(1)[角柱パイプ体]
図1は閉断面が角柱形状のパイプ体の概略構成を示す斜視図を示し、図2はその角柱パイプ体の側面図を示している。
この図1、図2において、1は角柱パイプ体を示している。この角柱パイプ体1はここでは閉断面の幾何学的な形状が四角形、例えば正方形である。この角柱パイプ体1は底面構成壁部2、この底面構成壁部2に隣接する一対の側面構成壁部3、4、及びその底面構成壁部2に対向する上面構成壁部5からなっている。
上面構成壁部5は一対の合わせ目構成壁部5a、5bからなっている。一対の合わせ目構成壁部5a、5bはその端面5c、5dが互いに密着されて、上面構成壁部5の中央に合わせ目5eが形成されている。
(2)[項目(1)の角柱パイプ体の製造方法]
この角柱パイプ体1は図3に示す矩形状の金属プレート(板金)6を素材として用いる。そして、角柱パイプ体1はプレス加工によって成形される。その金属プレート6にはあらかじめ取り付け用のネジ穴6a、6aが適宜箇所に形成されている。そのネジ穴6a、6aはこのパイプ体1を後述する支持手段として用いて図示を略す複写機に取り付ける際に使用される。
(角柱パイプ体の製造に使用する一次中間成形品)
まず、第1加工ステップにおいて、金属プレート6を用いて合わせ目5eが属する一対の合わせ目構成壁部5a、5bが形成される。
この合わせ目構成壁部を形成するために、金属プレート6の一対の辺部6b、6bをその辺に沿って延びる折り曲げ線6c、6cに沿って直角(90度)にかつ同方向に折り曲げて起立させる。なお、符号6eは金属プレートの一対の辺を示す。
すなわち、図4に示すように、互いに対向しかつ合わせ目構成壁部5a、5bがその辺部6b、6bの延びる方向に長く延びる一次中間成形品8をプレス加工により形成する。その図4において、符号9は未折り曲げ部である。
この一次中間成形品8のプレス加工には、例えば、図5(a)に示すプレス装置10が用いられる。このプレス装置10は固定プレート11と加圧パンチ部材12と可動プレート12’とから概略構成されている。可動プレート12’は固定プレート11の凹所13に摺動可能に設けられている。
その可動プレート12’は図示を略すプレス装置本体の油圧によって鉛直方向上方に付勢されている。金属プレート6は可動プレート12’に載置されている。その金属プレート6は、固定プレート11に対して距離Hだけ離れて浮いている。その可動プレート12’の上方には加圧パンチ部材12’が対向されている。
一次中間成形品8は、加圧パンチ部材12を下降させ、金属プレート6を可動プレート12’と加圧パンチ部材12とで図5(b)に示すように狭持しつつ加圧することによって形成される。
(角柱パイプ体の製造に使用する二次中間成形品)
次いで、第2加工ステップにおいて、図4に示す折り曲げ線6d、6dに沿って一次中間成形品8の未折り曲げ部9が折り曲げられる。これによって、図6(a)、図7に示す二次中間成形品14が形成される。その金属プレート6の寸法、折り曲げ線の位置は、プレス加工による金属プレート6の延び量を見越して設計されている。
これによって、合わせ目構成壁部5a、5b以外の残余の構成壁部として底面構成壁部2に対応する一構成壁部15と、この底面構成壁部2に隣接して一対の側面構成壁部3、4に対応する一対の隣接面構成壁部16、16が形成される。その二次中間成形品14の合わせ目5eは非密着状態である。
その一構成壁部15は図6(b)に拡大して示すように、平坦部15aと平坦部15bと湾曲部15cとからなる。湾曲部15cは平坦部15aと平坦部15bとの間に位置し、平坦部15aは隣接面構成壁部16に隣接している。
その平坦部15aと隣接面構成壁部16との成す角度θ1は、図1に示す角柱パイプ体1を完成させたときの底面構成壁部2と一対の側面構成壁部3、4との成す角度θ(図2参照)よりも大きい。ここでは、角度θは90度であり、角度θ1は鈍角とされている。
図6、図7に示す二次中間成形品14には、その一構成壁部15に湾曲部15cが形成されている。しかし、図8に示す湾曲部15cが形成されていない二次中間成形品14を角柱パイプ体1の形成に用いることもできる。
しかしながら、二次中間成形品14に湾曲部15cを形成した方が、後述する製造装置を用いて底面構成壁部2を形成したときの平面性を確保するうえで望ましい。また、角度θ1が同一の場合、この湾曲部15cを設けることによって、合わせ目構成壁部5a、5bの開き量を大きくできる。
この図6、図7に示す二次中間成形品14のプレス加工には、例えば、図9(a)に示すプレス装置17が用いられる。そのプレス装置17は固定プレート19と加圧パンチ部材20と可動プレート20’とから概略なっている。可動プレート20’は固定プレート19の凹所に摺動可能に設けられ、図示を略すプレス装置本体の油圧により鉛直方向上方に付勢されている。
その固定プレート19の凹所周壁19aはテーパ形状にされている。その凹所周壁19aと固定プレート19の上面との成す角度はほぼθ1に等しい。加圧パンチ部材20はパンチ部20aを有する。パンチ部20aの周壁20bは凹所周壁19に対応する形状とされている。
パンチ部20aの下面は、中間成形品14の一構成壁部15の形状を形成することができるように、上方に向かって凹曲面形状とされている。可動プレート20’の上面20’aはそのパンチ部20aの下面の形状に対応して上方に向かって凸面形状とされている。
一次中間成形品8は可動プレート20’に載置され、固定プレート19に対して隙間H’を開けて浮いている。加圧パンチ部材20’を下降させ、一次中間成形品14の一構成壁部を図9(b)に示すように可動プレート20’と加圧パンチ部材20とによって狭持しつつ加圧する。これによって、二次中間成形品14が形成される。
次に、加圧パンチ部材20を上昇させ、凹所16から二次中間成形品14を取り出す。そして、紙面と直交する長手方向に二次中間成形品14を加圧パンチ部材20から引き抜いて、二次中間成形品14を加圧パンチ部材20から取り外す。図8に示す二次中間成形品8を製作する場合には、図10に示すようにパンチ部20aの下面20c及び可動プレート部材20’の上面20’aが平坦な構成のプレス装置17を用いれば良い。
この図9、図10に示すプレス装置17では、二次中間成形品14を加圧パンチ部材20から引き抜かなければ、二次中間成形品14を加圧パンチ部材20から取り外すことができない。
しかし、図11(a)、図11(b)に示すように、二次中間成形品14の隣接面構成壁部16と一構成壁部15との成す角度θ2を図6、図7に示す二次中間成形品14の隣接面構成壁部16と一構成壁部15との成す角度θ1よりも大きく形成すれば、加圧パンチ部材20を上昇させるのみで、加圧パンチ部材20から二次中間成形品14を取り外すことができる。
従って、図11に示す二次中間成形品14の場合には、その二次中間成形品14をその長手方向に加圧パンチ部材20から引き抜くという作業工程を省くことができる。この図11に示す二次中間成形品14によれば、その分、成形作業の効率化を図ることができる。
ここでは、パイプ体1の閉断面の形状が正方形の場合について説明している。しかし、閉断面形状が図12に示す長方形の場合には、長方形の長辺に対応する隣接面構成壁部16の長さが長くなり、その長方形の短辺に対応する上面構成壁部5を構成する一対の合わせ目構成壁部5a、5aの開き量が大きくなる。従って、二中間成形品14の隣接面構成壁部16と一構成壁部15との成す角度がθ1のままでも加圧パンチ部材20を上昇させるのみで、加圧パンチ部材20から二次中間成形品14を取り除くことができる。
(角柱パイプ体の製造装置の例1)
次に、その二次中間成形品14を完成品としての角柱パイプ体1に成形するために、図13に示すプレス成形装置(加工装置本体)21にセットする。
そのプレス成形装置21は下型(固定型)22と上型(可動型)23とからなっている。下型22は固定プレート24を有し、上型23は可動プレート25を有する。固定プレート24には一対のストッパー部材26、26、一対の加圧パンチ部材27、27が設けられている。
この加圧パンチ部材27、27は摺動レール(図示を略す)上にスライド可能に設けられ、図示を略すスプリング部材によって互いに離間する方向に付勢されている。この加圧パンチ部材27、27は互いに離反接近する方向に摺動レール上を可動される。図7に示す二次中間成形品14は一構成壁部15が下向きになるようにして、加圧パンチ部材27、27の対向空間28にセットされる。
可動プレート25には、加圧パンチ部材27、27を駆動するための駆動部材29、29が取り付けられると共に、一対の合わせ目構成壁部5a、5bを加圧するための加圧パンチ部材30が取り付けられている。
その駆動部材29、29の下端部にはテーパー部29a、29aが形成され、加圧パンチ部材27、27の上端部にはテーパー部29a、29aと係合するテーパー部27a、27aが形成されている。
図13は下型24と上型25とが離間されて二次中間成形品14が対向空間28にセットされた状態が示されている。上型23が矢印A1で示すように、下降されると、図14に示すように、駆動部材29、29のテーパー部29a、29aが加圧パンチ部材27、27のテーパー部27a、27aに係合する。これによって、加圧パンチ部材27、27が互いに接近する方向に可動される。
すると、加圧パンチ部材27、27のパンチ面27b、27bが隣接面構成壁部16、16と合わせ目構成壁部5a、5bとの屈曲部31に当接する。これによって、一対の隣接面構成壁部16、16が外力により互いに接近する方向に加圧される。すなわち、加圧パンチ部材27、27は隣接面構成壁部16、16に当接して側壁を形成する側壁形成パンチ部材としての役割を果たす。
更に、加圧パンチ部材27、27が互いに接近する方向に可動される。すると、図15に示すように、屈曲部31がパンチ面27b、27bを上方に向かって滑りつつ一対の構成壁部16が起立されると共に、一構成壁部15が下方に向かって外方に膨らんで凸曲面部32を呈する状態となる。
そして、更に、上型23が下降されると、可動パンチ部材27、27のテーパー部27a、27aと駆動部材29、29のテーパー部29a、29aとの係合が解除される。その結果、図16に示すように、加圧パンチ部材27、27の可動が停止される。これによって、合わせ目構成壁部5a、5bの端面同士が互いに密着されて、合わせ目5eが密着した上面構成壁部5が形成されると共に、一対の側面構成壁部3、4が形成される。
この加工ステップが第3加工ステップである。この第3加工ステップでは、加圧パンチ部材30はまだ一対の合わせ目構成壁部5a、5bに当接していない。図17(a)にはその一対の側面構成壁部3、4と合わせ目5eが密着された上面構成壁部5とを有する二次中間成形品14が示されている。この状態で、加圧パンチ部材27、27が互いに離反される方向に可動されると、図17(b)に示すように、一対の側面構成壁部(一対の隣接面構成壁部)3、4に生じるスプリングバック力f1、f1によって、合わせ目構成壁部5a、5bの端面5c、5dが離間されて、合わせ目5eが開くこととなる。この合わせ目5eの開き量をδ1とする。
次いで、図18に示すように、一対の加圧パンチ部材27、27の可動を停止させ、その側面構成壁部3、4への加圧力を保持させた状態で、更に続けて、上型23を下降させる。すると、加圧パンチ部材30が一対の合わせ目構成壁部5a、5bに当接して、この合わせ目構成壁部5a、5bが加圧される。この加圧パンチ部材30の加圧による反力によって、凸曲面部32が固定プレート24によって加圧変形されて平坦化され、底面構成壁部2が形成される。この加工ステップが第4加工ステップである。
このとき、加圧パンチ部材30は、合わせ目構成壁部5a、5bと一構成壁部15とを加圧する合わせ目構成壁部加圧パンチ部材として機能する。
次に、上型23を上昇させると、加圧パンチ部材30が一対の合わせ目構成壁部5a、5bから離間されると共に、駆動部材29、29と加圧パンチ部材27、27との係合が解除される。この係合解除によって、加圧パンチ部材27、27が互いに離間する方向に可動されて、図1、図2に示す角柱パイプ体1が成形される。
図19はこのようにして形成された角柱パイプ体1の作用の説明図である。この図19に示すように、角柱パイプ体1の底面構成壁部2は、破線で示すように元の凸曲面部32に戻ろうとするスプリングバック力f3が働いている。
これによって、合わせ目構成壁部5a、5bが互いに接近する方向(閉じられる方向)の力が与えられる。このスプリングバック力f3に基づく合わせ目5eの閉じ量δ2をスプリングバック力f1に基づく合わせ目5eの開き量δ1以上に設定すれば、加圧パンチ部材27、27による側面構成壁部3、4への外力を取り去ったとしても、合わせ目5e同士の密着状態が保たれる。
このようにして形成された角柱パイプ体1の底面構成壁部2の角部の内面と側面構成壁部3、4の角部の内面との成す角度(平坦部15aと側面構成壁部3、4の成す角度)θ3は、二次中間成形品14を形成するときの加工硬化によって、図20に拡大して示すように、二次中間成形品14の一構成壁部15と隣接面構成壁部16との成す角度θ1に保たれたままとなる。
(角柱パイプ体1の応力分布解析)
図95は応力歪みの解析モデルに使用したシェル要素200を示している。このシェル要素200は二次中間成形品14の断面形状に対応している。その二次中間成形品14に使用した金属製プレートの板厚は1.2mm、完成後の角柱パイプ体1の外形寸法は30mm×20mmであるとした。
また、符号201は固定プレート24に対応する剛体を示し、符号202、203はパンチ面27b、27bに対応する剛体を示し、符号204は加圧パンチ部材30に対応する剛体を示している。シェル要素200の各構成部分については、二次中間成形品14の各構成部分に付した符号と同一符号を付して説明することとする。
この角柱パイプ体1の応力分布の解析には、非線形構造解析汎用有限要素プログラム(商標名:MARC K6.3)を用いて行った。
このシェル要素200の物性値は、以下に記載する通りである。
ヤング率…2.068×1011(N/mm)
ポアソン比…0.29
密度…7.82×103(Kg/m3)
降伏応力…2.48×108(Pa)
なお、二次中間成形品14には残留応力が存在しているが、この残留応力は考慮しないこととして、説明することとする。
図95は剛体202、203が屈曲部31、31に当接した直後の状態を示している。横軸をX、縦軸をYとして、このときの剛体202、203の移動量を0とする。剛体202、203を0.05mmずつ互いに接近させた状態が図96に示されている。これによって、二次中間成形品14の一構成壁部15の領域205に応力歪みが集中して発生し、その値は約6.147×10+6〜約1.434×10+7(Pa)の範囲に渡っている。一対の隣接構成壁部16の上部側、屈曲部31、31、一対の合わせ目構成壁部5a、5bにはほとんど応力歪みは発生していない。
更に、剛体202、203を各3mmずつ互いに接近させる方向に接近させると、応力歪みにより図97に示すように一構成壁部15が平坦面に変形される。このとき、一構成壁部15の領域205に生じている応力歪みは約3.025×10+8〜4.321×10+8(Pa)の範囲である。一構成壁部15の中央部に存在する領域205’の応力歪みが最も大きく、その値は約3.889×10+8〜約4.321×10+8(Pa)である。一対の隣接構成壁部16の下部領域206には下部から上部に向かって約4.321×10+8〜2.593×10+8(Pa)の応力歪みが生じている。
更に、剛体202、203を各7.5mmずつ接近させると、図98に示すように一構成壁部15は外側に向かって凸となる。このとき、領域205には3.882×10+8〜4.854×10+8(Pa)程度の応力歪みがほぼ一様に生じているが、中央部の領域205’の内面側と外面側の応力歪みが最も大きい。図98に示す領域206の応力歪みの値は図97示した状態の二次中間成形品14の領域205の応力歪みとほとんど値は変わらない。
剛体202、203を各10.45mmずつ接近させると、図99に示すように一対の合わせ目構成壁部5a、5bの合わせ目5eが接触する。このとき、領域205には3.972×10+8〜4.974×10+8(Pa)の範囲の応力歪みが一様に発生する。領域205’の外面側と内面側との応力歪みは、領域205の範囲の応力歪みよりも大きい。また、一対の合わせ目構成壁部5a、5bの領域207の応力歪みは1.968×10+8〜4.473×10+8(Pa)の範囲にある。この時点で剛体202、203の移動を停止する。
この図99に示す時点で、剛体202、203を5mmずつ離間させる方向に移動させた状態が図100に示されている。これによって、合わせ目5eが開く。これは、領域205に生じていた応力歪みが低減されるためである。
図99と図100とを比較して見ると、底面構成壁部2に相当する一構成壁部15の凸面形状はほとんど変わらず、その一構成壁部15は、塑性変形により凸面形状の状態が維持される。従って、隣接面構成壁部16と一構成壁部15との角部208に存在する応力歪みによって合わせ目5eが開いたと推定される。
その領域205に残留している残留応力歪みは、約8.025×10+7〜約1.607×10+8(Pa)である。
図101には、剛体204を一対の合わせ目構成壁部5a、5bに接触して合わせ目構成壁部5a、5bを加圧した状態が示されている。領域205にはその角部208、208に3.945×10+8〜4.383×10+8(Pa)の範囲の応力歪みが発生している。領域205’の応力歪みは角部208、208に生じている応力歪みよりも低く4.383×10+7〜3.068×10+8(Pa)の範囲内にある。これは、一構成壁部15の中央部を支点にして塑性変形が始まった結果と考えられる。領域207は剛体204の加圧力を受けて応力歪みが上昇し、その値は3.945×10+8〜4.383×10+8(Pa)である。
図101に示す状態から、更に図102に示すように剛体204を0.65mmほど下降させると、一構成壁部(底面構成壁部2)15の塑性変形が進み、底面構成壁部2が中央部を支点にして平坦に塑性変形する。塑性変形の領域は中央部を支点にして一構成壁部16、16の側に伝搬し、この領域に符号209、209を付する。また、中央部の領域205’は加圧力の影響を受けて上昇する。領域205’の応力歪みは4.734×10+8〜5.260×10+8(Pa)程度である。領域205の角部208、208の応力歪みも同程度であり、領域209、209の応力歪みは5.260×10+7〜2.630×10+8(Pa)程度である。領域207の応力歪みは約3.682×10+8〜5.260×10+8(Pa)程度である。
図102に示す状態から剛体204を更に下降させ、1.65mm程度可動させると、図103に示すように、一対の側面構成壁部3、4が拘束されつつ底面構成壁部2に対向しかつ合わせ目5eを有する上面構成壁部5に加圧力が加えられて、底面構成壁部2の中央部を支点にして底面構成壁部2が平坦に塑性変形される。
これによって、底面構成壁部2と一対の側面構成壁部3,4との為す角度が直角になる。また、一対の側面構成壁部3、4と底面構成壁部2との角部208、208に存在して合わせ目5eを開かせようとする応力歪みを打ち消す方向の残留応力歪みが底面構成壁部2の中央部の領域205’に残存した状態となる。
また、底面構成壁部2の角部208と中央部の領域205’との間に残留応力歪みの低い領域209が残存した状態となる。
更に、一対の側面構成壁部3、4が拘束された状態で底面構成壁部2が平坦に塑性変形されるので、一対の側面構成壁部3、4の領域210、210の応力歪みも上昇する。領域205’の応力歪みは約4.398×10+8〜5.497×10+8(Pa)であり、領域207の応力歪みは4.398×10+8〜4.947×10+8(Pa)であり、角部208、208の応力歪みは5.497×10+7〜1.649×10+8(Pa)であり、領域210、210の応力歪みは3.848×10+8〜4.947×10+8(Pa)程度である。
この図103に示す状態で、剛体202、203を離間させる方向に退避させて8.75mmの位置で停止させると共に、剛体204を0.855mmの位置にまで上昇させた状態が図104に示されている。
剛体202〜204を離間させた状態で、矩形状のパイプ体1は合わせ目5eが密着されたままの形状を保っている。底面構成壁部2が塑性変形されたからである。
剛体202〜204の退避により、応力歪みが全体として低減され、領域207、209の応力歪みは4.491×10+7〜1.347×10+8(Pa)の範囲に減少している。ただし、領域207から領域210の屈曲部31には一対の合わせ目構成壁部5e、5eが突き当たることによって、1.347×10+8〜2.695×10+8(Pa)程度の残留応力歪みが生じている。
また、底面構成壁部2の中央部の領域205’には外側に向かってこの底面構成壁部2を膨らませる方向の残留応力歪みが残存し、その値は1.796×10+8〜3.144×10+8(Pa)程度である。更に、領域205の角部208には合わせ目構成壁部5a、5bが突き当たることにより生じる残留応力と中央部の領域205’に存在する残留応力とにより、3.593×10+8〜4.042×10+8(Pa)程度の残留応力が生じている。また、中央部の領域205’の残留応力よりも低くかつ外側に向かって凸形状の残留応力の領域209’が底面構成壁部2に生じている。
更に、底面構成壁部2は剛体201によって外面が規制されているため、塑性変形に起因する凹凸形状部211が内面側に発生している。
この図101〜図104に示すように、一対の側面構成壁部2、3を拘束しつつ底面構成壁部2の中央部を支点にして底面構成壁部2を塑性変形させて平坦面に変形させることにより、一対の側面構成壁部3、4と底面構成壁部2との角部208に応力を集中させつつ、底面構成壁部2と一対の側面構成壁部3、4との為す角度を直角に変形させることができる。
従って、二次中間成形品14の内部に曲げ元を押さえて直角に変形させるための芯金治具を挿入して直角に変形させなくとも、二次中間成形品14を直角に折り曲げて、角柱パイプ体1を成形できる。
以上、応力歪みについて説明したが、ここで示した応力歪みの数値は相対的なものであり、絶対値ではない。
なお、図95〜図104の左側には、応力値の範囲を10等分して色分けしたバーグラフが示されている。図95〜図104に示す二次中間成形品14(シェル要素)にはそのバーグラフの色分けに従って応力歪みが色表示されているものである。これについては、後日、図95〜図104に対応するカラー図面を物件提出書によって提出する。
(角柱パイプ体の製造装置の例2)
図21は図1に示す角柱パイプ体1の製造装置の別の例を示している。この図21に示す角柱パイプ体1の製造装置は、可動プレート25に一対の合わせ目構成壁部5a、5bを加圧するための加圧パンチ部材30は設けられていない。その代わりに、加圧パンチ部材27、27のパンチ面27b、27bに摩擦接触部材27c、27cが設けられている。
その図21は下型24と上型25とが離間されて二次中間成形品14が対向空間28にセットされた状態が示されている。上型23が、矢印A1で示すように、下降されると、図22に示すように、駆動部材29、29のテーパー部29a、29aが加圧パンチ部材27、27のテーパー部27a、27aに係合する。これによって、加圧パンチ部材27、27が互いに接近する方向に可動され、加圧パンチ部材27、27の摩擦接触部材27c、27cが隣接面構成壁部16、16と合わせ目構成壁部5a、5bとの屈曲部31に当接する。その結果、一対の隣接面構成壁部16、16が外力F1により互いに接近する方向に加圧される。
これによって、一構成壁部15に応力が集中するが、隣接面構成壁部14と屈曲部15aとの境界部分、屈曲部15aと平坦部15bとの境界部分は加工硬化により変形し難く、平坦部15bに固定プレート26に当接する方向の力F2が働く。
これと同時に、図23に示すように、屈曲部15aには中間成形品14を浮き上がらせようとする反力R1が働く。摩擦接触部材27cと屈曲部31との静止摩擦力F3が反力R1よりも大きな条件が保たれるように摩擦接触部材27cの材料を選択すると、屈曲部15aと固定プレート26との接触状態が維持される。
この接触状態を維持しつつ、更に、加圧パンチ部材27、27が互いに接近する方向に可動されると、図24に示すように、屈曲部31がパンチ面27b、27bを上方に向かって若干ずれながら一対の構成壁部16が起立される。と同時に、平坦部15bが固定プレート26との隙間がなくなる方向に変形して固定プレート26に当接する。
この平坦部15aの固定プレート26への当接によって、平坦部15bに反力R2が生じる。その摩擦接触部材27cと屈曲部との静止摩擦力F3がその反力R2と反力R1との和以上であれば、平坦部15bと固定プレート26との接触状態が維持されつつ、平坦部15bが固定プレート26に当接する方向に更に変形される。
なお、この図24において、符号δ1’は仮に固定プレート26がないとした場合に、合わせ目5eが密着するまで一対の加圧パンチ部材27を互いに接近する方向に可動させて、その後、加圧パンチ部材27を互いに離間させる方向に可動させたときに、一構成壁部15が元の凸曲面形状に戻ろうとするスプリングバック力に基づく開き量であり、符号δ2’は後述するスプリングバック力に基づく閉じ量である。
この図24に示す状態から、更に、上型23が下降されると、可動パンチ部材27、27のテーパー部27a、27aと駆動部材29、29のテーパー部29a、29aとの係合が解除される。その結果、図25に示すように、加圧パンチ部材27、27の可動が停止され、合わせ目構成壁部5a、5bの端面同士が互いに密着される。これによって、合わせ目5eが密着した上面構成壁部5が形成されると共に、一対の側面構成壁部3、4、底面構成壁部2が形成される。この図24に示す状態から図25に示す状態に至るまでの過程で、合わせ目5eは閉じ量δ2’に相当する分だけ変位する。
次に、上型23が上昇されると、駆動部材29、29と加圧パンチ部材27、27との係合が解除される。この係合解除によって、加圧パンチ部材27、27が互いに離間する方向に可動されて、側面構成壁部3、4に加わっていた外力F1、底面構成壁部2に加わっていた外力F2、反力R1、R2が取り除かれて図1、図2に示すパイプ体1が成形される。
図26は図21に示す製造装置によって形成された角柱パイプ体1の作用の説明図である。この図26(a)に示す角柱パイプ体1の底面構成壁部2は、図26(b)に示すように外力F2が取り除かれたことによって元の形状に戻ろうとするスプリングバック力f2’が生じる。これによって、合わせ目構成壁部5a、5bが互いに離間する方向に変位しようとし、合わせ目5eが開き量δ1’だけ開こうとする。
一方、底面構成壁部2には、図26(c)に示すように反力R2が取り除かれたことによって元の形状に戻ろうとするスプリングバック力r2が生じる。このスプリングバック力r2に基づく合わせ目5eの閉じ量δ2’をスプリングバック力f2’に基づく合わせ目5eの開き量δ1’以上に設定すれば、加圧パンチ部材27、27による側面構成壁部3、4への外力を取り去ったとしても、合わせ目5e同士の密着状態が保たれる。
その角柱パイプ体1の製造装置では、摩擦接触部材27cを加圧パンチ部材27に設けて、中間成形品14の一対の隣接面構成壁部16の加圧中に、一構成壁部15と固定プレート24との接触状態を維持することにした。
この摩擦接触部材27cを加圧パンチ部材27に設ける代わりに、図27に示すように、加圧パンチ部材27に係合突起27c’を設けて、中間成形品14の一対の隣接面構成壁部16の加圧中に、一構成壁部15と固定プレート24との接触状態を維持させるようにしても良い。
(角柱パイプ体の製造装置の例3)
図28は図1に示す角柱パイプ体1の製造装置の別の例を示している。
この図28に示す角柱パイプ体1の製造装置を用いると、図29、図30に示すように、一対の側面構成壁部3、4に、長手方向に適宜間隔を開けて、凸部3a、4aが合わせ目5eを通る中心線O1に対して左右対称に形成される。
その図29、図30に示す角柱パイプ体1の素材には、図3に示す金属プレート6が用いられ、図5に示す加工装置によって、図4に示す一次成形品8が成形される。
第2加工ステップでは、図7に示す二次中間成形品14と概略同形状の二次中間成形品が形成される。ただし、ここでは、図31に示すように平坦部15aと隣接面構成壁部16との為す角度が略直角に形成される。
この二次中間成形品14の成形には、図32に示すプレス装置が用いられる。この図32に示すプレス装置は、加圧パンチ部材20の下面形状と可動プレート20’の上面形状とが異なるのみで、その他の構成は図9に示すプレス装置とその構成は同じであるので、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
図28に示す角柱パイプ体1の製造装置には、一対の加圧パンチ部材27、27のパンチ面27b、27bに、図29に示す角柱パイプ体1の長手方向に間隔を開けて突起部3a、4aを形成するための突起形成用凸部27dが紙面に対して垂直方向に間隔を開けて形成されている。
その他の構成は、図13に示す製造装置とその構成が同一であるので、その詳細な説明は省略し、図33〜図35を併せて参照しつつその作動を説明する。
二次中間成形品14は、図28に示すように、まず、第3加工ステップとして、底面構成壁部2が下向きとなるように加圧パンチ部材27,27の対向空間28にセットされる。
この状態から矢印A1で示すように上型23が下降されると、駆動部材29,29のテーパー部29a,29aが加圧パンチ部材27,27のテーパー部27a,27aに係合する。これによって、図33に示すように加圧パンチ部材27,27がスプリング部材の付勢力に抗して互いに接近する方向に駆動される。
これにより、加圧パンチ部材27,27のパンチ面27b,27bが側面構成壁部3,4と合わせ目構成壁部5a,5bとの境界である屈曲部31,31に当接し、側面構成壁部3,4がそのパンチ面27b,27bにより加えられる外力によって互いに接近する方向に加圧される。
加圧パンチ部材27,27が互いに接近する方向にさらに駆動されると、底面構成壁部2の湾曲が取り除かれつつ端面5c,5dが接近して最終的には密着する。これによって、図34に示すように、上面構成壁部5が形成される。また、このとき、突起形成用凸部27cにより側面構成壁部3,4の底面構成壁部2に近い箇所(少なくとも、側面構成壁部3,4の高さ方向中央よりも下側の箇所)に凸部3a,4aが形成される。
続いて、第4加工ステップとして、上型23がさらに下降されると、加圧パンチ部材27,27のテーパー部27a,27aと駆動部材29,29のテーパー部29a,29aとの係合が解除される。これによって、加圧パンチ部材27,27がその位置で停止される。この側面構成壁部3,4に対する加圧力が維持されている状態で、上型23がさらに下降される。すると、加圧パンチ部材30が上面構成壁部5に当接して、図35に示すように、上面構成壁部5が加圧される。この加圧パンチ部材30の加圧によって、上面構成壁部5、底面構成壁部2がより確実に平坦化される。しかし、この第4加工ステップは必ずしも必須ではない。
そして、上型23が上昇されて、下型22から分離されると、加圧パンチ部材27,27が再度互いに離反する方向に移動して、図29に示す角柱パイプ体1が得られる。
図36は図28に示す製造装置によって製造された角柱パイプ体1の説明図、図37は凸部を有しない角柱パイプ体1Aを示し、比較のための説明図である。この図37に示す角柱パイプ体1Aは、第3加工ステップにおいて凸部を形成しなかった点以外は図36に示す角柱パイプ体1と同様に製造される。その角柱パイプ体1Aの角柱パイプ体1と対応する部分には角柱パイプ体1と同一符号が付されている。
一般に、プレス加工(曲げ加工)により工作物に変形を与えると、スプリングバック(その加工力を除去した後に、工作物の有する弾性によって変形が多少元に戻る現象)が生じる。このため、角柱パイプ体1、角柱パイプ体1Aの底面構成壁部2はそのスプリングバックに伴って発生する応力(スプリングバック力)によって、図37に鎖線で示すように湾曲面に戻ろうとする傾向がある。
すなわち、加圧パンチ部材27,27による外力が取り除かれた後、合わせ目構成壁部5a,5bの端面5c,5dは互いに離れる傾向にある。このため、図37に示す角柱パイプ体1Aにおいて、溶接等を行うことなくその端面5c,5d間の隙間を確実に防止することは、先に述べたような工夫を行わなければ、困難である。
しかし、この図28に示す製造装置を用いて製造された角柱パイプ体1の場合、凸部3a,4aが側面構成壁部3,4に形成される。この凸部3a,4aの形成箇所には、図36に示すようにスプリングバック力f1”が生じる。このため、このスプリングバック力f1”が底面構成壁部2に生じるスプリングバック力を相殺する。又は、このスプリングバック力f1”がそれ以上の大きさをもって合わせ目5eを閉じるように作用する。
これにより、溶接等を行うことなく端面5c,5dを密着させて隙間を防止することができる。具体的には、図38(a)に示すように、底面構成壁部2に生じるスプリングバック力のみによって端面5c,5d間が開く量がδ1”であり、図38(b)に示すように、スプリングバック力f1”のみによって端面5c,5d間が閉じる量がδ2”とすると(但し、端面5c,5dは互いに干渉せずに自由に移動し得るものとする。)、δ1”≦δ2”のときに端面5c,5dが密着する。
また、その凸部3a,4aを底面構成壁部2の近く、つまり、合わせ目5eから遠い側に設けているので、図39に示すように、合わせ目構成壁部5の近く、つまり合わせ目5eから近い側に設けるよりも効率的に端面5c,5d間が閉じる方向の力を作用させることができる。さらに、凸部3a,4aは合わせ目5eに対して左右対称位置にあるので、その端面5c,5d間が閉じる方向の力をバランスよく作用させることができる。
この図28に示す角柱パイプ体1の製造装置は、従来から使用されている汎用のプレス機に突出部27c,27cを設けるだけで構成できるので、既存の設備を有効に利用して、設備投資を抑制しつつ製品の精度向上を図ることができる。
なお、その角柱パイプ体1の製造装置のプレス成形装置21では、合わせ目構成壁部5a,5bからなる上面構成壁部5とは異なる面(側面構成壁部3,4)に凸部を形成することにしたので、この凸部形成のための加圧力の影響により合わせ目構成壁部5a,5bがずれて上面構成壁部5がうまく形成されない等の事態が避けられる。
また、この図28に示す角柱パイプ体1の製造装置では、角柱パイプ体1の側面構成壁部3、4に凸部3a、4aを形成することにしたが、凸部3a、4aを側面構成壁部3、4ではなく、底面構成壁部2に形成する構成とすることもできる。
この場合には、図40に示すように、固定プレート22に凸部形成用突起部22aを設ける。そして、加圧パンチ部材30によって上方から二次中間成形品14を加圧する際に底面構成壁部2の中央に凸部2aを形成する。
なお、ここでは、図29に示すように、複数の凸部3a、4aを長手方向に間隔を開けて形成することにしたが、長手方向に延びる線条凸部を側面構成壁部3、4に形成する構成とすることもできる。
(3)[締結板部を有する角柱パイプ体の例1]
図41〜図43は締結板部を有する角柱パイプ体を示す。
図41(a)に示す角柱パイプ体1は、その端面部1aに一対の平行締結板部1b、1bが形成されている。この平行締結板部1b、1bは側面構成壁部3、4から平行に突き出て形成されている。その各平行締結板部1b、1bにはネジ穴1c、1cが形成されている。
この角柱パイプ体1は、例えば、図41(b)に示す断面コ字形状部材50にネジ止め固定するのに用いる。その断面コ字形状部材50は、底面部50aと一対の起立壁部50b、50bとからなる。
角柱パイプ体1はその端面部1cを底面部50aに突き当て、一対の起立壁部50b、50bに平行締結板部1b、1bをあてがって、一対の起立壁部50bと平行締結板部1b、1bとをネジ止めすることにより、断面コ字形状部材50の底面部50aに固定される。
図42(a)に示す角柱パイプ体1は、その端面部1aに一対の屈曲締結板部1d、1dが形成されている。この屈曲締結板部1d、1dは図41(a)に示す平行締結板部1c、1cを外側に向かって折り曲げることにより形成される。
この図42(a)に示す角柱パイプ体1は、例えば、図42(b)に示すように、断面コ字形状部材50と、屈曲締結板部1d、1dとを底面部50に突き当て、底面部50と屈曲締結板部1d、1dとをネジ止めすることにより、断面コ字形状部材50の底部に固定される。
また、その図42(a)に示す角柱パイプ体1は、例えば、その端面部1aを図42(c)に示す直方体形状ブロック体51の上面部51aに突き当てると共に、屈曲締結板部1d、1dを突き当て、屈曲締結板部1d、1dと上面部51aとをネジ止めすることにより、直方体形状ブロック体51の上面部51aに固定される。
図43(a)に示す角柱パイプ体1は、その端面部1aに一対の屈曲締結板部1e、1eが形成されている。この屈曲締結板部1e、1eは図41(a)に示す平行締結板部1b、1bを内側に向かって折り曲げることにより形成される。
この図43(a)に示す角柱パイプ体1は、例えば、その屈曲締結板部1e、1eを図43(b)に示す断面コ字形状部材50の底面部50に突き当て、底面部50aと屈曲締結板部1e、1eとをネジ止めすることにより、その断面コ字形状部材50の底面部50aに固定される。
この図41〜図43に示す角柱パイプ体1は、その端面部に締結板部が形成されているので、他部材への角柱パイプ体1の締結に際し、締結専用のブラケット部材を用いることなく、角柱パイプ体1を他部材に締結固定することができる。
また、図41〜図43に示すように、締結板部の形状に工夫を加えることができるので、他部材への締結の自由度が向上する。
更に、角柱パイプ体1の端面部1aに一体に締結板部を形成して他部材との締結を図る構成であるので、締結部材を一体に有していない図1(a)に示す角柱パイプ体1に較べて締結強度の向上を図ることができる。
加えて、この図41(a)、(b)、図42、図43の角柱パイプ体1では、加工変形を大きく受ける底面構成壁部2と合わせ目を有する上面構成壁部5とを避けて締結板部を形成することにしたので、その締結板部の寸法精度を確保することができる。
底面構成壁部2に締結板部を形成するときは、図41(c)に示すように端面部1cから平行に突き出して、その先端部分を折り曲げて屈曲締結板部1fを形成すれば、その寸法精度の確保を図ることができる。
底面構成壁部2は角柱パイプ体1を加工形成する際に凹凸変形を受けるため、予め前工程で屈曲締結部を形成することが困難であるが、図41(c)に示すように平行に突き出た部分を設けて後から曲げ加工することにすれば、底面構成壁部2に屈曲締結板部を容易に形成できる。
[項目(3)の角柱パイプ体の製造方法]
図41に示す角柱パイプ体1の製造には、図48に示す金属プレート6を用いる。この金属プレート6には、打ち抜きによって予め一対の平行締結板部1b、1bが形成されている。
この金属プレート6を図5に示すプレス装置10にセットしてプレス加工し、図49に示す一次中間成形品8を形成する。次いで、この図49に示す一次中間成形品14を図9に示すプレス装置17にセットしてプレス加工し、図50に示す二次中間成形品14を形成する。
そして、この図50に示す二次中間成形品14を図13、図21、図28に示すいずれかのプレス加工装置21にセットして加工すれば、図41(a)に示す角柱パイプ体1を形成することができる。
図42に示す角柱パイプ体1は、図48に示す金属プレート6に形成されている平行締結板部1bを外側に向かって起立させて、図5に示すプレス装置10にセットしてプレス加工する。
これによって、図51に示す一次中間成形品8が形成される。次いで、この図51に示す一次中間成形品14を図9に示すプレス装置17によってプレス加工し、図52に示す二次中間成形品14を形成し、この二次中間成形品14を図13、図21、図28に示すいずれかのプレス加工装置21にセットして加工すれば、図42に示す角柱パイプ体1を形成することができる。
図43に示す角柱パイプ体1の製造には、図53に示す金属プレート6を用いる。この金属プレート6には、打ち抜きによって予め一対の締結板部1b’、1b’が形成されている。一次中間成形品8を形成する前に、この金属プレート6の一対の締結板部1b’、1b’を内側に向かって起立させる。
その後、この金属プレート6を図5に示すプレス装置10にセットしてプレス加工することにより、図54に示す一次中間成形品8が形成される。次いで、この図54に示す一次中間成形品8を図9に示すプレス装置17にセットしてプレス加工し、図55に示す二次中間成形品14を形成する。
そして、この図55に示す二次中間成形品14を図13、図21、図28に示すプレス加工装置21にセットして加工すれば、図43に示す角柱パイプ体1を形成することができる。
(4)[締結板部を有する角柱パイプ体の例2]
図44(a)に示す角柱パイプ体1は、その端面部1aに互いに直交する直交締結板部1f、1gが形成されている。直交締結板部1fは底面構成壁部2から平行に突き出て形成され、直交締結板部1gは一方の側面構成壁部4から平行に突き出て形成されている。
この図44(a)に示す角柱パイプ体1は、図44(b)に示すように、その端面部1aを直方体形状ブロック体51の上面部51aのコーナー部51bに突き当て、その直交締結板部1f、1gをその直方体形状ブロック体51の側面部51c、51cに突き当て、直交締結板部1f、1gを側面部51c、51cにネジ止めすることによって、直方体形状ブロック体51のコーナー部51bに固定される。
この図44(a)に示す角柱パイプ1によれば、直方体形状ブロック体51に互いに直交する二方向から角柱パイプ体1を取り付けることができるので、その取り付け強度が図41〜図43に示す締結板部構造のものに較べて向上する。
図45(a)に示す角柱パイプ体1は、図44(a)に示す角柱パイプ体1の他方の側面構成壁部3に更に外側に屈曲された屈曲締結板部1dを形成したものである。この屈曲締結板部1dは直交屈曲板部1f、1gに対して直交している。
この図45(a)に示す角柱パイプ体1は、図45(b)に示すように、その端面部1aと屈曲締結板部1dとを直方体形状ブロック体51の上面部51aのコーナー部51bに突き当てると共に、その直交締結板部1f、1gをその直方体形状ブロック体51の側面部51c、51cに突き当て、屈曲締結板部1dを上面部51aにネジ止めし、直交締結板部1f、1gを側面部51c、51cにネジ止めすることによって、直方体形状ブロック体51のコーナー部51bに固定される。
この図45(a)に角柱パイプ体1によれば、直方体形状ブロック体51に互いに直交する三方向から角柱パイプ体1を取り付けることができるので、その取り付け強度が図44(a)に示す締結板部構造のものに較べて更に向上する。
図46(a)に示す角柱パイプ体1は、底面構成壁部2と一方の側面構成壁部4とに互いに直交するL字形状締結板部1h、1iとが形成されている。このL字形状締結板部1h、1iは側面部51cの延びる方向に長く延びている。
この図46(a)に示す角柱パイプ体1は、例えば、図46(b)に示すように、その端面部1cを直方体形状ブロック体51のコーナー部51bに突き当て、L字形状締結板部1h、1iを側面部51cに沿わせて、ネジ止めすることにより、角柱パイプ体1のコーナー部51bに固定される。
この図46(a)に示す角柱パイプ体1によれば、締結板部と側面部51cとの接合面積を大きく確保できるので、図44(a)に示す角柱パイプ体1に較べて、その取り付け強度をより一層高めることができる。
図47(a)に示す角柱パイプ体1は、図46(a)に示す角柱パイプ体1のL字形状締結板部1iに更に屈曲締結板部1jを形成したものである。この屈曲締結板部1jはL字形状締結板部1iに直交している。
図47(b)に示す角柱パイプ体1は、図46(a)に示す角柱パイプ体1の他方の側面構成壁部3に屈曲締結板部1dを形成したものである。
図47(b)に示す角柱パイプ体1は、例えば、図47(c)に示す被取り付け部材52の側面部52c、52cにL字形状締結板部1h、1iをネジ止めし、屈曲締結板部1dを上面部52aにネジ止めすることにより、被取り付け部材52に固定される。
この図47(a)、図47(b)に示す角柱パイプ体1によれば、互いに直交する三方向から他部材に角柱パイプ体1をネジ止めして固定できるので、図46(a)に示す角柱パイプ体1に較べてより一層取り付け強度の向上を図ることができる。
この図44〜図47に示す角柱パイプ体1によれば、角柱パイプ体1を被取り付け部材に取り付けて、後述するフレーム構造体を構成したときに、合わせ目5eが内向きとなり、合わせ目5eが外側から見えにくくなり、フレーム構造体の見栄えの良好化を図ることができる。
[項目(4)の角柱パイプ体の製造方法]
図44に示す角柱パイプ体1の製造には図56に示す金属プレート6を用い、図45に示す角柱パイプ体1の製造には図57に示す金属プレート6を用い、図46に示す角柱パイプ体1の製造には図58に示す金属プレート6を用いる。
これらの金属プレート6を用いて、同様のプレス方法を用いて一次中間成形品8、二次中間成形品14を形成した後、図13、図21、図28に示すプレス加工装置21にセットして加工することにより、図44〜図46に示す角柱パイプ体1を形成することができる。
また、図47(a)に示す角柱パイプ体1には、図59に示す金属プレート6を用い、予め、折り曲げ線6fによって起立させた後、一次中間成形品8をプレス加工により形成すれば良い。図47(b)に示す角柱パイプ体1の製造に用いる金属プレート6については、その説明を省略する。
ところで、合わせ目構成壁部5a、5bにL字形状締結板部1h、1iを形成することにすると、角柱パイプ体1の幅を有効に活用できず、取り付け強度上の問題が生じる。
すなわち、合わせ目構成壁部5a、5bに締結板部を形成することにすると、折り曲げ線6cから辺6eまでの幅W2が折り曲げ線6dから折り曲げ線6cまでの幅W1の略半分となり、締結板部の取り付け強度が低下するが、これに対して、図44〜図47に示す角柱パイプ体1によれば、合わせ目構成壁部5a、5b以外の構成壁部に締結板部を形成することにしたので、図59に示すように、折り曲げ線6dから折り曲げ線6cまでの幅W1(角柱パイプ体1の面の幅)を有効に活用でき、合わせ目構成壁部5a、5bに締結板部を構成する場合に較べて締結板部の取り付け強度の向上を図ることができる。
また、この図44〜図47に示す角柱パイプ1によれば、合わせ目構成壁部5a、5b以外の構成壁部に締結板部を形成することにしたので、角柱パイプ体1を構成する際に素材として使用する矩形状の金属プレート6の幅W3を有効に活用できる。
すなわち、この図44〜図47に示す角柱パイプ体1の場合には、約(W1+W2+W4)の長さのL字形状締結板部1i、1hを形成するためには、幅(W3+W4)の金属プレートを用いれば良いが、合わせ目構成壁部5a、5bに締結板部を形成することにすると、(W1+W4+W3)の金属プレートを用いなければならず、幅(W1+W4)だけ幅広の素材が必要となり、素材の活用度が低下する。
(5)[逃げ部を有する角柱パイプ体]
図60に示す角柱パイプ体1はその閉断面形状が長方形状である。この角柱パイプ体1には、その上面構成壁部5に干渉防止用逃げ部53が形成されている。この干防止渉用逃げ部53は以下に説明する理由から形成したものである。
この種の角柱パイプ体1は、例えば、複写機等のフレーム構造体を製作する部品として用いられる。そのフレーム構造体には、画像形成装置としての複写機構成ユニットが収容される。
その複写機構成ユニットは複雑形状を有しており、このため、そのフレーム構造体に複写機ユニットを収容する場合に、角柱パイプ体1と複写機構成ユニットとが干渉するおそれがある。
また、収納されている複写機構成ユニットを別の複写機構成ユニットに交換する場合、そのフレーム構造体から取り外す際に、複写機構成ユニットが角柱パイプ体1に当たる等の干渉を起こす場合もある。更に、その収納されている複写機構成ユニットのメインテナンスを行う場合に、メインテナンス工具がその角柱パイプ体1に当たる等の干渉を起こす場合がある。
このような理由から、角柱パイプ体1に干渉防止用逃げ部53が形成されている。
角柱パイプ体1の上面構成壁部5は、その干渉防止用逃げ部53を形成するために、底面構成壁部2に対して高さの異なる連続的な屈曲面構成壁部から構成されている。
すなわち、その上面構成壁部5は、干渉防止用逃げ部53の両側に位置する平坦面部53a、53aと、干渉防止用逃げ部53を平坦面部53bと共に構成する傾斜面部53c、53cとからなっている。その傾斜面部53cは屈曲部53dを介して平坦面部53aに連続的に連絡されていると共に、屈曲部53eを介して平坦面部53bに連続的に連結されている。
その屈曲部53d、53eには、開口53fが形成されている。この開口53fを形成した理由については、この角柱パイプ体1の製造方法の説明の際に説明する。
この角柱パイプ体1によれば、干渉防止用逃げ部53を角柱パイプ体1に形成することに起因する局所的強度低下を回避しつつ干渉防止用逃げ部53を角柱パイプ体1に形成することができる。
すなわち、従来は、図61に示すように合わせ目のない角柱パイプ体1Bがフレーム構造体に用いられていた。その角柱パイプ体1Bには例えば電縫管、押し出し材が用いられている。
この図61に示す種類の角柱パイプ体1Bでは、その上面構成壁部5”に干渉防止用逃げ部53”を形成するために、上面構成壁部5”の一部を切削すると、干渉防止用逃げ部53”に相当する箇所に穴54が開く。従って、この図61に示す種類の角柱パイプ体1Bに干渉防止用逃げ部53”を形成すると、この干渉防止用逃げ部53”の形成箇所の強度が低下する。
すなわち、図61に示す角柱パイプ1Bを用いて構成されたフレーム構造体では、撓み変形、振動に基づく揺れが大きくなるおそれがある。そのため、複写機にこのフレーム構造体を何らの手も加えず用いると、画像歪み等をまねくおそれがある。なお、その図61において、2”は底面構成壁部、3”、4”は側面構成壁部である。
そこで、従来は、これらの問題に対処するため、フレーム構造体の補強対策を行っていた。
それでは、補強対策に工数がかかり、かつ、コストもアップすることになる。これに対して、図60に示す角柱パイプ体1を用いれば、この角柱パイプ体1を製造する工程で、連続的屈曲面構成壁部からなる干渉防止用逃げ部53を形成することができるので、コストアップを避けることができる。
[逃げ部を有する角柱パイプ体の製造方法]
図60に示す角柱パイプ体1の製造には、図62に示す金属プレート6が用いられる。この金属プレート6には、屈曲部53d、53eが形成される箇所に相当する箇所に予め切り欠き6gが形成されている。
この金属プレート6を図63に示すプレス成形装置10にセットして、プレス加工すると、図64に示す一次中間成形品8が形成される。その図64において、図4に示す一次中間成形品8と同一構成要素には同一符号が付されている。
この図64に示す一次中間成形品8には、図63に示すプレス装置10を用いて合わせ目構成壁部5a、5bを起立成形する際に、平坦部53a、53b、傾斜部53c、屈曲部53d、53eが形成される。
固定プレート11、加圧パンチ部材12、可動プレート12’のパンチ面の形状は、図64に示す一次中間成形品8の外形状に対応する形状とされている。
この一次中間成形品8をプレス成形により形成する際、屈曲部53dの端縁部分53d’に歪み変形(例えば、膨らみ)が生じる。切り欠き6gはその端縁部分の変形を除去するために形成されている。
次いで、この一次中間成形品8を図9に示すプレス成形装置17にセットして、図65に示す二次中間成形品14を形成する。次いで、この図65に示す二次中間成形品14を図13、図21、図28に示すいずれかのプレス成形装置21にセットして、加工すると最終的に図60に示す角柱パイプ体1が得られる。
なお、図66は図60に示す角柱パイプ体1の変形例を示すもので、合わせ目構成壁部5aに係合突起35を形成し、合わせ目構成壁部5bに係合凹処36を形成し、この係合凹処36に食い込み突起37を形成して、合わせ目構成壁部36の密着性を確保する構成としたものである。以下、その詳細を図67に示す角柱パイプ体1を用いて説明する。
(6) [かしめを有する角柱パイプ体]
これまでの説明では、図66に示す角柱パイプ体1を除いて、スプリングバック力のみに基づいて、合わせ目5eの密着状態を確保する構成とした。しかしながら、図67に示すように、金属プレート6の辺部6b、6bに係合部としての係合突起35を形成すると共に係合凹所36を形成する。そして、この係合凹所36には図68(a)に示すように、係合突起35に食い込む三角形状の食い込み突起37を形成する。そして、図68(b)に拡大して示すように、係合凹所36に係合突起35を嵌合させた後、係合突起35を食い込み突起37によって変形させて、一対の合わせ目構成壁部5a、5b同士を噛み合わせる構成とする。図68(c)はこのようにして形成されたパイプ体1を示している。
この突起37は、図68(b)に示すように、角柱パイプ体1の係合突起35の先端部分を係合凹所36の両側縁部に向けて変形させる。この変形は、係合突起35の一部が係合凹所36の両側縁部に当接することとなる。
このパイプ体1によれば、凸曲面部に戻ろうとするときに生じるスプリングバック力に基づく一対の合わせ目構成壁部5a、5bの密着性が確保されることに加えて、係合部同士の係合によっても一対の合わせ目構成壁部5a、5bの密着性が確保されることになる。
この係合凹所36の開放端には、図69(a)に示すように、その開放端側に向かって開いた案内部1Zを形成し、係合突起35の係合凹所36への進入の容易化を図る構成とすることができる。また、図69(b)に示すように、係合突起35の先端に傾斜状案内部1yを形成することもできる。更に、図69(c)に示すように、両案内部1z、1yを設ける構成とすることもできる。
図70(a)は、係合突起35を二股突起(割片)35a、35bから構成したものである。係合凹所36には、図70(b)に拡大して示すように、開放端に互いに接近する方向に突出する係止壁36a、36bが形成されている。二股突起35a、35bは、図70(c)に示すように、食い込み突起37によって互いに離間する方向に変形され、その二股突起35a、35bが係止壁36a、36bに当接して、抜け止めが為される。図71は、その図70に示す角柱パイプ体1の製造に用いる金属プレート6を示している。
係合凹所36の開放端には、図72(a)に示すように、案内部1zを形成しても良いし、図72(b)に示すように、食い込み突起37の先端を辺6eまで延ばして、係合凹所36に二股突起35a、35bを離間する方向に変形させる二股状案内部36’を形成しても良い。
更に、図72(c)に示すように、二股突起35a、35bの外側に傾斜状案内部1Zを形成しても良いし、図72(d)に示すように、二股突起35a、35bの内側に摺接案内部1xを形成しても良い。この一対の摺接案内部1xの為す角度と食い込み突起37の頂角とを略一致させると、食い込み突起37の二股突起35a、35bへの初期当接面積を広く確保でき、二股突起35a、35bの変形の容易化を図ることができる。
更に、図72(e)に示すように、二股突起35a、35bの基部に半円弧状切り欠き1Qを形成して、二股突起35a、35bの変形の容易化を図ることもできる。更に、図72(f)に示すように、二股突起35a、35bの基部から辺部6bに跨る円弧状切り欠き1Q’を形成して、二股突起35a、35bの変形の容易化を図っても良い。図72(a)〜図72(e)に示す構成を適宜組み合わせた金属プレート6を用いて、角柱パイプ体1を構成しても良い。
以上、図70〜図72に示す角柱パイプ体1では、1個の係合突起35と1個の係合凹所36とを噛み合わせて、角柱パイプ体1を形成したが、図73に示すように、一辺6eにその辺の延びる方向に複数個の係合凹所36と食い込み突起37とを適宜間隔を開けて形成し、他の一辺6eにこれに対応して複数個の係合突起35を形成することとしても良い。更に、図74に示すように、一辺6eの各係合凹所36に一対の係止壁36a、36bを形成し、他の一辺6eに複数個の二股突起35a、35bを形成しても良い。
また、図75に示すように、各辺6eに係合凹所36と係合突起35とを交互に設ける構成としても良い。更に、図76に示すように、各辺6eに二股突起35a、35bと係合凹所36とを交互に形成する構成としても良い。
更に、図77は一方の合わせ目構成壁部5aに雄側係合部35’を設け、他方の合わせ目構成壁部5bに雌側係合部36’を設けたものである。雄側係合部35’は二股突起35a’、35a’と係合凹所35b’、35b’と係合凹所35c’を有する。雌側係合部36’は係合突起36a’と係合凹所36b’、36b’と係合突起36c’、36c’を有する。係合突起36a’は係合凹所35c’に係合する。二股突起35a’、35a’は係合凹所36b’、36b’に係合する。係合突起36c’、36c’と係合突起35a’、35a’とは互いに直交している。
係合突起36a’は傾斜部36d’、36d’を有する。係合突起36c’、36c’は肩部36e’、36e’を有する。二股突起35a’、35a’は傾斜部35d’を有する。傾斜部35d’、35d’は開放端に向かうに伴って広がっている。合わせ目構成壁部5aには肩部36’eに係合する肩部35e’が形成されている。合わせ目構成壁部5a、5bを図78(a)に示すように互いに近づけると、係合突起36a’が係合凹所35c’に係合し、肩部36e’が肩部35e’に係合する。また、二股突起35a’、35a’が係合凹所36b’、36b’に係合する。合わせ目構成壁部5a、5bを更に近づけると、図78(b)に示すように、二股突起35a’、35a’が係合突起36a’の食い込みによって互いに離間する方向に変形される。同時に、係合突起36c’、36c’が肩部35e’、35e’によって押圧されて、押圧方向に変形される。これによって、図78(b)に示すように、合わせ目5e上を含めてその近傍が雄型係合部35’と雌型係合部36’とによって実質的に埋め尽くされる。
この係合突起と係合凹所とを噛み合わせる構成とすれば、ひねりに対しての合わせ目構成壁のずれを防止できる。
(7)[その他の角柱パイプ体]
(図1に示す角柱パイプ体1の変形例)
図1に示す角柱パイプ体1では、上面構成壁部5の中央に合わせ目5eを形成することにした。しかしながら、図79に示すように、例えば、上面構成壁部5の端面と側面構成壁部3の端面、すなわち、パイプ体1の上面構成壁部5と側面構成壁部3との角部に合わせ目5eを形成するようにしても良い。この場合には、金属プレート6の辺部6bの少なくとも一方を起立させれば良い。
(断面が多角形状の各種の角柱パイプ体)
図80は断面が三角形状のパイプ体の製造方法を、図81は断面が五角形状の角柱パイプ体1の製造方法を、図82は断面が六角形状の角柱パイプ体1の製造方法を、図83は断面が八角形状の角柱パイプ体1の製造方法をそれぞれ示す。これらの各図において、(a)は二次中間成形品をプレス成形装置にセットした状態を、(b)は加圧パンチ部材により加圧して凸部を形成している状態を、(c)は完成した多角形状の角柱パイプ体1を示し、図中の各符号は上記断面四角形(長方形)状の角柱パイプ体の製造における各要素と対応している。
すなわち、1は角柱パイプ体、2は二次中間成形品14の段階で湾曲している面、3,4は凸部3a,4aが形成される面、5a,5bは合わせ目構成壁部、5c,5dは端面、5は合わせ目5eを有する面、24は固定プレート、27は加圧パンチ部材、27cは突起形成用突起部をそれぞれ示し、また、5’はパイプ体の2,3,4,5で表される面以外の他の面を示している。各パイプ体1は凸部3a,4a、合わせ目5eを含めて左右対称であり、その凸部3a,4aに生じるスプリングバック力によって端面5c,5dが密着している。
なお、これらの形状の角柱パイプ体1は、凸部3a、4aを形成しなくても形成することができることは、これまでの説明から明らかであろう。
(円柱形状パイプ体)
図84に示すように、閉断面の幾何学的な形状が円形のパイプ体1を形成することもできる。
この場合には、まず、金属プレート6を湾曲させることにより合わせ目5eが非密着状態でかつ一対の辺部6a、6bが延びる方向に長く延びてしかも外方に向かって膨らんだ凸曲面部33を有する湾曲中間成形品としての楕円形状パイプ体34を形成する。次いで、楕円形状パイプ体34の短径方向の形状をほぼ維持しつつ長径方向に存在する凸曲面部33にその曲率が小さくなる方向に外力f4を加えて楕円形状パイプ体34を変形させる。これにより、凸曲面部33が元の凸曲面部33に戻ろうとするスプリングバック力f5が生じ、このスプリングバック力f5に基づき合わせ目5eが密着した角柱パイプ体1が形成される。
(8)[角柱パイプ体の使用例]
(角柱パイプ体の使用例1)
図1に示す角柱パイプ体1は、例えば、図85(a)、(b)に示すように、例えばファックス兼用複写機の支持手段としての片持ち式フレーム体38に用いられる。そのパイプ体1には載置フレーム39が取り付けられ、この載置フレーム39には例えばスキャナーユニット(図示を略す)が載置される。
(角柱パイプ体の使用例2)
図86〜図93は、合わせ目を有する角柱パイプ体を用いて構成されたフレーム構造体の一例を示すものである。
その図86〜図93において、61は正方形状ベース部材、62〜69は角柱パイプ体である。角柱パイプ体62にはその一端部にL字形状締結板部62a、62bが形成されていると共に、屈曲締結板部62cが形成されている。
その角柱パイプ体62は、その正方形状ベース部材61のコーナー部に例えば締結部材により締結固定される。
すなわち、そのL字形状締結板部62aをの一側辺部61bに突き当て、L字形状締結板部62bを他側辺部61aに突き当て、屈曲締結板部62cを上面部61cに突き当て、図示を略すネジ部材により、正方形状ベース部材61に締結固定される。
角柱パイプ体65にも図87に示すようにその一端部にL字形状締結板部65a、65b、屈曲締結板部65cが形成されている。その屈曲締結板部65cは上面部61cのコーナー部にネジ止め固定され、そのL字形状締結板部65aは一側辺部61dにネジ止め固定され、そのL字形状締結板部65bはその他側辺部61fにネジ止め固定される。
角柱パイプ体63にはその一端部に張り出し締結板部63aと屈曲締結板部63bとが形成されている。張り出し締結板部63aは一側辺部61fにネジ止め締結され、屈曲締結板部63bは上面部61cにネジ止め固定される。
角柱パイプ体64には、図88に示すように、その長手方向中央部に、干渉防止用逃げ部53が形成されている。その角柱パイプ体1の一端部には直交締結板部64a、64b、屈曲締結板部64cが形成されている。
その角柱パイプ体64も同様に、その直交締結板部64aが一側辺部61bにネジ止め締結され、直交締結板部61dが一側辺部61dにネジ止め締結され、屈曲締結板部64cが上面部61cにネジ止め締結されることにより、正方形状ベース部材61のコーナー部に固定される。
角柱パイプ体66の一端部には、図89、図90に示すように、L字形状締結板部66aが形成されている。角柱パイプ体66の他端部には、図90に示すL字形状締結板部66bと図89、図92に示す平行締結板部66cが形成されている。その角柱パイプ体66の一端部は角柱パイプ体62の他端部に固定される。角柱パイプ体66の他端部は角柱パイプ体63の他端部に固定される。
角柱パイプ体67の一端部には図91に示すように屈曲締結板部67aが形成されている。その角柱パイプ体67の他端部には屈曲締結板部67bと平行締結板部67cとが形成されている。また、その角柱パイプ体67の端面部には位置決め係合突起67dが形成されている。更に、その角柱パイプ体67の他端部側には干渉用逃げ部53が形成されている。角柱パイプ体65の他端部には位置決め係合突起67dと係合する係合凹所が形成されている。その角柱パイプ体67の一端部は角柱パイプ体64の他端部に固定され、角柱パイプ体67の他端部は角柱パイプ体65の他端部に位置決めして固定される。
角柱パイプ体68には、図92に示すようにその両端部に平行締結板部68a、68aが設けられている。その平行締結板部68aには図94に拡大して示すように半円形凹所68bが形成されている。角柱パイプ体62、角柱パイプ体64の他端部にはこの半円形凹所68bと係合して角柱パイプ体68を位置決め支持する位置決め支持ピン70が形成されている。
角柱パイプ体68はその一端部を角柱パイプ体64の位置決め支持ピン70に係止させ、その他端部を角柱パイプ体62の位置決め支持ピン70に係止させ、平行締結板部68a、68aを角柱パイプ体62、64の他端部にネジ止め締結することによって、角柱パイプ体62と角柱パイプ体64とに掛け渡されて固定される。
角柱パイプ体69には、図89、図91、図93に示すようにその両端部に屈曲締結板部69aが形成されている。この角柱パイプ体69はその屈曲締結板部69aが角柱パイプ体63、65の他端部にネジ止めされることにより、角柱パイプ体63と角柱パイプ体65との間に締結固定される。
なお、このフレーム構造体の上面に画像形成ユニット等を載置する場合には、側面構成壁部3、4が上面側となる角柱パイプ体68を平行に設けるのが望ましい。というのは、側面構成壁部3、4は角柱パイプ体を加工する際に加工応力を残余の構成壁部に較べて相対的に小さく、その平坦度が確保されているので、位置決め基準面に好適だからである。