JP4516276B2 - 磁歪式トルクセンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車等の電動パワーステアリング装置に装着され、操舵軸を介してシャフトに加えられる操舵トルクを磁気的に検出するための検出装置に用いて最適な磁歪式トルクセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車等に装備される電動パワーステアリング装置は、ドライバの操舵操作によって操舵軸からシャフトに加えられるトルクをトルクセンサによって検出する。そして、このトルクセンサからの検出信号に応じて、ドライバの操舵操作に対し動力補助する(補助操舵力を付与する)ためのモータを駆動制御し、ドライバの操舵力を軽減して快適な操舵フィーリングを与えるようにしている。
【0003】
このような前記従来技術によるトルクセンサとして、磁歪式トルクセンサが知られている(例えば、特許文献1参照)。この磁歪式トルクセンサは、シャフトの表面に磁気異方性をもった磁歪膜(例えばNi−Fe系の合金膜)を被着している。そして、シャフトに外部からトルクが作用したときには、シャフトに生じる捩れに応じた磁歪膜の磁気特性(透磁率)の変化を磁気的に被接触で検出する構成となっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−257648号公報(段落番号[0002]、[0003]、第6図)
【0005】
そこで、この種の従来技術による磁歪式トルクセンサを自動車の電動パワーステアリング装置に用いた場合を例に挙げ、図7ないし図11を参照して説明する。図7は従来技術による電動パワーステアリング装置を示す模式図、図8は従来技術による操舵トルクとピニオントルクとの関係を示す説明図である。図9は従来技術による磁歪式トルクセンサを拡大して示す縦断面図、図10は従来技術による操舵トルクとインピーダンスとの関係を示す特性線図、図11は従来技術による磁歪式トルクセンサを示す回路図である。
【0006】
図7に示すように、電動パワーステアリング装置101は、ハンドル102からの操舵トルクを検出する磁歪式トルクセンサ103と、ハンドル102の操作に対して補助操舵力を付与するモータ104と、このモータ104の回転トルクを増大させる減速装置105と、磁歪式トルクセンサ103及び車速センサ106等からの検出信号に応じてモータ104を駆動制御するECU(Electrical Control Unit)107と、モータ104の回転をタイヤ108,108に伝えてタイヤ108の向きを変えるラック軸109及びピニオン110とによって大略構成されている。また、前記減速装置105は、図8に示すように、ウォーム105Aとウォームホイール105Bとにより構成されるものである。
【0007】
この従来技術では、ドライバが操舵操作したときの操舵トルクを、磁歪式トルクセンサ103を用いて検出すると共に、ECU107により磁歪式トルクセンサ103からの検出信号(トルク信号)、車速センサ106からの検出信号(車速信号)等に応じてモータ104を駆動制御し、このときのモータ104のトルクを、減速装置105により増大させると共にラック軸109及びピニオン110を介してタイヤ108,108に伝えている。
【0008】
このような電動式パワーステアリング装置101では、図8に示すように、ドライバの操舵トルクをTHとし、ピニオン110に伝わるトルクをTPとし、モータ104による補助トルクの大きさに関連した定数をKAとすると、TH=TP/(1+KA)の関係が成り立ち、モータ104の補助トルクによってドライバの操舵力を軽減することができる。
【0009】
次に、磁歪式トルクセンサ103について説明する。磁歪式トルクセンサ103は、図9に示すように、アッパケース部111A及びロアケース部111Bからなるセンサ収容ケース111に収容されている。そして、磁歪式トルクセンサ103は、ハンドル102の操舵軸102A(図7参照)に連結され、センサ収容ケース111に軸受112,113等を介して回転可能に支持されたシャフト114と、前記アッパケース部111Aの内周側に上下に離間して設けられた検出手段であるコイル115,115と、コイル115と対向してシャフト114の外周面(外表面)に設けられ、互いに逆方向の異方性をもった第1,第2の磁歪膜116,117とによって大略構成されている。
【0010】
ここで、磁歪膜116,117は、例えばNi−Fe系の合金膜等からなる磁歪材を用いて形成され、シャフト114の外周面にメッキされている。そして、磁歪式トルクセンサ103は、例えば図11に示すように、交流電源118に接続された一次コイル119と、磁歪膜116,117を挟んで一次コイル119と対向して設けられた二次コイル120,120とを備えている。
【0011】
そして、シャフト114にハンドル102からのトルクが作用したときには、シャフト114に生じる捩れに応じた磁歪膜116,117の磁気特性の変化を、二次コイル120,120側でそれぞれ電気的に検出する。この結果、例えば図10中に実線A,Bで示すような2つの略凸形状の磁歪特性曲線が得られ、これら2つの磁歪特性曲線の差を算出することによって、シャフト114に加えられる操舵トルクの方向と大きさを検出するようにしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来技術による磁歪式トルクセンサは、ハンドル102をロックするまで時計廻りまたは反時計廻りに回転すると、ラック軸109の左右の端部109A,109Aのうちいずれか一方が、ラック軸109を収容するラック収容ケース121の端部121A(図7参照)と突き当たり(衝突し)、このときの衝撃トルクが大きくなってシャフト114(図9参照)が塑性変形し、場合によっては磁歪膜116,117がシャフト114から剥離することがある。ここで、磁歪式トルクセンサの衝突トルクとトーションバー方式のトルクセンサの衝突トルクとを比較する。トーションバーに作用する衝突トルクTは、T=E×(2/θ)(E:衝突エネルギー、θ:Eが作用したときの捩り角度)…(式1)となるのに対し、磁歪式トルクセンサ軸部に作用する衝撃トルクTmは、Tm=E×(2/θm)(θm:Eが加わったときの磁歪式トルクセンサ軸部の捩り角度)…(式2)となる。(式1)、(式2)の関係からTm=(θ/θm)×T…(式3)の関係が成り立つ。(式3)においてθm≪θであるからTm≫Tとなる。
【0013】
そして、このようにシャフト114が塑性変形したり、磁歪膜116,117が剥離すると、図12に示すように、操舵トルクの検出値にヒステリシスを生じ、結果として操舵フィーリングが低下するという問題がある。
【0014】
また、シャフト114が塑性変形すると、図10中に一点鎖線で示すように、磁歪特性曲線A′,B′の凸部側(山の頂点側)が操舵トルクの検出範囲内にオフセットしてしまい、磁歪式トルクセンサ103による検出感度が低下する。つまり、図10に示すように、磁歪特性曲線A,Bの場合、その線形部分のみを用いて操舵トルクの検出範囲内で操舵トルクを検出できるため、操舵トルクを精度よく検出することが可能である。しかし、磁歪特性曲線A,Bが磁歪特性曲線A′,B′のようにオフセットすると、その山の頂点側(非線形側)の部分が、操舵トルクの検出範囲内に含まれてしまい、磁歪式トルクセンサ103による検出精度が低下するという問題がある。
【0015】
さらに、前記のようにシャフト114が塑性変形して磁歪膜116,117が剥れると、磁歪特性曲線A,Bの波形(形状)に乱れが生じ、磁歪式トルクセンサ103による検出精度が一層低下するという問題がある。
【0016】
そこで、本発明は、30kgf・mのトルクが作用した場合でも、シャフトに大きな塑性変形が生じることを抑えることができる磁歪式トルクセンサを提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の磁歪式トルクセンサは、車両のステアリング機構に対して補助操舵力を付与する電動パワーステアリング装置のステアリングシャフトに設けられた磁歪式トルクセンサであって、軸受によって回転自在に支持されたシャフトと、前記シャフトの表面に予め取り付けられた後で、シャフトにトルクを加えた状態で磁歪膜を加熱し、冷却後に前記トルクを取り除くことによって異方性が付与され、前記シャフトに加えられるトルクに応じて磁歪特性が変化する磁歪膜と、前記磁歪膜に生じる磁歪特性の変化を検出する検出手段とを備えてなる磁歪式トルクセンサにおいて、
前記磁歪膜を取り付ける前のロックウェル硬さをHRC40〜65に設定し、30kgf・mのトルクがシャフトに加えられた場合でもそのヒステリシス変動を5%以下としたことを特徴とする。
【0018】
そして、請求項1に記載の発明が採用する構成の特徴は、前記シャフトのロックウェル硬さをHRC40〜65に設定したことにある。このように構成したことにより、シャフトに過大なトルク(例えば、30kgf・m(294N・m)程度)が加えられてシャフトが大きく捩れたとしても、シャフトが塑性変形(永久変形)するのを抑えることができる。従って、シャフトを弾性変形させることができ、磁歪膜がシャフトから剥離するのを防止できる。これにより磁歪膜をシャフトに安定して被着でき、磁歪式トルクセンサによる検出精度を高めることができる。
【0019】
このように構成したことにより、シャフトに過大なトルク(例えば、30kgf・m(294N・m)程度)が加えられてシャフトが大きく捩れたとしても、シャフトが大きく塑性変形(永久変形)するのを抑えることができる。従って、シャフトを弾性変形させることができ、磁歪膜がシャフトから剥離するのを防止できる。これにより磁歪膜をシャフトに安定して被着でき、磁歪式トルクセンサによる検出精度を高めることができる。
【0020】
そして、請求項2に記載の発明は、前記加熱が高周波加熱であることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る磁歪式トルクセンサを電動パワーステアリング装置(図7参照)に適用した場合を例に挙げ、図1ないし図3を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、本実施の形態による磁歪式トルクセンサを拡大して示す縦断面図、図2は、本実施の形態による捩り角と操舵トルクとの関係を示す特性線図である。図3は、本実施の形態によるシャフトの硬度とヒステリシスとの関係を示す特性線図である。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態に係る磁歪式トルクセンサ1は、前記従来技術とほぼ同様に、アッパケース部2A及びロアケース部2Bからなるセンサ収容ケース2に軸受3,4,5等を介して回転可能に支持されたシャフト6と、前記アッパケース部2Aの内周側に上下に離間して設けられた検出手段であるコイル7,7と、コイル7,7と対向してシャフト6の外周面(外表面)に被着され、互いに逆方向の異方性をもった第1,第2の磁歪膜8,9とを有している。そして、この磁歪膜8,9は、例えばNi−Fe系の合金膜等からなる磁歪材を用いて形成されている。また、センサ収容ケース2のロアケース部2Bには、モータ10、減速装置11、ラック軸12、ピニオン13等が設けられ、前記減速装置11は、ウォーム11A、ウォームホイール11B等を有している。
【0025】
そして、シャフト6にハンドルからのトルクが作用したときには、シャフト6に生じる捩れに応じた磁歪膜8,9の磁気特性の変化を、コイル7等を用いて電気的に検出する。この結果、例えば図10中に実線A,Bで示すような2つの略凸形状の磁歪特性曲線が得られ、これら2つの磁歪特性曲線の差を算出することによってシャフト6に加えられる操舵トルクの方向と大きさを検出する構成となっている。
【0026】
ここで、本実施の形態によるシャフト6は、クロムモリブデン鋼材(例えば、SCM822)等を用いて形成されている。そして、このシャフト6は、前記クロムモリブデン鋼材に予め焼き入れ等の熱処理を施した後、磁歪膜8,9をスパッタリングやイオンプレーティング等のPVD法、メッキ法、プラズマ溶射法等を用いて被着することにより、ロックウェル硬さをHRC40〜65の範囲内に設定している。さらに、シャフト6は、クロムモリブデン鋼材の表面に浸炭焼き入れによる肌焼き処理を施すことにより形成してもよい。また、シャフト6のロックウェル硬さをHRC65以下に設定した理由は、ロックウェル硬さをHRC65よりも大きく設定すると、シャフト6に脆さが生じ、切損するからである。一方、シャフト6のロックウェル硬さをHRC40以上に設定した理由は、後記するようにシャフト6に過大なトルクが作用したときでも、シャフト6を弾性変形させるためである。
【0027】
このように構成される本実施の形態では、ドライバが操作したときの操舵トルクを、磁歪式トルクセンサ1を用いて検出すると共に、ECUにより磁歪式トルクセンサからの検出信号、車速センサ(いずれも図7参照)からの検出信号等に応じてモータ10を駆動制御し、このときのモータ10のトルクを、減速装置11により増大させると共にラック軸12、ピニオン13を介してタイヤ(図示せず)に伝えている。
【0028】
ところで、本実施の形態による磁歪式トルクセンサ1は、ハンドルをロックするまで時計廻りまたは反時計廻りに回転すると、前記従来技術でも述べたように、ラック軸12の端部が、ラック収容ケースの端部(図示せず)と突き当たり(衝突し)、このときの大きな衝撃トルクがシャフト6に伝わり、シャフト6が塑性変形する可能性がある。そして、この塑性変形量が大きくなると、シャフト6の表面の磁歪膜8,9が剥離し、この剥離によりセンサ出力にヒステリシスを生じる。
【0029】
しかし、実験による試行錯誤の結果、本実施のように、シャフト6のロックウェル硬さをHRC40〜65に設定することにより、図2に示すように、シャフト6に対し30kgf・m(294N・m)程度の過大な操舵トルクが付加されたときでも、本実施の形態によるシャフト6の塑性変形量aを、前記従来技術の場合の塑性変形量bに比べて著しく小さく(a<b)抑えられ、磁歪膜8,9が剥離しないことを見出した。
【0030】
従って、シャフト6のロックウェル硬さをHRC40〜65に設定したので、操舵操作時に、例えば、30kgf・m(294N・m)以上の大きな操舵トルクがシャフト6に加えられたとしても、図3に示すように、このときのシャフト6の塑性変形によるヒステリシスを許容値である5%以下に著しく小さく抑えられることが分かった。
【0031】
これにより、シャフト6の表面から磁歪膜8,9が剥離するのを防止することができ、シャフトに過大な操舵トルクが作用した場合でも、磁歪式トルクセンサ1による検出精度を良好に保つことができ、磁歪膜8,9の剥れによるヒステリシスの発生を低減でき、操舵フィーリングを高めることができる。
【0032】
また、シャフト6の製作時には、予めシャフト6の素材となるクロムモリブデン鋼材に浸炭焼き入れによる肌焼き処理を施した後に、シャフト6の表面に磁歪膜8,9を被着する構成としたので、軸受3,4,5、ピニオン13等を、シャフト6と一緒に同一の工程で、例えば、ロックウェル硬さHRC58以上となる熱処理を行うことができる。従って、軸受3,4,5、ピニオン13を、異なる工程で熱処理を行う必要がなくなり、工程の短縮を図ることができ、これらの部材を容易に製作することができる。また、軸受3,4,5、シャフト6、ピニオン13等を熱処理する際には、これらの部材の歪の影響を考慮して工程の管理を行うことができ、品質を安定化することができる。
【0033】
さらに、本実施の形態では、シャフト6に磁歪膜8,9を貼り付ける構成としたので、シャフト6全体を磁歪材を用いて形成した場合と比較して、磁歪式トルク1の検出感度を10〜100倍程度まで高めることができる。
【0034】
また、磁歪式トルクセンサ1を、自動車のステアリング機構に対して補助操舵力を付与する電動パワーステアリング装置に適用する構成としたので、磁歪式トルクセンサ1により操舵トルクの検出精度を高めることができ、電動パワーステアリング装置の性能、信頼性等を高めることができる。
【0035】
(第2の実施の形態)
次に、図4は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、シャフトに、硬度がHRC40〜65となるような熱処理を施した後に、磁歪膜をシャフトに被着し、次に磁歪膜に異方性を付与する構成としたことにある。
【0036】
図4(a)は、本実施の形態による磁歪膜が被着されたシャフトに反時計廻りのトルクを付与した状態を示す斜視図、図4(b)は、本実施の形態による磁歪膜が被着されたシャフトに時計廻りのトルクを付与した状態を示す斜視図である。
【0037】
図4に示すように、磁歪式トルクセンサ21は、第1の実施の形態とほぼ同様に、下端側にピニオン22が形成されたシャフト23と、シャフト23の外周面に上下に離間して被着された第1,第2の磁歪膜24,25とによって大略構成されている。
【0038】
次に、磁歪式トルクセンサ21の製造方法について説明する。
まず、シャフト23に、ロックウェル硬さがHRC40〜65となる熱処理を施した後、シャフト23の外周面に上下に離間して磁歪膜24,25を被着する。次に、図4(a)中に矢印P,Sで示す方向へとシャフト23を捩ることにより、第1の磁歪膜24に対し反時計廻りのトルクT(例えば10kgf・m(98N・m)程度)を加え、この状態でコイル26を用いて磁歪膜24を高い周波数で振動させることにより、磁歪膜24を約300℃で数秒加熱して冷却した後に反時計廻りのトルクTを取り除くと、磁歪膜24には異方性が付与される。
【0039】
次に、図4(b)中に矢印P,Sで示す方向へとシャフト23を捩ることにより、第2の磁歪膜25に対し時計廻りのトルクT(例えば10kgf・m(98N・m)程度)を加え、この状態でコイル27を用いて磁歪膜25を磁歪膜24と同様に高い周波数で振動させることにより、磁歪膜25を約300℃で加熱する。この結果、磁歪膜25には磁歪膜24とは逆方向の異方性が付与される。
【0040】
このように構成される本実施の形態では、ロックウェル硬さがHRC40〜65に設定されたシャフト23に磁歪膜24,25を一体に設け、この後に、これら磁歪膜24,25に異方性を付与する構成としたので、シャフト23にトルクTを加えて磁歪膜24,25に異方性を付与する工程において、シャフト23が塑性変形することがなくなるので、磁歪膜24,25に対して異方性を安定して付与することができる。また、このようにシャフト23が塑性変形することがなくなることにより、線形性の高いトルク検出性能(図10中の磁歪特性曲線A,B参照)を得ることができる。
【0041】
(第3の実施の形態)
次に、図5、図6は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、電動パワーステアリング装置を構成するラック軸の端部とラック軸を収容するラック収容ケースの端部との間に、両者が衝突するときの衝撃力を緩和する弾性部材を設ける構成としたことにある。
【0042】
なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。また、図5はラック軸、ラック収容ケース等を一部破断した状態で示す外観図、図6は図5中のa部を拡大して示す拡大断面図である。
【0043】
図5、図6において、ラック軸31は、その左右両側に段付きの端部31A,31Aを有している。また、ラック軸31を収容するラック収容ケース32は、左右方向に延び、内周側にラック軸31が挿入される長尺筒部32Aと、この長尺筒部32Aの左右両側に嵌着された短尺筒部32B,32Bとによって構成され、前記短尺筒部32Bの内周側には、後述の緩衝部材34が取り付けられる段付きの端部32Cが形成されている。
【0044】
また、図6に示すように、弾性部材33は、ゴム等の弾性材料を用いて環状に形成され、ラック収容ケース32の端部32Cに固着された緩衝部材34と、鉄鋼材料を用いて環状に形成され、前記緩衝部材34の内周側に固着された鉄鋼部材35とによって構成されている。また、緩衝部材34には鍔部34Aが径方向外側に突設されている。
【0045】
このように構成される本実施の形態では、ハンドルをロックするまで時計廻りまたは反時計廻りに回転すると、ラック軸31の端部31A,31Aのうちいずれか一方が、ラック収容ケース32の端部32C側に設けられた弾性部材33(緩衝部材34)の鍔部34Aと衝突し、このときの衝撃力を緩衝部材34によって緩衝することができる。従って、ハンドルのロック時等において操舵トルクが著しく増大するのを弾性部材33により抑えることができ、シャフトから磁歪膜が剥離するのを防止でき、磁歪式トルクセンサ1のヒステリシス、耐久性等を向上させ、操舵フィーリングを高めることができる。
【0046】
なお、前記各実施の形態では、磁歪式トルクセンサを電動パワーステアリング装置に適用する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、他の各種装置に適用可能である。
【0047】
また、前記第3の実施の形態では、弾性部材33を、ゴム材料等からなる緩衝部材34と鉄鋼部材35とによって構成する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば弾性部材を、ばね等の弾性を有する部材によって形成してもよい。
【0048】
さらに、前記第3の実施の形態では、弾性部材33を、ラック軸31とラック収容ケース32のうち、ラック収容ケース32側に設ける構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限ることなく、例えば弾性部材をラック軸31に設けてもよいし、ラック軸31とラック収容ケース32の両方の部材に設けてもよい。また、本発明は、ピニオンアシストの電動パワーステアリング装置に適用してもよいし、ラックアシストの電動パワーステアリング装置に適用してもよい。
【0049】
【発明の効果】
以上、詳述した通り、請求項1の発明によれば、ロックウェル硬さがHRC40〜65に設定されたシャフトの外表面に磁歪膜を設け、この後に、これら磁歪膜に異方性を付与する構成としたので、シャフトが大きく塑性変形することがなくなる。これにより、磁歪膜に対して異方性を安定して付与することができる。
【0050】
また、請求項2の発明によっても、磁歪膜に異方性が付与される。
【0051】
さらに、請求項3の発明は、磁歪膜が設けられたシャフトを、車両のステアリング機構に対して補助操舵力を付与する電動パワーステアリング装置に適用する構成としたので、磁歪式トルクセンサにより操舵トルクの検出精度が高められ、電動パワーステアリング装置の性能、信頼性等を高めることができる。
【0052】
さらに、請求項4の発明は、電動パワーステアリング装置を構成するラック軸の端部と前記ラック軸を収容するラック収容ケースの端部との間に、両者が衝突するときの衝撃力を緩和する弾性部材を設ける構成としたので、電動パワーステアリング装置の作動時には弾性部材によりラック軸の端部とラック収容ケースの端部とが衝突するときの衝撃力を吸収することができる。これにより、シャフトに付加される操舵トルクが著しく増大するのを抑えることができ、シャフトから磁歪膜が剥離するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る磁歪式トルクセンサを拡大して示す縦断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る捩り角と操舵トルクとの関係を示す特性線図である。
【図3】第1の実施の形態に係るシャフトの硬度とヒステリシスとの関係を示す特性線図である。
【図4】(a)は、本発明の第2の実施の形態に係るシャフトに反時計廻りのトルクを付与した状態を示す斜視図、(b)は、第2の実施の形態に係るシャフトに時計廻りのトルクを付与した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係るラック軸、ラック収容ケース等を一部破断した状態で示す外観図である。
【図6】図5中のa部を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図7】従来技術に係る電動パワーステアリング装置を示す模式図である。
【図8】従来技術に係る操舵トルクとピニオントルクとの関係を示す説明図である。
【図9】従来技術に係る磁歪式トルクセンサを拡大して示す縦断面図である。
【図10】従来技術に係る操舵トルクとインピーダンスとの関係を示す特性線図である。
【図11】従来技術に係る磁歪式トルクセンサを示す回路図である。
【図12】従来技術に係る操舵トルクと磁歪式トルクセンサの検出値との関係を示す特性線図である。
【符号の説明】
1,21 磁歪式トルクセンサ
3,4,5 軸受
6,23 シャフト
7 コイル(検出手段)
8,24 第1の磁歪膜
9,25 第2の磁歪膜
10 モータ
11 減速装置
12,31 ラック軸
31A,32C 端部
32 ラック収容ケース
33 弾性部材
101 電動パワーステアリング装置

Claims (2)

  1. 車両のステアリング機構に対して補助操舵力を付与する電動パワーステアリング装置のステアリングシャフトに設けられた磁歪式トルクセンサであって、
    軸受によって回転自在に支持されたシャフトと、
    前記シャフトの外表面に予め取り付けられた後で、シャフトにトルクを加えた状態で磁歪膜を加熱し、冷却後に前記トルクを取り除くことによって異方性が付与され、前記シャフトに加えられるトルクに応じて磁歪特性が変化する磁歪膜と、
    前記磁歪膜に生じる磁歪特性の変化を検出する検出手段と
    を備えてなる磁歪式トルクセンサにおいて、
    前記シャフトの磁歪膜を取り付ける前のロックウェル硬さをHRC40〜65に熱処理により設定し、30kgf・mのトルクがシャフトに加えられた場合でもそのヒステリシス変動を5%以下としたことを特徴とする磁歪式トルクセンサ。
  2. 前記加熱は、高周波加熱であることを特徴とする請求項1に記載の磁歪式トルクセンサ。
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