JP4524511B2 - 電源装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電源装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、電気,電子機器などの各種負荷に安定した直流電圧を供給するために、例えばスイッチング方式やドロッパ方式などの電源装置が用いられている。こうした電源装置は、例えばスイッチング方式の場合、交流100ボルトや200ボルトなどの商用電源電圧を整流平滑して、これをスイッチング素子のスイッチングにより断続的にトランスの一次巻線に印加するとともに、このトランスの二次巻線に誘起された電圧を、出力回路である整流平滑回路により整流平滑し、負荷に所定の出力電圧を供給する。また、この出力電圧の変動に応じて前記スイッチング素子のパルス導通幅を制御することにより、安定化した出力電圧を得るようにしている。さらに近年では、トランスの二次巻線を2つ以上にし、電力を出力する出力回路を複数チャンネル設けて、一つの電源装置で様々な値の出力電圧を取り出せるようになっている。
【0003】
こうした電源装置では、各出力回路の出力端子間に接続される負荷側の回路において、例えば過負荷や短絡事故などが発生して出力電流が増大すると、これを制限して電源装置側や負荷側の破損を防止する出力電流制限手段としての過電流保護回路が設けられている。この過電流保護回路による出力電流の電流制限値は、電源装置の能力(例えば熱上昇の度合いなど)によって定められる。特に上記出力回路が複数チャンネル設けられている多出力の電源装置では、様々な出力電圧(例えば、DC+5,+15,+24ボルトなど)を取り出せるため、可変範囲の広い出力電圧に対応した電流制限値の設定が必要になってくる。
【0004】
図8および図9は、従来の電源装置における出力電圧Eと出力電流Iとの関係を二次元的にプロットしたグラフである。なお、各図において、横軸は出力電流I(単位:アンペア)、縦軸は出力電圧E(単位:ボルト)である。出力回路から取り出される出力電力Pは、周知のように出力電流Iと出力電圧Eとの積(図では出力電流Iと出力電圧Eで囲まれた面積)であらわされる。ここで図8に示すように、過電流保護回路による出力電流Iの電流制限値Imaxを出力電圧Eの可変範囲に拘らず一定の値に設定すると、出力電圧Eを電源装置の能力に応じて定めた定格電圧Es内で可変させた場合に、この出力電圧Eに比例して出力電力Pの上限値も増減する。この出力電力Pは無制限に増大できるものではなく、例えば前記電源装置の能力に基づく出力回路の定格電力Psなどにより制限される。したがって、実際にはこの定格電力Psの範囲内で、出力電流Iの電流制限値Imaxを設定せざるを得なくなり、電流制限値Imaxを超えて出力電流Iを流せる電力領域(Pa)が存在するにも拘らず、過電流保護回路による過電流の保護動作が働いて、電源装置の能力を最大限に引き出すことができない。
【0005】
こうした問題を回避するには、図9に示すように、定格電力Psの電圧値に対する電流値の変位(この場合、電圧値に対し電流値は双曲線関数として変位する)に沿って、出力電流Iの電流制限値Imaxを可変させるように設定することが考えられる。こうすると、出力電圧Eを電圧制限値Esの範囲内で可変させた場合に、出力電力Pの上限値は一定になる。しかし、特に出力電圧Eを低く可変設定した場合は、これも電源装置の能力で決まる出力回路の定格電流Isを超えて、出力電流Iを流せる電流値が必要以上に伸びてしまい、電源装置内において熱設計を過剰に行なう必要が生じるなどの新たな対策が必要になってくる。また、定格電流Isを超えて出力電流Iを流せる領域が存在するため、制御回路内で故障が生じてこの制御回路が正常に機能しなくなり、電源装置および負荷の破損に至るなどの不具合を引き起こす。このように、電源装置の能力で決まる定格電流Isを超えずに、出力電圧Eの全可変範囲に亘って、出力電力Pを最大限に取り出すことができなかった。
【0006】
また近年では、例えば100VAや250VAなどの特定の範囲内に出力電力Pを制限した電源装置に対し、特殊な難燃部材を用いなくてもよいなどの安全規格上の取り決めがなされている。しかし、こうした安全規格上の仕様を満足する特定の電力値Pcに出力電力Pが制限された電源装置においても、前記定格電力Psに基づく電流制限値Imaxの設定と同様の問題を引き起こす。すなわち、過電流保護回路による出力電流Iの電流制限値Imaxを出力電圧Eの可変範囲に拘らず一定の値に設定すると、電源装置の能力を最大限に引き出すことができなくなり(図8参照)、逆に電力値Pcの電圧値に対する電流値の変位に沿って、前期電流制限値Imaxを可変させるように設定すると、定格電流Isを超えて出力電流Iを流せる領域が存在するようになる(図9参照)。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点を解決して、出力電圧の全可変範囲に亘って、出力電力をより多く有効に取り出すことができる電源装置を提供することをその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の電源装置は、前記目的を達成するために、電力を出力する少なくとも1つのチャンネルの出力回路を備えた電源装置において、前記出力回路の出力電流を第1の電流制限値に制限する第1の電流制限手段と、前記出力回路の出力電流を第2の電流制限値に制限する第2の電流制限手段とを備え、前記第1の電流制限値および第2の電流制限値は、前記出力回路の出力電圧の全可変範囲において、前記出力電流の定格を超えない範囲内で、かつ特定の電力制限値を想定したときに、この電力制限値の電圧値に対する電流値の変位に沿って一つの出力電圧に対し前記第1の電流制限値と前記第2の電流制限値が追従して設定され、前記第2の電流制限手段よりもその電流制限値の大きな前記第1の電流制限手段はシャットダウン特性を有し、前記第2の電流制限手段は自動復帰特性を有することを特徴とする。
【0009】
この場合、第1および第2の各電流制限値は、いずれも出力電圧の全可変範囲において、電源装置の能力で決まる出力電流の定格(定格電流)を超えない範囲内に設定されるため、定格電流を超えて出力回路から出力電流が流れることによる悪影響を防止できる。また、ある特定の電力制限値を想定したときに、この電力制限値の電圧値に対する電流値の変位に沿って、第1および第2の電流制限値が設定されるので、電力制限値の出力電圧の上限値に対する電流値から定格電流に至る範囲で、電力制限値を超えることなく出力電力を取り出せる。したがって、出力電圧の全可変範囲に亘って、出力電流を定格電流から超えさせることなく、出力回路から出力電力をより有効に取り出すことができる。
【0010】
また、電流制限手段が二重に設けられているので、仮に2系統のうち一方の系統が故障に陥っても、他方の系統により確実に出力電流を制限することができる。
【0011】
そして、一つの出力電圧が決まると、それぞれの電流制限手段の各電流制限値を一義的に決めることができる。
【0012】
しかも、誘導性の負荷を出力回路に接続した場合、出力電流が起動時に増大して、一時的に第2の電流制限値に制限されても、その後は自動復帰特性を有する第2の制限手段により負荷に電力を供給し続けることができる。これに対し、電力制限値に達するような出力電流の増大を来した場合は、第1の電流制限手段により出力回路からの電力の供給をその時点で遮断することができる。
【0013】
【発明の実施形態】
以下、添付図面に基づき、本発明における電源装置の各実施例を説明する。図1および図2は本発明の第1実施例を示すものであり、電源装置全体の概略構成をあらわした図1において、1は電力変換回路であるインバータを構成するトランスで、このトランス1は一次巻線1Aと少なくとも一つ以上の二次巻線1Bを有している。このトランス1の一次巻線1Aには、例えばMOS型FETなどのスイッチング素子2が直列に接続される。また、トランス1の二次巻線1Bには出力回路3が接続され、ここには整流ダイオードやチョークコイルおよび平滑コンデンサからなる整流平滑回路(整流手段)4が設けられる。そして、スイッチング素子2をスイッチングして、入力端子+Vi,−Vi間の直流入力電圧をトランス1の一次巻線1Aに断続的に印加すると、トランス1の二次巻線1Bに誘起された電圧が整流平滑回路4により整流平滑され、負荷5を接続する出力端子+Vo,−Vo間に直流出力電圧Eが発生するようになっている。
【0014】
一方、この出力電圧Eを安定化させる帰還回路として、出力電圧Eの変動を検出する出力電圧検出回路11と、この出力電圧検出回路11からの電圧検出信号を基準電源12の基準電圧と比較する比較器13と、この比較器13からの比較結果に基づき、直流出力電圧Eが一定になるようにスイッチング素子2のパルス導通幅を制御する制御手段としてのパルス幅制御回路14が設けられている。そして、出力電圧Eが上昇するのに伴なって、出力電圧検出回路11からの電圧検出信号が上昇すると、比較器13の出力端子の電圧レベルが低下し、これを受けたパルス幅制御回路14は、スイッチング素子2のパルス導通幅を狭めて出力電圧Eを低下させる。一方、出力電圧Eが低下し、出力電圧検出回路11からの電圧検出信号も低下すると、比較器13の出力端子の電圧レベルが上昇し、これを受けたパルス幅制御回路14は、スイッチング素子2のパルス導通幅を広げて出力電圧Eを上昇させ、出力電圧Eの安定化を図っている。
【0015】
さらに、21は出力回路3の出力電流Iを検出する電流検出部としての電流検出回路で、これは具体的には図示しないものの、例えば電流検出器たる電流トランスと、この電流トランスに誘起した電圧を整流して直流に変換する整流回路と、この整流回路で変換した直流電圧信号を、出力電流Iの電流検出信号として前記パルス幅制御回路14に送り出す電流検出信号送出回路とにより構成される。そして、この電流検出回路21と、前記パルス幅制御回路14およびスイッチング素子2とにより、出力回路3の出力電流Iを電流制限値Imaxに制限する電流制限手段22が構成される。
【0016】
そして上記構成では、出力端子+Vo,−Vo間に接続する負荷5側の回路において、例えば短絡事故などが発生し、出力回路3の出力電流Iが増大すると、出力電流Iを監視する電流検出回路21の電流検出信号が増大し、これがパルス幅制御回路14に印加される。パルス幅制御回路14は、この電流検出信号に見合う出力電流Iが予め設定した電流制限値Imaxに制限されるように、スイッチング素子2のパルス導通幅を狭めて出力回路3や負荷5を保護する。
【0017】
ここで、本実施例における電流制限値Imaxの特徴を、従来例の図8や図9と同様に、出力電圧Eと出力電流Iとの関係を二次元的にプロットした図2のグラフで説明する。
【0018】
本実施例では、電流制限手段22の電流制限値Imaxが、出力回路3の出力電圧Eの全可変範囲(ここでは、0ボルトから定格電圧Esボルトの範囲)において、電源装置の能力で決まる出力電流Iの定格すなわち出力回路3の定格電流Isを超えない範囲内に設定される。これは前記図9に示すような、定格電流Isを超えて出力回路3から出力電流Iが流れることによる悪影響を防止するためである。また本実施例では、前記定格電力Psや安全規格で定めた電力値Pcのような、ある特定の電力制限値Pmaxを想定したときに、この電力制限値Pmaxの電圧値に対する電流値の変位に沿って、電流制限手段22の電流制限値Imaxが設定されるようにする。このようにすると、図2からも明らかなように、電力制限値Pmaxの出力電圧Eの上限値(この場合は、定格電圧Es)に対する電流値I’から、定格電流Isに至る範囲で、電力制限値Pmaxを超えることなく出力電力Pを取り出せることになる。したがって、特に出力電圧Eの可変範囲の広い電源装置にあっては、この出力電圧Eの全可変範囲に亘って、出力電流Iを定格電流Isから超えさせることなく、出力回路3から出力電力Pをより有効に取り出すことができる。
【0019】
なお、前記安全規格で定めた電力値Pcは、現状では出力電圧Eに拘らず一定の100VAや250VAになっているが、これはあくまでも一例に過ぎず、例えば負荷5の必要性に応じて、それ以外の値に調整することが可能である。また、ここでの電力制限値Pmaxは一定の値となっているが、例えば出力電圧に応じて段階的に電力制限値Pmaxが定められたものでもよい。例えば、出力電圧が+15ボルトまでのときには電力制限値Pmaxが100VA、出力電圧が+15ボルトを超え+30ボルトまでのときには電力制限値Pmaxが80VAのように定められている場合は、それぞれの電力制限値Pmaxの電圧値に対する電流値の変位に沿って、電流制限手段22の電流制限値Imaxを設定すればよい。
【0020】
前記電流制限手段22の電流制限値Imaxは、出力電圧の第1の可変範囲、すなわち出力電流Iを定格電流Isで流したときに、電力制限値Pmaxの制限を受けない電圧値E’までの範囲において、定格電流Isに沿ってほぼ一定値に設定され、この第1の可変範囲よりも高い出力電圧Eの第2の可変範囲、すなわち前記電圧値E’から定格電圧Esの範囲において、電力制限値Pmaxの電圧値に対する電流値の変位に沿った値に設定される。
【0021】
このようにすると、特に電力制限値Pmaxによる制限を受けない第1の電圧範囲において、出力電流Iを定格電流Is近くにまで流すことができるので、第1の電圧範囲における出力電力Pを最大限取り出すことが可能になる。
【0022】
また本実施例では、出力電圧Eが0ボルトからE’ボルトまでの範囲では、電力制限値Imaxが定格電流Isに設定され、出力電圧EがE’ボルトからE’’ボルトまでの範囲では、電力制限値Imaxが電力制限値Imaxによる制限を受けて定格電流Isよりも小さい電流値I’’に設定され、さらに出力電圧EがE’’ボルトから定格電圧Esボルトまでの範囲では、電力制限値Imaxがさらに電力制限値Pmaxによる制限を受けて前記電流値I’’よりも小さい電流値I’に設定される。つまり、電圧値E1から定格電圧Esの範囲において、電流制限手段22の電流制限値Imaxが電力制限値Pmaxの電圧値に対する電流値の変位に沿って段階的に設定される。
【0023】
このようにすると、電力制限値Pmaxに基づき得られる電流値と、電流制限値Imaxとの間に差異が生じることになるため、電流制限値Pmaxにより定められた電流値に到達する前に、出力回路3の出力電流が電流制限手段22による電力制限値Imaxで制限される。したがって、特に電力制限値Pmaxを超えて出力電力Pを取り出すことが好ましくないような場合は、ある程度のマージンをもたせて出力電流Iひいては出力電力Pを制限することが可能になる。
【0024】
なお、本実施例では、出力電圧検出回路11からの電圧検出信号および電流検出回路21の電流検出信号に基づき、トランス1の一次側(一次巻線1A側)にあるスイッチング素子2を制御しているが、例えば図3に示すように、パルス幅制御手段14によりトランス1の二次側(二次巻線1B側)にあるマグアンプ25を制御するようにしてもよい。また、電流検出回路21による出力電流Iの検出は、トランス1の二次側にある電力供給ライン上であれば、例えばマグアンプ25と整流平滑回路4の間にある電力供給ラインなど、どのような地点から行なってもよい。このように、トランス1の二次側を制御する方式は、特に多出力の電源装置で、各出力回路3毎に安定した電力を出力させる場合に有効である。
【0025】
次に、本発明の第2実施例を図4および図5に基づき説明する。なお、第1実施例と同一箇所には同一符号を付し、その共通する部分の説明は重複するため省略する。電源装置全体の概略構成をあらわした図4において、本実施例では、前記電流制限手段すなわち第1の電流制限手段22とは別に、第2の電流制限手段31が設けられている。
【0026】
具体的には、32は出力回路3から出力される電力(出力電圧Eおよび出力電流I)を制御する磁気増幅器としてのマグアンプで、ここではトランス1の二次巻線1Bの一端(ドット端子)と整流平滑回路の図示しないダイオードとの間に挿入接続される。このマグアンプ32の飽和,非飽和(オン,オフ)制御は、スイッチ手段たるトランジスタ33のスイッチングにより行なわれる。また、34は出力回路3の出力電流Iを検出する電流検出部としての電流検出回路で、これは前記電流検出回路21と同様の回路で構成される。そして電流検出回路34は、出力端子+Vo,−Vo間に接続する負荷5側の回路において、例えば短絡事故などが発生し、出力回路3の出力電流Iが増大すると、この出力電流Iの増大を制限するような駆動信号、すなわち保護動作を行なうような制御信号をトランジスタ33に出力し、マグアンプ32の飽和,非飽和を制御する。つまりここでは、マグアンプ32,トランジスタ33および電流検出回路34により第2の電流制限手段31が構成される。
【0027】
ここで、本実施例における電流制限値Imaxの特徴を、従来例の図8や図9と同様に、出力電圧Eと出力電流Iとの関係を二次元的にプロットした図5のグラフで説明する。
【0028】
本実施例では、第1の電流制限手段22による第1の電流制限値Imax1のみならず第2の電流制限手段31による第2の電流制限値Imax2が、いずれも出力回路3の出力電圧Eの全可変範囲(ここでは、0ボルトから定格電圧Esボルトの範囲)において、電源装置の能力で決まる出力電流Iの定格すなわち出力回路3の定格電流Isを超えない範囲内に設定される。これは前記図9に示すような、定格電流Isを超えて出力回路3から出力電流Iが流れることによる悪影響を防止するためである。また本実施例では、ある特定の電力制限値Pmaxを想定したときに、この電力制限値Pmaxの電圧値に対する電流値の変位に沿って、第1の電流制限値Imax1および第2の電流制限値Imax2が設定されるようにする。このようにすると、図2からも明らかなように、電力制限値Pmaxにおける出力電圧Eの上限値(この場合は、定格電圧Es)に対する電流値I1’から、定格電流Isに至る範囲で、電力制限値Pmaxを超えることなく出力電力Pを取り出せる。したがって、特に出力電圧Eの可変範囲の広い電源装置にあっては、この出力電圧Eの全可変範囲に亘って、出力電流Iを定格電流Isから超えさせることなく、出力回路3から出力電力Pをより有効に取り出すことができる。
【0029】
そして本実施例では、出力端子+Vo,−Vo間に接続する負荷5側の回路において、例えば過負荷や短絡事故などが発生し、出力回路3の出力電流Iが増大すると、2系統の電流制限手段22,31でこの出力電流Iが制限される。この場合、第1の電流制限手段22による電流制限とは別に、第2の電流制限手段31を構成する電流検出回路34により、出力電流Iの増大を制限するような駆動信号がトランジスタ33に出力され、マグアンプ32の飽和,非飽和を制御する。このように、出力回路3に過電流(過電力)が発生した場合でも、この過電流を抑制することができ、かつ電流制限手段22,31が二重に設けられているので、仮に2系統のうち一方の系統が故障に陥っても、他方の系統により確実に出力電流Iを制限することができ、出力回路3側の回路パターンの焼損や、構成部品の破損を未然に防止できる。
【0030】
前記第1の電流制限値Imax1および第2の電流制限値Imax2は、いずれも出力電圧の第1の可変範囲、すなわち出力電流Iを定格電流Isで流したときに、電力制限値Pmaxの制限を受けない電圧値E’までの範囲において、定格電流Isに沿ってほぼ一定値に設定され、この第1の可変範囲よりも高い出力電圧Eの第2の可変範囲、すなわち前記電圧値E’から定格電圧Esの範囲において、電力制限値Pmaxの電圧値に対する電流値の変位に沿った値に設定される。
【0031】
このようにすると、特に電力制限値Pmaxによる制限を受けない第1の電圧範囲において、出力電流Iを定格電流Is近くにまで流すことができるので、第1の電圧範囲における出力電力Pを最大限取り出すことが可能になる。
【0032】
前記第1の電流制限値Imax1と第2の電流制限値Imax2は、同じ値に設定してもよいが、本実施例のように、どの出力電圧Eの電圧範囲内においても、第2の電流制限値Imax2は第1の電流制限値Imax1よりも小さく設定してもよい。このようにすると、出力電流Iが増加すると先に第2の電流制限手段31による電流制限が機能するが、仮に第2の電流制限手段31が動作不良に陥っても、第1の電流制限手段22による電流制限が働く。つまり、第2の電流制限値Imax2で囲まれた部分が通常の出力電流Iの使用範囲I1になり、第2の電流制限値Imax2と第1の電流制限値Imax1との間で囲まれた部分が、万一第2の電流制限手段31が不具合を起こした場合の保護範囲I2になって、装置としての信頼性が向上する。勿論、第1の電流制限値Imax1よりも第2の電流制限値Imax2を小さく設定することも可能である。
【0033】
また本実施例では、電力制限値Pmaxの電圧値に対する電流値の変位に沿って、一つの出力電圧Eに対し第1の電流制限値Imax1と第2の電流制限値Imax2が追従(トラッキング)して設定される。このようにすると、特に上記第2の電圧範囲において、一つの出力電圧Eが決まると、それぞれの電流制限手段22,31の各電流制限値Imax1,Imax2を一義的に決めることができる。これとは別に、各電流制限手段22,31の電流制限値Imax1,Imax2をお互いに無関係に設定して、各々独立に出力電流Iを制限してもよい。
【0034】
第2の電流制限回路31よりもその電流制限値Imax1の大きな第1の電流制限手段22は、出力電流Iが増大して第1の電流制限値Imax1に達すると、出力回路3からの電力の供給を遮断し、その後は何らかの操作を加えない限り復帰しないシャットダウン特性を有する。これに対し、第1の電流制限手段22よりもその電流制限値Imax2の小さな第2の電流制限手段31は、出力電流Iが増大すると、この出力電流Iを第2の電流制限値Imax2に制限し、出力電流Iが第2の電流制限値Imax2以下になると、元の状態に自動復帰して出力回路3から電力を供給する自動復帰特性を有する。このようにすれば、モータのような誘導性の負荷5を接続した場合に、出力電流Iが起動時に増大して、一時的に第2の電流制限値Imax2に制限されても、その後は自動復帰特性を有する第2の制限手段31により負荷5に電力を供給し続けることができる。これに対し、電力制限値Pmaxに達するような出力電流Iの増大を来した場合は、第1の電流制限手段22により出力回路3からの電力の供給をその時点で遮断することができる。したがって、負荷5により一時的に出力電流Iが増大しても、電力を供給し続けることができる一方で、電流制限値Pmaxに達するような出力電流Iの増大に対しては、これを遮断することが可能になる。
【0035】
また、第1の電流制限手段22および第2の電流制限手段31をいずれも自動復帰特性を有するもので構成してもよい。この場合、どちらか一方の電流制限手段(例えば、第2の電流制限手段31)で、出力電流Iの増大時にこの出力電流Iを制限できなくても、別の第1の電流制限手段22で出力電流Iを制限し、その後自動復帰することができる。また、負荷5により一時的に出力電流Iが増大しても、電力を供給し続けることができるとともに、電流制限値Pmaxに達するような出力電流Iの増大に対しても、これが解消されればその後負荷に電力を供給し続けることができる。
【0036】
さらに、第1の電流制限手段22および第2の電流制限手段31をいずれもシャットダウン特性を有するもので構成してもよい。こうすれば、どちらか一方の電流制限手段(例えば、第2の電流制限手段31)で、出力電流Iの増大時に正しく出力回路3をシャットダウンできなくても、別の第1の電流制限手段22で出力回路3を確実にシャットダウンできる。
【0037】
なお、この実施例においても、第1の電流制限値Imax1および第2の電流制限値Imax2を、電力制限値Pmaxの電圧値に対する電流値の変位に沿って段階的に設定してもよい。
【0038】
また、本実施例の別の変形例として、例えば図6に示すように、パルス幅制御回路14によって、トランス1の二次側に接続したマグアンプ32を制御するように構成してもよい。この場合、電流検出回路21,パルス幅制御回路14およびマグアンプ32が第1の電流制限手段22となり、電流検出回路34,パルス幅制御回路14およびマグアンプ32が第2の電流制限手段31となる。このように、トランス1の二次側を制御する方式は、特に多出力の電源装置で、各出力回路3毎に安定した電力を出力させる場合に有効である。
【0039】
さらに、図7に示すように、電流検出回路21,フォトカプラ41,パルス幅制御回路14およびスイッチング素子2により第1の電流制限手段22を構成し、この第1の電流制限手段22により、トランス1の一次側にあるスイッチング素子2への駆動信号の供給を停止して、電源装置全体をシャットダウンさせてもよい。この場合、出力電圧Eの変動によりパルス幅制御回路42がトランス1の二次側にある前記マグアンプ32を制御する構成とし、電流検出回路34と、パルス幅制御回路42と、マグアンプ32にて第2の電流制限手段31を構成してもよい。
【0040】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲において種々の変形実施が可能である。本実施例では、電力を出力する出力回路3が単一のチャンネルで構成されるが、トランス1の二次巻線1Bを複数設け、各二次巻線1Bに出力回路3を設けた複数のチャンネルの出力回路3からなる多出力の電源装置(多出力電源装置)にも適用できる。また、電源装置の形態においても、スイッチング素子を用いたいわゆるスイッチング方式だけでなく、例えばドロッパ方式などの他の方式の電源装置にも適用できる。さらにスイッチング素子としては、例えばMOS型FETやトランジスタなどを利用できる。その他、スイッチング方式の電源装置では、スイッチング素子の個数なども各種回路方式に応じて適宜変更してよい。
【0041】
【発明の効果】
本発明の請求項1の電源装置によれば、出力電圧の全可変範囲に亘って、出力電力をより多く有効に取り出すことが可能になる。また、仮に2系統のうち一方の系統が故障に陥っても、他方の系統により確実に出力電流を制限することができる。
【0042】
また、一つの出力電圧を決めることによって、それぞれの電流制限手段の各電流制限値を一義的に決めることができる。
【0043】
さらに、負荷により一時的に出力電流が増大しても、電力を供給し続けることができる一方で、電流制限値に達するような出力電流の増大に対しては、これを遮断することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す電源装置の全体構成をあらわしたブロック回路図である。
【図2】同上出力電圧と出力電流との関係を二次元的にプロットしたグラフである。
【図3】同上別の変形例を示す電源装置の全体構成をあらわしたブロック回路図である。
【図4】本発明の第2実施例を示す電源装置の全体構成をあらわしたブロック回路図である。
【図5】同上出力電圧と出力電流との関係を二次元的にプロットしたグラフである。
【図6】同上別の変形例を示す電源装置の全体構成をあらわしたブロック回路図である。
【図7】同上さらに別の変形例を示す電源装置の全体構成をあらわしたブロック回路図である。
【図8】従来例における出力電圧と出力電流との関係を二次元的にプロットしたグラフである。
【図9】別な従来例における出力電圧と出力電流との関係を二次元的にプロットしたグラフである。
【符号の説明】
3 出力回路
22 電流制限手段(第1の電流制限手段)
31 第2の電流制限手段
Claims (1)
- 電力を出力する少なくとも1つのチャンネルの出力回路を備えた電源装置において、前記出力回路の出力電流を第1の電流制限値に制限する第1の電流制限手段と、前記出力回路の出力電流を第2の電流制限値に制限する第2の電流制限手段とを備え、前記第1の電流制限値および第2の電流制限値は、前記出力回路の出力電圧の全可変範囲において、前記出力電流の定格を超えない範囲内で、かつ特定の電力制限値を想定したときに、この電力制限値の電圧値に対する電流値の変位に沿って一つの出力電圧に対し前記第1の電流制限値と前記第2の電流制限値が追従して設定され、前記第2の電流制限手段よりもその電流制限値の大きな前記第1の電流制限手段はシャットダウン特性を有し、前記第2の電流制限手段は自動復帰特性を有することを特徴とする電源装置。
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