JP4524447B2 - 炭化珪素薄膜の成膜方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭化珪素薄膜の成膜方法に関し、特に、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法という薄膜プロセスを用いて、高品質の炭化珪素薄膜を成膜することができる炭化珪素薄膜の成膜方法に関するものである。
従来、炭化珪素(SiC)は、耐熱性、耐腐食性、機械的特性に優れていることから、構造材料としての応用が進められてきたが、最近では、エネルギーギャップが大きいことからワイドギャップ半導体として注目され、半導体材料や光学材料としての応用が進められている。例えば、4H,6H−SiC(六方晶炭化珪素)のエネルギーギャップは3eV以上で、シリコン(Si:1.08eV)の約3倍大きく、また、絶縁破壊電圧が約1桁大きくなるので、このSiCをMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)に適用した場合、電力変換時に熱損失をもたらす固有オン抵抗は2桁半ほど小さくて済む。そのため、炭化珪素は、シリコンでは実現できない大容量の電力変換用のパワー半導体等のパワーデバイスとしての応用が期待されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、3C−SiC(立方晶炭化珪素)は結晶内における電子の移動度の高さから高効率・高周波用の炭化珪素デバイスとして期待されているが、今までは、大口径で欠陥密度の低い3C−SiC基板が存在しなかったため、3C−SiC基板を用いた高性能の半導体素子の実用化が阻まれていた。
ところで、最近では、CVD法によりシリコン基板上に3C−SiC膜をエピタキシャル成長したシリコンウエハにより、高品質な3C−SiCが得られ始め、その応用が期待されている。
特開2002−185013号公報
ところで、従来のCVD法によりシリコン基板上に3C−SiC膜をエピタキシャル成長させる際に使用する原料ガスとしては、例えば、Si源としてはモノシラン(SiH)、ジシラン(Si)等の特殊高圧ガスが一般的であるが、毒性・爆発性を有することから取り扱いが非常に危険であり、防爆設備コストが大きいという問題点があった。
そこで、室温で液体状であり、引火点が高く安全性に優れた液体有機シランや、特殊高圧ガスに比べて安全な高圧ガスである有機シランガス等の、有機シラン原料を用いて3C−SiC膜のエピタキシャル成長が行われているが、この様にして得られた炭化珪素薄膜は、従来のモノシラン(SiH)等により得られた炭化珪素薄膜より膜特性が劣っているという問題点があり、有機シラン原料を用いた場合、未だに膜特性に優れた炭化珪素薄膜が得られていない。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、モノシラン(SiH)、ジシラン(Si)等の特殊高圧ガスに比べて安全性に優れたモノメチルシラン(SiHCH)等の有機シランを用いて、高品質の炭化珪素薄膜を得ることができる炭化珪素薄膜の成膜方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討を行った結果、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法という薄膜プロセスを用いて、シリコン基板の一主面に半導体材料または光学材料の立方晶炭化珪素薄膜をエピタキシャル成長させる際に、シリコン基板が載置された反応装置内に炭素を含むガスのみを導入する工程と、この反応装置内に有機シランのみを導入する工程との間に、この反応装置内に炭素を含むガス及び有機シランを導入する工程を設けることにより、シリコン基板の一主面上に膜特性に優れた炭化珪素薄膜を成膜することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の炭化珪素薄膜の成膜方法は、シリコン基板の一主面に化学気相成長法により半導体材料または光学材料の立方晶炭化珪素薄膜をエピタキシャル成長させる方法であって、
シリコン基板が載置された反応装置内に炭素を含むガスのみを導入し、前記シリコン基板の表面を炭化させる第1の工程と、前記反応装置内に炭素を含むガス及び有機シランを導入し、前記シリコン基板が還元性雰囲気に曝されるのを防止しつつ前記有機シランを反応させて炭化珪素膜を成膜する第2の工程と、前記反応装置内への前記炭素を含むガスの導入を停止して前記反応装置内に前記有機シランのみを導入し、この有機シランを反応させて炭化珪素膜を成膜する第3の工程とを有し、前記第1ないし第3の工程におけるシリコン基板の表面温度を前記有機シランの分解、反応が促進される1200〜1380℃とし、前記第2及び第3の工程を0.001〜1気圧の水素ガス雰囲気下にて行うことを特徴とする。
本発明の炭化珪素薄膜の成膜方法によれば、シリコン基板が載置された反応装置内に炭素を含むガスのみを導入し、前記シリコン基板の表面を炭化させる第1の工程と、前記反応装置内に炭素を含むガス及び有機シランを導入し、前記シリコン基板が還元性雰囲気に曝されるのを防止しつつ前記有機シランを反応させて炭化珪素膜を成膜する第2の工程と、前記反応装置内への前記炭素を含むガスの導入を停止して前記反応装置内に前記有機シランのみを導入し、この有機シランを反応させて炭化珪素膜を成膜する第3の工程とを有し、前記第1ないし第3の工程におけるシリコン基板の表面温度を前記有機シランの分解、反応が促進される1200〜1380℃とし、前記第2及び第3の工程を0.001〜1気圧の水素ガス雰囲気下にて行うので、結晶性が良くかつ平坦性に優れた立方晶炭化珪素薄膜を成膜することができる。したがって、高品質の立方晶炭化珪素薄膜を容易に得ることができる。
本発明の炭化珪素薄膜の成膜方法の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本実施形態の炭化珪素薄膜の成膜方法は、シリコン基板の一主面に化学気相成長法(CVD法)により炭化珪素薄膜を成膜する方法であって、シリコン基板が載置された反応装置内に炭素を含むガスを導入する第1の工程と、前記反応装置内に炭素を含むガスと有機シランとを導入する第2の工程と、前記反応装置内に有機シランを導入する第3の工程とを有する成膜方法である。
ここで、薄膜プロセスとしてのCVD法の特徴としては、合成材料種や形状に対する多様性があること、高純度材料の合成が可能であること、組成や結晶構造の高度な制御が可能であること等が挙げられる。また、CVD法は、励起方法や成膜条件の違いにより分類することができ、励起方法により分類すると、熱CVD法、プラズマCVD法、光を利用した光CVD法等が挙げられ、反応時の圧力により分類すると、常圧CVD法、減圧CVD法等が挙げられる。
本実施形態の炭化珪素薄膜の成膜方法は、上記のいずれの分類の方法によっても成膜可能であるが、特に、熱CVD法が好ましい。
また、CVD装置としては、縦型CVD装置、横型CVD装置、バレル型CVD装置等があり、本発明の炭化珪素薄膜の成膜方法は、上記のいずれの装置によっても成膜可能である。
炭素を含むガスとしては、特に限定されないが、例えば、炭化水素、ハロゲン化アルキル、有機シラン等を用いることができ、炭化水素が好ましい。
この炭化水素としては、例えば、メタン(CH)、エタン(C)、プロパン(C)、ブタン(C10)等の飽和炭化水素、エチレン(C)、プロピレン(C)、アセチレン(C)等の不飽和炭化水素等を用いることができ、なかでも、メタン(CH)、プロパン(C)、アセチレン(C)が好ましい。
有機シランとしては、珪素(Si)に炭化水素官能基が結合した分子構造のものであれば特に限定されないが、例えば、モノメチルシラン(SiHCH:MMS)、ジメチルシラン(SiH(CH:DMS)、テトラメチルシラン(Si(CH:TMS)、テトラエチルシラン(Si(C:TES)、ヘキサメチルジシラン(Si(CH:HMDS)等が好適に用いられる。
この有機シランに他の官能基が結合した分子構造、例えば、テトラエトキシシラン(Si(OC:TEOS)、メチルトリクロロシラン((CH)SiCl)、ヘキサメチルジシラザン(HN(Si(CH)等を用いてもよい。
本実施形態の炭化珪素薄膜の成膜方法をより詳しく説明すると、シリコン基板が載置された反応装置内に炭素を含むガスを導入し、シリコン基板と炭素を含むガスとを反応させる「炭化工程」である「第1の工程」と、この反応装置内に炭素を含むガスと有機シランとを導入し、シリコン基板が還元性雰囲気に曝されるのを防止するとともに有機シランを反応させてSiC薄膜を成膜する「初期の成長工程」である「第2の工程」と、この反応装置内に有機シランを導入し、有機シランを反応させてSiC薄膜を成膜する「主たる成長工程」である「第3の工程」とを有する成膜工程である。
この「炭化工程」とは、シリコン基板の表面を炭素源により炭化させる工程であり、シリコン基板内部から表面へのSi原子の拡散を抑制するとともに、シリコン基板に空洞ができることを防ぐための工程である。
ここで、「炭化工程」である「第1の工程」と、「主たる成長工程」である「第3の工程」との間に、炭素を含むガスと有機シランとを導入する「初期の成長工程」である「第2の工程」を設けた理由について説明する。
CVD法、特に熱CVD法により炭化珪素薄膜を成膜する場合、水素(H)ガス雰囲気中、0.001〜1気圧程度の圧力下で行う必要がある。このとき、シリコン基板がH雰囲気に晒されると、その表面がHによりエッチングされ、エッチピットと称される表面窪みが形成される。
このエッチピットは、シリコン基板上に、Hに対するエッチング耐性が高いSiC膜が数μm程度形成されていれば、形成され難い。しかしながら、上記の第1の工程が終了した段階では、SiC膜が非常に薄いために、エッチング耐性は極めて低く、その結果、シリコン基板の表面にエッチピットが形成されてしまうことになる。
例えば、従来のCVD法によるSiC製造プロセスの場合、C源である炭化水素ガス等の炭素を含むガスを導入する工程の後に、珪素(Si)源であるモノシラン(SiH)等の分子構造中に炭素(C)を含まないガス及びC源である炭化水素ガス等の炭素を含むガスを導入する工程を設けているので、炭化水素ガスは常に流した状態で良く、ガスの切り替えは生じない。したがって、シリコン基板の表面がHによりエッチングされる虞もなく、エッチピットが形成される虞もない。
一方、有機シランを用いた炭化珪素薄膜の成膜方法では、反応装置内に炭素を含むガスを導入する第1工程と、この反応装置内に有機シランを導入する第2工程との間で、ガスの切り替えが生じる。つまり、反応工程でのガス導入に際して、導入を開始してから、拡散により反応管にガスが充填するまで一定時間が必要となる。そのため、シリコン基板上に導入されたガスが反応に寄与するまでに時間がかかり、ガスが反応に寄与しない時間t(秒)が発生し、その結果、第1工程でのガス停止と同時に第2工程のガスを導入すると、シリコン基板は一時的にHのみの雰囲気に晒されることとなり、Hによるエッチングにより、シリコン基板の表面にエッチピットが形成されることとなる。
この様にシリコン基板の表面にエッチピットが形成されると、SiCのエピタキシャル成長が阻害され、外観に曇り面が生じ、良質の結晶が得られなくなるという問題が生じる。このように、成長初期でシリコン基板にエッチピットが形成されると、ステップバイステップの成長様式が阻害され、その後のエピタキシャル成長に悪影響が生じ、膜の結晶性が悪化する。したがって、常に反応ガスを導入し続けて反応過程を継続することにより、成長過程の膜がH雰囲気に晒されるのを防ぐ必要がある。
そこで、本発明の炭化珪素薄膜の成膜方法では、「炭化工程」である「第1の工程」と、「主たる成長工程」である「第3の工程」との間に、「初期の成長工程」である「第2の工程」を設けたのである。
次に、第1工程におけるシリコン基板の表面温度と、第2工程に掛かる時間tとの関係について説明する。
第2工程で導入される有機シランの分解、反応が促進される温度は1200〜1380℃であるから、シリコン基板の表面温度も1200〜1380℃まで加熱する必要がある。シリコン基板の表面温度はサセプタの温度とほぼ等しいとみなされるので、サセプタの温度を制御することにより、シリコン基板の表面温度を制御することができる。
シリコン基板の加熱は、第1工程で予備加熱した後、第3工程で最終温度まで加熱するという2段階加熱を行っても良く、第1工程で最終温度まで加熱してもよいが、2段階加熱を行う場合で、しかも第1工程でのシリコン基板の表面温度が1200℃より低い場合、第2工程では、次の様な問題が生じる。
第2工程で、有機シランの導入を開始してから、サセプタ温度が有機シランの分解、反応が促進される温度に到達するまでの時間をtとすると、この時間tを超える時間に亘って炭素を含むガスを供給し続けた場合、この炭素を含むガスと有機シランが、有機シランの分解、反応が促進される温度以上で共存することとなる。したがって、炭化珪素薄膜の成長過程で炭素過剰、つまり、その成長過程での制御因子であるC/Si供給比についてC過剰となり、最適なC/Si供給比を保つことができなくなり、その結果、成膜性が低下し、外観に曇り面が生じ、膜の結晶性が悪化してしまう虞が生じる。
そこで、本発明者等は、第2工程での成膜性の低下を防止するために、第1工程におけるシリコン基板の表面温度と、第2工程に掛かる時間tとの関係について検討した結果、次のような(1)または(2)の関係を満たす場合に、良好な膜が得られることが分かった。
(1)第1工程におけるシリコン基板の表面温度が1200℃未満の場合、第2工程における有機シランの導入開始から有機シランがシリコン基板の表面に到達するまでの時間をt、有機シランの導入開始からシリコン基板の表面温度が1200℃以上かつ1380℃以下の温度範囲に到達するまでの時間をtとすると、第2工程の時間tはt≦t≦tを満たす。
(2)第1工程におけるシリコン基板の表面温度が1200℃以上の場合、第2工程における有機シランの導入開始から有機シランがシリコン基板の表面に到達するまでの時間をtとすると、第2工程の時間tは時間tに等しい(t=t)。
本実施形態の炭化珪素薄膜の成膜方法によれば、シリコン基板が載置された反応装置内に炭素を含むガスを導入し、シリコン基板と炭素を含むガスとを反応させる第1の工程と、この反応装置内に炭素を含むガスと有機シランとを導入し、シリコン基板が還元性雰囲気に曝されるのを防止するとともに有機シランを反応させてSiC薄膜を成膜する第2の工程と、この反応装置内に有機シランを導入し、有機シランを反応させてSiC薄膜を成膜する第3の工程とを有するので、結晶性が良くかつ平坦性に優れた炭化珪素薄膜を容易に成膜することができる。したがって、高品質の炭化珪素薄膜を容易に得ることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
(実施例)
シリコン基板としては、(111)面を有するn型単結晶シリコンウエハを用いた。また、CVD装置としては、縦型の減圧CVD装置を用い、反応管としては水冷ジャケット付き石英管を用いた。また、サセプタとしては、表面をSiCにてコーティングした高周波誘導加熱型のグラファイト・サセプタを用いた。
また、真空排気には、10−3Pa台の真空到達度を有するターボ分子ポンプを用い、反応ガスの排気には、メカニカルブースターポンプを用いた。
炭素を含むガスとしてはプロパン(C)ガス(純度:99.9995%)を、また、有機シランとしてはヘキサメチルジシラン(HMDS)(純度:99.9999%(6N))を、キャリアガスとしては水素(H)ガス(純度:99.99999%(7N))を、それぞれ用いた。
ヘキサメチルジシラン(HMDS)は常温では液体(bp=112〜113℃)であるから、水素(H)ガスでバブリングすることにより反応管内に導入した。このHガスの流量はマスフローコントローラー(MFC)を用いて正確に制御し、反応管内へ供給した。この場合のヘキサメチルジシラン(HMDS)の流量は、正確な温度測定により飽和蒸気圧曲線から算出した。
A.第1工程(I)
プロパン(C)ガスを用いてシリコン基板の表面の炭化処理を行った。ここでは、反応管内を水素(H)ガスで満たし、このHガスの圧力を8.5kPaとし、この反応管内にCガス(室温:25℃)を導入しながら、サセプタの温度を1100℃まで昇温させ、1100℃にて120秒間保持した。なお、Hガスの流量は0.6slm(Standard liter per minute:標準状態における1分当たりの流量)、Cガスの流量は2sccm(Standard cubic centimeter per minute:標準状態における1分当たりの流量)であった。
B.第2工程(II)
ガスを第1工程と同様に供給しながら、有機シランとしてヘキサメチルジシラン(HMDS)の供給を開始した。この開始時刻から60秒後にCガスの供給を停止した。また、ヘキサメチルジシラン(HMDS)の供給開始と同時にサセプタの昇温を開始し、1100℃から1350℃に60秒間で昇温させた。ここでは、ヘキサメチルジシラン(HMDS)を供給する際に、Hガスによるバブリングを行い、この工程での反応管内の圧力は8.5kPa、Hガスの流量は6slm、ヘキサメチルジシラン(HMDS)のバブリング流量は19.2sccm(HMDSの実質的な流量は0.6sccm)であった。
C.第3工程(III)
サセプタの温度を1350℃に保持しながら、ヘキサメチルジシラン(HMDS)の供給を1800秒間、続けた。その後、ヘキサメチルジシラン(HMDS)の供給を停止し、Hガスのみをそのまま流しながら、電源の出力を停止し、反応管内を自然冷却し、実施例の試料を得た。
図1は、第1〜第3工程(I〜III)の温度プロファイルを示す図である。
この実施例では、第2工程(II)の時間tを60秒間とした。
ここで、有機シランの導入開始から有機シランがシリコン基板の表面に到達するまでの時間tは、反応管の容積をV(cm)、ガスの流量をn(sccm)とすると、このガスが反応管内を満たすまでの時間t=60×V/nで表すことができる。これは、単純に流量から反応管内を満たす時間を算出したものであり、拡散係数や流速の影響は無視している。
この実施例の場合、ヘキサメチルジシラン(HMDS)のバブリング流量は19.2sccmであり、しかも0.085気圧の減圧下で行ったので、反応管内での1秒当たりのガス流量は19.2÷60÷0.085≒3.8cc/秒となる。
一方、反応管の寸法を内径:約6cm、長さ(高さ)約5cmとすると、反応管内の容積は約141ccである。したがって、ヘキサメチルジシラン(HMDS)が反応管内を満たすのに必要な時間は、141÷3.8≒37秒となる。したがって、本実施例の第2工程の時間tは、t≦t≦tを満たしている。
図2は、金属顕微鏡による実施例の試料の外観を示す図であり、この試料の外観全体が鏡面1であり、曇り部は認められなかった。
図3は、実施例の試料の表面の微細構造を示す走査型電子顕微鏡(SEM)像であり、この試料の表面にはエッチピットが認められなかった。
本実施例のSiC薄膜の成膜方法によれば、外観に曇り部を生じず、異常突起の発生しない良質の結晶膜を成膜できることが分かった。
(比較例)
第1工程終了後、直ちにCガスの供給を停止した他は、実施例と同様にしてSiC薄膜を得た。
図4は、第1〜第3工程(I〜III)の温度プロファイルを示す図であり、この比較例では、第2工程(II)の時間tは0秒である。
図5は、金属顕微鏡による比較例の試料の外観を示す図であり、この試料には鏡面1の一部に曇り部2が生じていた。
図6は、比較例の試料の表面の微細構造を示す走査型電子顕微鏡(SEM)像であり、この試料の表面には多数のエッチピットが生じていることが認められた。
この比較例では、鏡面1の一部に曇り部2が生じており、また、表面には多数のエッチピットが生じており、膜質が悪いことが分かった。
本発明の炭化珪素薄膜の成膜方法は、結晶性が良くかつ平坦性に優れた炭化珪素薄膜を容易に成膜することができるものであるから、シリコン基板上はもちろんのこと、シリコン以外の各種基板や基材上に炭化珪素薄膜を成膜する際においても、非常に有益なものである。
本発明の実施例の温度プロファイルを示す図である。 本発明の実施例の試料の外観を示す図である。 本発明の実施例の試料の表面の微細構造を示す走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 比較例の温度プロファイルを示す図である。 比較例の試料の外観を示す図である。 比較例の試料の表面の微細構造を示す走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
符号の説明
1 鏡面
2 曇り部

Claims (1)

  1. シリコン基板の一主面に化学気相成長法により半導体材料または光学材料の立方晶炭化珪素薄膜をエピタキシャル成長させる方法であって、
    シリコン基板が載置された反応装置内に炭素を含むガスのみを導入し、前記シリコン基板の表面を炭化させる第1の工程と、前記反応装置内に炭素を含むガス及び有機シランを導入し、前記シリコン基板が還元性雰囲気に曝されるのを防止しつつ前記有機シランを反応させて炭化珪素膜を成膜する第2の工程と、前記反応装置内への前記炭素を含むガスの導入を停止して前記反応装置内に前記有機シランのみを導入し、この有機シランを反応させて炭化珪素膜を成膜する第3の工程とを有し、
    前記第1ないし第3の工程におけるシリコン基板の表面温度を前記有機シランの分解、反応が促進される1200〜1380℃とし、前記第2及び第3の工程を0.001〜1気圧の水素ガス雰囲気下にて行うことを特徴とする炭化珪素薄膜の成膜方法。
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