JP4527687B2 - 可溶性のポリイミド樹脂およびその製造方法 - Google Patents

可溶性のポリイミド樹脂およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリイミド樹脂とその製造方法に関し、更に詳しくは、可溶性を有するポリイミド樹脂とその製造方法に関するものである。
近年、電子と通信装置の薄型化と微小化の要求に伴ない、装置内の集積回路パッケージ容積も微小化と薄型化に向かって進展し、これに用いられる回路板の回路も、更に微細化する傾向になりつつある。各種の回路板中、ソフト プリント基板は、大幅に電子素子の
体積と重量を軽減させ得るので、回路板として常用されている。
通常、ソフト プリント基板の構造は、絶縁体基材と金属導体層を含み、絶縁体基材と
金属導体層とを、接着剤で粘着して回路積層板を形成し、通常、金属層の材料としては、銅箔が用いられている。ポリイミド樹脂は、耐熱性、抗化性、優れた機械的特性と電気特性を有するので、絶縁体基材の素材として常用されている。又、金属層と絶縁体基材の粘着に使用される接着剤としては、通常、エポキシ樹脂やアクリル樹脂接着剤が挙げられるが、これらの接着剤は、耐熱性が悪く、後続する樹脂の熱硬化製造過程において、たやすく破損し、ソフト プリント基板のサイズ安定性を低下させる。この問題を解決すべく、
接着剤にゴム弾性体を加え、破損を防止する試みがなされているが、ゴム弾性体の熱安定性は良くなく、高温下での製造工程において劣化し、ソフト プリント基板の物性を低下
させるという問題がある。
然るに、ポリイミド樹脂層の特性も積層板の品質に影響を与える。例えば、ポリイミド樹脂がより多くのアミド基を含む場合、ポリイミド樹脂層の吸水性が高くなり、アミド基はアミノ基と酸基に分解する。分子構造の主鎖に他の官能基を導入して、ポリイミド樹脂の吸水率を低下させ得るが、このように多くの長鎖モノマーを利用することは、ポリイミド樹脂層の弾性を下げ、且つ、線膨脹係数を高め、これにより得る積層板のサイズ変化が大きくなり、サイズ安定性は低下する。更に、ポリイミド樹脂は、通常、有機溶剤に溶けなくなり、その応用性を大幅に下げる問題がある。
このため、その吸水性と線膨脹係数が低く、且つ、優れた耐熱性と加工特性を有する可溶性のポリイミド樹脂の開発が望まれている。
本発明は、有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂およびその製造方法を提供することを課題とする。また本発明は、サイズ安定性の高いポリイミド樹脂、およびその製造方法を提供することを課題とする。さらに本発明は、耐熱性に優れるポリイミド樹脂およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明の可溶性のポリイミド樹脂は、
少なくとも下記式(I)に示す酸二無水物を含む酸二無水物モノマーと、
少なくとも下記式(II)に示すジアミンを含むジアミンモノマーと
を重縮合反応させることによりポリアミド酸樹脂を形成し、次いでそのポリアミド酸樹脂をイミド化することにより合成されてなることを特徴としている。
Figure 0004527687
(式(I)中、Rは、酸素原子又はO(CH2)nOを示し、nは、1〜2の整数を示す。)、
2N−Ar−NH2 …(II)
(式(II)中、Arは、下記に示される基のいずれかである;
Figure 0004527687
Figure 0004527687
本発明のポリイミド樹脂は、重合ユニットとして、前記式(I)に示される酸二無水物を用いて、ビフェニル構造をポリイミド樹脂の主鎖部分に導入することによって、ポリイミド樹脂の吸水率と熱膨脹係数を低下させ、耐熱性とサイズ安定性をも高める。更に、本発明のポリイミド樹脂は、有機溶剤に対する溶解度を高める。
また、本発明のポリイミド樹脂の製造方法は、
(a)非プロトン性溶剤の存在下に、少なくとも上記式(I)に示される酸二無水物を含む酸二無水物モノマーと、
少なくとも上記式(II)に示されるジアミンを含むジアミンモノマーと
を重縮合反応させることによりポリアミド酸樹脂を形成する工程と、
(b)前記工程(a)で得られるポリアミド酸樹脂をイミド化する工程と、
を含むことを特徴としている。
本発明のポリイミド樹脂は、有機溶剤に溶解してワニスを形成することができる。そのワニスは、積層板製造用の接着剤とICパッケージの用途に供する。
本発明によれば、有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂およびその製造方法を提供することができ、特に吸水性と線膨脹係数が低く、サイズ安定性の高く、耐熱性にも優れるポリイミド樹脂、およびその製造方法を提供することができる。本発明に係るポリイミド樹脂は、接着剤用途に好適に使用でき、該接着剤はソフト回路板などのICパッケージの用途に好適に使用できる。
以下、本発明について具体的に説明する。これにより本発明の構成および効果が当業者に容易に理解できる。また、本発明は、本明細書に記載の態様に限定されず、本発明の目的に反しない限り応用または変更して実施することができ、これらは本発明の範囲に含まれる。
ポリイミド樹脂およびその製造方法
本発明のポリイミド樹脂は、少なくとも下記式(I)に示す酸二無水物を含む酸二無水物モノマーと、少なくとも下記式(II)に示すジアミンを含むジアミンモノマーとを重縮合反応させることによりポリアミド酸樹脂を形成し、次いでそのポリアミド酸樹脂をイミド化することにより合成される。
Figure 0004527687
(式(I)中、Rは、酸素原子又はO(CH2)nOを示し、nは、1〜2の整数を示す。)、
2N−Ar−NH2 …(II)
(式(II)中、Arは、芳香族を含む基であり、下記に示される基のいずれかである;
Figure 0004527687
Figure 0004527687
本発明のポリイミド樹脂は、重合ユニットとして前記式(I)に示される酸二無水物を用いることにより、エステル官能基をポリイミド樹脂の主鎖部分に導入し、有機溶剤に対する溶解度を高める。又、ビフェニル基をポリイミド樹脂の主鎖部分に導入し、ポリイミドの吸水率と熱膨脹係数を低下させることが可能である。本発明のポリイミド樹脂は、有機溶剤に対する溶解度を高めることで、その応用面が拡大し、吸水率を下げることで、ポリイミド樹脂の加工安定性とサイズ安定性とを向上させうる。又、ポリイミド樹脂の熱膨脹係数と銅箔など金属層の熱膨脹係数が近ければ近い程、回路板の高温加工の製造工程において、巻曲、変形しなくなり、サイズ安定性も良くなる。
式(I)に示される酸二無水物のRは、酸素原子又はO(CH2 )n O(n=1〜2)を示し、好ましくは、酸素原子又はOCH2CH2Oを示す。Rが酸素原子を示す場合、式(I)に示される酸二無水物をPBTDAと称し;RがOCH2CH2Oを示す場合、式(I)に示される酸二無水物をBHEBPDAと称する。
PBTDAは、周知の方法で製造し得られる。例えば、ベンゼンとトルエンとを溶剤として
用い、トリメリト酸無水物塩化物とジオール類との反応により製造される方法が開示されている。又、PBTDAは、反応式(1)に示されるトリメリト酸無水物(TMA)と4,4'-ジヒ
ドロキシビフェニルの縮合反応により製造することができる。
反応式(1)
Figure 0004527687
BHEBPDAも周知の方法により製造することができる。例えば、特開平10−330306号公報
において、BHEBP(ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ビフェニル)とTMAを縮合反応させる方法が開示されている。BHEBPDAの合成方法を反応式(2)に示す。
反応式(2)
Figure 0004527687
本発明で用いる酸二無水物モノマーは、式(I)に示される酸二無水物以外、その他の酸二無水物を1種又は多種含むことができる。その具体例として、例えば、ベンゾフェノン-3,3',4,4'-テトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ビフェニル-3,3',4,4'-テトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4'-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)などが挙げられるが、
これらに限定されるものではない。
本発明の一つの好ましい態様において、酸二無水物モノマーは、酸二無水物モノマーの合計モル数(総量:100モル%)に対し、式(I)に示す酸二無水物5〜20モル%、ベ
ンゾフェノン-3,3',4,4'-テトラカルボン酸二無水物60〜80モル%、ビフェニル-3,3',4,4'-テトラカルボン酸二無水物10〜20モル%、及び4,4'-オキシジフタル酸二無水
物5〜15モル%が含まれる。
本発明で用いるジアミンモノマーには、式(II)に示されるジアミン以外、その他のジアミンを1種又は多種含むことができる。その具体例としては、例えば、2,2'-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニ
ル(BAPB)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)、3,3'-ジアミノジフ
ェニルスルホン(DDS)と、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のポリイミド樹脂を製造する際において、酸二無水物モノマーと、ジアミンモノマーの比率(酸二無水物モノマー/ジアミンモノマー)としては、モル数あたり、0.75〜1.25が好ましく、さらに好ましくは0.9〜1.1である。
本発明のポリイミド樹脂の製造方法は、
(a)非プロトン性溶剤の存在下に、上述した酸二無水物モノマーと、ジアミンモノマーとを重縮合反応させることによりポリアミド酸樹脂を形成する工程と、
(b)前記工程(a)で得られるポリアミド酸樹脂をイミド化する工程とを含む。
工程(a)では、好ましくは、非プロトン性溶剤に溶かしたジアミン モノマーの溶液
に、非プロトン性溶剤に溶かした酸二無水物の溶液を数回に分けて添加し、重縮合反応を行なうことにより、ポリアミド酸樹脂を形成する。
上記の非プロトン性溶剤の具体例としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルホルムアミド(DMF)やこれらの混合物が挙げ
られるが、それらに限定されるものではない。上記の非プロトン性溶剤には、その他の有機溶剤を加えても良く、これら有機溶剤の具体例としては、例えば、ベンゼン、トルエン、シクロへキサノールとこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されるものではない。上記の有機溶剤の使用量としては、ポリアミド酸樹脂が沈澱しない範囲で利用される。
酸二無水物モノマーと、ジアミンモノマーとの重縮合反応温度は、0〜100℃が好ましく、より好ましくは、0〜80℃である。ポリアミド酸樹脂溶液中、固形分が溶液比率として
、5〜50%含有されることが好ましく、より好ましくは、固形分が溶液比率の10〜30%を
占めることが望ましい。
工程(b)では、好ましくは、前記ポリアミド酸樹脂を、トリエチルアミンと無水酢酸の存在下、100〜450℃、好ましくは、150〜400℃で、環化脱水させることにより、ポリイミド樹脂を合成することができる。又、トルエンやキシレンなどの共沸剤を存在下還流することによって、前記ポリアミド酸樹脂を環化脱水させ、ポリイミド樹脂を合成した後、メタノールを加えて、粉末状の反応沈澱物を得る。
本発明のポリイミド樹脂は、耐熱性に優れ、接着強度も高く、従来のエポキシ系樹脂接着剤やアクリル系樹脂接着剤など周知の接着剤がもつ耐熱性のよくない欠点を改善するのに役立ち、これら樹脂接着剤が高温下で劣化し、回路板の品質低下を引き起こすことを防止するのに有用である。
本発明のポリイミド樹脂は、電子設備や電子素子のパッケージに使用され、例えば、集積回路(IC)素子や発光ダイオード(LED)素子の遮蔽保護膜に用いられる。又、本発明
のポリイミド樹脂は、感光性官能基を有する化合物と調合することにより、感光性のポリイミド樹脂を形成して集積回路(IC)の製造工程にも応用される。この他、本発明のポリイミド樹脂は、フイルムやワニスとして製造され、耐熱性の高い被覆膜、例えば、ソフト基板の被膜に利用される。又、本発明のポリイミド樹脂は、例えば、チタン酸バリウムなどの誘電率の高い物質と共に、調合してフイルムを形成し、例えば、電気容量の内部電子部品に利用される。
ソフト回路板
本発明に係るソフト回路板の製造では、好ましくは、(a)接着剤を金属箔上に塗布す
る工程と、(b)加熱して溶剤を除去することにより、接着剤層を形成する工程と、(c)窒素ガス雰囲気中で、前記接着剤層を加熱硬化する工程とを含む。
本発明のポリイミド樹脂を用いてソフト回路板を製造する場合、ポリイミド樹脂層の厚さは、通常、2〜100μmである。その金属層としては、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、又
は鉄箔、あるいはこれらの合金の箔が用いられ、その中、銅箔としては、電解銅箔又は圧延銅箔が用いられ、その厚さは、通常、12〜70μmである。これらの製造方法としては、
先ずポリアミド酸樹脂を上記金属層の荒い面に、例えば、ダイ コーター、リップ コーター又はロール コーターなどを用いて塗布した後、オーブンに入れて、段階を分けて加熱
して、溶剤含量が20%以下になる迄加熱する。オーブンの温度は、通常、110〜180℃であり、好ましくは、120〜170℃である。ベーキング速度は、0.5〜10 m/minであり、好まし
くは1〜7 m/minである。
次いて、ポリアミド酸樹脂を、高温、例えば、200〜400℃、好ましくは、250〜350℃で、キュアリングするが、第3アミン類や無水酢酸の存在下、やや低い温度、例えば、200〜300℃で、キュアリングすることによって、ポリイミド樹脂を形成することができる。前
記キュアリングは、オーブンで、連続的またはバッチ的に加熱して行われる。前記キュアリングは、好ましくは、窒素ガス又または不活性ガス雰囲気で行うことにより、加熱工程において金属層が酸化するのを防止することができる。
本発明では、前記工程(c)の前に、前記金属箔と別な金属箔を前記接着剤層に積層することにより、前記接着剤層が前記2枚の金属箔の間に位置するように構成する工程をさらに含み、これにより、金属箔−接着剤層−金属箔の構成を有する両面ソフト回路板を製造することも好ましい。
本発明のポリイミド樹脂粉末をNMP、DMAC又はDMFなどの非プロトン性極性溶剤に溶解することにより調製されたワニスは、ポリイミド基材(例えば、市販のカプトン、アピコール、又はウピレックスなど)と金属箔の接着剤として使用する。ワニスを塗布したポリイミド基材は、オーブン中でベーキングすることにより溶剤を除去し、更に、銅箔などの金属層と圧延してソフト回路板とする。
実施例
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
原料についての説明:
以下の実施例において、各略称で示される原料物質は以下に示す化合物である。
Figure 0004527687
BTDA:ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物
BPDA:ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物
OPDA:4,4’-オキシジフタル酸二無水物
TPE-R:1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン
BAPP:2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
BAPS:ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン
BAPS-M:ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン
APB:1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン
BAPB:4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
DMAC:ジメチルアセトアミド
DMF:ジメチルホルムアミド
物性の測定方法:
・半田耐熱性試験:IPC TM-650 2.4.13に準拠する。
・剥離強さ:IPC TM-650 2.4.9に準拠する。
・Tg:熱機械分析法により測定したガラス転位温度(Tg)である。
[実施例1]
攪拌機と窒素ガス導入管を備える四口反応釜にBAPP( 24.6g、0.06mol )とNMP(160g)を加えて、窒素ガス流量を20cc/minとし、15℃の条件下でBAPPが全部溶解する迄攪拌する。
次に、攪拌端子を有するフラスコを4個準備し、第1フラスコにBPDA( 2.94g、0.01mol)とNMP(10g)を入れて、BPDAが全部溶解する迄攪拌する。第2フラスコにPBTDA(1.34g、0.0025mol)とNMP(10g)を加え、PBTDAが全部溶解する迄攪拌を続ける。第1フラスコ
と第2フラスコの溶液を反応釜に加え、窒素ガスを持続して導入しながら、1時間攪拌して反応を行なう。
更に、第3フラスコにODPA( 3.1g、0.01mol )とNMP(10g)を入れて、ODPAが全部溶解する迄攪拌した後、この溶液を反応釜に加え、窒素ガスを導入続けながら、1時間攪拌
し反応を行なう。
続いて、第4フラスコにBTDA( 12.08g、0.0375mol )とNMP(50g)を加え、攪拌して溶解させる。30分置きに、4回に分けてこの第4フラスコの溶液を反応釜に加え、窒素ガスを持続して導入し、15℃の条件下で4時間反応して、ポリアミド酸樹脂を得る。
窒素ガスの導入を止め、反応釜にDean stack 装置を取り付けて水分を除去する。トルエ
ン(35g)を反応釜に入れ、185℃に升温して閉環脱水反応を行ない、ポリアミド酸樹脂
からポリイミド樹脂を合成する。トルエンの存在下還流することによって、水分を系外に持続しながら除去し、完全に水分がなくなるのを確認した後、温度を室温に下げる。次に、メタノールを加えてポリイミド樹脂を沈澱させ、その沈澱物を濾過し、メタノールにより2回洗浄し、オーブンに入れて乾燥し、ポリイミド樹脂粉末を得る。
ポリイミド樹脂(0.5g)をN-メチル-2-ピロリドン(15g)に溶かし、粘度計により25℃下の粘度を測定したところ、特性粘度(IV)は1.61 dl/gを示した

[実施例2〜10、比較例1および2]
各成分の使用量を、表1に示すモル数の量としたことのほかは、実施例1と同様にして実施した。
Figure 0004527687
上記実施例1〜10と比較例1と2により得たポリイミド樹脂粉末を表2に示す溶剤に溶か
し、溶解特性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 0004527687
表2中、“+”は溶解を示し、“−”は不溶を示し、“*”は、昇温後に溶解することをそれぞれ示す。
さらに、上記実施例1〜10と比較例1と2により得たポリイミド樹脂粉末をNMPに溶かし、ワニスを調合し、厚さ25μmのポリイミド膜(商品名アピコール)上に、各面の厚さが3μmになるよう塗布した。オーブン中、150℃で5分間加熱し、更に180℃で15分間の条件下加熱して溶剤を除去した。乾燥後、ポリイミド樹脂を塗布したポリイミド膜と、空白の銅箔とを、プレート圧合機またはローラー圧合機を用い、280〜400℃で圧合した。圧合温度は、好ましくは300〜360℃。圧合圧力は、通常、20〜200kg/cm2であり、好ましくは40〜150kg/cm2である。これによりポリイミド樹脂の両面銅箔回路板を得る。IPC TM-650に準拠して、銅箔の剥離強さを測定した。その結果を表3に示す。
Figure 0004527687
表3の結果より、本発明のポリイミド樹脂を用いて製造した両面銅箔回路板は、従来の
ものと比べて、より優れた剥離強さ(1.0 kgf/cm 以上)を示すことがわかる。
上記の実施例は、本発明の原理と効果を説明するためのみに挙げられ、本発明を限定するものではない。本分野の技術を熟知する者にとっては、本発明の目的と範囲を逸脱しない限り、上記の実施例に修飾と変更をすることが可能であり、これらも本発明の請求の範囲内に入るものである。
本発明のポリイミド樹脂は、電子設備や電子素子のパッケージに使用され、例えば、集積回路(IC)素子や発光ダイオード(LED)素子の遮蔽保護膜に用いられる。又、本発明
のポリイミド樹脂は、感光性官能基を有する化合物と調合することにより、感光性のポリイミド樹脂を形成して集積回路(IC)の製造工程にも応用される。この他、本発明のポリイミド樹脂は、フイルムやワニスとして製造され、耐熱性の高い被覆膜、例えば、ソフト基板の被膜に利用される。又、本発明のポリイミド樹脂は、例えば、チタン酸バリウムなどの誘電率の高い物質と共に、調合してフイルムを形成し、例えば、電気容量の内部電子
部品に利用される。

Claims (14)

  1. 酸二無水物モノマーの総量中に、式(I)に示す酸二無水物5〜20モル%、ベンゾフェノン-3,3',4,4'-テトラカルボン酸二無水物60〜80モル%、ビフェニル-3,3',4,4'-テトラカルボン酸10〜20モル%、及び4,4'-オキシジフタル酸二無水物5〜15モル%を含む酸二無水物モノマーと、
    少なくとも下記式(II)に示すジアミンを含むジアミンモノマーと、
    を0.75〜1.25のモル比率(酸二無水物モノマー/ジアミンモノマー)で重縮合反応させることによりポリアミド酸樹脂を形成し、次いでそのポリアミド酸樹脂をイミド化することにより合成されてなることを特徴とする可溶性のポリイミド樹脂;
    Figure 0004527687

    ( I )
    (式(I)中、Rは、酸素原子又はO(CH2)nOを示し、nは、1〜2の整数を示す。)、
    Figure 0004527687
    ( II )
    (式(II)中、Arは、下記に示される基のいずれかである;
    Figure 0004527687
    Figure 0004527687
  2. 前記式(I)中のRが、酸素原子またはO(CH2)2Oを示すことを特徴とする請求項1に記載のポリイミド樹脂。
  3. 前記酸二無水物モノマーと、前記ジアミンモノマーのモル比率(酸二無水物モノマー/ジアミンモノマー)が、0.9〜1.1であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド樹脂。
  4. 請求項1に記載のポリイミド樹脂を、非プロトン性溶剤に溶解して得られるワニスを含むことを特徴とする接着剤。
  5. 前記非プロトン性溶剤が、N-メチル-2-ピロリドンと、ジメチルアセトアミドと、ジメチルホルムアミドとからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4に記載の接着剤。
  6. 請求項4に記載の接着剤を使用し、ソフト回路板を製造する方法であって、
    (a) 請求項4に記載の接着剤を金属箔上に塗布する工程と、
    (b) 加熱して溶剤を除去することにより、接着剤層を形成する工程と、
    (c) 窒素ガス雰囲気中で、前記接着剤層を加熱硬化する工程と、
    を含むことを特徴とするソフト回路板の製造方法。
  7. 前記工程(c)の前に、前記金属箔と別な金属箔を前記接着剤層に積層することにより、前記接着剤層が前記2枚の金属箔の間に位置するように構成する工程をさらに含み、これにより、金属箔−接着剤層−金属箔の構成を有する両面ソフト回路板を製造することを特徴とする請求項6に記載のソフト回路板の製造方法。
  8. 前記金属箔は、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、およびそれらの合金箔よりなる群から選ばれることを特徴とする請求項6に記載のソフト回路板の製造方法。
  9. ポリイミド樹脂の製造方法であって、
    (a)非プロトン性溶剤の存在下に、酸二無水物モノマーの総量中に、式(I)に示す酸二無水物5〜20モル%、ベンゾフェノン-3,3',4,4'-テトラカルボン酸二無水物60〜80モル%、ビフェニル-3,3',4,4'-テトラカルボン酸10〜20モル%、及び4,4'-オキシジフタル酸二無水物5〜15モル%を含む酸二無水物モノマーと、
    少なくとも下記式(II)に示されるジアミンを含むジアミンモノマーと、
    を0.75〜1.25のモル比率(酸二無水物モノマー/ジアミンモノマー)で重縮合反応させることによりポリアミド酸樹脂を形成する工程と、
    (b)前記工程(a)で得られるポリアミド酸樹脂をイミド化する工程と、
    を含むことを特徴とするポリイミド樹脂の製造方法;
    Figure 0004527687
    ( I )

    (式(I)中、Rは、酸素原子又はO(CH2)nOを示し、nは、1〜2の整数を示す。)、
    Figure 0004527687
    ( II )

    (式(II)中、Arは、下記に示される基のいずれかである;
    Figure 0004527687
    Figure 0004527687
    )。
  10. 前記式(I)中のRが、酸素原子またはO(CH2)2Oを示すことを特徴とする請求項9に記載のポリイミド樹脂の製造方法。
  11. 前記酸二無水物モノマーと、前記ジアミンモノマーとのモル比率(酸二無水物モノマー/ジアミンモノマー)が、0.9〜1.1であることを特徴とする請求項に記載のポリイミド樹脂の製造方法。
  12. 前記非プロトン性溶剤は、N-メチル-2-ピロリドンと、ジメチルアセトアミドと、ジメチルホルムアミドとからなる群より選ばれる一種であることを特徴とする請求項9に記載のポリイミド樹脂の製造方法。
  13. 前記非プロトン性溶剤に、ベンゼン、トルエン、シクロへキサノール、およびそれらの混合物からなる群より選ばれる有機溶剤を添加することを特徴とする請求項12に記載のポリイミド樹脂の製造方法。
  14. 前記工程(b)のイミド化反応を、100〜450℃温度条件下で行うことを特徴とする請求項9に記載のポリイミド樹脂の製造方法。
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