JP4524728B2 - ターボ過給機付き筒内噴射式エンジンの排気浄化装置 - Google Patents

ターボ過給機付き筒内噴射式エンジンの排気浄化装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4524728B2
JP4524728B2 JP2001172498A JP2001172498A JP4524728B2 JP 4524728 B2 JP4524728 B2 JP 4524728B2 JP 2001172498 A JP2001172498 A JP 2001172498A JP 2001172498 A JP2001172498 A JP 2001172498A JP 4524728 B2 JP4524728 B2 JP 4524728B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
injection
sulfur
engine
trap catalyst
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001172498A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002364410A (ja
Inventor
淳一 田賀
幹公 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2001172498A priority Critical patent/JP4524728B2/ja
Publication of JP2002364410A publication Critical patent/JP2002364410A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4524728B2 publication Critical patent/JP4524728B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Landscapes

  • Supercharger (AREA)
  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気通路におけるターボ過給機下流に排気ガス中のNOxをトラップするトラップ触媒を備えたターボ過給機付き筒内噴射式エンジンの排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平9−317447号公報には、空燃比をリッチ化してNOxトラップ触媒に付着したSOxを放出させる際に、排気温度に応じたSOx透過率を用いて当該触媒に付着したSOx量を推定し、この推定された通過するSOx量を内燃機関の運転状態から推定したSOx量から差し引く構成が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術に対して、ターボ過給機を備える筒内噴射式エンジンに上記従来のNOxトラップ触媒を搭載して排気浄化するシステムを考えた場合、空燃比をリーンからリッチに切り替えてNOxトラップ触媒に付着したSOxを放出する際にリッチな排気ガスとリーンな排気ガスとがターボチャージャで撹拌されて燃料の未燃成分が再燃焼するため、排気ガス温度は上昇できるが放出したSOxの還元剤となるHCが減少し、SOxの浄化効果が低減してしまうという問題がある。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、ターボ過給機の撹拌による硫黄還元剤の減少を考慮して硫黄放出時に触媒高温化下で硫黄還元剤を供給し、硫黄成分の浄化効果の低下を抑えるターボ過給機付き筒内噴射式エンジンの排気浄化装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係るターボ過給機付き筒内噴射式エンジンの排気浄化装置は、排気通路におけるターボ過給機下流に排気ガス中のNOxをトラップするトラップ触媒を備えるターボ過給機付き筒内噴射式エンジンの排気浄化装置において、前記トラップ触媒の昇温要求時において、燃料をエンジンの吸気行程から点火時期までの前段噴射と当該点火時期以降の膨張行程の後段噴射とに分割して噴射する第1分割噴射制御を実行する噴射制御手段と、前記トラップ触媒に吸着した排気ガス中の硫黄成分量を推定する推定手段とを備え、前記噴射制御手段は、前記推定された硫黄成分量が閾値に達していると判定され、前記トラップ触媒が活性化する温度以下の時、前記噴射制御手段は、前記前段噴射と前記後段噴射の燃料割合を略等しくすると共に、前記推定された硫黄成分量が閾値に達していると判定され、前記トラップ触媒が活性化する温度よりも高い時、前記前段噴射の燃料割合を前記後段噴射の燃料割合に対して大きくして、前記第1分割噴射を実行する。
【0007】
また、好ましくは、前記排気通路におけるトラップ触媒の上流に排気ガス中のHC,CO,NOxを浄化する三元触媒が配設されており、前記トラップ触媒の昇温要求時において、当該トラップ触媒を通過する排気ガスの空燃比を理論空燃比よりリッチに設定する空燃比設定手段を更に備える。
【0008】
また、好ましくは、前記噴射制御手段は、エンジンの点火時期以前において前段噴射と後段噴射とに分割して燃料を噴射する第2分割噴射制御を実行し、前記推定された硫黄成分量が閾値に達していると判定されたときに、前記トラップ触媒が活性化する温度以下ならば前記第1分割噴射制御を実行すると共に、前記トラップ触媒が活性化する温度以上ならば前記第2分割噴射制御を実行する。
【0009】
また、好ましくは、前記トラップ触媒の温度は、エンジンの運転状態から間接的に又はセンサから直接的に検出される。
【0010】
また、好ましくは、前記噴射制御手段は、エンジンの吸気行程から点火時期までの前段噴射と当該点火時期以降の膨張行程の後段噴射とに分割して燃料を噴射する前記第1分割噴射制御を実行する一方、エンジンの点火時期以前において前段噴射と後段噴射とに分割して燃料を噴射する第2分割噴射制御を実行し、前記推定された硫黄成分量が閾値に達していると判定され、前記トラップ触媒が活性化する温度よりも高い時、エンジンの運転状態に応じて前記第1又は第2分割噴射制御を切り換えて実行する
【0011】
また、好ましくは、前記噴射制御手段は、車速が所定車速以上ならば前記第1分割噴射制御を実行すると共に、前記所定車速以下ならば前記第2分割噴射制御を実行する。
【0012】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、トラップ触媒の昇温要求時において、燃料をエンジンの吸気行程から点火時期までの前段噴射と当該点火時期以降の膨張行程の後段噴射とに分割して噴射する第1分割噴射制御を実行すると共に、トラップ触媒に吸着した排気ガス中の硫黄成分量を推定し、推定された硫黄成分量が閾値に達していると判定され、トラップ触媒が活性化する温度以下の時、前段噴射と後段噴射の燃料割合を略等しくすることにより、硫黄放出時に触媒を高温化して硫黄還元剤を供給し、硫黄成分の浄化効果の低下を抑えることができる。また、推定された硫黄成分量が閾値に達していると判定され、トラップ触媒が活性化する温度よりも高い時、前段噴射の燃料割合を後段噴射の燃料割合に対して大きくして、第1分割噴射を実行することにより、前段噴射の燃料割合によって決まる排気ガス中の酸素濃度が低下するため、その後後段噴射を行ってもターボ過給機での撹拌作用が抑制され、硫黄還元剤が減少するのを抑制でき、硫黄成分の浄化効果の低下を抑えることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、トラップ触媒の昇温要求時とは当該触媒が活性化する温度以下の時であり、前段噴射と後段噴射の燃料割合を略等しくすることにより、硫黄放出時に触媒を高温化して硫黄還元剤を供給し、硫黄成分の浄化効果の低下を抑えることができる。
【0014】
請求項の発明によれば、排気通路におけるトラップ触媒の上流に排気ガス中のHC,CO,NOxを浄化する三元触媒が配設されており、トラップ触媒の昇温要求時において、当該トラップ触媒を通過する排気ガスの空燃比を理論空燃比よりリッチに設定することにより、放出されたNOxを効果的に浄化できる。
【0015】
請求項の発明によれば、エンジンの点火時期以前において前段噴射と後段噴射とに分割して燃料を噴射する第2分割噴射制御を実行し、推定された硫黄成分量が閾値に達していると判定されたときに、トラップ触媒が活性化する温度以下ならば第1分割噴射制御を実行すると共に、トラップ触媒が活性化する温度以上ならば第2分割噴射制御を実行することにより、硫黄放出時に早急に触媒を高温化しつつ、硫黄成分の還元剤を供給して硫黄成分の浄化効果の低下を抑えることができる。
【0016】
請求項の発明によれば、トラップ触媒の温度は、エンジンの運転状態から間接的に又はセンサから直接的に検出されることにより、車両仕様に応じたシステムを構成できる。
【0017】
請求項の発明によれば、トラップ触媒の昇温要求時において、エンジンの吸気行程から点火時期までの前段噴射と当該点火時期以降の膨張行程の後段噴射とに分割して燃料を噴射する第1分割噴射制御を実行する一方、エンジンの点火時期以前において前段噴射と後段噴射とに分割して燃料を噴射する第2分割噴射制御を実行すると共に、トラップ触媒に吸着した排気ガス中の硫黄成分量を推定し、推定された硫黄成分量が閾値に達していると判定され、トラップ触媒が活性化する温度よりも高い時、エンジンの運転状態に応じて第1又は第2分割噴射制御を切り換えて実行することにより、第1分割噴射制御ではターボ過給機の撹拌による硫黄還元剤の減少を考慮して硫黄放出時に触媒高温化下で硫黄還元剤を供給し、硫黄成分の浄化効果の低下を抑え、第2分割噴射制御では噴射増量しないので燃費を向上させることができる。
【0018】
請求項の発明によれば、車速が所定車速以上ならば前記第1分割噴射制御を実行すると共に、所定車速以下ならば前記第2分割噴射制御を実行することにより、高車速時にはターボ過給機の撹拌による硫黄還元剤の減少を考慮して硫黄放出時に触媒高温化下で硫黄還元剤を供給し、硫黄成分の浄化効果の低下を抑え、低車速時には噴射増量しないので燃費を向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る実施形態のターボ過給機付きエンジンの排気浄化装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したもの、例えば、筒内噴射式エンジンだけでなくポート噴射エンジンや、ガソリン、ディーゼル、その他の排気ガスの浄化が必要な内燃機関に適用可能である。
[全体構成]
図1に示すように、本実施形態のターボ過給機付きエンジンは火花点火式の筒内噴射式エンジン1(以下、「エンジン1」という。)であり、吸気弁2が開かれたときに、吸気通路3から燃焼室4内に燃料燃焼用のエアを吸入するようになっている。そして、この燃焼室4内のエア中に、所定のタイミングで燃料噴射弁5(燃料噴射装置)から燃料(ガソリン)が直接噴射され、混合気が形成される。
【0021】
この混合気は、ピストン6によって圧縮され、所定のタイミングで点火プラグ7(火花点火装置)により点火されて燃焼する。燃焼ガスすなわち排気ガスは、排気弁8が開かれたときに排気通路9に排出される。
【0022】
燃料噴射弁5には、燃料供給通路10を介して、高圧燃料ポンプ11によって燃料が供給される。このように、高圧燃料ポンプ11が用いられているので、燃焼室4内が高圧となる圧縮行程後半でも支障なく燃料噴射を行うことができる。燃料噴射弁5はスワール型インジェクタであって、燃料噴射孔が燃焼室4に直接臨むように配置されている。また、燃料噴射弁5は、ピストン6が上死点位置近傍に位置するときに、該ピストン6の頂部に形成されたキャビティ6a内に向けて燃料を噴射できるように配置されている。これにより、圧縮行程後半において燃料噴射弁5から噴射された燃料が、キャビティ6aによってはね返され、点火プラグ7まわりに層状化(成層化)される。このように、燃料ないしは混合気が層状化されてその着火性が高められるので、空燃比を大幅にリーンにすることができ、燃費性能が高められる。
【0023】
吸気通路3には、エア(吸気)の流れ方向にみて、上流側から順に、エアを絞るエレキスロットルバルブ12と、エアの流れを安定させるサージタンク21と、スワールを生成するために燃焼室4へのエアの流入方向を調整するガス流動御弁13とが設けられている。ここで、エレキスロットルバルブ12は、コントロールユニット20(ECU)から出力される制御信号に応じて作動する電気式アクチュエータ12aによって駆動され、燃焼室4に流入するエア量を調節するようになっている。なお、図示していないが、エレキスロットルバルブ12より上流側において、吸気通路3には、上流側から順に、エア中のダスト等を除去するエアクリーナ(図示せず)と、エア流量を検出するエアフローセンサと、後で説明するターボ式過給機15のブロワ(ポンプ)と、ブロワにより加圧されて高温となったエアを冷却するインタクーラとが設けられている。
【0024】
排気通路9には、排気流れ方向に沿って上流側から順に、排気ガス中の酸素濃度ひいては空燃比を検出するリニアO2センサ14(λ=1近傍で出力が逆転する普通のλO2センサでもよい)と、ターボ過給機15のタービン15aと、上流触媒コンバータ16と、下流触媒コンバータ17とが設けられている。
【0025】
詳しくは図示していないが、上流触媒コンバータ16は2ベッドタイプのものであって、その上流側のベッドにはNOx、HC、CO等を浄化する三元触媒が装填され、下流側のベッドには主としてNOxを浄化するNOx浄化触媒が装填されている。なお、上流触媒コンバータ16を1ベッドタイプとして、三元触媒のみを装填するようにしてもよい。
【0026】
また、下流触媒コンバータ17は1ベッドタイプのものであって、空燃比がリーンで排気ガス中のNOxをトラップし、空燃比がリッチになった時にNOxを放出しつつ排気ガス中のHCと反応してH2、N2、CO2に還元されることによりNOxを浄化するNOxトラップ触媒が装填されている。なお、いずれの触媒も、その温度が活性化温度以上になると十分な浄化力を発揮するが、その温度が活性化温度より低いと、十分な浄化力は得られない。
【0027】
また、上流及び下流触媒コンバータ16,17には各触媒温度を直接的に検出する触媒温度センサ16a,17aが配設されている。尚、両触媒16,17の温度はエンジン回転数、エンジン水温、始動後の経過時間、排気ガス温度、空燃比などの運転状態から間接的に推定することもできる。
【0028】
また、排気通路9には、両触媒16,17に流入する直前の排気ガスの温度を検出する排気温センサ27が配設されている。
【0029】
更に、エンジン1には、排気通路9内の排気ガスの一部を吸気通路3に還流させるEGR通路18が設けられ、このEGR通路18に、EGRガス流量を制御するEGR弁19が介設されている。なお、吸気弁2は、可変バルブタイミング機構22により、その開弁期間及び開閉タイミングを変えることができる。
【0030】
コントロールユニット20は、エンジン1の総合的な制御装置であって、各種制御情報に基づいて種々のエンジン制御を行うようになっている。具体的には、コントロールユニット20には、吸入空気量、スロットル開度、クランク角、エンジン回転数、エンジン水温(エンジン温度)、空燃比等の各種制御情報が入力される。そして、コントロールユニット20は、これらの制御情報に基づいて、燃料噴射弁5の燃料噴射量制御(空燃比制御)及び噴射タイミング制御、点火プラグ7の点火時期の制御(点火時期制御)、エレキスロットルバルブ12の開度の制御、EGR弁19の開度の制御、ガス流動制御弁13の開度の制御、吸気弁2の開弁期間及び開閉タイミングの制御等を行う。
【0031】
しかしながら、コントロールユニット20によるエンジン1の通常の制御は一般に知られており、またかかる通常の制御は本願発明の要旨とするところでもないのでその説明を省略し、以下では本願発明の要旨である排気ガス浄化制御にかかわるNOx放出制御及びNOxトラップ触媒に付着したSOx(硫黄成分)を放出する硫黄被毒回復制御について説明する。
[排気ガス浄化制御]
先ず、NOx浄化制御についてを概説する。図2は、このエンジン1の目標空燃比マップである。同図に示すように、このマップにおいては、エンジン回転数とエンジン負荷とをパラメータとするエンジンの運転領域が、低中回転低中負荷の第1の領域Aと、高回転高負荷の第2の領域Bと、これらの領域A,Bの間に設けられた第3の領域Cと、所定エンジン回転数以上の低負荷領域に設けられ、燃焼室4内への燃料の噴射が停止される燃料カット領域Dとに分割されている。
【0032】
最も運転頻度の高い第1の領域Aは、空燃比(A/F)を大きくするリーン運転領域である。このリーン運転領域Aにおけるリーン運転時は、燃料を圧縮行程中に噴射し(後段噴射)、燃料を点火プラグ5の近傍に偏在させて成層燃焼させる。このリーン運転時は、排気ガス中のCOやHCの排出量が少なくなる一方、酸素濃度及びNOx濃度が高くなる。しかし、NOxはNOxトラップ触媒17に吸収されるから、燃費性能と排気性能とが共に向上することになる。
【0033】
また、高速運転時や加速時等の運転領域である第2の領域Bは、空燃比を小さくするリッチ運転領域である。このリッチ運転領域Bにおけるリッチ運転時は、燃料を吸気行程中に噴射し(前段噴射)、燃料を燃焼室4内で充分に気化霧化させる。このリッチ運転時は、排気ガス中のCOやHCの排出量が多くなる一方、酸素濃度及びNOx濃度が低くなる。しかし、NOxトラップ触媒17にトラップされていたNOxと、CO,HCとが酸化還元反応するから、良好なトルクが得られると共に排気性能が向上することになる。
【0034】
さらに、第3の領域Cは、空燃比を理論空燃比(A/F=14.7)にする理論空燃比運転領域(λ1運転領域)である。この理論空燃比運転領域Cにおける理論空燃比運転時は、上記リッチ運転時と同様、燃料を吸気行程中に噴射し(前記噴射)、燃料を燃焼室4内で充分に気化霧化させる。この理論空燃比運転時は、排気ガス中のCO,HC,NOxが三元触媒16によって同時に浄化される。
【0035】
図3のタイムチャートに示すように、リーン運転が継続するに伴い、NOxトラップ触媒17にトラップされるNOx量が増加していく。これをそのまま放置すると、そのうち飽和状態となり、NOxトラップ触媒17の触媒機能が低下するから、トラップしたNOxを放出するために、図中符号アで示す所定の周期で、符号イで示す所定時間だけ、空燃比を理論空燃比(λ=1)とする。明らかに、上記所定周期アは、NOxトラップ触媒17がNOx飽和状態になるより短い周期に設定されている。これにより、NOxトラップ触媒17のNOxトラップ能力が回復し、再びNOxを安定的にトラップできるようになる。
【0036】
NOxトラップ触媒17にトラップされたNOxは、このように定期的且つ意図的に放出処理されるほか、運転者の運転操作に応じて、例えば、図中符号ウで示すように運転領域がリーン運転領域Aからリッチ運転領域Bに切り換わったときや、理論空燃比運転領域Cに切り換わったときにも、当該触媒17から放出され、NOxトラップ触媒17のNOxトラップ能力が回復することになる。
【0037】
ところで、図2のマップのように制御されるエンジン1は、タービン15aで排気ガス温度が低下する(定常運転で約100℃)ため、NOxトラップ触媒17に対して硫黄被毒回復制御を実行するためには触媒温度を650℃程度まで昇温させる必要がある。
【0038】
そして、圧縮行程で燃料を噴射する成層運転を行いながら、膨張行程で燃料を追加噴射することで触媒温度(排気ガス温度)を650℃程度まで昇温させることができる。
【0039】
しかしながら、膨張行程で追加噴射された未燃燃料と排気ガス中の酸素とがタービン15aで撹拌されて(撹拌効果)、未燃燃料が排気通路9内で再燃焼して放出された硫黄の還元剤となる排気ガス中のHCが減少してしまい、硫黄成分の浄化が十分にできないという弊害がある。
【0040】
そこで、上記弊害に対する対策として、本実施形態では硫黄被毒回復制御時に、圧縮行程での燃料と膨張行程での燃料とを略同一にして噴射し、且つ理論空燃比(λ=1)で運転することでNOxトラップ触媒17を早期に650℃程度まで昇温させる一方、当該触媒17が所望温度に達したら圧縮行程での燃料割合を膨張行程での燃料に比べて増加して噴射しつつ、空燃比をリッチ(λ<1)にして運転することで排気ガス中の酸素濃度を低下させて撹拌効果を抑え、硫黄の還元に必要なHCを供給できるようにしている。
[硫黄被毒回復制御]
図4は、本実施形態の硫黄被毒回復制御について説明するフローチャートである。図5は、図4の硫黄被毒回復制御において実行される燃料噴射制御を示すタイムチャートである。
【0041】
図4及び図5に示すように、ステップS1,S3では、硫黄被毒時間Ts及びリーン継続時間Tlnを計測する。ステップS5では、空燃比がリーンな成層燃焼領域において、前回の硫黄放出終了時点から現在までにNOxトラップ触媒17に付着した硫黄付着量Saを推定する。
【0042】
次のステップS7では、上記硫黄付着量SaがNOxトラップ触媒17のNOxトラップ特性から決まる許容付着量S0を超えたか否か判定し、許容付着量S0を下回るならば(ステップS3でNO)、上記ステップS1にリターンして上記処理を繰返し実行する。
【0043】
一方、ステップS7で許容付着量S0に達したならば(ステップS7でYES)、ステップS9に進み、圧縮行程と膨張行程で略同一の燃料を噴射し、且つ理論空燃比(λ=1)で運転する。
【0044】
ステップS11では、NOxトラップ触媒温度としての排気ガス温度Tmpが硫黄を放出し浄化可能な目標温度T0(650℃程度)まで昇温したか判定し、目標温度T0に達したならば(ステップS11でYES)、ステップS13に進む。
【0045】
ステップS13では、現在の運転状態を判定するにあたり、車速Vが所定車速V0より高いか判定し、車速Vが所定車速V0よりも高くエンジンが高負荷運転状態ならば(ステップS13でYES)、ステップS15に進み、圧縮行程での前段噴射量を膨張行程での後段噴射量に比べて増加して噴射しつつ、空燃比をリッチ(λ<1)にして運転する。
【0046】
また、ステップS13で車速Vが所定車速V0よりも低くエンジンが低負荷運転状態ならば(ステップS13でNO)、ステップS17に進み、吸気行程での前段噴射量と圧縮行程での後段噴射量とを略同じ量で噴射し、或いは圧縮行程において前段噴射と後段噴射に分割して燃料を噴射しつつ、空燃比をリッチ(λ<1)にして運転する。これにより、噴射増量しないので燃費を向上させることができる。
【0047】
次のステップS19では、硫黄残存量Srを推定し、ステップS17で硫黄残存量Srが零になるまで硫黄残存量Srの演算を継続する。
【0048】
ステップS21で硫黄残存量Srが零になったならば(ステップS21でYES)、ステップS23で空燃比をリーン化して硫黄被毒回復制御を終了し、通常のエンジン制御に移行させる。
[硫黄付着量Saの演算]
上記ステップS5における硫黄付着量Saの推定は、具体的には、図6に示すフローチャートに従って行われ、ステップS41で、図1に示す各センサからのデータを読み込んだうえで、前回硫黄付着量Saを推定してから今回硫黄付着量Saを推定するまでの間にインジェクタ5から噴射された燃料(燃料供給量)Tpを算出する。
【0049】
次に、ステップS42で、上記燃料供給量Tpに基づいて、前回硫黄付着量Saを推定してから今回硫黄付着量Saを推定するまでの間に増加した硫黄付着量(すなわち、単位時間当たりにNOxトラップ触媒17に付着した硫黄付着瞬時量)の基本値Svを設定する。ここで、この基本硫黄増加量Svは、図7に示すように、硫黄の発生源である燃料の上記供給量Tpに略比例する。
【0050】
次に、ステップS43〜S45で、上記基本硫黄増加量Svに対する補正係数K1,K2,K3をそれぞれ設定する。すなわち、ステップS43では排気温センサ27で検出された排気ガス温度Tmpに基づいて第1補正係数K1を、ステップS44では上記ステップS3で計測されたリーン運転継続時間Tlnに基づいて第2補正係数K2を、そして、ステップS45では硫黄付着量の前回値(既硫黄付着量)Sa[i−1]に基づいて第3補正係数K3を設定する。
【0051】
ここで、第1補正係数K1は、図8に示すように、所定の排気ガス温度Tmp’をピークにそれより高くなってもまた低くなっても小さい値に設定される。また、第2補正係数K2は、図9に示すように、所定のリーン運転継続時間Tln’をピークにそれより長くなってもまた短くなっても小さい値に設定される。また、第3補正係数K3は、図10に示すように、所定の既硫黄被毒量Sa'より多くなったときに小さい値に設定される。
【0052】
特に第2補正係数K2が上記のような特性であるのは、およそ次のような理由による。すなわち、リーン運転時間Tlnが長いときは、図11に模式的に示すように、NOx触媒装置17に用いられているNOx吸収材の主成分であるバリウム(Ba)にすでに多量のNOxや硫黄(S)が付着している。そのため、新規に硫黄がバリウムに付着し難くなり、単位時間あたりの硫黄付着量が減少する。
【0053】
また、リーン運転時間Tlnが短いときには、図12に模式的に示すように、硫黄とバリウムとの接触時間が短くなるため、これらの硫黄とバリウムとの間に強固な結合が生成し難くなり、次に理論空燃比運転やリッチ運転に切り換わったときに、硫黄がNOx同様、放出され易くなり、やはり単位時間あたりの硫黄付着量が減少する。
【0054】
つまり、時間の経過とともに累積の硫黄付着量Saは増加するにしても、例えば、同じ5分間のリーン運転であっても、1分間のリーン運転を5回行ったときに比べて、5分間のリーン運転(図9に示す所定のリーン運転継続時間Tln’に相当する)を1回行ったときの方が、硫黄付着量の累積総量が多くなるのである。また、例えば、同じ20分間のリーン運転であっても、20分間のリーン運転を1回行ったときに比べて、5分間のリーン運転(同じく、図9に示す所定のリーン運転継続時間Tln’に相当する)を4回行ったときの方が、同じく硫黄付着量の累積総量が多くなるのである。
【0055】
したがって、連続リーン運転時間を上記所定時間Tln’を避けて、それより短くするか、あるいは長くすることが、硫黄成分をNOx吸収材に付着させ難くする観点から有利となり、前述のNOx浄化制御においてNOx放出のために定期的に空燃比を理論空燃比とする周期(ア)は、例えば、上記所定時間Tln’より短く設定されている。
【0056】
そして、このような特性を有する第2補正係数K2で、基本硫黄増加量Svを補正することにより、一層精度の高い硫黄付着量Saの推定が行える。
【0057】
次に、ステップS46で、下記式に従って、上記基本硫黄増加量Svに第1〜第3補正係数K1,K2,K3を乗算することにより、補正硫黄増加量Sv’を算出する。
【0058】
Sv’=Sv×K1×K2×K3
そして、ステップS47で、下記式に従って、上記補正硫黄増加量Sv’を前回推定した既硫黄付着量Sa[i−1]に加算することにより、今回の硫黄付着量Saを算出する。
【0059】
Sa=Sa[i−1]+Sv’
なお、硫黄被毒、すなわちNOx吸収材への硫黄成分の付着は、排気ガスが先に流入するNOxトラップ触媒17の上流部分から優先して始まる。つまり、触媒装置17は一様には硫黄成分が付着せず、硫黄成分は排気ガスの通過経路に沿って偏って付着する。それゆえ、硫黄付着量Saを推定するにあたり、触媒装置17を排気ガスの通過経路に沿って一般にn個のブロックに分割して考え、各ブロック毎に硫黄付着量Sa[j](j=1〜分割数n)を推定して、その総和(Sa[1]+…+Sa[n])を触媒17全体の硫黄付着量Saとすることができる。明らかに、上流側ブロックの硫黄付着量Sa[j]は、下流側ブロックのそれに比べて多く推定されることになる。
【0060】
あるいは、各ブロック毎に推定した硫黄付着量Sa[j]の平均値((Sa[1]+…+Sa[n])/n)を触媒17の硫黄付着量Saを代表する値として取り扱うようにすることもできる。
[硫黄残存量Srの演算]
上記ステップS15における硫黄残存量Srの推定は、図14に示すフローチャートに従って行われ、先ず、ステップS71で、排気ガス温度Tmpが650℃以上であるか否かを判定し、その結果、排気ガス温度Tmpが650℃未満のときは、ステップS72で硫黄被毒回復処理時間Trをリセットし、650℃以上のときは、ステップS73で硫黄被毒回復処理時間Trを計測する。
【0061】
つまり、上記ステップS7で、図13を用いて第1目標温度T1を設定したときと同様に、排気ガス温度TmpひいてはNOxトラップ触媒17の温度が最低限650℃以上のときに硫黄成分が放出され得るものとして、この650℃を硫黄成分の放出可能温度の最低温度としているのである。もちろん、例えばNOxトラップ触媒17に流入する排気ガスの空燃比などのその他の環境条件などにより、この硫黄成分放出可能温度はいろいろな値に設定され得るものである。
【0062】
次いで、ステップS74以下において、上記硫黄被毒回復処理時間Trと、排気温センサ27によって検出された排気ガス温度Tmpとに基づいて、硫黄放出量を推定し、該硫黄放出量から硫黄残存量Srを推定する。
【0063】
まず、このステップS74以下で行う硫黄残存量Srの推定方法の概略を説明する。図6の硫黄付着量Saの推定で述べたように、排気ガスは図15に示すようにNOxトラップ触媒17の上流部分から先に流れ込む。従って、図4の硫黄被毒回復処理においても、硫黄放出可能温度にまで昇温された排気ガスはNOx吸収材の上流部分から先に流れ込み、該上流部分が先に昇温されて、硫黄の放出は該上流部分において優先して始まる。つまり、NOxトラップ触媒17は一様には硫黄成分が放出除去されず、硫黄成分は排気ガスの通過経路に沿って偏って除去され、偏って残存する。
【0064】
それゆえ、硫黄放出量ないし残存量Srを推定するにあたり、触媒17を、図15に示すように、排気ガスの通過経路に沿って一般にn個のブロック(斜線を施した部分)に分割して考え、各ブロック毎に硫黄残存量Sr[j](j=1〜分割数n)を推定して、その総和(Sr[1]+…+Sr[n])を触媒17全体の硫黄残存量Srとするのである。これにより、精度のよい硫黄放出量ないし硫黄残存量の推定を図ることが可能となる。明らかに、図15において左側の上流側ブロックの硫黄残存量Sr[j]は、下流側ブロックのそれに比べて少なく推定される。
【0065】
なお、各ブロック毎に推定した硫黄残存量Sr[j]の総和(Sr[1]+…+Sr[n])に代えて、各ブロック毎に推定した硫黄残存量Sr[j]の平均値((Sr[1]+…+Sr[n])/n)を触媒17の硫黄残存量Srを代表する値として取り扱うようにしてもよい。
【0066】
この実施の形態においては、一例として、図15に示すように、NOxトラップ触媒17を10個のブロックに分割して考えている(j=1〜10)。ステップS74では、硫黄被毒回復処理時間Trと排気ガス温度Tmpとに基づいて、全NOx吸収材の容積のうち、硫黄成分が完全に放出除去された領域(完全除去領域)SAの割合(%)、換言すればブロックの数を、図16に示すような特性のマップから設定する。図16に示すように、完全除去領域SAは、硫黄被毒回復処理時間Trが長くなるほど、また、排気ガス温度Tmpが高くなるほど、大きくなる。つまり、完全除去領域SAに属するブロックの数が多くなる。
【0067】
図16のマップは、例えば、排気ガス温度Tmpが700℃のときは、硫黄被毒回復処理時間Trがt1に到達したときに、また、排気ガス温度Tmpが650℃のときは、それより長いt2に到達したときに、10個のブロック全部から硫黄が放出され、完全除去領域SAが100%となることを示している。
【0068】
次のステップS75では、同じく硫黄被毒回復処理時間Trと排気ガス温度Tmpとに基づいて、NOx吸収材のうち、硫黄成分が部分的に放出除去された領域(部分除去領域)SBの割合(%)(ブロック数)を、図17に示すような特性のマップから設定する。図17に示すように、部分除去領域SBは、少なくとも硫黄被毒回復処理時間Trが長くなるに従って小さくなり、完全除去領域SAが100%となったとき(t1またはt2)に消滅する。
【0069】
なお、硫黄成分が全く除去されていない未除去領域SCの割合(%)(ブロック数)は、上記完全除去領域SAの割合と部分除去領域SBの割合とを加えた値を、全NOx吸収材の容積から減算することにより求められる。
【0070】
次のステップS76では、同じく硫黄被毒回復処理時間Trと排気ガス温度Tmpとに基づいて、部分除去領域SBにおける硫黄除去率α(%)を、図23に示すような特性のマップから設定する。図18に示すように、部分除去領域SBにおける硫黄除去率α(%)は、この実施の形態においては、硫黄被毒回復処理時間Trとは無関係に、排気ガス温度Tmpが高くなるほど大きくなるように設定されている。
【0071】
なお、部分除去領域SBにおける硫黄残存率β(%)は、(100−α)%であり、また、完全除去領域SAにおける硫黄除去率は100%(硫黄残存率は0%)、未除去領域SCにおける硫黄除去率は0%(硫黄残存率は100%)である。
【0072】
次のステップS77では、以上得られた各データから最終的にNOx吸収材全体の硫黄残存量Srを算出する。そのためには、例えば、各領域SA,SB,SC毎に放出された硫黄成分の量を推定し、その総和を求め、そして、その値をステップS3で推定した硫黄付着量Saから減算する。あるいは、各領域SA,SB,SC毎に放出された硫黄成分の量を推定し、その値を各領域SA,SB,SC毎に付着した硫黄成分の量(例えば「Sa/j(ブロックの数)」とする)から減算し、そして、その総和を求めてもよい。
【0073】
ここで、完全除去領域SAに属するブロック(上流側ブロック)の各硫黄残存量Sr[j]はゼロであり、未除去領域SCに属するブロック(下流側ブロック)の各硫黄残存量Sr[j]はステップS3で推定された各硫黄付着量(Sa/j)のままであり、そして、部分除去領域SBに属するブロック(中央部のブロック)の各硫黄残存量Sr[j]は、((Sa/j)×(100−α))であるから、NOx吸収材全体の総硫黄残存量Srは、例えば下記式に従って求められる。
【0074】
Sr=Sa/j×(100−α)×(j×SB/100)+Sa/j×(j×SC/100)
なお、式中に記した「SB」、「SC」は、それぞれNOx吸収材のうちの部分除去領域、未除去領域の割合(%)を示すものとする。そして、同じく式中に記した「(j×SB/100)」,「(j×SC/100)」は、それぞれ部分除去領域、未除去領域に属するブロックの数を示すものとする。
【0075】
ここで求められたNOx吸収材全体の総硫黄放出量または総硫黄残存量Srは、一回一回の硫黄被毒回復処理について放出された硫黄放出量または硫黄残存量であって、各硫黄被毒回復処理の結果放出された硫黄放出量または硫黄残存量の累積量ではない。そして、該放出量あるいは残存量を求めるためのパラメータである硫黄被毒回復処理時間Trは、ステップS71,S72で、排気ガス温度Tmpが硫黄放出可能温度(650℃)以上とならなくなったときにリセットされるから、硫黄放出が連続して実行された時間を示し、途切れ途切れに硫黄放出が行なわれた時間の累積ではない。
【0076】
例えば、1分間の硫黄被毒回復処理を5回行っても、採用される硫黄被毒回復処理時間Trは、各硫黄被毒回復処理すべてにおいて1分間であるから、図16〜図18に示すマップからは、排気ガス温度Tmpが同じであれば、常に同じ完全除去領域SAの割合、同じ部分除去領域SBの割合、および同じ部分除去領域SBにおける硫黄除去率αが読み出され、したがって、結果的に、同じ硫黄放出量、同じ硫黄残存量が算定されることになり、硫黄放出量または硫黄残存量が更新されることはない。つまり、各1分間の硫黄被毒回復処理の結果算定された各硫黄放出量または硫黄残存量をすべて累積総和するものではないのである。
【0077】
したがって、例えば、同じ5分間の硫黄被毒回復処理であっても、このように1分間の硫黄被毒回復処理を5回行ったときに比べて、5分間の硫黄被毒回復処理を1回行ったときの方が、硫黄放出量が多くなり、硫黄残存量が少なくなる。
【0078】
そして、例えば、1分間の硫黄被毒回復処理が行なわれたのちに、次に2分間の硫黄被毒回復処理が行なわれたときに、硫黄放出量あるいは残存量の値が、その2分間の硫黄放出の結果算定された、より大きい硫黄放出量、あるいは、より小さい残存量の値に更新されることになる。
【0079】
つまり、硫黄被毒回復処理は、前述したように、昇温された排気ガスが先に流れ込むNOx吸収材の上流部分から優先して始まり、加熱が遅れるNOx吸収材の下流部分は時間がある程度経過しないとなかなか硫黄が除去されない。そして、一回の硫黄被毒回復処理が終了して、次に再び硫黄被毒回復処理が行われるまでの間に、NOx吸収材はまた温度が低下するから、この二回目の硫黄被毒回復処理においても、再度、NOx吸収材は上流部分から加熱され始める。したがって、このときに、また前回と同じ、またはそれ以下の時間で、この二回目の硫黄被毒回復処理が終了すると、この二回目の硫黄被毒回復処理では、全く何も新しく硫黄が除去されることのないまま終わることになるのである。したがって、硫黄放出連続時間Trが短くなればなるほど、全体の硫黄除去率が低下し、硫黄放出連続時間Trが長くなればなるほど、全体の硫黄除去率が向上するということができる。
【0080】
ところで、一般に、リッチ運転時及び理論空燃比運転時は、リーン運転時に比べて、排気ガス温度Tmpが高くなり、自然に硫黄放出可能温度(例えば650℃)またはそれ以上にまで上昇することがある。つまり、ステップS10の硫黄被毒回復処理を行わなくても、リッチ運転時又は理論空燃比運転時は、硫黄放出をしているのと同じ効果が得られる場合があるのである。
【0081】
したがって、例えば、リッチ運転時又は理論空燃比運転時(λ≦1)であって、且つ、排気ガス温度が硫黄放出可能温度以上のとき(Tmp≧650℃)は、硫黄被毒回復処理時における上記ステップS11の硫黄放出量ないし硫黄残存量Srの推定手法と同じ手法を用いて、放出除去された硫黄成分の量を推定し、それをステップS3で推定した硫黄付着量Saから減じる等して該推定硫黄付着量Saを修正するとよい。
【0082】
これにより、硫黄付着量Saの推定精度がより向上し、無駄に早い時期に硫黄被毒回復処理が開始されたり、あるいは無駄に長く硫黄被毒回復処理が続行されるという、実際より多い量の硫黄付着量Saを推定した場合に生じる不具合が回避されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のエンジンの制御システム構成図である。
【図2】本実施形態のエンジンについての空燃比マップを示す図である。
【図3】本実施形態のNOx浄化制御及び硫黄被毒回復制御における空燃比、NOxトラップ量、硫黄付着量の推移を示すタイムチャートである。
【図4】本実施形態の硫黄被毒回復制御を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態の硫黄被毒回復制御における燃料噴射制御を示すタイムチャートである。
【図6】硫黄被毒回復制御における硫黄付着量の推定方法を示すフローチャートである。
【図7】硫黄被毒回復制御で用いる燃料供給量と基本硫黄増加量との関係を示す特性図である。
【図8】硫黄被毒回復制御で用いる排気ガス温度と第1補正係数との関係を示す特性図である。
【図9】硫黄被毒回復制御で用いる連続リーン運転時間と第2補正係数との関係を示す特性図である。
【図10】硫黄被毒回復制御で用いる既硫黄付着量と第3補正係数との関係を示す特性図である。
【図11】連続リーン運転時間が長いときの第2補正係数K2の特性を説明する模式図である。
【図12】連続リーン運転時間が短いときの第2補正係数K2の特性を説明する模式図である。
【図13】硫黄被毒経過時間と標準的な第1排気ガス目標温度との関係を示す特性図である。
【図14】硫黄被毒回復制御における硫黄残存量の推定方法を示すフローチャートである。
【図15】硫黄被毒回復制御における硫黄残存量の推定方法の特徴を説明するNOxトラップ触媒の概念図である。
【図16】硫黄残存量推定中の完全硫黄除去領域割合の設定で用いる硫黄被毒回復処理時間と完全硫黄除去領域割合との関係を示す特性図である。
【図17】硫黄残存量推定中の部分硫黄除去領域割合の設定で用いる硫黄被毒回復処理時間と部分硫黄除去領域割合との関係を示す特性図である。
【図18】硫黄残存量推定中の部分硫黄除去領域での硫黄除去率の設定で用いる硫黄被毒回復処理時間と該除去率との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 吸気弁
3 吸気通路
4 燃焼室
5 燃料噴射弁
6 ピストン
7 点火プラグ
8 排気弁
9 排気通路
10 燃料供給通路
11 高圧燃料ポンプ
12 エレキスロットルバルブ
12a 電気式アクチュエータ
13 ガス流動制御弁
14 リニアO2センサ
15 ターボ過給機
15a タービン
16 上流触媒コンバータ(三元触媒)
17 下流触媒コンバータ(NOxトラップ触媒)
18 EGR通路
19 EGR弁
20 コントロールユニット
21 サージタンク
22 可変バルブタイミング機構
27 排気温センサ

Claims (6)

  1. 排気通路におけるターボ過給機下流に排気ガス中のNOxをトラップするトラップ触媒を備えるターボ過給機付き筒内噴射式エンジンの排気浄化装置において、
    前記トラップ触媒の昇温要求時において、燃料をエンジンの吸気行程から点火時期までの前段噴射と当該点火時期以降の膨張行程の後段噴射とに分割して噴射する第1分割噴射制御を実行する噴射制御手段と、
    前記トラップ触媒に吸着した排気ガス中の硫黄成分量を推定する推定手段とを備え、
    前記噴射制御手段は、前記推定された硫黄成分量が閾値に達していると判定され、前記トラップ触媒が活性化する温度以下の時、前記噴射制御手段は、前記前段噴射と前記後段噴射の燃料割合を略等しくすると共に、
    前記推定された硫黄成分量が閾値に達していると判定され、前記トラップ触媒が活性化する温度よりも高い時、前記前段噴射の燃料割合を前記後段噴射の燃料割合に対して大きくして、前記第1分割噴射を実行することを特徴とするターボ過給機付き筒内噴射式エンジンの排気浄化装置。
  2. 前記排気通路におけるトラップ触媒の上流に排気ガス中のHC,CO,NOxを浄化する三元触媒が配設されており、前記トラップ触媒の昇温要求時において、当該トラップ触媒を通過する排気ガスの空燃比を理論空燃比よりリッチに設定する空燃比設定手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のターボ過給機付き筒内噴射式エンジンの排気浄化装置。
  3. 前記噴射制御手段は、エンジンの点火時期以前において前段噴射と後段噴射とに分割して燃料を噴射する第2分割噴射制御を実行し、
    前記推定された硫黄成分量が閾値に達していると判定されたときに、前記トラップ触媒が活性化する温度以下ならば前記第1分割噴射制御を実行すると共に、前記トラップ触媒が活性化する温度以上ならば前記第2分割噴射制御を実行することを特徴とする請求項1に記載のターボ過給機付き筒内噴射式エンジンの排気浄化装置。
  4. 前記トラップ触媒の温度は、エンジンの運転状態から間接的に又はセンサから直接的に検出されることを特徴とする請求項に記載のターボ過給機付き筒内噴射式エンジンの排気浄化装置。
  5. 前記噴射制御手段は、エンジンの吸気行程から点火時期までの前段噴射と当該点火時期以降の膨張行程の後段噴射とに分割して燃料を噴射する前記第1分割噴射制御を実行する一方、エンジンの点火時期以前において前段噴射と後段噴射とに分割して燃料を噴射する第2分割噴射制御を実行
    前記推定された硫黄成分量が閾値に達していると判定され、前記トラップ触媒が活性化する温度よりも高い時、エンジンの運転状態に応じて前記第1又は第2分割噴射制御を切り換えて実行することを特徴とする請求項1に記載のターボ過給機付き筒内噴射式エンジンの排気浄化装置。
  6. 前記噴射制御手段は、車速が所定車速以上ならば前記第1分割噴射制御を実行すると共に、前記所定車速以下ならば前記第2分割噴射制御を実行することを特徴とする請求項に記載のターボ過給機付き筒内噴射式エンジンの排気浄化装置。
JP2001172498A 2001-06-07 2001-06-07 ターボ過給機付き筒内噴射式エンジンの排気浄化装置 Expired - Fee Related JP4524728B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001172498A JP4524728B2 (ja) 2001-06-07 2001-06-07 ターボ過給機付き筒内噴射式エンジンの排気浄化装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001172498A JP4524728B2 (ja) 2001-06-07 2001-06-07 ターボ過給機付き筒内噴射式エンジンの排気浄化装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002364410A JP2002364410A (ja) 2002-12-18
JP4524728B2 true JP4524728B2 (ja) 2010-08-18

Family

ID=19014109

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001172498A Expired - Fee Related JP4524728B2 (ja) 2001-06-07 2001-06-07 ターボ過給機付き筒内噴射式エンジンの排気浄化装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4524728B2 (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000120471A (ja) * 1998-08-10 2000-04-25 Mazda Motor Corp 筒内噴射式エンジンの制御装置
JP2000314309A (ja) * 1999-04-30 2000-11-14 Toyota Motor Corp 内燃機関の排気浄化装置及びそのSOx被毒判定方法
JP2000320386A (ja) * 1999-03-10 2000-11-21 Mazda Motor Corp ディーゼルエンジンの燃料噴射装置
JP2001003731A (ja) * 1999-04-20 2001-01-09 Mazda Motor Corp 排気ガス浄化装置、排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化用触媒
JP2001032741A (ja) * 1999-05-14 2001-02-06 Toyota Motor Corp 筒内噴射式内燃機関の排気浄化装置
JP2001041025A (ja) * 1999-07-30 2001-02-13 Mazda Motor Corp エンジンの排気浄化装置
JP2001098975A (ja) * 1999-09-29 2001-04-10 Mazda Motor Corp エンジンの制御装置、およびディーゼルエンジンの制御装置
JP2001152838A (ja) * 1999-11-22 2001-06-05 Mazda Motor Corp エンジンの排気浄化装置

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3344215B2 (ja) * 1996-05-31 2002-11-11 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の排気浄化装置

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000120471A (ja) * 1998-08-10 2000-04-25 Mazda Motor Corp 筒内噴射式エンジンの制御装置
JP2000320386A (ja) * 1999-03-10 2000-11-21 Mazda Motor Corp ディーゼルエンジンの燃料噴射装置
JP2001003731A (ja) * 1999-04-20 2001-01-09 Mazda Motor Corp 排気ガス浄化装置、排気ガス浄化方法及び排気ガス浄化用触媒
JP2000314309A (ja) * 1999-04-30 2000-11-14 Toyota Motor Corp 内燃機関の排気浄化装置及びそのSOx被毒判定方法
JP2001032741A (ja) * 1999-05-14 2001-02-06 Toyota Motor Corp 筒内噴射式内燃機関の排気浄化装置
JP2001041025A (ja) * 1999-07-30 2001-02-13 Mazda Motor Corp エンジンの排気浄化装置
JP2001098975A (ja) * 1999-09-29 2001-04-10 Mazda Motor Corp エンジンの制御装置、およびディーゼルエンジンの制御装置
JP2001152838A (ja) * 1999-11-22 2001-06-05 Mazda Motor Corp エンジンの排気浄化装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002364410A (ja) 2002-12-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1419309B1 (en) Exhaust gas purification system and method for internal combustion engine
JP4120523B2 (ja) 内燃機関の排気還流制御装置
JP2004176663A (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP3885545B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP4044908B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP4314135B2 (ja) 車載内燃機関の排気浄化装置
US7841169B2 (en) Regeneration controller for exhaust purification apparatus of internal combustion engine
US10443525B2 (en) Exhaust emission control system of engine
US10443524B2 (en) Exhaust emission control system of engine
JP2004324454A (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP4482848B2 (ja) ターボ過給機付きエンジンの排気浄化装置
EP1536120B1 (en) Exhaust gas control apparatus for internal combustion engine and control method thereof
WO2011055456A1 (ja) 内燃機関の制御装置
JP6270247B1 (ja) エンジンの排気浄化装置
JP2019138159A (ja) エンジンの制御装置
JP4524728B2 (ja) ターボ過給機付き筒内噴射式エンジンの排気浄化装置
JP5751198B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP3820990B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP2003155921A (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP2017115632A (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP6569873B2 (ja) エンジンの排気浄化装置
JP6230002B1 (ja) エンジンの排気浄化装置
JP6268682B2 (ja) エンジンの排気浄化装置
JP6270246B1 (ja) エンジンの排気浄化装置
JP5464281B1 (ja) 内燃機関の排気浄化装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091026

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091029

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091224

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100507

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100520

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130611

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees