JP4521085B2 - 油圧式無段変速装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ポンプと油圧モータとにより構成される油圧式無段変速装置の中立位置の位置決め機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、油圧式無段変速装置においては、例えば油圧ポンプを可変容量型に構成し、該油圧ポンプの容量の調整は、油圧式無段変速装置外部に設けた操作レバーを操作することにより該油圧ポンプの可動斜板の傾角を制御して行うようにしていた。該油圧式無段変速装置には、可動斜板と連動するデテント機構により構成される中立位置決め機構がハウジング内に設けられ、油圧ポンプの中立位置をこの中立位置決め機構により決定するように構成したものがある。
【0003】
このハウジングに内装される中立位置決め機構は、例えば、可動斜板の操作レバーにローラ状のカムフォロアーを設けて、該カムフォロアーへ、バネにより付勢されるカムを当接させて中立位置決めを行うように構成されていた。また、油圧式無段変速装置には、可動斜板の斜板角度を一定の範囲に規制するストッパが設けられており、該ストッパは、ハウジングや可動斜板等の油圧式無段変速装置本体に形成されていた。さらに、中立位置決め機構をハウジング外部に付設した油圧式無段変速装置もあり、この場合は、可動斜板のストッパは中立位置決め機構に設けられていた。 また、前記カムフォロアーは、図13に示すカムフォロアー102のように、可動斜板の操作レバー101に片持ち支持されたり、図14に示す112のように、可動斜板の操作レバー111に両持ち支持されたりしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述の如く構成した油圧式無段変速装置においては、中立位置決め機構にて設定した中立位置に対し、可動斜板や斜板操作レバーやハウジング等の構成部品の加工精度により、前後進方向の斜板角度がずれることとなる。さらに、オリフィス式中立バルブ等を用いると、中立位置が、オリフィス孔の加工精度によるずれに加えてさらに後進側へずれる。従って、可動斜板の斜板角度の範囲を規制するストッパをハウジングや可動斜板に設けていると、可動斜板を最大斜板角度まで用いることができず有効活用することができないとともに、前後進側の斜板角度がそれぞれ異なることとなっていた。
【0005】
また、中立位置決め機構のカムフォロアーを、可動斜板の操作レバーに形成した支持軸により片持ち支持すると、該操作レバーの加工コストが高くなるとともに、該カムフォロアーの抜け止め用の止輪を設けなければならないので、カムフォロアー支持部の軸方向幅に多くのスペースが必要となっていた。さらに、カムフォロアーの支持強度が不足しがちであった。また、カムフォロアーを両持ち支持した場合は、支持部の構造が複雑でコスト高になるとともに、カムフォロアー支持部の軸方向幅にさらに多くのスペースが必要となっていた。
【0006】
また、ハウジング外部に付設した中立位置決め機構に可動斜板のストッパを設けた場合、他の機器等との干渉により中立位置決め機構が変形したり、ストッパと中立位置決め機構との間に泥等を噛みこんだりして、中立位置決め機構による中立位置や、ストッパによる斜板角度の位置規制の精度不良が発生する恐れがあった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
請求項1においては、油圧ポンプ(2)の可動斜板(2c)を操作する操作レバー(10)に形成されたカムフォロアー(10a)と、一端部が付勢力を付加され、他端部が回動自在に支持されたデテントカムプレート(54)とからなる、ケーシング内装式の中立位置決め機構を有する油圧式無段変速装置(1)において、該操作レバー(10)の一端部に、該カムフォロアー(10a)を一体的に形成し、前記カムフォロアー(10a)と、該油圧式無段変速装置(1)を付設するセンターセクション(32)との間のスペースに、中立位置決めを行うデテントカムプレート(54)を配設し、該カムプレート(54)のカムフォロアー(10a)側端面には、凹陥したデテントカム部(54a)を形成し、該デテントカム部(54a)は、上方及び下方へいくに従って操作レバー(10)側へ近づくように傾斜し、前記カムフォロアー(10a)のデテントカム部(54a)との当接面は、略円弧形状に形成して、該可動斜板(2c)を中立位置に保持すべく構成し、
前記デテントカム部(54a)の上方に、上ストッパ部(54e)を形成し、下方には下ストッパ部(54f)を形成し、前記カムフォロアー(10a)が一定位置まで上下方向へ回動すると、該上下ストッパ部(54e・54f)に当接し、それ以上の上下方向への回動を阻止し、前記上下ストッパ部(54e・54f)により、前記可動斜板(2c)の斜板角度を一定の範囲に規制するように構成したものである。
【0009】
請求項2においては、請求項1記載の油圧式無段変速装置において、前記上下ストッパ部(54e・54f)を、プレス成形によりカムプレート(54)に一体形成したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1は本発明の中立位置決め機構を備えた油圧式無段変速装置を示す側面断面図、図2は同じく平面断面図、図3は同じく後面図、図4は可動斜板のストッパを有する中立位置決め機構を示す側面図、図5は可動斜板の操作レバーが上方回動位置で上ストッパ部により回動規制された状態を示す側面図、図6は可動斜板の操作レバーが下方回動位置で下ストッパ部により回動規制された状態を示す側面図である。
【0012】
図7はカムフォロアーが設けられる可動斜板の操作レバーの別構成例を示す平面図、図8は同じく側面図、図9はカムフォロアーが設けられる可動斜板の操作レバーの第三構成例を示す平面図、図10は同じく側面図、図11はカムフォロアーが設けられる可動斜板の操作レバーの第四構成例を示す平面図、図12は同じく側面図、図13は従来のカムフォロアーの支持状態を示す図、図14は従来のカムフォロアーの支持状態の別構成例を示す図である。
【0013】
まず、本発明の中立位置決め機構を備えた油圧式無段変速装置について説明する。図1に示すように、油圧式無段変速装置(以降HSTと記載する)1は、油圧ポンプ2と油圧モータ3とにより構成されている。該油圧ポンプ2と油圧モータ3とは上下に並設され、該油圧ポンプ2及び油圧モータ3の後端部(図1における右側端部)にセンターセクション32が配置されている。
【0014】
油圧ポンプ2は、駆動軸2a、該駆動軸2aが挿嵌され駆動軸2aと共に回動するシリンダブロック2b、該シリンダブロック2bに摺動自在に挿嵌されたプランジャ2e、及び該プランジャ2eに当接した可動斜板2cにより構成され、可変容量型油圧ポンプとされている。可動斜板2cはプランジャ2eの摺動量を規制し、該油圧ポンプ2の作動油の吐出量を調節可能に構成されている。センターセクション32には図示せぬ油路が設けられており、油圧ポンプ2より作動油が該油路を介して油圧モータ3に供給される。
【0015】
油圧モータ3は油圧ポンプ2と同様に、センターセクション32に挿嵌し、一端をハウジング31により回動自在に支持された出力軸3a、該出力軸3aが挿嵌され該出力軸3aと共に回動するシリンダブロック3b、該シリンダブロック3bに摺動自在に挿嵌されたプランジャ3eおよび該プランジャ3eに当接した固定斜板3cにより構成されている。該シリンダブッロク3bは出力軸3aとともに回動する構成になっており、該シリンダブッロク3bにはプランジャ3eが摺動自在に挿嵌されている。該プランジャ3eはハウジング31に固設された固定斜板3cに当接している。
【0016】
上記の構成により、エンジン等の駆動力が駆動軸2aに入力され、油圧ポンプ2が駆動される。そして、該油圧ポンプ2の駆動により吐出された作動油がセンターセクション32を介して油圧モータ3に供給されて、該作動油の流出入により油圧モータ3が駆動され、油圧モータ3の駆動力が出力軸3aに伝達される構成となっている。
【0017】
また、ハウジング31内における油圧ポンプ2の部分には操作レバー10が配設され、該操作レバー10の一端部(図1における右端部)にはカムフォロアー10aが形成され、他端部(図1における左端部)はピン軸7により可動斜板2cと連結され、途中部にはハウジング31に回動自在に支持されるトラニオン軸9が取り付けられている。該トラニオン軸9はハウジング31の外部へ突出しており、油圧ポンプ2の外部からトラニオン軸9を回動操作することにより操作レバー10を上下回動させ、これにより、可動斜板2cの斜板角度が調節されるように構成している。
【0018】
次に、HST1の中立位置決め機構について図1乃至図4により説明する。操作レバー10の一端部に設けられるカムフォロアー10aが、該操作レバー10と一体的に形成されている。該カムフォロアー10aは操作レバー10と同一部材にて形成されている。該カムフォロアー10aとセンターセクション32との間のスペースには、中立位置決めを行うデテントカムプレートであるカムプレート54が配設され、該カムプレート54のカムフォロアー10a側端面には凹陥したデテントカム部54aが形成されている。そして、カムプレート54のカムフォロアー10a側端面は、デテントカム部54aから上方及び下方へいくに従って操作レバー10側へ近づくように傾斜している。
【0019】
また、カムプレート54のカムフォロアー10a側端面におけるデテントカム部54a近傍には、カムフォロアー10aが圧接状態で当接しており、該カムフォロアー10aのカムプレート54との当接面は略円弧形状に形成されている。
【0020】
前記カムプレート54は、下端部54bを偏心軸55により支持されており、該偏心軸55は油圧ポンプ2のハウジング31の一側面に回転自在に軸支されている。偏心軸55は軸支部55aとカム支持部55bとで構成され、該軸支部55aはハウジング31の一側面に設けられる軸受31bに軸支され、カム支持部55bはカムプレート54の一端部54bを回転自在に支持している。そして、ハウジング31の軸受31bに軸支される軸支部55aの軸心と、カムプレート54の他端部54bを支持するカム支持部55bの軸心とは偏心しており、これにより、該軸受31bの軸心とカム支持部55bの軸心とが偏心されることとなる。
【0021】
一方、カムプレート54の上端部54cには、センターセクション32側へ突出する凸部54dが、カムプレート54と同一部材により一体的に形成されている。センターセクション32における該凸部54dに対応する箇所には凹部32aが形成されており、該凹部32aには付勢部材であるスプリング56が嵌装されている。即ち、カムプレート54におけるスプリング56の受け部材を、カムプレート54と一体的に形成される凸部54dにより構成しているのである。
【0022】
また、該スプリング56にはカムプレート54の前記凸部54dが嵌挿され、該スプリング56によりカムプレート54を支持するとともに、該カムプレート54をカムフォロアー10a側へ付勢するように構成している。このように、スプリング56によって、カムプレート54がカムフォロアー10a側へ付勢されることにより、カムプレート54のカムフォロアー10a側端面におけるデテントカム部54a近傍がカムフォロアー10aへ圧接することとなっている。
【0023】
該カムフォロアー10aはデテントカム部54aに当接している状態が最も圧接力が小さくなり、また、カムフォロアー10aがデテントカム部54aに当接する位置にあるときに油圧ポンプ2の可動斜板2cが中立位置となるように構成している。そして、凹陥したデテントカム部54aに当接して中立位置にあるカムフォロアー10aが、トラニオン軸9の回動操作により該デテントカム部54aから上方向又は下方向へ回動するに従って、デテントカム部54aはカムフォロアー10aによりセンターセクション32側へ押圧されてスプリング56による付勢力が大きくなり、カムフォロアー31のデテントカム11への圧接力が大きくなる。
【0024】
従って、操作レバー10を上下回動させるトラニオン軸9の操作力を解除すると、カムプレート54の付勢力によりカムフォロアー10aが中立位置に戻されてデテントカム部54aと嵌合し、HST1が中立状態で保持されることとなる。このように、可動斜板2cの傾角を操作する操作レバー10へ一体的に形成したカムフォロアー10aに、カムプレート54のデテントカム部54aを圧接させることにより操作レバー10の中立位置を決定するデテント機構を中立位置決め機構として構成している。
【0025】
また、ハウジング31におけるカムプレート54の他端部54cに対応する位置には、突起31a・31aが該ハウジング31と一体的に形成されている。そして、該突起31aと突起31aとの間に窪み部58が形成され、該窪み部58によりカムプレート54の他端部54cが、駆動軸2aと直交する方向にガイドされている。即ち、ハウジング31に一体的に形成される窪み部58により、カムプレート54の他端部54cを駆動軸2aと直交する方向にガイドしている。
【0026】
また、デテントカム部54aにカムフォロアー10aが当接した状態にて、油圧ポンプ2の可動斜板2cが中立位置よりずれた状態となった場合、前記偏心軸55をHST1外部から回転操作して中立位置を微調整するようにしている。即ち、偏心軸55を回転操作すると、軸支部55a及び軸受31bの軸心に対してカム支持部55bの軸心が偏心しているため、該カム支持部55bは軸支部55a及び軸受31bの軸心を中心にして公転し、該カム支持部55bにより支持されるカムプレート54の一端部54bが上下方向へ移動する。これにより、カムフォロアー10aを介してカムプレート54に圧接される操作レバー51が上下方向に微動回動されて、中立位置が微調節されることとなる。
【0027】
また、カムプレート54のカムフォロアー10a側端面における、デテントカム部54aの上方には上ストッパ部54eが形成され、該デテントカム部54aの下方には下ストッパ部54fが形成されており、該上下ストッパ部54e・54fにより、操作レバー10の上下回動範囲、即ち、可動斜板2cの斜板角度範囲を規制するようにしている。
【0028】
例えば、図5に示すように、カムフォロアー10aが上方回動するように操作レバー10を操作した場合、カムフォロアー10aが一定位置まで上方回動すると、該カムフォロアー10aが上ストッパ部54eに当接してそれ以上の上方回動を阻止される。逆に、図6に示すように、カムフォロアー10aが下方回動するように操作レバー10を操作した場合、カムフォロアー10aが一定位置まで下方回動すると、該カムフォロアー10aが下ストッパ部54fに当接してそれ以上の下方回動を阻止される。
【0029】
また、上下ストッパ部54e・54fはカムプレート54に一体的に形成され、例えば、プレス成形によりカムプレート54を上下ストッパ部54e・54fと同時に一体的に形成するようにしている。このように、上下ストッパ部54e・54fをカムプレート54に一体形成することで、部品点数や仕組み工数を削減できるとともに、中立位置決め機構や可動斜板2cのストッパを安価に構成することが可能となっている。
【0030】
また、カムプレート54に形成される上下ストッパ部54e・54fは、その形成位置を任意に設定することが可能であり、中立位置に対する任意の斜板角度範囲で可動斜板2cの回動操作を規制することができるため、該可動斜板2cを最大斜板角度まで用いることができ有効活用することが可能となる。そして、中立位置決め機構及び上下ストッパ部54e・54fはハウジング31に内装されているので、他の機器等との干渉や泥等を噛み込みによる、中立位置調整の精度不良や、斜板角度の位置規制の精度不良の発生を防止することができる。さらに、可動斜板2cの斜板角度範囲を規制するストッパを、ハウジングや可動斜板等の油圧式無段変速装置本体に形成する必要もなくなる。
【0031】
次に、カムフォロアー10aが設けられる操作レバー10の別構成例について説明する。図7、図8に示す操作レバー60においては、一端部にカムフォロアー61が配置され、他端部にはピン軸7が突出しており、途中部にはトラニオン軸9が取り付けられている。
【0032】
カムフォロアー61は段付きの円柱状、即ち段付きの中実のローラ状に形成され、小径部を支持軸61aとして、大径部をカムフォロアー部61bとして構成されている。また、操作レバー60の一端部にはフランジ部60aが延出して、該フランジ部60aに形成された支持孔60cにより、支持軸61aを回転自在に支持している。そして、フランジ部60aの反カムフォロアー部61b側に突出する部分の支持軸61aには止輪65を嵌装して、支持軸61aがフランジ部60aから抜け落ちないようにしている。
【0033】
また、操作レバー60における、カムフォロアー部61bの反カムプレート54側部分には軸受部60bが形成されている。該軸受部60bは、図8に示す如く側面視円弧形状に形成され、該軸受部60bの内周径と、カムフォロアー部61bの外周径とは略同じに形成されている。そして、カムフォロアー部61bの反カムプレート54側の外周面が軸受部60bの内周面に摺接している。カムフォロアー部61bを操作レバー60の軸受部60bに摺接させることで、カムフォロアー部61bがカムプレート54に圧接した際に、該カムフォロアー部61bが軸受部60bにより支持されることとなる。
【0034】
このように、カムフォロアー61の支持軸61aを操作レバー60の一端部に形成されるフランジ部60aにて回転自在に支持するとともに、該カムフォロアー60におけるカムフォロアー部61bの反カムプレート54側面に、操作レバー60に形成される軸受部60bを摺接させることにより、カムフォロアー61を両持ち支持した場合に比べて操作レバー60におけるカムフォロアー61取付部の幅寸法を小さく抑え、ハウジング31とプランジャブロック2bとの間の寸法Wを小さくして、HST1をコンパクトに構成することが可能になるとともに、該カムフォロアー61の支持強度を、両持ち支持した場合の如く、十分に確保することができる。また、カムフォロアー61の支持軸61aとカムフォロアー部61bとを一体的に形成しているので、操作レバー60を簡単な形状として、該操作レバー60をロストワックスキャスティング等の量産工法で形成することが可能となり、機械加工を最小限に抑えて低コスト化を図ることが可能となる。
【0035】
また、前記カムフォロアー10a及び操作レバー10は次のように構成することもできる。図9、図10に示す操作レバー70においては、一端部にカムフォロアー71が配置され、他端部にはピン軸7が突出しており、途中部にはトラニオン軸9が取り付けられている。
【0036】
カムフォロア71は一様径の円柱状、即ち一様径の中実のローラ状に形成されている。操作レバー70の一端部にはフランジ部70aが延出しており、該フランジ部70aに形成される支持孔70cへ該カムフォロア71の一端部を嵌入することで、該フランジ部70aによりカムフォロア71を回転自在に支持している。即ち、カムフォロアー71は操作レバー70のフランジ部70aにより支持されている。
【0037】
また、カムフォロアー71における、支持孔70cへ嵌入されてフランジ部70aにより支持されている部分の外周には、溝71aが形成されており、フランジ部70aの支持孔70c近傍に打設される抜け止めピン75を、該溝71aと支持孔70cとの間に形成される間隙に嵌合させて、該カムフォロアー71がフランジ部70aから抜け落ちないようにしている。
【0038】
また、操作レバー70における、カムフォロアー71の反カムプレート54側部分には軸受部70bが形成されている。該軸受部70bは、図10に示す如く側面視円弧形状に形成され、該軸受部70bの内周径と、カムフォロアー71の外周径とは略同じに形成されている。そして、カムフォロアー71の反カムプレート54側の外周面が軸受部70bの内周面に摺接している。カムフォロアー71を操作レバー70の軸受部70bに摺接させることで、カムフォロアー71がカムプレート54に圧接した際に、該カムフォロアー71が軸受部70bにより支持されることとなる。
【0039】
このように、カムフォロアー71を操作レバー70の一端部に形成されるフランジ部70aにて回転自在に片持ち支持するとともに、該カムフォロアー70の反カムプレート54側面に、操作レバー70に形成される軸受部70bを摺接させ、該カムフォロアー71における、片持ち支持される部分の外周に溝71aを形成し、該溝71aに、操作レバー70に打設した抜け止めピン75を嵌合することにより、前述の操作レバー60の場合のように、カムフォロアー61の抜け止め用の止輪65を設ける必要がなく、該カムフォロアー61の支持軸61aの如くの支持部の長さを短く形成することができ、操作レバー70におけるカムフォロアー71取付部の幅寸法を小さく抑え、ハウジング31とプランジャブロック2bとの間の寸法Wをさらに小さくして、HST1をコンパクトに構成することが可能になる。また、該カムフォロアー71の支持強度を、両持ち支持した場合の如く、十分に確保することができる。
【0040】
さらに、操作レバー70を簡単な形状に形成することができるので、該操作レバー70をロストワックスキャスティング等の量産工法で形成することが可能となり、機械加工を最小限に抑えて低コスト化を図ることが可能となる。そして、カムフォロアー71における、カムプレート54へ当接する部分の外径と、フランジ部70aにより支持される部分の外径とを同じに形成することで、操作レバー70の軸受部70bと支持孔70cとを、同一の工具で同時に形成することが可能となるので、該操作レバー70は前述の操作レバー60よりもさらに低コストで形成することができる。
【0041】
また、前記カムフォロアー10a及び操作レバー10は次のように構成することもできる。図11、図12に示す操作レバー80においては、一端部にカムフォロアー81が配置され、他端部にはピン軸7が突出しており、途中部にはトラニオン軸9が取り付けられている。
【0042】
カムフォロアー81は円筒形のローラ状に形成され、支持軸82に回転自在に外嵌されている。カムフォロアー81が配置される操作レバー80の一端部にはフランジ部80aが延出して、該フランジ部80aにより、支持軸82の一端部を支持している。即ち、カムフォロアー81は、支持軸82を介して、操作レバー80のフランジ部90aにより片持ち支持されている。そして、フランジ部80aの反カムフォロアー81側に突出する部分の支持軸82には止輪85を嵌装して、支持軸82がフランジ部80aから抜け落ちないようにしている。
【0043】
また、支持軸82の他端部には、カムフォロアー81の外径よりも大径で、薄い円板状に形成される支持軸フランジ82aが形成されており、操作レバー80における、カムフォロアー81の反カムプレート54側部分には軸受部80bが形成されている。該軸受部80bは、図12に示す如く側面視円弧形状に形成され、該軸受部80bの内周径と、支持軸フランジ82aの外周径とは略同じに形成されている。そして、支持軸フランジ82aの反カムプレート54側の外周面が軸受部80bの内周面に摺接している。該支持軸フランジ82aを操作レバー80の軸受部80bに摺接させることで、カムフォロアー81がカムプレート54に圧接した際に、支持軸フランジ82aが軸受部60bにより支持されることとなり、カムフォロアー81は、両持ちされた状態と同等の支持状態となる。
【0044】
このように、カムフォロアー81を円筒状に形成し、一端部を操作レバーに片持ち支持される支持軸82に該カムフォロアー81を回転自在に外嵌し、該支持軸82の他端部にカムフォロアー81の外径よりも大径の支持軸フランジ82aを形成し、該支持軸フランジ82aの反カムプレート54側面を、操作レバー80に形成される軸受部80bに摺接させることにより、カムフォロアー81を両持ち支持した場合と同等の十分な支持強度を得つつ、カムフォロアー81を両持ち支持した場合に比べて操作レバー80におけるカムフォロアー81取付部の幅寸法を小さく抑え、ハウジング31とプランジャブロック2bとの間の寸法Wを小さくして、HST1をコンパクトに構成することが可能になる。また、操作レバー80を簡単な形状に形成することができ、該操作レバー80をロストワックスキャスティング等の量産工法で形成することを可能として、機械加工を最小限に抑えて低コスト化を図ることができる。また、カムフォロアー80の方が、前述のカムフォロアー60・70の場合に比べて、転がり抵抗を小さくすることができるため、可動斜板2cの操作トルクを減少して、中立位置決め機構の信頼性を向上することができる。
【0045】
さらに、斜板を中立位置に保持するための該デテントカムプレートに当接するカムフォロアーを段付きの円柱状に形成し、該カムフォロアーの小径部を斜板操作レバーの一端部に形成される支持孔に回転自在に支持するとともに、該カムフォロアーの大径部における反デテントカムプレート側の面を、斜板操作レバーに形成した軸受部に摺接させたので、カムフォロアーを両持ち支持した場合に比べて斜板操作レバーにおけるカムフォロアー取付部の幅寸法を小さく抑え、ハウジングとプランジャブロックとの間の寸法を小さくして、油圧式無段変速装置をコンパクトに構成することが可能になるとともに、該カムフォロアーの支持強度を、両持ち支持した場合の如く、十分に確保することができる。また、斜板操作レバーを簡単な形状として、該斜板操作レバーをロストワックスキャスティング等の量産工法で形成することが可能となり、機械加工を最小限に抑えて低コスト化を図ることが可能となる。
【0046】
さらに、斜板を中立位置に保持するための該デテントカムプレートに当接するカムフォロアーを一様径の円柱状に形成し、該カムフォロアーの一端部を斜板操作レバーの一端部に形成される支持孔に回転自在に支持するとともに、該カムフォロアーの他端部における反デテントカムプレート側の面を、斜板操作レバーに形成した軸受部に摺接させ、該カムフォロアーにおける操作レバーの支持孔位置の外周に溝を形成し、該溝と支持孔の内周面との間に形成される間隙へ、カムフォロアーを固定しないように間隙を設けて斜板操作レバーに打設したピン部材を嵌合したので、カムフォロアーの抜け止め用の止輪を設ける必要がなく、該カムフォロアーの支持部の長さを短く形成することができ、斜板操作レバーにおけるカムフォロアー取付部の幅寸法を小さく抑え、ハウジングとプランジャブロックとの間の寸法をさらに小さくして、油圧式無段変速装置をコンパクトに構成することが可能になる。そして、カムフォロアーにおける、デテントカムプレートへ当接する部分の外径と、斜板操作レバーにより支持される部分の外径とを同じに形成することで、斜板操作レバーの軸受部と支持孔とを、同一の工具で同時に形成することが可能となるので、該斜板操作レバーをさらに低コストで形成することができる。
【0047】
さらに、斜板を中立位置に保持するための該デテントカムプレートに当接するカムフォロアーを円筒状に形成し、一端部を斜板操作レバーに片持ち支持される軸に該カムフォロアーを回転自在に外嵌し、該軸の他端部にカムフォロアーの外径よりも大径のフランジを形成し、該フランジの反デテントカムプレート側の面を、斜板操作レバーに形成される軸受部に摺接させたので、カムフォロアーを両持ち支持した場合と同等の十分な支持強度を得つつ、カムフォロアーを両持ち支持した場合に比べて、操作レバーにおけるカムフォロアー取付部の幅寸法を小さく抑え、ハウジングとプランジャブロックとの間の寸法を小さくして、油圧式無段変速装置をコンパクトに構成することが可能になる。また、斜板操作レバーを簡単な形状に形成することができ、該斜板操作レバーをロストワックスキャスティング等の量産工法で形成することを可能として、機械加工を最小限に抑えて低コスト化を図ることができる。また、カムフォロアーの転がり抵抗を小さくすることができ、斜板の操作トルクを減少して、中立位置決め機構の信頼性を向上することができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
請求項1記載の如く、油圧ポンプ(2)の可動斜板(2c)を操作する操作レバー(10)に形成されたカムフォロアー(10a)と、一端部が付勢力を付加され、他端部が回動自在に支持されたデテントカムプレート(54)とからなる、ケーシング内装式の中立位置決め機構を有する油圧式無段変速装置(1)において、該操作レバー(10)の一端部に、該カムフォロアー(10a)を一体的に形成し、前記カムフォロアー(10a)と、該油圧式無段変速装置(1)を付設するセンターセクション(32)との間のスペースに、中立位置決めを行うデテントカムプレート(54)を配設し、該カムプレート(54)のカムフォロアー(10a)側端面には、凹陥したデテントカム部(54a)を形成し、該デテントカム部(54a)は、上方及び下方へいくに従って操作レバー(10)側へ近づくように傾斜し、前記カムフォロアー(10a)のデテントカム部(54a)との当接面は、略円弧形状に形成して、該可動斜板(2c)を中立位置に保持すべく構成し、
前記デテントカム部(54a)の上方に、上ストッパ部(54e)を形成し、下方には下ストッパ部(54f)を形成し、前記カムフォロアー(10a)が一定位置まで上下方向へ回動すると、該上下ストッパ部(54e・54f)に当接し、それ以上の上下方向への回動を阻止し、前記上下ストッパ部(54e・54f)により、前記可動斜板(2c)の斜板角度を一定の範囲に規制するように構成したので、中立位置に対する任意の斜板角度範囲で斜板の回動操作を規制することができ、該斜板を最大斜板角度まで用いて有効活用することが可能となる。
そして、中立位置決め機構及びストッパはハウジングに内装されているので、他の機器等との干渉や泥等を噛み込みによる、中立位置調整の精度不良や、斜板角度の位置規制の精度不良の発生を防止することができる。
さらに、斜板の斜板角度範囲を規制するストッパを、ハウジングや可動斜板等の油圧式無段変速装置本体に形成する必要もなくなる。
【0049】
請求項2記載の如く、請求項1記載の油圧式無段変速装置において、前記上下ストッパ部(54e・54f)を、プレス成形によりカムプレート(54)に一体形成したので、該デテントカムプレート及びストッパをプレス成形等ににより同時に形成することが可能となり、部品点数や仕組み工数を削減できるとともに、中立位置決め機構や斜板のストッパを安価に構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の中立位置決め機構を備えた油圧式無段変速装置を示す側面断面図である。
【図2】 同じく平面断面図である。
【図3】 同じく後面図である。
【図4】 可動斜板のストッパを有する中立位置決め機構を示す側面図である。
【図5】 可動斜板の操作レバーが上方回動位置で上ストッパ部により回動規制された状態を示す側面図である。
【図6】 可動斜板の操作レバーが下方回動位置で下ストッパ部により回動規制された状態を示す側面図である。
【図7】 カムフォロアーが設けられる可動斜板の操作レバーの別構成例を示す平面図である。
【図8】 同じく側面図である。
【図9】 カムフォロアーが設けられる可動斜板の操作レバーの第三構成例を示す平面図である。
【図10】 同じく側面図である。
【図11】 カムフォロアーが設けられる可動斜板の操作レバーの第四構成例を示す平面図である。
【図12】 同じく側面図である。
【図13】 従来のカムフォロアーの支持状態を示す図である。
【図14】 従来のカムフォロアーの支持状態の別構成例を示す図である。
【符号の説明】
1 HST
2 油圧ポンプ
2c 可動斜板
3 油圧モータ
9 トラニオン軸
10 操作レバー
10a カムフォロアー
31 ハウジング
54 カムプレート
54a デテントカム部
54e 上ストッパ部
54f 下ストッパ部

Claims (2)

  1. 油圧ポンプ(2)の可動斜板(2c)を操作する操作レバー(10)に形成されたカムフォロアー(10a)と、一端部が付勢力を付加され、他端部が回動自在に支持されたデテントカムプレート(54)とからなる、ケーシング内装式の中立位置決め機構を有する油圧式無段変速装置(1)において、該操作レバー(10)の一端部に、該カムフォロアー(10a)を一体的に形成し、前記カムフォロアー(10a)と、該油圧式無段変速装置(1)を付設するセンターセクション(32)との間のスペースに、中立位置決めを行うデテントカムプレート(54)を配設し、該カムプレート(54)のカムフォロアー(10a)側端面には、凹陥したデテントカム部(54a)を形成し、該デテントカム部(54a)は、上方及び下方へいくに従って操作レバー(10)側へ近づくように傾斜し、前記カムフォロアー(10a)のデテントカム部(54a)との当接面は、略円弧形状に形成して、該可動斜板(2c)を中立位置に保持すべく構成し、前記デテントカム部(54a)の上方に、上ストッパ部(54e)を形成し、下方には下ストッパ部(54f)を形成し、前記カムフォロアー(10a)が一定位置まで上下方向へ回動すると、該上下ストッパ部(54e・54f)に当接し、それ以上の上下方向への回動を阻止し、前記上下ストッパ部(54e・54f)により、前記可動斜板(2c)の斜板角度を一定の範囲に規制するように構成したことを特徴とする油圧式無段変速装置。
  2. 請求項1記載の油圧式無段変速装置において、前記上下ストッパ部(54e・54f)を、プレス成形によりカムプレート(54)に一体形成したことを特徴とする油圧式無段変速装置。
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