JP4525607B2 - 車両制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、道路状況に応じた車両制御を行う車両制御装置に関する。
ナビゲーション装置では、GPSセンサを用いた衛星航法による絶対的な測位データと、ジャイロセンサや車速センサ等を用いた推測航法による相対的な測位データを併用して車両の車両の絶対位置を検出し、地図データの表す道路地図上に車両の現在位置を表示するように構成されている。ところが、地図データの表す道路地図と実際の道路との間の誤差がある場合には、車両の絶対位置が地図データの表す道路地図と整合しない現象が生じる。そこで、ナビゲーション装置では、地図データの表す道路地図と整合するように車両の位置を補正する処理(いわゆるマップマッチング)を行い、地図データの表す道路地図を基準とした車両の位置を求めるようにしている。このように、ナビゲーション装置では、車両の位置を道路地図に整合させて表示することが重要視されており、地図データの表す道路地図が実際の道路と大きく異なっている場所においても、その道路に整合させて車両の位置を表示することが求められている。
一方、近年では、ナビゲーション装置を利用して道路状況に応じた車両制御を行うことが考えられている。例えば、車両の前面に設けられた左右一組の前照灯の光軸方向を道路面に対して水平な面内において調整可能に構成し、地図データの表す道路地図から判断される道路状況(車両前方方向の道路方向)に応じて前照灯の光軸方向を調整する構成が提案されている(特許文献1参照)。このように地図データの表す道路地図から判断される道路状況に応じて前照灯の光軸方向を調整する構成では、山道等のように地図データの表す道路地図の精度が低い場所において、実際の道路状況と対応しない制御が行われてしまう。そこで、特許文献1の構成では、左右一組の前照灯のうち一方の前照灯の光軸のみを、地図データの表す道路地図から判断される道路状況に応じて調整するように構成されている。
特開2003−59839号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の構成のように片方の前照灯の光軸方向のみを地図データの表す道路地図から判断される道路状況に応じて制御する方法では、地図データの表す道路地図の精度が低い場所における制御の悪化(実際の道路状況に対する制御結果のずれ)を半減することはできるものの、逆に地図データの表す道路地図の精度が高い場所における制御の効果も半減してしまう。
本発明は上記点に鑑み、道路状況に応じた効果的な車両制御を実現することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、道路地図を表す地図データと、実際の道路の絶対位置を基準とした場合における地図データの誤差である信頼度とが関連づけられて記憶されている地図データ記憶手段(30)と、車両の絶対位置を検出する絶対位置検出手段(20、40、50)と、車両の走行に伴い絶対位置検出手段により検出された車両の絶対位置を、車両の走行軌跡情報として記憶する軌跡記憶手段(70)と、走行軌跡情報の信頼度と走行軌跡情報に対応する地図データの信頼度を比較し、走行軌跡情報とこれに対応する地図データのうち信頼度の高い方の情報から判断される道路状況に応じた車両制御を行う車両制御手段(80)とを備える車両制御装置を特徴としている。
これにより、地図データの精度が高い場所では地図データの情報を用いて車両制御を行い、地図データの精度が低い場所では走行軌跡情報を用いて車両制御を行うことができ、互いの情報を補完して、道路状況に応じた効果的な車両制御を実現することが可能となる。
ところで、軌跡記憶手段により記憶された走行軌跡情報を用いて車両制御を行う場合は、車両が現在走行している道路に対応する走行軌跡情報を用いて行う必要がある。ここで、走行軌跡情報が現在走行している道路に対応するものであるいか否かは、例えば走行軌跡情報の表す絶対位置情報と絶対位置検出手段により検出される車両の絶対位置との比較により判定することが可能である。ただし、より簡便に走行軌跡情報を管理するには、走行軌跡情報を道路地図と関連づけて記憶しておくことが好ましい。
具体的には、絶対位置検出手段により検出された車両の絶対位置に基づき、地図データ記憶手段に記憶されている地図データの表す道路地図を基準とした車両の位置を取得する地図上位置取得手段(70)を備え、軌跡記憶手段は、走行軌跡情報を、地図上位置取得手段により取得される道路地図を基準とした車両の位置と関連づけて記憶する。このような構成の車両制御装置によれば、車両が現在走行している道路に対応する走行軌跡情報の有無を簡単かつ確実に判定することが可能となる。特に、本発明の車両制御装置では、地図データの表す道路地図とは別に走行軌跡情報を記憶する構成のため、地図データの表す道路地図については修正する必要がない。したがって、地図データ自体に手を加える場合に比べ、比較的簡単な処理で実現することができる。
また、走行軌跡情報の記憶は特定の条件でのみ行うようにしてもよい。すなわち、地図上位置取得手段により取得される道路地図を基準とした車両の位置に基づき、車両の走行軌跡を記憶すべき状態であるか否かを判定する軌跡記憶判定手段(70)を備え、軌跡記憶手段は、軌跡記憶判定手段により車両の走行軌跡を記憶すべき状態であると判定された場合に走行軌跡情報を記憶するようにすることができる。このような構成の車両制御装置によれば、車両の走行軌跡情報を記憶すべき状態でないにもかかわらず走行軌跡情報の記憶が行われてしまうことを防ぐことができる。
具体的には、地図上位置取得手段は、絶対位置検出手段により検出される車両の絶対位置を地図データの表す道路地図と整合させるように補正することで、道路地図を基準とした車両の位置を取得するものであり、軌跡記憶判定手段は、地図上位置取得手段による補正の度合が判定基準となる条件より大きい場合に、車両の走行軌跡を記憶すべき状態であると判定するように構成することができる。さらに、軌跡記憶判定手段は、地図上位置取得手段により取得される道路地図を基準とした車両の位置が、道路地図における予め設定された領域内にある場合に、車両の走行軌跡を記憶すべき状態であると判定するように構成することができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の車両制御装置を適用した一実施形態について図1〜図4に基づいて説明する。本実施形態の車両制御装置は、ナビゲーション装置を主要構成要素として構成されている。
図1は、本実施形態の車両制御装置の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、ナビゲーション装置は、通信部10、GPSセンサ20、記憶部30、ジャイロセンサ40、車速センサ50、表示部60、制御部70、ライト制御部80を備えている。
通信部10は、道路沿いに点在して設けられた路側器3からの近距離無線通信により情報を受信する機能との間でインターネット等の通信網を介した通信を行う機能とを有している。路側器3は、その路側器3が設置されている地点の絶対位置情報(緯度、経度および高度)を含む情報を車両制御装置に送信する。
GPSセンサ20は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波を受信し、車両1の絶対位置(緯度、経度及び高度)を検出する。GPSセンサ20による車両1の絶対位置検出は定期的に行われている。
記憶部30は、各種情報を記憶する記憶媒体であり、各種情報の書き込みと読み出しが可能となっている。本実施形態の記憶部30は、ハードディスク装置(HDD)から構成されている。なお、記憶部30は、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体製メモリ等の可搬記憶媒体から地図データを読み出す構成とすることもできる。
記憶部30には、道路地図を表す地図データ(電子地図)が記憶されている。この地図データには、所定区間毎に地図データの精度を示す地図データの信頼度が予め設定されている。地図データの精度は、実際の道路の道路形状に対して、地図データの表す道路地図上の道路形状がどれだけずれているかを示している。本実施形態では、地図データの信頼度を数値化しており、地図データの誤差が小さいほど地図データの信頼度の数値を高くし、地図データの誤差が大きいほど地図データの信頼度の数値を低くしている。具体的には、実際の道路の絶対位置に対する地図データの誤差が±1m未満の場合を信頼度100、誤差が±1m以上±5m未満の場合を信頼度80、誤差が±5m以上±10m未満の場合を信頼度60、誤差が±10m以上の場合を信頼度40と設定されている。
ここで、地図データの誤差は、所定の距離間隔毎に実際の道路の絶対位置とこれに対応する地図データ上の位置を比較し、各比較点での誤差の平均値として求めることができる。あるいは、実際の道路の絶対位置とこれに対応する地図データの相関値から地図データの誤差を求めてもよい。
さらに、本実施形態の記憶部30には車両1で実際に道路を走行することで、車両1の走行軌跡に関する情報として走行軌跡情報が記憶される。走行軌跡情報は、地図データが表す道路地図上の特定の区間において、所定間隔毎に車両1の絶対位置(緯度、経度および高度)が記憶された集合体であり、地図データに関連づけられて記憶される。走行軌跡情報には、車両1の絶対位置検出時の誤差に関する情報が含まれている。
ジャイロセンサ(角速度センサ)40は、車両1がどの方向に運行しているのかを検出するものであり、車両1に加わる回転運動の角速度に応じた検出信号を出力する。車速センサ50は、車両1の走行速度に応じた間隔でパルス信号を出力する。表示部60は、地図データの表す道路地図等の各種情報を表示するためのものであり、例えば液晶ディスプレイによって構成される。
ナビ制御部70は、CPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらを接続するバスライン等からなるマイクロコンピュータを中心に構成されており、上述した各部10〜60を統括制御する。ナビ制御部70は、例えば、GPSセンサ20、ジャイロセンサ40、車速センサ50からの各検出信号に基づき車両1の絶対位置を検出する処理、記憶部30に記憶されている地図データの表す道路地図と整合するように車両1の位置を補正するマップマッチング処理、地図データの表す道路地図とマップマッチング処理後の車両1の位置を表示部60に表示する処理、車両1の現在位置から目的地までの最適な走行ルートを案内する処理等を行う。さらに、本実施形態のナビ制御部70は、車両1の絶対位置の信頼度を設定する処理、車両1の走行軌跡を記憶部30に保存する処理を行うように構成されている。
ライト制御部80は、CPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらを接続するバスライン等からなるマイクロコンピュータを中心に構成されており、上述したナビ制御部70と通信ラインを介して通信可能に接続されている。ライト制御部80は、ナビ制御部70から送られてくる情報に基づき、車両1の左右前方に設けられた前照灯の光軸方向を変化させる制御(光軸制御)を行う。本実施形態のライト制御部80は、ナビ制御部70から送られてくる道路状況に関する情報に基づいて制御を行うように構成されている。
図2は、ライト制御部80が行う前照灯の光軸制御を説明するための図である。ナビ制御部70から送られてくる道路状況に関する情報(走行軌跡の情報)から判断される道路状況(車両前方方向の道路方向)に応じて、前方が右カーブの場合には光軸方向を右方向に調整し(図2(a))、前方が左カーブの場合には光軸方向を左方向に調整し(図2(a))、前方が上り勾配の場合には光軸方向を上方向に調整し(図2(b))、前方が下り勾配の場合には光軸方向を下方向に調整する(図2(c))。
次に、車両制御装置が行う車両制御用位置検出処理について説明する。図3は、ナビ制御部70がROM等に格納されたプログラムにしたがって実行する車両制御用位置検出処理の流れを示すフローチャートである。図4は、車両制御用位置検出処理において、ナビ制御部70、記憶部30、GPSセンサ20の関係を時系列的に示したタイミングチャートである。図4における通常ポイントとは、車両1の走行軌跡を保存すべきでない走行領域のことであり、特定ポイントとは、車両1の走行軌跡を保存すべき走行領域のことである。なお、車両制御用位置検出処理は、車両走行中に定期的(例えば200ms毎)に行われる。
まず、現時点における車両1の絶対位置(緯度、経度および高度)を検出する(S101)。車両絶対位置の検出は、GPSセンサ20からの検出信号に基づく衛星航法による絶対的な測位データと、ジャイロセンサ40および車速センサ50からの各検出信号に基づく推測航法による相対的な測位データとを併用して行う。また、人工衛星からの送信電波が受信されない等、GPSセンサ20による絶対位置検出ができない状況においては、路側器3からの絶対位置検出を試みる。すなわち、車両1の近くに路側器3が存在する場合には、その路側器3に記憶されている絶対位置情報(その路側器3が設置されている緯度、経度および高度)を路側器3からの取得するための通信処理を通信部10に行わせる。
次に、S101で検出した車両1の現在位置を、記憶部30に記憶されている地図データの表す道路地図と整合するように補正することで、地図データの表す道路地図を基準とした車両1の位置を求めるマップマッチング処理を行う(S102)。次に、マップマッチング処理後の車両1の位置に基づき、地図データの表す道路地図および車両1の現在位置を表示装置60に表示させる(S103)。
次に、軌跡保存フラグがオン状態であるか否かを判定する(S104)。ここで、「軌跡保存フラグ」とは、車両1の走行軌跡を保存(記憶)すべき状態であるか否かを示すフラグである。具体的には、車両1の走行軌跡を保存すべき状態となった場合に、後述するS106において軌跡保存フラグがオン状態とされ、車両1の走行軌跡を保存すべき状態でなくなった場合に、後述するS110において軌跡保存フラグがオフ状態とされる。なお、軌跡保存フラグのオン/オフ状態はナビ制御部70のRAMに保存され、車両のエンジンが停止されるまで維持される。
S104の判定処理で、軌跡保存フラグがオン状態でない(オフ状態である)と判定された場合には(S104:NO)、車両1の走行軌跡の保存を開始する状態となったか否かを判定する(S105)。つまり、車両1の走行軌跡を保存すべき状態となったか否かを判定する。具体的には、以下の(A)または(B)を満たし、かつ、(C)または(D)を満たしている場合に、開始条件が成立したと判定される。
(A)S102のマップマッチング処理による補正量が予め設定されている基準値より大きいこと(換言すれば地図データの表す道路地図と実際の道路との誤差が大きいと推定されること)。
(B)車両位置が予め設定されている特定領域内であること。ここで特定領域とは、事故多発地点や危険地点等の周辺領域として設定されている。
(C)GPSセンサ20による絶対位置検出が行える状況であること、若しくは、GPSセンサ20による絶対位置検出が行える地点から所定の走行距離未満しか走行していないこと。ここで、所定の走行距離は、推測航法で精度が維持できる距離に設定される。
(D)路側器3から絶対位置情報を取得可能な状況であること、若しくは路側器3から絶対位置情報を取得した地点から所定の走行距離未満しか走行していないこと。ここで、所定の走行距離は、推測航法で精度が維持できる距離に設定される。
S105の判定処理の結果、走行軌跡記憶条件が成立したと判定された場合には(S105:YES)、軌跡保存フラグをオン状態とする(S106)。これにより、図4における通常ポイントから特定ポイントに移行する。
次に、記憶部30から地図データを取得し、この地図データに基づいて地図データを基準とした現時点での車両1の位置を、走行軌跡の始点を表す軌跡開始ポイントとして記憶部30に記憶させ(S107)、S108に移行する。
S104の判定処理で、軌跡保存フラグがオン状態であると判定された場合には(S104:YES)、そのままS108に移行する。
次に、S101で検出した車両絶対位置と、GPSセンサ20の予測誤差を走行軌跡情報として記憶部30に記憶する(S108)。走行軌跡情報は、記憶部30に記憶されている軌跡開始ポイントであって最新のもの(最も遅い時期に記憶されたもの)と関連づけて記憶させる。ここで、GPSセンサ20の予測誤差とは、GPSにより検出される車両1の絶対位置の精度を表す値であり、この値の決定方法として種々の方法があり、本実施形態では、送信電波が受信された人工衛星の数に基づき、人工衛星の数が多いほど測定誤差が小さくなるという評価方法で予測誤差のレベルを決定するようにしている。具体的には、3つの人工衛星から送信電波が受信された場合の予測誤差レベルを「大」、4つの人工衛星から送信電波が受信された場合の予測誤差レベルを「中」、5つの人工衛星から送信電波が受信された場合の予測誤差レベルを「小」、6つ以上の人工衛星から送信電波が受信された場合の予測誤差レベルを「極小」、としている。なお、送信電波を受信できる人工衛星の数が多いほど予測誤差のレベルを小さく評価しているのは、人工衛星の数が多いほど精度のよい組合せを選択できるからである。
S108の処理において、同一の走行路に関する軌跡情報が既に記憶されている場合には、GPSセンサ20の予測誤差レベルに応じた絶対位置の更新処理を行う。すなわち、既に登録されている予測誤差のレベルの方が大きければ絶対位置を更新し、既に登録されている予測誤差のレベルの方が小さければ絶対位置を更新しない。なお、予測誤差のレベルが同じであれば、絶対位置を更新するようにしてもよく、逆に更新しないようにしてもよいが、既に登録されている絶対位置との平均値をとってその平均値に更新するようにすれば、記憶されている絶対位置をより高精度となる方向に近づけることができる。
次に、車両1の走行軌跡の保存を終了する条件が満たされたか否かを判定する(S109)。つまり、車両1の走行軌跡を保存すべき状態でなくなったか否かを判定する。具体的には、以下の(E)および(F)の双方を満たしているか、あるいは(G)および(H)の双方を満たしている場合に、終了条件が満たされたと判定される。
(E)S102のマップマッチング処理による補正量が予め設定されている基準値より小さい、換言すれば地図データの表す道路地図と実際の道路との誤差が小さいと推定されること。
(F)車両位置が上記(B)でいう特定領域外であること。
(G)GPSセンサ20による絶対位置検出が行える状況ではなく、かつ、GPSセンサ20による絶対位置検出が行える地点から上記(C)でいう所定の走行距離以上走行していること。
(H)路側器3から絶対位置情報を取得可能な状況でないこと、かつ、路側器3から絶対位置情報を取得した地点から上記(D)でいう所定の走行距離以上走行していること。
S109の判定処理の結果、終了条件が満たされたと判定された場合には(S109:YES)、走行軌跡保存フラグをオフ状態にする(S110)。これにより、図4における特定ポイントから通常ポイントに移行する。
次に、記憶部30から地図データを取得し、この地図データに基づいて地図データを基準とした現時点での車両1の位置を、走行軌跡の終点を表す軌跡終了ポイントとして記憶部30に記憶させる(S111)。S107で記憶させた軌跡開始ポイントからS111で記憶させた軌跡終了ポイントまでが、走行軌跡情報が記憶された区間となる。
次に、走行軌跡情報の信頼度を軌跡信頼度として記憶部30に記憶させる(S112)。具体的には、軌跡終了ポイントと同様、記憶部30に記憶されている軌跡開始ポイントであって最新のものと関連づけて記憶させる。走行軌跡情報の信頼度は、その軌跡開始ポイントと関連づけて記憶されている走行軌跡情報に基づき判断される。本実施形態では、走行軌跡情報の信頼度を数値化している。具体的には、走行軌跡情報に「大」レベルの予測誤差が1つでも含まれている場合の信頼度のレベルを40、走行軌跡情報に「中」レベルの予測誤差が1つでも含まれている場合の信頼度のレベルを60、走行軌跡情報に「小」レベルの予測誤差が1つでも含まれている場合の信頼度のレベルを80、走行軌跡情報に「大」「中」「小」レベルの予測誤差が含まれていない場合(「極小」レベルの予測誤差のみが含まれている)の信頼度のレベルを100とする。なお、信頼度のレベル100は±1m未満の精度に対応し、信頼度のレベル80は±1m以上±5m未満の精度に対応し、信頼度のレベル60は±5m以上±10m未満の精度に対応し、信頼度のレベル40は±10m以上の精度に対応する。
次に、車両制御フラグがオン状態であるか否かを判定する(S113)。ここで、「車両制御フラグ」とは、ライト制御部80による光軸制御を実行すべきであるか否かを示すフラグである。具体的には、光軸調整を実行すべき状態となった場合に、後述するS115の処理で車両制御フラグがオン状態とされ、光軸調整を実行すべき状態でなくなった場合に、後述するS120の処理で車両制御フラグがオフ状態とされる。なお、車両制御フラグのオン/オフ状態はナビ制御部70のRAMに記憶され、車両1のエンジンが停止するまで維持される。
S113の判定処理で、車両制御フラグがオン状態でない(オフ状態である)と判定された場合には(S113:NO)、記憶部30に記憶されている軌跡開始ポイントを車両1が通過したか否か、つまり、光軸制御を実行すべき状態となったか否かを判定する(S114)。具体的には、S102のマップマッチング処理後の車両1の位置(地図データの表す道路地図を基準とした車両1の位置)に基づき、記憶部30に記憶されている軌跡開始ポイント(複数記憶されている場合にはいずれのポイントでもよい。)を車両1が通過して、その軌跡開始ポイントと関連づけて記憶されている走行軌跡情報の表す走行軌跡に進入したと判断した場合に、軌跡開始ポイントを通過したと判定する。
S114の判定処理で、記憶部30に記憶されている軌跡開始ポイントを車両1が通過していないと判定された場合には(S114:NO)、そのまま本車両制御用位置検出処理を終了する。一方、記憶部30に記憶されている軌跡開始ポイントを車両1が通過したと判定された場合には(S114:YES)、車両制御フラグをオン状態とし(S115)、その後S116に移行する。
上記S113の判定処理で、車両制御フラグがオン状態であると判定された場合には(S113:YES)、そのままS116に移行する。
次に、車両1で実際に道路を走行することで設定された走行軌跡情報の信頼度と、予め設定されている地図データの信頼度とを比較し、走行軌跡情報の信頼度が地図データの信頼度より高いか否かを判定する(S116)。つまり、車両1が通過した軌跡開始ポイントと関連づけられて記憶されている走行軌跡情報の信頼度と、これに対応する地図データの信頼度とを比較する。S116の判定処理では、走行軌跡情報の信頼度と地図データの信頼度の数値を比較して、数値が高い方が信頼度が高く精度が高い情報であると判定する。この結果、走行軌跡情報の信頼度の方が地図データの信頼度より高いと判定された場合には(S116:YES)、走行軌跡情報をライト制御部80に送信する(S117)。
一方、走行軌跡情報の信頼度が地図データの信頼度より高くない、すなわち地図データの信頼度の方が走行軌跡情報の信頼度より高いと判定された場合には(S116:NO)、地図データをライト制御部80に送信する(S118)。
S117およびS118の処理では、走行軌跡情報または地図データのうち、前照灯の光軸制御に必要な情報(車両1の前方の道路状況に関する情報)を出力する。これにより、ライト制御部80は、走行軌跡情報または地図データから道路状況を判断し、この道路状況に応じた光軸制御を行う。
次に、記憶部30に記憶されている軌跡終了ポイントを車両1が通過したか否か、つまり、光軸制御を実行すべき状態でなくなったか否かを判定する(S119)。具体的には、S102のマップマッチング処理後の車両1の位置(地図データの表す道路地図を基準とした車両1の位置)に基づき、記憶部30に記憶されている軌跡終了ポイント(先に通過した軌跡開始ポイントに関連づけて記憶されている軌跡終了ポイント)を車両1が通過したと判断した場合に、軌跡終了ポイントを通過したと判定される。
S119の判定処理の結果、記憶部30に記憶されている軌跡終了ポイントを車両1が通過していないと判定された場合には(S119:NO)、そのまま本車両制御用位置検出処理を終了する。
一方、記憶部30に記憶されている軌跡終了ポイントを車両1が通過したと判定された場合には(S119:YES)、車両制御フラグをオフ状態にする(S120)。その後、本車両制御用位置検出処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態の車両制御装置では、車両1の走行に伴い検出される車両1の絶対位置を走行軌跡情報として記憶し、この走行軌跡情報と地図データのうち信頼度の高い方の情報から判断される道路状況に基づいて車両制御を行う。これにより、地図データの精度が高い場所(例えば都市部)では地図データの情報を用いて車両制御を行い、地図データの精度が低い場所(例えば郊外や山間部)では走行軌跡情報を用いて車両制御を行うことができ、互いの情報を補完して、道路状況に応じた効果的な車両制御を実現することが可能となる。
また、本実施形態の車両制御装置では、道路地図を基準とした車両1の位置と関連づけて走行軌跡情報を記憶するようにしているため、車両1が現在走行している道路に対応する走行軌跡情報の有無を簡単かつ確実に判定することができる。
さらに、本実施形態のナビゲーション装置では、地図データの表す道路地図が実際の道路と大きく異なる場所(地図データの表す道路地図の精度が低い場所)を車両1が走行している状態や、事故多発地点や危険地点等、車両制御の必要性が高い特定の場所を車両1が走行している状態であって、車両1の絶対位置が高精度で得られる状態でのみ、走行軌跡情報の記憶を行うようにしているため、地図データの表す道路地図よりも精度の高い走行軌跡情報が得られない状況であるにもかかわらず走行軌跡情報の記憶が行われてしまうことを防ぐことができる。
なお、本実施形態では、記憶部30が本発明の地図データ記憶手段に相当し、GPSセンサ20、ジャイロセンサ40、車速センサ50が本発明の絶対位置検出手段に相当し、S102の処理を行うナビ制御部70が本発明の地図上位置取得手段に相当し、S108の処理を行うナビ制御部70が本発明の軌跡記憶手段に相当し、S105の処理を行うナビ制御部70が本発明の軌跡記憶判定手段に相当し、ライト制御部80が車両制御手段に相当している。
(他の実施形態)
なお、上記実施形態では、走行軌跡情報または地図データの基づいて行われる車両制御として前照灯の光軸制御を行ったが、これに限らず、例えば車両1の駆動力の制御、車両1の制動力の制御、車両用空調装置の制御等の車両制御を行うこともできる。
上記実施形態の車両制御装置の概略構成を示すブロック図である。 ライト制御部が行う前照灯の光軸制御を説明するための図である。 車両制御用位置検出処理の流れを示すフローチャートである。 車両制御用位置検出処理における制御部、記憶部、GPSセンサの関係を示すタイミングチャートである
符号の説明
1…車両、3…路側器、10…通信部、20…GPSセンサ、30…記憶部、40…ジャイロセンサ、50…車速センサ、60…表示部、70…ナビ制御部、80…ライト制御部。

Claims (7)

  1. 道路地図を表す地図データと、実際の道路を基準とした場合における前記地図データの表す道路地図の誤差である信頼度とが関連づけて記憶されている地図データ記憶手段(30)と、
    車両の絶対位置を検出するとともに、前記車両の絶対位置を検出する状況に応じて検出精度が変化する絶対位置検出手段(20、40、50)と、
    前記車両の走行に伴い前記絶対位置検出手段により検出された前記車両の絶対位置を、前記車両の走行軌跡情報として記憶するとともに、前記絶対位置検出手段により検出された絶対位置の検出精度に基づいて前記走行軌跡情報の信頼度を設定し、前記走行軌跡情報の信頼度を前記走行軌跡情報に関連づけて記憶する軌跡記憶手段(70)と、
    前記走行軌跡情報の信頼度と前記走行軌跡情報に対応する前記地図データの信頼度とを比較し、前記走行軌跡情報と前記地図データのうち信頼度の高い方の情報から判断された道路状況に応じた車両制御を行う車両制御手段(80)とを備え
    前記軌跡記憶手段(70)は、前記絶対位置検出手段によって前記車両の絶対位置が所定の精度基準より高い精度で検出できる高精度区間で、前記車両の走行軌跡情報および前記走行軌跡情報の信頼度を記憶することを特徴とする車両制御装置。
  2. 前記絶対位置検出手段により検出された前記車両の絶対位置に基づき、前記地図データ記憶手段に記憶されている地図データの表す道路地図を基準とした前記車両の位置を取得する地図上位置取得手段(70)を備え、
    前記軌跡記憶手段は、前記走行軌跡情報を、前記地図上位置取得手段により取得される前記道路地図を基準とした前記車両の位置と関連づけて記憶することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
  3. 前記地図上位置取得手段により取得される前記道路地図を基準とした前記車両の位置に基づき、前記車両の走行軌跡を記憶すべき状態であるか否かを判定する軌跡記憶判定手段(70)を備え、
    前記軌跡記憶手段は、前記軌跡記憶判定手段により前記車両の走行軌跡を記憶すべき状態であると判定された場合に前記走行軌跡情報を記憶することを特徴とする請求項1または2に記載の車両制御装置
  4. 前記地図上位置取得手段は、前記絶対位置検出手段により検出される前記車両の絶対位置を前記地図データの表す道路地図と整合させるように補正することで、前記道路地図を基準とした前記車両の位置を取得するものであり、
    前記軌跡記憶判定手段は、前記地図上位置取得手段による前記補正の度合が判定基準となる条件より大きい場合に、前記車両の走行軌跡を記憶すべき状態であると判定することを特徴とする請求項3に記載の車両制御装置
  5. 前記軌跡記憶判定手段は、前記地図上位置取得手段により取得される前記道路地図を基準とした前記車両の位置が、前記道路地図における予め設定された領域内にある場合に、前記車両の走行軌跡を記憶すべき状態であると判定することを特徴とする請求項3に記載の車両制御装置
  6. 前記絶対位置検出手段(20、40、50)は、衛星航法による絶対的な測位データと、推測航法による相対的な測位データとを併用して、前記車両の絶対位置の検出を行い、
    前記軌跡記憶手段(70)は、前記衛星航法による絶対位置検出が行える状況であること、若しくは、前記衛星航法による絶対位置検出が行える地点から所定の走行距離未満しか走行していないことに基づいて、前記車両の絶対位置が前記所定の精度基準より高い精度で検出できると判定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両制御装置。
  7. 前記軌跡記憶手段(70)は、前記高精度区間において検出された絶対位置の検出精度のうち、最も悪い検出精度に基づいて、前記高精度区間における前記走行軌跡情報の信頼度を設定することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車両制御装置。
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