JP4486616B2 - 磁歪式トルクセンサの製造方法と電動パワーステアリング装置 - Google Patents

磁歪式トルクセンサの製造方法と電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Description

本発明は、自動車用の電動パワーステアリング装置の操舵トルクを検出するのに最適な磁歪式トルクセンサの製造方法と、この製造方法で製作された磁歪式トルクセンサを搭載した電動パワーステアリング装置に関するものである。
電動パワーステアリング装置は、自動車を運転中、運転者がステアリングホイール(操舵ハンドル)を操作するとき、モータを連動させて操舵力を補助する支援装置である。電動パワーステアリング装置では、運転者のハンドル操舵によりステアリング軸に生じる操舵トルクを検出する操舵トルク検出部からの操舵トルク信号、および車速を検出する車速検出部からの車速信号を利用し、モータ制御部(駆動制御回路)の制御動作に基づいて、補助操舵力を出力する支援用のモータをPWM駆動し、運転者の操舵力を軽減している。
例えば、操舵トルクをTH、アシスト量AHの係数を一定のkAとすると、AH=kA×THであるから、負荷であるピニオントルクをTPとすると、TP=TH+AHからTH=TP/(1+kA)となる。したがって操舵トルクTHは、ピニオントルクTPの1/(1+kA)、(kA≧0)となり軽減される。このような電動パワーステアリング装置における操舵トルク検出部として、ピニオンの入出力軸間に設けたトーションバーの捻れを利用するトーションバー式の他、磁歪式トルクセンサが知られている。
磁歪式トルクセンサの一例としては、例えば、ステアリングホイールに連結されたステアリング軸の表面に、Ni−Feメッキの磁歪膜を上下2箇所でそれぞれ逆方向の磁気異方性となるように軸方向所定幅で設け、磁歪膜に操舵トルクが作用したとき、磁気異方性に基づいて発生する逆磁歪特性を、磁歪膜の周囲に配設されたコイルの交流抵抗等を利用して、ステアリング軸にかかるトルクを検出するものがある。
図9は、磁歪式トルクセンサ100の模式図である。磁歪式トルクセンサ100はステアリング軸101の周囲に形成された磁歪膜102とその磁歪膜102の下方に間隔を設けて形成された磁歪膜103と、磁歪膜102,103の近傍に微小の空隙を介して配置された励磁コイル104と、磁歪膜102に対応して設けられる検出コイル106と、磁歪膜103に対応して設けられる検出コイル107とから構成される。励磁コイル104には、励磁電圧供給源105が接続される。
図9で示した磁歪式トルクセンサ100において、ステアリング軸101にトルクが作用したとき、磁歪膜102,103にもトルクが作用する。このトルクに応じて磁歪膜102,103に磁歪効果が生じる。そこで、励磁電圧供給源105から励磁コイル104に高周波の交流電圧(励磁電圧)を供給し、トルクに応じた磁歪膜102,103の磁歪効果による磁界の変化を検出コイル106,107によりインピーダンスの変化として検出する。このインピーダンスの変化に基づいてステアリング軸101に加えられたトルクを検出することができる。また、インピーダンスの変化として検出する以外にも、誘導電圧の変化として検出することもできる。以下では、インピーダンスの変化で検出する場合について説明する。
図10は磁歪特性を示す図である。横軸はステアリング軸101に加えられた操舵トルク、縦軸は励磁コイル104に交流電圧を印加したときに検出コイル106,107によって検出されるインピーダンスを示している。曲線C110は、検出コイル106によって検出されるインピーダンスの変化を示し、曲線C111は、検出コイル107によって検出されるインピーダンスの変化を示している。
検出コイル106による検出値は、操舵トルクが負から正になるにつれてインピーダンスが増加し、操舵トルクが正の値T1となったときにインピーダンスがピーク値となり、操舵トルクがT1以上では減少する。また、検出コイル107による検出値は、操舵トルクが負の値−T1のときにインピーダンスがピーク値をとり、操舵トルクの絶対値が増加すると減少する。
図10に示すように、検出コイル106で得られる操舵トルク−インピーダンス特性と検出コイル107で得られる操舵トルク−インピーダンス特性はほぼ凸形状を示す。また、検出コイル106で得られる操舵トルク−インピーダンス特性(曲線C110)と検出コイル107で得られる操舵トルク−インピーダンス特性(曲線C111)は、磁歪膜の上下2箇所でそれぞれ逆方向となる磁気異方性であることを反映して、それぞれの特性曲線が交わる点を通る縦軸に対してほぼ対称的になる。
直線L10は、検出コイル106により検出された特性曲線C110から検出コイル107により検出された特性曲線C111を引いた値を示すものであり、操舵トルクがゼロのときにその値はゼロとなる。磁歪式トルクセンサ100はトルク中立点付近のほぼ一定勾配とみなされる領域を使用することで、入力トルクの方向と大きさに対応した検出信号を出力する。また、直線L10の特性を利用することで、検出コイル106,107の値から操舵トルクを検出することができる。
図11は、従来の磁歪式トルクセンサの製造方法のフロー図である。従来の磁歪式トルクセンサでは、ステアリング軸の下端にピニオンを加工する工程(ステップS101)と、ピニオンを焼入れする工程(ステップS102)と、ピニオンを焼戻す工程(ステップS103)と、磁歪膜を付与する工程(ステップS104)と、捩りトルクを付与する工程と(ステップS105)と、磁歪膜を加熱処理する工程(ステップS106)と、磁歪膜を冷却する工程(ステップS107)と、捩りトルクを除去する工程(ステップS108)と、再度加熱処理する工程(ステップS109)とから成っていた(例えば、特許文献1参照)。なお、図3のように磁歪膜が複数設けられている場合は、それぞれについてS105〜S108の工程により磁気異方性を付与する。
特許第3730234号公報
従来の製造方法によって製造された磁歪式トルクセンサは、ピニオンを焼戻す工程の後、磁歪膜を付与する工程があり、また、磁歪膜に異方性を付与した後に再度加熱処理する工程を行う。従って製作工程が多くなっていた。また、加熱処理が多くなるために、ステアリング軸が膨張し、製造後の磁歪膜の磁気特性にバラツキが生じる要因となっていた。またピニオンについても過度に焼戻しがなされて所望の強度が得られないおそれがあった。
ここで、上記の問題を、図12を参照して説明する。図12は、ステアリング軸に用いている金属材料の焼入れ後に、加熱処理を行ったときの膨張の量を熱処理の保持時間に対する変化として示すグラフである(参考文献:内藤武志著「浸炭焼入れの実際」、日刊工業新聞社1979年8月発行)。横軸は、加熱処理での一定の温度の保持時間を示し、縦軸は、測定試料の標準試料との膨張の差(示差熱膨張)を示している。曲線C100は、加熱処理温度が140℃のときの変化を示し、曲線C101は、加熱処理温度が160℃のときの変化を示し、曲線C102は、加熱処理温度が180℃のときの変化を示し、曲線C103は、加熱処理温度が200℃のときの変化を示す。従来の磁歪式トルクセンサの製造方法での焼戻し工程と再加熱処理工程では加熱処理温度を180℃以上にしている。そこで、180℃での加熱処理での熱膨張を考えると、まず、温度を180℃に加熱したとき、ステアリング軸の膨張は、点Aで示す量となっている。焼戻しで180℃に2時間保持するとステアリング軸は、膨張の量が点Bで示す量となる。その後、再加熱処理のために180℃で2時間保持すると膨張の量は点Cで示す量となる。一方、200℃で保持する場合は、200℃に加熱したときの膨張の量は、点Dで示す量であり、焼戻し工程で200℃で2時間保持すると膨張の量は点Eで示す量となり、さらに200℃で再加熱処理すると膨張の量は、点Fで示す量となる。それゆえ、全工程終了後では、膨張の量の差は180℃と200℃で点Cと点Fで示す膨張の量の差ΔV2で示す大きさとなる。そのため、室温に戻したときの磁歪膜に加わる引っ張り応力は、この180℃と200℃での20℃程度の温度の違いで大きな違いが生じる。その結果、磁歪膜の磁気特性にバラツキが生じないようにし、磁歪式トルクセンサの検出精度に悪影響を与えないようにするために、再加熱処理時の温度の制御を精密に行う必要があった。また、ピニオンを焼戻す工程と再度加熱処理する工程を別々に設けているため、製造工程が多くなり、量産性を低下させていた。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、磁歪膜の磁気特性のバラツキが生じないようにするための再度加熱処理する工程での温度の制御を容易にし、量産性に優れた磁歪式トルクセンサの製造方法およびこの製造方法で製造された磁歪式トルクセンサを搭載した電動パワーステアリング装置を提供することにある。
本発明に係る磁歪式トルクセンサの製造方法と電動パワーステアリング装置は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
第1の磁歪式トルクセンサの製造方法(請求項1に対応)は、回転軸に駆動力を伝達するためのギヤを設ける工程と、回転軸に焼入れを行う工程と、回転軸に磁歪膜を付与する工程と、回転軸に所定の捩りトルクを加えた状態で加熱処理する工程と、捩りトルクを解放することによって磁歪膜に磁気異方性を設ける工程と、磁歪膜を再度加熱処理する工程と、磁歪膜周囲に磁歪特性の変化を検出する多重巻きコイルを配置する工程と、を含み、再度加熱処理する工程は、ギヤを焼戻す工程を兼ねており、焼入れ後に、焼戻し前の状態のギヤを磁歪膜と共に再度加熱処理することで焼戻す、ことで特徴づけられる。
第2の磁歪式トルクセンサの製造方法(請求項2に対応)は、上記の方法において、好ましくは回転軸を再度加熱処理する工程の温度を磁歪式トルクセンサが実際に使用される状況での使用温度以上としたことで特徴づけられる。
本発明に係る電動パワーステアリング装置(請求項3に対応)は、ステアリング系に補助トルクを付加するモータと、ステアリング系の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、少なくとも操舵トルクセンサからの操舵トルク信号に基づいてモータを駆動制御する制御手段と、を備えた電動パワーステアリング装置において、操舵トルクセンサを、上記の第1または第2の製造方法によって作製された磁歪式トルクセンサとしたことで特徴づけられる。
本発明によれば、再度加熱処理する工程が焼戻しする工程を兼ねているので、製造工程が短縮でき、磁歪式トルクセンサの量産性が向上する。また、高温での加熱時間が従来に比べて短くなるので、再度加熱処理する工程による回転軸の不要な膨張や、ピニオンの強度低下を抑制することができる。これにより、ピニオン強度を満足させるとともに磁歪膜の残留応力のバラツキが小さい、検出精度が良好な磁歪式トルクセンサを得ることができる。さらに、上記製造方法によって製造された磁歪式トルクセンサを電動パワーステアリング装置に搭載することにより、操舵フィーリングを良好にすることができる。
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図である。電動パワーステアリング装置10は、ステアリングホイール11に連結されるステアリング軸12aに対して補助用の操舵力(操舵トルク)を与えるように構成されている。ステアリング軸12aはステアリング軸12bと自在軸継手12cを介して連結されており、ステアリング軸12aの上端はステアリングホイール11に連結され、ステアリング軸12bの下端にはピニオン13が取り付けられている。ピニオン13に対して、これに噛み合うラックギヤ14aを設けたラック軸14が配置されている。ピニオン13とラックギヤ14aによってラック・ピニオン機構15が形成される。ラック軸14の両端にはタイロッド16が設けられ、各タイロッド16の外側端には前輪17が取り付けられる。
ステアリング軸12bに対し動力伝達機構18を介してモータ19が設けられている。動力伝達機構18は、ウォームギヤ18aとウォームホイール18bによって形成されている。モータ19は、操舵トルクを補助する回転力(トルク)を出力し、この回転力を、動力伝達機構18を経由して、ステアリング軸12b,12aに与える。
ステアリング軸12bには操舵トルク検出部(操舵トルクセンサ)20が設けられている。操舵トルク検出部20は、運転者がステアリングホイール11を操作することによって生じる操舵トルクをステアリング軸12a,12bに加えたとき、ステアリング軸12a,bに加わった当該操舵トルクを検出する。21は車両の車速を検出する車速検出部であり、22はコンピュータで構成される制御装置である。制御装置22は、操舵トルク検出部20から出力される操舵トルク信号Tと車速検出部21から出力される車速信号Vを取り入れ、操舵トルクに係る情報を車速に係る情報に基づいて、モータ19の回転動作を制御する駆動制御信号SG1を出力する。上記のラック・ピニオン機構15等は図1中で図示しないギヤボックス24(図2、図3参照)に収納されている。
電動パワーステアリング装置10は、通常のステアリング系の装置構成に対し、操舵トルク検出部20、車速検出部21、制御装置22、モータ19、動力伝達機構18を付加することによって構成されている。
運転者がステアリングホイール11を操作して自動車の走行運転中に走行方向の操舵を行うとき、ステアリング軸12a,12bに加えられた操舵トルクに基づく回転力はラック・ピニオン機構15を介してラック軸14の軸方向の直線運動に変換され、さらにタイロッド16を介して前輪17の走行方向を変化させようとする。このときにおいて、同時に、ステアリング軸12bに付設された操舵トルク検出部20は、ステアリングホイール11での運転者による操舵に応じた操舵トルクを検出して電気的な操舵トルク信号Tに変換し、この操舵トルク信号Tを制御装置22へ出力する。また、車速検出部21は、車両の車速を検出して車速信号Vに変換し、この車速信号Vを制御装置22へ出力する。
制御装置22は、操舵トルク信号T、車速信号Vに基づいてモータ19を駆動するためのモータ電流を発生する。モータ電流によって駆動されるモータ19は、動力伝達機構18を介して補助操舵力をステアリング軸12b,12aに作用させる。以上のごとくモータ19を駆動することにより、ステアリングホイール11に加えられる運転者による操舵力が軽減される。
図2は、電動パワーステアリング装置10の機械的機構の要部と電気系の具体的構成を示す。ラック軸14の左端部および右端部の一部は断面で示されている。ラック軸14は、車幅方向(図2中左右方向)に配置される筒状ハウジング31の内部に軸方向へスライド可能に収容されている。ハウジング31から突出したラック軸14の両端にはボールジョイント32がネジ結合され、これらのボールジョイント32に左右のタイロッド16が連結されている。ハウジング31は、図示しない車体に取り付けるためのブラケット33を備えると共に、両端部にストッパ34を備えている。
35はイグニションスイッチ、36は車載バッテリ、37は車両エンジンに付設された交流発電機(ACG)である。交流発電機37は車両エンジンの動作で発電を開始する。制御装置22に対してバッテリ36または交流発電機37から必要な電力が供給される。制御装置22はモータ19に付設されている。また38はラック軸の移動時にストッパ34に当たるラックエンドであり、39はギヤボックスの内部を水、泥、埃等から保護するためのダストシール用ブーツである。
図3は図2中のA−A線断面図である。図3では、ステアリング軸12bの支持構造、操舵トルク検出部20、動力伝達機構18、ラック・ピニオン機構15の具体的構成が明示される。
ギヤボックス24を形成するハウジング24aにおいてステアリング軸12bは2つの軸受け部41,42によって回転自在に支持されている。ハウジング24aの内部にはラック・ピニオン機構15と動力伝達機構18が収納され、さらに上部には操舵トルク検出部20が付設されている。ステアリング軸12bには磁歪膜20u,20dが形成され、これらに対応してコイル20r,20s,20r’,20s’がヨーク部20yに囲まれて設けられている。
ハウジング24aの上部開口はリッド43で塞がれ、リッド43はボルトで固定されている。ステアリング軸12bの下端部に設けられたピニオン13は軸受け部41,42の間に位置している。ラック軸14は、ラックガイド45で案内され、かつ圧縮されたスプリング46で付勢されピニオン13側へ押さえ付けられている。動力伝達機構18は、モータ19の出力軸に結合される伝動軸48に固定されたウォームギヤ18aとステアリング軸12bに固定されたウォームホイール18bとによって形成される。操舵トルク検出部20はリッド43に取り付けられている。
操舵トルク検出部20は、図3に示されるように鉄材等の強磁性材からなるステアリング軸(シャフト)12bの周囲2箇所に設けられた磁歪膜20u,20dと、磁歪膜20u,20dを励磁する励磁コイル20r,20r’と、磁歪膜20u,20dの磁歪特性の変化を検出する検出コイル20s,20s’とから構成されている。
また、励磁コイル20r,20r’および検出コイル20s,20s’の外周にはヨーク部20yが設けられている。操舵トルク検出部20は、ステアリング・ギヤボックス24内に設けられており、ステアリング軸12bに作用する操舵トルクを検出し、その検出値は制御装置22へ入力されて、モータ19に適切な補助操舵トルクを発生させるための基準信号として供給される。
ここで用いられる操舵トルク検出部20は、磁歪式トルクセンサであり、図3に示すように、ステアリング軸12bの表面に例えばNi−Feメッキで磁気異方性を有する磁歪膜を、上下2箇所(20uおよび20d)にそれぞれ逆方向の異方性となるように軸方向所定幅で設け、磁歪膜20u,20dに操舵トルクが作用したときに発生する逆磁歪特性を、磁歪膜20u,20dの周囲に配設したコイル20s,20s’の交流抵抗等を利用して検知するものである。
電動パワーステアリング装置10の制御装置22は、操舵トルク検出部20からの操舵トルク信号T、および車速検出部21からの車速信号Vを利用し、補助操舵力を出力する支援用のモータ19をPWM駆動し、運転者の操舵力を軽減している。
図4を参照して、本発明に係る磁歪式トルクセンサの製造方法を説明する。図4は、磁歪式トルクセンサの製造方法を示すフロー図である。磁歪式トルクセンサでは、ステアリング軸の下端にピニオンを加工する工程(ステップS11)と、ピニオンを焼入れする工程(ステップS12)と、磁歪膜を付与する工程(ステップS13)と、捩りトルクを付与する工程(ステップS14)と、磁歪膜を加熱処理する工程(ステップS15)と、磁歪膜を冷却する工程(ステップS16)と、捩りトルクを除去する工程(ステップS17)と、再度加熱処理する工程(ステップS18)と、多重巻きコイルを配置する工程(ステップS19)から成っている。
以下に各工程を説明する。
ステップS11:ステアリング軸12bの下端にピニオン13を加工する。
ステップS12:ピニオン13を焼き入れる。
ステップS13:ステアリング軸12bに磁歪膜20u,20dをメッキ処理する。メッキ処理は、磁歪材が所定の膜厚(例えば、30μm)で施される。
ステップS14:メッキ処理後に、捩りトルクTq(ステアリング軸12bの上部を反時計方向へ、下部を時計方向へ加える)を作用させてステアリング軸12bの円周表面に応力を付与する。ここで、捩りトルクTqは従来の製造時に作用させる捩りトルクTqよりも大きな捩りトルクTqを作用させる。例えば、従来の捩りトルクTqを70N・mとするのに対して捩りトルクTqとして75N・mを作用させる。
ステップS15:この捩りトルクTqを作用させたまま、磁歪膜20uの周囲をコイルで囲み、このコイルに対して高周波の電流を流し、磁歪膜20uを加熱処理する。
ステップS16:加熱処理後は自然に冷却させる。
ステップS17:冷却後、捩りトルクTqを取り除く。ここで、プリロードトルク(ステアリング軸12bに残っている捩りトルク)は−60N・m程度になっている。
ステップS18:捩りトルクTq除去後、再び加熱処理を行う。この再度加熱処理では、操舵トルク検出部20が使用される状況での使用温度以上の温度、例えば200℃で2時間加熱処理を行う。ここで、プリロードトルクは−55N・m程度になっている。
ステップS19:再加熱処理後、磁歪膜20u,20dに対応する位置に多重巻きコイルを配置する。
なお、ここでは磁歪膜20uについてのみ記載したが、磁歪膜20dについてもS14〜S17の工程により磁気異方性を付与する。ただし、捩りトルクの方向は互いに異なる方向となる。
図5は捩りトルク付与工程から捩りトルク除去工程までの間での捩りトルクTqの印加と温度変化を示した図である。矩形の線はトルクを示し、破線は温度を示す。図6は加熱処理工程でのステアリング軸12bを示す図である。ステアリング軸12bに対して捩りトルクTqとして75N・mを付与し、コイルに高周波電流を流すことによって加熱する。加熱処理は図6に示すようにコイル50を加熱処理する部位である磁歪膜20uに対して配置し、例えばこのコイル50に対して500KHz〜2MHzの高周波の電流を、tu=1〜10[秒]の間流すことによって行う。これにより、tu秒後には温度300℃となる。この時点で加熱を停止、つまり電流の供給を停止し、冷却する。所定の温度まで下がったとき(例えば、te秒後)に、捩りトルクTqを解放する。
図7は、再度加熱処理する工程でのステアリング軸12bを示す図である。ステアリング軸12bをコイルに高周波電流を流すことによって加熱する。加熱処理は図7に示すようにコイル50,51をそれぞれ加熱処理する部位である磁歪膜20u,20dとピニオン13に対して配置し、例えばこのコイル50,51に対して500KHz〜2MHzの高周波の電流を、数分間流すことによって行う。ここでは、温度が200℃になるように電流を調整する。
図8は、別の再度加熱処理する方法を示す。ステアリング軸12bを恒温槽52に入れて200℃の温度で2時間加熱する。
上記の製造方法によれば、ピニオンの焼入れ後に、焼戻し工程を入れず、再度加熱工程(S18)で焼戻し工程を兼ねている。このときのステアリング軸の膨張は、前述した図12で示すように、200℃で再度加熱処理する場合、200℃にしたとき、点Dで示す膨張の量である。200℃の加熱温度で2時間、保持すると、点Eで示す膨張の量となる。また、180℃では、点Bで示す膨張の量となる。そのとき、180℃と200℃での膨張の量の差は、点Bでの膨張の量と点Eでの膨張の量との差になり、この20度の温度の違いによる差は、ΔV1の差となる。これは、図12で示した膨張の量の差ΔV2で示す従来の方法での差に対して約2分の1である。それゆえ、常温に戻したときの磁歪膜に係る引っ張り応力のバラツキが生じないようにするために、再度加熱処理する工程における温度の制御を、従来の製造方法に比べて容易にすることができる。
このように、本発明での製造方法では、従来、磁歪膜を付与する工程の前に行っていたピニオンの焼戻し工程をなくし、再加熱処理工程でピニオンの焼戻し工程を兼ねるので、製造工程が短縮でき量産性を向上させることができる。また加熱処理によるステアリング軸の膨張やピニオン強度の低下を小さくできる。この結果、良好な検出精度を有する磁歪式トルクセンサと良好な強度を有するピニオンが得られる。
また、再加熱処理により、ステアリング軸の焼戻しを行うと同時に、ステアリング軸に設けた磁歪膜を、使用温度(80〜100℃)より高い温度(例えば180〜200℃)にて予めクリープさせることにより、磁歪式トルクセンサのシャフトおよび磁歪膜が通常使用時にクリープすることが無いので、温度変化に対するタフネスが向上し、常に良好な検出精度が得られる。
本発明は、電動パワーステアリング装置の操舵トルクを検出するための磁歪式トルクセンサの製造方法として利用される。また、自動車等に用いる電動パワーステアリング装置として利用される。
本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図である。 電動パワーステアリング装置の機械的機構の要部と電気系の具体的構成を示す。 図2におけるA−A線断面図である。 磁歪式トルクセンサの製造方法を示すフロー図である。 捩りトルク付与工程から捩りトルク除去工程までの間での捩りトルクTqの印加と温度変化を示した図である。 加熱処理工程を示す図である。 再度加熱処理する工程を示す図である。 別の再度加熱処理する工程を示す図である。 磁歪式トルクセンサの模式図である。 磁歪特性を示す図である。 従来の磁歪式トルクセンサの製造方法を示すフロー図である。 回転軸に用いられる金属材料の焼入れ後の熱処理により、熱処理保持時間と金属材料の膨張の量を示すグラフである。
符号の説明
10 電動パワーステアリング装置
11 ステアリングホイール
12a,12b ステアリング軸
19 モータ
20 操舵トルク検出部
20u 磁歪膜
20d 磁歪膜
20r 励磁コイル
20s 検出コイル
22 制御装置
50 コイル
51 コイル
52 恒温槽

Claims (3)

  1. 回転軸に、駆動力を伝達するためのギヤを設ける工程と、
    前記回転軸に焼入れを行う工程と、
    前記回転軸に磁歪膜を付与する工程と、
    前記回転軸に所定の捩りトルクを加えた状態で加熱処理する工程と、
    前記捩りトルクを解放することによって前記磁歪膜に磁気異方性を設ける工程と、
    前記磁歪膜を再度加熱処理する工程と、
    前記磁歪膜周囲に磁歪特性の変化を検出する多重巻きコイルを配置する工程と、を含み、
    前記再度加熱処理する工程は、前記ギヤを焼戻す工程を兼ねており、焼入れ後に、焼戻し前の状態の前記ギヤを前記磁歪膜と共に再度加熱処理することで焼戻す、ことを特徴とする磁歪式トルクセンサの製造方法。
  2. 前記回転軸を再度加熱処理する工程の温度を磁歪式トルクセンサが実際に使用される状況での使用温度以上としたことを特徴とする請求項1記載の磁歪式トルクセンサの製造方法。
  3. ステアリング系に補助トルクを付加するモータと、前記ステアリング系の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、少なくとも前記操舵トルクセンサからの操舵トルク信号に基づいて前記モータを駆動制御する制御手段と、を備えた電動パワーステアリング装置において、
    前記操舵トルクセンサを、請求項1または2に記載された製造方法によって作製された磁歪式トルクセンサとしたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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