JP4524810B2 - 有機el装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機EL素子を用いて面状発光を行なう有機EL装置に係わり、特に、液晶表示装置(LCD)等のような非自発光表示装置のバックライトとして好適な有機EL装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、LCD用バックライトの平面白色光源として蛍光管と導光板とを組み合わせたものや、平面蛍光管などが用いられている。白色発光を得る場合に、例えば、EL素子等の固体発光素子に比べ、気相からの発光を利用する蛍光管の方が有利であり、多くのLCDに蛍光管が用いられている。しかし、一般的なバックライトとして用いられている蛍光管と導光板(もしくは反射板)との組み合わせや、平面蛍光管では、さらなる薄型化が困難なものであった。すなわち、蛍光管を薄く(細く)するのに限界があるとともに、できるだけ均一な面状発光を得る上では導光板の薄型化にも限界がある。
【0003】
そこで、一部の小型の液晶表示装置(LCD)においては、無機EL素子(エレクトロ−ルミネッセンス素子)をバックライトとして用いているものがあるが、このEL素子をバックライト用の面状発光体として利用することにより、バックライトを有するLCDの十分な薄型化を図ることが困難であった。また、現状で製品化されている無機EL素子を用いたバックライトは、緑色等の単色発光であった。これは無機EL素子が任意の発光色の材料を選択することが困難であるためであり、このため白色発光によるLCDの多色化表示が困難であった。
【0004】
これらのことから、LCD用のバックライトとして、薄型のEL素子を用いた白色発光素子が検討されている。また、EL素子としては、無機EL素子と、有機EL素子とが知られているが、発光効率、任意の発光色選択性並びに薄型化において、有機EL素子の方が優れており、有機EL素子により白色光を発光する面状発光体の開発が行なわれている。なお、有機EL素子は、たとえば、ガラス基板上にインジウム−スズ酸化物(ITO)からなる透明電極(陽極)と、ホール輸送層、発光層及び電子輸送層等からなる有機EL層と、低仕事関数の金属からなる背面電極(陰極)とを積層したものである。また、有機EL素子は、電圧を印加した場合に電流が流れ、直流電流で駆動される。
【0005】
そして、有機EL素子の発光は、透明電極から注入されたホールと背面電極から注入された電子が有機EL層で再結合し、発光中心である蛍光色素などの発光材料を励起することにより起こる。なお、有機EL層には、上述のような三層構造のほかに二層構造のものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、有機EL素子の発光色は、基本的に発光材料、例えば、上述の蛍光色素等の種類により決まるが、現状で単種で白色に発光する発光材料は知られておらず、有機EL素子において、白色の発光を得るには、複数の発光材料を混在させることにより白色の発光を得ている。すなわち、例えば、赤、緑、青(RGB)等に発光するそれぞれの発光材料を混ぜた状態で発光層を形成したり(または、発光層にRGBの各ドーパントを導入したり)、発光層を形成する際に、赤、緑、青等に発光するそれぞれの発光材料を含む層が積層されるようにしたりすることで、白色の発光を得ていた。
【0007】
しかし、このように複数の発光材料を混在させて形成された有機EL素子は、有機EL層中の非発光遷移が増大し、現状において、高効率な素子が得られていない。すなわち、上述のような白色の発光を行なう有機EL素子は、複数の発光材料を混在させずに一種類の発光材料を含む通常の有機EL素子に比較して、同じ消費電力では輝度が低くいものであった。従って、白色発光する有機EL素子は、輝度の不足や、高消費電力等の理由により実用化が困難な状態である。
【0008】
また、上述のように有機EL素子においては、アノードとしてITOが用いられ、カソードとして背面電極が用いられるが、ITOは、金属である背面電極に比較すると導電材とはいっても高い抵抗を有するものであり、特に光透過率を高めようとすると、さらに高抵抗なものとなる。そして、有機EL素子を用いて、大きな面状発光体を形成しようとすると、透明電極であるITOの面積が増えると、ITOの電源との接続部分と、該接続部分と最も離れた部分との距離が大きくなり、これらの部分では有機EL層に流れる電流量に差が生じる。従って、有機EL素子からなる面状発光体をあまり大きなものとすると、面状発光体の位置によって輝度に明らかな差が生じる可能性があった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、白色発光する面状発光体として使用することができ、かつ、低消費電力で高輝度を実現することができ、さらに、面状発光体全体の輝度の均一化を図ることができる有機EL装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の有機EL装置は、それぞれ異なる色に発光する二種以上の有機EL層を透明基板上にストライプ状に配置した有機EL装置であって、
上記透明基板上に形成された透明電極と、該透明電極上に複数のストライプ状の第1開口部及び複数の第2開口部を有する絶縁膜と、該絶縁膜の第1開口部内にそれぞれ形成され、それぞれ異なる光に発光するストライプ状の複数の有機EL層と、該有機EL層上に形成された背面電極と、一方の端部がそれぞれ上記第1開口部において上記背面電極に接続され、他方の端部がそれぞれ上記第2開口部において露出するとともに、上記有機EL層から上記他方の端部までの距離が、上記有機EL層の発光色毎に異なる複数のカソード配線と、上記有機EL層の発光色毎に対応して形成され、同じ発光色の複数の前記有機EL層にそれぞれ対応する各上記カソード配線の他方の端部とそれぞれ短絡されているカソード端子と、上記有機EL層間の透明電極上に上記絶縁膜に覆われた上記透明電極より低抵抗な低抵抗配線を備えていることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、異なる色に発光する二種以上の有機EL層を透明基板上にストライプ状に配置しているので、各有機EL層は、ほぼ線状(帯状)となる。そして上記有機EL層間の透明電極上に低抵抗配線が形成されているため、アノード電極全体としてシート抵抗が下がり均一な輝度の面発光を得ることができる。また有機EL層がストライプ状に配置されていることにより、有機EL層同士の間に間隙があり、この発光領域以外である間隙に低抵抗配線が形成されているため、有機EL層の発光波長域に対し不透明であっても高輝度で発光することができる。なお、透明電極ではなく、低抵抗配線が電源に接続され、低抵抗配線から透明電極に電流が流れるようになっていることが好ましい。
そして、各有機EL層が発光した場合に、各有機EL層がほぼ線状光源となり、各有機EL層から離れるに従って光が帯状に広がり、近傍にストライプ状に配置された他の有機EL層から広がる発光と重なることになる。そして、このように重なったが異なる色の場合は、異なった色の光りが混ざった色で発光することになる。従って、上述のように、発光色の異なる二種以上の有機EL層を透明基板上にストライプ状に配置した場合に、有機EL層がストライプ状に配置された部分からある程度離れた位置においては、二種以上の発光色が混ざった色で面状に発光した状態として視認することができる。なお、ほぼ均一な混色の発光を得るためには、各ストライプ(各有機EL層)間の距離が、視認する距離(バックライトとして使用する場合に、照らす表示装置までの距離)に対して十分に狭いとともに、異なる色に発光する有機EL層が互いに分散している必要がある。
【0012】
そして、このように、各色に発光する有機EL層においては、それぞれ、一種類の発光材料(蛍光色素)を含有するものとすれば良いので、従来の複数の発光材料を1つの層内に混在させた場合に比較して、各色の有機EL層の発光色を混色させた色の発光を低消費電力で高輝度なものとすることができる。従って、混色が白色となるように各有機EL層の発光色(例えば、光の三原色である赤、緑、青)や輝度を決めれば、低消費電力で高輝度の白色の面状発光を行なうバックライトを製造することができる。また、白色以外であっても、複数の色を混ぜた任意の色に発光し、かつ、低消費電力で高輝度な面状発光体を得ることができる。また、各色に発光する有機EL層をストライプ状に配置することで、複数の有機EL層から混色を得る他の構成(例えば、発光色の異なる二種以上の有機EL層をモザイク状に配置したり、各有機EL層を小さな面状として細かく分散させて配置した場合など)と比較して、その製造を容易に行なうことができる。
【0013】
また、各有機EL層毎や、各発光色の有機EL層毎にかける電流または印加電圧を変えることにより、発光色毎に輝度を変更して混色された発光の色を調整するような構成とする場合に、各有機EL層毎もしくは各発光色の有機EL層毎に独立して電圧を印加できる構成とする必要があるが、各有機EL層をストライプ状に配置することにより、各有機EL層をモザイク状に配置したり、各有機EL層を細かく分散して配置した場合に比較して、各有機EL層に電流または電圧を供給するための引き出し線等を最小限にして極めて簡単に各有機EL層毎に独立して電圧を印加できる構成とすることができる。また、各有機EL層もしくは各発光色の有機EL層毎にかける電流または電圧を変えた場合に、一つの有機EL装置により、様々な色の発光を行なうことができ、例えば、有機EL層の種類を、色の三原色に合わせて赤、緑、青のそれぞれの色に発光する三種類とすれば、ほぼフルカラーの発光を行なうことができる。
【0014】
また、より具体的には、有機EL素子において、ガラス基板、透明フィルム基板(透明樹脂基板)等の透明基板上に上述のように有機EL素子が形成され、不透明で金属光沢を有する背面電極が反射板として機能するので、有機EL層からの発光は、透明電極及び透明基板を透過して、透明基板の前面(有機EL素子が設けられた面の反対の面)側に放射されることになる。したがって、透明基板上にストライプ状に形成された各色の有機EL層からの光りは、基本的に透明基板内で混色し、透明基板の前面側においては混色された発光色の光りが面状に放射された状態となる。なお、透明基板内で混色するには、透明基板の厚み、各有機EL層同士の間隔(各有機EL層の幅、各有機EL層同士の間の間隔)等を透明基板の屈折率等を考慮して調整する必要があり、透明基板の厚みが薄ければ、各有機EL層同士の間隔を狭くする必要があり、有機EL装置の薄型を図る上では、ストライプ状の有機EL層を細くすることが好ましい。
【0015】
また、各有機EL層は、上述のように透明基板上にストライプ状に形成されるものであり、透明基板上において、カソードとアノードとの間に上述のような有機EL層が帯状(有機EL層同士の間隔が狭い場合には、ほぼ線状)に互いにほぼ平行に並んで形成されたものである。また、この際に、各有機EL層毎に印加する電圧・電流を変えないのであれば、カソード及びアノードは、透明基板の発光する部分の一面に面状に形成されるものとすることができる。また、カソード及びアノードの少なくとも一方を各有機EL層に沿って、各有機EL層に重なるようにストライプ状に独立した状態に形成すれば、各有機EL層毎に印加する電圧・電流を変えることが可能な構成とすることができる。
【0016】
また、このような構成とすれば、有機EL装置の使用中においても、各有機EL層の輝度を変更して発光色を変更可能であり、例えば、各色(RGB)のフィールド毎にバックライトの色を変える必要があるフィールド・シーケンシャル・フルカラーLCDのバックライトとしても使用可能である。この場合に、有機EL素子は、その静電容量が極めて小さく、高速でスイッチングすることが可能であり、高速にRGBの各色の発光を切り替えることができるので、効率を高めるために残光性を有する蛍光材を用いていた蛍光管に比較して、フィールド・シーケンシャル・フルカラーLCDに最適な極めて薄いバックライトとなる。
【0017】
また、上記有機EL層において、異なる色に発光する各種類の有機EL層は、それぞれ、周知の発光材料を含有し、該発光材料に基づく発光色を有するものであるが、各有機EL層は、それぞれの有機EL層の発光色を得るための一種類の発光材料を含むことが好ましく、一つの有機EL層内に不純物濃度以上に種類の異なる発光材料が含まれないことが好ましい。すなわち、複数の発光材料を混在させた場合には、従来のように輝度の低下、消費電力の上昇を招くことになるので、低消費電力及び高輝度を達成する上では、各種類の有機EL層毎にそれぞれ異なる発光材料を一種類だけ含むようにし、一つの有機EL層に、なるべく複数の発光材料が混在した状態とならないようにする方が好ましい。
【0018】
また、各種類の有機EL層をストライプ状に配置するに際しては、有機EL装置の発光面の各位置での色がほぼ同じ色に混色した状態となることが好ましく、複数種の有機EL層のうちの一種類毎の有機EL層の分布がほぼ同じ状態となっていることが好ましい。すなわち、同じ種類の有機EL層は、ほぼ一定の間隔で配置されていることが好ましく、各種類の有機EL層を一つずつ含む一組の有機EL層が多数組ストライプ状に配置されていることが好ましい。
【0019】
本発明の請求項2記載の有機EL装置は、請求項1記載の有機EL装置において、上記透明電極上に上記低抵抗配線と上記有機EL層とが互いに離間して形成されていることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、透明電極上に直接低抵抗配線が形成されることにより、低抵抗配線の全ての位置において、低抵抗配線と透明電極とが確実に短絡した状態となる。また、透明電極上に低抵抗配線と有機EL層とが互いに離間して形成されることにより、有機EL層へのキャリアの注入は透明電極から行われるため、発光する領域は透明電極と重なる領域になり、低抵抗配線が不透明であっても、低抵抗配線が有機EL層の光の放射を妨げることがなく、低抵抗配線により有機EL装置の輝度が低下するのを防止することができる。また、透明電極上に低抵抗配線と有機EL層とが互いに離間して形成され、かつ、低抵抗配線が各有機EL層に沿って形成される場合には、低抵抗配線は、少なくとも各有機EL層同士の間にそれぞれ形成されることになる。また、有機EL層が透明電極全体を覆った状態になっている場合には、低抵抗配線を形成する場所がなくなってしまうので、透明電極が有機EL層の周囲にはみ出した状態に形成されている必要があり、透明電極が各有機EL層に渡って面状に形成されて、各有機EL層で共通な共通電極となっていることが好ましい。
【0021】
本発明の請求項3記載の有機EL層は、請求項1または2記載の有機EL装置において、上記絶縁膜のストライプ状の第1開口部に液状の有機EL層の材料を注入することにより、上記有機EL層が形成されていることを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、絶縁膜に設けられた開口部に液状の有機EL層の材料を注入することにより、上記有機EL層が形成されているので、有機EL層は、絶縁膜のパターン形成の精度に基づいてパターニングされた状態となり、ストライプ状に形成された有機EL発光領域同士の間隔(ピッチ)を狭くすることが可能となる。そして、上述のように、有機EL装置を薄くするためには、ストライプ状に形成された有機EL発光領域同士のピッチを狭くする必要があり、逆に言えば、ストライプ状に形成された有機EL発光領域同士のピッチを狭くすることにより、さらに有機EL装置を薄くすることが可能となる。また、絶縁膜が有機EL層形成時の一種の型として機能することになり、有機EL層を形成するための型を透明基板上に設けることで、絶縁膜が形成されることになり、有機EL装置の製造工程が煩雑になるのを防止することができる。
【0023】
なお、絶縁膜は、例えば、周知の感光樹脂からなるものであり、フォトリソグラフィによりパターン形成可能なものであることが好ましい。また、絶縁膜の厚さは、上述のように開口部に有機EL層の液状の材料を注入する上において、5μm以上あることが好ましい。また、上記絶縁膜に形成された開口部は、それぞれ一方の端部が開放されるものとしても良く、この際には、絶縁膜が櫛歯状となる。また、開口部の両方の端部が開放された状態とされることにより、絶縁膜がストライプ状となっていても良い。
【0024】
また、上述のように厚みを有する絶縁膜に開口部を設けた場合に、該絶縁膜上から絶縁膜より薄いカソードを形成する際に、透明基板上に突出する絶縁膜により生じる開口部周縁部の段差によって、各開口部内のカソード部分と開口部外のカソード部分が断線した状態となってもよい。
【0025】
本発明の請求項4記載の有機EL装置は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の有機EL装置において、上記背面電極が各有機EL層毎に独立した状態で形成され、かつ、透明基板上に、上記背面電極を各発光色の有機EL層毎にまとめる配線の少なくとも一部である上記カソード配線が上記低抵抗配線と同じ材料により形成されていることを特徴とする。
【0026】
上記構成によれば、例えば、各発光色の有機EL層毎に輝度を制御して、有機EL装置全体の発光色を任意の色に調整したり、LCDのバックライトとして好適な白色に調整したりする場合に、透明電極もしくは背面電極が各有機EL層毎に形成されていると、これらを同じ発光色の有機EL層毎にまとめることが好ましいが、透明基板上に上述のように各電極をまとめる配線が形成されていれば、透明基板の外部に別途配線を設ける必要がなく、有機EL装置の構成を簡略化することができる。
【0027】
上記配線の少なくとも一部が上記低抵抗配線と同じ材料で形成されているので、上記配線の少なくとも一部を上記低抵抗配線形成時に、該低抵抗配線と一緒にパターン形成することができ、製造工程の簡略化及びコストの低減を図ることができる。また、ガラス基板上にITOにより配線を形成するよりも、ITOより抵抗値が低い低抵抗配線で上記配線を行なうことより、消費電力の低減を図ることができる。
【0028】
本発明の請求項5記載の有機EL装置は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の有機EL装置において、上記透明電極を各有機EL層に連続して面状に形成される共通電極とし、上記背面電極を各有機EL層毎に独立した電極とすることを特徴とする。
【0029】
上記構成によれば、透明電極が共通電極とされていることにより、透明電極の有機EL層に覆われていない部分が多くなり、容易に低抵抗配線を配置することができる。また、上述のように、背面電極を各有機EL層毎に独立した電極とすることにより、上述のように発光色の調整を行なったり、フィールド・シーケンシャル・フルカラー液晶ディスプレイ用のバックライトとしたりすることが可能となる。また、背面電極は、請求項3記載の構成のように有機EL層を形成することで、容易に各有機EL層毎に独立したものとすることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態の一例の有機EL装置を図面を参照して説明する。
図1、図2及び図3は、第一例の有機EL装置の基本概念を説明するために、有機EL装置のほぼ最低限の構成要素を図示したものであり、図1においては有機EL層8r、8g、8b、カソード9、導電性ペースト層10r、10g、10bを、例えば、斜め格子状や横格子状の図柄として透けた状態に図示し、図2においては有機EL層8r、8g、8b、隔壁レジスト7を、例えば、斜め格子状や横格子状の図柄として透けた状態に図示するとともに、カソード9及び導電性ペースト層10r、10g、10bの図示を省略している。図3は、図1のA−A’線断面図である。そして、図1、図2及び図3は、同じ有機EL装置を図示したものである。
【0031】
そして、この一例の有機EL装置は、透明基板1上に発光素子として機能する多数の有機EL発光領域11r、11g、11bをストライプ状に配置したものである。また、各有機EL発光領域11r、11g、11bには、それぞれ、有機EL層8r、8g、8bが配置されるとともに、これら有機EL層8r、8g、8bは、互いに発光色が異なる複数の材料からなり、有機EL装置は、これらの発光色を混色した色や、各発光色毎に発光可能なものである。そして、図1〜図3においては、三種類の有機EL層8r、8g、8b(発光色が赤(R)、緑(G)、青(B))を一つずつ有する一組の有機EL層8r、8g、8bを二組だけ図示しているが、実際のこの一例の有機EL装置は、上記一組の有機EL層8r、8g、8bがさらに多数組ストライプ状に配置されたものである。有機EL層8rは高分子導電物からなる正孔輸送層8rhと電子輸送層8reとからなり、有機EL層8gは高分子導電物からなる正孔輸送層8ghと電子輸送層8geとからなり、有機EL層8bは高分子導電物からなる正孔輸送層8bhと電子輸送層8beとからなる。正孔輸送層8rh、8gh、8bhはいずれもシート抵抗が107Ω/□以下であり、導電性を示している。
【0032】
図1〜図3に示すように、第一例の有機EL装置は、透明基板1(例えば、ガラス基板)上に、四角面状にITO(透明電極)からなるアノード2が形成されている。なお、アノード2は、図1、2において、後述する低抵抗配線3のと接続されており、低抵抗配線3と重なる部分と、低抵抗配線3と重ならずに後述する有機EL層8r、8g、8bが上に堆積される部分と、からなる。また、アノード2は、後述する有機EL層8r、8g、8bが配置される部分全体を含む範囲で形成される。
【0033】
そして、アノード2が形成された透明基板1上には、図2に示すように、低抵抗配線3と、各有機EL発光領域11r、11g、11b毎のカソード9部分を各発光色の有機EL発光領域11r、11g、11b毎に外部に接続させるための三つのカソード端子4r、4g、4bと、各有機EL発光領域11r、11g、11b毎のカソード9部分にそれぞれ接続され、後述する導電性ペースト層10r、10g、10bにより、各発光色の有機EL発光領域11r、11g、11b毎にまとめられてカソード端子4r、4g、4bに接続されるカソード配線5r、5g、5bとが形成されている。低抵抗配線3、カソード端子4r、4g、4b、カソード配線5r、5g、5bは、例えば、アルミニウム、ネオジムまたはクロム等の金属単体或いはこれらのうち少なくとも1つを含む合金からなる低抵抗な導電材からなる金属膜を一括してパターニングすることにより得られている。
【0034】
上記低抵抗配線3は、アノード2を外部に接続するアノード端子3aと、アノード2上に該アノード2と直接重なって短絡した状態に形成された複数の低抵抗配線部3bとからなるものである。そして、低抵抗配線部3bは、アノード2上において、後述する有機EL層8r、8g、8bと互いにほぼ排他的に形成されており、有機EL層8r、8g、8bがストライプ状に形成されていることから、ストライプ状の有機EL層8r、8g、8bの間にストライプ状に低抵抗配線部3bが形成されている。また、低抵抗配線部3bは、アノード端子3a側(カソード配線4r、4g、4bの反対側)でストライプ状の部分が一体にまとめられた状態となっており、実際には、櫛歯状に形成され、各櫛歯間に、有機EL層8r、8g、8bが形成されるようになっている。
【0035】
なお、低抵抗配線部3bと有機EL層8r、8g、8bとの境界部分においては、低抵抗配線部3bがカソード9と接続してなければ、低抵抗配線部3bと有機EL層8r、8g、8bとの間に間隙があるものとしても良いし、低抵抗配線不3bと有機EL層8r、8g、8bとが接触しているものとしても良いし、低抵抗配線部3bと有機EL層8r、8g、8bとが僅かに重なっているものとしても良い。そして、アノード端子3aと低抵抗配線部3bとは、低抵抗配線3として一体に導通した状態で形成されている。
【0036】
上記カソード配線5r、5g、5bは、ストライプ状に形成される各有機EL層8r、8g、8bと、一対一で形成されるとともに、対応するカソード配線5r、5g、5bと、有機EL層8r、8g、8bとが僅かに間隔をあけて一列に並ぶように配置されている。すなわち、各カソード配線5r、5g、5bは、透明基板1上において、各有機EL層8r、8g、8bの一方の端部側(図中、中央側)において、各有機EL層8r、8g、8bの長さ方向の延長線上に配置されている。また、各カソード配線5r、5g、5bは、対応する有機EL層8r、8g、8bの発光色の種類により長さが異なるものとされ、かつ、同じ発光色の有機EL層8r、8g、8bに対応するカソード配線5r、5g、5bは、同じ長さとされている。
【0037】
有機EL層8r、8g、8bに対応する各カソード配線5r、5g、5bは、各有機EL層8r、8g、8b側の一方の端部の位置が、有機EL層8r、8g、8bの長さ方向に直交する方向に沿った線で揃えられた状態となっている。そして、違う発光色の有機EL層8r、8g、8bに対応する各カソード配線5r、5g、5bの他方の端部(図中、上方側)が、それぞれ、対応する有機EL層8r、8g、8bからの距離が異なるようにされている。
【0038】
上記カソード端子4r、4g、4bは、三種類の有機EL層8r、8g、8bの発光色に対応して三つ形成される。また、カソード端子4r、4g、4bの透明基板1上での形成位置は、上記カソード配線5r、5g、5bに直交し、かつ、カソード配線5r、5g、5bの他方の端部を通る線の線上で、カソード配線5r、5g、5bから少し離れた位置である。
【0039】
そして、カソード配線5r、5g、5bの他方の端部は、対応する各有機EL層8r、8g、8bの発光色毎に位置が揃えられているので、上記カソード配線5r、5g、5bに直交し、かつ、カソード配線5r、5g、5bの端部を通る線は、基本的に三本となり、三箇所にカソード端子4r、4g、4bが配置されることになる。
【0040】
上記低抵抗配線3、カソード端子4r、4g、4b及びカソード配線5r、5g、5bは、同じ材料から形成されて、これらは、一つの金属膜をパターン形成することにより、ほぼ同時に形成されているので、低抵抗配線3、カソード端子4r、4g、4b及びカソード配線5r、5g、5bは、同一工程で一緒に形成されることになる。なお、低抵抗配線3、カソード端子4r、4g、4b及びカソード配線5r、5g、5bは、例えば、金属を蒸着により成膜することで形成されるが、その他の方法で形成されるものとしても良く、ITOより低抵抗で、かつ厚さ方向に酸化されにくい導電材料から形成されていれば良い。
【0041】
また、上記透明基板1上には、塗れ制御層6が形成されている。上記塗れ制御層6は、カソード配線5r、5g、5bと、アノード2並びにアノード2上の低抵抗配線3との間に露出する透明基板1上に帯状に形成されて、カソード配線5r、5g、5bと、アノード2並びに低抵抗配線3とを区切るようになっている。なお、塗れ制御層6は、後述するように上述の配置位置において、隔壁レジスト7の開口部7a…から露出する部分だけ形成されていれば良く、必ずしも連続する帯状に形成されていなくとも良い。
【0042】
そして、上記塗れ制御層6は、後述する液状の有機EL層8r、8g、8bの材料との親和性が低い物質から形成されており、上記材料が塗布等された場合に、上記材料をはじいて塗布できないようにする作用がある。また、後述するように、上記材料を隔壁レジスト7の開口部7a…に注入して、すなわち、開口部7a…内に流し込んで、有機EL層8r、8g、8bを形成する際に、塗れ制御層6を越えて上記材料が流れるのを防止するようになっている。すなわち、塗れ制御層6は、上記液状の材料をはじくことにより、有機EL層8r、8g、8bの形成位置、特に、有機EL層8r、8g、8bの縁部の位置を制御するものである。
【0043】
そして、塗れ制御層14の材料は、基本的に表面エネルギーを低くする物質から構成される。そして、表面エネルギーを低くする物質としては、例えば、長鎖アルキル基、フッ素基、珪素基を有する物質を挙げることができる。具体的に塗れ制御層14の材料としては、テトラフルオロエチレンと少なくとも一種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体と、
共重合主鎖に環状構造物を有する含フッ素共重合体と、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンと、ジクロロジフルオロエチレンとの共重合体と、アクリロニトリル、ステアリン酸ビニル、ステアリルビニルエーテル、(メタ)アクリル酸ステアリル、その他フッ素原子が含まれるコモノマーと、これらと共重合可能なコモノマー、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルや、ビニル基を有する化合物として、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルとを共重合させて得られる共重合体とが挙げられる。
また、塗れ制御層14の材料となる具体的な商品としては、フッ素系として、フルオネートK−703:大日本インキ化学工業、フロリナート:住友スリーエム、サイトップCTX−105A:旭硝子、フロロバリアー:泰成商会、テフロンAF:デュポン社、PTFEグリース:ニチアスなどが挙げられる。
また、シリコーン樹脂(SH200:東レシリコーンなど)を汎用ポリマー(アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂)などにブレンドして塗布しても良い。また、塗れ制御層14の材料としては、上述のものに限定されるものではなく、有機EL層8r、8g、8bの液状の材料をはじいてその上に塗布できないようにできるものならば良い。
【0044】
そして、上述のように、アノード2、低抵抗配線3、カソード端子4r、4g、4b、カソード配線5r、5g、5b及び塗れ制御層6が形成された透明基板1上に、隔壁レジスト7が形成される。隔壁レジスト7は、例えば、感光性樹脂からなるものであり、フォトリソグラフィーによりパターン形成されるものであるが、絶縁性で、かつ、後述する以上の厚みを有するものならば良い。
【0045】
そして、隔壁レジスト7は、上述のアノード2、低抵抗配線3のうちの低抵抗配線部3b、カソード配線5r、5g、5bの全てを覆うように面状に形成されている。なお、低抵抗配線3のうちのアノード端子3a及びカソード端子4r、4g、4bは、隔壁レジスト7から露出している。
【0046】
そして、隔壁レジスト7には、ストライプ状に形成される有機EL層8r、8g、8bの配置位置に、開口部7a…が形成されている。従って、開口部7a…は、有機EL層8r、8g、8bと同様にストライプ状に形成されることになる。そして、開口部7a…の形成位置は、上述の櫛歯状の低抵抗配線部3bの各櫛歯の間の部分と、その部分の長さ方向に沿うとともに、カソード配線5r、5g、5b側に向かった延長線上で、カソード配線5r、5g、5bのアノード2側の端部を露出させるところまでとなっている。
【0047】
従って、隔壁レジスト7の開口部7a…からは、低抵抗配線部3bから露出したアノード2が露出するとともに、開口部7a…の位置に配置される有機EL層8r、8g、8bに一対一で対応したカソード配線5r、5g、5bの端部が露出するようになっている。また、カソード配線5r、5g、5bとアノード2との間には、上述のように塗れ制御層6が配置されており、開口部7a…から露出するアノード2とカソード配線5r、5g、5bの端部との間に、塗れ制御層6が位置し、この塗れ制御層6が開口部7a…から露出している。
【0048】
また、隔壁レジスト7には、各カソード配線5r、5g、5bの他方の端部の位置に、開口部7b…が形成されている。そして、各開口部7b…は、各カソード配線5r、5g、5bの端部に一対一で対応し、各開口部7b…から対応するカソード配線5r、5g、5bの端部が露出している。そして、後述するように、導電性ペースト層10r、10g、10bは、厚さ方向に開口部7b…より厚く堆積されているため、導電性ペースト層10r、10g、10bを形成した場合に、開口部7b…において、各カソード配線5r、5g、5bと導電性ペースト層10r、10g、10bとが短絡するようになっている。
【0049】
そして、上記隔壁レジスト7の各開口部7a…に、有機EL層8r、8g、8bの液状の材料を注入することにより、有機EL層8r、8g、8bが形成される。なお、この際には、隔壁レジスト7の開口部7a…のアノード2が露出する部分に有機EL層8r、8g、8bの液状の材料が注入され、注入された材料が塗れ制御層6が露出する部分によりはじかれることにより、材料が塗れ制御層6を越えてカソード配線5r、5g、5bの端部上に至るのを防止するようになっている。従って、開口部7a…に上述の液状の材料を注入しても、カソード配線5r、5g、5bの端部上には、液状の材料が流入せず、カソード配線5r、5g、5bが露出したままの状態となるようになっている。
【0050】
なお、隔壁レジスト7の厚みL1は、上述のように、開口部7a…に有機EL層8r、8g、8bの液状の材料を注入して、開口部7a…に沿って有機EL層を形成する上で、ある程度厚い必要があり、厚みL1が、例えば、0.015mm(好ましくは、0.005mm以上)とされている。また、この隔壁レジスト7の厚みにより、後述するように、隔壁レジスト7より薄いカソード9を隔壁レジスト7上に面状に形成した場合に、開口部7a…と隔壁レジスト7との境目の段差により、カソード9が各開口部7a…の部分毎に他の部分と断線した状態となり、カソード9が各開口部7a…毎、すなわち、各有機EL層8r、8g、8b毎に独立した状態となる。また開口部7a…のピッチL2は、0.1mm程度、開口部7a…の幅L3は、0.06mm程度、隣接する開口部7a…間の隔壁レジスト7の幅L4は0.04mm程度に設定されてある。
【0051】
そして、有機EL層8r、8g、8bを形成するに当たっては、上述のように蒸着によりパターン形成した状態で有機EL層8r、8g、8bを形成するのではなく、湿式塗布により有機EL層8r、8g、8bを形成するものとしている。そして、有機EL層8r、8g、8b中の発光層に使用される発光材料としては、低分子系と高分子系とがあり、湿式塗布により有機EL層8r、8g、8bを形成する上では、例えば、発光層の材料として高分子系材料が用いられることになる。
【0052】
そして、上記高分子系材料としては、ポリカルバゾール、ポリパラフェニレン、ポリアリーレンビニレン、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリシラン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリピリジンビニレン、ポリピロールが挙げられる。また、高分子材料としては、上記高分子材料(ポリマー)を形成している(コ)モノマーまたはオリゴマー或いはそれらの誘導物の重合体及び共重合体と、オキサゾール(オキサンジアゾール、トリアゾール、ジアゾール)又はトリフェニルアミン骨格を有する(コ)モノマーを重合した重合体及び共重合体を挙げることができる。また、これらポリマーの(コ)モノマーとしては、熱、圧、UV、電子線などを与える事で上述の化合物を形成しる(コ)モノマー及びプレカーサポリマーを含むものである。また、これらコモノマー間を結合する非共役系ユニットを導入しても構わない。
【0053】
高分子材料の具体的な商品としては、ポリピニルカルバゾール:東京化成、ポリトデシルチオフェン:Rieke社、ポリエチレンジオキシチオフェン、PSS(ポリスチレンスルフォン酸)分散体変性物 cpp105:長瀬産業、ポリ9,9−ジアルキルフルオレン、ポリ(チエニレン−9,9−ジアルキルフルオレン)、ポリ(2,5−ジアルキルパラフェニレン−チエニレン)、(ジアルキル:R=C1〜C20):DOWケミカル社、PPV;ポリパラフェニレンビニレン、MEH−PPV;ポリ(2−メトキシ−5−(2’−エチル−ヘキシロキシ)−パラフェニレンビニレン)、MMP−PPV;ポリ(2−メトキシ−5−(2’−エチル−ペンチロキシ)−パラフェニレンビニレン)、PDMPV;ポリ(2,5−ジメチル−パラフェニレンビニレン)、PTV;ポリ(2,5−チエニレンビニレン)、PDMOPV;ポリ(2,5−ジメトキシパラフェニレンビニレン)、CN−PPV;ポリ(1,4−パラフェニレンシアノビニレン):CDT社などが挙げられる。
【0054】
また、湿式塗布可能な発光層の材料は、高分子系材料に限られるものではなく、低分子材料をポリマー分散して用いるものとしても良い。また、低分子材料の性質によっては、低分子材料を溶媒に溶かした状態で湿式塗布して使用するものとしても良い。そして、低分子材料をポリマー分散する際のポリマーとしては、周知の汎用ポリマーを含む各種ポリマーを状況に応じて使用することができる。そして、低分子の発光材料(発光物質またはドーパント)としては、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、テトラセン、コロネン、クリセン、フルオレセイン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ペリノン、フタロペリノン、ナフタロペリノン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、アルダジン、ビスベンゾキゾリン、ビススチリル、ピラジン、オキシン、アミノキノリン、イミン、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノカルバゾール、ピラン、チオピラン、ポリメチン、メロシアニン、イミダゾールキレート化オキシノイド化合物等と、これらの誘導体が挙げられる。また、低分子の材料としては、4−ジシアノメチレン−4H−ピラン及び4−ジシアノメチレン−4H−チオピランと、ジケトン、クロリン系化合物とが挙げられる。
【0055】
そして、低分子の発光材料となる具体的商品としては、Alq3、キナクリドン:同仁化学研究所、Almq3(Alキノリノール錯体の誘導体):ケミプロ化成、クマリン6、DCM:アクロス社、ルモゲンF:山本通商などが挙げられる。なお、発光材料は、上述のものに限定されるものではなく、塗布により有機EL層8r、8g、8bを形成することが可能な材料ならば良い。
【0056】
そして、上記有機EL層8r、8g、8bとしては、周知の発光色が赤となる発光材料を用いた有機EL層8r、周知の発光色が緑となる発光材料を用いた有機EL層8gと、周知の発光色が青となる発光材料を用いた有機EL層8bとが三つ一組となって形成され、この一組の有機EL層8r、8g、8bが多数形成されるとともに、各有機EL層8r、8g、8bの配置がストライプ状とされている。
【0057】
そして、有機EL層8r、8g、8bが形成された透明基板1上に、カソード9が形成される。カソード9は、各有機EL層8r、8g、8bに渡って面状に形成される。すなわち、カソード9は、隔壁レジスト7の開口部7a…が形成された部分に、全ての有機EL層8r、8g、8bを覆うように形成される。なお、隔壁レジスト7の開口部7b…が形成された部分には、カソード9が形成されないようになっている。そして、カソード9は、例えば、低仕事関数の金属を蒸着により成膜することで形成される。
【0058】
そして、カソード9の厚みは、上記隔壁レジスト7より薄いものとなっており、隔壁レジスト7上(開口部7a…部分の除く)に形成されたカソード9の部分と、隔壁レジスト7の各開口部7a…に形成されたカソード9の部分とは、その部分の断面でみると完全に離れた状態となっている。
【0059】
そして、開口部7a…内においては、塗れ制御層6からカソード配線5r、5g、5bの端部に至るまでの範囲には、有機EL層8r、8g、8bが形成されず、カソード配線5r、5g、5bの端部が露出した状態となり、カソード9は、カソード配線5r、5g、5bの端部上から、塗れ制御層6上、有機EL層8r、8g、8b上にわたって連続的に堆積しているので、開口部7a…内のカソード配線5r、5g、5bの端部とカソード9とが直接重なった状態となり、カソード9の各開口部7a…内の部分と、各カソード配線5r、5g、5bの端部とが一対一で対応し、対応するカソード9の各開口部7a…内の部分とカソード配線5r、5g、5bとが短絡された状態となる。すなわち、カソード配線5r、5g、5bが、カソード9の各開口部7a…部分から延出する取り出し線となる。
【0060】
そして、上述のように隔壁レジスト7が形成された透明基板1上には、各カソード端子4r、4g、4bと、各発光色毎の有機EL層8r、8g、8bに対応するカソード配線5r、5g、5bの隔壁レジスト7の開口部7b…から露出する部分とを短絡するように、帯状の三本の導電性ペースト層10r、10g、10bが形成されている。
【0061】
この例では、上述のように、各カソード配線5r、5g、5bの端部(アノード2の反対側)が、各カソード配線5r、5g、5bが対応する有機EL層8r、8g、8bの発光色によって揃えられるように配置されており、同じ発光色の有機EL層8r、8g、8bに対応するカソード配線5r、5g、5bの端部(隔壁レジスト7の開口部7b…から露出)は、有機EL層8r、8g、8bの長さ方向に直交する一つの線上に配置され、この延長線上に上記発光色用のカソード端子4r、4g、4bが配置されている。
【0062】
従って、上記線上に沿って帯状の導電性ペースト層10r、10g、10bを形成することにより、同じ発光色の有機EL層8r、8g、8bに対応する、カソード端子4r、4g、4bとカソード配線5r、5g、5bとを短絡することができる。従って、各有機EL層8r、8g、8b毎に独立したカソード9をカソード配線5r、5g、5bと、カソード端子4r、4g、4bと、絶縁膜として機能する隔壁レジスト7と、導電性ペースト層10r、10g、10bとにより、各発光色の有機EL層8r、8g、8b毎にまとめて外部と接続することができる。なお、上述の各有機EL層8r、8g、8bのカソード9を各発光色毎にまとめる透明基板1上の配線は、カソード配線5r、5g、5bからなる配線の層と導電性ペースト層10r、10g、10bからなる配線の層とが、絶縁膜として機能する隔壁レジスト7を挟んで配置され多層配線となっており、透明基板1上にコンパクトに上述のような配線を配置できるようになっている。
【0063】
また、共通電極となるアノード2の各有機EL層8r、8g、8baに対応する部分と、各有機EL層8r、8g、8bと、カソード9の各有機EL層8r、8g、8bに対応する部分とから、それぞれ各有機EL発光領域11r、11g、11bが形成されている。すなわち、各有機EL発光領域11r、11g、11bは、一つの有機EL層8r、8g、8bと、アノード2及びカソード9の上記有機EL層8r、8g、8bと重なる部分となり、これら有機EL発光領域11r、11g、11bは、それぞれ、有機EL素子として機能する。
【0064】
そして、図1〜図3に示される有機EL装置の製造方法は、透明基板1上にITOからなるアノード2を形成し、次いで、例えば、蒸着等により金属膜からなる低抵抗配線3、カソード端子4r、4g、4b及びカソード配線5r、5g、5bをパターン形成する。また、透明基板1上に塗れ制御層6を形成する。次に、隔壁レジスト7をフォトリソグラフィーによりパターン形成する。次いで、隔壁レジスト7の開口部7a…に、有機EL層8r、8g、8bのうち、正孔輸送層8rh、正孔輸送層8gh、正孔輸送層8bhとなる材料を注入して固化後、それらの上にそれぞれ電子輸送層8re、電子輸送層8ge、電子輸送層8beを注入し同様に固化させて有機EL層8r、8g、8bを形成する。次いで、カソード9を例えば、蒸着成膜する。なお、第一例においては、隔壁レジスト7が、アノード2及び低抵抗配線部3bとカソード9との間の有機EL層8r、8g、8bが介在していない部分において、アノード2及び低抵抗配線部3bとカソード9との間を絶縁する膜として機能している。また、隔壁レジスト7を用いた場合には、その開口部7a…に、有機EL層8r、8g、8bの材料を毛管注入する(開口部7a…は、溝状であるが、溝を形成する左右の壁の間には、毛細管現象が作用する)。
【0065】
また、有機EL層8r、8g、8bの注入に際しては、その層別に行なう。例えば、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の順で、材料の注入、乾燥(固化)を繰り返し行ってもよい。また、隔壁レジスト7を形成した後に、導電性ペースト層10r、10g、10bを形成し、カソード端子4r、4g、4bとカソード配線5r、5g、5bとを接続する。
【0066】
また、隔壁レジスト7を使用して有機EL層8r、8g、8bを形成する場合に、隔壁レジスト7上に蓋となる板体を例えば取外し可能に取り付けた状態もしくは押し付けた状態とするとともに、該板体等に注入口及び排出口を形成しても良い。そして、隔壁レジスト7の開口部7a…が透明基板1と板体とにより上下の開口を閉塞された状態となることにより、開口部7a…を管の内部状とし、注入口から開口部7a…に有機EL層8r、8g、8bの材料を注入するものとしても良い。このようにすれば、完全な毛細管現象により開口部7a…内に有機EL層8r、8g、8bの材料を容易に注入することができる。
【0067】
そして、この一例の有機EL装置によれば、RGB三原色を混色させて白色の発光を行なうことができる。また、この際に、各有機EL発光領域11r、11g、11bにおいては、複数の発光材料を混在させたり、積層させたりする必要がないので、低消費電力で高い輝度を実現することができる。また、各有機EL発光領域11r、11g、11b(有機EL層8r、8g、8b)をストライプ状に形成しているので、各有機EL発光領域11r、11g、11bをモザイク状に配置したり、各領域を分散して配置した場合に比較して容易かつ安価に製造することができる。そして、有機EL素子は、透明基板1や封止部分等を除く素子本体の部分が極めて薄く、元々薄型化が可能なものであるとともに、ストライプ状に配置された有機EL発光領域11r、11g、11bのピッチを狭くすれば、透明基板1を薄くしても各発光色を混色して白色を得られるので、有機EL装置をLCD等の非自発光表示装置のバックライトとして好適に用いることができる。
【0068】
また、この一例の有機EL装置においては、アノード2として光透過率が高く、かつ、抵抗値が高いITOを用いているので、発光面を広いものとした場合に、電源との接続部からの距離が長くなるほど高い抵抗値を示すので、電源との接続部から近い部分と、遠い部分とでは、有機EL層を流れる電流量が異なり、場所によって輝度のばらつきがでる可能性がある。しかし、各有機EL層8r、8g、8bに沿って配置されるとともに、ほとんどの部分でアノード2と短絡する低抵抗配線部3bを設け、該低抵抗配線部3bに外部の電源と接続されるアノード端子3aを接続しているので、発光面内の各有機EL層8r、8g、8bの各位置においては、その位置の近傍のアノード2部分まで低抵抗配線3側を流れた電流がアノード2を介して有機EL層8r、8g、8bに流れることになり、発光面の位置によって、有機EL層8r、8g、8bに流れる電流が大きく異なることがなく、発光面の各位置における輝度を均質化することができる。従って、有機EL装置の発光面の各位置における輝度をより均質化できるとともに、有機EL装置の発光面を大型化しても、発光面内で輝度にばらつきが生じるのを防止することができる。
【0069】
また、この一例の有機EL装置においては、カソード9が各有機EL発光領域11r、11g、11b毎に独立しているとともに、カソード9の各発光色の有機EL層8r、8g、8bに対応する部分がカソード配線5r、5g、5bと導電性ペースト層10r、10g、10bによりまとめられて、各発光色毎のカソード端子4r、4g、4bが形成されているので、各発光色の有機EL発光領域11r、11g、11b毎に、駆動電流を制御して輝度を変えられるようになっている。従って、第一例の有機EL装置においては、各発光色の有機EL発光領域11r、11g、11b毎に輝度を制御して白色度を調整できる。すなわち、RGBの輝度バランスを変えることで、LCDパネル(例えば、カラーフィルタを備えたLCD)の光の透過特性に適合した任意の白色度を実現することができる。また、上述のように各有機EL発光領域11r、11g、11b(有機EL層8r、8g、8b)がストライプ状とされているので、アノード2やカソード9をストライプ状に形成することで、有機EL発光領域11r、11g、11bをモザイク状に配置した場合に比較して、容易にアノード2やカソード9を有機EL発光領域11r、11g、11bをより細いピッチL2で形成することができる。
【0070】
また、第一例の有機EL装置においては、白色の発光以外に、各発光色の有機EL発光領域11r、11g、11b毎に輝度を制御することにより、ほぼ任意の色の発光を行なうことができる。また、各有機EL発光領域11r、11g、11b毎もしくは各発光色の有機EL発光領域11r、11g、11b毎にスイッチングすることで、RGBの三色の光を順次発光させることも可能であり、このような構成とした場合には、フィールド・シーケンシャル・フルカラーLCDのバックライトとして用いることができる。特に、有機EL装置は、基本的に発光体の電気容量が極めて小さく、高速にスイッチングする事が可能なので(例えば、有機EL素子は100nsec以下の高速応答が可能なので)、高速に発光色を変更する必要があるフィールド・シーケンシャル・フルカラーLCDのバックライトとして好適に用いることができる。
【0071】
なお、この一例においては、例えば、図1に示すように、各発光色の有機EL発光領域11r、11g、11b(有機EL層8r、8g、8b)の幅をほぼ同じものとして、各発光色の有機EL発光領域11r、11g、11bの面積をほぼ同じものとしたが、各発光色の有機EL発光領域11r、11g、11bは、使用される発光材料により、同じ電流または電圧で駆動されてもその輝度が異なるので、各有機EL発光領域11r、11g、11bの発光材料に基づく輝度に対応して、各有機EL発光領域11r、11g、11b毎に幅を変えてその面積を異なるものとしても良い。
【0072】
すなわち、一般的に、緑色に発光する発光材料を用いた有機EL素子は輝度が高く、赤色に発光する発光材料を用いた有機EL素子は輝度が低いので、緑色に発光する有機EL発光領域11g(有機EL層8g)の幅を赤色に発光する有機EL発光領域11r(有機EL層8r)の幅より狭くし、ほぼ同じ長さの各発光色の有機EL発光領域11r、11g、11bの面積をそれらの幅に対応したものとすれば、製造段階において、各有機EL発光領域11r、11g、11bの輝度を調整することができる。
【0073】
また、このような構成とした場合には、各有機EL発光領域11r、11g、11b毎もしくは各発光色の有機EL発光領域11r、11g、11b毎に、使用時に個別に輝度を決められるように、アノード2もしくはカソード9の少なくともいずれか一方が独立した構成となっている必要はなく、発光面積等で、各有機EL発光領域11r、11g、11bの輝度バランス及び色バランスを調整できるので、例えば、アノード2とカソード9との両方を各有機EL発光領域11r、11g、11bで共通な共通電極として等電圧であっても、予め設定された望む色度に発光させることができる。
【0074】
また、透明基板1上で各有機EL発光領域11r、11g、11bに対応するカソード9の各部分が上述の多層配線により、各発光色毎の有機EL発光領域11r、11g、11bに対応するカソード9部分毎にまとめられて、三つの発光色毎に形成された三つのカソード端子4r、4g、4bに接続されることになるので、透明基板1の外側で、各発光色毎にカソード9の各部分を接続する配線を必要とせず、有機EL装置の構成を簡略化できる。また、上記多層配線を構成するカソード端子4r、4g、4b及びカソード配線5r、5g、5bは、低抵抗配線3を形成する際に同時に形成することができる。また、隔壁レジスト7は、元々有機EL層8r、8g、8bを形成するための機能と、アノード2及び低抵抗配線3とカソード9との絶縁膜としての機能と、カソード9を各有機EL発光領域11r、11g、11b毎に独立させる機能とを有するものであるが、隔壁レジスト7の形成パターンを変えるだけ(広くして開口部7b…を形成するだけ)で、さらに、カソード配線5r、5g、5bと導電性ペースト層10r、10g、10bとの絶縁膜としての機能を追加することができる。
従って、導電性ペースト層10r、10g、10bの形成以外は、特に工程を増やすことなく、透明基板1上に上述の多層配線を形成することができるので、低コストに有機EL装置の構成の簡略化を図ることができる。
【0075】
なお、上記例の有機EL装置においては、透明基板1上に上述の多層配線を設けずに、各有機EL発光領域11r、11g、11b毎にカソード端子を設けるものとしても良いし、この際に各有機EL発光領域11r、11g、11b毎に輝度の調整をできるようにしても良い。また、アノード2を各有機EL発光領域11r、11g、11b毎に独立した電極とし、カソード9の各有機EL発光領域11r、11g、11bに対応する部分を短絡して、カソード9を各有機EL発光領域11r、11g、11bの共通電極としても良い。
【0076】
しかし、この場合に、アノード2を例えば、各有機EL層8r、8g、8bに対応するストライプ状とした場合に、低抵抗配線3の低抵抗配線部3bを配置する部分が狭くなるので、アノード2を共通電極とすることが好ましい。また、上記塗れ制御層6を設ける代わりに、図4に示すように、隔壁レジスト7において、有機EL発光領域11r、11g、11bとなる開口部7a…とカソード配線5r、5g、5bの端部が露出される開口部7d…との間に、これら開口部7a…、7d…の幅より狭い開口部7c…を介在させ、注入された液状の有機EL層8r、8g、8bの材料が開口部7c…を越えて開口部7d…に到達させず、且つ開口部7a…、7c…、7d…に堆積されるカソード9が連続して形成され、カソード配線5r、5g、5bと電気的に接続されるような構造となっている。このようなボトルネック構造にすれば、開口部7a…内のアノード2が露出する部分に有機EL層8r、8g、8bの材料を注入した際に、ボトルネックとなる挟幅な開口部7c…から先に材料が流入しづらい状態となり、上記塗れ制御層6を設けなくとも、塗れ制御層6を設けたのと同様の作用効果を得ることができる。
【0077】
また、上記隔壁レジスト7の各開口部7a…に有機EL層8r、8g、8bの液状の材料を注入する際には、例えば、汎用の高精度ディスペンサーを用いることができるが、この際に開口部7a…のディスペンサのニードルを配置する位置に、予め、開口部7a…の他の部分より幅が広い拡幅部を設けるものとしても良い。このようにすれば、開口部7a…のピッチが狭いものとしても、ディスペンサのニードルの位置合わせを容易にできるとともに、開口部7a…のニードルにより液状の材料が注入される部分に拡幅部を設けて、その部分の容量を大きくしておけば、漏れ防止を図ることができる。
【0078】
また、有機EL層8r、8g、8bの種類は、RGBの三つの発光色用の三種類に限定されるものではない。例えば、有機EL素子は、含まれる発光材料により特定の色に発光することになるが、この際の発光の光りの波長は、ある程度の波長幅を有するものとなっている。そして、周知の発光材料の中には、有機EL素子に用いた場合に、発光の波長幅が赤付近の波長から緑付近の波長に渡り、オレンジ色に発光するものや、発光の波長幅が緑付近の波長から青付近の波長に渡り青緑に発光するものなどが知られている。このようなオレンジ色に発光する有機EL発光領域と、青緑に発光する有機EL発光領域とを、例えば、ストライプ状に交互に配置した場合には、各有機EL発光領域の輝度を調整することにより、オレンジ色と青緑を混色させて白色の発光を得ることが可能である。すなわち、有機EL発光素子には、発光の波長幅が広いものがあり、これらを二つ組み合わせるだけで、可視光の波長領域の多くを占める発光、すなわち、ほぼ白に視認できる発光を行なうことが可能であり、必ずしも、赤、緑、青の三原色にそれぞれ光る三種類の有機EL発光領域を配置する必要はない。
【0079】
また、有機EL層8r、8g、8bの形成方法は、上述の隔壁レジスト7を用いたものに限られるものではなく、例えば、インクジェット方式でストライプ状に有機EL層8r、8g、8bを形成するものとしても良い。また、有機EL層8r、8g、8bを印刷や蒸着によりパターニングして形成するものとしても良いし、その他のパターニング方法を採用するものとしても良い。なお、通常の蛍光管を使用したバックライトより薄い程度ではなく、さらなる薄型化を図るうえでは、蒸着や印刷よりも上述の隔壁レジスト7を用いた上述の方法の方が有利である。
【0080】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の有機EL装置によれば、異なる色に発光する二種以上の有機EL層を透明基板上にストライプ状に配置しているので、各有機EL層は、ほぼ線状(帯状)となる。そして上記有機EL層間の透明電極上に低抵抗配線が形成されているため、アノード電極全体としてシート抵抗が下がり均一な輝度の面発光を得ることができる。また有機EL層がストライプ状に配置されていることにより、有機EL層同士の間に間隙があり、この発光領域以外である間隙に低抵抗配線が形成されているため、有機EL層の発光波長域に対し不透明であっても高輝度で発光することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の有機EL層を説明するための一部を透過した図面である。
【図2】本発明の実施の形態の一例の有機EL層を説明するための一部を削除するとともに他の一部を透過した図面である。
【図3】図1のA−A’線に沿った断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の一例の変形例の有機EL層を説明するための一部を削除するとともに他の一部を透過した図面である。
【符号の説明】
1 透明基板
2 アノード(透明電極)
3 低抵抗配線
3b 低抵抗配線部
7 隔壁レジスト(絶縁膜)
8r 有機EL層
8g 有機EL層
8b 有機EL層
9 カソード(背面電極)

Claims (5)

  1. それぞれ異なる色に発光する二種以上の有機EL層を透明基板上にストライプ状に配置した有機EL装置であって、
    上記透明基板上に形成された透明電極と、該透明電極上に複数のストライプ状の第1開口部及び複数の第2開口部を有する絶縁膜と、該絶縁膜の第1開口部内にそれぞれ形成され、それぞれ異なる光に発光するストライプ状の複数の有機EL層と、該有機EL層上に形成された背面電極と、一方の端部がそれぞれ上記第1開口部において上記背面電極に接続され、他方の端部がそれぞれ上記第2開口部において露出するとともに、上記有機EL層から上記他方の端部までの距離が、上記有機EL層の発光色毎に異なる複数のカソード配線と、上記有機EL層の発光色毎に対応して形成され、同じ発光色の複数の前記有機EL層にそれぞれ対応する各上記カソード配線の他方の端部とそれぞれ短絡されているカソード端子と、上記有機EL層間の透明電極上に上記絶縁膜に覆われた上記透明電極より低抵抗な低抵抗配線を備えていることを特徴とする有機EL装置。
  2. 請求項1記載の有機EL装置において、
    上記透明電極上に上記低抵抗配線と上記有機EL層とが互いに離間して形成されていることを特徴とする有機EL装置。
  3. 請求項1または2記載の有機EL装置において、
    上記絶縁膜のストライプ状の第1開口部に液状の有機EL層の材料を注入することにより、上記有機EL層が形成されていることを特徴とする有機EL装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一つに記載の有機EL装置において、
    上記背面電極が各有機EL層毎に独立した状態で形成され、かつ、透明基板上に、上記背面電極を各発光色の有機EL層毎にまとめる配線の少なくとも一部である上記カソード配線が上記低抵抗配線と同じ材料により形成されていることを特徴とする有機EL装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一つに記載の有機EL装置において、
    上記透明電極を各有機EL層に連続して面状に形成される共通電極とし、上記背面電極を各有機EL層毎に独立した電極とすることを特徴とする有機EL装置。
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