JP4525303B2 - 有機el素子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機EL素子の構造およびその製造方法に関する。より詳細には、有機EL素子における正孔注入バッファ層の構造およびその製造方法に関する。
表示装置に適用される発光素子の一例として、有機化合物の薄膜積層構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と称する)が知られている。有機EL素子については、1987年、イーストマンコダック社のC. W. Tangらによって、正孔注入輸送層と電子輸送性有機発光層とからなる2層積層構造の高効率で発光する有機EL素子が発表されて以来、有機EL素子の実用化に向けて様々な検討がなされている(非特許文献1を参照)。
これら有機EL素子において、より低い電力において実用的な輝度を得るために、キャリアである正孔、電子を効率よく有機積層構造に注入し、有機発光層へ輸送するための構造が必要になる。
通常、基板面を光取り出し面とするボトムエミッション型有機EL素子においては、基板上の電極は十分な光透過性を有する必要がある。そのため、一般的に、可視光に対して透過率が高く、かつ大きな電気伝導性を示す物質からなる透明導電性膜を使用する。透明導電性膜には、Au、Ag、Cu、Pt、Rhなどの金属薄膜(膜厚5nm以下)、SnO、TiO、CdO、In、ZnO、およびそれらの複合系であるITO、IZOなどの透明な導電性金属酸化物の薄膜がある。しかしながら、金属薄膜は光の吸収が大きく、しかも硬度が低く、安定性も悪いため、透明導電性膜としては主に導電性金属酸化物薄膜が用いられてきている。特に、ITO,IZOなどからなる導電性金属酸化物膜は、テレビ、透明ヒータ、液晶表示素子などの広い用途で電極として使用されている。
上述のように、ITOまたはIZOなどの導電性金属酸化物薄膜は優れた電極となり得るが、AlまたはAgなどの金属電極と比較すると注入効率は低くなる。これは第1表に示すような材料特性の違いに起因する。すなわち、IZOは、Alと比較してキャリア密度が著しく低い。したがって、注入効率を改善するために、キャリア密度を向上させる技術が望まれている。
Figure 0004525303
このような状況に鑑み、注入効率の改善を目的として有機EL層と透明電極との間にバッファ層を設けた有機EL素子の検討がなされている。
例えば、正孔注入バッファとしてPtまたはAuなどの金属薄膜を用いる方法(特許文献1参照)、正孔注入性の金属合金、導電性ポリマーおよびカーボンからなる超薄膜を用いる方法(特許文献2参照)が提案されている。これらの方法によれば、透明電極上に金属などの不透明性の膜が設けられることになるが、そのような不透明膜は、注入効率の改善と同時に、光透過率の低下をもたらす。したがって、注入効率と光透過率とはトレードオフの関係になり、総合的には光透過率の低下の影響が大きく、良好な発光特性を得ることは非常に困難である。
また、別の問題点として、有機EL素子の連続駆動による発熱が、発光層などの有機層、特に有機層と電極との界面において劣化し、リークが発生する問題点がある。この問題点を解決するための手法として、1)ホール注入電極と電子注入電極のいずれか一方の電極と発光層との間に、AiF、BaF、FeF、LiF、MgFから選択されるすくなくとも1種のフッ化物で構成された絶縁性薄膜層を設ける方法(特許文献3参照)、および、2)素子の電流を増加させると同時に駆動電圧を低下させ、素子の寿命を増進することを目的として、アノード(ITO、IZO)と正孔伝送層の間にフッ素含有無機層(LiF、NaF、BeF、MgF、CaF、SrF、BaF、AlF)を設ける方法(特許文献4参照)が提案されている。
特開平6−5369号公報 特開2003−323987号公報 特開2004−172149号公報 特開2003−187982号公報 C. W. Tang, S. A. VanSlike, Appl. Phys. Lett. 51, 913 (1987)
上述のように、注入効率の改善または他の問題点の解決のために、バッファ層について様々な検討が行われている。しかし、従来のバッファ層では、十分な光透過率およびキャリア注入効率を両立することは困難であり、さらなる改善が望まれている。
したがって、本発明の課題は、十分な光透過率を維持すると同時に、キャリア注入効率を改善することができるバッファ層を備えた有機EL素子を提供することである。
上述の課題を解決するために、本発明者らは、透明電極と有機EL層との間に設けられるバッファ層について鋭意検討した結果、バッファ層をフッ化物とAlとの混合層にすることによって良好な結果が得られることを見出し、本願発明を完成するに至った。
本発明の有機EL素子は、基板上に、透明電極と、バッファ層と、少なくとも有機発光層を含む有機EL層と、金属電極とを順次有する有機EL素子であって、前記バッファ層が、透明導電性酸化物を構成する金属のフッ化物とAlとの混合層であることを特徴とする。
ここで、上記バッファ層の厚さは、10nm以下であることが好ましい。また、上記バッファ層において、上記フッ化物と上記Alとの混合モル比が1:5〜5:1であることが好ましい。
上記フッ化物はSn、Ti,Cd,In,Znから選択されることが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、導電性金属酸化物から構成される透明電極と有機EL層との間に形成されるバッファ層を、前記導電性金属酸化物を構成する金属、前記金属のフッ化物、AlおよびAlFの混合層とすることによって、透明性を維持しつつキャリア注入効率が改善され、より高品質な有機EL素子を効果的に提供することが可能となる。
本発明の有機EL素子は、基板上に、導電性金属酸化物から構成される透明電極と、バッファ層と、少なくとも有機発光層を含む有機EL層と、反射電極とをこの順に含む素子であって、バッファ層が、前記導電性金属酸化物を構成する金属、前記金属のフッ化物、AlおよびAlFの混合層であることを特徴とする。
図1は、本発明の有機EL素子の一例を示す模式的断面図である。図1に示すように、本発明の有機EL素子は、基板10と、透明電極(陽極)20と、バッファ層30と、有機EL層40と、反射電極(陰極)50とを有し、有機EL層40は、正孔注入層41と、正孔輸送層42と、有機発光層43と、電子輸送層44とから構成されている。
本発明において、有機EL層からの光の取り出しは基板10側から行われるので、基板10は、可視光(波長400〜700nm)に対して透明であり、積層される層の形成に用いられる条件(溶媒、温度等)に耐えるものであるべきであり、および寸法安定性に優れている透明基板であることが望ましい。本発明において用いられる透明基板は、ガラス基板、およびポリオレフィン、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレートを含む)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレートを含む)、ポリカーボネート樹脂、またはポリイミド樹脂などの樹脂で形成された剛直性の樹脂基板を含む。あるいはまた、ポリオレフィン、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレートを含む)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレートを含む)、ポリカーボネート樹脂、またはポリイミド樹脂などから形成される可撓性フィルムを、基板として用いてもよい。
透明電極20は透明導電性材料から形成される。透明電極は、可視光の領域である380〜780nmの波長において80%以上、好ましくは90%以上の透過率を有することが望ましい。用いることができる透明導電性材料は、SnO、In、IZO、ITO、ZnO:Alなどの導電性金属酸化物を含む。これらの導電性金属酸化物のキャリアの注入効率を考慮して、本発明においては透明電極20は陽極として用いられる。透明電極20は、前述の導電性金属酸化物を、スパッタ、イオンプレーティング、レーザーアブレーションなどの当該技術において知られている任意の手段を用いて基板10上に堆積させることによって形成することができる。フォトリソグラフ法などのパターニング方法を用いて、所望の形状の透明電極20を形成してもよい。
バッファ層30は、透明電極20を形成する透明導電性酸化物を構成する金属および該金属のフッ化物、AlおよびAlFの混合物から形成される。一般的に、金属フッ化物とAlとを乾式法(蒸着、スパッタなど)で同時に堆積させる場合、金属フッ化物とAlとの間の反応が進行して、金属とAlFとを生成することが知られている。したがって、バッファ層30は、透明電極20を形成する透明導電性酸化物を構成する金属のフッ化物と、Alとを、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法などを用いて、好ましくは蒸着法を用いて、同時に堆積させることによって形成することができる。
ここで、透明電極20をフォトリソグラフ法で形成する場合、透明電極20の極表面層の組成が変化することがESCA分析(X線電子分光分析)により明らかとなっている。具体的には、IZOを用いて透明電極20を形成した場合、極表面層でZnが不足した状態になっている。透明電極20の極表面層は、正孔注入層41などの有機EL層40との界面であり、有機EL層40に対するキャリア(正孔)注入を行う部位であるので、たとえ数nmの厚さの極表面層であっても、その組成変化によって注入性を変化させる可能性は十分にある。
上記の透明電極20の極表面層の組成変化を補償することに関して、本発明のバッファ層30を形成することは有効である。たとえばIZO透明電極上に、ZnFとAlとを同時に堆積させた場合、ZnFとAlとの反応により生成するZnによって、透明電極の極表面層で不足しているZnを補充することができる。したがって、バッファ層の形成に用いられる金属フッ化物は、透明電極20を構成する材料に依存して決定され、好ましくはSnF、TiF、CdF、InFおよびZnFからなる群から選択される。たとえば、透明電極としてIZOを用いた場合には前述のようにZnFを用いることが好ましく、透明電極としてITOを用いた場合には前述のようにSnFを用いることが好ましい。さらに、金属フッ化物とAlとの反応により生成する金属は、バッファ層30中に存在して金属としての効果(後述する有機EL層に対する導電経路の形成およびよりキャリア密度の高いキャリア注入点としての効果など)を奏することも期待できる。
本発明のバッファ層は10nm以下、好ましくは1〜5nm、より好ましくは1〜2nmの膜厚を有する不連続膜であることが望ましい。また、バッファ層を形成する際に用いられる金属フッ化物およびAlは、バッファ層が微細な島状粒子から構成される範囲内で混合されることが望ましく、好ましくは金属フッ化物:Al=1:5〜5:1(モル比)、より好ましくは金属フッ化物:Al=1:3〜3:1(モル比)の範囲内で用いることができる。本発明において、不連続膜とは、微細な複数の島状粒子から構成され、該複数の島状粒子がそれぞれ独立して存在するか、あるいは該複数の島状粒子が互いに部分的に接触して存在するかのいずれかの状態である膜を意味する。複数の島状粒子からなる不連続膜であることは、AFMなどを用いて表面解析を行うことによって、したがって、完全に連続した膜とは異なり、不連続膜である本発明のバッファ層30は、透明電極20の表面を完全には覆い尽くさないことを意味する。また、不連続膜である本発明のバッファ層30において、膜の平均厚さと、膜の平均高さとは一致しないが、本発明におけるバッファ層の膜厚とは、透明電極表面を基準とした平均厚さを意味する。
上記のような膜厚および構造のバッファ層によって、膜厚の増大に伴って低下する可視光透過性およびキャリア(正孔)注入効率を高いレベルで両立させることが可能となる。 可視光透過性に関しては、不透明である可能性がある島状粒子が透明電極全面を覆い尽くすわけではないので、島状粒子間の間隙においてはバッファ層がない場合と同等の光透過性を有する。また、島状粒子そのものについても、大きさが数nm以下と微細であるのである程度の光透過性を有する。
キャリア(正孔)注入効率に関しても、本発明の構造においては、透明電極20と有機EL層40とが微視的に接触していることによって、良好なキャリア注入効率を達成することができる。前述の微視的な接触とは、たとえば、複数の島状粒子の間隙に有機EL層40(図1の場合、正孔注入層41)が形成されることによって維持される。あるいはまた、該接触は、金属およびAlを含むバッファ層30の島状粒子によって、部分的にバッファ層を表面垂直方向(透明電極20から有機EL層40へ向かう方向)に貫く導電経路が形成されることによって維持される。この場合には、該島状粒子中に含まれる金属またはAlが高いキャリア密度を有するキャリア(正孔)注入点として機能する。また、本発明のバッファ層30は不連続膜であるため、前述の導電経路が面内方向(透明電極20の表面に平行な方向)に巨視的に形成されることはない。したがって、透明電極20が複数の電気的に独立した部分から形成される場合であっても、それらの独立部分間を短絡させることはない。
以上に述べた透明電極の極表面層の組成変化の補償、およびバッファ層の膜厚および島状粒子からなる不連続構造によって、良好な可視光透過性と優れたキャリア注入効率との両立が可能となる。
有機EL層40は、陽極および陰極に電圧が印加されることによって注入される正孔および電子が再結合することで発光する有機発光層43を少なくとも含み、陽極/発光層/陰極の構成を基本として、これに正孔注入層41、正孔輸送層42、電子注入層および/または電子輸送層44を介在させた構成を取ることができる。あるいはまた、正孔注入および輸送の両機能を有する正孔注入輸送層または電子注入および輸送の両機能を有する電子注入輸送層を用いてもよい。図1に示した構造に加えて、たとえば陽極/正孔注入輸送層/発光層/陰極や、陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極、および陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極などの構成のものが知られている。これらの積層構成を採ることによって、より低い電界で多くのキャリアを注入することができ、かつ発光層における電子−正孔のキャリア再結合の確率を増大させることができるので、有機EL素子の発光効率を向上させることができる。
有機EL層40における各層の材料としては、特に限定されるものではなく公知のものが使用される。正孔注入層41としては、フタロシアニン類(銅フタロシアニンなど)またはインダンスレン系化合物などを用いることができる。正孔輸送層42としては、TPD、N,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルビフェルアミン(α−NPD)、4,4’,4″−トリス(N−3−トリル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N,N’−テトラビフェニル−4,4’−ビフェニレンジアミン(TBPB)などのトリアリールアミン系材料を含む公知の材料を用いることができる。
有機発光層43は、例えば、青色から青緑色の発光を得るためには、有機発光層中に、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などの材料が好ましく使用される。あるいはまた、ホスト化合物(ジスチリルアリーレン化合物、TPD、アルミニウムトリス(8−キノリノラート)(Alqなど))にドーパント(ペリレン、キナクリドン類、ルブレンなど)を添加することによって、種々の波長域の光を発する有機発光層を形成してもよい。
電子輸送層44は、2−(4−ビフェニル)−5−(p−tブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)のようなオキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、フェニルキノキサリン類、アルミニウムのキノリノール錯体(例えばAlq)などを用いることができる。電子注入層としては、アルミニウムのキノリノール錯体、アルカリ金属またはアルカリ土類金属でドープされたアルミニウムのキノリノール錯体などを用いることができる。
有機EL層40の形成方法としては、たとえば蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の方法により形成することができる。また樹脂などの結着材とともに溶剤に溶かして溶液としたのち、スピンコート法などにより薄膜化して形成することができる。
本発明における反射電極50は陰極として用いられる。反射電極50は、85%以上、好ましくは90%以上の可視光反射率を有することが望ましい。また、陰極として用いるために、有機EL層40に対する電子注入効率に鑑みて、仕事関数4.8eV未満の金属および合金から反射電極を形成することが好ましい。Al、Ag、MgまたはMnのような金属、AlLi、MgAg、AgLi、AlZn、MgAgZn、AlBa、AlDyのような前述の金属を含有する合金を用いることができる。あるいはまた、アルカリ金属フッ化物と前述の金属または合金との積層構造(LiF/Al、KF/Al、CsF/Alなど)を用いることができる。
必要に応じて、本発明の有機EL素子を、気密性を高めて酸素ないし水分から有機EL層を保護するために、封止用基板(ガラス、樹脂、セラミック、金属など)を用いて封止されることが好ましい。本発明の有機EL素子には慣用の封止方法を適用することができる。特に限定されるものではないが、例えば、封止用基板と外周封止層とを用いてもよい。外周封止層は、例えば紫外線硬化型樹脂を硬化させることによって形成することが可能である。また封止用基板の膜厚は当業界で一般的に用いられる範囲であればよい。なお、封止用基板などの封止部材に、酸化カルシウムなどのゲッター材(酸素および水分の吸収剤)を予め塗布しておくことにより、水分から有機EL素子をより効果的に保護することが可能となる。
以上においては、全面において均一に発光する有機EL素子について説明してきたが、透明電極および反射電極の構成を変更することによってマトリクス駆動が可能な素子として、情報機器用ディスプレイなどの表示装置に用いることも可能である。
たとえば、透明電極を第1の方向に延びる複数の部分からなるストライプ形状部分電極から構成し、反射電極を第2の方向に延びる複数の部分からなるストライプ形状部分電極から構成して、前記第1の方向および第2の方向が交差するように選択することができる。好ましくは、前記第1の方向および第2の方向は直交する。このような構成を採ることによって、パッシブマトリクス駆動型有機EL素子を形成することができる。
あるいはまた、透明電極または反射電極の一方を、スイッチング素子(たとえばTFTなど)に1対1に接続される複数の部分電極から構成し、他方を一体型電極として形成することによって、アクティブマトリクス駆動型有機EL素子を形成することができる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、それらは本発明を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
(実施例1)
本実施例は、バッファ層の透明性を評価するための実施例である。ガラス基板上に、真空槽内圧は1×10−5Paまで減圧した真空蒸着装置を使用してZnFとAlを共蒸着させ、膜厚5nmのバッファ層を作製した。なお、抵抗加熱式の蒸発源を用い、ZnFとAlの混合比は3:2とした。るつぼ材質は蒸着材料に応じて石英、Mo、BN、PBNとした。
得られたバッファ層をAFMで分析したところ、複数の島状粒子からなる不連続膜であることが確認された。また、SIMSで分析したところ、バッファ層中にZn、ZnF、Al、AlFが存在することが確認された。分光光度計を使用して、参照試料としてバッファ層未形成のガラス基板を用いて波長500nmにおける透過率を測定することにより、バッファ層の透明性を評価した。その結果を第2表に示す。
(比較例1)
実施例1と同様に、基板上に膜厚5nmのZn層を形成したサンプルを作製して、透明性を評価した。その結果を第2表に示す。
Figure 0004525303
第2表から明らかなように、比較例1のZn層よりも、実施例1のバッファ層は、より高い透過率を示している。このことは、本発明に従うバッファ層が不連続膜であることによって、透過率の低下が抑制されたためと考えられる。
(実施例2)
本実施例は、本発明にしたがうバッファ層を備えた有機EL素子を作製する実施例である。最初に、ガラス基板上にスパッタ法でIZO膜を全面に成膜した。IZOターゲットとしてIn−10%ZnOおよびスパッタリングガスとしてArを用いるDCスパッタ法を用いて、室温および0.3Paの圧力下、100Wの電力を印加することによって、成膜速度20nm/分において膜厚200nmのIZO膜を形成した。次に、フォトリソグラフ法によってパターニングを行い、幅90μm、間隙20μmの複数のストライプパターンを形成した。パターニング後、乾燥処理(150℃)およびUV処理(室温および150℃)を行って、透明電極を得た。
次に、透明電極が形成されたガラス基板を蒸着装置に移動し、成膜に際して真空槽内圧は1×10−5Paまで減圧し、真空を破らずに、バッファ層、有機EL層、および陰極を順次形成した。膜厚5nmのバッファ層は、成膜材料としてZnFとAlを3:2のモル比の混合物を用いて形成した。有機EL層は、膜厚60nmの銅フタロシアニン(CuPc)からなる正孔注入層、膜厚20nmのN,N,N’,N’−テトラ(4−ビフェニリル)−4,4’−アミノビフェニル(TBPB)からなる正孔輸送層、膜厚40nmの4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)からなる有機発光層、および膜厚20nmのトリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体からなる電子輸送層から形成した。次に、透明電極のストライプパターンと直交する幅300μm、間隔30μmのストライプパターンを与えるメタルマスクを用いて、膜厚1nmのLiF層および膜厚100nmのAl層を蒸着させて、LiF/Al積層構造からなる反射電極を形成した。
こうして得られた有機EL素子を、大気に暴露することなしに乾燥窒素雰囲気(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)のグローブボックス内に移動させ、ゲッター材を塗布した封止ガラスとUV硬化接着剤を用いて封止した。
(比較例2)
本比較例は単層構造のバッファ層を備えた有機EL層に関する。バッファ層を膜厚5nmのZn層とすること以外、実施例1と同様の方法により有機EL素子を作製した。
(比較例3)
本比較例はバッファ層を省いた有機EL層に関する。バッファ層を形成しないこと以外、実施例1と同様の方法により有機EL素子を作製した。
実施例2および比較例2〜3の素子に関して、電流密度1.0A/cmの電流を流して、その際の電圧および輝度を測定した。結果を第3表に示す。
Figure 0004525303
第3表の結果を分かるように、バッファ層を形成しなかった従来型構造の比較例3の素子に比較して、本発明にしたがうバッファ層を有する実施例2の素子は、より高い輝度およびより低い電圧(より高いキャリア注入効率に相当する)を示した。一方、透明電極と有機EL層との間にZn層を設けた比較例2の素子は、比較例3の素子に比較してより低い電圧を示し、Zn層によってキャリア注入効率が向上したことが分かる。しかしながら、キャリア注入効率の向上にもかかわらず、比較例2の素子の輝度は比較例3の素子に比べて相当に低いものであった。これは第2表に示したようにZn層の透明性が低いことによるものと考えられる。
以上のことから、本発明にしたがうバッファ層が、十分な透明性を維持しつつ、キャリアの注入効率を改善することに有効であり、優れた特性を有する有機EL素子を与えることが明らかとなった。
本発明の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
10 基板
20 透明電極
30 バッファ層
40 有機EL層
41 正孔注入層
42 正孔輸送層
43 有機発光層
44 電子輸送層
50 反射電極

Claims (7)

  1. 基板上に、導電性金属酸化物から構成される透明電極と、バッファ層と、少なくとも有機発光層を含む有機EL層と、反射電極とをこの順に含む有機EL素子であって、
    前記透明電極が陽極であり、
    前記反射電極が陰極であり、
    前記バッファ層が、前記導電性金属酸化物を構成する金属、前記金属のフッ化物、AlおよびAlFの混合層であり、
    前記バッファ層は、前記導電性金属酸化物を構成する金属のフッ化物とAlとを乾式法によって同時に積層することにより形成されていることを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記バッファ層の厚さが10nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記バッファ層が複数の島状粒子から構成される不連続な膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL素子。
  4. 前記金属のフッ化物がZn、In、Sn、TiおよびCdのフッ化物から選択されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の有機EL素子。
  5. 前記バッファ層の光透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の有機EL素子。
  6. 基板上に導電性金属酸化物を堆積させて、透明電極を形成する工程と
    前記透明電極上に、前記導電性金属酸化物を構成する金属のフッ化物と、Alとを乾式法により同時に積層させて、バッファ層を形成する工程と、
    前記バッファ層上に、有機EL層を形成する工程と、
    前記有機EL層上に、反射電極を形成する工程と
    を含み、前記透明電極が陽極であり、前記反射電極が陰極であり、前記バッファ層が、前記導電性金属酸化物を構成する金属、前記金属のフッ化物、AlおよびAlFの混合層であることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  7. 前記フッ化物と前記Alとの混合モル比が1:5〜5:1であることを特徴とする請求項6に記載の有機EL素子の製造方法。
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