JP4520038B2 - サイクロン式分離装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はサイクロン式分離装置に係り、特に掃除機に用いられるサイクロン式分離装置に関するものであるが、これに限定されるわけではない。
【0002】
【従来の技術】
サイクロン式分離装置は、通常上部の大径部に設けられる接線方向流入口と通常下部の小径部に開口する円錐体とを有する円錐台形状のサイクロン本体から概して構成される。塵を含む流体は接線方向流入口を通じて流入し、サイクロン本体を取り巻く螺旋経路に沿って流れる。この流動の際に、塵は流体から分離され、集塵部に開口する円錐体を通じて搬送されるかふるい落とされる。塵は集塵部から適切に廃棄可能である。通常は空気である清浄化された流体は、サイクロン本体の中心軸線に向かって流動して渦流を形成し、渦ファインダを経由して排出されて行く。渦ファインダは、サイクロン本体の小径(上)端部に配置され、サイクロン本体の中心軸線に位置合わせされている。
【0003】
渦ファインダは、通常、サイクロン本体内に向けて下向きに延在する簡単なチューブの形態で構成され、排出される流体の渦を確実にサイクロンの外部へと導く。しかしながら、渦ファインダは、特有の欠点をいくつか有している。これら欠点のうちの1つは、排出される流体の高い角速度に起因して、渦ファインダ内で顕著な圧力低下が起こることである。この問題を解決する試みとして、接線方向の流通管と組合せてサイクロンを通過して外部へと排出される流れを直線化するために、公知の渦ファインダの内部に複数の中心体が導入された。固定翼体を用いて渦流を低減させるいくつかの試みもなされている。これら種々の試みは、“装置工業においてエネルギを節約するための接線方向流通管の応用”(T O'Doherty, M Biffin, N Syred: Journal of Process Mechanical Engineering 1192年,Vol 206)というタイトルを付された文献に記載されている。中心体または翼体を用いたその他の装置は、国際特許出願WO 97/46323号、国際特許出願WO 91/06750号、米国特許第5,444,982号明細書に記載されている。これら全ての従来技術においては、中心体の全体が渦ファインダ内に配置されるか、そうでない場合には、中心体のごく一部がサイクロン本体内に突出するように配置されている。これは、中心体または翼体を用いる目的が、渦流を安定化させることではなく、渦ファインダ内の流れから渦流を除去することにあるからである。
【0004】
中心体は別の目的でもサイクロン式分離装置に導入されてきた。そのうちの1つは、米国特許第4,278,452号明細書に記載されているように、排出される流体を拡張させて、最外環部に位置し塵が残留している流体分離装置を通じて再循環させることである。しかし、中心体の主要部分は渦ファインダの外部に配置されなければならず、従って、中心体は渦ファインダ内の流体の流れを安定化させることはできない。中心体の他の用途は、分離装置の分離領域内においてコロナ放電を起こす電極を支持することである。この電極は分離領域内における分離効率を向上させるが、電極はコロナ放電を起こすために傾斜部または尖端部を有していなければならないので、排出される流体を安定化させることはできない。
【0005】
スイス国特許文献 388267 号には、渦ファインダから突出する中心体を用いて装置の主排出口から排出される気体の気泡発生を防止し、懸濁液から固体粒子と気泡とを分離する技術が記載されている。中心体は実質的に平坦な端部を有している。作動の際に渦核に移動する気泡は、サイクロンの排出口を構成する円錐状開口部を通じて装置から排出される。
【0006】
渦ファインダに関する別の問題点は、サイクロン式分離装置が作動する際に、渦ファインダの内部で摂動運動する渦核が大きな騒音を発することである。中心体の全体を渦ファインダ内に配置することによって、排出される流体に関係する騒音がある程度低減されるということは認識されていたが、騒音をさらに低減するために中心体を利用するという試みはなされて来なかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
掃除機のような家庭用機器においては、騒音は常に嫌悪されるものであり、可能な限り低減させることが望まれている。従って、本発明の目的は、騒音レベルが改善され家庭用機器への応用に適したサイクロン式分離装置を提供することである。本発明のさらなる目的は、渦ファインダを通過した際の圧力低下量をできる限り小さく抑えたサイクロン式分離装置を提供することである。本発明はさらに、家庭用掃除機への応用に適したサイクロン式分離装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は請求項1に記載のサイクロン式分離装置を提供する。本発明はまた、そのようなサイクロン式分離装置を組込んだ掃除機を提供する。さらなる特徴点及び好ましい特徴点は従属請求項に記載されている。
【0009】
円形断面と半球状、円錐状、または円錐台状の端部とを有する中心体を渦ファインダの最下端部を越えて突出するように設け、中心体の最端部からサイクロン本体の端面までの距離が渦ファインダの最小径の少なくとも2倍とすることによって、排出される渦流に関連した騒音が知覚できる程度低減される。騒音低減作用は、渦ファインダが渦ファインダの外部に著しく突出していない場合と比較して顕著に優れていることが判った。このことは、渦ファインダの壁面によって境界が定められた際の渦核の進行が空気流における圧力の撹乱を招き、それが騒音として顕在化するものと理解できる。従って、排出される空気が渦ファインダに流入する前に、このような回転を完全に安定化させることが望ましい。核が渦ファインダに到達する前に核の低圧領域に向けて中心体を延長することによって、核が渦ファインダに到達する前に核を安定化させることができる。騒音レベルはこうして低減される。特定の装置を用いた実験によって、特定の寸法諸元を有するサイクロン、渦ファインダ、及び中心体においては、サイクロンの上面から中心体が延在すべき点までの距離に関して最適値が存在することが判った。中心体が渦ファインダを通ってサイクロンの上面にまで延在する必要はないことは、以下の説明及び実施形態から明らかである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0011】
図1は、サイクロン式掃除機に適したサイクロン式分離装置10を示している。この例では、サイクロン式分離装置は、空気流の逐次浄化のために同心配置された2つのサイクロン12,14から構成されている。掃除機に関するその他の特徴(掃除機ヘッド部またはホース、モーター、モーター用フィルター、ハンドル、支持車輪などに関する特徴)は図面に示していない。なぜなら、それらは本発明を構成するものではないからであり、ここではさらなる説明は行わない。本実施形態において渦ファインダを有しているのは最も内側の高効率サイクロン14のみであり、従って、本発明の思想に関係するものは最も内側のサイクロン14のみである。しかしながら、本発明が、掃除機に適したサイクロン式分離装置以外のサイクロン式分離装置、及び唯1つのサイクロンを有するサイクロン式分離装置にも適用可能であることを理解されたい。
【0012】
最も内側のサイクロン14はサイクロン本体16を備えている。サイクロン本体16は、概して円錐台形状に形成され、その上端部には流体流入口18を、下端部には円錐状開口部20を有している。円錐状開口部20は、閉鎖された集塵チャンバ22によって囲まれている。流体流入口18を通じてサイクロン14に流入しサイクロン本体16内で空気流から分離された塵は集塵チャンバ22内に収集される。サイクロン本体16は上面24を有し、上面24の中央には渦ファインダ26が配置されている。渦ファインダは概して筒状に形成され、下方円筒部分26aを有している。下方円筒部26aは、サイクロン本体16の外部にある排出管に通じている上方円錐台部分26bにつながっている。これまでに説明したタイプのサイクロン式分離装置の作用は文献により周知であるので、ここではさらなる詳細説明を行わない。
【0013】
本発明の装置は、図1に示すように、渦ファインダ26内に配置された渦ファインダ中心体30を備えている。中心体30は図2aにも拡大して示されている。中心体30は中央延在部材32を備えている。中央延在部材32は、全長の大部分が円筒状に形成され、半球状端部32a,32bを有している。端部32a,32bを半球状に形成することによって、中心体30が存在する結果として空気流に乱流が発生する危険性を低減することができる。延在部材32は直径を挟んで対向配置された2つのタブ34を備えている。タブ34は概して矩形に形成され、延在部材32から半径方向外方に向けて渦ファインダ26の内壁面に当接するまで円筒部分26a内で延在している。乱流発生の危険性を低減させるために、タブ34の下流側縁部の角部には丸みがつけられている。また、タブ34の外側縁部にはノッチまたは溝36aが形成され、それに対応して、渦ファインダ26の円筒部分26aの内壁面には舌部または突起36bが形成されている。舌部または突起36bもまた直径を挟んで対向配置され、タブ34のノッチまたは溝36aと協働して中心体30を渦ファインダ26内の所定位置に保持するように形成され、位置決めされている。中心体を所定位置に保持する方法自体は本発明にとって重要ではなく、ノッチ/溝36a及び舌部/突起36bは、中心体30を信頼性高く渦ファインダ26内に適切に保持し中心体30がサイクロン式分離装置を流れる流体によって外れたり許容できないほどの振動を発することがないようにできるその他の手段に置換可能であることを理解されたい。嵌め込み方式の取り付け方法は、製造及び使用が容易であるので特に好ましい。
【0014】
中心体30の長さ及び位置は、上面24から最も遠い中心体30の端部32aが所定位置にくるように定められる。この所定位置から上面24までの距離は、渦ファインダ26の最小径の少なくとも2倍とされている。従って、渦ファインダ26の下端部からの中心体30の突出長さに渦ファインダ26の(上面24下方の)全長を加えた長さは、渦ファインダ26の最小径の少なくとも2倍でなければならない。この条件が満足されていると騒音の低減効果が向上する。図1に示す実施形態では、中心体30の最下端部は、上面24の下方で渦ファインダ26の最小径の約2.58倍の距離に位置している。より詳しく記述すると、中心体30の最下端部は上面24の下方82.5mmの距離に位置し、渦ファインダ26の最小径は32mmである。
【0015】
さらに、中心体30の長さは60mm、その直径は6mmである。中心体30は、渦ファインダ26の最下端部から下方に16.5mm突出している。このような配置によって、掃除機全体から発せられるオーバーオールの音圧レベル(騒音)を1.5dBA低減することができる。
【0016】
中心体30を良好に機能させるために、中心体30は長さ方向の各点で円形に形成される。このように中心体30の主要部分は円筒状に形成されるが、上流側端部32a、下流側端部32bは種々の形態に形成可能である。図2aに示す実施形態では、両端部32a,32bとも半球状に形成されている。しかし、一方または他方の端部を、例えば円錐状または円錐台状に形成してもよい。但し、装置内の圧力低下及び/またはエネルギ損失を低減できるので、円錐状の端部の方が好ましい。図2bには変更形態の中心体50を示している。中心体50の中央部分すなわち延在体52はここでも円筒状であり、下流側端部52bは半球状であるが、上流側端部52aは円錐状に形成されている。図2aに示す中心体50と図2bに示す変更形態の中心体との間のさらなる相違点は、延在体52に支持の目的で設けられたタブ54の数である。図2bに示す実施形態は、等角度配置された4枚のタブ54を有している。それらに対応する舌部が中心体50を渦ファインダ26内に支持する目的で渦ファインダ26の壁面に形成されている。
【0017】
図2cには、さらに別の実施形態を2つの視点で示している。この図においては中心体70を2つの異なる視点から斜視図として示し、タブ74の螺旋形状が明瞭に分かるようにしている。タブ74を螺旋形状としているのは、渦ファインダを通じて排出される空気の回転運動をタブ74が妨げないようにするためである。図2aに示す実施形態では、延在体72は概して円筒状に形成され、上流側端部72aは半球状に形成されている。下流側端部72bは平面である。タブ74の各々は、遠方端部に溝74aを有するように形状形成されている。溝74aは、渦ファインダ内に型形成された突起と協働して中心体70を渦ファインダ内の所定位置にしっかりと保持するように機能する。
【0018】
分離装置に関する変更形態を部分的に図3に示す。この図は、分離装置80の上部のみを示している。分離装置80は、前述と同様に、上流側低効率サイクロン82と下流側高効率サイクロン84とを備えている。低効率サイクロン84はサイクロン本体86を備え、サイクロン本体86は、サイクロン84の上端部に通じている流入口88と、図1に示すものと同様に、サイクロン84の下端部に開口し集塵器(図示せず)に囲まれた円錐部(図示せず)とを備えている。サイクロン84の上端部は上面90によって閉鎖されている。上面90からは渦ファインダ92がぶら下がり、サイクロン84の中心軸線に沿ってサイクロン84の内部へと延在している。渦ファインダ92はその長さの大部分において円筒形状をなしているが、上端部では外方に向けてフレア状になっており、上面90と滑らかにつながっている。
【0019】
渦ファインダ92内部には中心体94が固定配置されている。中心体94は、上面90の上方から渦ファインダ92を貫通し、渦ファインダ92の下端部を越えて突出するように延在している。中心体94の本体は概して円筒形状であり、上流側端部94bに向けてわずかなテーパー部を有している。上流側端部94aは半球状に形成されているが、下流側端部94bは単に平面とされている。中心体94は、等角度配置された3つのタブまたはフランジ96を備え、これらは中心体94の上端部から外方に渦ファインダの内壁面へと延在している。タブまたはフランジ96の最も外側の縁部は渦ファインダ92の内壁面に沿う形状とされており、こうして中心体94の正しい位置決めを補助している。
【0020】
この実施形態では、中心体30の直径は10mm、渦ファインダ92の直径D1は30.3mmである。渦ファインダの長さL1は50mm、中心体94の下端部94aから上面90までの距離L2は64.4mmである。従って、中心体94の最下端点は、上面90の下方において渦ファインダ92の(最小)直径の2.13倍の距離に位置している。中心体94は渦ファインダ92から14.4mm突出している。
【0021】
図1に示す装置において中心体の最下端部の最適位置を求める実験が行われた。実験方法及び実験装置は、添付図面の図4に示している。
【0022】
長さ可変の渦ファインダ120と長さ可変の中心体140とを備えた透明なサイクロン100を、適切なクランプ及び装着具(図示せず)を用いて直立状態に取り付けた。サイクロン100の最大径は140mm、高さは360mmである。モーター騒音の影響を最小限に抑えるために、第1のフレキシブルホース102を介して接続された静音吸引源によってサイクロン100内の空気を吸引した。サイクロン吸入口106に接続された第2のフレキシブルホース104が、離れたチャンバから入ってくる空気を吸引して、ホース開口部から流入する空気に関係した騒音の影響を回避できるようになっている。サイクロン100の流入口106には、流入量が正確に測定できるように流量計108が取り付けられている。
【0023】
長さ可変の渦ファインダ120は、固定長さと固定直径とを有し第1のフレキシブルホース102に接続されかつサイクロン100の上板110にシール部材とクランプリング124とを用いてスライド可能に取り付けられたチューブ122から構成されている。この場合、チューブの直径は32mmとされた。異なる位置でチューブ122をクランプしてサイクロン100内部へのチューブの突出量を変化させることによって、渦ファインダ120の長さSを変えることができる。長さ可変の中心体140は、渦ファインダ120の上端部にある曲げ点126に取り付けられた延在部材142から構成されている。延在部材142は、シール部材及びクランプ部材144を用いて曲げ点126にスライド可能に取り付けられている。延在部材142にはさらに、2つのタブ146の形態の支持部材が設けられている。タブ146は、延在部材142から渦ファインダ122の内壁面へと延在している。タブ146は、実験中に延在部材142が振動するのを防止する。延在部材142がチューブ122の下端部128から突出する量を変化させるように延在部材142をクランプすることによって、中心体140の長さLを変えることができる。
【0024】
実験に際しては、渦ファインダ長さSを所定値にセットし、延在部材142の端部をチューブ122の下端部128と面一にした(すなわちL=0)。吸引源を作動させて流量を測定し、適切に調節することによって所定値に合わせた。次いで、中心体140を5mmずつ下げて、各段階における騒音を測定した。求める中心体の最適長さとは、騒音レベルを最も低くする長さである。中心体140の最適長さの概略値が求められたら、中心体長さLの刻みを2mmにして、より正確に最適長さを特定した。
【0025】
与えられた流量及び与えられた渦ファインダ長さSに対して中心体140の最適な長さが求められたら、次に、吸引源を調節することによって流量を変化させ、中心体長さLを変化させる工程を繰返し、新たな流量に対して最適な中心体長さを求めた。与えられた渦ファインダ長さにおいて各流量に対する最適な中心体長さが求められたら、次に、渦ファインダ長さを調節し、比較可能な結果が得られるように同一の流量セットを用いて第2の実験シリーズを実施した。このようにして得られた結果を以下に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
最適長さは、騒音レベルが低下から増大に転じたときの中心体の長さとして定義される。従って最適長さは、オーバーオールの音圧レベルが最小となる点、中心体の延長を継続しても顕著な騒音低下が見られない点、または音の質が低下し始める点として観測される。特に、狭帯域分析によって特定される渦進行の基本周波数は最適長さにおいて最小値をとることが分かっている。
【0028】
さらなる実験によって、サイクロン本体の直径が140mm、高さが300mm、渦ファインダ直径32mm、渦ファインダ長さ66mmの場合には、渦ファインダの最下端部を越えた中心体30の突出長さの最適値は16.5mmであることが明らかになった。その結果、中心体30の最下端部から上面24までの距離は82.5mmとなり、これは渦ファインダ26の直径の2.58倍である。
【0029】
上記と同様の装置であるが異なる直径を有する渦ファインダに交換可能な装置を用いて、さらに実験を行った。各場合において、渦ファインダ長さは46mm、流量は毎秒27リットルに固定してある。中心体は上記の場合と類似しているが、直径は10mmである。各渦ファインダ直径に対し上記と同様の方法を用いて、中心体の最適長さを求めた。結果を以下に示す。
【0030】
【表2】
【0031】
この表から明らかであるように、所定の流量及び中心体直径に対する中心体長さの最適値は、渦ファインダの直径に従って減少する。
【0032】
中心体30は好ましくはプラスチックから形成され、分離装置を通過する流体流れにさらされても曲ったり振動したりしない十分な剛性を有していなければならない。掃除機に適した中心体に好適な材料はポリプロピレンであり、この材料を用いると、周知技術、例えば射出成形法を用いて簡単にかつ経済的に、中心体を型形成することができる。
【0033】
サイクロンの形態にもよるが、中心体の長さを最適化することによって、サイクロンのオーバーオール音圧レベルが2〜6dB低減されることが実験及び研究から明らかになった。これは、家庭用掃除機のオーバーオール騒音レベルにおいて知覚可能な差異を生じさせる程度である。図5は、特定の掃除機のサイクロンに最適化された中心体を用いた場合と中心体を用いない場合との間で生じる騒音(音圧レベル)の差を示している。この図から明らかであるように、中心体を用いた場合(太線で示す騒音レベル)には、中心体を用いない場合(破線で示す騒音レベル)に存在していた顕著な音が除去されている。家庭用掃除機において騒音レベルを低減することの利点は、ユーザーの満足度を高め、掃除機の使用最中にも他の音または騒音を聞き取ることを可能にすることである。こうしてユーザーが掃除機を使用しているときの安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 掃除機に適した本発明によるサイクロン式分離装置を示す断面図である。
【図2】 図2aは図1に示す装置の一部を構成する中心体を拡大して示す側面図、図2bは図2aに示す中心体の第1の変更形態を示す側面図、図2cは図2aに示す中心体の第2の変更形態を示す斜視図である。
【図3】 本発明によるサイクロン式分離装置の変更形態の一部を示す断面図である。
【図4】 詳細説明に記載の実験結果を得るために用いられた実験装置を示す側方部分断面図である。
【図5】 最適化された中心体を有する場合と有さない場合とでサイクロン騒音を比較して示すグラフである。
【符号の説明】
10 サイクロン式分離装置
16,86 サイクロン本体
18,88,106 流入口
24,90 上面(サイクロン本体の端面)
26,92,122 渦ファインダ
30,50,70,94,140 中心体
32a,32b,52b,94a 半球状端部
34,54,74,146 タブ(支持タブ)
36a,74a 溝
52a 円錐状端部
128 下端部(遠方端部)
Claims (22)
- 少なくとも1つの流体流入口(18)と流体流出口とを有するサイクロン本体(16)を備えたサイクロン式分離装置であって、前記流体流出口は前記サイクロン本体(16)の長手方向軸線と同心状に配置され、前記サイクロン本体(16)の端面(24)からサイクロン本体の内部へと突出する渦ファインダ(26)を備え、該サイクロン式分離装置はさらに、前記渦ファインダ(26)内に部分的に配置されかつ前記端面(24)から離れた前記渦ファインダの下端部を越えた地点まで上端部からまたは上端部よりも上方の地点から突出する中心体(30)を備えており、前記サイクロン本体(16)の前記端面(24)から前記中心体(30)の最端部までの距離は前記渦ファインダ(26)の最小径の少なくとも2倍とされ、前記中心体(30)の断面は該中心体の全長にわたって円形とされているサイクロン式分離装置において、
前記中心体(30)は、該中心体の最端部に向けて内方に縮径して、半球状、円錐状、または円錐台状に形成されており、
前記渦ファインダは、前記サイクロン本体の内部から外部に通じており、内面が連続的であることを特徴とするサイクロン式分離装置。 - 前記サイクロン本体(16)の前記端面(24)から前記中心体(30)の最端部までの距離は、前記渦ファインダ(26)の最小径の少なくとも2.3倍とされていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
- 前記サイクロン本体(16)の前記端面(24)から前記中心体(30)の最端部までの長さは、前記渦ファインダ(26)の最小径の少なくとも2.5倍とされていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
- 前記中心体(30)は、概して円筒状に形成されかつ少なくとも1つの半球状端部を有していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
- 前記中心体(30)は、概して円筒状に形成されかつ少なくとも1つの円錐状端部を有していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
- 前記中心体(30)の直径は、前記渦ファインダ(26)の最小径の1/2を越えないように形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
- 前記中心体(30)の直径は、前記渦ファインダ(26)の最小径の1/3を越えないように形成されていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
- 前記渦ファインダ(26)の最小径は約32mmとされ、前記中心体(30)の直径は約6mmとされていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
- 前記サイクロン本体(16)の前記端面(24)から前記中心体(30)の最端部までの距離は、80mm〜110mmの間に設定されていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
- 前記サイクロン本体(16)の前記端面(24)から前記中心体(30)の最端部までの距離は、85mm〜95mmの間に設定されていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
- 前記渦ファインダ(26)の最小径は約30mmとされ、前記中心体(30)の直径は約10mmとされていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
- 前記サイクロン本体(16)の前記端面(24)から前記中心体(30)の最端部までの距離は、50mm〜90mmの間に設定されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
- 前記サイクロン本体(16)の前記端面(24)から前記中心体(30)の最端部までの距離は、60mm〜70mmの間に設定されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
- 前記中心体(30)は、前記渦ファインダ(26)の下端部を越えて少なくとも10mm突出していることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の装置。
- 前記中心体(30)は、前記渦ファインダ(26)の下端部を越えて約14.4mm突出していることを特徴とする請求項14または請求項11から13のいずれか1項に記載の装置。
- 前記中心体(30)は、前記渦ファインダ(26)の下端部を越えて約16.5mm突出していることを特徴とする請求項14または8から10のいずれか1項に記載の装置。
- 前記中心体(30)は、前記渦ファインダ(26)の内壁面にまで延在する支持タブ(34;74)によって、前記渦ファインダ(26)内に支持されていることを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の装置。
- 前記タブ(34;74)は直径を挟んで対面配置されていることを特徴とする請求項17に記載の装置。
- 前記タブ(34;74)は螺旋翼体を備えていることを特徴とする請求項17または18に記載の装置。
- 前記タブ(34;74)及び前記渦ファインダ(26)の内壁面は、前記中心体(30)を前記渦ファインダ(26)内の所定位置に保持するための保持手段(36a,36b)を有していることを特徴とする請求項17から19のいずれか1項に記載の装置。
- 前記保持手段は、対応する溝(36a)に係合可能とされた弾性舌部(36b)を備えていることを特徴とする請求項20に記載の装置。
- 請求項1から21のいずれか1項に記載のサイクロン式分離装置が組込まれた掃除機。
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