JP4515689B2 - 印刷用シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷用シートに関する。詳しくは、熱転写型印刷用シートもしくは感熱記録印刷用シート等の基材またはインクジェット印刷用基材として優れる熱可塑性樹脂性多孔性フィルムを用いた印刷用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報伝達方式の急速な進展に伴い、電子写真印刷方式、熱転写型印刷方式または感熱記録印刷方式等の各種印刷方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ等がそれぞれの用途に応じて広く使用されている。このうち、熱転写型印刷方式における画像形成においては、通常、色材を溶融または昇華させて記録媒体(例えば、紙または樹脂製のフィルムもしくはシート)の受像材料の上に転移させて粘着、吸着、染着作用により記録画像を形成させている。また、この種の記録方式の中でも、色材とワックス類、あるいは樹脂等で構成された熱溶融性インク層を有するインク転写シートをサーマルヘッドや通電ヘッド等の発熱により溶融させ、色材を受像紙に転移させて記録像を得る熱溶融型の熱転写印刷方式は、特に装置が簡便でコンパクト化が容易であり、さらにメンテナンスフリー等といった利点を有する。このことから、信頼性、セキュリティの要求される乗車券、定期券、航空券等の券紙類、ラベル類およびプリペイドカード等のカード類への利用が注目されている。このような熱溶融型の熱転写印刷方式における記録媒体としては、これまでは普通紙を使用することが一般的であった。
【0003】
しかしながら、前記熱溶融型の熱転写印刷方式においては、フルカラー記録、高速記録、鮮明画像、高解像度化等への要望が強く、これらの要求性能はドット再現性や記録密度に劣る普通紙では満足できなくなっている。例えば、ラベル類においては、高速スピードで記録されたバーコード等が読取り装置を用いて読み取られる際に、画像品質が悪くてドット抜けや線途切れ等が数多く見られると、バーコード等を精度良く読み取ることができないために、受像材料としては不合格である。
【0004】
このような熱転写印刷材料におけるインクの受容性を向上させるため、樹脂と顔料から構成される受容層を基材上に設ける方法が種々提案されている。例えば、特開平6−278381号には、特定の物性を有する合成高分子樹脂と多孔質顔料からなる組成物を塗布した受像層を設けた熱転写記録用受像紙が開示されている。また、ドット再現性や記録密度に着目した点では、前記受容層を塗布する基材として多孔性樹脂シートを用いることが提案されている(特開平7−101168号)。
【0005】
前記特開平7−101168号明細書に開示の技術においては、基材となるシートの多孔性によって断熱性やクッション性が発現し、それによってインクの転写が鮮明かつ濃厚になるものとされている。しかしながら、この熱転写記録シートにおいても、シートの多孔性については特定の吟味が加えられておらず、如何なる多孔性シートを使用した場合でも同様の転写性が得られるものかどうか疑問な点があった。
【0006】
一方、ファクシミリやプリンタのための記録方式として、熱転写型と同等の簡便性を有する感熱記録印刷が広く使用されている。通常、感熱記録印刷に用いられる感熱記録紙は、感熱発色層と抄造紙とから構成され、無色ないし淡色の塩基性染料とフェノール系物質等の有機顕色剤とを、それぞれ微細な粒子に磨砕・分散した後、両者を混合し、バインダー、充填剤、感度向上剤、滑剤その他の助剤を添加した感熱発色層を抄造紙上に設け、サーマルヘッド等により感熱発色層を加熱することで発色して画像記録を形成させる方式がとられている。感熱記録紙の支持体に関しては、従来は普通紙が使用されてきたが、最近では樹脂製フィルム等も用いられるようになってきた。特開平6−143805号には、無機微細粉末を含有し、特定の物性を有する微多孔の二軸延伸フィルムからなる支持体を含む感熱記録紙が開示されている。
【0007】
しかしながら、前記特開平6−143805号においても、生成する微多孔について吟味が加えられていないため、フィルムの断熱性やその結果としてのドット再現性については不明である。さらに、記録シートを保管したり二次加工したりする際に基材の断熱性が劣ると、いわゆる発色かぶりが発生し、記録内容の正確性が損なわれることがある。
【0008】
このように、ある基材の表面に塗工層を設け、その塗工層に対しサーマルヘッド様のもので熱を印加し、インクを受容させたりあるいはその塗工層自身を発色させる熱転写型印刷方式や感熱記録印刷方式などの場合、その印刷シート基材としては、多孔質基材の断熱性やクッション性といった観点で未だ満足すべきものが得られていない。
【0009】
一方、インクジェット印刷のごとく、多量のインクを受像層で吸収してなる印刷方式の場合、受像層のインク吸収性に関する検討は数多く行われており、また基材側についても、一部では微多孔性を有する合成樹脂フィルムを基材として用いることが提案されている(特開2000−1045号)。しかし、このような基材を用いた場合でも、最近のインクジェット印刷の発達に伴う多量のインク受容性を達成するためには、改良の余地がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、熱転写型印刷や感熱記録印刷等に用いられた場合に、ドット再現性が良好で記録密度が高く、また階調再現性にも優れる印刷シートを提供することにある。また、特に感熱記録印刷に用いられた場合、保管時の発色かぶりの少ない印刷用シートを提供することにある。また、インクジェット印刷に用いられた場合に、基材層がインクの吸収性を効果的に補完し、印刷時の作業性や印刷面の仕上がりを良好にする印刷用シートを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の孔構造を有する熱可塑性樹脂製多孔性フィルムを基材として用いることにより、所期の目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の印刷用シートは、微細孔を有する熱可塑性ポリオレフィン系樹脂製多孔性フィルムを基材層として少なくとも1層と、印刷記録層とを含む印刷用シートであって、前記熱可塑性ポリオレフィン系樹脂は、分子鎖長が2850nm以上のポリオレフィンを20重量%以上含むものであり、前記微細孔は、フィルムの1方向に伸びる幹フィブリルとこの幹フィブリル間を連結する枝フィブリルとからなる3次元網状組織により形成されており、前記枝フィブリルの形成密度は、前記幹フィブリルの形成密度より高く、かつ、該印刷用シートのバブルポイント法(ASTM F316−86)により求めた前記微細孔の平均細孔直径d(μm)と、水銀圧入法(JIS K1150)により求めた前記微細孔の平均細孔半径r(μm)とが、下記式:1.2≦2r/d≦1.7を満たすものであることを特徴とする。このような孔構造を、loofah構造と称する。
【0013】
かかる構成の印刷用シートは、例えば10〜30μm程度の厚さの基材層であっても、十分に高い断熱性およびクッション性を有する。また、多数形成される微細孔の細孔径などを調節することにより、ドット再現性、記録密度および階調再現性に優れた印刷用シートとすることができる。
【0014】
しかも、微細孔の構造がフィルムの1方向に伸びる幹フィブリルと枝フィブリルからなる3次元網状組織により形成されているため、強度の高い印刷用シートを実現できることになる。つまり、枝フィブリルの形成密度が幹フィブリルの形成密度よりも高いことによって、最大熱収縮方向およびそれに直交する方向の力学強度のバランスに優れた印刷用シートとなる。従って、本発明の印刷用シートは機械的強度に優れ、局部的に強い外力が作用しても容易には破れない。また、多数形成される微細孔の細孔径などを調節することにより、熱転写型印刷用シートや感熱記録印刷用シート等の基材として用いられた際に、ドット再現性が良好で記録密度が高く、また階調再現性にも優れた印刷用シートとすることができる。
【0015】
この場合、枝フィブリルおよび幹フィブリルは、必ずしも直線的に伸びている必要はない。また、幹フィブリルの伸びる方向は、電子顕微鏡写真により確認でき、フィルムの裁断により決定されるので、特に特定されるものではない。
【0016】
「1方向に伸びる」とは、すべての幹フィブリルが直線的に平行に特定方向に伸びていることを要するものではなく、蛇行しつつある程度のばらつきを有して平均的に特定方向に配向していることを意味する。枝フィブリル、幹フィブリルのそれぞれの形成密度は、フィルム1μm2 の面積に存在するフィブリルの数であり、走査型電子顕微鏡によりフィルム表面を観測して求める。具体的には、5×5μm中に存在するフィブリルの数を計測して求める。
【0017】
印刷用シートとしての十分な強度を発揮するためには、前記熱可塑性樹脂は、分子鎖長が2850nm以上のポリオレフィン(以下、長分子鎖長ポリオレフィンと称することがある)を10重量%以上含有することが好ましく、長分子鎖長ポリオレフィンを20重量%以上含有することがより好ましく、長分子鎖長ポリオレフィンを30重量%以上含有することがさらにより好ましい。
【0018】
バブルポイント法(ASTM F316−86)により求めた前記微細孔の平均細孔直径d(μm)と、水銀圧入法(JIS K1150)により求めた前記微細孔の平均細孔半径r(μm)とが、下記式を満たすものであることが好ましい。
1.2≦2r/d≦1.7。
【0019】
2r/dの値が前記範囲内にあると、印刷用シートの基材層は、強度、断熱性、クッション性およびインクの受容性のバランスに特に優れたものとなる。なお、シートの強度の点から、2r/dの値は1.65以下であることがより好ましく、1.60以下であることが更に好ましい。
【0020】
また、多数形成される微細孔の細孔径などを調節することにより、インクの受容性(吸収性および乾燥性)にも優れた印刷用シートとすることができる。
【0021】
前記枝フィブリルは、前記フィルムの最大熱収縮方向に配向していることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、枝フィブリルがフィルムの最大熱収縮方向に配向することにより、最大熱収縮方向での機械的強度が高くなる。
【0023】
前記微細孔は、平均細孔直径dが0.05〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmである。
【0024】
平均細孔直径dが0.1〜5μmであると、断熱性、クッション性およびインクの受容性に特に優れたものとなる。
【0025】
前記多孔性フィルムは、インクジェット印刷用基材として用いられた際に、インクの吸収性を効果的に補完し、印刷時の作業性や印刷面の仕上がりを良好にするためには、前記熱可塑性樹脂100重量部に対し、充填剤が10〜300重量部配合されていることが好ましく、30〜200重量部がより好ましく、50〜150重量部がさらに好ましい。
【0026】
このような配合量からなる多孔性フィルムは、概して、ガーレー値が厚さ25μmあたり10〜500秒/100cm3 、空孔率が30〜80%となり、インクの吸収性および乾燥性に優れた基材層を構成することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の印刷用シートの基材層を構成する多孔性フィルムの主原料である熱可塑性樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン等のオレフィンの単独重合体または2種類以上のオレフィンの共重合体であるポリオレフィン系樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のフッ化ビニル系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、シリコーン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、熱可塑性エラストマーやこれらの架橋物等が挙げられる。
【0028】
前記熱可塑性樹脂は、1種類でもよく、2種類以上の混合物であってもよい。
【0029】
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂の使用が化学的な安定性に優れており、印刷用シートの基材層としてより好適である。
【0030】
このようなポリオレフィン系樹脂は、1種類のオレフィンの重合体または2種類以上のオレフィンの共重合体を主成分とするものである。ポリオレフィン系樹脂の原料となるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセンなどが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン、線状ポリエチレン(エチレン−α−オレフィン共重合体)、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリ(4 −メチルペンテン−1)、ポリ(ブテン−1)、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0031】
特に、ポリオレフィン系樹脂が分子鎖長が2850nm以上の長分子鎖長ポリオレフィンを含有する印刷用シートは強度に優れており、従って機械的強度を維持しつつ膜厚を薄くすることができる。このため透湿性、空気透過性もより向上させることができ、本発明の効果をより発現する印刷用シートが得られる。印刷用シートの強度の観点から、ポリオレフィン系樹脂は、分子鎖長が2850nm以上の長分子鎖長ポリオレフィンを10重量%以上含有していることが好ましく、20重量%以上含有していることがより好ましく、30重量%以上含有していることが更に好ましい。
【0032】
ポリオレフィンの分子鎖長、重量平均分子鎖長、分子量および重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定し、特定分子鎖長範囲または特定分子量範囲のポリオレフィンの混合比率(重量%)は、GPC測定により得られる分子量分布曲線の積分により求めることができる。
【0033】
ここに、ポリオレフィンの分子鎖長は、後述するGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定によるポリスチレン換算の分子鎖長であり、より具体的には以下の手順で求められるパラメータである。
【0034】
すなわち、GPC測定の移動相としては、測定する未知試料も分子量既知の標準ポリスチレンも溶解することができる溶媒を使用する。まず、分子量が異なる複数種の標準ポリスチレンのGPC測定を行い、各標準ポリスチレンの保持時間を求める。ポリスチレンのQファクターを用いて各標準ポリスチレンの分子鎖長を求め、これにより、各標準ポリスチレンの分子鎖長とそれに対応する保持時間を知る。尚、標準ポリスチレンの分子量、分子鎖長およびQファクターは下記の関係にある。
【0035】
分子量=分子鎖長×Qファクター
次に、未知試料のGPC測定を行い、保持時間−溶出成分量曲線を得る。標準ポリスチレンのGPC測定において、保持時間Tであった標準ポリスチレンの分子鎖長をLとするとき、未知試料のGPC測定において保持時間Tであった成分の「ポリスチレン換算の分子鎖長」をLとする。この関係を用いて、当該未知試料の前記保持時間−溶出成分量曲線から、当該未知試料のポリスチレン換算の分子鎖長分布(ポリスチレン換算の分子鎖長と溶出成分量との関係)が求められる。
【0036】
前記印刷用シートに用いる多孔性フィルムは、無機充填剤または有機充填剤等の充填剤を含有していてもよく、本発明の目的を妨げない範囲で脂肪酸エステルや低分子量ポリオレフィン樹脂等の延伸助剤、安定化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤等の添加剤を含有してもよい。
【0037】
前記印刷用シートに用いる多孔性フィルムは、例えば分子鎖長が2850nm以上の長分子鎖長ポリオレフィンを含有するポリオレフィン系樹脂を原料とする場合、樹脂原料と無機化合物および/または樹脂の微粉末とを、強混練できるようセグメント設計した2軸混練機を使用して混練した後、ロール圧延法によりフィルム化し、得られた原反フィルムを延伸機により延伸することによって、製造することができる。
【0038】
延伸に使用する装置としては、公知の延伸装置が限定なく使用可能であり、クリップテンターが好適な手段として例示される。
【0039】
上述の充填剤としては、平均粒子径が0.1〜1μmの酸化アルミニウムや水酸化アルミニウム、酸化マグネシウムや水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、天然または合成シリカなどの無機系充填剤や、架橋PSビーズや架橋MMAビーズ、メラミン樹脂ビーズなどの有機系充填剤が例示される。このうち、該印刷用シートの基材として用いる場合に、充填剤を除去した多孔質体として用いる方が好ましい場合には充填剤を除去して用いることができるが、この場合充填剤としては炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムのような、酸洗浄によって溶解除去することができる充填剤を使用することが好ましい。
【0040】
前記フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、放射線の照射により架橋されていてもよい。熱可塑性樹脂が架橋されているフィルムは、非架橋の熱可塑性樹脂からなるフィルムよりも、基材として用いられた場合の耐熱性や強度において優れる。
【0041】
本発明の印刷用シートに用いられる多孔性フィルムであって熱可塑性樹脂が架橋されているフィルムは、非架橋の熱可塑性樹脂を用いて製造した多孔性フィルムに対して、更に放射線を照射することにより得ることができる。
【0042】
架橋のために非架橋の多孔性フィルムに照射する放射線の種類は特に限定されないが、ガンマー線、アルファー線、電子線などが好ましく用いられ、生産速度や安全性の面から電子線の使用が特に好ましい。
【0043】
放射線源としては、加速電圧が100〜3000kVの電子線加速器が好ましく用いられる。加速電圧が100kVより小さいと電子線の透過深さが充分でなく、3000kVより大きいと装置がおおがかりでコスト的に好ましくない。放射線照射装置の例としては、バンデグラーフ型などの電子線走査型装置やエレクトロンカーテン型などの電子線固定・コンベア移動型装置などが挙げられる。
【0044】
放射線の吸収線量は0.1〜100Mradであることが好ましく、0.5〜50Mradであることがより好ましい。吸収線量が0.1Mradより小さい場合には樹脂を架橋させる効果が充分でなく、100Mradより大きい場合は強度が著しく低下するため好ましくない。
【0045】
前記多孔性フィルムに放射線を照射するときの照射雰囲気は空気でも構わないが、窒素など不活性ガス雰囲気が好ましい。
【0046】
このようにして製造された多孔性フィルムは、常法により熱固定して基材層とする。熱固定された基材層は、印刷用シートを構成するのに十分な表面平滑性を有することはいうまでもない。
【0047】
基材層の厚さは、使用目的に応じて適宜決定すればよいが、通常、50〜200μm程度である。
【0048】
次に、前記多孔性フィルムからなる基材層の片側に、直接またはプライマー層もしくは接着層を介して印刷記録層を形成する。印刷記録層は、熱転写用、感熱記録用またはインクジェット印刷用に通常用いられる原料を用いて、公知の方法、例えばメイヤーバー方式、グラビアロール方式、リバースロール方式、ブレード方式、ナイフ方式、エアーナイフ方式、スリットダイ方式などによる塗工工程と乾燥固化工程とを含む方法により形成すればよい。
【0049】
熱転写用記録層の原料としては、例えば、特開平7−101168に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂とワックスおよび/またはロジン化合物と顔料とを組合せたもの等が挙げられる。
【0050】
感熱記録用記録層の原料としては、例えば、特開平6−143805に記載の、ポリビニルアルコール水溶液中にクリスタルバイオレットラクトンの如き電子供与性無色染料と、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの如き電子受容性化合物を数ミクロン以下の微粒子として分散させたもの等が挙げられる。
【0051】
インクジェット印刷用記録層の原料としては、例えば、特開2000−1045に記載の、非晶質シリカ、ゼオライト、酸化アルミニウム等の顔料とカゼイン、澱粉、ポリビニルアルコール、各種水溶性ポリマーのラテックス等の接着剤とを主成分とするもの等が挙げられる。
【0052】
プライマー層を介して印刷記録層を形成する場合は、公知のプライマーを用いて公知の方法、例えばメイヤーバー方式、グラビアロール方式、リバースロール方式、ブレード方式、ナイフ方式、エアーナイフ方式、スリットダイ方式などによる塗工工程と乾燥固化工程とを含む方法により、基材層の片面にプライマー層を形成し、次いで印刷記録層を形成すればよい。プライマーとしては公知のものを使用することができ、例えば2液型のウレタン系接着剤等が例示できる。プライマー層の厚さは、通常、1〜5μm程度である。
【0053】
印刷記録層の厚さは、使用目的に応じて適宜決定すればよいが、通常、10〜50μm程度である。
【0054】
[他の実施の形態]
前記実施形態では、多孔性フィルムを基材層として1層とその片側表面に印刷記録層とからなる印刷用シートについて説明したが、本発明の印刷用シートの基材層は、前記多孔性フィルムの裏面にさらなる基材層を有した構成または多孔性フィルムの間に芯材をはさんだ構成としてもよい。前記さらなる基材層または芯材としては、印刷用シートに厚みや弾力性をもたせるため、インクの吸収や乾燥を補完するためなどの目的に応じて、適宜公知のものを用いることができる。
【0055】
さらに、本発明の印刷用シートは、1層または2層以上からなる基材層の両側表面にそれぞれ印刷記録層を有する3層以上の構成とすることもできる。
【0056】
【実施例】
以下、本発明を更に具体的に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0057】
実施例および比較例に示す印刷用シートの基材層を構成する多孔性フィルムの物性は、下記の評価方法により測定した。
【0058】
[評価方法]
(1)耐水性評価
フィルムの耐水圧(単位:mm水柱)をJIS L1092に規定されている静水圧A法(低水圧法)に準じて測定した。耐水圧が高いほど、耐水圧性は優れる。
【0059】
(2)透湿性評価
フィルムの透湿度(単位:g/m2 ・day)をJIS Z0208に規定されているカップ法に準じて測定した。透湿度が高いほど、透湿性は優れる。
【0060】
(3)通気性評価
フィルムのガーレー値(秒/100cm3 )は、JIS P8117に準じて、B型デンソメーター(東洋精機製)にて測定した。ガーレー値が小さいほど、通気性は優れる。
【0061】
(4)フィルム厚み測定
フィルムの厚みは、山文電気社製、オフラインシート厚み計(TOF2 Var3.22)を用いて、幅方向、長さ方向にわたり、10点でフィルムの厚みを測定し、全測定値の平均値を算出した。その平均値をフィルムの厚みとした。
【0062】
(5)平均細孔直径
ASTM F316−86に準拠し、バブルポイント法により、Perm−Porometer(PMI社製)にて平均細孔直径d(μm)を測定した。
【0063】
(6)平均細孔半径
JIS K1150に準拠し、水銀圧入法により、オートポア III9420(MICROMERITICS社製)にて平均細孔半径r(μm)を測定した。尚、平均細孔半径を求めるにあたり、0.0032〜7.4μmの範囲の細孔半径分布を測定した。
【0064】
(7)突刺強度
直径12mmのワッシャーにて固定したフィルムに、直径1mm、針先曲率半径0.5mmの金属製の針を、200mm/分の速さで突き刺した際に、孔が開口する最大荷重を測定し、突刺強度とした。
【0065】
(8)空孔率
フィルムを5cm角の大きさのサンプルとし、水中置換式の比重計によってフィルムの見掛け比重(d1)を測定する。これとは別に、このフィルムを熱プレスによって熱融解して圧縮し、完全に空孔を排除したシートを作製してその見掛け比重(d2)を測定する。フィルムの空孔率は下記によって求める。
【0066】
空孔率(%)=(1−d1/d2)×100。
【0067】
(実施例1)
炭酸カルシウム(商品名:スターピゴット15A、白石カルシウム社製、平均粒子径0.15μm)30vol%と、ポリエチレン粉末(ハイゼックスミリオン340M、三井化学製、重量平均分子鎖長17000nm、重量平均分子量300万、融点136℃)70重量%とポリエチレンワックス(ハイワックス110P、三井化学製、重量平均分子量1000、融点110℃)30重量%の混合ポリエチレン樹脂70vol%とを強混練できるようセグメント設計した2軸混練機(プラスチック工学研究所製)を使用して混練して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物中の分子鎖長2850nm以上のポリエチレンの含有率は、27重量%であった。この樹脂組成物をロール圧延(ロール温度150℃)することにより、150μmの膜厚の原反フィルムを作製した。
【0068】
得られた原反フィルムをテンター延伸機により延伸温度110℃で約5倍に延伸し、印刷用シート基材層用延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムの表面の走査電子顕微鏡写真を図1に示す。
【0069】
前記延伸フィルムを、120℃で1分間熱固定して基材層とした。得られた印刷用シート基材層の耐水圧性、透湿性、通気度、膜厚、平均細孔直径d、平均細孔半径rおよび2r/d、突刺強度、ならびに空孔率の測定結果を表1に示す。
【0070】
次に、エチレン−酢酸ビニルエマルジョン(固形分量50%)100部に対し、ロジンエステルエマルジョン(固形分量50%)30部を撹拌混合した水性塗工液を、乾燥後の塗工量が10g/m2 となるように、前記基材層の片面上にアプリケーターを用いて塗布乾燥して印刷記録層を形成させ、印刷用シートを作製した。
【0071】
(実施例2)
炭酸カルシウム(商品名:ピゴット10、白石カルシウム社製、平均粒子径0.1μm)30vol%と、ポリエチレン粉末(ハイゼックスミリオン340M、三井化学製、重量平均分子鎖長17000nm、重量平均分子量300万、融点136℃)70重量%とポリエチレンワックス(ハイワックス110P、三井化学製、重量平均分子量1000、融点110℃)30重量%の混合ポリエチレン樹脂70vol%とを実施例1で使用したのと同じ2軸混練機を使用して混練して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物をロール圧延(ロール温度150℃)することにより、150μmの膜厚の原反フィルムを作製した。
【0072】
得られた原反フィルムをテンター延伸機により延伸温度110℃で約5倍に延伸し、印刷用シート基材層用延伸フィルムを得た。前記延伸フィルムを、120℃で1分間熱固定して基材層とした。得られた印刷用シート基材層の物性等を表1に示す。
【0073】
次に、前記基材層の片面に、実施例1と同様にして印刷記録層を形成させ、印刷用シートを作製した。
【0074】
(比較例1)
市販されている通気性フィルムを印刷用シート基材層として使用したときの耐水性、通気度、膜厚、平均細孔直径d、平均細孔半径rおよび2r/d、突刺強度ならびに空孔率の測定結果を表1に示す。
【0075】
次に、前記フィルムからなる基材層の片面に、実施例1と同様にして印刷記録層を形成させ、印刷用シートを作製した。
【0076】
[印刷シートの評価/階調再現性]
得られた印刷用シートを20℃50%RHの環境下で一昼夜、状態調節した後、市販の溶融熱転写型カラープリンターでブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色をベタ印字し、その部分の濃度及び階調再現性を評価した。
○:各色の濃度が濃く、インクリボンの色を再現している。
△:各色の濃度はやや薄いが、実用上問題ない。
×:インクの転写率が悪いため濃度が薄く、実用上重大な支障がある。
【0077】
[印刷シートの評価/ドット再現性]
上記の方法によりインクリボンから印刷記録層に転写されたインクのドットを観察し、ドットの再現性(真円性および境界線の明確さ)を評価した。
○:ドットは真円でかつ境界線も明確である。
△:ドットはほぼ真円であるが、境界線がやや乱れている。実用上は問題のないレベルである。
×:境界線が大きく乱れているためドット真円性が劣り、実用上重大な支障がある。
【表1】
Figure 0004515689
表1からわかるように、実施例1および実施例2は、比較例1に比べて階調再現性およびドット再現性に優れる。これらのことより、実施例のフィルムは、印刷記録用シート、特に溶融熱転写型プリンターで使用する印刷記録用シートに求められる特性を発現していることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の印刷用シートに用いられる多孔性フィルムの電子顕微鏡写真

Claims (4)

  1. 微細孔を有する熱可塑性ポリオレフィン系樹脂製多孔性フィルムを基材層として少なくとも1層と、印刷記録層とを含む印刷用シートであって、前記熱可塑性ポリオレフィン系樹脂は、分子鎖長が2850nm以上のポリオレフィンを20重量%以上含むものであり、前記微細孔は、フィルムの1方向に伸びる幹フィブリルとこの幹フィブリル間を連結する枝フィブリルとからなる3次元網状組織により形成されており、前記枝フィブリルの形成密度は、前記幹フィブリルの形成密度より高く、
    かつ、該印刷用シートのバブルポイント法(ASTM F316−86)により求めた前記微細孔の平均細孔直径d(μm)と、水銀圧入法(JIS K1150)により求めた前記微細孔の平均細孔半径r(μm)とが、下記式:1.2≦2r/d≦1.7を満たすものであることを特徴とする印刷用シート。
  2. 前記枝フィブリルは、前記フィルムの最大熱収縮方向に配向している請求項1に記載の印刷用シート。
  3. 前記微細孔は、平均細孔直径dが0.05〜10μmである請求項に記載の印刷用シート。
  4. 前記多孔性フィルムは、前記熱可塑性樹脂100重量部に対し、充填剤が10〜300重量部配合されている請求項1〜のいずれかに記載の印刷用シート。
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