JP4517349B2 - ピリミジン−4−オン化合物の製造方法 - Google Patents

ピリミジン−4−オン化合物の製造方法 Download PDF

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本発明は、アミノプロペン酸化合物又はイミノプロパン酸化合物から、ピリミジン-4-オン化合物を製造する方法に関する。ピリミジン-4-オン誘導体は、医薬や農薬等の合成中間体又は原料として有用な化合物である。
従来、ピリミジン-4-オン化合物を製造する方法としては、例えば、β-ケトエステル化合物に酢酸ホルムアミジンを反応させる方法(例えば、非特許文献1参照)やβ-ケトエステル化合物にアセトアミジン塩酸塩を反応させる方法(例えば、非特許文献2参照)等が知られている。しかしながら、これらの方法では、いずれも高価なアミジン化合物を用いなければならず、ピリミジン-4-オン化合物の工業的な製法としては有利ではなかった。
J.Heterocycl.Chem.,29(5),1369(1992). Chem.Pharm.Bull.,31(12),4554(1983).
本発明の課題は、即ち、上記問題点を解決し、温和な条件下、簡便な方法によってアミノプロペン酸化合物又はイミノプロパン酸化合物から、ピリミジン-4-オン化合物を高収率で製造出来る、工業的に好適なピリミジン-4-オン化合物の製造方法を提供することである。
本発明の課題は、一般式(1)
Figure 0004517349
(式中、R0は、水素原子又は炭化水素基を示す。)
で示されるアミン化合物とカルボン酸とからなるアンモニウム化合物の存在下、一般式(2a)又は(2b)
Figure 0004517349
(式中、R1及びR2は、水素原子あるいは、置換基を有していても良い、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシル基、もしくはアルキルチオ基を示し、R 3 は、水素原子または炭化水素基を示す。なお、R1及びR2は、互いに結合して芳香環以外の環を形成していても良い。)
で示されるアミノプロペン酸化合物又はイミノプロパン酸化合物と、一般式(3)
Figure 0004517349
(式中、R4は、水素原子又は炭化水素基を示し、R5は、水素原子又アルキル基を示す。)
で示される有機酸化合物とを反応させることを特徴とする、一般式(4)
Figure 0004517349
(式中、R、R、R及びRは、前記と同義である。)
で示されるピリミジン-4-オン化合物の製造方法によって解決される。
本発明により、温和な条件下、簡便な方法によってアミノプロペン酸化合物又はイミノプロパン酸化合物から、ピリミジン-4-オン化合物を高収率で製造出来る、工業的に好適なピリミジン-4-オン化合物の製造方法を提供することが出来る。
本発明の反応において使用するアンモニウム化合物は、アミン化合物と酸とからなる化合物である。
本発明の反応において使用するアミン化合物は、前記の一般式(1)で示される。その一般式(1)において、Rは、水素原子又は炭化水素基であるが、炭化水素基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;フェニル基、p-トリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基を示す。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
本発明の反応において使用するカルボン酸は、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、安息香酸等のカルボン酸類が挙げられる。これらは、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記アミン化合物と前記酸とからなるアンモニウム化合物の使用量は、アミノプロペン酸化合物又はイミノプロパン酸化合物1モルに対して、好ましくは1〜100モル、更に好ましくは1.1〜40モルである。
本発明の反応において使用するアミノプロペン酸化合物又はイミノプロパン酸化合物は、それぞれ前記の一般式(2a)又は(2b)で示される。その一般式(2a)又は(2b)の式中、R 1 及びR 2 は、水素原子あるいは、置換基を有していても良い、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシル基、もしくはアルキルチオ基を示し、R 3 は、水素原子又は炭化水素基を示す。なお、R1及びR2は、互いに結合して芳香環以外の環を形成していても良い。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、p-トリル基、ナフチル基、アントラニル基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
前記アルコキシル基としては、例えば、メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
前記アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
前記のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシル基、またはアルキルチオ基は、置換基を有していても良い。その置換基としては、炭素原子を介して出来る置換基、酸素原子を介して出来る置換基、窒素原子を介して出来る置換基、硫黄原子を介して出来る置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。
前記の炭化水素基は、置換基を有していても良い。その置換基としては、炭素原子を介して出来る置換基、酸素原子を介して出来る置換基、窒素原子を介して出来る置換基、硫黄原子を介して出来る置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。
前記炭素原子を介して出来る置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基等のアルケニル基;キノリル基、ピリジル基、ピロリジル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基等の複素環基;フェニル基、トリル基、フルオロフェニル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等のアリール基;アセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、トルオイル基等のアシル基(アセタール化されていても良い);カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基;シアノ基が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
前記酸素原子を介して出来る置換基としては、例えば、ヒドロキシル基;メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、ブトキシル基、ペンチルオキシル基、ヘキシルオキシル基、ヘプチルオキシル基、ベンジルオキシル基等のアルコキシル基;フェノキシル基、トルイルオキシル基、ナフチルオキシル基等のアリールオキシル基が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
前記窒素原子を介して出来る置換基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロへキシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基等の第一アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N-メチル-N-メタンスルホニルアミノ基等の第二アミノ基;モルホリノ基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、ピラゾリジニル基、ピロリジノ基、インドリル基等の複素環式アミノ基;イミノ基が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
前記硫黄原子を介して出来る置換基としては、例えば、メルカプト基;チオメトキシル基、チオエトキシル基、チオプロポキシル基等のチオアルコキシル基;チオフェノキシル基、チオトルイルオキシル基、チオナフチルオキシル基等のチオアリールオキシル基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
又、Rは、水素原子又は炭化水素基であるが、炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
本発明の反応において使用する有機酸化合物は、前記の一般式(3)で示される。その一般式(3)において、Rは、水素原子又は炭化水素基であるが、炭化水素基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;フェニル基、p-トリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基を示すが、好ましくはアルキル基、更に好ましくはメチル基、エチル基である。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
又、Rは、置換基を有していても良い、反応に関与しない基であるが、前記のR及びRと同義である。
前記有機酸化合物の使用量は、アミノプロペン酸化合物又はイミノプロパン酸化合物1モルに対して、好ましくは1.0〜15モル、更に好ましくは1.1〜5.0モルである。
本発明の反応は溶媒の存在下又は非存在下において行われる。使用する溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、n-ペンタノール等のアルコール類;N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;N,N'-ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類等;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類が挙げられるが、好ましくはアルコール類、アミド類、ニトリル類、更に好ましくはメタノール、エタノール、N,N'-ジメチルイミダゾリジノン、アセトニトリルが使用される。これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性等によって適宜調節するが、アリールアミノカルボン酸誘導体1gに対して、好ましくは0〜50g、更に好ましくは0〜20g、特に好ましくは0〜5gである。
本発明の反応は、例えば、不活性ガスの雰囲気にて、アミノプロペン酸化合物又はイミノプロパン酸化合物、有機酸化合物、アミン化合物と酸とからなるアンモニウム化合物及び溶媒を混合して攪拌させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは40〜200℃、更に好ましくは50〜150℃であり、反応圧力は特に制限されない。
なお、最終生成物であるピリミジン-4-オン化合物は、反応終了後、例えば、抽出、濾過、濃縮、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等による一般的な方法によって単離・精製される。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
参考例1(2-イミノシクロペンタンカルボン酸エチルの合成)
攪拌装置及び温度計を備えた内容積50mlのガラス製容器に、2-オキソシクロペンタンカルボン酸エチル5.00g(32mmol)及び15%アンモニアメタノール溶液80ml(608mmol)を加え、室温で27時間反応させた。反応終了後、反応液を減圧下で濃縮し、橙色油状物として、2-イミノシクロペンタンカルボン酸エチル5.22gを得た。
2-イミノシクロペンタンカルボン酸エチルの物性値は以下の通りであった。
CI-MS(m/e);156(M+1)
実施例1(3,5,6,7-テトラヒドロシクロペンタピリミジン-4-オンの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積50mlのガラス製容器に、参考例1で合成した2-イミノシクロペンタンカルボン酸エチル3.50g(22mmol)、オルトギ酸メチル9.79g(92mmol)、酢酸アンモニウム7.26g(94mmol)及びメタノール17.5mlを加え、攪拌しながら60〜70℃で8時間反応させた。反応終了後、反応液を減圧下で濃縮した後、濃縮物に酢酸エチル30mlを加えて攪拌した。濾過後、濾物をクロロホルムで洗浄し、濾液と洗浄液を合わせて減圧下で濃縮し、薄茶色固体として、3,5,6,7-テトラヒドロシクロペンタピリミジン-4-オン0.37gを得た(単離収率:13%)。
3,5,6,7-テトラヒドロシクロペンタピリミジン-4-オンの物性値は以下の通りであった。
1H-NMR(CDCl6,δ(ppm));1.88〜2.00(2H,m)、2.59〜2.65(2H,m)、2.72〜2.78(2H,m)、8.01(1H,s)、12.24(1H,brs)
CI-MS(m/e);137(M+1)
実施例2(3,5,6,7-テトラヒドロシクロペンタピリミジン-4-オンの合成)
攪拌装置及び温度計を備えた内容積10mlのステンレス製耐圧容器に、参考例1で合成した2-イミノシクロペンタンカルボン酸エチル1.00g(6.4mmol)、オルトギ酸メチル2.79g(26.3mmol)、酢酸アンモニウム2.07g(26.9mmol)及びメタノール3.4mlを加え、攪拌しながら130℃で8時間反応させた。反応終了後、反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析(絶対定量法)したところ、3,5,6,7-テトラヒドロシクロペンタピリミジン-4-オンが0.70g生成していた(反応収率:83%)。
参考例2(3-イミノブタン酸メチルの合成)
攪拌装置及び温度計を備えた内容積100mlのガラス製容器に、2-オキソブタン酸メチル40g(32mmol)及び15%アンモニアメタノール溶液80ml(608mmol)を加え、室温で3時間反応させた。反応終了後、反応液を減圧下で濃縮し、白色結晶として、3-イミノブタン酸メチル35gを得た(単離収率:88%)。
3-イミノブタン酸メチルの物性値は以下の通りであった。
CI-MS(m/e);116(M+1)
実施例3(6-メチルピリミジン-4-オンの合成)
攪拌装置及び温度計を備えた内容積10mlのステンレス製耐圧容器に、参考例2で合成した3-イミノブタン酸メチル1.00g(8.7mmol)、オルトギ酸メチル1.64g(15.5mmol)、酢酸アンモニウム1.19g(15.5mmol)及びメタノール5mlを加え、攪拌しながら130℃で8時間反応させた。反応終了後、反応液を減圧下で濃縮し、濃縮物にクロロホルム20ml及び水20mlを加えて分液した。得られた水層を減圧下で濃縮後、濃縮物にジエチルエーテル20mlを加えて濾過した。次いで、濾液を減圧下で濃縮し、黄色液体として、6-メチルピリミジン-4-オン0.47gを得た(単離収率:49%)。
6-メチルピリミジン-4-オンの物性値は以下の通りであった。
1H-NMR(CDCl6,δ(ppm));2.34(3H,d,J=0.7Hz)、6.32(1H,t,J=0.7Hz)、7.29(1H,s)、8.10(1H,d,J=0.7Hz)、11.0(1H,brs)
CI-MS(m/e);111(M+1)
本発明は、アミノプロペン酸化合物又はイミノプロパン酸化合物から、ピリミジン-4-オン化合物を製造する方法に関する。ピリミジン-4-オン誘導体は、医薬や農薬等の合成中間体又は原料として有用な化合物である。

Claims (2)

  1. 一般式(1)
    Figure 0004517349
    (式中、R0は、水素原子又は炭化水素基を示す。)
    で示されるアミン化合物とカルボン酸とからなるアンモニウム化合物の存在下、一般式(2a)又は(2b)
    Figure 0004517349
    (式中、R1及びR2は、水素原子あるいは、置換基を有していても良い、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシル基、もしくはアルキルチオ基を示し、R 3 は、水素原子又は炭化水素基を示す。なお、R1及びR2は、互いに結合して芳香環以外の環を形成していても良い。)
    で示されるアミノプロペン酸化合物又はイミノプロパン酸化合物と、一般式(3)
    Figure 0004517349
    (式中、R4は、水素原子又は炭化水素基を示し、R5は、水素原子又はアルキル基を示す。)
    で示される有機酸化合物とを反応させることを特徴とする、一般式(4)
    Figure 0004517349
    (式中、R0、R1、R2及びR4は、前記と同義である。)
    で示されるピリミジン−4−オン化合物の製造方法。
  2. 3が、メチル基又はエチル基である請求項1記載のピリミジン−4−オン化合物の製造方法。
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