JP4516927B2 - 車両逸走防止装置 - Google Patents

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本発明は、斜坑内を傾斜方向下方に向けて逸走してくる車両を途中で停止もしくは減速させる車両逸走防止装置に関する。
傾斜するシールドトンネルを施工する場合において、底部に配置するセグメントの上面中央部に走行台車非常停止レールを敷設しておき、非常時に、走行台車の底面両側部に配設したブレーキ機構により走行台車非常停止レールを挟着して停止させるように構成したものが知られている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、シールドトンネル以外の斜坑では、セグメントを使用しない場合が多いので、特許文献1に記載のような技術を採用することは困難である。
一方、シールドトンネル以外の斜坑を掘削施工する場合、ほぼ水平な坑(トンネル)を掘削施工する場合と同様、斜坑の底面をミキサー車やクローラーダンプといったトンネル施工に必要な車両が走行する。
特開2001−55896号公報
このような車両が走行する斜坑の底面は傾斜しているので、車両が故障したり、斜坑内で事故が発生した場合に、車両が傾斜方向下方に向けて逸走する可能性がある。このように車両が逸走してしまった場合、この逸走してくる車両を途中で停止もしくは減速させるような手段を講じる必要があるが、比較的小断面の斜坑では設置スペースを大きくとれないため、このような手段を講じるのが困難であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、斜坑内を車両が傾斜方向下方に向けて逸走してくるのを途中で停止もしくは減速させることができる車両逸走防止装置を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図9に示すように、斜坑T内を傾斜方向下方に向けて逸走してくる車両を途中で停止もしくは減速させる車両逸走防止装置1であって、
前記斜坑Tの底面TSに、この底面から起倒可能に設けられて、起立することによって傾斜方向下方に向けて逸走してくる車両に該車両を塞き止めるように当たる塞止め手段2と、この塞止め手段2を起倒するように駆動する駆動手段3とを備え、
前記塞止め手段2は、斜坑の底面に、この底面から起倒可能に設けられた複数の塞止め板4,4と、これら塞止め板4,4どうしを連結する連結部材(連結ワイヤ)5とを備え、
前記駆動手段3は、前記斜坑Tの底面TSに形成された凹所6に設置されたシリンダ装置5によって構成され、
このシリンダ装置5の一端部は凹所6の底部に回動自在に連結され、他端部は起倒可能に設けられた前記塞止め板4に回動可能に連結されていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、塞止め手段が設けられている部位を車両が通行する際は塞止め手段を倒すが、それ以外の場合は塞止め手段を斜坑の底面から起立させておく。そして、斜坑内を車両が傾斜方向下方に向けて逸走してくると、途中でこの塞止め手段に車両が衝突し、その衝撃を塞止め手段によって受けることができるので、車両を停止もしくは減速させることができる。
また、塞止め手段が、複数の塞止め板とこれら塞止め板どうしを連結する連結部材とを備えているので、逸走してきた車両がどの塞止め板に衝突しても、この衝撃が連結部材を介して他の塞止め板に伝達される。したがって、衝突した車両の衝撃を複数の塞止め板や連結部材に分散して受けることができ、効果的に車両を停止もしくは減速させることができる。
また、駆動手段を構成するシリンダ装置が斜坑の底面に形成された凹所に設置されているので、駆動手段(シリンダ装置)が車両の通常の走行の邪魔になることもない。
さらに、シリンダ装置の一端部が凹所の底部に回動自在に連結され、他端部が塞止め板に回動可能に連結されているので、塞止め板をスムーズに起倒できるとともに、車両の衝突によって塞止め板が倒れないように抗することができる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の車両逸走防止装置1において、前記斜坑Tの左右両脇の壁部または左右両脇に固定されている固定部材(フレーム12,13)に、前記連結部材5の両端部がそれぞれ連結されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、複数の塞止め板を連結する連結部材の両端部が斜坑の左右両脇の壁部または左右両脇に固定されている固定部材に連結されているので、車両が塞止め板や連結部材に衝突した際の衝撃を、これら塞止め板や連結部材に加えて、斜坑の左右両脇の壁部または左右両脇に固定されている固定部材によっても受けることができる。したがって、より効果的に車両を停止もしくは減速させることができる。
本発明によれば、斜坑の底面に、この底面から起倒可能に設けられて、起立することによって傾斜方向下方に向けて逸走してくる車両に該車両を塞き止めるように当たる塞止め手段と、この塞止め手段を起倒するように駆動する駆動手段とを備えているので、斜坑内を車両が傾斜方向下方に向けて逸走してくると、途中で前記塞止め手段に車両が衝突し、その衝撃塞止め手段によって受けることができるので、車両を停止もしくは減速させることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る車両逸走防止装置1を示す側面図、図2は同平面図、図3は車両通行時における側面図、図4は装置作動時における側面図、図5は車両逸走防止装置1を斜坑内に設置した状態を示す正面図、図6は同側面図、図7は同平面図、図8は車両逸走防止装置1が斜坑内で作動している状態を示す正面図、図9は同側面図である。
これらの図に示すように、本発明に係る車両逸走防止装置1は、塞止め手段2と、この塞止め手段を起倒するように駆動する駆動手段3とを備えている。
塞止め手段2は、斜坑Tの底面TSに、この底面TSから起倒可能に設けられて、起立することによって傾斜方向下方に向けて逸走してくる車両に該車両を塞き止めるように当たるもので、図7に示すように、斜坑Tの底面TSに、この底面TSから起倒可能に設けられた2枚の塞止め板4,4と、これら塞止め板4,4どうしを連結する連結ワイヤ(連結部材)5とを備えている。
塞止め板4,4は鋼板等で形成された長方形板状ものであり、その長辺方向を斜坑Tの長さ方向に向けて、互いに平行に配置されている。塞止め板4の下側には、図1、図3、図4等に示すように、凹所6が設けられている。凹所6は斜坑Tの底面TSに形成された孔に、直方体箱状のケースを挿入することによって形成されたものである。凹所6の平面的な形状は、塞止め板4とほぼ同形状であり、凹所6の上部開口が塞止め板4によって閉塞されている。塞止め板4の基端部(図1および図2において右端部)の下面にはブラケット7,7が取り付けられており、このブラケット7,7は前記凹所6の上端開口部に設けられた軸8,8によって回転自在に支持されている。これによって、塞止め板4は軸8を支点として、底面TSから起倒可能となっている。また、塞止め板4の基端部上面と凹所6の上面板部6aとには、ゴム板9が取り付けられており、このゴム板9によって、塞止め板4と上面板部6aとの間からの土砂の浸入を防止している。また、塞止め板4の先端部には先端板部4aが固定されており、この先端板部4aは、塞止め板4が凹所6の上面板部6b上に当接した際に、この上面板部6b上に固定されている板部6cの上面に当接するようになっている。
前記塞止め板4,4の下面には、リング状の連結環10,10がその軸方向を塞止め板4,4の短辺方向に向けて固定されており、これら連結環10,10には前記連結ワイヤ5が挿通されている。連結環10は、一枚の塞止め板4に2つ、塞止め板4の長辺方向に所定間隔で固定されているので、2枚の塞止め板4,4は2本の連結ワイヤ5,5によって連結されている。凹所6の対向する側壁上部には、それぞれ矩形状の切欠部6d,6dが形成されている。また、図7に示すように、塞止め板4,4の間の底面TSには、溝部11が前記切欠部6d,6dに対向して形成されている。そして、前記連結ワイヤ5,5の中間部は溝部11内に挿入され、両端部はそれぞれ切欠部6d,6dから斜坑Tの両脇まで延出している。
また、図5〜図9に示すように、斜坑Tの車両逸走防止装置1が設置されている部位における両脇には、それぞれフレーム(固定部材)12,13が固定されている。左側のフレーム12は斜坑Tの安全通路に設けられたもので、斜坑Tの左側壁および底面TSに強固に固定されている。右側のフレーム13は、斜坑Tの配管路に設けられたもので、斜坑Tの右側壁および底面TSに強固に固定されている。
そして、塞止め板4,4の切欠部6d,6dから斜坑Tの両脇まで延出している連結ワイヤ5,5の両端部はそれぞれ前記フレーム12,13に連結されている。ワイヤ5,5の連結位置は、塞止め板4,4が起立した状態における連結環10,10の位置により若干高くなっている。
連結ワイヤ5,5は、車両走行時には図5および図6に示すように、フレーム12,13の連結位置から下方に垂れ下がり、斜坑Tの両脇において底面TSを這ったうえで、凹所6の切欠部6d,6dから凹所6内に入って塞止め板4の裏面の連結環10,10に通され、溝部11に挿入された状態となっている。
また、連結ワイヤ5,5は、装置作動時には図8および図9に示すように、フレーム12,13の連結位置から横方向に延び、起立している塞止め板の裏面の連結環10,10を通って斜坑Tの断面を横切るようにして配置された状態となっている。
前記駆動手段3は、塞止め手段2を起倒するように駆動するものであり、図1〜図4に示すように、斜坑Tの底面TSに形成された2つの凹所6,6に設置された2つのシリンダ装置15,15によって構成されている。このシリンダ装置15は、エアシリンダ装置であり、シリンダ15aとピストンロッド15bとによって構成されている。
シリンダ装置15のシリンダ15aの基端部は、凹所6の底部に固定されたブラケット16に上下に回動自在に支持されており、ピストンロッド15bの先端部は塞止め板4の裏面に固定されたブラケット17に回動自在に連結されている。
上記のようなシリンダ装置15は、車両走行時には図3に示すように、凹所6内に完全に埋設されており、ピストンロッド15bが引き込まれた状態となっている。
また、装置作動時には図4に示すように、ピストンロッド15bが伸長することによって、塞止め板4がピストンロッド15bによって押されて軸8を支点として起立するように回動するとともに、シリンダ15aの先端部とピストンロッド15bが凹所6から斜めに突出して、塞止め板4を起立した状態で強固に保持するようになっている。
なお、2つのシリンダ装置15,15は、図示しない制御部によって同期して作動するように制御されている。
次に上記構成の車両逸走防止装置1の作用効果について説明する。
通常は装置が作動しており、図4、図8、図9等に示すように、シリンダ装置15,15によって塞止め板4,4が起立した状態にある。この塞止め板4,4は、シリンダ装置15,15によって、起立した状態で強固に保持されているとともに、連結ワイヤ5,5が上下2段にかつ斜坑Tの断面を横切るようにして配置された状態となっている。
この状態で車両が車両逸走防止装置1を通過する場合、装置前後に設けられている図示しないスイッチを押すと、シリンダ装置15,15が同期して作動する、つまりピストンロッド15b,15bが引き込まれる。すると、図3、図5、図6等に示すように、起立していた塞止め板4,4が倒れてほぼ水平となって凹所6を閉塞する。したがって、車両は塞止め板4,4上を走行して装置1を通過できる。また、車両の通過時は、誤作動によって塞止め板4,4が起立してこないように、図示しない赤外線センサで車両を検出し、制御部によってシリンダ装置15,15が作動しないように制御する。
そして、車両の通過後、約30秒間黄色の回転灯が点灯し、その後、シリンダ装置15,15が自動的に作動し(ピストンロッド15b,15bが伸長)して、塞止め板4,4が起立する。塞止め板4,4が起立している間は赤色の回転灯が点灯し、これによって、視覚的にも誤作動による車両と塞止め板4,4との接触を防止する。
一方、装置作動時つまり塞止め板4,4が起立状態にある時に、斜坑内を車両が傾斜方向下方に向けて逸走してくると、この塞止め板4,4および連結ワイヤ5に車両が衝突し、その衝撃を塞止め板4,4および連結ワイヤ5によって受けることができるので、車両を停止もしくは減速させることができる。
しかも、衝突した車両の衝撃を2つの塞止め板4,4や連結ワイヤ5に分散して受けることができ、さらに、これら塞止め板4,4や連結ワイヤ5に加えて、斜坑の左右両脇に固定されているフレーム12,13によっても受けることができる。したがって、より効果的に車両を停止もしくは減速させることができる。
また、シリンダ装置15,15によって塞止め板4,4をスムーズに起倒できるとともに、車両の衝突によって塞止め板4,4が倒れないように抗することができる。
加えて、シリンダ装置15が斜坑の底面に形成された凹所6に設置されているので、シリンダ装置15が車両の通常の走行の邪魔になることもない。
なお、本実施の形態では、連結ワイヤ5の両端部をフレーム12,13に連結したが、これに代えて、連結ワイヤ5の両端部を斜坑の両側壁に直接連結してもよい。
本発明に係る車両逸走防止装置の一例を示すもので、その側面図である。 同、平面図である。 同、車両通行時における側断面図である。 同、装置作動時における側断面図である。 同、車両逸走防止装置を斜坑内に設置した状態を示す正面図である。 同、車両逸走防止装置を斜坑内に設置した状態を示す側面図である。 同、車両逸走防止装置を斜坑内に設置した状態を示す平面図である。 同、車両逸走防止装置が斜坑内で作動している状態を示す正面図である。 同、車両逸走防止装置が斜坑内で作動している状態を示す側面図である。
符号の説明
T 斜坑
TS 底面
1 車両逸走防止装置
2 塞止め手段
3 駆動手段
4 塞止め板
5 連結ワイヤ(連結部材)
6 凹所
12,13 フレーム(固定部材)
15 シリンダ装置

Claims (2)

  1. 斜坑内を傾斜方向下方に向けて逸走してくる車両を途中で停止もしくは減速させる車両逸走防止装置であって、
    前記斜坑の底面に、この底面から起倒可能に設けられて、起立することによって傾斜方向下方に向けて逸走してくる車両に該車両を塞き止めるように当たる塞止め手段と、この塞止め手段を起倒するように駆動する駆動手段とを備え、
    前記塞止め手段は、前記斜坑の底面に、この底面から起倒可能に設けられた複数の塞止め板と、これら塞止め板どうしを連結する連結部材とを備え、
    前記駆動手段は、前記斜坑の底面に形成された凹所に設置されたシリンダ装置によって構成され、
    このシリンダ装置の一端部は凹所の底部に回動自在に連結され、他端部は前記塞止め板に回動可能に連結されていることを特徴とする車両逸走防止装置。
  2. 前記斜坑の左右両脇の壁部または左右両脇に固定されている固定部材に、前記連結部材の両端部がそれぞれ連結されていることを特徴とする請求項に記載の車両逸走防止装置。
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