JP4525917B2 - Ledリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物およびledリフレクタ - Google Patents

Ledリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物およびledリフレクタ Download PDF

Info

Publication number
JP4525917B2
JP4525917B2 JP2005078373A JP2005078373A JP4525917B2 JP 4525917 B2 JP4525917 B2 JP 4525917B2 JP 2005078373 A JP2005078373 A JP 2005078373A JP 2005078373 A JP2005078373 A JP 2005078373A JP 4525917 B2 JP4525917 B2 JP 4525917B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyamide resin
resin composition
mass
acid
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005078373A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006257314A (ja
JP2006257314A5 (ja
Inventor
秀治 松岡
山下  隆
宇治 重松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2005078373A priority Critical patent/JP4525917B2/ja
Publication of JP2006257314A publication Critical patent/JP2006257314A/ja
Publication of JP2006257314A5 publication Critical patent/JP2006257314A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4525917B2 publication Critical patent/JP4525917B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、LED(発光ダイオード素子;Light Emitting Diode)リフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物およびLEDリフレクタ等に関する。
近年、LED、有機ELなどの新しい光源が、低電力、高寿命などのメリットを活かして、照明、表示素子などとして需要を拡大しつつある。特にLEDは、携帯電話などの移動通信機器、ディスプレイ、自動車コンソールパネル、信号器、その他の家電用品など種々の用途の電気電子機器製品に使用されている。
LEDは、一般に、発光する半導体部、リード線、ハウジングを兼ねたリフレクタ、半導体を封止する透明な封止剤から構成されている。このうち、リフレクタ部分についてはセラミックや耐熱プラスチックなど種々の材料で製品化されているが、セラミックの場合には生産性が問題とされており、一方、耐熱プラスチックの場合には、射出成形工程(330℃、数分間)、導電接着剤や封止剤の熱硬化工程(100〜200℃、数時間)、ハンダ付け工程(特に、表面実装技術(SMT)における鉛フリーハンダ(錫−銀−銅アロイ系ハンダなど)使用時のピーク温度260℃以上、数分間)や実際の使用環境下において、変色による光反射率の低下が問題となっている。特に、汎用されている耐熱ポリアミドは加熱により変色しやすく、その光反射率の低下が無視できない。
また、近年のLED光源の発展により、赤(R;630nm)、緑(G;525nm)、青(B;470nm)などRGBの色の再現がLEDで可能となっており、更に、白色LEDの発明により液晶表示板や照明などの用途で市場が急成長しているが、白色LEDで求められるLEDリフレクタに対しては、青色LEDの波長に対応した平均波長470nm付近の反射率が高いほど輝度が高くなるため、平均波長470nm付近の反射率が高いことが求められる。
ところで、ランプリフレクタ等の反射鏡等に成形可能なポリアミド樹脂組成物として、テレフタル酸単位を60〜100モル%含有するジカルボン酸単位と、炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位とからなるポリアミドに対して、特定の平均粒径を有する無機充填剤を配合したポリアミド組成物が知られている(特許文献1参照)。このポリアミド組成物は、吸湿時の耐熱性、寸法安定性、表面平滑性に優れており、しかも表面外観が美麗である成形品を与えるとされており、また、無機充填剤として、水酸化マグネシウムや酸化チタン等の1種または2種以上を使用している。しかしながら、特許文献1には、ランプリフレクタの中でも、より高い反射率が求められるLEDリフレクタの分野において、このような高い光反射率を有するリフレクタを与えるポリアミド樹脂組成物を示唆する記載はなく、しかも、このポリアミド組成物では、変色による光反射率の低下を十分に防止することができないという問題があった。
また、LED等の発光装置用反射板材料として好適に使用できる反射板用樹脂組成物として、特定の半芳香族ポリアミドにチタン酸カリウム繊維及び/又はワラストナイトをそれぞれ特定量含有した反射板用樹脂組成物が提案されている(特許文献2参照)。この反射板用樹脂組成物は、半芳香族ポリアミドが持つ有用な物性を損なうことなく、光反射率、白度、成形加工性、機械的強度、寸法安定性、耐熱性、吸湿性において高水準の物性を有し、特に、遮光性に優れ、高温に晒されても変色を起こすことなく高い白度を維持できるとされている(特許文献2参照)。しかしながら、この反射板用樹脂組成物に対しても、変色による光反射率の低下の防止は十分とはいえず、より高いレベルで防止することが求められていた。
また、熱可塑性樹脂と、可視光と共に紫外線をも反射し得る特定の無機化合物とからなる紫外線発生源用反射板材料(特許文献3参照)も知られているが、変色による光反射率の低下の防止という観点からは、さらなる改良の余地があった。
そこで、白色度が高く、表面反射率が高い成形品を与え、ランプリフレクタ材料となる有用なポリアミド組成物として、テレフタル酸単位を含有するジカルボン酸単位と1,9−ノナンジアミン単位を有するジアミン単位とからなる半芳香族ポリアミドに、特定の酸化チタンを特定量含有させたポリアミド樹脂組成物が提案されている(特許文献4参照)。このポリアミド樹脂組成物は、PA6TあるいはPA46などの従来の耐熱性ポリアミドを使用した樹脂組成物と比較して著しくハンダ耐熱性が高く、白度、表面反射率が高いとされている。
特開2000−204244号公報 特開2002−294070号公報 特開2003−195020号公報 特開2004−75994号公報
しかしながら、特許文献4に記載されたポリアミド樹脂組成物は、加熱による変色が改善されているとはいえ、わずかではあるが、加熱により変色することが避けられず、いっそう高いレベルでこのような変色を防止することが求められている。特に、年々高輝度化が進むLEDのリフレクタ材料用途においては、さらなる性能向上に対する要求がある。
本発明は、LEDの製造工程を想定した高温加熱処理を行っても、変色せずに、高い白色度を維持し、可視光領域での反射率特性に優れたLED用リフレクタを与えるポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のポリアミド樹脂と、このポリアミド樹脂に対して、酸化チタン、水酸化マグネシウムおよび特定の強化とをそれぞれ特定量含有したポリアミド樹脂組成物が、前述の目的を達成することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、テレフタル酸単位を50〜100モル%含有するジカルボン酸単位(a)と1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位(b)とからなるポリアミド樹脂(A)、該ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して、酸化チタン(B)を5〜100質量部、水酸化マグネシウム(C)を0.5〜30質量部、および繊維状充填剤および針状充填剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の強化(D)を20〜100質量部を含有するLEDリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物、およびこのLEDリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物からなるLEDリフレクタを提供する。
また、本発明のLEDリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物は、その構成要件に高温加熱処理後にも高い白色度を維持するための要件を付加した場合には、LEDリフレクタのみならず他の用途にも好ましく適用可能となる。このような観点から把握した本発明は、テレフタル酸単位を50〜100モル%含有するジカルボン酸単位(a)と1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位(b)とからなるポリアミド樹脂(A)、該ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して、酸化チタン(B)を5〜100質量部、水酸化マグネシウム(C)を0.5〜30質量部、および繊維状充填剤および針状充填剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の強化(D)を20〜100質量部含有し、かつ170℃で2時間加熱処理後の、スペクトロフォトメーターによる波長470nmの反射率が92%以上であるポリアミド樹脂材料、およびこのポリアミド樹脂材料からなる成形品を提供する。
本発明のLEDリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物は、耐熱性に優れているだけでなく、LEDの製造工程を想定した高温加熱処理を行っても、高い白色度を維持し、かつ、可視光領域での反射率特性に優れており、従って、最終製品(例えば、携帯電話機の液晶表示画面など)の高輝度化に貢献するLEDリフレクタに成形できる。また、このLEDリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物を別の観点(高温加熱処理後にも高い白色度を維持するという観点)から把握したポリアミド樹脂材料は、170℃で2時間加熱処理後でも、スペクトロフォトメーターによる波長470nmの反射率が92%以上であるので、高温条件下に長時間晒されても、高い白色度を維持する必要があるような幅広い用途に適用が可能である。
本発明のLEDリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物は、ジカルボン酸単位とジアミン単位とからなるポリアミド樹脂(A)、酸化チタン(B)、水酸化マグネシウム(C)、および特定の強化(D)を含有する。
また、本発明のポリアミド樹脂材料は、本発明のLEDリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物と同様に、ジカルボン酸単位とジアミン単位とからなるポリアミド樹脂(A)、酸化チタン(B)、水酸化マグネシウム(C)、および特定の強化(D)を含有し、更に、高温加熱処理後にも高い白色度を維持するために、170℃で2時間加熱処理後の、スペクトロフォトメーターによる波長470nmの反射率が92%以上の樹脂材料である。
なお、本明細書においては、上記のLEDリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物と、170℃で2時間加熱処理後の、スペクトロフォトメーターによる波長470nmの反射率が92%以上であるポリアミド樹脂材料とを総称して単に「本発明のポリアミド樹脂組成物」という場合がある。
本発明に用いられるポリアミド樹脂(A)を構成するジカルボン酸単位(a)は、テレフタル酸単位を50〜100モル%、好ましくは60〜100モル%、より好ましくは75〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%の範囲で含有する。ジカルボン酸単位(a)におけるテレフタル酸単位の含有率が50モル%未満の場合には、得られるポリアミド樹脂組成物の耐熱性が低下するからである。
ジカルボン酸単位(a)は、50モル%以下であれば、テレフタル酸単位以外の他のジカルボン酸単位、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位を含んでいてもよい。これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのなかでも芳香族ジカルボン酸から誘導される単位が好ましい。これらの他のジカルボン酸単位の、ジカルボン酸単位(a)における含有率としては、40モル%以下であるのが好ましく、25モル%以下であるのがより好ましく、10モル%以下であるのがさらに好ましい。さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸から誘導される単位を、溶融成形が可能な範囲内で含んでいてもよい。
本発明に用いられるポリアミド樹脂(A)を構成するジアミン単位(b)は、1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%、好ましくは75〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%の範囲内で含有する。ジアミン単位(b)における1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位の含有率が60モル%未満の場合には、得られるポリアミド樹脂組成物の耐熱性、低吸水性、耐薬品性などの諸物性が低下するからである。
ジアミン単位(b)中における1,9−ノナンジアミン単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比は、好ましくは前者/後者=100/0〜20/80、より好ましくは100/0〜60/40、特に好ましくは100/0〜70/30の範囲内である。
ジアミン単位(b)は、40モル%以下であれば、1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位以外の他のジアミン単位、例えば、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の直鎖状脂肪族アルキレンジアミン;1,2−プロパンジアミン、1−ブチル−1,2−エタンジアミン、1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、3,3−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,3−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,4−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,5−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、3−メチル−1,8−オクタンジアミン、4−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、1,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,5−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,2−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の分岐鎖状脂肪族アルキレンジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンなどから誘導される単位を含んでいてもよい。これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらのうちでも、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミンから誘導される単位が好ましい。これらの他のジアミン単位の、ジアミン単位(b)における含有率としては、好ましくは25モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。
本発明に用いられるポリアミド樹脂(A)は、その分子鎖の末端基の10%以上が末端封止剤により封止されているのが好ましい。分子鎖の末端基が末端封止剤により封止されている割合(末端封止率)としては、40%以上であるのがより好ましく、70%以上であるのがさらに好ましい。末端封止率が10%以上のポリアミド樹脂を用いると、溶融成形性や表面美麗性などの物性がより優れたものとなる。
ポリアミド樹脂(A)の末端封止率は、ポリアミド樹脂(A)に存在するカルボキシル基末端、アミノ基末端および末端封止剤によって封止された末端基の数をそれぞれ測定し、下記の式(1)により求めることができる。各末端基の数は、H−NMRにより、各末端基に対応する特性シグナルの積分値より求めるのが精度、簡便さの点で好ましい。なお、以下式(1)中、Xは分子鎖末端基総数(これは通常、ポリアミド分子の数の2倍に等しい)を表し、Yはカルボキシル基末端およびアミノ基末端の合計数を表す。
Figure 0004525917

末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基またはカルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限はないが、反応性および封止末端の安定性などの点から、末端アミノ基の封止剤としてはモノカルボン酸化合物が好ましく、一方、末端カルボキシル基の封止剤としてはモノアミン化合物が好ましい。取扱いの容易さなどの点から、モノカルボン酸化合物がより好ましい。その他、無水フタル酸等の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類などを使用することもできる。
末端封止剤として使用されるモノカルボン酸化合物としては、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;これらの任意の混合物などを挙げることができる。これらのなかでも、反応性、封止末端の安定性、価格などの点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が好ましい。
末端封止剤として使用されるモノアミン化合物としては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン;これらの任意の混合物などを挙げることができる。これらのなかでも、反応性、高沸点、封止末端の安定性および価格などの点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが好ましい。
本発明に用いられるポリアミド樹脂(A)は、結晶性ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができる。例えば、酸クロライドとジアミンを原料とする溶液重合法または界面重合法、ジカルボン酸とジアミンを原料とする溶融重合法、固相重合法、溶融押出重合法などの方法により製造することができる。
ポリアミド樹脂(A)は、例えば、最初にジアミン、ジカルボン酸、触媒および必要に応じて末端封止剤を一括して添加してナイロン塩を製造した後、200〜250℃の温度において加熱重合して濃硫酸中30℃における極限粘度[η]が0.1〜0.6dl/gのプレポリマーとし、さらに固相重合するか、あるいは溶融押出機を用いて重合することにより製造することができる。プレポリマーの極限粘度[η]が0.1〜0.6dl/gの範囲内であると、後重合の段階においてカルボキシル基とアミノ基のモルバランスのずれや重合速度の低下が少なく、さらに分子量分布の小さな、各種物性や成形性に優れたポリアミド樹脂組成物を与えるポリアミド樹脂(A)が得られる。重合の最終段階を固相重合により行う場合、減圧下または不活性ガス流動下に行うのが好ましく、重合温度が200〜280℃の範囲内であれば、重合速度が大きく、生産性に優れ、着色やゲル化を有効に抑制することができる。重合の最終段階を溶融押出機により行う場合の重合温度としては、370℃以下であるのが好ましく、かかる条件で重合すると、ポリアミド樹脂の分解がほとんどなく、劣化の無いポリアミド樹脂(A)が得られる。
ポリアミド樹脂(A)を製造するに際して、前記の末端封止剤の他に、例えば、触媒として、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、それらの塩またはエステルを添加することができる。上記の塩またはエステルとしては、リン酸、亜リン酸または次亜リン酸とカリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモン等の金属との塩;リン酸、亜リン酸または次亜リン酸のアンモニウム塩;リン酸、亜リン酸または次亜リン酸のエチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステルなどを挙げることができる。
本発明に用いられるポリアミド樹脂(A)は、濃硫酸中30℃で測定した極限粘度[η]が0.4〜2.0dl/gであるのが好ましく、0.5〜1.5dl/gであるのがより好ましく、0.6〜1.3dl/gであるのがさらに好ましい。極限粘度[η]が上記の範囲内のものを使用すると、力学的特性、耐熱性、成形性などにより優れた成形品が得られる。
本発明のポリアミド樹脂組成物におけるポリアミド樹脂(A)の含有率としては、以下に述べる酸化チタン(B)、水酸化マグネシウム(C)および繊維状充填剤および針状充填剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の強化材(D)の各含有量を満たす限り特に制限されないが、少なすぎると表面平滑性や成形加工性が低下し、多すぎると寸法安定性が低下するので、好ましくは30〜75質量%、より好ましくは40〜70質量%である。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、光反射率を高くするために酸化チタン(B)を含有する。酸化チタン(B)としては、例えば、酸化チタン(TiO)、三酸化二チタン(Ti2O3)、二酸化チタン(TiO2)などが挙げられ、これらのいずれを使用してもよいが、二酸化チタンが好ましい。また、酸化チタン(B)としては、通常、ルチル型の結晶構造を有するものが使用される。
酸化チタン(B)の平均粒径は、小さすぎても、大きすぎても光反射率が低下するので、好ましくは0.1〜0.5μm、より好ましくは0.15〜0.40μm、特に好ましくは0.2〜0.3μmの範囲内である。
また、酸化チタン(B)として、表面処理を施したものを使用してもよい。表面処理剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛等の金属酸化物;シランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機酸、ポリオール、シリコーン等の有機物などが挙げられる。酸化チタンとして、市販されているものを使用することができる。さらには、塊状のものや平均粒径が大きなものを適宜粉砕し、必要に応じて篩い等によって分級して、上記した平均粒径となるようにしたものを使用してもよい。
本発明において、酸化チタン(B)の使用量は、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して5〜100質量部、好ましくは5〜70質量部、より好ましくは10〜40質量部である。5質量部未満であると光反射率が低下し、100質量部を超えると表面平滑性や成形加工性が低下するからである。このように、酸化チタン(B)の平均粒径と使用量を上記の範囲内とすることにより、白色度が高く、表面反射率の高い成形品を与えるポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、必須成分として水酸化マグネシウム(C)を含有する。これにより、特に長時間加熱処理を行った際においても、黄変等の変色や白度の低下を抑制することができる。
水酸化マグネシウム(C)の平均粒径は特に制限はないが、物性向上の観点から0.05〜10μmが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmである。また、ポリアミド樹脂(A)との密着性および分散性を向上させるために表面処理を施したものを使用してもよい。表面処理剤としては、例えば、アミノシラン、エポキシシランなどのシランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機酸、ポリオール、シリコーン等の有機物などが挙げられる。
水酸化マグネシウム(C)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して0.5〜30質量部の範囲であり、好ましくは3〜20質量部である。該含有量が0.5質量部未満では白度低下の抑制に対する効果が小さく、30質量部を超えると成形性が低下するからである。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、さらに繊維状充填剤および針状充填剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の強化材(D)を含有する。これにより、本発明のポリアミド樹脂組成物から得られる成形品の強度や耐熱性を高めることができる。上記繊維状充填剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、アラミド繊維、液晶ポリエステル繊維などが挙げられ、また、上記針状充填剤としては、例えば、ワラストナイト(メタ珪酸カルシウム)、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、炭酸カルシウムウィスカーなどが挙げられる。中でも、強化材(D)としては、高強度、低コストの観点からはガラス繊維をを使用することが好ましく、表面平滑性の高い成形品が得られる観点からは針状充填剤を使用することが好ましい。特に、白度を保持する観点からガラス繊維、ワラストナイト(メタ珪酸カルシウム)、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカーを好ましく使用できる。
このような強化材(D)は、ポリアミド樹脂(A)への分散性を高めるため、あるいは、ポリアミド樹脂(A)との接着性を高めるために、シランカップリング剤、および/または、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などで表面処理されていることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物中における強化材(D)の含有量は、ポリアミド(A)100質量部に対して20〜100質量部、好ましくは25〜50質量部の範囲内である。20質量部未満であると、本発明のポリアミド樹脂組成物からなる成形品の機械的強度が低下し、100質量部を超えると、該成形品を得る際の成形加工性が低下するからである。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、変色を防止し、光反射率の低下を抑制することを目的として、更に、光安定剤(E)を含有することができる。光安定剤としては、ベンゾフェノン系化合物、サリチレート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、アクリロニトリル系化合物、その他の共役系化合物などの紫外線吸収効果のある化合物、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物などのラジカル捕捉能力のある化合物等を挙げることができる。特に、ポリアミド樹脂(A)への溶解性が高く、耐熱性にも優れていることから、分子内にアミド結合を有する化合物が好ましい。また、紫外線吸収効果のある化合物とラジカル捕捉能力のある化合物を併用すると、より高い安定化効果が現れるので好ましい。
光安定剤(E)の使用量は、ポリアミド樹脂組成物の変色の防止と光反射率の低下の抑制という効果と、過度に製造コストを増大させないという観点とを考慮すると、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して好ましくは2質量部以下、より好ましくは0.05〜2質量部とする。なお、これらの光安定剤は2種以上を併用して使用することも可能である。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、成形加工性を向上させる目的で、金属石鹸、高級脂肪族エステル類およびその部分けん化物、低分子量ポリオレフィン化合物、シリコーンオイル、フッ素系オイルなどの離型剤を配合することができる。特に、金型離型効果が高く、金属腐食性の小さい低分子量ポリエチレンを好ましく使用できる。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、色相安定化、コスト削減に対応した増量剤、放熱特性の向上などを目的で、アルカリ土類金属類、金属酸化物、水酸化マグネシウム以外の金属水酸化物などを配合することができる。例えば、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムが挙げられる。
さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて、難燃剤;難燃助剤;着色剤;帯電防止剤;可塑剤;結晶核剤;ハロゲンキャッチャ等の添加剤;タルク、マイカ、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、シリカ、ホウ酸アルミニウム、モンモリロナイトなどであって、上記酸化チタン(B)、水酸化マグネシウム(C)、強化材(D)、光安定剤(E)に含まれない充填剤;および/またはPA612、PA12などの脂肪族ポリアミド;PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、LCP(液晶ポリマー)などの他種ポリマーなどを配合することもできる。
ポリアミド樹脂組成物のうち、本発明のポリアミド樹脂材料の構成要件の一つである“170℃で2時間加熱処理後の、スペクトロフォトメーターによる波長470nmの反射率が92%以上であること”について以下に説明する。なお、この構成要件を、本発明のLED成形用ポリアミド樹脂組成物は備えることができる。
本発明のポリアミド樹脂材料が、170℃で2時間加熱処理後の、スペクトロフォトメーターによる波長470nmの反射率が92%以上であるという物性を有することにより、LEDリフレクタのみならず、長い時間にわたり高い白色度を維持することが要求されるような用途に応用することができる。また、該反射率として、「170℃で2時間加熱処理後」の値を用いた理由は、この条件がLEDのハウジングにおける導電性接着剤や封止剤の熱硬化工程において採用される条件の一例であり、この条件により処理した後の上記反射率を測定することにより、高温加熱処理後にも高い白色度を維持できるか否かを評価できるためである。なお、「波長470nm」という値は、青色LED光の平均波長である。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、上記した各構成成分を、公知の方法に従って配合することによって調製することができる。例えば、ポリアミド樹脂(A)の重縮合反応時に各成分を添加する方法、ポリアミド樹脂(A)とその他の成分をドライブレンドする方法、押出機を用いて各構成成分を溶融混練する方法などが挙げられる。これらのなかでも操作が容易であること、均一な組成物が得られることなどから、押出機を用いて各構成成分を溶融混練する方法が有利である。この際に用いられる押出機は2軸スクリュー型のものが好ましく、溶融混練温度としてはポリアミド樹脂(A)の融点より5℃高い温度以上から350℃以下の範囲内であることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、目的とする成形品の種類、用途、形状などに応じて、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダー成形、流延成形などの一般に熱可塑性樹脂組成物に対して用いられる成形方法により、各種の成形品とすることができる。また上記の成形方法を組み合わせた成形方法を採用することもできる。特に、成形の容易さ、量産性、コストなどの面で射出成形が好ましい。また、本発明のポリアミド樹脂組成物と他のポリマーとを複合成形することもできる。さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物を、金属からなる成形体や布帛などと複合化することも可能である。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、熱によるポリアミドの変色が抑制されるため、白色度が高く、表面反射率に優れた成形品を与える。従って、本発明のポリアミド樹脂組成物から得られる成形品は、光を反射する機能を有する部品、例えば、LED、プロジェクタなどの光源、照明器具などのリフレクタとして好適に使用することができる。特に、表面実装に対応したLEDリフレクタにおいて好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例において、力学物性、白度、特定波長の反射率、ハンダ耐熱性は以下の方法により評価した。
<力学物性>
下記の実施例および比較例で使用したポリアミドの融点よりも約20℃高い温度で射出成形(金型温度:140℃)を行い、引張降伏強さおよび引張降伏伸び評価用の試験片(JIS1号ダンベル)、曲げ強さおよび曲げ弾性率評価用の試験片をそれぞれ作製した。
引張降伏強さおよび引張降伏伸び
上記の方法で作製した試験片を用いて、JIS K7113に準じて、オートグラフ(株式会社島津製作所製)を使用して、23℃における引張降伏強さおよび引張降伏伸びを測定した。
曲げ強さおよび曲げ弾性率
上記の方法で作製した試験片を用いて、JIS K7171に準じて、オートグラフ(株式会社島津製作所製)を使用して、23℃における曲げ強さおよび曲げ弾性率を測定した。
<白度および反射率>
下記の実施例および比較例で使用したポリアミドの融点よりも約20℃高い温度で射出成形(金型温度:140℃)を行い、厚さ1mm、幅40mm、長さ100mmの板を作製した。また、1.成形後(初期値)、2.封止剤の熱硬化工程を想定した170℃、2hの加熱処理を行い白色度、反射率を以下の方法で求めた。
白度
この板を使用し、SMカラーコンピューター(スガ試験機(株)製)を用いて、JIS Z8730に規定されるハンターの色差式による明度(L値)、赤色度(a値)および黄色度(b値)を求めた。また、以下の式(2)に従って、白色度(ハンター式)を算出した。以下式(2)中、aは上記赤色度(a値)を表し、bは上記黄色度(b値)を表し、Lは上記明度(L値)を表す。
Figure 0004525917

反射率
下記の実施例および比較例で使用したポリアミドの融点よりも約20℃高い温度で射出成形(金型温度:140℃)を行い、厚さ1mm、幅40mm、長さ100mmの板を作製した。この板を使用し、スペクトロフォトメーター(日立製作所(株)製)を用いて、470nmの波長における反射率を求めた。
<ハンダ耐熱性>
下記の実施例および比較例で使用したポリアミドの融点よりも約20℃高い温度で射出成形を行い、厚さ0.5mm、幅10mm、長さ30mmの板を作製した。この板を40℃、95%RH(相対湿度)の雰囲気中に100時間放置した。この試験片を赤外線加熱炉中で150℃で1分間加熱し、次いで100℃/分の速度で昇温し、板に変形や膨れが発生した温度をハンダ耐熱性の指標とした。鉛フリーハンダではピーク温度260℃以上のハンダ耐熱性を要求される。
また、以下の実施例および比較例では、下記のものを使用した。
〔ポリアミド〕
PA9T:
特開平7−228689号公報の実施例1に記載された方法に従って調製した、テレフタル酸単位と、1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8オクタンジアミン単位(1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8オクタンジアミン単位のモル比が85:15)からなる、極限粘度[η](濃硫酸中、30℃で測定)が0.9dl/g、融点が306℃、末端封止率が77%(末端封止剤:安息香酸)であるポリアミド。
PA6−6T:
特開2000−86759号公報の実施例1に記載された方法に準じて調製した、テレフタル酸単位およびアジピン酸単位[テレフタル酸単位:アジピン酸単位=55:45(モル比)]をジカルボン酸単位とし、1,6−ヘキサンジアミン単位をジアミン単位とする、極限粘度[η]0.82dl/g、融点310℃、末端封止率89%(末端封止剤:安息香酸)のポリアミド。
〔酸化チタン(B)〕
a: 石原産業(株)社製、「タイペークCR−63」(二酸化チタン;平均粒径0.2μm)
〔水酸化マグネシウム(C)〕
b:協和化学工業(株)社製「キスマー5E」(水酸化マグネシウム;平均粒径0.1−0.6μm)
〔強化(D)〕
c: 日東紡績(株)社製、「CS3J225」(ガラス繊維)
d: Nyco Minerals,Inc、「Nyglos 4」(ワラストナイト)
e:四国化成社製、「YS3A」(ホウ酸アルミニウム)
〔安定剤(E)〕
f: クラリアントジャパン(株)社製「ナイロスタブS−EED」(2−エチル−2’−エトキシ−オキザルアニリド)
g:住友化学工業(株)社製、「GA−80」(ヒンダードフェノール系酸化防止剤)
実施例1〜3および比較例1〜5
表1に示すポリアミドを減圧下、120℃で24時間乾燥した後、表1に示す量の水酸化マグネシウム、酸化チタン、光安定剤および離型剤とドライブレンドし、得られた混合物を2軸押出機(スクリュー径:30mm、L/D=28、シリンダー温度320℃、回転数150rpm)のホッパーからフィードして、同時に、サイドフィーダーより表1に示す量の強化を添加して溶融混練し、ストランド状に押出した後、ペレタイザにより切断してペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。得られたポリアミド樹脂組成物を使用し、前記した方法に従って所定形状の試験片を作製し、各種物性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004525917

表1から明らかなように、実施例1〜3の試験片は、LEDの製造工程を想定した高温加熱処理を行っても、白色度が高く、波長470nmの反射率が92%以上を保持している。さらに、鉛フリーハンダに対応した耐熱性を保持している。それに対し、比較例1の試験片の場合、水酸化マグネシウムを含有していないので、加熱処理後の波長470nmの反射率が92%未満となる。比較例2の試験片の場合には、酸化防止剤を含有するが、水酸化マグネシウムを含有しないので、やはり加熱処理後の波長470nmの反射率が92%未満となる。また、水酸化マグネシウムを含有するが、ポリアミド樹脂100質量部に対し0.5質量部未満の含有量である比較例3の試験片の場合にも、やはり加熱処理後の波長470nmの反射率が92%未満となる。ポリアミド樹脂のジアミン単位として、1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン以外のヘキサンジアミンを使用した比較例4の試験片の場合には、比較例1に比べて、更に、白度と反射率の結果が劣ることがわかる。比較例4に水酸化マグネシウムを加えても加熱処理後の波長470nmの反射率が92%未満となることがわかる(比較例5参照)。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、鉛フリーハンダを使用したSMT工程で使用できる耐熱性を有し、LED製造工程で必要な高温加熱工程で変色が小さく、高い反射率を維持することができる。本発明のポリアミド樹脂組成物は、LED光源を使用した様々な部品用のリクレクタ素材で好適に使用することができる。LED光源は従来の蛍光灯に比較して省電力・長寿命を特長としたものであるが、本発明は、該LED光源の発展に寄与する技術であり、産業上の利点は非常に大きいものである。

Claims (11)

  1. テレフタル酸単位を50〜100モル%含有するジカルボン酸単位(a)と1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位(b)とからなるポリアミド樹脂(A)、該ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して、酸化チタン(B)を5〜100質量部、水酸化マグネシウム(C)を0.5〜30質量部、および繊維状充填剤および針状充填剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の強化(D)を20〜100質量部を含有するLEDリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物。
  2. ポリアミド樹脂(A)の濃硫酸中30℃における極限粘度が、0.4〜2.0dl/gである請求項1記載のLEDリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物。
  3. 強化(D)が、ガラス繊維、ワラストナイト、チタン酸カリウムウィスカー、およびホウ酸アルミニウムウィスカーよりなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1または2記載のLEDリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物。
  4. 更に、光安定剤(E)を、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して2質量部以下の割合で含有する請求項1〜3のいずれかに記載のLEDリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物。
  5. 170℃で2時間加熱処理後に、スペクトロフォトメーターによる波長470nmの反射率が92%以上である請求項1〜4のいずれかに記載のLEDリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のLEDリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物からなるLEDリフレクタ。
  7. テレフタル酸単位を50〜100モル%含有するジカルボン酸単位(a)と1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位(b)とからなるポリアミド樹脂(A)、該ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して、酸化チタン(B)を5〜100質量部、水酸化マグネシウム(C)を0.5〜30質量部、および繊維状充填剤および針状充填剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の強化(D)を20〜100質量部含有し、かつ170℃で2時間加熱処理後の、スペクトロフォトメーターによる波長470nmの反射率が92%以上であるポリアミド樹脂材料。
  8. ポリアミド樹脂(A)の濃硫酸中30℃における極限粘度が、0.4〜2.0dl/gである請求項7記載のポリアミド樹脂材料。
  9. 強化(D)が、ガラス繊維、ワラストナイト、チタン酸カリウムウィスカー、およびホウ酸アルミニウムウィスカーよりなる群より選ばれる少なくとも1つである請求項7または8記載のポリアミド樹脂材料。
  10. 更に、光安定剤(E)を、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して2質量部以下の割合で含有する請求項7〜9のいずれかに記載のポリアミド樹脂材料。
  11. 請求項7〜10のいずれかに記載のポリアミド樹脂材料からなる成形品。

JP2005078373A 2005-03-18 2005-03-18 Ledリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物およびledリフレクタ Active JP4525917B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005078373A JP4525917B2 (ja) 2005-03-18 2005-03-18 Ledリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物およびledリフレクタ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005078373A JP4525917B2 (ja) 2005-03-18 2005-03-18 Ledリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物およびledリフレクタ

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2006257314A JP2006257314A (ja) 2006-09-28
JP2006257314A5 JP2006257314A5 (ja) 2007-10-18
JP4525917B2 true JP4525917B2 (ja) 2010-08-18

Family

ID=37096922

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005078373A Active JP4525917B2 (ja) 2005-03-18 2005-03-18 Ledリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物およびledリフレクタ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4525917B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014171029A1 (ja) 2013-04-17 2014-10-23 ダイセル・エボニック株式会社 耐光性樹脂組成物およびその成形体

Families Citing this family (41)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101174063B1 (ko) * 2007-11-29 2012-08-13 미쓰비시 쥬시 가부시끼가이샤 금속 적층체, led 탑재 기판, 및 백색 필름
JP4623322B2 (ja) * 2007-12-26 2011-02-02 信越化学工業株式会社 光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物並びに光半導体ケース及びその成形方法
JP5163114B2 (ja) * 2007-12-27 2013-03-13 豊田合成株式会社 複合材料組成物及び光反射部材
JP4678415B2 (ja) * 2008-03-18 2011-04-27 信越化学工業株式会社 光半導体ケース形成用白色熱硬化性シリコーン樹脂組成物並びに光半導体ケース
JP2010080793A (ja) * 2008-09-26 2010-04-08 Toyoda Gosei Co Ltd 光反射部材及び発光装置
JP5355184B2 (ja) 2009-03-31 2013-11-27 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 全芳香族サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂組成物、成形体及びledリフレクター
JP5385685B2 (ja) * 2009-05-28 2014-01-08 三菱樹脂株式会社 カバーレイフィルム、発光素子搭載用基板及び光源装置
JP2011014890A (ja) 2009-06-02 2011-01-20 Mitsubishi Chemicals Corp 金属基板及び光源装置
JP5399136B2 (ja) * 2009-06-09 2014-01-29 株式会社クラレ カメラモジュールのバレルまたはホルダ
JP5491089B2 (ja) * 2009-07-16 2014-05-14 旭化成ケミカルズ株式会社 Ledリフレクタ用ポリアミド組成物
CN102482492B (zh) * 2009-09-07 2015-09-30 可乐丽股份有限公司 Led用反射板以及具备其的发光装置
KR101231020B1 (ko) * 2009-12-28 2013-02-07 제일모직주식회사 반사성, 내충격성, 내열성 및 내습성이 우수한 폴리아마이드 수지 조성물 및 그 제조방법
KR101282706B1 (ko) * 2010-09-28 2013-07-05 제일모직주식회사 표면 반사율 및 내열성이 우수한 폴리아미드 조성물
WO2012049252A2 (en) * 2010-10-13 2012-04-19 Solvay Specialty Polymers Usa, Llc Stain-resistant articles
WO2012049254A1 (en) * 2010-10-13 2012-04-19 Solvay Specialty Polymers Usa, Llc Stain-resistant fibers, textiles and carpets
CN103180363B (zh) 2010-11-26 2014-08-27 三菱瓦斯化学株式会社 聚酰胺树脂及其成形方法
CN103328573B (zh) * 2011-01-28 2015-05-20 可乐丽股份有限公司 反射板用聚酰胺组合物、反射板、具备该反射板的发光装置、以及具备该发光装置的照明装置和图像显示装置
EP2431419A1 (en) * 2011-06-21 2012-03-21 DSM IP Assets B.V. Anti-yellowing polyamide composition
FR2976946B1 (fr) * 2011-06-24 2014-01-24 Arkema France Composition comprenant un polyamide semi-aromatique et ses utilisations, notamment pour un reflecteur a diode electroluminescente
JP5945537B2 (ja) 2011-06-27 2016-07-05 株式会社ダイセル 光反射用硬化性樹脂組成物及び光半導体装置
CN102287777A (zh) * 2011-09-09 2011-12-21 福建省万邦光电科技有限公司 Led光源多杯模块用底座
CN102287664A (zh) * 2011-09-09 2011-12-21 福建省万邦光电科技有限公司 高白度基板led光源多杯模块
JP5979846B2 (ja) * 2011-10-26 2016-08-31 大塚化学株式会社 反射板用樹脂組成物および反射板
JP5650097B2 (ja) 2011-11-09 2015-01-07 信越化学工業株式会社 熱硬化性エポキシ樹脂組成物及び光半導体装置
KR101910698B1 (ko) * 2012-02-28 2018-10-22 도요보 가부시키가이샤 Led 반사판용 열가소성 수지 조성물
JP6127802B2 (ja) * 2012-08-10 2017-05-17 東レ株式会社 照明用放熱部材
US20150337108A1 (en) 2013-01-11 2015-11-26 Asahi Kasei Chemicals Corporation Polyamide composition and molded product
JP6213565B2 (ja) * 2013-08-12 2017-10-18 宇部興産株式会社 熱可塑性樹脂と金属との複合体
KR20150062709A (ko) * 2013-11-29 2015-06-08 제일모직주식회사 광안정성 및 내변색특성이 우수한 열가소성 수지 조성물
EP3081598B8 (en) * 2013-12-13 2020-08-12 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Polyamide composition, molded article, reflective board for leds, and method for preventing heat-induced reflectivity reduction
JP5964923B2 (ja) * 2014-10-28 2016-08-03 旭化成株式会社 ポリアミド組成物の製造方法及びポリアミド組成物からなる成形体の製造方法
JP6311626B2 (ja) 2015-02-20 2018-04-18 信越化学工業株式会社 Ledリフレクター用白色熱硬化性エポキシ樹脂組成物
US10703903B2 (en) 2015-06-29 2020-07-07 Kuraray Co., Ltd. Polyamide composition for LED reflection plate, LED reflection plate, and light-emitting device including reflection plate
JP2017071728A (ja) * 2015-10-09 2017-04-13 三井化学株式会社 ポリエステル樹脂組成物、反射板の製造方法および発光ダイオード(led)素子の製造方法
JP2017095557A (ja) * 2015-11-20 2017-06-01 ユニチカ株式会社 ポリアミド樹脂組成物およびそれからなる成形体
JP6547615B2 (ja) * 2015-12-16 2019-07-24 日亜化学工業株式会社 パッケージの製造方法、発光装置の製造方法、パッケージ、及び発光装置
WO2018135558A1 (ja) 2017-01-23 2018-07-26 株式会社ダイセル 光反射用硬化性樹脂組成物及びその硬化物、並びに光半導体装置
CN113817316B (zh) * 2021-08-12 2023-09-26 金发科技股份有限公司 一种半芳香族聚酰胺树脂组合物及其制备方法与应用
CN115819964B (zh) * 2021-09-18 2024-03-01 珠海万通特种工程塑料有限公司 一种聚酰胺模塑复合材料及其制备方法和应用
CN114656781B (zh) * 2022-03-17 2023-08-22 珠海万通特种工程塑料有限公司 一种灰色半芳香聚酰胺模塑材料及其制备方法和应用
CN115678268B (zh) * 2022-09-29 2024-03-26 珠海万通特种工程塑料有限公司 一种聚酰胺模塑组合物及其制备方法和应用

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003041117A (ja) * 2001-05-21 2003-02-13 Kuraray Co Ltd ポリアミド組成物
JP2004075994A (ja) * 2002-06-21 2004-03-11 Kuraray Co Ltd ポリアミド組成物

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003041117A (ja) * 2001-05-21 2003-02-13 Kuraray Co Ltd ポリアミド組成物
JP2004075994A (ja) * 2002-06-21 2004-03-11 Kuraray Co Ltd ポリアミド組成物

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014171029A1 (ja) 2013-04-17 2014-10-23 ダイセル・エボニック株式会社 耐光性樹脂組成物およびその成形体
KR20150143692A (ko) 2013-04-17 2015-12-23 다이셀에보닉 주식회사 내광성 수지 조성물 및 그의 성형체
US9644080B2 (en) 2013-04-17 2017-05-09 Daicel-Evonik Ltd. Light-resistant resin composition, and moulded body thereof
EP3502193A1 (en) 2013-04-17 2019-06-26 Daicel-Evonik Ltd. Moulded body comprising a light-resistant resin composition

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006257314A (ja) 2006-09-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4525917B2 (ja) Ledリフレクタ成形用ポリアミド樹脂組成物およびledリフレクタ
JP5922986B2 (ja) 反射板用ポリアミド組成物、反射板、該反射板を備えた発光装置、ならびに該発光装置を備えた照明装置および画像表示装置
JP5687626B2 (ja) Led用反射板およびそれを備える発光装置
CA2432522C (en) Polyamide composition
JP4998841B2 (ja) 表面実装型led用反射板に使用するポリアミド樹脂組成物
JP6015652B2 (ja) Led反射板用熱可塑性樹脂組成物
JP2004075994A (ja) ポリアミド組成物
JPWO2017002824A1 (ja) Led反射板用ポリアミド組成物、led反射板、該反射板を備えた発光装置
JP6841551B2 (ja) Led反射板用ポリアミド組成物、led反射板、該反射板を備えた発光装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070903

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070903

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100216

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100512

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130611

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4525917

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100525

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130611

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140611

Year of fee payment: 4