JP4516266B2 - パルスアーク手溶接方法 - Google Patents

パルスアーク手溶接方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4516266B2
JP4516266B2 JP2002255848A JP2002255848A JP4516266B2 JP 4516266 B2 JP4516266 B2 JP 4516266B2 JP 2002255848 A JP2002255848 A JP 2002255848A JP 2002255848 A JP2002255848 A JP 2002255848A JP 4516266 B2 JP4516266 B2 JP 4516266B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peak current
welder
current
switch
base current
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002255848A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004090052A (ja
Inventor
孝治 上田
章 柳田
武 山上
学 村上
洋 松田
保秀 福島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2002255848A priority Critical patent/JP4516266B2/ja
Publication of JP2004090052A publication Critical patent/JP2004090052A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4516266B2 publication Critical patent/JP4516266B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Arc Welding Control (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はパルスアーク手溶接方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10は代表的な手溶接作業を示す図であり、溶接士100が、防護面101で顔面を保護しつつ、溶接トーチ(単に「トーチ」とも言う)102により、溶接母材103の溶接を実施している状態を示す。なお、溶接トーチ102にはトリガー形状のスイッチ104を備え、このスイッチ104を右手の人差し指で絞ることで「スイッチオン」にしてアーク105を発生させ、スイッチ104を戻すことで「スイッチオフ」にしてアーク105を消火させることができる。この様な操作をスイッチのオン/オフ操作という。
【0003】
図11はビードの説明図であり、(a)は一対の母材106、107を突合せ、この突合せ部を溶着金属108で接続した状態を示す。
(b)は(a)のb部拡大図であり、溶着金属108は拡大するとビード109、109、109が集合したものであると言える。
【0004】
以下の説明のために(b)において、隣り合うビード109、109の中心間距離Pを「ピッチ」と定義し、母材106.107の端面からの距離Lnにおけるビード109の幅Wを「ビード幅」と定義する。距離Lnのnは1、2、3・・・mの如く多数の計測点を示す。
【0005】
図12は従来のマニュアル操作による手溶接作業のタイムチャートであり、(a)はスイッチのオンオフ状態、(b)は溶接電流の状態、(c)はトーチの移動か停止かを示す。
溶接士は(c)の停止期間中の点p1で、(a)に示すとおりにスイッチをオンにする。これにより(b)に示すとおり電流はベース電流からピーク電流に切り替わり、アークが発生する。
【0006】
(a)にて点t2でスイッチをオフに切替えたとすれば、(b)にて期間t12の間アークが発生し、この結果、(d)に示すビード111が生じる。
溶接士は(c)の点p2でトーチの移動を開始し、点p3でトーチの移動を止める。同時に(a)に示すとおりにスイッチをオンに切替え、(b)に示すとおりに次のピーク電流通電を開始する。この通電は期間t34だけ続けたとする。
【0007】
この結果、(d)に示すビード112が生じる。期間t34が先の期間t12より大きければ、ビード112はビード111より大径若しくは広幅になることを示す。
以上に説明したとおりに、溶接士がスイッチのオンオフ操作を実施するマニュアル操作の場合は、ピーク電流の通電時間が不揃いになりやすく、そのためにビード幅が不揃いになりやすい。この傾向を実験によって次のように確認した。
【0008】
実験条件:
溶接士:Y氏、M氏、ma氏、F氏の4名
溶接母材の材質:SUS304
溶接母材の厚さ:1.0mm
溶接母材の寸法:50mm×200mm
ピーク電流:35A
ピーク電流通電期間:溶接士が任意に決定
ベース電流通電期間:溶接士が任意に決定
【0009】
ビード長さ150mmに対し、5mm毎に30点の計測点を定めた。図11(b)に示すLnが計測点に相当し、そこにおけるピッチP及びビード幅Wを計測した。
【0010】
図13は従来のマニュアル操作によるピッチのばらつきを表示するグラフであり、横軸にY氏、M氏、ma氏、F氏を示し、縦軸にピッチPを示す。
溶接士Yは、平均値が0.75mmで、ばらつきの幅は約0.3mmであった。
溶接士Mは、平均値が0.71mmで、ばらつきの幅は約0.5mmであった。
溶接士maは、平均値が0.49mmで、ばらつきの幅は約0.8mmであった。
溶接士Fは、平均値が1.0mmで、ばらつきの幅は約0.5mmであった。
ピッチは熟練度により、ばらつきの度合いに差が出ることが分かったので、熟練度を上げることでばらつきを狭めることができる。
【0011】
図14は従来のマニュアル操作によるビード幅のばらつきを表示するグラフであり、横軸にY氏、M氏、ma氏、F氏を示し、縦軸にビード幅Wを示す。
溶接士Yは、平均値が2.7mmで、ばらつきの幅は約0.5mmであった。
溶接士Mは、平均値が2.9mmで、ばらつきの幅は約0.6mmであった。
溶接士maは、平均値が2.4mmで、ばらつきの幅は約0.8mmであった。
溶接士Fは、平均値が2.9mmで、ばらつきの幅は約0.6mmであった。
4氏共にばらつきが大きいと言える。
熟練度の高い溶接士Yであってもビード幅のばらつきは大きいため、マニュアル操作ではビード幅は不揃いにないやすいことが確認できた。
【0012】
ビード幅の不揃いに対しては、上述したとおりにピーク電流の通電時間を均等にすることでビード幅を均等にできる。そこで、自動パルス溶接法が考えられる。そこで、次に自動パルス溶接法を検証する。
【0013】
図15は従来の自動パルス溶接法の説明図である。
(a)はスイッチ操作を示し、溶接士が点t5でスイッチをオンに切替えたとする。そして、溶接作業中はスイッチのオンのままとする。
(b)は溶接電流の挙動を示し、スイッチのオンに伴って、ベース電流からピーク電流に切り替わり、自動的に期間tp6だけピーク電流を流し続ける。この結果、(d)に示すビード113ができる。
【0014】
(b)において、期間tp6が経過したら、自動的にベース電流に切替え、ベース電流を期間tp7だけ維持する。この期間tp7が経過したら、自動的にピーク電流に切り替わる。この様に規則的にピーク電流とベース電流をパルス的に切替えるため「自動パルス溶接法」と呼称した。
【0015】
(c)は溶接士が実施するトーチの横移動の状態を示し、アーク消火中に、mv1やmv2の如く、トーチを次の打点へ移動したとする。この結果、(d)に示すとおりに次のビード114とその次のビード115を発生させることができる。
【0016】
(b)に示すとおりにピーク電流の通電期間はtp6一律であるため、(d)に示すビード113〜115の大きさはほぼ同一になる。しかし、(c)に示す移動期間mv1とmv2とは、溶接士の行為に依存するために同一にならぬ可能性が高い。この結果、(d)に示すとおりにピッチが不揃いになり勝ちである。この点を実験によって次のように確認した。
特に、移動期間mv2の様に移動未了のうちにベース電流からピーク電流へ切り替わると、ピッチが小さくなるという不具合が発生する。
【0017】
実験条件:
溶接士:Y氏、M氏、ma氏、F氏の4名
溶接母材の材質:SUS304
溶接母材の厚さ:1.0mm
溶接母材の寸法:50mm×200mm
ピーク電流:35A
ピーク電流時間:272ma
ベース電流時間:452ma
【0018】
ビード長さ150mmに対し、5mm毎に30点の計測点を定めた。図11(b)に示すLnが計測点に相当し、そこにおけるピッチP及びビード幅Wを計測した。
【0019】
図16は従来の自動パルス溶接法によるピッチのばらつきを表示するグラフであり、横軸にY氏、M氏、ma氏、F氏を示し、縦軸にピッチPを示す。
溶接士Yは、平均値が0.59mmで、ばらつきの幅は約0.4mmであった。
溶接士Mは、平均値が0.51mmで、ばらつきの幅は約0.5mmであった。
溶接士maは、平均値が0.78mmで、ばらつきの幅は約0.9mmであった。
溶接士Fは、平均値が0.71mmで、ばらつきの幅は約0.9mmであった。
4氏ともにピッチにおけるばらつきの度合いは大きかった。
【0020】
図17は従来の自動パルス溶接法によるビード幅のばらつきを表示するグラフであり、横軸にY氏、M氏、ma氏、F氏を示し、縦軸にビード幅Wを示す。
溶接士Yは、平均値が2.5mmで、ばらつきの幅は約0.2mmであった。
溶接士Mは、平均値が2.7mmで、ばらつきの幅は約0.2mmであった。
溶接士maは、平均値が2.5mmで、ばらつきの幅は約0.4mmであった。
溶接士Fは、平均値が2.5mmで、ばらつきの幅は約0.2mmであった。
4氏ともにばらつきは小さいと言える。
図16、17から明らかな如く、自動パルス溶接法ではビード幅は揃うが、ピッチは不揃いになりやすいことが確認できた。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
図12で説明したマニュアル操作による手溶接作業ではビード幅が不揃いになりやすく、図15で説明した自動パルス溶接法ではピッチが不揃いになりやすく、何れも溶接品質の点で問題が残る。
そこで、本発明の目的は、ビード幅とピッチの両方を揃えることのできる溶接方法を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項は、ベース電流とピーク電流とを交互に繰り返すパルスアーク手溶接方法において、スイッチオンによりピーク電流の通電を開始し、このピーク電流の通電を一定時間継続し、一定時間経過したらスイッチのオン/オフ操作に関係なくピーク電流をベース電流に切替え、このベース電流の通電を所定時間継続し、この所定時間が継続したという条件とスイッチがオンに切り替わった条件の両方が満たされたときに次のピーク電流の通電を開始する如くにベース電流とピーク電流とを切替えることを特徴とする。
【0025】
パルス溶接の場合に、ピーク電流通電期間を一定にすると、ビードの大きさが揃いやすい。アーク消火中にトーチを次の打点位置まで移動させるが、この移動に要する時間には個人差などのばらつきが不可避的に発生するので、ベース電流通電期間を自動化せずに溶接士の意志に委ねることにした。これにより、ピッチを揃えることができる。
【0026】
ただし、溶接士の意志で決定するベース電流通電期間を短くし過ぎると、ビード幅が不揃いになる可能性がある。そこで、ベース電流の通電を所定時間継続し、この所定時間が継続したという条件を加えた。
従って、請求項によればビード幅とピッチの両方をより一層揃えることのできる溶接方法を提供することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は参考例に係るパルスアーク手溶接方法のタイムチャートであり、(a)はスイッチ操作、(b)は溶接電流の状態、(c)は溶接士によるトーチの移動/停止動作を示す。
【0028】
(a)において点t11でスイッチをオンに切替えると、(b)において溶接電流がベース電流からピーク電流に切り替わる。そして、自動的に期間tpだけピーク電流を流し続け、その後に自動的にベース電流に切替える。これらの切替えは(a)に示すスイッチのオフ操作に無関係に行う。
【0029】
(b)においてベース電流通電期間tb1の間に(c)に示すトーチの移動を溶接士は実施する。トーチの移動が完了したら、溶接士は(a)に示す点t12でスイッチをオンする。すると、(b)において溶接電流がベース電流からピーク電流に切り替わる。そして、自動的に期間tpだけピーク電流を流し続け、その後に自動的にベース電流に切替える。
【0030】
すなわち、参考例に係る方法では、(a)に示す点t11、t12、t13で、(b)に示すベース電流からピーク電流への切替えが実施でき、且つ自動的に期間tpだけピーク電流を維持し、期間が経過と共にベース電流へ戻す。
ピーク電流通電期間が一定(tp)であるため、ビードの大きさ(幅や径)が揃う。
【0031】
また、(b)に示す期間tb1、tb2、tb3が互いに異なるが、このことは、溶接士がトーチの移動時間を自由に選択できることを意味する。
であれば、トーチの移動中にピーク電流に切り替わることはない。溶接士がピーク電流への切替えを決めるからである。
【0032】
一方、ベース電流通電期間が一定であるときには、熟練度が高い溶接士にあってはトーチの移動が完了してからピーク電流切替えまでに間が空くことが考えられる。そうすると、作業性が低下する。
この点、参考例に係る方法では溶接士の意志でベース電流をピーク電流に切替えるために、ピッチを容易に揃えることができる。これらの確認実験については後述する。
【0033】
図2は参考例に係るパルスアーク手溶接方法のフロー図である。ST××はステップ番号を示す。
ST01:予め、ピーク電流通電期間tp(図1(b)参照)を制御部に記憶させる。
ST02:溶接士が、溶接トーチに付属のスイッチをオンにする。
ST03:スイッチオンに伴って、ピーク電流の通電が始まる。
ST04:制御部ではスイッチオンと同時に、タイマをリセットする。リセットによりカウントを開始する。
【0034】
ST05:制御部でタイマカウント時間Tmが予め設定してあるピーク電流通電期間tpに達したか否かを判別する。Tm≧tpになったらST06に進む。
ST06:制御部により自動的にピーク電流をベース電流に切替え、アークを消火させる。
ST07:溶接機のメインスイッチを操作するなどして作業を終えることができるが、それ以外の場合は作業を継続するためにST08に進む。
ST08:溶接士は、トーチを次の打点位置まで横移動する。そして、ST02に戻る。これで、図1のタイムチャートを再現させることができる。
【0035】
すなわち、この参考的な溶接方法は、ベース電流とピーク電流とを交互に繰り返すパルスアーク手溶接方法において、スイッチオンによりピーク電流の通電を開始し、このピーク電流の通電を一定時間継続し、一定時間経過したら前記スイッチのオン/オフ操作に関係なくピーク電流をベース電流に切替え、次のスイッチオンによりピーク電流の通電を開始する如くにベース電流とピーク電流とを切替える。
【0036】
以上の溶接方法を、実験により検証したので、その内容及び結果を次に説明する。
実験条件:
溶接士:Y氏、M氏、ma氏、F氏の4名
溶接母材の材質:SUS304
溶接母材の厚さ:1.0mm
溶接母材の寸法:50mm×200mm
ピーク電流:35A
ピーク電流通電期間:272ma(図1(b)のtpに相当)
ベース電流通電期間:溶接士が任意に決定
【0037】
なお、ビード長さ150mmに対し、5mm毎に30点の計測点を定めた。図11(b)に示すLnが計測点に相当し、そこにおけるピッチP及びビード幅Wを計測した。
【0038】
図3は参考的な溶接方法によるピッチのばらつきを表示するグラフであり、横軸にY氏、M氏、ma氏、F氏を示し、縦軸にピッチPを示す。
なお、図13を比較例1、図16を比較例2として、参考例グラフに併記した。
【0039】
参考的な方法では、溶接士Yは、平均値が0.60mmで、ばらつきの幅は約0.2mmであった。
溶接士Mは、平均値が0.65mmで、ばらつきの幅は約0.2mmであった。
溶接士maは、平均値が0.56mmで、ばらつきの幅は約0.6mmであった。
溶接士Fは、平均値が0.71mmで、ばらつきの幅は約0.5mmであった。
【0040】
図4は図3の標準偏差グラフである。
すなわち、図3での比較例1を統計的に処理し、標準偏差σを求め、それを図4に黒丸で示した。同様に、図3での比較例2を統計的に処理し、標準偏差σを求め、それを図4に×で示した。さらに、図3での参考例を統計的に処理し、標準偏差σを求め、それを図4に白丸で示した。
4氏共に、参考例によるσは、比較例1、2のσより小さく、参考例によれば従来より、ピッチを揃えることができることが確認できた。
【0041】
図5は参考的な溶接方法によるビード幅のばらつきを表示するグラフであり、横軸にY氏、M氏、ma氏、F氏を示し、縦軸にビード幅Wを示す。
なお、図14を比較例1、図17を比較例2として、参考例グラフに併記した。
溶接士Yは、平均値が2.5mmで、ばらつきの幅は約0.2mmであった。
溶接士Mは、平均値が2.5mmで、ばらつきの幅は約0.6mmであった。
溶接士maは、平均値が2.7mmで、ばらつきの幅は約0.6mmであった。
溶接士Fは、平均値が2.7mmで、ばらつきの幅は約0.5mmであった。
【0042】
図6は図5の標準偏差グラフである。なお、横軸右端に示した「改良、0.032」は後述の図8の説明の際に説明する。
すなわち、図5での比較例1を統計的に処理し、標準偏差σを求め、それを図6に黒丸で示した。同様に、図5での比較例2を統計的に処理し、標準偏差σを求め、それを図6に×で示した。さらに、図5での参考例を統計的に処理し、標準偏差σを求め、それを図6に白丸で示した。
【0043】
参考例によるσは、比較例1のσよりは4氏ともに小さくなった。しかし、参考例によるσは、比較例2のσよりはやや大きくなった。
これでも、参考例によるビード幅のσは、従来並みと見なすことはでき、ピッチの点で従来より改善できたことから、総合的には参考例に係る溶接方法は評価できる。
【0044】
しかし、本発明者らは発明の目的からビード幅についても従来(比較例2)より、改善するべく更なる研究を進めた。その過程で、図1(b)に示すベース電流通電期間tb1、tb2、tb3の長短が溶接品質に影響を及ぼすことを見出した。そこで、ベース電流通電期間tb1、tb2、tb3と溶接品質の関係を調べることにした。
【0045】
実験条件:
溶接士:Y氏
溶接母材の材質:SUS304
溶接母材の厚さ:1.0mm
溶接母材の寸法:50mm×200mm
ピーク電流:35A
ピーク電流通電期間:272ma(図1(b)のtpに相当)
ベース電流通電期間:113、226、339、452又は565ma
すなわち、確認実験のために、自動パルス溶接法での溶接を実施した。
【0046】
図7はベース電流通電期間とビード幅偏差との関係を調べたグラフであり、横軸はベース電流通電期間、縦軸はビード幅偏差σを示す。
グラフによれば、ビード幅の偏差σは、ベース電流通電期間が113maで最大であり、452maで最小であり、傾向的にはベース電流通電期間が大きいほどσが小さくなることが確認できた。
【0047】
図8はベース電流通電期間とピッチ偏差との関係を調べたグラフであり、横軸はベース電流通電期間、縦軸はピッチ偏差σを示す。
グラフによれば、ピッチの偏差σは、ベース電流通電期間が113maで最大であり、339maで最小であり、傾向的にはベース電流通電期間が大きいほどσが小さくなることが確認できた。
【0048】
図7、図8からベース電流通電期間は450ma以上であれば、ビード幅並びにピッチの改善が見込める。
なお、図7でベース電流通電期間が452maのときのビード幅のσは0.032である。この0.032を図6に「改良 0.032」と図示した。
【0049】
図6から、0.032は、Y氏の実績の何れ(特に比較例2)よりも小さい。従って、ベース電流通電期間は、溶接士の意志で自由に選べるときであっても、450maを下回らぬように対策を講じることが有効となる。この対策を加えた本発明に係る溶接方法のフローを次に示す。
【0050】
図9は本発明に係るパルスアーク手溶接方法のフロー図である。ST××はステップ番号を示す。
ST11:予め、ベース電流通電期間の最小値tminを制御部に記憶させる。
ST12:同じく、ピーク電流通電期間tp(図1(b)参照)を制御部に記憶させる。
【0051】
ST13:溶接士が、溶接トーチに付属のスイッチをオンにする。
ST14:スイッチオンに伴って、ピーク電流の通電が始まる。
ST15:制御部ではスイッチオンと同時に、第1タイマをリセットする。リセットによりカウントを開始する。
【0052】
ST16:制御部でタイマカウント時間Tm1が予め設定してあるピーク電流通電期間tpに達したか否かを判別する。Tm1≧tpになったらST17に進む。
ST17:制御部により自動的にピーク電流をベース電流に切替え、アークを消火させる。
ST18:溶接士は、トーチを次の打点位置までの横移動を開始する。
ST19:ST17の切替えと同時に第2タイマをリセットし、リセットによりカウントを開始する。
【0053】
ST20:制御部でタイマカウント時間Tm2が予め設定してあるベース電流通電期間の最小値tminに達したか否かを判別する。Tm2≧tminになったらST21に進む。
ST21:溶接機のメインスイッチを操作するなどして作業を終えることができるが、それ以外の場合は作業を継続するためにST13に戻る。
【0054】
ST20の存在により、仮に溶接士がスイッチをオン操作しても、消火後tmin(例えば450ma)が経過していなければ、ピーク電流に切り替わらない。 ベース電流通電期間が所定値(例えば450ms)以上であればビード幅をより揃えることができるため、以上のフローを実施することにより好ましいビード幅並びにピッチが得られる。
【0055】
以上をまとめると本発明の溶接方法は、ベース電流とピーク電流とを交互に繰り返すパルスアーク手溶接方法において、スイッチオンによりピーク電流の通電を開始し、このピーク電流の通電を一定時間継続し、一定時間経過したら前記スイッチのオン/オフ操作に関係なくピーク電流をベース電流に切替え、このベース電流の通電を所定時間継続し、この所定時間が継続したという条件とスイッチがオンに切り替わった条件の両方が満たされたときに次のピーク電流の通電を開始する如くにベース電流とピーク電流とを切替えることを特徴とする。
【0056】
尚、本発明は、TIG溶接、MIG溶接、被覆アーク溶接、炭酸ガスアーク溶接、炭素アーク溶接に代表される各種のアーク溶接に適用できる。
【0059】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項は、ベース電流とピーク電流とを交互に繰り返すパルスアーク手溶接方法において、スイッチオンによりピーク電流の通電を開始し、このピーク電流の通電を一定時間継続し、一定時間経過したらスイッチのオン/オフ操作に関係なくピーク電流をベース電流に切替え、このベース電流の通電を所定時間継続し、この所定時間が継続したという条件とスイッチがオンに切り替わった条件の両方が満たされたときに次のピーク電流の通電を開始する如くにベース電流とピーク電流とを切替えることを特徴とする。
【0060】
パルス溶接の場合に、ピーク電流通電期間を一定にすると、ビードの大きさが揃いやすい。アーク消火中にトーチを次の打点位置まで移動させるが、この移動に要する時間には個人差などのばらつきが不可避的に発生するので、ベース電流通電期間を自動化せずに溶接士の意志に委ねることにした。これにより、ピッチを揃えることができる。
【0061】
ただし、溶接士の意志で決定するベース電流通電期間を短くし過ぎると、ビード幅が不揃いになる可能性がある。そこで、ベース電流の通電を所定時間継続し、この所定時間が継続したという条件を加えた。
従って、請求項によればビード幅とピッチの両方をより一層揃えることのできる溶接方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例に係るパルスアーク手溶接方法のタイムチャート
【図2】 参考例に係るパルスアーク手溶接方法のフロー図
【図3】 参考的な溶接方法によるピッチのばらつきを表示するグラフ
【図4】 図3の標準偏差グラフ
【図5】 参考的な溶接方法によるビード幅のばらつきを表示するグラフ
【図6】 図5の標準偏差グラフ
【図7】 ベース電流通電期間とビード幅偏差との関係を調べたグラフ
【図8】 ベース電流通電期間とピッチ偏差との関係を調べたグラフ
【図9】発明に係るパルスアーク手溶接方法のフロー図
【図10】 代表的な手溶接作業を示す図
【図11】 ビードの説明図
【図12】 従来のマニュアル操作による手溶接作業のタイムチャート
【図13】 従来のマニュアル操作によるピッチのばらつきを表示するグラフ
【図14】 従来のマニュアル操作によるビード幅のばらつきを表示するグラフ
【図15】 従来の自動パルス溶接法の説明図
【図16】 従来の自動パルス溶接法によるピッチのばらつきを表示するグラフ
【図17】 従来の自動パルス溶接法によるビード幅のばらつきを表示するグラフ
【符号の説明】
100…溶接士、101…防護面、102…溶接トーチ又はトーチ、104…スイッチ、105…アーク、109、111〜115…ビード、tp…一定時間、所定時間…tmin。

Claims (1)

  1. ベース電流とピーク電流とを交互に繰り返すパルスアーク手溶接方法において、スイッチオンによりピーク電流の通電を開始し、このピーク電流の通電を一定時間継続し、一定時間経過したら前記スイッチのオン/オフ操作に関係なくピーク電流をベース電流に切替え、このベース電流の通電を所定時間継続し、この所定時間が継続したという条件とスイッチがオンに切り替わった条件の両方が満たされたときに次のピーク電流の通電を開始する如くにベース電流とピーク電流とを切替えることを特徴とするパルスアーク手溶接方法。
JP2002255848A 2002-08-30 2002-08-30 パルスアーク手溶接方法 Expired - Fee Related JP4516266B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002255848A JP4516266B2 (ja) 2002-08-30 2002-08-30 パルスアーク手溶接方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002255848A JP4516266B2 (ja) 2002-08-30 2002-08-30 パルスアーク手溶接方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004090052A JP2004090052A (ja) 2004-03-25
JP4516266B2 true JP4516266B2 (ja) 2010-08-04

Family

ID=32061231

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002255848A Expired - Fee Related JP4516266B2 (ja) 2002-08-30 2002-08-30 パルスアーク手溶接方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4516266B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5808953B2 (ja) * 2011-06-02 2015-11-10 株式会社ダイヘン アーク溶接システムおよびアーク溶接方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS49115958A (ja) * 1973-03-12 1974-11-06
JPH01237077A (ja) * 1988-03-18 1989-09-21 Suzuki Motor Co Ltd Mig溶接における溶接制御方法
JPH034650Y2 (ja) * 1984-11-13 1991-02-06
JPH03248774A (ja) * 1990-02-28 1991-11-06 Nippon Steel Corp 立向隅肉小脚長ガスシールドアーク自動溶接法
JPH09220667A (ja) * 1995-12-11 1997-08-26 Nippon Sanso Kk アーク溶接方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3004650U (ja) * 1994-05-25 1994-11-22 憲男 工藤 溶接補助具

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS49115958A (ja) * 1973-03-12 1974-11-06
JPH034650Y2 (ja) * 1984-11-13 1991-02-06
JPH01237077A (ja) * 1988-03-18 1989-09-21 Suzuki Motor Co Ltd Mig溶接における溶接制御方法
JPH03248774A (ja) * 1990-02-28 1991-11-06 Nippon Steel Corp 立向隅肉小脚長ガスシールドアーク自動溶接法
JPH09220667A (ja) * 1995-12-11 1997-08-26 Nippon Sanso Kk アーク溶接方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004090052A (ja) 2004-03-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7397015B2 (en) Metal cored electrode for open root pass welding
JP5127788B2 (ja) 抵抗溶接方法、抵抗溶接部材、抵抗溶接機、抵抗溶接機の制御方法とその制御プログラムおよびその制御装置並びに抵抗溶接の評価方法とその評価プログラムおよびその評価装置
KR101991608B1 (ko) 수평 필릿 용접 방법, 수평 필릿 용접 시스템 및 프로그램
US20200316703A1 (en) Arc welding controlling method
KR101991607B1 (ko) 수평 필렛 용접 방법, 수평 필렛 용접 시스템 및 프로그램
JP6771366B2 (ja) ガウジングレス完全溶込み溶接方法及び溶接継手
JP6357134B2 (ja) バイメタルねじ用ブランク製造システムおよび製造方法
JP4516266B2 (ja) パルスアーク手溶接方法
EP1068041B1 (en) Method for arc welding with melting electrode
US20140131325A1 (en) Method to plasma arc weld and full-position pipe weld
BRPI1100137A2 (pt) Método de início de arco de equipamento de solda de um lado e múltiplos eletrodos e o equipamento de solda de um lado e múltiplos eletrodos
EP3717169B1 (en) Method of welding with melting and welding devices and desactivation of the melting device ; corresponding welding apparatus
KR20140122065A (ko) 반자동 tig 용접 와이어 송급장치
JP6092163B2 (ja) 溶接装置及び溶接方法
JP5808958B2 (ja) アーク溶接方法
JP6979901B2 (ja) 抵抗溶接方法
JP2004098124A (ja) 溶接方法及び溶接システム
JP3960025B2 (ja) 溶接方法
JPH0329502B2 (ja)
KR100540585B1 (ko) 로봇의 용접 위빙 방법
JP7136709B2 (ja) 片面サブマージアーク溶接方法及び片面サブマージアーク溶接装置
JP2004050202A (ja) 消耗電極式アークスポット溶接方法および消耗電極式アーク溶接装置
KR200491639Y1 (ko) 서브머지드 아크 용접용 플럭스 공급장치
Hongjun et al. Solutions to problems of tiny spatter and arc interruption in AC Pulsed MIG arc welding
JP2004009095A (ja) 溶接方法と溶接システム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080314

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080408

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080605

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090916

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091111

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100511

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100514

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130521

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees