JP2000294382A - 有機el装置 - Google Patents

有機el装置

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JP2000294382A
JP2000294382A JP11104110A JP10411099A JP2000294382A JP 2000294382 A JP2000294382 A JP 2000294382A JP 11104110 A JP11104110 A JP 11104110A JP 10411099 A JP10411099 A JP 10411099A JP 2000294382 A JP2000294382 A JP 2000294382A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カラー液晶表示装置のバックライトとして好
適に用いられる有機EL装置を提供する。 【解決手段】 本発明の有機EL装置においては、透明
基板1上に、ストライプ状に有機EL層8r、8g、8
bが配置されている。これにより、各有機EL層8r、
8g、8bの発光色が混色されて白色の発光が行なわれ
る。また、有機EL層8r、8g、8bは、透明電極で
あるアノード2と背面電極であるカソード9とに挟まれ
ている。アノード2上には、有機EL層8r、8g、8
bに沿ってアノード2より低抵抗な低抵抗配線3が配置
されている。これにより、抵抗値が高いアノード2を面
状や帯状に配置することで、位置により抵抗値が変化し
て、位置による輝度のばらつきが生じるのを防止でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機EL素子を用
いて面状発光を行なう有機EL装置に係わり、特に、液
晶表示装置(LCD)等のような非自発光表示装置のバ
ックライトとして好適な有機EL装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、LCD用バックライトの平面白色
光源として蛍光管と導光板とを組み合わせたものや、平
面蛍光管などが用いられている。白色発光を得る場合
に、例えば、EL素子等の固体発光素子に比べ、気相か
らの発光を利用する蛍光管の方が有利であり、多くのL
CDに蛍光管が用いられている。しかし、一般的なバッ
クライトとして用いられている蛍光管と導光板(もしく
は反射板)との組み合わせや、平面蛍光管では、さらな
る薄型化が困難なものであった。すなわち、蛍光管を薄
く(細く)するのに限界があるとともに、できるだけ均
一な面状発光を得る上では導光板の薄型化にも限界があ
る。
【0003】そこで、一部の小型の液晶表示装置(LC
D)においては、無機EL素子(エレクトロ−ルミネッ
センス素子)をバックライトとして用いているものがあ
るが、このEL素子をバックライト用の面状発光体とし
て利用することにより、バックライトを有するLCDの
十分な薄型化を図ることが困難であった。また、現状で
製品化されている無機EL素子を用いたバックライト
は、緑色等の単色発光であった。これは無機EL素子が
任意の発光色の材料を選択することが困難であるためで
あり、このため白色発光によるLCDの多色化表示が困
難であった。
【0004】これらのことから、LCD用のバックライ
トとして、薄型のEL素子を用いた白色発光素子が検討
されている。また、EL素子としては、無機EL素子
と、有機EL素子とが知られているが、発光効率、任意
の発光色選択性並びに薄型化において、有機EL素子の
方が優れており、有機EL素子により白色光を発光する
面状発光体の開発が行なわれている。なお、有機EL素
子は、たとえば、ガラス基板上にインジウム−スズ酸化
物(ITO)からなる透明電極(陽極)と、ホール輸送層、
発光層及び電子輸送層等からなる有機EL層と、低仕事
関数の金属からなる背面電極(陰極)とを積層したもので
ある。また、有機EL素子は、電圧を印加した場合に電
流が流れ、直流電流で駆動される。
【0005】そして、有機EL素子の発光は、透明電極
から注入されたホールと背面電極から注入された電子が
有機EL層で再結合し、発光中心である蛍光色素などの
発光材料を励起することにより起こる。なお、有機EL
層には、上述のような三層構造のほかに二層構造のもの
がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、有機EL素
子の発光色は、基本的に発光材料、例えば、上述の蛍光
色素等の種類により決まるが、現状で単種で白色に発光
する発光材料は知られておらず、有機EL素子におい
て、白色の発光を得るには、複数の発光材料を混在させ
ることにより白色の発光を得ている。すなわち、例え
ば、赤、緑、青(RGB)等に発光するそれぞれの発光
材料を混ぜた状態で発光層を形成したり(または、発光
層にRGBの各ドーパントを導入したり)、発光層を形
成する際に、赤、緑、青等に発光するそれぞれの発光材
料を含む層が積層されるようにしたりすることで、白色
の発光を得ていた。
【0007】しかし、このように複数の発光材料を混在
させて形成された有機EL素子は、有機EL層中の非発
光遷移が増大し、現状において、高効率な素子が得られ
ていない。すなわち、上述のような白色の発光を行なう
有機EL素子は、複数の発光材料を混在させずに一種類
の発光材料を含む通常の有機EL素子に比較して、同じ
消費電力では輝度が低くいものであった。従って、白色
発光する有機EL素子は、輝度の不足や、高消費電力等
の理由により実用化が困難な状態である。
【0008】また、上述のように有機EL素子において
は、アノードとしてITOが用いられ、カソードとして
背面電極が用いられるが、ITOは、金属である背面電
極に比較すると導電材とはいっても高い抵抗を有するも
のであり、特に光透過率を高めようとすると、さらに高
抵抗なものとなる。そして、有機EL素子を用いて、大
きな面状発光体を形成しようとすると、透明電極である
ITOの面積が増えると、ITOの電源との接続部分
と、該接続部分と最も離れた部分との距離が大きくな
り、これらの部分では有機EL層に流れる電流量に差が
生じる。従って、有機EL素子からなる面状発光体をあ
まり大きなものとすると、面状発光体の位置によって輝
度に明らかな差が生じる可能性があった。
【0009】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、白色発光する面状発光体として使用することがで
き、かつ、低消費電力で高輝度を実現することができ、
さらに、面状発光体全体の輝度の均一化を図ることがで
きる有機EL装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
有機EL装置は、それぞれ異なる色に発光する二種以上
の有機EL層を透明基板上にストライプ状に配置した有
機EL装置であって、上記透明基板上に形成された透明
電極と、該透明電極上に複数のストライプ状の開口部を
有する絶縁膜と、該絶縁膜の開口部内にそれぞれ形成さ
れたストライプ状の有機EL層と、該有機EL層上に形
成された背面電極と、上記有機EL層間の透明電極上に
上記絶縁膜に覆われた上記透明電極より低抵抗な低抵抗
配線を備えていることを特徴とする。
【0011】上記構成によれば、異なる色に発光する二
種以上の有機EL層を透明基板上にストライプ状に配置
しているので、各有機EL層は、ほぼ線状(帯状)とな
る。そして上記有機EL層間の透明電極上に低抵抗配線
が形成されているため、アノード電極全体としてシート
抵抗が下がり均一な輝度の面発光を得ることができる。
また有機EL層がストライプ状に配置されていることに
より、有機EL層同士の間に間隙があり、この発光領域
以外である間隙に低抵抗配線が形成されているため、有
機EL層の発光波長域に対し不透明であっても高輝度で
発光することができる。なお、透明電極ではなく、低抵
抗配線が電源に接続され、低抵抗配線から透明電極に電
流が流れるようになっていることが好ましい。そして、
各有機EL層が発光した場合に、各有機EL層がほぼ線
状光源となり、各有機EL層から離れるに従って光が帯
状に広がり、近傍にストライプ状に配置された他の有機
EL層から広がる発光と重なることになる。そして、こ
のように重なったが異なる色の場合は、異なった色の光
りが混ざった色で発光することになる。従って、上述の
ように、発光色の異なる二種以上の有機EL層を透明基
板上にストライプ状に配置した場合に、有機EL層がス
トライプ状に配置された部分からある程度離れた位置に
おいては、二種以上の発光色が混ざった色で面状に発光
した状態として視認することができる。なお、ほぼ均一
な混色の発光を得るためには、各ストライプ(各有機E
L層)間の距離が、視認する距離(バックライトとして
使用する場合に、照らす表示装置までの距離)に対して
十分に狭いとともに、異なる色に発光する有機EL層が
互いに分散している必要がある。
【0012】そして、このように、各色に発光する有機
EL層においては、それぞれ、一種類の発光材料(蛍光
色素)を含有するものとすれば良いので、従来の複数の
発光材料を1つの層内に混在させた場合に比較して、各
色の有機EL層の発光色を混色させた色の発光を低消費
電力で高輝度なものとすることができる。従って、混色
が白色となるように各有機EL層の発光色(例えば、光
の三原色である赤、緑、青)や輝度を決めれば、低消費
電力で高輝度の白色の面状発光を行なうバックライトを
製造することができる。また、白色以外であっても、複
数の色を混ぜた任意の色に発光し、かつ、低消費電力で
高輝度な面状発光体を得ることができる。また、各色に
発光する有機EL層をストライプ状に配置することで、
複数の有機EL層から混色を得る他の構成(例えば、発
光色の異なる二種以上の有機EL層をモザイク状に配置
したり、各有機EL層を小さな面状として細かく分散さ
せて配置した場合など)と比較して、その製造を容易に
行なうことができる。
【0013】また、各有機EL層毎や、各発光色の有機
EL層毎にかける電流または印加電圧を変えることによ
り、発光色毎に輝度を変更して混色された発光の色を調
整するような構成とする場合に、各有機EL層毎もしく
は各発光色の有機EL層毎に独立して電圧を印加できる
構成とする必要があるが、各有機EL層をストライプ状
に配置することにより、各有機EL層をモザイク状に配
置したり、各有機EL層を細かく分散して配置した場合
に比較して、各有機EL層に電流または電圧を供給する
ための引き出し線等を最小限にして極めて簡単に各有機
EL層毎に独立して電圧を印加できる構成とすることが
できる。また、各有機EL層もしくは各発光色の有機E
L層毎にかける電流または電圧を変えた場合に、一つの
有機EL装置により、様々な色の発光を行なうことがで
き、例えば、有機EL層の種類を、色の三原色に合わせ
て赤、緑、青のそれぞれの色に発光する三種類とすれ
ば、ほぼフルカラーの発光を行なうことができる。
【0014】また、より具体的には、有機EL素子にお
いて、ガラス基板、透明フィルム基板(透明樹脂基板)
等の透明基板上に上述のように有機EL素子が形成さ
れ、不透明で金属光沢を有する背面電極が反射板として
機能するので、有機EL層からの発光は、透明電極及び
透明基板を透過して、透明基板の前面(有機EL素子が
設けられた面の反対の面)側に放射されることになる。
したがって、透明基板上にストライプ状に形成された各
色の有機EL層からの光りは、基本的に透明基板内で混
色し、透明基板の前面側においては混色された発光色の
光りが面状に放射された状態となる。なお、透明基板内
で混色するには、透明基板の厚み、各有機EL層同士の
間隔(各有機EL層の幅、各有機EL層同士の間の間
隔)等を透明基板の屈折率等を考慮して調整する必要が
あり、透明基板の厚みが薄ければ、各有機EL層同士の
間隔を狭くする必要があり、有機EL装置の薄型を図る
上では、ストライプ状の有機EL層を細くすることが好
ましい。
【0015】また、各有機EL層は、上述のように透明
基板上にストライプ状に形成されるものであり、透明基
板上において、カソードとアノードとの間に上述のよう
な有機EL層が帯状(有機EL層同士の間隔が狭い場合
には、ほぼ線状)に互いにほぼ平行に並んで形成された
ものである。また、この際に、各有機EL層毎に印加す
る電圧・電流を変えないのであれば、カソード及びアノ
ードは、透明基板の発光する部分の一面に面状に形成さ
れるものとすることができる。また、カソード及びアノ
ードの少なくとも一方を各有機EL層に沿って、各有機
EL層に重なるようにストライプ状に独立した状態に形
成すれば、各有機EL層毎に印加する電圧・電流を変え
ることが可能な構成とすることができる。
【0016】また、このような構成とすれば、有機EL
装置の使用中においても、各有機EL層の輝度を変更し
て発光色を変更可能であり、例えば、各色(RGB)の
フィールド毎にバックライトの色を変える必要があるフ
ィールド・シーケンシャル・フルカラーLCDのバック
ライトとしても使用可能である。この場合に、有機EL
素子は、その静電容量が極めて小さく、高速でスイッチ
ングすることが可能であり、高速にRGBの各色の発光
を切り替えることができるので、効率を高めるために残
光性を有する蛍光材を用いていた蛍光管に比較して、フ
ィールド・シーケンシャル・フルカラーLCDに最適な
極めて薄いバックライトとなる。
【0017】また、上記有機EL層において、異なる色
に発光する各種類の有機EL層は、それぞれ、周知の発
光材料を含有し、該発光材料に基づく発光色を有するも
のであるが、各有機EL層は、それぞれの有機EL層の
発光色を得るための一種類の発光材料を含むことが好ま
しく、一つの有機EL層内に不純物濃度以上に種類の異
なる発光材料が含まれないことが好ましい。すなわち、
複数の発光材料を混在させた場合には、従来のように輝
度の低下、消費電力の上昇を招くことになるので、低消
費電力及び高輝度を達成する上では、各種類の有機EL
層毎にそれぞれ異なる発光材料を一種類だけ含むように
し、一つの有機EL層に、なるべく複数の発光材料が混
在した状態とならないようにする方が好ましい。
【0018】また、各種類の有機EL層をストライプ状
に配置するに際しては、有機EL装置の発光面の各位置
での色がほぼ同じ色に混色した状態となることが好まし
く、複数種の有機EL層のうちの一種類毎の有機EL層
の分布がほぼ同じ状態となっていることが好ましい。す
なわち、同じ種類の有機EL層は、ほぼ一定の間隔で配
置されていることが好ましく、各種類の有機EL層を一
つずつ含む一組の有機EL層が多数組ストライプ状に配
置されていることが好ましい。
【0019】本発明の請求項2記載の有機EL装置は、
請求項1記載の有機EL装置において、上記透明電極上
に上記低抵抗配線と上記有機EL層とが互いに離間して
形成されていることを特徴とする。
【0020】上記構成によれば、透明電極上に直接低抵
抗配線が形成されることにより、低抵抗配線の全ての位
置において、低抵抗配線と透明電極とが確実に短絡した
状態となる。また、透明電極上に低抵抗配線と有機EL
層とが互いに離間して形成されることにより、有機EL
層へのキャリアの注入は透明電極から行われるため、発
光する領域は透明電極と重なる領域になり、低抵抗配線
が不透明であっても、低抵抗配線が有機EL層の光の放
射を妨げることがなく、低抵抗配線により有機EL装置
の輝度が低下するのを防止することができる。また、透
明電極上に低抵抗配線と有機EL層とが互いに離間して
形成され、かつ、低抵抗配線が各有機EL層に沿って形
成される場合には、低抵抗配線は、少なくとも各有機E
L層同士の間にそれぞれ形成されることになる。また、
有機EL層が透明電極全体を覆った状態になっている場
合には、低抵抗配線を形成する場所がなくなってしまう
ので、透明電極が有機EL層の周囲にはみ出した状態に
形成されている必要があり、透明電極が各有機EL層に
渡って面状に形成されて、各有機EL層で共通な共通電
極となっていることが好ましい。
【0021】本発明の請求項3記載の有機EL層は、請
求項1または2記載の有機EL装置において、上記絶縁
膜のストライプ状の開口部に液状の有機EL層の材料を
注入することにより、上記有機EL層が形成されている
ことを特徴とする。
【0022】上記構成によれば、絶縁膜に設けられた開
口部に液状の有機EL層の材料を注入することにより、
上記有機EL層が形成されているので、有機EL層は、
絶縁膜のパターン形成の精度に基づいてパターニングさ
れた状態となり、ストライプ状に形成された有機EL発
光領域同士の間隔(ピッチ)を狭くすることが可能とな
る。そして、上述のように、有機EL装置を薄くするた
めには、ストライプ状に形成された有機EL発光領域同
士のピッチを狭くする必要があり、逆に言えば、ストラ
イプ状に形成された有機EL発光領域同士のピッチを狭
くすることにより、さらに有機EL装置を薄くすること
が可能となる。また、絶縁膜が有機EL層形成時の一種
の型として機能することになり、有機EL層を形成する
ための型を透明基板上に設けることで、絶縁膜が形成さ
れることになり、有機EL装置の製造工程が煩雑になる
のを防止することができる。
【0023】なお、絶縁膜は、例えば、周知の感光樹脂
からなるものであり、フォトリソグラフィによりパター
ン形成可能なものであることが好ましい。また、絶縁膜
の厚さは、上述のように開口部に有機EL層の液状の材
料を注入する上において、5μm以上あることが好まし
い。また、上記絶縁膜に形成された開口部は、それぞれ
一方の端部が開放されるものとしても良く、この際に
は、絶縁膜が櫛歯状となる。また、開口部の両方の端部
が開放された状態とされることにより、絶縁膜がストラ
イプ状となっていても良い。
【0024】また、上述のように厚みを有する絶縁膜に
開口部を設けた場合に、該絶縁膜上から絶縁膜より薄い
カソードを形成する際に、透明基板上に突出する絶縁膜
により生じる開口部周縁部の段差によって、各開口部内
のカソード部分と開口部外のカソード部分が断線した状
態となってもよい。
【0025】本発明の請求項4記載の有機EL装置は、
請求項1〜3のいずれか一つに記載の有機EL装置にお
いて、上記透明電極もしくは背面電極のうちの少なくと
も一方の電極が各有機EL層毎に独立した状態で形成さ
れ、かつ、透明基板上に、各有機EL層毎に独立した一
方の電極を各発光色の有機EL層毎にまとめる配線の少
なくとも一部が上記低抵抗配線と同じ材料により形成さ
れていることを特徴とする。
【0026】上記構成によれば、例えば、各発光色の有
機EL層毎に輝度を制御して、有機EL装置全体の発光
色を任意の色に調整したり、LCDのバックライトとし
て好適な白色に調整したりする場合に、透明電極もしく
は背面電極が各有機EL層毎に形成されていると、これ
らを同じ発光色の有機EL層毎にまとめることが好まし
いが、透明基板上に上述のように各電極をまとめる配線
が形成されていれば、透明基板の外部に別途配線を設け
る必要がなく、有機EL装置の構成を簡略化することが
できる。
【0027】上記配線の少なくとも一部が上記低抵抗配
線と同じ材料で形成されているので、上記配線の少なく
とも一部を上記低抵抗配線形成時に、該低抵抗配線と一
緒にパターン形成することができ、製造工程の簡略化及
びコストの低減を図ることができる。また、ガラス基板
上にITOにより配線を形成するよりも、ITOより抵
抗値が低い低抵抗配線で上記配線を行なうことより、消
費電力の低減を図ることができる。
【0028】本発明の請求項5記載の有機EL装置は、
請求項1〜4のいずれか一つに記載の有機EL装置にお
いて、上記透明電極を各有機EL層に連続して面状に形
成される共通電極とし、上記背面電極を各有機EL層毎
に独立した電極とすることを特徴とする。
【0029】上記構成によれば、透明電極が共通電極と
されていることにより、透明電極の有機EL層に覆われ
ていない部分が多くなり、容易に低抵抗配線を配置する
ことができる。また、上述のように、背面電極を各有機
EL層毎に独立した電極とすることにより、上述のよう
に発光色の調整を行なったり、フィールド・シーケンシ
ャル・フルカラー液晶ディスプレイ用のバックライトと
したりすることが可能となる。また、背面電極は、請求
項3記載の構成のように有機EL層を形成することで、
容易に各有機EL層毎に独立したものとすることができ
る。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態の一
例の有機EL装置を図面を参照して説明する。図1、図
2及び図3は、第一例の有機EL装置の基本概念を説明
するために、有機EL装置のほぼ最低限の構成要素を図
示したものであり、図1においては有機EL層8r、8
g、8b、カソード9、導電性ペースト層10r、10
g、10bを、例えば、斜め格子状や横格子状の図柄と
して透けた状態に図示し、図2においては有機EL層8
r、8g、8b、隔壁レジスト7を、例えば、斜め格子
状や横格子状の図柄として透けた状態に図示するととも
に、カソード9及び導電性ペースト層10r、10g、
10bの図示を省略している。図3は、図1のA−A’
線断面図である。そして、図1、図2及び図3は、同じ
有機EL装置を図示したものである。
【0031】そして、この一例の有機EL装置は、透明
基板1上に発光素子として機能する多数の有機EL発光
領域11r、11g、11bをストライプ状に配置した
ものである。また、各有機EL発光領域11r、11
g、11bには、それぞれ、有機EL層8r、8g、8
bが配置されるとともに、これら有機EL層8r、8
g、8bは、互いに発光色が異なる複数の材料からな
り、有機EL装置は、これらの発光色を混色した色や、
各発光色毎に発光可能なものである。そして、図1〜図
3においては、三種類の有機EL層8r、8g、8b
(発光色が赤(R)、緑(G)、青(B))を一つずつ
有する一組の有機EL層8r、8g、8bを二組だけ図
示しているが、実際のこの一例の有機EL装置は、上記
一組の有機EL層8r、8g、8bがさらに多数組スト
ライプ状に配置されたものである。有機EL層8rは高
分子導電物からなる正孔輸送層8rhと電子輸送層8r
eとからなり、有機EL層8gは高分子導電物からなる
正孔輸送層8ghと電子輸送層8geとからなり、有機
EL層8bは高分子導電物からなる正孔輸送層8bhと
電子輸送層8beとからなる。正孔輸送層8rh、8g
h、8bhはいずれもシート抵抗が107Ω/□以下で
あり、導電性を示している。
【0032】図1〜図3に示すように、第一例の有機E
L装置は、透明基板1(例えば、ガラス基板)上に、四
角面状にITO(透明電極)からなるアノード2が形成
されている。なお、アノード2は、図1、2において、
後述する低抵抗配線3のと接続されており、低抵抗配線
3と重なる部分と、低抵抗配線3と重ならずに後述する
有機EL層8r、8g、8bが上に堆積される部分と、
からなる。また、アノード2は、後述する有機EL層8
r、8g、8bが配置される部分全体を含む範囲で形成
される。
【0033】そして、アノード2が形成された透明基板
1上には、図2に示すように、低抵抗配線3と、各有機
EL発光領域11r、11g、11b毎のカソード9部
分を各発光色の有機EL発光領域11r、11g、11
b毎に外部に接続させるための三つのカソード端子4
r、4g、4bと、各有機EL発光領域11r、11
g、11b毎のカソード9部分にそれぞれ接続され、後
述する導電性ペースト層10r、10g、10bによ
り、各発光色の有機EL発光領域11r、11g、11
b毎にまとめられてカソード端子4r、4g、4bに接
続されるカソード配線5r、5g、5bとが形成されて
いる。低抵抗配線3、カソード端子4r、4g、4b、
カソード配線5r、5g、5bは、例えば、アルミニウ
ム、ネオジムまたはクロム等の金属単体或いはこれらの
うち少なくとも1つを含む合金からなる低抵抗な導電材
からなる金属膜を一括してパターニングすることにより
得られている。
【0034】上記低抵抗配線3は、アノード2を外部に
接続するアノード端子3aと、アノード2上に該アノー
ド2と直接重なって短絡した状態に形成された複数の低
抵抗配線部3bとからなるものである。そして、低抵抗
配線部3bは、アノード2上において、後述する有機E
L層8r、8g、8bと互いにほぼ排他的に形成されて
おり、有機EL層8r、8g、8bがストライプ状に形
成されていることから、ストライプ状の有機EL層8
r、8g、8bの間にストライプ状に低抵抗配線部3b
が形成されている。また、低抵抗配線部3bは、アノー
ド端子3a側(カソード配線4r、4g、4bの反対
側)でストライプ状の部分が一体にまとめられた状態と
なっており、実際には、櫛歯状に形成され、各櫛歯間
に、有機EL層8r、8g、8bが形成されるようにな
っている。
【0035】なお、低抵抗配線部3bと有機EL層8
r、8g、8bとの境界部分においては、低抵抗配線部
3bがカソード9と接続してなければ、低抵抗配線部3
bと有機EL層8r、8g、8bとの間に間隙があるも
のとしても良いし、低抵抗配線不3bと有機EL層8
r、8g、8bとが接触しているものとしても良いし、
低抵抗配線部3bと有機EL層8r、8g、8bとが僅
かに重なっているものとしても良い。そして、アノード
端子3aと低抵抗配線部3bとは、低抵抗配線3として
一体に導通した状態で形成されている。
【0036】上記カソード配線5r、5g、5bは、ス
トライプ状に形成される各有機EL層8r、8g、8b
と、一対一で形成されるとともに、対応するカソード配
線5r、5g、5bと、有機EL層8r、8g、8bと
が僅かに間隔をあけて一列に並ぶように配置されてい
る。すなわち、各カソード配線5r、5g、5bは、透
明基板1上において、各有機EL層8r、8g、8bの
一方の端部側(図中、中央側)において、各有機EL層
8r、8g、8bの長さ方向の延長線上に配置されてい
る。また、各カソード配線5r、5g、5bは、対応す
る有機EL層8r、8g、8bの発光色の種類により長
さが異なるものとされ、かつ、同じ発光色の有機EL層
8r、8g、8bに対応するカソード配線5r、5g、
5bは、同じ長さとされている。
【0037】有機EL層8r、8g、8bに対応する各
カソード配線5r、5g、5bは、各有機EL層8r、
8g、8b側の一方の端部の位置が、有機EL層8r、
8g、8bの長さ方向に直交する方向に沿った線で揃え
られた状態となっている。そして、違う発光色の有機E
L層8r、8g、8bに対応する各カソード配線5r、
5g、5bの他方の端部(図中、上方側)が、それぞ
れ、対応する有機EL層8r、8g、8bからの距離が
異なるようにされている。
【0038】上記カソード端子4r、4g、4bは、三
種類の有機EL層8r、8g、8bの発光色に対応して
三つ形成される。また、カソード端子4r、4g、4b
の透明基板1上での形成位置は、上記カソード配線5
r、5g、5bに直交し、かつ、カソード配線5r、5
g、5bの他方の端部を通る線の線上で、カソード配線
5r、5g、5bから少し離れた位置である。
【0039】そして、カソード配線5r、5g、5bの
他方の端部は、対応する各有機EL層8r、8g、8b
の発光色毎に位置が揃えられているので、上記カソード
配線5r、5g、5bに直交し、かつ、カソード配線5
r、5g、5bの端部を通る線は、基本的に三本とな
り、三箇所にカソード端子4r、4g、4bが配置され
ることになる。
【0040】上記低抵抗配線3、カソード端子4r、4
g、4b及びカソード配線5r、5g、5bは、同じ材
料から形成されて、これらは、一つの金属膜をパターン
形成することにより、ほぼ同時に形成されているので、
低抵抗配線3、カソード端子4r、4g、4b及びカソ
ード配線5r、5g、5bは、同一工程で一緒に形成さ
れることになる。なお、低抵抗配線3、カソード端子4
r、4g、4b及びカソード配線5r、5g、5bは、
例えば、金属を蒸着により成膜することで形成される
が、その他の方法で形成されるものとしても良く、IT
Oより低抵抗で、かつ厚さ方向に酸化されにくい導電材
料から形成されていれば良い。
【0041】また、上記透明基板1上には、塗れ制御層
6が形成されている。上記塗れ制御層6は、カソード配
線5r、5g、5bと、アノード2並びにアノード2上
の低抵抗配線3との間に露出する透明基板1上に帯状に
形成されて、カソード配線5r、5g、5bと、アノー
ド2並びに低抵抗配線3とを区切るようになっている。
なお、塗れ制御層6は、後述するように上述の配置位置
において、隔壁レジスト7の開口部7a…から露出する
部分だけ形成されていれば良く、必ずしも連続する帯状
に形成されていなくとも良い。
【0042】そして、上記塗れ制御層6は、後述する液
状の有機EL層8r、8g、8bの材料との親和性が低
い物質から形成されており、上記材料が塗布等された場
合に、上記材料をはじいて塗布できないようにする作用
がある。また、後述するように、上記材料を隔壁レジス
ト7の開口部7a…に注入して、すなわち、開口部7a
…内に流し込んで、有機EL層8r、8g、8bを形成
する際に、塗れ制御層6を越えて上記材料が流れるのを
防止するようになっている。すなわち、塗れ制御層6
は、上記液状の材料をはじくことにより、有機EL層8
r、8g、8bの形成位置、特に、有機EL層8r、8
g、8bの縁部の位置を制御するものである。
【0043】そして、塗れ制御層14の材料は、基本的
に表面エネルギーを低くする物質から構成される。そし
て、表面エネルギーを低くする物質としては、例えば、
長鎖アルキル基、フッ素基、珪素基を有する物質を挙げ
ることができる。具体的に塗れ制御層14の材料として
は、テトラフルオロエチレンと少なくとも一種のコモノ
マーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共
重合体と、共重合主鎖に環状構造物を有する含フッ素共
重合体と、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラ
フルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、
ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロ
エチレンと、ジクロロジフルオロエチレンとの共重合体
と、アクリロニトリル、ステアリン酸ビニル、ステアリ
ルビニルエーテル、(メタ)アクリル酸ステアリル、そ
の他フッ素原子が含まれるコモノマーと、これらと共重
合可能なコモノマー、例えば(メタ)アクリル酸、(メ
タ)アクリル酸エステルや、ビニル基を有する化合物と
して、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルとを共
重合させて得られる共重合体とが挙げられる。また、塗
れ制御層14の材料となる具体的な商品としては、フッ
素系として、フルオネートK−703:大日本インキ化
学工業、フロリナート:住友スリーエム、サイトップC
TX−105A:旭硝子、フロロバリアー:泰成商会、
テフロンAF:デュポン社、PTFEグリース:ニチア
スなどが挙げられる。また、シリコーン樹脂(SH20
0:東レシリコーンなど)を汎用ポリマー(アクリル樹
脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂)などにブレンドして
塗布しても良い。また、塗れ制御層14の材料として
は、上述のものに限定されるものではなく、有機EL層
8r、8g、8bの液状の材料をはじいてその上に塗布
できないようにできるものならば良い。
【0044】そして、上述のように、アノード2、低抵
抗配線3、カソード端子4r、4g、4b、カソード配
線5r、5g、5b及び塗れ制御層6が形成された透明
基板1上に、隔壁レジスト7が形成される。隔壁レジス
ト7は、例えば、感光性樹脂からなるものであり、フォ
トリソグラフィーによりパターン形成されるものである
が、絶縁性で、かつ、後述する以上の厚みを有するもの
ならば良い。
【0045】そして、隔壁レジスト7は、上述のアノー
ド2、低抵抗配線3のうちの低抵抗配線部3b、カソー
ド配線5r、5g、5bの全てを覆うように面状に形成
されている。なお、低抵抗配線3のうちのアノード端子
3a及びカソード端子4r、4g、4bは、隔壁レジス
ト7から露出している。
【0046】そして、隔壁レジスト7には、ストライプ
状に形成される有機EL層8r、8g、8bの配置位置
に、開口部7a…が形成されている。従って、開口部7
a…は、有機EL層8r、8g、8bと同様にストライ
プ状に形成されることになる。そして、開口部7a…の
形成位置は、上述の櫛歯状の低抵抗配線部3bの各櫛歯
の間の部分と、その部分の長さ方向に沿うとともに、カ
ソード配線5r、5g、5b側に向かった延長線上で、
カソード配線5r、5g、5bのアノード2側の端部を
露出させるところまでとなっている。
【0047】従って、隔壁レジスト7の開口部7a…か
らは、低抵抗配線部3bから露出したアノード2が露出
するとともに、開口部7a…の位置に配置される有機E
L層8r、8g、8bに一対一で対応したカソード配線
5r、5g、5bの端部が露出するようになっている。
また、カソード配線5r、5g、5bとアノード2との
間には、上述のように塗れ制御層6が配置されており、
開口部7a…から露出するアノード2とカソード配線5
r、5g、5bの端部との間に、塗れ制御層6が位置
し、この塗れ制御層6が開口部7a…から露出してい
る。
【0048】また、隔壁レジスト7には、各カソード配
線5r、5g、5bの他方の端部の位置に、開口部7b
…が形成されている。そして、各開口部7b…は、各カ
ソード配線5r、5g、5bの端部に一対一で対応し、
各開口部7b…から対応するカソード配線5r、5g、
5bの端部が露出している。そして、後述するように、
導電性ペースト層10r、10g、10bは、厚さ方向
に開口部7b…より厚く堆積されているため、導電性ペ
ースト層10r、10g、10bを形成した場合に、開
口部7b…において、各カソード配線5r、5g、5b
と導電性ペースト層10r、10g、10bとが短絡す
るようになっている。
【0049】そして、上記隔壁レジスト7の各開口部7
a…に、有機EL層8r、8g、8bの液状の材料を注
入することにより、有機EL層8r、8g、8bが形成
される。なお、この際には、隔壁レジスト7の開口部7
a…のアノード2が露出する部分に有機EL層8r、8
g、8bの液状の材料が注入され、注入された材料が塗
れ制御層6が露出する部分によりはじかれることによ
り、材料が塗れ制御層6を越えてカソード配線5r、5
g、5bの端部上に至るのを防止するようになってい
る。従って、開口部7a…に上述の液状の材料を注入し
ても、カソード配線5r、5g、5bの端部上には、液
状の材料が流入せず、カソード配線5r、5g、5bが
露出したままの状態となるようになっている。
【0050】なお、隔壁レジスト7の厚みL1は、上述
のように、開口部7a…に有機EL層8r、8g、8b
の液状の材料を注入して、開口部7a…に沿って有機E
L層を形成する上で、ある程度厚い必要があり、厚みL
1が、例えば、0.015mm(好ましくは、0.00
5mm以上)とされている。また、この隔壁レジスト7
の厚みにより、後述するように、隔壁レジスト7より薄
いカソード9を隔壁レジスト7上に面状に形成した場合
に、開口部7a…と隔壁レジスト7との境目の段差によ
り、カソード9が各開口部7a…の部分毎に他の部分と
断線した状態となり、カソード9が各開口部7a…毎、
すなわち、各有機EL層8r、8g、8b毎に独立した
状態となる。また開口部7a…のピッチL2は、0.1
mm程度、開口部7a…の幅L3は、0.06mm程
度、隣接する開口部7a…間の隔壁レジスト7の幅L4
は0.04mm程度に設定されてある。
【0051】そして、有機EL層8r、8g、8bを形
成するに当たっては、上述のように蒸着によりパターン
形成した状態で有機EL層8r、8g、8bを形成する
のではなく、湿式塗布により有機EL層8r、8g、8
bを形成するものとしている。そして、有機EL層8
r、8g、8b中の発光層に使用される発光材料として
は、低分子系と高分子系とがあり、湿式塗布により有機
EL層8r、8g、8bを形成する上では、例えば、発
光層の材料として高分子系材料が用いられることにな
る。
【0052】そして、上記高分子系材料としては、ポリ
カルバゾール、ポリパラフェニレン、ポリアリーレンビ
ニレン、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリシラ
ン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピリジン、ポ
リピリジンビニレン、ポリピロールが挙げられる。ま
た、高分子材料としては、上記高分子材料(ポリマー)
を形成している(コ)モノマーまたはオリゴマー或いは
それらの誘導物の重合体及び共重合体と、オキサゾール
(オキサンジアゾール、トリアゾール、ジアゾール)又
はトリフェニルアミン骨格を有する(コ)モノマーを重
合した重合体及び共重合体を挙げることができる。ま
た、これらポリマーの(コ)モノマーとしては、熱、
圧、UV、電子線などを与える事で上述の化合物を形成
しる(コ)モノマー及びプレカーサポリマーを含むもの
である。また、これらコモノマー間を結合する非共役系
ユニットを導入しても構わない。
【0053】高分子材料の具体的な商品としては、ポリ
ピニルカルバゾール:東京化成、ポリトデシルチオフェ
ン:Rieke社、ポリエチレンジオキシチオフェン、PS
S(ポリスチレンスルフォン酸)分散体変性物 cpp1
05:長瀬産業、ポリ9,9−ジアルキルフルオレン、
ポリ(チエニレン−9,9−ジアルキルフルオレン)、
ポリ(2,5−ジアルキルパラフェニレン−チエニレ
ン)、(ジアルキル:R=C1〜C20):DOWケミカル
社、PPV;ポリパラフェニレンビニレン、MEH−P
PV;ポリ(2−メトキシ−5−(2’−エチル−ヘキ
シロキシ)−パラフェニレンビニレン)、MMP−PP
V;ポリ(2−メトキシ−5−(2’−エチル−ペンチ
ロキシ)−パラフェニレンビニレン)、PDMPV;ポ
リ(2,5−ジメチル−パラフェニレンビニレン)、P
TV;ポリ(2,5−チエニレンビニレン)、PDMO
PV;ポリ(2,5−ジメトキシパラフェニレンビニレ
ン)、CN−PPV;ポリ(1,4−パラフェニレンシ
アノビニレン):CDT社などが挙げられる。
【0054】また、湿式塗布可能な発光層の材料は、高
分子系材料に限られるものではなく、低分子材料をポリ
マー分散して用いるものとしても良い。また、低分子材
料の性質によっては、低分子材料を溶媒に溶かした状態
で湿式塗布して使用するものとしても良い。そして、低
分子材料をポリマー分散する際のポリマーとしては、周
知の汎用ポリマーを含む各種ポリマーを状況に応じて使
用することができる。そして、低分子の発光材料(発光
物質またはドーパント)としては、アントラセン、ナフ
タレン、フェナントレン、ピレン、テトラセン、コロネ
ン、クリセン、フルオレセイン、ペリレン、フタロペリ
レン、ナフタロペリレン、ペリノン、フタロペリノン、
ナフタロペリノン、ジフェニルブタジエン、テトラフェ
ニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、アルダ
ジン、ビスベンゾキゾリン、ビススチリル、ピラジン、
オキシン、アミノキノリン、イミン、ジフェニルエチレ
ン、ビニルアントラセン、ジアミノカルバゾール、ピラ
ン、チオピラン、ポリメチン、メロシアニン、イミダゾ
ールキレート化オキシノイド化合物等と、これらの誘導
体が挙げられる。また、低分子の材料としては、4−ジ
シアノメチレン−4H−ピラン及び4−ジシアノメチレ
ン−4H−チオピランと、ジケトン、クロリン系化合物
とが挙げられる。
【0055】そして、低分子の発光材料となる具体的商
品としては、Alq3、キナクリドン:同仁化学研究
所、Almq3(Alキノリノール錯体の誘導体):ケ
ミプロ化成、クマリン6、DCM:アクロス社、ルモゲ
ンF:山本通商などが挙げられる。なお、発光材料は、
上述のものに限定されるものではなく、塗布により有機
EL層8r、8g、8bを形成することが可能な材料な
らば良い。
【0056】そして、上記有機EL層8r、8g、8b
としては、周知の発光色が赤となる発光材料を用いた有
機EL層8r、周知の発光色が緑となる発光材料を用い
た有機EL層8gと、周知の発光色が青となる発光材料
を用いた有機EL層8bとが三つ一組となって形成さ
れ、この一組の有機EL層8r、8g、8bが多数形成
されるとともに、各有機EL層8r、8g、8bの配置
がストライプ状とされている。
【0057】そして、有機EL層8r、8g、8bが形
成された透明基板1上に、カソード9が形成される。カ
ソード9は、各有機EL層8r、8g、8bに渡って面
状に形成される。すなわち、カソード9は、隔壁レジス
ト7の開口部7a…が形成された部分に、全ての有機E
L層8r、8g、8bを覆うように形成される。なお、
隔壁レジスト7の開口部7b…が形成された部分には、
カソード9が形成されないようになっている。そして、
カソード9は、例えば、低仕事関数の金属を蒸着により
成膜することで形成される。
【0058】そして、カソード9の厚みは、上記隔壁レ
ジスト7より薄いものとなっており、隔壁レジスト7上
(開口部7a…部分の除く)に形成されたカソード9の
部分と、隔壁レジスト7の各開口部7a…に形成された
カソード9の部分とは、その部分の断面でみると完全に
離れた状態となっている。
【0059】そして、開口部7a…内においては、塗れ
制御層6からカソード配線5r、5g、5bの端部に至
るまでの範囲には、有機EL層8r、8g、8bが形成
されず、カソード配線5r、5g、5bの端部が露出し
た状態となり、カソード9は、カソード配線5r、5
g、5bの端部上から、塗れ制御層6上、有機EL層8
r、8g、8b上にわたって連続的に堆積しているの
で、開口部7a…内のカソード配線5r、5g、5bの
端部とカソード9とが直接重なった状態となり、カソー
ド9の各開口部7a…内の部分と、各カソード配線5
r、5g、5bの端部とが一対一で対応し、対応するカ
ソード9の各開口部7a…内の部分とカソード配線5
r、5g、5bとが短絡された状態となる。すなわち、
カソード配線5r、5g、5bが、カソード9の各開口
部7a…部分から延出する取り出し線となる。
【0060】そして、上述のように隔壁レジスト7が形
成された透明基板1上には、各カソード端子4r、4
g、4bと、各発光色毎の有機EL層8r、8g、8b
に対応するカソード配線5r、5g、5bの隔壁レジス
ト7の開口部7b…から露出する部分とを短絡するよう
に、帯状の三本の導電性ペースト層10r、10g、1
0bが形成されている。
【0061】この例では、上述のように、各カソード配
線5r、5g、5bの端部(アノード2の反対側)が、
各カソード配線5r、5g、5bが対応する有機EL層
8r、8g、8bの発光色によって揃えられるように配
置されており、同じ発光色の有機EL層8r、8g、8
bに対応するカソード配線5r、5g、5bの端部(隔
壁レジスト7の開口部7b…から露出)は、有機EL層
8r、8g、8bの長さ方向に直交する一つの線上に配
置され、この延長線上に上記発光色用のカソード端子4
r、4g、4bが配置されている。
【0062】従って、上記線上に沿って帯状の導電性ペ
ースト層10r、10g、10bを形成することによ
り、同じ発光色の有機EL層8r、8g、8bに対応す
る、カソード端子4r、4g、4bとカソード配線5
r、5g、5bとを短絡することができる。従って、各
有機EL層8r、8g、8b毎に独立したカソード9を
カソード配線5r、5g、5bと、カソード端子4r、
4g、4bと、絶縁膜として機能する隔壁レジスト7
と、導電性ペースト層10r、10g、10bとによ
り、各発光色の有機EL層8r、8g、8b毎にまとめ
て外部と接続することができる。なお、上述の各有機E
L層8r、8g、8bのカソード9を各発光色毎にまと
める透明基板1上の配線は、カソード配線5r、5g、
5bからなる配線の層と導電性ペースト層10r、10
g、10bからなる配線の層とが、絶縁膜として機能す
る隔壁レジスト7を挟んで配置され多層配線となってお
り、透明基板1上にコンパクトに上述のような配線を配
置できるようになっている。
【0063】また、共通電極となるアノード2の各有機
EL層8r、8g、8baに対応する部分と、各有機E
L層8r、8g、8bと、カソード9の各有機EL層8
r、8g、8bに対応する部分とから、それぞれ各有機
EL発光領域11r、11g、11bが形成されてい
る。すなわち、各有機EL発光領域11r、11g、1
1bは、一つの有機EL層8r、8g、8bと、アノー
ド2及びカソード9の上記有機EL層8r、8g、8b
と重なる部分となり、これら有機EL発光領域11r、
11g、11bは、それぞれ、有機EL素子として機能
する。
【0064】そして、図1〜図3に示される有機EL装
置の製造方法は、透明基板1上にITOからなるアノー
ド2を形成し、次いで、例えば、蒸着等により金属膜か
らなる低抵抗配線3、カソード端子4r、4g、4b及
びカソード配線5r、5g、5bをパターン形成する。
また、透明基板1上に塗れ制御層6を形成する。次に、
隔壁レジスト7をフォトリソグラフィーによりパターン
形成する。次いで、隔壁レジスト7の開口部7a…に、
有機EL層8r、8g、8bのうち、正孔輸送層8r
h、正孔輸送層8gh、正孔輸送層8bhとなる材料を
注入して固化後、それらの上にそれぞれ電子輸送層8r
e、電子輸送層8ge、電子輸送層8beを注入し同様
に固化させて有機EL層8r、8g、8bを形成する。
次いで、カソード9を例えば、蒸着成膜する。なお、第
一例においては、隔壁レジスト7が、アノード2及び低
抵抗配線部3bとカソード9との間の有機EL層8r、
8g、8bが介在していない部分において、アノード2
及び低抵抗配線部3bとカソード9との間を絶縁する膜
として機能している。また、隔壁レジスト7を用いた場
合には、その開口部7a…に、有機EL層8r、8g、
8bの材料を毛管注入する(開口部7a…は、溝状であ
るが、溝を形成する左右の壁の間には、毛細管現象が作
用する)。
【0065】また、有機EL層8r、8g、8bの注入
に際しては、その層別に行なう。例えば、正孔輸送層、
発光層、電子輸送層の順で、材料の注入、乾燥(固化)
を繰り返し行ってもよい。また、隔壁レジスト7を形成
した後に、導電性ペースト層10r、10g、10bを
形成し、カソード端子4r、4g、4bとカソード配線
5r、5g、5bとを接続する。
【0066】また、隔壁レジスト7を使用して有機EL
層8r、8g、8bを形成する場合に、隔壁レジスト7
上に蓋となる板体を例えば取外し可能に取り付けた状態
もしくは押し付けた状態とするとともに、該板体等に注
入口及び排出口を形成しても良い。そして、隔壁レジス
ト7の開口部7a…が透明基板1と板体とにより上下の
開口を閉塞された状態となることにより、開口部7a…
を管の内部状とし、注入口から開口部7a…に有機EL
層8r、8g、8bの材料を注入するものとしても良
い。このようにすれば、完全な毛細管現象により開口部
7a…内に有機EL層8r、8g、8bの材料を容易に
注入することができる。
【0067】そして、この一例の有機EL装置によれ
ば、RGB三原色を混色させて白色の発光を行なうこと
ができる。また、この際に、各有機EL発光領域11
r、11g、11bにおいては、複数の発光材料を混在
させたり、積層させたりする必要がないので、低消費電
力で高い輝度を実現することができる。また、各有機E
L発光領域11r、11g、11b(有機EL層8r、
8g、8b)をストライプ状に形成しているので、各有
機EL発光領域11r、11g、11bをモザイク状に
配置したり、各領域を分散して配置した場合に比較して
容易かつ安価に製造することができる。そして、有機E
L素子は、透明基板1や封止部分等を除く素子本体の部
分が極めて薄く、元々薄型化が可能なものであるととも
に、ストライプ状に配置された有機EL発光領域11
r、11g、11bのピッチを狭くすれば、透明基板1
を薄くしても各発光色を混色して白色を得られるので、
有機EL装置をLCD等の非自発光表示装置のバックラ
イトとして好適に用いることができる。
【0068】また、この一例の有機EL装置において
は、アノード2として光透過率が高く、かつ、抵抗値が
高いITOを用いているので、発光面を広いものとした
場合に、電源との接続部からの距離が長くなるほど高い
抵抗値を示すので、電源との接続部から近い部分と、遠
い部分とでは、有機EL層を流れる電流量が異なり、場
所によって輝度のばらつきがでる可能性がある。しか
し、各有機EL層8r、8g、8bに沿って配置される
とともに、ほとんどの部分でアノード2と短絡する低抵
抗配線部3bを設け、該低抵抗配線部3bに外部の電源
と接続されるアノード端子3aを接続しているので、発
光面内の各有機EL層8r、8g、8bの各位置におい
ては、その位置の近傍のアノード2部分まで低抵抗配線
3側を流れた電流がアノード2を介して有機EL層8
r、8g、8bに流れることになり、発光面の位置によ
って、有機EL層8r、8g、8bに流れる電流が大き
く異なることがなく、発光面の各位置における輝度を均
質化することができる。従って、有機EL装置の発光面
の各位置における輝度をより均質化できるとともに、有
機EL装置の発光面を大型化しても、発光面内で輝度に
ばらつきが生じるのを防止することができる。
【0069】また、この一例の有機EL装置において
は、カソード9が各有機EL発光領域11r、11g、
11b毎に独立しているとともに、カソード9の各発光
色の有機EL層8r、8g、8bに対応する部分がカソ
ード配線5r、5g、5bと導電性ペースト層10r、
10g、10bによりまとめられて、各発光色毎のカソ
ード端子4r、4g、4bが形成されているので、各発
光色の有機EL発光領域11r、11g、11b毎に、
駆動電流を制御して輝度を変えられるようになってい
る。従って、第一例の有機EL装置においては、各発光
色の有機EL発光領域11r、11g、11b毎に輝度
を制御して白色度を調整できる。すなわち、RGBの輝
度バランスを変えることで、LCDパネル(例えば、カ
ラーフィルタを備えたLCD)の光の透過特性に適合し
た任意の白色度を実現することができる。また、上述の
ように各有機EL発光領域11r、11g、11b(有
機EL層8r、8g、8b)がストライプ状とされてい
るので、アノード2やカソード9をストライプ状に形成
することで、有機EL発光領域11r、11g、11b
をモザイク状に配置した場合に比較して、容易にアノー
ド2やカソード9を有機EL発光領域11r、11g、
11bをより細いピッチL2で形成することができる。
【0070】また、第一例の有機EL装置においては、
白色の発光以外に、各発光色の有機EL発光領域11
r、11g、11b毎に輝度を制御することにより、ほ
ぼ任意の色の発光を行なうことができる。また、各有機
EL発光領域11r、11g、11b毎もしくは各発光
色の有機EL発光領域11r、11g、11b毎にスイ
ッチングすることで、RGBの三色の光を順次発光させ
ることも可能であり、このような構成とした場合には、
フィールド・シーケンシャル・フルカラーLCDのバッ
クライトとして用いることができる。特に、有機EL装
置は、基本的に発光体の電気容量が極めて小さく、高速
にスイッチングする事が可能なので(例えば、有機EL
素子は100nsec以下の高速応答が可能なので)、
高速に発光色を変更する必要があるフィールド・シーケ
ンシャル・フルカラーLCDのバックライトとして好適
に用いることができる。
【0071】なお、この一例においては、例えば、図1
に示すように、各発光色の有機EL発光領域11r、1
1g、11b(有機EL層8r、8g、8b)の幅をほ
ぼ同じものとして、各発光色の有機EL発光領域11
r、11g、11bの面積をほぼ同じものとしたが、各
発光色の有機EL発光領域11r、11g、11bは、
使用される発光材料により、同じ電流または電圧で駆動
されてもその輝度が異なるので、各有機EL発光領域1
1r、11g、11bの発光材料に基づく輝度に対応し
て、各有機EL発光領域11r、11g、11b毎に幅
を変えてその面積を異なるものとしても良い。
【0072】すなわち、一般的に、緑色に発光する発光
材料を用いた有機EL素子は輝度が高く、赤色に発光す
る発光材料を用いた有機EL素子は輝度が低いので、緑
色に発光する有機EL発光領域11g(有機EL層8
g)の幅を赤色に発光する有機EL発光領域11r(有
機EL層8r)の幅より狭くし、ほぼ同じ長さの各発光
色の有機EL発光領域11r、11g、11bの面積を
それらの幅に対応したものとすれば、製造段階におい
て、各有機EL発光領域11r、11g、11bの輝度
を調整することができる。
【0073】また、このような構成とした場合には、各
有機EL発光領域11r、11g、11b毎もしくは各
発光色の有機EL発光領域11r、11g、11b毎
に、使用時に個別に輝度を決められるように、アノード
2もしくはカソード9の少なくともいずれか一方が独立
した構成となっている必要はなく、発光面積等で、各有
機EL発光領域11r、11g、11bの輝度バランス
及び色バランスを調整できるので、例えば、アノード2
とカソード9との両方を各有機EL発光領域11r、1
1g、11bで共通な共通電極として等電圧であって
も、予め設定された望む色度に発光させることができ
る。
【0074】また、透明基板1上で各有機EL発光領域
11r、11g、11bに対応するカソード9の各部分
が上述の多層配線により、各発光色毎の有機EL発光領
域11r、11g、11bに対応するカソード9部分毎
にまとめられて、三つの発光色毎に形成された三つのカ
ソード端子4r、4g、4bに接続されることになるの
で、透明基板1の外側で、各発光色毎にカソード9の各
部分を接続する配線を必要とせず、有機EL装置の構成
を簡略化できる。また、上記多層配線を構成するカソー
ド端子4r、4g、4b及びカソード配線5r、5g、
5bは、低抵抗配線3を形成する際に同時に形成するこ
とができる。また、隔壁レジスト7は、元々有機EL層
8r、8g、8bを形成するための機能と、アノード2
及び低抵抗配線3とカソード9との絶縁膜としての機能
と、カソード9を各有機EL発光領域11r、11g、
11b毎に独立させる機能とを有するものであるが、隔
壁レジスト7の形成パターンを変えるだけ(広くして開
口部7b…を形成するだけ)で、さらに、カソード配線
5r、5g、5bと導電性ペースト層10r、10g、
10bとの絶縁膜としての機能を追加することができ
る。従って、導電性ペースト層10r、10g、10b
の形成以外は、特に工程を増やすことなく、透明基板1
上に上述の多層配線を形成することができるので、低コ
ストに有機EL装置の構成の簡略化を図ることができ
る。
【0075】なお、上記例の有機EL装置においては、
透明基板1上に上述の多層配線を設けずに、各有機EL
発光領域11r、11g、11b毎にカソード端子を設
けるものとしても良いし、この際に各有機EL発光領域
11r、11g、11b毎に輝度の調整をできるように
しても良い。また、アノード2を各有機EL発光領域1
1r、11g、11b毎に独立した電極とし、カソード
9の各有機EL発光領域11r、11g、11bに対応
する部分を短絡して、カソード9を各有機EL発光領域
11r、11g、11bの共通電極としても良い。
【0076】しかし、この場合に、アノード2を例え
ば、各有機EL層8r、8g、8bに対応するストライ
プ状とした場合に、低抵抗配線3の低抵抗配線部3bを
配置する部分が狭くなるので、アノード2を共通電極と
することが好ましい。また、上記塗れ制御層6を設ける
代わりに、図4に示すように、隔壁レジスト7におい
て、有機EL発光領域11r、11g、11bとなる開
口部7a…とカソード配線5r、5g、5bの端部が露
出される開口部7d…との間に、これら開口部7a…、
7d…の幅より狭い開口部7c…を介在させ、注入され
た液状の有機EL層8r、8g、8bの材料が開口部7
c…を越えて開口部7d…に到達させず、且つ開口部7
a…、7c…、7d…に堆積されるカソード9が連続し
て形成され、カソード配線5r、5g、5bと電気的に
接続されるような構造となっている。このようなボトル
ネック構造にすれば、開口部7a…内のアノード2が露
出する部分に有機EL層8r、8g、8bの材料を注入
した際に、ボトルネックとなる挟幅な開口部7c…から
先に材料が流入しづらい状態となり、上記塗れ制御層6
を設けなくとも、塗れ制御層6を設けたのと同様の作用
効果を得ることができる。
【0077】また、上記隔壁レジスト7の各開口部7a
…に有機EL層8r、8g、8bの液状の材料を注入す
る際には、例えば、汎用の高精度ディスペンサーを用い
ることができるが、この際に開口部7a…のディスペン
サのニードルを配置する位置に、予め、開口部7a…の
他の部分より幅が広い拡幅部を設けるものとしても良
い。このようにすれば、開口部7a…のピッチが狭いも
のとしても、ディスペンサのニードルの位置合わせを容
易にできるとともに、開口部7a…のニードルにより液
状の材料が注入される部分に拡幅部を設けて、その部分
の容量を大きくしておけば、漏れ防止を図ることができ
る。
【0078】また、有機EL層8r、8g、8bの種類
は、RGBの三つの発光色用の三種類に限定されるもの
ではない。例えば、有機EL素子は、含まれる発光材料
により特定の色に発光することになるが、この際の発光
の光りの波長は、ある程度の波長幅を有するものとなっ
ている。そして、周知の発光材料の中には、有機EL素
子に用いた場合に、発光の波長幅が赤付近の波長から緑
付近の波長に渡り、オレンジ色に発光するものや、発光
の波長幅が緑付近の波長から青付近の波長に渡り青緑に
発光するものなどが知られている。このようなオレンジ
色に発光する有機EL発光領域と、青緑に発光する有機
EL発光領域とを、例えば、ストライプ状に交互に配置
した場合には、各有機EL発光領域の輝度を調整するこ
とにより、オレンジ色と青緑を混色させて白色の発光を
得ることが可能である。すなわち、有機EL発光素子に
は、発光の波長幅が広いものがあり、これらを二つ組み
合わせるだけで、可視光の波長領域の多くを占める発
光、すなわち、ほぼ白に視認できる発光を行なうことが
可能であり、必ずしも、赤、緑、青の三原色にそれぞれ
光る三種類の有機EL発光領域を配置する必要はない。
【0079】また、有機EL層8r、8g、8bの形成
方法は、上述の隔壁レジスト7を用いたものに限られる
ものではなく、例えば、インクジェット方式でストライ
プ状に有機EL層8r、8g、8bを形成するものとし
ても良い。また、有機EL層8r、8g、8bを印刷や
蒸着によりパターニングして形成するものとしても良い
し、その他のパターニング方法を採用するものとしても
良い。なお、通常の蛍光管を使用したバックライトより
薄い程度ではなく、さらなる薄型化を図るうえでは、蒸
着や印刷よりも上述の隔壁レジスト7を用いた上述の方
法の方が有利である。
【0080】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の有機EL装置に
よれば、異なる色に発光する二種以上の有機EL層を透
明基板上にストライプ状に配置しているので、各有機E
L層は、ほぼ線状(帯状)となる。そして上記有機EL
層間の透明電極上に低抵抗配線が形成されているため、
アノード電極全体としてシート抵抗が下がり均一な輝度
の面発光を得ることができる。また有機EL層がストラ
イプ状に配置されていることにより、有機EL層同士の
間に間隙があり、この発光領域以外である間隙に低抵抗
配線が形成されているため、有機EL層の発光波長域に
対し不透明であっても高輝度で発光することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の有機EL層を説明
するための一部を透過した図面である。
【図2】本発明の実施の形態の一例の有機EL層を説明
するための一部を削除するとともに他の一部を透過した
図面である。
【図3】図1のA−A’線に沿った断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の一例の変形例の有機EL
層を説明するための一部を削除するとともに他の一部を
透過した図面である。
【符号の説明】
1 透明基板 2 アノード(透明電極) 3 低抵抗配線 3b 低抵抗配線部 7 隔壁レジスト(絶縁膜) 8r 有機EL層 8g 有機EL層 8b 有機EL層 9 カソード(背面電極)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれ異なる色に発光する二種以上の
    有機EL層を透明基板上にストライプ状に配置した有機
    EL装置であって、 上記透明基板上に形成された透明電極と、該透明電極上
    に複数のストライプ状の開口部を有する絶縁膜と、該絶
    縁膜の開口部内にそれぞれ形成されたストライプ状の有
    機EL層と、該有機EL層上に形成された背面電極と、
    上記有機EL層間の透明電極上に上記絶縁膜に覆われた
    上記透明電極より低抵抗な低抵抗配線を備えていること
    を特徴とする有機EL装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の有機EL装置において、 上記透明電極上に上記低抵抗配線と上記有機EL層とが
    互いに離間して形成されていることを特徴とする有機E
    L装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の有機EL装置に
    おいて、 上記絶縁膜のストライプ状の開口部に液状の有機EL層
    の材料を注入することにより、上記有機EL層が形成さ
    れていることを特徴とする有機EL装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一つに記載の有
    機EL装置において、 上記透明電極もしくは背面電極のうちの少なくとも一方
    の電極が各有機EL層毎に独立した状態で形成され、か
    つ、透明基板上に、各有機EL層毎に独立した一方の電
    極を各発光色の有機EL層毎にまとめる配線の少なくと
    も一部が上記低抵抗配線と同じ材料により形成されてい
    ることを特徴とする有機EL装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一つに記載の有
    機EL装置において、 上記透明電極を各有機EL層に連続して面状に形成され
    る共通電極とし、上記背面電極を各有機EL層毎に独立
    した電極とすることを特徴とする有機EL装置。
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