
Figure 0004529015
次いで、この最終混合物を以下のPCR増幅プログラムへかけた。
PCRプログラム:
95℃で3分間の初発の変性に続き、29サイクルの:
Figure 0004529015
増幅させたならば、このPCR産物について1.2%アガロースゲルで成功した増幅を検証した。次いで、Qiagen QIAquick Gel Extraction(Qiagen,カリフォルニア州)を使用して、このPCR産物を後続のクローニングのために精製し、二重消化して適合末端を形成させてから、Qiagen QIAquick PCR精製プロトコールを使用して精製した。それらの配列へ取り込まれた修飾制限部位を含有する以下のプライマーを使用して、ブラインシュリンプ・アルテミアの金属結合タンパク質遺伝子配列を含有する精製PCR産物をサブクローニングした。
MT NcoI[配列番号9](NdeIサイトを含む5’プライマー)
Figure 0004529015
MT SalI[配列番号10](SalIサイトを含む3’プライマー)
Figure 0004529015
Mt NcoI及びMT SalIのプライマーを72℃のアニーリング温度で1分間使用して、アルテミアMTヌクレオチド配列を増幅してから、引き続き、pGEMベクターへ、該ベクターのEcoRI及びSalI部位の間で、サブクローニングした。サブクローニングしたならば、次いで、クローニングした金属結合タンパク質遺伝子は、発現、産生、又は金属結合タンパク質をコードする単離核酸の使用を必要とする他の方法における使用のために容易に修飾するか、又はさらに処理することができる。
次いで、LiCor 4200L DNAシークエンサーを使用して、MT遺伝子の全コード配列を決定した。アルテミア由来MT遺伝子の配列比較試験は、それが他の既知の金属結合タンパク質遺伝子に比較して予想外に異なる配列を有することを示す。アルテミアMT遺伝子配列をウマ及びヒトのMTのそれと並置したとき、相同性が観察された。次いで、本発明の例示の金属結合タンパク質の重金属へ結合する能力を以下の試験において確かめた。
実施例3
以下は、金属結合タンパク質としてのタンパク質の検証か又は新規な金属結合タンパク質としてのタンパク質の同定のいずれかに役立つ、本発明の新規金属結合タンパク質のいずれかについて実施し得る例示の試験を教示する。例えば、本発明の金属結合タンパク質は、亜鉛、カドミウム、及び銅のような重金属へ結合することが可能である。図1に示すように、重金属へ結合する単離タンパク質の能力を、本発明の例示MTでの E. coli の開示される形質転換において記載して詳述した。
先に記載のように、本発明の新規金属結合タンパク質を産生するのに有用な修飾生物は、本明細書に提供される教示に従って作製することができる。例示の修飾生物には、本明細書に記載の方法に特に有用であるトランスジェニックタバコ植物が含まれる。以下に、本発明の修飾生物を産生するのに有用な例示の方法を例示する。
実施例4
トランスジェニックタバコ植物
TOPO.CR2ベクターへクローニングしたMTのcDNAをpARTmtと呼ぶ。TMVコートタンパク質のω−5’非翻訳領域を多重クローニング部位とインフレームで含有するpUC18ベースのプラスミドへMTのコード配列をクローニングした(図2を参照のこと)。これは、5’プライマー上にNcoI制限部位、そして3’プライマー上にSalI部位を含有するPCRプライマーを使用して、pARTmt由来のMTコード配列の増幅により達成した。このPCR産物とベクターをそれぞれNcoIとSalIで制限酵素処理し、精製した。次いで、T4 DNAリガーゼを使用して、該ベクターへPCR産物を連結した。このライゲーション混合物を使用して、エレクトロポレーションによりDH5α細胞を形質転換した。LB培地に個別コロニーを接種し、一晩増殖させた。プラスミドを単離し、配列決定して、MTコード配列の存在及び完全性を検証した。
EcoRI/XbaIカセットを取り出し、植物発現ベクター、pSSの対応部位へクローニングした。このpSSベクターは、構成CMVプロモーターと転写ターミネーター配列を多重クローニング部位とインフレームで含有する。このことは、EcoRI/XbaIカセットのベクターへのライゲーションによりMT遺伝子配列がCMVプロモーターとインフレームに置かれることを確実にする。我々は、この構築体をpSSmtと呼ぶ。このpSSmtをDH5α細胞において増殖させ、単離し、配列決定して、上記に記載のMT遺伝子の存在及び完全性を検証した。
タバコ葉におけるMT発現
A. tumefaciens を、エレクトロポレーションによりサイトゾルpSSmt構築体で形質転換し、抗生物質を含有するYEB培地、pH7.4において27℃で一晩増殖させた。この細胞を採取し、誘導培地(YEB,pH5.8,抗生物質、及び20μMアセトシリンゴン)に再懸濁し、27℃で一晩増殖させた。翌朝、細胞を遠心分離により採取し、浸潤培地(抗生物質と200μMアセトシリンゴンを含有するMMA緩衝液)において1.5のA600まで再懸濁し、室温で2時間インキュベートした。この細菌懸濁液に植物の葉を浸漬し、真空デシケーターに入れた。葉は、30〜40ミリバールの真空下で浸潤させた。この葉を室温に72時間置いてから、液体窒素中で微粉末になるまで粉砕し、10mM Tris(pH=8.0),0.05mM DTT,1mM PMSFで抽出した。30,000xgでの遠心分離によりこの溶液を澄明にし、上清について109Cd金属結合アッセイを使用してMTをアッセイした。金属結合活性は、明らかに、アルテミアMTの遺伝子を含有する葉において明白である。
Figure 0004529015
タバコ(Nicotiana tabacum)の安定な形質転換
pSSmtで形質転換した A. tumefaciens の懸濁物を上記のように増殖させた。葉を(中心葉脈のない)小片へ切断し、50〜100mlの細菌懸濁液(A600〜1.0)を含有する無菌のweckガラスへ移し、室温で30分間インキュベートした。次いで、この葉片を、プラスチックのペトリ皿において滅菌水で予湿した無菌のWhatman 3MM濾紙上に移した。この皿をサランラップで密封し、26〜28℃、暗所で2日間インキュベートした。次いで、抗生物質を含有する滅菌水でこの葉片を洗浄し、MS II寒天プレート上へ移した。この小片を25℃で3〜4週間、16時間の日長でインキュベートした。苗条が生じはじめたとき、この苗条を取り出してMS III寒天プレート上へ移し、25℃で16時間の日長でインキュベートすると、やがて根が生えはじめた。MS III培地を含有するweckガラスへこの小植物を移し、25℃、16時間の日長で、約2週間インキュベートした。次いで、この若い植物を土壌へ植えた。植物からの若葉を採取し、上記のようにMT活性をアッセイし、トランスジェニック植物を決定した。
終わりに、本明細書に開示される本発明の態様は本発明の原理を例示するものと理解すべきである。本発明の範囲内にある他の変更を利用してよく、従って、本発明は、本明細書に正確に示されて記載されるものに限定されるわけではない。
図1は、本発明の例示的な金属結合タンパク質の溶出プロフィールであり、重金属、亜鉛と金属結合タンパク質の同時溶出を例示する。 図2は、本発明の教示による、金属結合遺伝子の遺伝子配列を含有する例示のクローニングカセットである。
配列表
Figure 0004529015
Figure 0004529015
Figure 0004529015

Claims (26)

  1. 配列番号2を含むアミノ酸配列をコードする核酸又はそれらの縮重変異体;配列番号4を含むアミノ酸配列をコードする核酸又はそれらの縮重変異体;アルテミア金属結合(MT)タンパク質をコードする配列番号1のヌクレオチド配列を含む核酸;及び、アルテミアMTタンパク質の金属結合領域をコードする配列番号3のヌクレオチド配列を含む核酸;からなる群から選択される単離核酸。
  2. ブラインシュリンプ(brine shrimp)から単離された、請求項1記載の核酸。
  3. ブラインシュリンプがアルテミア属由来である、請求項2記載の単離核酸。
  4. DNAである、請求項1〜3のいずれか1項記載の単離核酸。
  5. アミノ酸配列がアルテミアMTタンパク質である、請求項1記載の単離核酸。
  6. 配列番号1のヌクレオチド配列からなる、請求項1記載の単離核酸。
  7. 配列番号3のヌクレオチド配列からなる、請求項1記載の単離核酸。
  8. 配列番号1又は配列番号3のヌクレオチド配列を含む核酸を含むベクター。
  9. さらに少なくとも1の、前記核酸の発現又は調節を制御するコントロール配列を含む、請求項8記載のベクター。
  10. コントロール配列が、オペレーター、プロモーター、エンハンサー及びプロモーター近接因子からなる群から選択される、請求項9記載のベクター。
  11. 請求項8〜10のいずれか1項記載のベクターを含む、改変宿主細胞。
  12. 宿主細胞が、細菌、酵母、藻類、哺乳類細胞からなる群から選択される、請求項11記載の改変宿主細胞。
  13. 宿主細胞がアルテミアMTタンパク質又は金属結合アミノ酸配列を発現する、請求項12記載の改変宿主細胞。
  14. 基質から少なくとも1の金属を除去するための装置であって、前記基質が接触することができる、少なくとも1の純粋なアルテミア金属結合(MT)タンパク質が結合する支持体を含、前記金属が前記少なくとも1のMTタンパク質と結合して前記基質から除去され、ここで前記少なくとも1のMTタンパク質が配列番号2のアミノ酸配列を含む、前記装置。
  15. 基質から少なくとも1の金属を除去するための装置であって、前記基質が接触することができる、少なくとも1の純粋なアルテミア金属結合(MT)タンパク質が結合する支持体を含み、前記金属が前記少なくとも1のMTタンパク質と結合して前記基質から除去され、ここで前記少なくとも1のMTタンパク質が配列番号4のアミノ酸配列を含む、前記装置。
  16. 支持体が、マトリックス、膜、半透膜、粉体及び樹脂からなる群から選択される、請求項14または15記載の装置。
  17. 基質が、水、土壌及び汚泥からなる群から選択される、請求項14〜16いずれか1項記載の装置。
  18. 基質から除去される少なくとも1の金属が、金、銀、プラチナ、亜鉛、銅、カドミウム、水銀、ニッケル、鉛、コバルト、それらの放射性同位体並びにそれらの組合わせからなる群から選択される、請求項14〜17いずれか1項記載の装置。
  19. 支持体が膜である、請求項14〜18いずれか1項記載の装置。
  20. 基質から少なくとも1の金属を除去する方法であって、以下の:
    少なくとも1の金属結合(MT)タンパク質が結合している1の支持体を提供する工程;
    少なくとも1の金属がある基質を前記支持体と接触させて、前記少なくとも1の金属を、前記少なくとも1のMTタンパク質と結合させる工程;
    前記基質から、前記少なくとも1のMTタンパク質に結合した前記少なくとも1の金属がある前記支持体を分離する工程;及び
    支持体から前記少なくとも1の金属を回収して、前記基質から前記少なくとも1の金属を除去する工程;
    を含み、ここで前記少なくとも1のMTタンパク質が配列番号2のアミノ酸配列を含む、前記方法。
  21. 基質から少なくとも1の金属を除去する方法であって、以下の:
    少なくとも1の金属結合(MT)タンパク質が結合している1の支持体を提供する工程;
    少なくとも1の金属がある基質を前記支持体と接触させて、前記少なくとも1の金属を、前記少なくとも1のMTタンパク質と結合させる工程;
    前記基質から、前記少なくとも1のMTタンパク質に結合した前記少なくとも1の金属がある前記支持体を分離する工程;及び
    支持体から前記少なくとも1の金属を回収して、前記基質から前記少なくとも1の金属を除去する工程;
    を含み、ここで前記少なくとも1のMTタンパク質が配列番号4のアミノ酸配列を含む、前記方法。
  22. 提供する工程がさらに、アルテミア属ブラインシュリンプから、前記少なくとも1の純粋なMTタンパク質を得る工程を含む、請求項20または21記載の方法。
  23. 接触する工程がさらに、水、土壌及び汚泥からなる群から選択される基質と、前記MTタンパク質がある前記支持体と接触される工程を含む、請求項20〜22いずれか1項記載の方法。
  24. 基質から回収される少なくとも1の金属が、金、銀、プラチナ、亜鉛、銅、カドミウム、水銀、ニッケル、鉛、コバルト、それらの放射性同位体並びにそれらの組合わせからなる群から選択される、請求項20〜23いずれか1項記載の方法。
  25. 供給された支持体が、マトリックス、膜、半透膜、粉体及び樹脂からなる群から選択される、請求項20〜24いずれか1項記載の方法。
  26. 支持体が膜である、請求項20〜25いずれか1項記載の方法。
JP2003526941A 2001-09-06 2002-05-29 金属結合タンパク質と関連した方法 Expired - Fee Related JP4529015B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US09/948,495 US6750056B2 (en) 2001-09-06 2001-09-06 Metal binding proteins and associated methods
PCT/US2002/017273 WO2003022868A2 (en) 2001-09-06 2002-05-29 Metal binding proteins and associated methods

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005503798A JP2005503798A (ja) 2005-02-10
JP2005503798A5 JP2005503798A5 (ja) 2006-01-05
JP4529015B2 true JP4529015B2 (ja) 2010-08-25

Family

ID=25487905

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003526941A Expired - Fee Related JP4529015B2 (ja) 2001-09-06 2002-05-29 金属結合タンパク質と関連した方法

Country Status (7)

Country Link
US (4) US6750056B2 (ja)
EP (1) EP1436233A4 (ja)
JP (1) JP4529015B2 (ja)
CN (1) CN1592720B (ja)
AU (1) AU2002316183B2 (ja)
CA (1) CA2471838C (ja)
WO (1) WO2003022868A2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6750056B2 (en) * 2001-09-06 2004-06-15 Roger A. Acey Metal binding proteins and associated methods
US7273962B2 (en) * 2001-09-06 2007-09-25 Mgp Biotechnologies, Llc Compositions and methods for removing heavy metals from contaminated samples using membranes provided with purified metallothionein (MT) proteins
US8440791B2 (en) * 2001-09-06 2013-05-14 Mgp Biotechnologies, Llc Thimerosal removal device
US7767872B2 (en) * 2001-09-06 2010-08-03 Mpg Biotechnologies, Llc Thimerosal removal device
US20050112740A1 (en) * 2003-10-20 2005-05-26 Haase Richard A. Waste metals recycling-methods, processed and systems for the recycle of metals into coagulants
CA2584518A1 (en) * 2004-10-19 2006-04-27 Mgp Biotechnologies, Llc Device and method for removing heavy metals from contaminated samples with membranes comprising purified metallothionein
EP1976610B1 (en) * 2006-01-17 2013-05-01 MGP Biotechnologies, LLC Thimerosal removal device
KR100755746B1 (ko) * 2006-05-22 2007-09-06 한국과학기술원 중금속 흡착 단백질을 이용한 양자점의 제조방법 및 이를 위한 양자점 생성능을 가지는 재조합 미생물
EP2300032A4 (en) * 2008-05-13 2012-12-05 Univ Kansas MARKER PRESENTING IN THE FORM OF A MAP PEPTIDE (METAL ABSTRACTION PEPTIDE) AND ASSOCIATED METHODS
US20130018172A1 (en) * 2011-01-13 2013-01-17 Echogen, Inc. Metal Abstraction Peptide and Uses Thereof
JP5943463B2 (ja) * 2012-03-05 2016-07-05 国立大学法人神戸大学 レアメタル結合能を有する人工ペプチドおよびその利用
US9187735B2 (en) 2012-06-01 2015-11-17 University Of Kansas Metal abstraction peptide with superoxide dismutase activity

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0597842A1 (en) * 1990-05-08 1994-05-25 The Scripps Research Institute Metal binding proteins
US6391590B1 (en) * 1991-10-21 2002-05-21 The Regents Of The University Of California Recombinant streptavidin-metallothionein chimeric protein having biological recognition specificity
CA2090549C (en) * 1992-06-09 2008-01-15 John Smit Bacterial surface protein expression
US5679548A (en) * 1993-02-02 1997-10-21 The Scripps Research Institute Methods for producing polypeptide metal binding sites and compositions thereof
US5354288A (en) * 1993-02-24 1994-10-11 Minnesota Mining And Manufacturing Company Low velocity aortic cannula
US5441643A (en) * 1993-11-29 1995-08-15 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Interior Process for recovering metals from solution utilizing metalloprotein affinity chromatography
DE4410562A1 (de) * 1994-03-26 1995-09-28 Eheim Gmbh & Co Kg Filter für Aquarien
US5666865A (en) * 1994-11-02 1997-09-16 Sumitomo Wiring Systems, Ltd. Fuse puller
US5824512A (en) 1996-11-22 1998-10-20 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Navy Bacteria expressing metallothionein gene into the periplasmic space, and method of using such bacteria in environment cleanup
US5814480A (en) 1997-01-17 1998-09-29 Incyte Pharmacueticals, Inc. DNA encoding human metallothioein
US6500353B1 (en) * 1999-06-25 2002-12-31 Fitel Usa Corp. Disposable device for end finishing of plastic optical fiber
US6750056B2 (en) * 2001-09-06 2004-06-15 Roger A. Acey Metal binding proteins and associated methods
AU2001255567A1 (en) 2000-08-23 2002-03-04 General Electric Company Method and system for servicing a selected piece of equipment having unique system configurations and servicing requirements
AU2002211647A1 (en) * 2000-10-12 2002-04-22 University Of Georgia Research Foundation, Inc. Metal binding proteins, recombinant host cells and methods
US7273962B2 (en) * 2001-09-06 2007-09-25 Mgp Biotechnologies, Llc Compositions and methods for removing heavy metals from contaminated samples using membranes provided with purified metallothionein (MT) proteins
US7767872B2 (en) * 2001-09-06 2010-08-03 Mpg Biotechnologies, Llc Thimerosal removal device

Also Published As

Publication number Publication date
AU2002316183B2 (en) 2008-04-03
EP1436233A4 (en) 2006-03-29
US20030105304A1 (en) 2003-06-05
CN1592720A (zh) 2005-03-09
US20040265908A1 (en) 2004-12-30
JP2005503798A (ja) 2005-02-10
US6750056B2 (en) 2004-06-15
CA2471838C (en) 2012-07-10
US7135605B2 (en) 2006-11-14
CN1592720B (zh) 2012-08-22
US20080269537A1 (en) 2008-10-30
WO2003022868A2 (en) 2003-03-20
EP1436233A2 (en) 2004-07-14
US20070117968A1 (en) 2007-05-24
CA2471838A1 (en) 2003-03-20
WO2003022868A3 (en) 2003-11-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20070117968A1 (en) Metal binding proteins and associated methods
JP2008516770A (ja) 精製メタロチオネイン(mt)を備えた膜を用いて、汚染サンプルから重金属を除去するための組成物と方法
Sauge-Merle et al. Enhanced toxic metal accumulation in engineered bacterial cells expressing Arabidopsis thaliana phytochelatin synthase
JP2013502223A (ja) 重金属浄化システム
Huang et al. Arsenic methylation by a novel ArsM As (III) S‐adenosylmethionine methyltransferase that requires only two conserved cysteine residues
Kiyono et al. The merG gene product is involved in phenylmercury resistance in Pseudomonas strain K-62
US7273962B2 (en) Compositions and methods for removing heavy metals from contaminated samples using membranes provided with purified metallothionein (MT) proteins
AU2002316183A1 (en) Metal binding proteins and associated methods
Thorgersen et al. A highly expressed high-molecular-weight S-layer complex of Pelosinus sp. strain UFO1 binds uranium
US20200254422A1 (en) Compositions and Methods for Removing Heavy Metals from Contaminated Materials
Li et al. Type 1 metallothionein (ZjMT) is responsible for heavy metal tolerance in Ziziphus jujuba
Srivastava et al. Identification of lead-regulated genes by suppression subtractive hybridization in the heavy metal accumulator Sesbania drummondii
Zhang et al. Cloning and expression analysis of the heavy-metal responsive gene PvSR2 from bean
CN109337877B (zh) 二氯苯酚降解酶TcpA及其编码基因与生产菌的应用
PL220839B1 (pl) Plazmidy, szczepy je obejmujące, kompozycja, ich zastosowanie oraz sposób usuwania arsenu z surowców mineralnych, odpadów przemysłu surowcowego i skażonych gleb
US7754470B2 (en) Nitroreductase enzymes for bioremediation
EP0871750B1 (en) Removal of metals from contaminated substrates by plants
CN108218970B (zh) 一种重组蛋白及其制备方法和应用
US7189891B2 (en) Isolated ferric reductase defective polypeptides and uses thereof
JP2001275683A (ja) 重金属吸収能を有する形質転換生物体及びそれを用いた重金属類浄化方法
Abercrombie Arsenic phytoremediation: Engineering of an arsenic-specific phytosensor and molecular insights of arsenate metabolism through investigations of Arabidopsis thaliana, Pteris cretica, and Pteris vittata
Lindsay Expression of recombinant metal-binding proteins in E. Coli and in Synechococcus PCC7942: examination of metal binding in vivo and vitro
Rugh Development of plants engineered for remediation of mercury pollution using a modified bacterial gene

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050318

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050823

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080226

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20080523

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20080530

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20080625

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20080702

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080826

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090916

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100118

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100212

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20100324

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100422

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20100519

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100521

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100519

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130618

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees