JP4515642B2 - 多価不飽和脂肪酸誘導体およびその使用 - Google Patents

多価不飽和脂肪酸誘導体およびその使用 Download PDF

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Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は新規の多価不飽和脂肪酸誘導体およびその薬剤としての使用に関する。
【0002】
(発明の背景)
下記の式:
R―CO―NH
(式中のRは脂肪酸のアルキル残基)を有する脂肪酸のアミド(飽和および不飽和)は、対応するアミンでのアミド化により長鎖脂肪酸からつくられる脂質バイオ調節因子の新しいグループを表わす。エルカミド(13-ドコセナミド)が主要なウシ腸間膜血管形成脂質であることがわかっている。血管形成活性のメカニズムはまだ知られていないが、この脂質は内皮細胞の増殖を促進したり、あるいは炎症性作用を誘導しない(Wakamatu K. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., V.168. P.423-429, 1990)。睡眠遮断ネコの脳脊髄液から分離した分子は化学的特徴が解明され、シス-9,10-オクタデセノアミドと同定されている。シス-9,10-オクタデセノアミドに加えて、別の脂肪酸一級アミドがネコ、ウサギおよびヒトの脳脊髄液の天然の構成物として同定され、これらの化合物が脳脂質の明確な構成族であること示されている。合成のシス-9,10-オクタデセノアミドをウサギに注射すると、生理的な睡眠を誘発した。これらの結果によると、脂肪酸一級アミドが、これまでに認識できなかったクラスの生物学的シグナル分子を表わしているので全う(Cravatt B. F. et al., Science., V.268., P.1506-1509, 1995)。
【0003】
非常によく研究されている化合物のグループは、下記の式を有する脂肪酸のエタノールアミドである。
R―CO―NH―CHCH―OH
(式中のRは脂肪酸のアルキル残基である)
【0004】
中枢神経系あるいは周辺組織においてカンナビノイド受容体と結合する脂肪酸エタノールアミドは、それらの受容体に対する内因性リガンドと考えられ、カンナビ擬似症のような薬理学的パターンを示す(Bezuglov V.V. et al., Biochemistry (Moscow). V.63, N1. P.27-37, 1998)。
【0005】
ある種のアミノ酸とのレチノイン酸のアミド(シス-トランス異性体)は、下記の式:
R―CO―NH―Y―COOH
(式中、Rはレチノイン酸のアルキル残基であり、Yはアミノ酸残基である)
を有し、全トランス-塩化レチノイルおよびアミノ酸エステルから合成されている(Shealy Y.F. et al., J. Med. Chem. V.31., P.190-196, 1988)。ロイシン、フェニルアラニン、アラニン、チロシン、グルタミン酸のレチノイル誘導体がつくられた。ロイシン、フェニルアラニン、アラニン、グリシンの13-シス-レチノイル誘導体が13-シス-レチノイン酸から同様に調製された。ハムスターの気管組織培養における扁平上皮変質形成逆転についてのレチノイルアミノ酸検定によると、これらの化合物はレチノイン酸より活性が低いが、ロイシン、アラニン、フェニルアラニンの誘導体は、in vivo 嚢胞発癌現象を抑制するさまざまなレチンアミドと活性が類似である。2つの単純なレチンアミドと同様に、レチノイルアミノ酸の2つは、培養基においてネズミ白血病およびヒト類表皮腫癌の細胞に対して軽度の細胞障害性を示した。Sheskin T.ら(アナンダミド型化合物の脳カンナビノイド受容体との結合のための構造的必要事項、J. Med. Chem., Vol. 40, No.5, 1997, 659-667)は、N-アラキドノイル-O-ホスホ-2-アミノエタノールを含む多数の脂肪酸アミドを合成し、脳カンナビノイド受容体との結合のための構造的必要事項を調べている。しかし、Sheskin T. (1997)らの開示は癌治療に関係していない。
【0006】
本発明により検討した1つの課題は、癌や免疫不全などの処置のための医薬の製造において使用される新規化合物を利用可能にすることである。その化合物は既知の化合物より高い活性を示すものである。
【0007】
(発明の要約)
本発明は、添付請求項の新規のアミドを提供する。とりわけ、そのアミドは、全トランス-レチノイン酸や13-シス-レチノイン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、リノール酸の 2-アミノエタノール、α-L-セリン、α-L-トレオニン、α-L-チロシンとのアミドであって、リン酸基を含有する。さらに本発明は、これらの化合物の使用について開示し、とりわけ、添付請求項に特定する医薬適用を開示する。
【0008】
これらの化合物の構造は、下記の一般式で示される。
R―CONH―X―OPO(OH)
式中、R は下記の通りであり、
【化4】
Figure 0004515642
【化5】
Figure 0004515642
X は下記の通りである、
【化6】
Figure 0004515642
但し、N-アラキドノイル-O-ホスホ-2-アミノエタノールを除外する]。
【0009】
このように、2-アミノエタノールのアミノ基あるいはアミノ酸のαアミノ基は、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、リノール酸、全トランス-レチノイン酸や13-シス-レチノイン酸のカルボキシル基とのアミド結合を形成する。同時に、2-アミノエタノールおよびアミノ酸のヒドロキシル基は、リン酸基によって修飾される。これらの化合物は免疫不全症の処置に免疫賦活剤として適用できる。
【0010】
(発明の説明)
本発明の新規化合物は、全トランス-レチノイン酸や13-シス-レチノイン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、リノール酸と2-アミノエタノール、α-L-セリン、α-L-トレオニン、α-L-チロシンとのアミドである。同時に、アミノ酸および2-アミノエタノールのヒドロキシル基はリン酸残基によって修飾されている。全トランス-レチノイン酸や13-シス-レチノイン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、リノール酸は、自然界に生じる産物からさまざまな方法で誘導されている。しかし、本発明の範囲内において、これらの化合物の合成的生産は可能である。
【0011】
新規の合成化合物の主要な特徴は、アミノ酸および 2-アミノエタノールの N-アシル誘導体のヒドロキシル基のリン酸エステル化である。
【0012】
本発明のレチノイン酸誘導体は下記の化合物を含む。
1. N-(全トランス-レチノイル)-O-ホスホ-2-アミノエタノール
1a.N-(13-シス-レチノイル)-O-ホスホ-2-アミノエタノール
2. N-(全トランス-レチノイル)-O-ホスホ-L-セリン
2a.N-(13-シス-レチノイル)-O-ホスホ-L-セリン
3. N-(全トランス-レチノイル)-O-ホスホ-L-トレオニン
3a.N-(13-シス-レチノイル)-O-ホスホ-L-トレオニン
4. N-(全トランス-レチノイル)-O-ホスホ-L-チロシン
4a.N-(13-シス-レチノイル)-O-ホスホ-L-チロシン
【0013】
本発明のアラキドン酸誘導体は下記の化合物を含む。
5.N-アラキドノイル-O-ホスホ-2-アミノエタノール
6.N-アラキドノイル-O-ホスホ-L-セリン
7.N-アラキドノイル-O-ホスホ-L-トレオニン
8.N-アラキドノイル-O-ホスホ-L-チロシン
【0014】
本発明のドコサヘキサエン酸誘導体は下記の化合物を含む。
9. N-ドコサヘキサエノイル-O-ホスホ-2-アミノエタノール
10.N-ドコサヘキサエノイル-O-ホスホ-L-セリン
11.N-ドコサヘキサエノイル-O-ホスホ-L-トレオニン
12.N-ドコサヘキサエノイル-O-ホスホ-L-チロシン
【0015】
本発明のエイコサペンタエン酸誘導体は下記の化合物を含む。
13.N-エイコサペンタエノイル-O-ホスホ-2-アミノエタノール
14.N-エイコサペンタエノイル-O-ホスホ-L-セリン
15.N-エイコサペンタエノイル-O-ホスホ-L-トレオニン
16.N-エイコサペンタエノイル-O-ホスホ-L-チロシン
【0016】
本発明のリノール酸誘導体は下記の化合物を含む。
17.N-リノレノイル-O-ホスホ-2-アミノエタノール
18.N-リノレノイル-O-ホスホ-L-セリン
19.N-リノレノイル-O-ホスホ-L-トレオニン
20.N-リノレノイル-O-ホスホ-L-チロシン
【0017】
これらの化合物の構造式は下記の通りである。
【化6】
Figure 0004515642
【化7】
Figure 0004515642
【化8】
Figure 0004515642
【化9】
Figure 0004515642
【化10】
Figure 0004515642
【0018】
化合物の合成計画を進めるにあたり、本発明者は表題化合物の下記の特性を考慮にいれた。
i) 高度の不飽和性
ii) 不斉中心の存在
iii) 反応活性基、例えばアミドおよびホスフェートの存在。
【0019】
したがって、アシル化およびリン酸化について多くのよく知られている方法は、このような化合物の合成のために使用できなかった。ヒドロキシアミノ酸およびエタノールアミンのメチルエステルのアミノ部分をアシル化し、ついで、混合炭酸カルボン酸無水物の調製を低温で行なった。本発明者が開発した合成方法によって、N-アシル誘導体をほとんど定量的に得ることができる。β-シアノエチルホスフェートが、一次、二次あるいは芳香族のOH基を含有するヒドロキシアミノ酸についての普遍的なリン酸エステル化剤である。β-シアノエチルおよびエステルの保護基を、弱アルカリ性加水分解(0℃, 1.5 N NaOH)によって同時に除去した。特筆すべきは、この方法によって調製したすべての化合物が、よい収率あるいは合理的な収率を示したことである。すべての実験において、発明者は合成した表題化合物をアンモニア塩の形で使用した。
【0020】
表題化合物の分子は、極性および非極性部分(水系における親水性および疎水性)を同時に有する。これらの長鎖分子は、その濃度が臨界ミセル濃度に等しいか、高い場合、水溶液中においてミセルの形で存在する。ミセル形態における表題化合物の組織構造体は、特異的な生理活性を有する生物学的活性分子の新しい組織レベルにあると考えられる。ミセル形成方法は可逆的であることは注目すべきである。
【0021】
表題化合物1〜4、1a〜4a、5〜20の液素性免疫応答に対する作用を、マウスの脾臓における抗体形成細胞(AFC)の量を数えて評価した。すべての化合物の免疫活性は、用量依存性であることが実験で証明された。とりわけ、化合物 8、10〜14、17、19、20は、用量45.5および91μg/マウスで免疫活性を示さないが、同時に、用量136.5μg/マウスで免疫賦活活性を示した。化合物10の注射5日後におけるAFCの相対量は138%増加し、AFC総量は159%増加したことが分かった。化合物11についての増加はそれぞれ67%および80%が記録された。化合物12についての増加はそれぞれ134%および99%が記録された。化合物8についての増加はそれぞれ31%および91%が記録された。化合物13についての増加はそれぞれ41%および49%が記録され、化合物14についての増加はそれぞれ52%および51%であった。化合物17についての増加は31%および30%;化合物19については40%および40%;化合物20についてはそれぞれ49%および51%であった。増加率は、ヒツジの赤血球のみで免疫性を与えた動物における細胞の量と比較して計算した。
【0022】
化合物3、4、1a、2aは、用量45.5μg/マウスにおいて免疫活性を示さない。化合物3について、用量91および136.5μg/マウスの場合、動物に対する注射5日後におけるAFCの相対量は、それぞれ103%および136%増加し、AFC総量は、それぞれ49%および164%の増加した。化合物4について、用量91および136.5μg/マウスの場合、AFCの相対量は、それぞれ70%および233%増加し、AFC総量は、それぞれ45%および130%増加した。化合物1aについて、用量91および136.5μg/マウスの場合、AFCの相対量は、それぞれ29%および52%増加し、AFC総量は、それぞれ27%および66%増加した。化合物2aについて、用量91および136.5μg/マウスの場合、AFCの相対量は、それぞれ93%および111%増加し、AFC総量は、それぞれ48%および71%増加した。増加率は、ヒツジの赤血球のみで免疫性を与えた動物における細胞の量と比較して計算した。
【0023】
化合物1〜4、1a〜4aについての臨界ミセル濃度(CMC)の値は、Griess W.(Fette Seifen Anstrichmi., 1955. Bd.57, s.24-32)の記述にしたがって測定し、化合物5〜20についてのCMCの値は、A. Chattopadhyay and E. London(Anal. Biochem., 1984, 139, P.408-412)の記述にしたがって測定した。化合物1〜4、1a〜4aのアンモニア塩についてのCMCの値は、1.10−4M〜4.10−4Mの間隔であり、化合物5〜20のアンモニア塩については、1.10−3M〜2. 10−3Mの間隔であった。本発明のこの実験結果は、化合物1a、2a、3、4がミセル形態91μg/マウスにおいて、化合物8および10〜14、17、19、20が136.5μg/マウスにおいて、in vivo免疫賦活効果を示すことの理由を説明する。
【0024】
得た結果によると、表題化合物の示すin vivo免疫賦活効果は、脾臓における抗体形成細胞(AFC)量および抗体力価を高めた。これらの化合物のいくつかは、Bリンパ細胞のAFCへの転換を誘導し、またIgM抗体の産生を高め、ヒツジの赤血球(SRBC)に対して低活性のC57B1/6マウスにおける免疫応答を2〜3倍に増大する。
【0025】
マウスの系統によっては遺伝的に決定された低活性の要因の1つは、TおよびBリンパ細胞の移動の程度や、免疫確立における特定の抗原との協同が不十分なことである。試験化合物を用いて、遺伝的に低活性の動物を高活性の動物に転換することができた。
【0026】
リンフォカインやモノカイン、例えば、インターロイキン-1および-2、胸腺ホルモン、造血素、癌壊死因子、インターフェロンは、分子量がアルブミンより小さく、肝臓で活性的に捉えられ、腎臓で濾過され、その結果それらの物質は急速に血流から消滅する。これらの免疫賦活剤は、効果が低くて毒性が高いために、あまり強い興味を引くものではない。試験化合物は、免疫応答の表現型調整の可能性を含み、免疫適格細胞のレベルに局在する免疫障害の調整のための強力な手段として約束される。
【0027】
可逆的なタンパク質リン酸エステル化は、細胞周期、増殖、分化のような細胞内のプロセスを調節する最も重要なメカニズムの1つである(Edelman A.M. et al., A. Rev. Biochem., V.56., P.567-613, 1987; Han K.-K., Martinage A., Int. J. Biochem. V.24. N1., P.19-28, 1992)。最も一般的なリン酸エステル化アミノ酸は、セリン、トレオニン、チロシン(ヒドロキシル基上で)である。カルシウムおよびcAMPは、タンパク質キナーゼ活性のコントロールにより、それらの多くの細胞作用を発揮する。タンパク質キナーゼは、リン酸基を触媒作用によってアデノシン三リン酸(ATP)の分子から別のタンパク質に移行する。リン酸基の添加はタンパク質の機能を変える;つまり、広範囲のタンパク質リン酸エステル化は、なんらかの細胞外シグナルによって引き起こされる細胞内反応を起こす。本発明者は、表題化合物がそのようなシグナル分子の働きをすると考えている。
【0028】
α胎児性タンパク質(AFP)は、N-アラキドノイルアミノエチルホスフェート(N-AAP)と結合して可逆的平衡複合体を形成する。このタンパク質は、N-AAPを分子300まで含有するミセルと可逆的に結合する(同じ本発明者による国際出願 PCT/EP99/04201参照)。
【0029】
本発明者は今回、AFPが本発明のすべての表題化合物との可逆的平衡複合体を形成することを示す。これらの創造的複合体に含まれる成分は広範囲のモル比を有し、例えば、AFPに対して化合物1〜4、1a〜4a、5〜20の比率が等モルから著しく過多の場合まである。AFPとのアラキドン酸の抑制平衡結合定数(K)を化合物1〜4、1a〜4a、5〜20について測定し、その間隔は0.9・106M−1〜4・106M−であった。
【0030】
この創造的複合体を得るには、いずれかの表題化合物の水溶液をAFPの水溶液に添加し、限外濾過し、この濾過で溶液を濃縮し、AFPと結合しないで残存するなんらかの化合物(例えば、化合物1〜4、1a〜4a、5〜20)を除去する。溶液中のAFP濃度は0.1〜2mg/mlで、化合物の濃度は0.005〜30mg/mlの範囲で変える。ゲル濾過により判定したAFPの分子量の変化は、化合物1〜4、1a〜4a、5〜20のミセルとAFPとの複合体の存在を証明する。
【0031】
1つの態様において、表題化合物との複合体に含まれるAFPの分子量は、約2倍に増加した。ミセルにはおよそ100〜200の脂質分子が含まれていた。別の態様において、化合物1〜4、1a〜4a、5〜20のいずれか1つとの複合体に含まれるAFPの分子量は約2〜3倍に増加した。ミセルにはおよそ200〜300の脂質分子が含まれていた。
【0032】
表題化合物1〜4、1a〜4a、5〜20のうちの1つとAFPとの複合体およびその元の成分について液素性免疫応答に対する作用を、マウスの脾臓における抗体形成細胞(AFC)の量を数えて評価した。とりわけ、化合物1、2a、3は用量45.5μg/マウスで、化合物7、10、14、15は用量91μg/マウスで、ヒトあるいはウサギのAFPは用量9μg/マウスで免疫活性を示さないことが実験的に証明された。
【0033】
化合物1とAFPとの複合体(複合率1:100)の用量45.5μg/マウスでの投与で、AFCの相対量が56%増加し、AFC総量が43%増加し;2aとAFPとの複合体(複合率1:100)の用量45.5μg/マウスの投与で、対応する増加は77%および43%であり;化合物3とのAFP複合体(複合率1:100)の用量45,5μg/マウスでの投与で、対応する増加は76%および48%であった。増加率は、ヒツジの赤血球のみで免疫性を与えた動物における細胞の量と比較して計算した。
【0034】
化合物7とAFPとの複合体(複合率1:200)の用量91μg/マウスでの投与で、AFCの相対量が49%増加し、AFC総量が47%増加し;化合物10とAFPとの複合体(複合率1:200)の用量91μg/マウスでの投与で、対応する増加は88%および79%であり;化合物14とAFPとの複合体(複合率1:200)の用量91μg/マウスでの投与で、対応する増加は55%および53%であり;化合物15とAFPとの複合体(複合率1:200)の用量91μg/マウスでの投与で、対応する増加は50%および48%であった。増加率は、ヒツジの赤血球のみで免疫性を与えた動物における細胞の量と比較して計算した。
【0035】
AFPとの複合体の形態のすべての表題化合物は、それらの化合物単独の濃度より低い濃度でin vivo免疫賦活効果を表わす。AFPとリガンドを含む複合体における強い協同的特異的相互作用でもって、AFPが表題化合物の臨界ミセル濃度(CMC)を減少させることが示唆される。したがって、発明者の実施した実験において、AFPとの複合体において化合物1、2a、3が用量45.5μg/マウスで、化合物7、10、14、15が用量91μg/マウスでin vivo免疫賦活効果を示した。
【0036】
本発明出願で開示した実験において、発明者はヒツジの赤血球細胞(SRBC)に対して反応性の低いC57B1/6マウスを使用した。SRBCに対して高い反応を示すマウスを使用すると、表題化合物1〜4、1a〜4a、5〜20とAFPとの複合体は、さらに低い用量で免疫賦活効果を発揮するで全う。本発明者は、化合物5(N-AAP)とAFPとの複合体が、CBAマウスを使用した実験において、45.5μg/マウスで免疫賦活効果を表すことを示している(国際出願 PCT/EP99/04201参照)。
【0037】
AFPのヒト臍帯血からの分離を、Sepharose(商標)免疫アフィニティークロマトグラフィーに固定したAFPに対するモノクローナル抗体、正常人血液のタンパク質に対するポリクローナル抗体についての免疫アフィニティークロマトグラフィーおよびSephacryl S-200(商標)のゲル濾過で行った。。このようにして得たAFP製剤は、99%を超える純度を示し、低分子量の不純物を含まず、その完全な生物学的活性を保持した。
【0038】
ラット新生児の血清からラットのAFPを分離した。モノ特異性抗ラット血清α胎児タンパク質IgGを、シアン臭化物活性Sepharose(商標)4B(4.5mg/mlゲル封入量)と結合せしめて、免疫アフィニティマトリックスを得た。酸性溶出条件はすでに記載されている(Calvo M., et al., J. Chromatogr. Vol.328, P.392-395, 1985)。
【0039】
AFPの別の供給源は、他の哺乳動物、例えば、遺伝子修飾哺乳動物から、または細胞培養基からの精製および/または修飾AFPである。AFPは、ヒトのAFPを発現する遺伝子修飾細胞の細胞基を使用して生物工学的に製造するのが好ましい。ヒトAFPをコードするヌクレオチド配列に関する知識によって、必要なプロモーターや他の配列情報、例えば、AFPの細胞外発現に作用する配列などとともに、この配列を宿主に挿入できる。AFPを細胞培養基から収集して、クロマトグラフィーで純化し、ゲル濾過でさらに純化し得る。いずれの場合においても、生産方法は、最終産物が発熱性物質やウイルス性または細菌性の汚染物質を含有しないことを保障できるような工程を含んでいなければならない。適切な生産方法の例は、インターフェロン生産の分野で見出せる。
【0040】
本発明による新規のレチノイドは、分子にリン酸基が存在するためにかなりの水溶性を示す。良好な水溶性は、経皮および/または経口吸収に適した特性を有する製剤のさまざまな医薬形態を得るための多くの機会を提供する。
【0041】
本発明による化合物は、化合物それ自体あるいは医薬組成物の成分として使用できる。化合物は、全身的あるいは局所的に、例えば皮膚に投与できる。化合物の適切な投与方法には、静脈投与、腹膜内投与、経口、直腸および経皮投与などが含まれる。意図する投与方法は、最終の医薬組成物の製剤において当然のことながら勘案する。通常の医薬補助剤は当然に使用でき、化合物は、意図した用途および/または投与方法にしたがって、注射液、軟膏、カプセル、錠剤、経皮パッチ、座薬などの形態で使用するようにできる。
【0042】
表題化合物を静脈投与するための治療上有効用量の範囲は次の通り。
化合物1、1a、5、9、13、17: 5mg/kg〜10mg/kg
化合物2、2a、3、3a、6、7、10、11、14、15、18、19: 5mg/kg〜20mg/kg
化合物4、4a、8、12、16、20: 5mg/kg〜30mg/kg

【0043】
AFPと表題化合物との複合体を静脈投与するための治療上有効用量の範囲は次の通り。
化合物1、1a、5、9、13、17: 2mg/kg〜10mg/kg
AFP: 0.2mg/kg〜1mg/kg
化合物2、2a、3、3a、6、7、10、11、14、15、18、19: 2mg/kg〜20mg/kg
AFP: 0.2mg/kg〜2mg/kg
化合物4、4a、8、12、16、20: 2mg/kg〜30mg/kg
AFP: 0.2mg/kg〜3mg/kg
【0044】
実施例
材料および方法
L-セリン、L-トレオニン、L-チロシン、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、リノール酸、ドコサヘキサエン酸、レチノイン酸をSigma Chemical Co.から購入した。 エタノールアミン、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド、2-シアノエチル・ホスフェート・バリウム塩を Aldrich Chemical Co.から得た。テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ピリジンを CaH2 とともに 3-5 時間加熱還流して乾燥した。これらの溶媒を大気圧下で蒸留し、分子ふるい(no. 4A)上で保存した。
【0045】
2-シアノエチル・ホスフェートのバリウム塩をピリジン塩に、Dowex-50 樹脂カラムを通して変換した(ピリジン体)。溶出液を蒸発し、乾燥ピリジンの追加部分の蒸発を繰り返して塩を乾燥した。
【0046】
1H-NMR スペクトルを 200 MHzでBrucker分光計 AC-200 により得た。テトラメチルシランを内部標準として使用した。
【0047】
Merckシリカゲル60プレコート・プレート(溶媒系 A [ベンゼン-ジオキサン-酢酸(25:5:1 v/v/v)]および溶媒系 B [クロロホルム-メタノール-水性 NH3 (9:7:2 v/v/v)]中で展開)を薄層クロマトグラフィ−(TLC)に使用した。TLC プレート上の化合物の検出は、10% 硫酸メタノール液またはモリブデートスプレイを噴霧して行った。フラッシュ・クロマトグラフィ−をシリカゲル60 (230-400 mesh)で行った。
【0048】
実施例1:N-(シス-5,8,11,14-エイコサテトラエノイル)-O-ホスホ-2-アミノエタノール (N-アラキドノイル-O-ホスホ-2-アミノエタノール) (5) の合成
アラキドン酸(152 mg, 0.5 mmol)およびトリメチルアミン(52 mg, 0.51 mmol)を 3 ml の乾燥アセトニトリルに溶解し、-15 ℃に冷やし、70 mg (0.51 mmol)のブチルクロロホルメートを加えた。30 分後に、沈澱したトリエチルアミン塩酸塩を除いた混合物を 2-アミノエタノール(61 mg, 1 mmol)のエタノール液 1 mlにピペットで移し、15 分間 -15 ℃で攪拌し、得た混合物を室温で温めた。2時間後、0.5 M HC1を加え、混合物をエーテル(20 ml)で抽出した。抽出物を水で洗い、次いで Na2SO4 で乾燥し、減圧で蒸発した。残渣を 2 ml のクロロホルムに溶解し、カラム(2x 2 cm)クロマトグラフィ−で酸化アルミニウム上(塩基性, Brockmann II)で精製した。カラムをクロロホルム-エタノール(9:1 v/v)で溶出し、適当なフラクションを蒸発すると、165 mg (95%) の所望のN-アラキドノイルアミノエタン-2-オルを油状で得た。TLC (A系) Rf 0.4。
【0049】
ピリジニウム・シアノエチルホスフェート(2 mmol)の無水ピリジン溶液(3 ml)を乾燥 N-アシルアミノエタン-2-オルに加えた。次いで N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(413 mg, 2 mmol)を加え、混合物を室温で攪拌した。20 時間後、混合物を 0℃に冷やし、水(0.5 ml)を加え、30 分間室温で攪拌した後、沈澱した N,N'-ジシクロヘキシルウレアを濾過により分離した。濾液を減圧で蒸発し、得た残渣を短カラム・クロマトグラフィ−でシリカゲル上で分留した。所望のリン酸エステル化 N-アシルアミノアルコールをカラムからクロロホルム-メタノール (70-60:30-40, v/v)で溶出した。溶出物の組成を、TLC でシリカゲル 60 プレート(B系)によって、スポット検出のためのモリブデートスプレイを用いて、調整した。適当なフラクションを合わせ、減圧で蒸発乾固し、残渣を 1 ml のテトラヒドロフランに溶解した。この溶液を 5 分間かけて冷(氷浴)攪拌 1.5 M NaOH 水溶液(4 ml)に滴下した。さらに 25 分間後、混合物を1N HC1 で pH 2-3にし、クロロホルム-メタノール(2:1, v/v)で抽出した。抽出物をメタノール-水(10:9, v/v)で洗い、真空で濃縮し、シルカゲル・カラムにかけた。所望の産物をカラムからクロロホルム-メタノール(30-20: 70-80, v/v)で溶出し、TLC プレート上モリブデートスプレイで着色した純粋の物質を含有するフラクションを、合わせ、蒸発乾固して、88 mg (41 %)の (5)を得た。
【0050】
Rf 0.10-0.15 (B系); 1H-NMR (CD3SOCD3, 200 MHz) σ0.9-1.0 (t, 3H, ω-CH3); 1.3 (s, 8H, 4CH2); 2.0-2.4 (m, 6H, 2CH2CH=CH, CH2CO); 2.7-2.9 (br s, 6H, 3HC=CHCH2CH=CH); 3.4-3.5 (br s, 2H, CH2NH); 3.9-4.0 (br s, 2H, CH2OP); 5.2-5.4 (br s, 8H, 4HC=CH); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0051】
実施例2: N-(シス-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサノイル)-O-ホスホ-2-アミノエタノール (9)
本化合物は、0.5 mmol (164 mg)のシス4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノン酸を用いて、(5)について記載のように調製した。収量 99 mg (44%)。
【0052】
Rf 0.10-0.15 (B系); 1H NMR (CD3SOCD3, 200 MHz) σ0.9-1.0 (t, 3H, ω-CH3); 2.0-2.1 (t, 2H, CH2CO); 2.2-2.4 (m, 4H, 2CH2CH=H), 2.7-2.9 (br s, 10H, 5HC=CHCH2CH=CH); 3.4-3.5 (br s, 2H, CH2NH), 3.9-4.0 (br s, 2H, CH2OP); 5.2-5.4 (br s, 12H, 6HC=CH); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0053】
実施例3:N-(全トランス-レチノイル)-O-ホスホ-2-アミノエタノール (1)
全トランス-レチノイン酸 (150 mg, 0.5 mmol)およびトリエチルアミン (52 mg, 0.51 mmol)を1 ml の乾燥テトラヒドロフランに溶かし、それに乾燥アセトニトリル(2 ml)を加え、混合物を -15 ℃に冷却する。以下のすべて操作を上記(5)で記載のように行う。収量 59 mg (28 %)。
【0054】
Rf 0.10-0.15 (B系);λmax(エタノール) 345 nm; 1H-NMR (CD3SOCD3, 200 MHz)σ1.0 (s, 6H, 3CH2, 環); 1.4-2.4 (m, 15H, 5CH3); 3.4-3.5 (br s, 2H, CH2NH); 3.9-4.0 (br s, 2H, CH2OP); 5.8-7.0 (m, 6H, 6HC=C); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)

【0055】
実施例4:N-(シス-5,8,11,14-エイコサテトラエノイル)-O-ホスホ-L-セリン (N-アラキドノイル-O-ホスホ-L-セリン) (6)の合成
アラキドン酸(152 mg, 0.5 mmol)およびトリメチルアミン(52 mg, 0.51 mmol)を 3 mlの乾燥アセトニトリルに溶解し、-15 ℃に冷やし、70 mg (0.51 mmol)のブチルクロロホルメートを加えた。30 分後に、沈澱したトリエチルアミン塩酸塩を除いた混合物を L-セリンメチルエステル塩酸塩(156 mg, 1mmol)およびトリエチルアミン(0.14 ml)のエタノール液 1 mlにピペットで移し、15分間 -15 ℃で攪拌し、得た混合物を室温で温めた。2 時間後、0.5 M HC1を加え、混合物をエーテル(20 ml)で抽出した。抽出物を水で洗い、次いで Na2SO4 で乾燥し、減圧で蒸発した。残渣を 2 ml のクロロホルムに溶解し、カラム(2x 2 cm)クロマトグラフィ−で酸化アルミニウム上(塩基性, Brockmann II)で精製した。カラムをクロロホルム-エタノール(9:1 v/v)で溶出し、適当なフラクションを蒸発すると、185 mg (95%) の所望の N-アラキドノイル-L-セリンメチルエステルを油状で得た。TLC (A系) Rf 0.5。
【0056】
ピリジニウム・シアノエチルホスフェート(2 mmol)の無水ピリジン溶液(3 ml)を乾燥 N-アラキドノイル-L-セリンメチルエステルに加えた。次いで N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(413 mg, 2 mmol)を加え、混合物を室温で攪拌した。20 時間後、混合物を 0℃に冷やし、水(0.5 ml)を加え、30 分間室温で攪拌した後、沈澱した N,N'-ジシクロヘキシルウレアを濾過により分離した。濾液を減圧で蒸発し、得た残渣を短カラム・クロマトグラフィ−でシリカゲル上で分留した。所望のリン酸エステル化 N-アラキドノイル-L-セリンメチルエステルをカラムからクロロホルム-メタノール (30-40 : 70-60, v/v)で溶出した。溶出物の組成を、TLC でシリカゲル 60 プレート(B系)によって、スポット検出のためのモリブデートスプレイを用いて、調整した。適当なフラクションを合わせ、減圧で蒸発乾固し、残渣を 1 ml のテトラヒドロフランに溶解した。この溶液を 5 分間かけて冷(氷浴)攪拌 1.5 M NaOH 水溶液(4 ml)に滴下した。さらに 25 分間後、混合物を1N HC1 で pH 2-3にしクロロホルム-メタノール(70-60 : 30-40, v/v)で抽出した。抽出物をメタノール-水(10:9, v/v)で洗い、真空で濃縮し、シルカゲル・カラムにかけた。所望の産物をカラムからクロロホルム-メタノール(30-20: 70-80, v/v)で溶出し、TLC プレート上モリブデートスプレイで着色した純粋の物質を含有するフラクションを合わせ、蒸発乾固して、82 mg (35 %)の (6)を得た。
【0057】
Rf 0.05-0.10 (B系); 1H-NMR (CD3SOCD3, 200 MHz) σ0.9-1.0 (t, 3H, ω-CH3); 1,3 (s, 8H, 4CH2); 2.0-2.4 (m, 6H, 2CH2CH=CH, CH2CO); 2.7-2.9 (br s, 6H, 3HC=CHCH2CH=CH); 3.9-4.0 (br s, 2H, CH2OP); 4.3-4.4 (m, 1H, NHCHCO); 5.2-5.4 (br s, 8H, 4HC=CH); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0058】
実施例5:N-(シス-5,8,11,14-エイコサテトラエノイル)-O-ホスホ-L-トレオニン (N-アラキドノイル-O-ホスホ-L-トレオニン) (7)の合成
本化合物は、1 mmol (170 mg)の L-トレオニンメチルエステル塩酸塩を用いて、(6)について記載のように調製した。収量 97 mg (40%)。
【0059】
Rf 0.05-0.10 (B系); 1H NMR (CD3SOCD3, 200 MHz) σ0.9-1.0 (t, 3H, ω-CH3); 1.2-1.4 (m, 11H, 4CH2, CH3CHOP) 2,0-2.4 (m, 6H, 2CH2CH=H, CH2CO), 2.7-2.9 (br s, 6H, 3HC=CHCH2CH=CH); 4.1-4.3 (m, 2H, 2CH); 5.2-5.4 (br s, 8H, 4HC=CH); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0060】
実施例6:N-(シス-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノイル)-O-ホスホ-L-セリン(10)の合成
本化合物は、0.5 mmol (164 mg)の シス-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸を用いて、(6)について記載のように調製した。収量 91 mg (37%)。
【0061】
Rf 0.05-0.10 (B系); 1H NMR (CD3SOCD3, 200 MHz) σ0.9-1.0 (t, 3H, ω-CH3); 2.0-2.1 (t, 2H, CH2CO); 2,0-2.4 (m, 4H, 2CH2CH=H), 2.7-2.9 (br s, 10H, 5HC=CHCH2CH=CH); 3.9-4.0 (br s, 2H, CH2OP); 4.3-4.4 (m, 1H, NHCHCO); 5.2-5.4 (br s, 12H, 6HC=CH); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0062】
実施例7:N-(シス-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノイル)-O-ホスホ-L-トレオニン (11) の合成
本化合物は、0.5 mmol (164 mg)の シス-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸および 1 mmol (170 mg)の L-トレオニンメチルエステル塩酸塩を用いて、(6)について記載のように調製した。収量 109 mg (43%)。
【0063】
Rf 0.05-0.10 (B系); 1H-NMR (CD3SOCD3, 200 MHz) σ0.9-1.0 (t, 3H, ω-CH3); 1.2-1.4 (3H, d, CH3CHOP); 2.0-2.1 (t, 2H, CH2CO); 2.2-2.4 (m, 4H, 2CH2CH=CH); 2.7-2.9 (br s, 1OH, 5HC=CHCH2CH=CH); 4.1-4.3 (m, 2H, 2CH); 5.2-5.4 (br s, 12H, 6HC=CH); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0064】
実施例8:N-(全トランス-レチノイル)-O-ホスホ-L-セリン (2)
全トランス-レチノイン酸 (150 mg, 0.5 mmol)およびトリエチルアミン(52 mg, 0.51 mmol)を 1 ml の乾燥テトラヒドロフランに溶かし、それに乾燥アセトニトリル(2 ml)を加え、混合物を -15 ℃に冷却する。以下のすべて操作を上記(6)で記載のように行う。収量 56 mg (24 %)。
【0065】
Rf 0.05-0.10 (B系), λmax (エタノール) 345 nm, 1H-NMR (CD3SOCD3, 200 MHz) σ1.0 (s, 6H, 3CH2, 環); 1.4-2.4 (m, 15H, 5CH3); 3.9-4.0 (br s, 2H, CH2OP); 4.3-4.4 (m, 1H, NHCHCO); 5.8-7.0 (m, 6H, 6HC=C); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0066】
実施例9:N-(全トランス-レチノイル)-O-ホスホ-L-トレオニン (3)
全トランス-レチノイン酸 (150 mg, 0.5 mmol) およびトリエチルアミン (52 mg, 0.51 mmol)を 1 ml の乾燥テトラヒドロフランに溶かし、それに乾燥アセトニトリル(2 ml)を加え、混合物を -15 ℃に冷却する。1 mmol(170 mg)の L-トレオニンメチルエステル塩酸塩を用いて、以下のすべて操作を上記(6)で記載のように行う。収量 65 mg (27 %)。
【0067】
Rf 0.05-0.10 (B系), λmax (エタノール) 345 nm, 1H-NMR (CD3SOCD3, 200 MHz) σ1.0 (s, 6H, 3CH2, 環); 1.2-1.4 (d, 3H, CH3CHOP); 1.4-2.4 (m, 15H, 5CH3); 4.1-4.3 (m, 2H, 2CH); 5.8-7.0 (m, 6H, 6HC=C); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0068】
実施例10:N-(シス-5,8,11,14-エイコサテトラエノイル)-O-ホスホ-L-チロシン(N-アラキドノイル-O-ホスホ-L-チロシン)(8)の合成
アラキドン酸 (152 mg, 0.5 mmol)およびトリエチルアミン(52 mg, 0.51 mmol)を3 mlの乾燥アセトニトリルに溶解し、-15 ℃に冷やし、70 mg (0.51 mmol)のブチルクロロホルメートを加えた。30 分後に、沈澱したトリエチルアミン塩酸塩を除いた混合物をチロシンメチルエステル塩酸塩(232 mg, 1 mmol) およびトリエチルアミン(0.14ml)のメタノール液 1 ml にピペットで移し、15 分間 -15 ℃で攪拌し、得た混合物を室温で温めた。2 時間後、0.5 M HC1を加え、混合物をエーテル(20 ml)で抽出した。抽出物を水で洗い、次いでNa2SO4で乾燥し、減圧で蒸発した。残渣を2 mlのクロロホルムに溶解し、カラム(2x 2 cm)クロマトグラフィーで酸化アルミニウム上(塩基性, Brockmann II)で精製した。カラムをクロロホルム-メタノール(9:1 v/v)で溶出し、適当なフラクションを蒸発すると、222 mg (95) の所望のN-アラキドノイル-L-チロシンメチルエステルを油状で得た。TLC (A系) Rf 0.6。
【0069】
ピリジニウム・シアノエチルホスフェート(2 mmol)の無水ピリジン溶液(3 ml)を乾燥 N-アラキドノイル-L-チロシンメチルエステルに加えた。次いで N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(413 mg, 2 mmol)を加え、混合物を室温で攪拌した。5 日後、混合物を 0 ℃に冷やし、水(0.5 ml)を加え、30 分間室温で攪拌した後、沈澱した N,N'-ジシクロヘキシルウレアを濾過により分離した。濾液を減圧で蒸発し、得た残渣を短カラム・クロマトグラフィ−でシリカゲル上で分留した。所望のリン酸エステル化 N-アシル-L-チロシンメチルエステルをカラムからクロロホルム-メタノール (70-60:30-40, v/v)で溶出した。溶出物の組成を、TLC でシリカゲル 60 プレート(B系)によって、スポット検出のためのモリブデートスプレイを用いて、調整した。適当なフラクションを合わせ、減圧で蒸発乾固し、残渣を 1 ml のテトラヒドロフランに溶解した。この溶液を 5 分間かけて冷(氷浴)攪拌 1.5 M NaOH 水溶液(4 ml)に滴下した。さらに 25 分間後、混合物を1N HC1 で pH 2-3にし、クロロホルム-メタノール(2:1, v/v)で抽出した。抽出物をメタノール-水(10:9, v/v)で洗い、真空で濃縮し、シルカゲル・カラムにかけた。所望の産物をカラムからクロロホルム-メタノール(30-20: 70-80, v/v)で溶出し、TLC プレート上モリブデートスプレイで着色した純粋の物質を含有するフラクションを、合わせ、蒸発乾固して、63 mg (23 %)の (8)を得た。
【0070】
Rf 0.05-0.10 (B系); 1H-NMR (CD3SOCD3, 200 MHz) σ0.9-1.0 (t, 3H, ω-CH3); 1.3 (s, 8H, 4CH2); 2.0-2.4 (m, 6H, 2CH2CH=CH, CH2CO); 2.7-2.9 (br s, 6H, 3HC=CHCH2CH=CH); 2.9 - 3.1 (m, 2H, CH2Ar); 4.3-4.4 (m, 1H, NHCHCO); 5.2-5.4 (br s, 8H, 4HC=CH); 7.0-7.2 (q, 4H, Ar); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0071】
実施例11: N-(シス-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサノイル)-O-ホスホ-L-チロシン (12) の合成
本化合物は、0.5 mmol (164 mg)のシス4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノン酸を用いて、上記(8)について記載のように調製した。収量 74 mg (26%)。
【0072】
Rf 0.05-0.10 (B系); 1H-NMR (CD3SOCD3, 200 MHz) σ0.9-1.0 (t, 3H, ω-CH3); 2.0-2.1 (t, 2H, CH2CO); 2.2-2.4 (m, 4H, 2CH2CH=CH); 2.7-2.9 (br s, 10H, 5HC=CHCH2CH=CH); 2.9 - 3.1 (m, 2H, CH2Ar); 4.3-4.4 (m, 1H, NHCHCO); 5.2-5.4 (br s, 12H, 6HC=CH); 7.0-7.2 (q, 4H, Ar); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0073】
実施例12:N-(全トランス-レチノイル)-O-ホスホ-L-チロシン (4)の合成
全トランス-レチノイン酸(150 mg, 0.5 mmol)およびトリエチルアミン(52 mg, 0.51 mmol)を 1 ml の乾燥テトラヒドロフランに溶かし、それに乾燥アセトニトリル(2 ml)を加え、混合物を -15 ℃に冷却する。1 mmol(232mg)の L-チロシンメチルエステル塩酸塩を用いて、以下のすべて操作を上記(8)について記載のように行った。収量 52 mg (19 %)。
【0074】
Rf 0.05-0.10 (B系);λmax (エタノール) 345 nm; H-NMR (CD3SOCD3, 200 MHz) σ1.0 (s, 6H, 3CH2, 環); 1.4-2.4 (m, 1SH, 5CH3); 2.9-3.1 (m, 2H, CH2Ar); 4.3-4.4 (m, 1H, NUCHCO); 5.8-7.0 (m, 6H, 6HC=C); 7.0-7.2 (q, 4H, Ar); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0075】
実施例13: N-(13-シス-レチノイル)-O-ホスホ-2-アミノエタノール (1a) の合成
本化合物は、0.5 mmol (150 mg)の13-シス-レチノイン酸を用いて、上記(1)について記載のように調製した。収量 63 mg (30%)。
【0076】
Rf 0.10-0.15 (B系); λmax (エタノール) 347 nm; 1H-NMR (CD3SOCD3, 200 MHz)σ1.0 (s, 6H, 3CH2, 環); 1.1-2.2 (m, 15H, 5CH3); 3.3-3.4 (br s, 2H, CH2NH); 3.8-3.9 (br s, 2H, CH2OP); 5.8-7.0 (m, 6H, 6HC=C); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0077】
実施例14: N-(13-シス-レチノイル)-O-ホスホ-L-セリン (2a) の合成
本化合物は、0.5 mmol (150 mg)の13-シス-レチノイン酸を用いて、上記(2)について記載のように調製した。収量 54 mg (23%)。
【0078】
Rf 0.05-0.10 (B系); λmax (エタノール) 347 nm; 1H-NMR (CD3SOCD3, 200 MHz)σ1.0 (s, 6H, 3CH2, 環); 1.1-2.2 (m, 15H, 5CH3); 3.8-3.9 (br s, 2H, CH2OP); 4.2-4.3 (m,1H, NH CH CO); 5.8-7.0 (m, 6H, 6HC=C); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0079】
実施例15: N-(13-シス-レチノイル)-O-ホスホ-L-トレオニン (3a) の合成
本化合物は、0.5 mmol (150 mg)の 13-シス-レチノイン酸を用いて、上記(3)について記載のように調製した。収量 70 mg (29%)。
【0080】
Rf 0.05-0.10 (B系); λmax (エタノール) 347 nm; 1H-NMR (CD3SOCD3, 200 MHz)σ1.0 (s, 6H, 3CH2, 環); 1.1-2.2 (m, 18H, 6CH3); 4.1-4.3 (m, 2H, 2CH); 5.8-7.0 (m, 6H, 6HC=C); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0081】
実施例16: N-(13-シス-レチノイル)-O-ホスホ-L-チロシン (4a) の合成
本化合物は、0.5 mmol (150 mg)の13-シス-レチノイン酸を用いて、上記(4)について記載のように調製した。収量 54 mg (20%)。
【0082】
Rf 0.05-0.10 (B系); λmax (エタノール) 347 nm; 1H-NMR (CD3SOCD3, 200 MHz)σ1.0 (s, 6H, 3CH2, 環); 1.1-2.2 (m, 15H, 5CH3); 2.9-3.1 (m, 2H, 2CH2Ar); 4.2-4.3 (m, 1H, NH CH CO); 5.8-7.0 (m, 6H, 6HC=C);7.1 (s,4H,Ar); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0083】
実施例17: N-(シス-5,8,11,14,17-エイコサペンタノイル)-O-ホスホ-2-アミノエタノール (13) の合成
本化合物は、0.5 mmol (151 mg)のシス-5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸を用いて、上記(5)について記載のように調製した。収量 98 mg (46%)。
【0084】
Rf 0.10-0.15 (B系); 1H-NMR (CD3SOCD3, 200 MHz) σ0.9-1.0 (t, 3H, ω-CH3); 1.5-1.6 (t, 2H, CH2); 2.0-2.2 (m, 6H, CH2CO, 2CH2CH=CH); 2.7-2.9 (br s, 8H, 4HC=CHCH2CH=CH); 3.2-3.3 (br s,2H, CH2NH); 3.8-3.9 (br s, 2H, CH2OP); 5.2-5.4 (br s, 10H, 5HC=CH); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0085】
実施例18: N-(シス-5,8,11,14,17-エイコサペンタノイル)-O-ホスホ-L-セリン
(14) の合成
本化合物は、0.5 mmol (151 mg)のシス-5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸を用いて、上記(6)について記載のように調製した。収量 84 mg (36%)。
【0086】
Rf 0.05-0.10(B系)1H-NMR (CD3SOCD3, 200 MHz) σ0.9-1.0 (t, 3H, ω-CH3); 1.5-1.6 (t, 2H, CH2); 2.0-2.2 (m, 6H, CH2CO, 2 CH2CH=CH); 2.7-2.9 (br s, 8H, 4HC=CH-CH2-CH=CH); 3.9-4.0 (br s, 2H, CH2OP); 4.3-4.4 (m, 1H, NH CHCO); 5.2-5.4 (br s, 10H, 5 HC=CH); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0087】
実施例19: N-(シス-5,8,11,14,17-エイコサペンタノイル)-O-ホスホ-L-トレオニン (15) の合成
本化合物は、0.5 mmol (151 mg)のシス-5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸を用いて、上記(6)について記載のように調製した。収量 99 mg (41%)。
【0088】
Rf 0.05-0.10 (B系); 1H-NMR (CD3SOCD3, 200 MHz) σ0.9-1.0 (t, 3H, ω-CH3); 1.2-1.4 (d, 3H, CH3CHOP); 1.5-1.6 (t, 2H, CH2); 2.0-2.2 (m, 6H, CH2CO, 2CH2CH=CH); 2.7-2.9 (br s, 8H, 4HC=CH-CH2-CH=CH); 4.1 - 4.3 (m, 2H, 2CH); 5.2-5.4 (br s, 10H, 5HC=CH); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0089】
実施例20: N-(シス-5,8,11,14,17-エイコサペンタノイル)-O-ホスホ-L-チロシン (16) の合成
本化合物は、0.5 mmol (151 mg)のシス-5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸を用いて、上記(8)について記載のように調製した。収量 65 mg (24%)。
【0090】
Rf 0.05-0,10 (B系), 1H-NMR (CD3SOCD3, 200 MHz) σ0.9-1.0 (t, 3H, ω-CH3); 1.5-1.6 (t, 2H, CH2); 2.0-2.2 (m, 6H, CH2CO, 2CH2CH=CH); 2.7-3.0 (m, 10H, 4HC=CH-CH2-CH=CH, CH2Ar); 4.3-4.4 (m, 1H, NHCHCO); 5.2-5.4 (br s, 10H, 5HC=CH); 7.1 (s, 4H, Ar); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0091】
実施例21: N-(シス-9,12,15-オクタデカトリエノイル)-O-ホスホ-2-アミノエタノール(N-リノレノイル-O-ホスホ-2-アミノエタノール) (17) の合成
本化合物は、0.5 mmol (139 mg)のシス-9,12,15-オクタデカトリエン酸を用いて、上記(5)について記載のように調製した。収量 80 mg (40%)。
【0092】
Rf 0.10-0.15 (B系), 1HNM (CD3SOCD3, 200 MH z) σ0.9-1.0 (t, 3H, ω-CH3), 1.3(s, 8H, 4CH2); 1.4-1.5 (br s, 2H, CH2CH2C0); 2.O-2.2 (m, 6H, CH2CO, 2CH2CH=CH), 2.7-2.9 (br s, 4 H, 2HC=CH-CH2CH=CH); 3.1-3.2 (br s, 2H, 2CH2NH); 3.7-3.8 (br s, 2 H, CH2OP); 5.2-5.4 (br s, 6H, 3HC=CH); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0093】
実施例22: N-(シス-9,12,15-オクタデカトリエノイル)-O-ホスホ-L-セリン(N-リノレノイル-O-ホスホ-L-セリン) (18) の合成
本化合物は、0.5 mmol (139 mg)のシス-9,12,15-オクタデカトリエン酸を用いて、上記(6)について記載のように調製した。収量 73 mg (33%)。
【0094】
Rf 0.05-0.10 (B系), 1HNM (CD3SOCD3, 200 MH z) σ0.9-1.0 (t, 3H, ω-CH3), 1.3(s, 8H, 4CH2); 1.4-1.5 (br s, 2H, CH2CH2C0); 2.O-2.2 (m, 6H, CH2CO, 2CH2CH=CH), 2.7-2.9 (br s, 4H, 2HC=CH-CH2CH=CH); 3.9-4.0 (br s, 2H, CH2OP); 4.3-4.4 (m, 1H, NH CHCO); 5.2-5.4 (br s, 6H, 3HC=CH); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0095】
実施例23: N-(シス-9,12,15-オクタデカトリエノイル)-O-ホスホ-L-トレオニンセリン(N-リノレノイル-O-ホスホ-L-トレオニン) (19) の合成
本化合物は、0.5 mmol (139 mg)のシス-9,12,15-オクタデカトリエン酸および1 mmol (170 mg)のL-トレオニンメチルエステル塩酸塩を用いて、上記(6)について記載のように調製した。収量 85 mg (37%)。
【0096】
Rf 0.05-0.10 (B系), 1HNM (CD3SOCD3, 200 MH z) σ0.9-1.0 (t, 3H, ω-CH3), 1.3-1.5 (m, 13H,5CH2, CH3CHOP); 2.O-2.2 (m, 6H, CH2CO, 2CH2CH=CH), 2.7-2.9 (br s, 4H, 2HC=CH-CH2CH=CH); 4.1-4.3 (m, 2H, 2CH); 5.2-5.4 (br s, 6H, 3HC=CH); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0097】
実施例24: N-(シス-9,12,15-オクタデカトリエノイル)-O-ホスホ-L-チロシン(N-リノレノイル-O-ホスホ-L-チロシン) (20) の合成
本化合物は、0.5 mmol (139 mg)のシス-9,12,15-オクタデカトリエン酸を用いて、上記(8)について記載のように調製した。収量 52 mg (20%)。
【0098】
Rf 0.05-0.10 (B系), 1HNM (CD3SOCD3, 200 MHz) σ0.9-1.0 (t, 3H, ω-CH3), 1.3(s, 8H, 4CH2); 1.4-1.5 (br s, 2H, CH2CH2C0); 2.O-2.2 (m, 6H, CH2CO, 2CH2CH=CH), 2.7-2.9 (br s, 4H, 2HC=CH-CH2CH=CH); 2.9-3.1 (m, 2H, CH2Ar); 4.3-4.4 (m, 1H, NH CHCO); 5.2-5.4 (br s, 6H, 3HC=CH); 7.0 (s, 4H, Ar); 8.2-8.4 (m, 3H, NH, 2POH)。
【0099】
実施例25:化合物 10 の液素性免疫応答に対する作用
0.15 ml の化合物 10 を C57BI/6 系の雌マウス 6 匹 (体重 18-22 g)に、用量による各試験群のために1匹につき用量 45.5、91、136.5 μg で、静脈投与した。同時に 5.107 のヒツジ赤血球の懸濁液を腹腔内投与した(1 匹につき 0.2 ml)。対照群のマウスに同量の塩類液を静脈投与した。液素性免疫に対する化合物 10 の作用を、Cunningham による脾臓中の AFC 量の計量(106 脾臓細胞につき、および脾臓につき) および血清中の赤血球凝集抗体力価の検定の両方により分析し(Cunningham A.J., Nature, 1965, Vol.207, No 5001. P.1106-1107)、赤血球凝集抗体の力価を文献 (Evans J. et al., Cell, 1974; Vol 3., p.l53-158, Fem T., Menger E., Transfusion, 1970, Vol. 10, p.33-35,)にしたがって評価した。
【0100】
注射5日後の AFC 相対量は、対照群で 273.3 ± 20.4、化合物 10 の 45.5 μg/マウスの試験群で 304.9 ± 46.6、p > 0.05、化合物 10 の 91 μg/マウスの試験群で 326.2 ± 65.4、p > 0.05、化合物 10 の 136.5 μg/マウスの試験群で 651.6 ± 48.2、p < 0 001であった。全 AFC 量は、対照群で(31.3 ± 2.5).103、化合物 10 の 45.5 μg/マウスの試験群で(30.2 ± 5.7).103、p > 0.05、化合物 10 の 91 μg/マウスの試験群で(34.7 ± 8.5).103、p > 0.05、化合物 10 の 136.5 μg/マウスの試験群で, (81.1 ± 5.8).103、p < 0.001であった。さらに、化合物 10 の 136.5 μg/マウスの試験群で免疫マウスの血清において赤血球凝集力価の有意の増加があり、対照群では 7.0 ± 0.4 なのに対し、化合物 10 の 136.5 μg/マウスの試験群では 8.5 ± 0.4、p < 0.05 であった(表 1)。
【0101】
化合物 10 の免疫原活性は用量依存性である。化合物 10 は、用量 45.5 および 91 μg/マウスで免疫原活性を示さないが、同時に化合物 10 は、用量 136.5 μg/マウスで高い免疫原活性を示す。そして、化合物 10 の注射5日後で、AFC の相対量の 138% の増加および全 AFC 量の 159% の増加が、ヒツジ赤血球のみで免疫したマウスの細胞量に比して見られ、免疫マウスの血清で赤血球凝集力価は 21% 増加した。
【0102】
実施例26:化合物 11 の液素性免疫応答に対する作用
0.15 ml の化合物 11 を C57BI/6 系の雌マウス 6 匹 (体重 18-22 g)に、用量による各試験群のために1匹につき用量 45.5、91、136.5 μg で静脈投与した。同時に 5.107 のヒツジ赤血球の懸濁液を腹腔内投与した(1匹につき0.2 ml)。対照群のマウスに同量の塩類液を静脈投与した。液素性免疫に対する化合物 11 の作用を、Cunningham による脾臓中の AFC 量の計量(106 脾臓細胞につき、および脾臓につき) および血清中の赤血球凝集抗体力価の検定の両方により分析した。
【0103】
注射 5 日後の AFC 相対量は、対照群で 799.3 ± 63.3、化合物 11 の 45.5 μg/マウスの試験群で 676.8 ± 77.1、p > 0.05、化合物 11 の 91 μg/マウスの試験群で 896.8 ± 111.8、p > 0.05、化合物 11 の 136.5 μg/マウスの試験群で 1336.5 ± 59.0、p < 0.001であった。全 AFC 量は、対照群で(101.1 ± 8.6).103、化合物 11 の 45.5 μg/マウスの試験群で(85.9 ± 8.3).103、p > 0.05、化合物 11 の 91 μg/マウスの試験群で(111.2 ± 11.8).103、p > 0.05、化合物 11 の 136.5 μg/マウスの試験群で, (182.5 ± 7.8).103、p < 0.001 であった。さらに、化合物 11 の 136.5 μg/マウスの試験群で免疫マウスの血清において赤血球凝集力価の有意の増加があり、対照群では 8.3 ± 0.3 なのに対し、化合物 11 の 136.5 μg/マウスの試験群では 9.3 ± 0.2、p < 0.05 であった(表 2)。
【0104】
化合物 11 の免疫原活性は用量依存性である。化合物11 は、用量 45.5 および 91 μg/マウスで免疫原活性を示さないが、同時に化合物 11 は、用量 136.5 μg/マウスでかなりの免疫促進作用を示す。そして、化合物 11 の注射5日後で、AFC の相対量の 67% の増加および全 AFC 量の 80% の増加が、ヒツジ赤血球のみで免疫したマウスの細胞量に比して見られ、免疫マウスの血清中の赤血球凝集力価は 12% 増加した。
【0105】
実施例27:化合物 12 の液素性免疫応答に対する作用
0.15 ml の化合物 12 を C57BI/6 系の雌マウス 6 匹 (体重 18-22 g)に、用量による各試験群のために1匹につき用量 45.5、91、136.5 μg で静脈投与した。同時に 5.107 のヒツジ赤血球の懸濁液を腹腔内投与した(1匹につき0.2 ml)。対照群のマウスに同量の塩類液を静脈投与した。液素性免疫に対する化合物 12 の作用を、Cunningham による脾臓中のAFC量の計量(106 脾臓細胞につき、および脾臓につき) および血清中の赤血球凝集抗体力価の検定の両方により分析した。
【0106】
注射 5 日後の AFC 相対量は、対照群で 291.1 ± 14.3、化合物 12 の 45.5 μg/マウスの試験群で 263.8 ± 23.6、p > 0.05、化合物 12 の 91 μg/マウスの試験群で 307.8 ± 30.9、p > 0.05、化合物 12の 136.5 μg/マウスの試験群で 682.6 ± 33.3、p < 0.001であった。全 AFC 量は、対照群で(35.0 ± 3.3).103、化合物 12 の 45.5 μg/マウスの試験群で(31.8 ± 2.8).103、p > 0.05、化合物 12 の 91 μg/マウスの試験群で(40.2 ± 2.7).103、p > 0.05、化合物 12 の 136.5 μg/マウスの試験群で, (69.6 ± 6.0).103、p < 0.001 であった(表 3)。
【0107】
化合物 12 の免疫原活性は用量依存性である。化合物 12 は、用量 45.5 および91 μg/マウスで免疫原活性を示さないが、同時に化合物 12 は、用量 136.5 μg/マウスで高い免疫原活性を示す。そして、化合物 12 の注射5日後で、AFCの相対量の 134% の増加および全 AFC 量の 99% の増加が、ヒツジ赤血球のみで免疫したマウスの細胞量に比して見られた。
【0108】
実施例28:化合物 8 の液素性免疫応答に対する作用
0.15 ml の化合物 8 を C57BI/6 系の雌マウス 6 匹 (体重 18-22 g)に、用量による各試験群のために1匹につき用量 45.5、91、136.5 μg で静脈投与した。同時に 5.107 のヒツジ赤血球の懸濁液を腹腔内投与した(1匹につき0.2 ml)。対照群のマウスに同量の塩類液を静脈投与した。液素性免疫に対する化合物8の作用を、Cunningham による脾臓中のAFC量の計量(106 脾臓細胞につき、および脾臓につき) および血清中の赤血球凝集抗体力価の検定の両方により分析した。
【0109】
注射 5 日後の AFC 相対量は、対照群で 501.7 ± 21.0、化合物 8 の 45.5 μg/マウスの試験群で 449.1 ± 37.4、p > 0.05、化合物 8 の 91 μg/マウスの試験群で 592.2 ± 41.6、p > 0.05、化合物 8 の 136.5 μg/マウスの試験群で 657.8 ± 24.0、p < 0.001であった。全 AFC 量は、対照群で(46.5 ± 2.4).103、化合物 8 の 45.5 μg/マウスの試験群で(44.4 ± 4.3).103、p > 0.05、化合物8 の 91 μg/マウスの試験群で(50.9 ± 4.5).103、p > 0.05、化合物 8 の 136.5 μg/マウスの試験群で, (88.8 ± 8.0).103、p < 0.001 であった(表 4)。
【0110】
化合物 8 の免疫原活性は用量依存性である。化合物 8 は、用量 45.5 および91 μg/マウスで免疫原活性を示さないが、同時に化合物 8 は、用量 136.5 μg/マウスでかなりの免疫促進作用を示す。そして、化合物 8 の注射5日後で、AFC の相対量の 31% の増加および全 AFC 量の 91% の増加が、ヒツジ赤血球のみで免疫したマウスの細胞量に比して見られた。
【0111】
実施例29:化合物 3 の液素性免疫応答に対する作用
0.15 ml の化合物 3 を C57BI/6 系の雌マウス 6 匹 (体重 18-22 g)に、用量による各試験群のために1匹につき用量 45.5、91、136.5 μg で静脈投与した。同時に 5.107 のヒツジ赤血球の懸濁液を腹腔内投与した(1匹につき0.2 ml)。対照群のマウスに同量の塩類液を静脈投与した。液素性免疫に対する化合物11の作用を、Cunningham による脾臓中の AFC 量の計量(106 脾臓細胞につき、および脾臓につき) および血清中の赤血球凝集抗体力価の検定の両方により分析した。
【0112】
注射 5 日後の AFC 相対量は、対照群で 407.4 ± 10.7、化合物 3 の 45.5 μg/マウスの試験群で 472.2 ± 52.4、p > 0.05、化合物 3 の 91 μg/マウスの試験群で 827.7 ± 34.6、p < 0.001、化合物 3 の 136.5 μg/マウスの試験群で961.3 ± 56.5、p < 0.001であった。全 AFC 量は、対照群で(40.4 ± 2.9).103、化合物 3 の 45.5 μg/マウスの試験群で(44.6 ± 3.9).103、p > 0.05、化合物 3 の 91 μg/マウスの試験群で(60.3 ± 4.1).103、p < 0.01、化合物 3 の136.5 μg/マウスの試験群で, (107.7 ± 8.5).103、p < 0.001であった。さらに、化合物 3 の 136.5 μg/マウスの試験群で免疫マウスの血清において赤血球凝集力価の有意の増加があり、対照群では 6.3 ± 0.3 なのに対し、化合物 3 の 91 μg/マウスの試験群では 8.0 ± 0.3、p < 0.01であり、化合物 3 の 136.5 μg/マウスの試験群では 8.7 ± 0.3、p < 0.001であった(表 5)。
【0113】
化合物 3 の免疫原活性は用量依存性である。化合物 3 は、用量 45.5 および91 μg/マウスで免疫原活性を示さないが、同時に化合物 3 は、用量 136.5 μg/マウスで高い免疫促進作用を示す。そして、化合物 3 の注射5日後で、AFCの相対量の 103% および 136% の増加および全 AFC 量の 49% および 164% の増加が、ヒツジ赤血球のみで免疫したマウスの細胞量に比して見られ、免疫マウスの血清で赤血球凝集力価は 27% および 38% 増加した。
【0114】
実施例30:化合物 4 の液素性免疫応答に対する作用
0.15 ml の化合物 4 を C57BI/6 系の雌マウス 6匹 (体重 18-22 g)に、用量による各試験群のために1匹につき用量 45.5、91、136.5 μg で静脈投与した。同時に 5.107 のヒツジ赤血球の懸濁液を腹腔内投与した(1匹につき 0.2 ml)。対照群のマウスに同量の塩類液を静脈投与した。液素性免疫に対する化合物 4 の作用を、Cunningham による脾臓中の AFC 量の計量(106 脾臓細胞につき、および脾臓につき) および血清中の赤血球凝集抗体力価の検定の両方により分析した。
【0115】
注射 5 日後の AFC 相対量は、対照群で 406.4 ± 16.8、化合物 4 の 45.5 μg/マウスの試験群で 405.0 ± 47.9、p > 0.05、化合物 4 の 91 μg/マウスの試験群で 692.9 ± 44.8、p < 0.001、化合物 4 の 136.5 μg/マウスの試験群で 1354.3 ± 99.9、p < 0.001であった。全 AFC 量は、対照群で(60.4 ± 3.9).103、化合物 4 の 45.5 μg/マウスの試験群で(55.0 ± 6.7).103、p > 0.05、化合物 4 の 91 μg/マウスの試験群で(87.6 ± 4.3).103、p < 0.001、化合物 4 の 136.5 μg/マウスの試験群で(138.9 ± 10.0).103、p < 0.001であった。さらに、化合物 4 の 136.5 μg/マウスの試験群で免疫マウスの血清において赤血球凝集力価の有意の増加があり、対照群では 6.2 ± 0.3 なのに対し、化合物 4 の 136.5 μg/マウスの試験群では 7.5 ± 0.2、p < 0.01であった(表 6)。
【0116】
化合物 4 の免疫原活性は用量依存性である。化合物 4 は、用量 45.5 および91 μg/マウスで免疫原活性を示さないが、同時に化合物 4 は、用量 136.5 μg/マウスで高い免疫促進作用を示す。そして、化合物 4 の注射5日後で、AFCの相対量の 70% および 233% の増加および全 AFC量の 45% および 130% の増加が、ヒツジ赤血球のみで免疫したマウスの細胞量に比して見られ、免疫マウスの血清中の赤血球凝集力価は 21% 増加した。
【0117】
【表1】
Figure 0004515642
【0118】
【表2】
Figure 0004515642
【0119】
【表3】
Figure 0004515642
【0120】
【表4】
Figure 0004515642
【0121】
【表5】
Figure 0004515642
【0122】
【表6】
Figure 0004515642
【0123】
実施例31:化合物 13 の液素性免疫応答に対する作用
0.15 ml の化合物 13 を C57BI/6 系の雌マウス 6 匹 (体重 18-22 g)に、用量による各試験群のために1匹につき用量 45.5、91、136.5 μg で静脈投与した。同時に 5.107 のヒツジ赤血球の懸濁液を腹腔内投与した(1匹につき 0.2 ml)。対照群のマウスに同量の塩類液を静脈投与した。液素性免疫に対する化合物 13 の作用を、Cunningham による脾臓中の AFC 量の計量(106 脾臓細胞につき、および脾臓につき) および血清中の赤血球凝集抗体力価の検定の両方により分析した。
【0124】
注射 5 日後の AFC 相対量は、対照群で 628.6 ± 34.9、化合物 13 の 45.5 μg/マウスの試験群で 608.2 ± 61.3、p > 0.05、化合物 13 の 91 μg/マウスの試験群で 525.0 ± 97.2、p > 0.05、化合物 13 の 136.5 μg/マウスの試験群で 885.9 ± 65.8、p < 0.01であった。全 AFC 量は、対照群で(45.9 ± 5.2).103、化合物 13 の 45.5 μg/マウスの試験群で(48.2 ± 6.5).103、p > 0.05、化合物 13 の 91 μg/マウスの試験群で(49.4 ± 6.2).103、p > 0.05、化合物 13 の 136.5 μg/マウスの試験群で(68.2 ± 6.9).103、p < 0.05であった。(表 7)。
【0125】
化合物 13 の免疫原活性は用量依存性である。化合物 13 は、用量 45.5 および 91 μg/マウスで免疫原活性を示さないが、同時に化合物 13 は、用量 136.5 μg/マウスでかなりの免疫促進作用を示す。そして、化合物 13 の注射5日後で、AFC の相対量の 41% の増加および全 AFC 量の 49% の増加が、ヒツジ赤血球のみで免疫したマウスの細胞量に比して見られた。
【0126】
実施例32:化合物 1a の液素性免疫応答に対する作用
0.15 ml の化合物 1a を C57BI/6 系の雌マウス 6 匹 (体重 18-22 g)に、用量による各試験群のために1匹につき用量 45.5、91、136.5 μg で静脈投与した。同時に 5.107 のヒツジ赤血球の懸濁液を腹腔内投与した(1匹につき 0.2 ml)。対照群のマウスに同量の塩類液を静脈投与した。液素性免疫に対する化合物 1a の作用を、Cunningham による脾臓中の AFC 量の計量(106 脾臓細胞につき、および脾臓につき) および血清中の赤血球凝集抗体力価の検定の両方により分析した。
【0127】
注射 5 日後の AFC 相対量は、対照群で 772.3 ± 47.8、化合物 1a の 45.5 μg/マウスの試験群で 815.8 ± 70.9、p > 0.05、化合物 1a の 91 μg/マウスの試験群で 997.2 ± 43.4、p < 0.01、化合物 1a の 136.5 μg/マウスの試験群で 1176.9 ± 58.5、p < 0.001であった。全 AFC 量は、対照群で(89.9 ± 5.9).103、化合物 1a の 45.5 μg/マウスの試験群で(104.6 ± 10.7).103、p > 0.05、化合物 1a の 91 μg/マウスの試験群で(114.5 ± 8.2).103、p < 0.05、化合物 1a の 136.5 μg/マウスの試験群で(149.4 ± 9.4).103、p < 0.001であった。(表 8)。
【0128】
化合物 1a の免疫原活性は用量依存性である。化合物 1a は、用量 45.5 および 91 μg/マウスで免疫原活性を示さないが、同時に化合物 1a は、用量 136.5 μg/マウスでかなりの免疫促進作用を示す。そして、化合物 1a の注射5日後で、AFCの相対量の 29% および 52% の増加および全 AFC量の 27% および 66% の増加が、ヒツジ赤血球のみで免疫したマウスの細胞量に比して見られた。
【0129】
実施例33:化合物 14 の液素性免疫応答に対する作用
0.15 ml の化合物 14 を C57BI/6 系の雌マウス 6 匹 (体重 18-22 g)に、用量による各試験群のために1匹につき用量 45.5、91、136.5 μg で静脈投与した。同時に 5.107 のヒツジ赤血球の懸濁液を腹腔内投与した(1匹につき 0.2 ml)。対照群のマウスに同量の塩類液を静脈投与した。液素性免疫に対する化合物 14 の作用を、Cunningham による脾臓中の AFC 量の計量(106 脾臓細胞につき、および脾臓につき) および血清中の赤血球凝集抗体力価の検定の両方により分析した。
【0130】
注射 5 日後の AFC 相対量は、対照群で 622.3 ± 19.1、化合物 14 の 45.5 μg/マウスの試験群で 554.6 ± 52.0、p > 0.05、化合物 14 の 91 μg/マウスの試験群で 645.8 ± 64.4、p > 0.05、化合物 14 の 136.5 μg/マウスの試験群で 946.1 ± 41.9、p < 0.001であった。全AFC量は、対照群で(71.9 ± 12.0).103、化合物 14 の 45.5 μg/マウスの試験群で(70.8 ± 10.8).103、p > 0.05、化合物 14 の 91 μg/マウスの試験群で(80.8 ± 12.7).103、p > 0.05、化合物 14 の 136.5 μg/マウスの試験群で(108.6 ± 10.8).103、p < 0.05であった。(表 9)。
【0131】
化合物 14 の免疫原活性は用量依存性である。化合物 14 は、用量 45.5 および 91 μg/マウスで免疫原活性を示さないが、同時に化合物 14 は、用量 136.5 μg/マウスでかなりの免疫促進作用を示す。そして、化合物 14 の注射5日後で、AFC の相対量の 52% の増加および全 AFC 量の 51% の増加が、ヒツジ赤血球のみで免疫したマウスの細胞量に比して見られた。
【0132】
実施例34:化合物 2a の液素性免疫応答に対する作用
0.15 ml の化合物 2a を C57BI/6 系の雌マウス 6 匹 (体重 18-22 g)に、用量による各試験群のために1匹につき用量 45.5、91、136.5 μg で静脈投与した。同時に 5.107 のヒツジ赤血球の懸濁液を腹腔内投与した(1匹につき 0.2 ml)。対照群のマウスに同量の塩類液を静脈投与した。液素性免疫に対する化合物 2a の作用を、Cunningham による脾臓中の AFC 量の計量(106 脾臓細胞につき、および脾臓につき) および血清中の赤血球凝集抗体力価の検定の両方により分析した。
【0133】
注射 5 日後の AFC 相対量は、対照群で 303.3 ± 14.4、化合物 2a の 45.5 μg/マウスの試験群で 264.5 ± 19.9、p > 0.05、化合物 2a の 91 μg/マウスの試験群で 585.6 ± 51.6、p < 0.001、化合物 2a の 136.5 μg/マウスの試験群で 639.8 ± 54.6、p < 0.001であった。全AFC量は、対照群で(40.0 ± 3.7).103、化合物 2a の 45.5 μg/マウスの試験群で(34.0 ± 2.6).103、p > 0.05、化合物 2a の 91 μg/マウスの試験群で(59.4 ± 5.2).103、p < 0.02、化合物 2a の 136.5 μg/マウスの試験群で(68.3 ± 6.1).103、p < 0.01であった。(表 10)。
【0134】
化合物 2a の免疫原活性は用量依存性である。化合物 2a は、用量 45.5 μg/マウスで免疫原活性を示さないが、同時に化合物 2a は、用量 および 91 および 136.5 μg/マウスでかなりの免疫促進作用を示す。そして、化合物 2a の注射5日後で、AFC の相対量の 93% および 111% の増加および全 AFC量の 48% および 71% の増加が、ヒツジ赤血球のみで免疫したマウスの細胞量に比して見られた。
【0135】
【表7】
Figure 0004515642
【0136】
【表8】
Figure 0004515642
【0137】
【表9】
Figure 0004515642
【0138】
【表10】
Figure 0004515642
【0139】
実施例35:化合物 17 の液素性免疫応答に対する作用
0.15 ml の化合物 17 を C57BI/6 系の雌マウス 6 匹 (体重 18-22 g)に、用量による各試験群のために1匹につき用量 45.5、91、136.5 μg で静脈投与した。同時に 5.107 のヒツジ赤血球の懸濁液を腹腔内投与した(1匹につき 0.2 ml)。対照群のマウスに同量の塩類液を静脈投与した。液素性免疫に対する化合物 17 の作用を、Cunningham による脾臓中の AFC 量の計量(106 脾臓細胞につき、および脾臓につき) および血清中の赤血球凝集抗体力価の検定の両方により分析した。
【0140】
注射 5 日後の AFC 相対量は、対照群で 471.5 ± 44.6、化合物 17 の 45.5 μg/マウスの試験群で 457.3 ± 40.7、p > 0.05、化合物 17 の 91 μg/マウスの試験群で 523.8 ± 45.3、p > 0.05、化合物 17 の 136.5 μg/マウスの試験群で 619.6 ± 38.9、p < 0.05であった。全 AFC 量は、対照群で(55.2 ± 4.9).103、化合物 17 の 45.5 μg/マウスの試験群で(51.1 ± 4.4).103、p > 0.05、化合物 17 の 91 μg/マウスの試験群で(63.6 ± 5.1).103、p > 0.05、化合物 17 の 136.5 μg/マウスの試験群で(71.6 ± 4.7).103、p < 0.05であった。(表 11)。
【0141】
化合物 17 の免疫原活性は用量依存性である。化合物 17 は、用量 45.5 μg/および 91 μg/マウスで免疫原活性を示さないが、同時に化合物 17 は、用量 136.5 μg/マウスでかなりの免疫促進作用を示す。そして、化合物 17 の注射5日後で、AFC の相対量の 31の増加および全 AFC 量の 30の増加が、ヒツジ赤血球のみで免疫したマウスの細胞量に比して見られた。
【0142】
実施例36:化合物 19 の液素性免疫応答に対する作用
0.15 ml の化合物 19 を C57BI/6 系の雌マウス 6 匹 (体重 18-22 g)に、用量による各試験群のために1匹につき用量 45.5、91、136.5 μg で静脈投与した。同時に 5.107 のヒツジ赤血球の懸濁液を腹腔内投与した(1匹につき 0.2 ml)。対照群のマウスに同量の塩類液を静脈投与した。液素性免疫に対する化合物 19 の作用を、Cunningham による脾臓中の AFC 量の計量(106 脾臓細胞につき、および脾臓につき) および血清中の赤血球凝集抗体力価の検定の両方により分析した。
【0143】
注射 5 日後の AFC 相対量は、対照群で 435.8 ± 60.1、化合物 19 の 45.5 μg/マウスの試験群で 454.7 ± 57.9、p > 0.05、化合物 19 の 91 μg/マウスの試験群で 473.2 ± 44.5、p > 0.05、化合物 19 の 136.5 μg/マウスの試験群で 612.5 ± 47.3、p < 0.05であった。全 AFC 量は、対照群で(46.3 ± 5.7).103、化合物 19 の 45.5 μg/マウスの試験群で(48.8 ± 6.4).103、p > 0.05、化合物 19 の 91 μg/マウスの試験群で(51.2 ± 6.1).103、p > 0.05、化合物 19 の 136.5 μg/マウスの試験群で(64.7 ± 4.9).103、p < 0.05であった。(表 12)。
【0144】
化合物 19 の免疫原活性は用量依存性である。化合物 19 は、用量 45.5 および 91 μg/マウスで免疫原活性を示さないが、同時に化合物 19 は、用量 136.5 μg/マウスでかなりの免疫促進作用を示す。そして、化合物 19 の注射5日後で、AFC の相対量の 41% の増加および全 AFC量の 40% の増加が、ヒツジ赤血球のみで免疫したマウスの細胞量に比して見られた。
【0145】
実施例37:化合物 20 の液素性免疫応答に対する作用
0.15 ml の化合物 20 を C57BI/6 系の雌マウス 6匹 (体重 18-22 g)に、用量による各試験群のために1匹につき用量 45.5、91、136.5 μg で静脈投与した。同時に 5.107 のヒツジ赤血球の懸濁液を腹腔内投与した(1匹につき 0.2 ml)。対照群のマウスに同量の塩類液を静脈投与した。液素性免疫に対する化合物 20 の作用を、Cunningham による脾臓中の AFC 量の計量(106 脾臓細胞につき、および脾臓につき) および血清中の赤血球凝集抗体力価の検定の両方により分析した。
【0146】
注射 5 日後の AFC 相対量は、対照群で 568.3 ± 34.6、化合物 20 の 45.5 μg/マウスの試験群で 512.8 ± 46.2、p > 0.05、化合物 20 の 91 μg/マウスの試験群で 634.5 ± 51.7、p > 0.05、化合物 20 の 136.5 μg/マウスの試験群で 845.1 ± 43.1、p < 0.001であった。全 AFC 量は、対照群で(50.1 ± 3.2).103、化合物 20 の 45.5 μg/マウスの試験群で(46.4 ± 4.8).103、p > 0.05、化合物 20 の 91 μg/マウスの試験群で(55.7 ± 5.6).103、p > 0.05、化合物 20 の 136.5 μg/マウスの試験群で(75.8 ± 7.7).103、p < 0.02であった。(表 13)。
【0147】
化合物 20 の免疫原活性は用量依存性である。化合物 20 は、用量 45.5 および 91 μg/マウスで免疫原活性を示さないが、同時に化合物 20 は、用量 136.5 μg/マウスでかなりの免疫促進作用を示す。そして、化合物 20 の注射5日後で、AFC の相対量の 49% の増加および全 AFC 量の 51% の増加が、ヒツジ赤血球のみで免疫したマウスの細胞量に比して見られた。
【0148】
【表11】
Figure 0004515642
【0149】
【表12】
Figure 0004515642
【0150】
【表13】
Figure 0004515642
【0151】
実施例38:ヒト AFP / 化合物 3 複合体(1:100) の液素性免疫応答に対する作用
0.15 ml の AFP / 化合物 3 複合体 を C57BI/6 系の雌マウス 6匹 (体重 18-22 g)に、1匹につき用量、9 μg の AFP および 45.5 μg の化合物 3 で、静脈投与した。化合物 3 群では、45.5 μg の化合物 3 のみを静注した。AFP 群では、9 μg の AFP のみを静注した。対照群のマウスに同量の塩類液を静脈投与した。液素性免疫に対する複合体 AFP / 化合物 3 の作用を、Cunningham による脾臓中の AFC 量の計量(106 脾臓細胞につき、および脾臓につき) で分析した。
【0152】
注射 5 日後の AFC 相対量は、対照群で 407.4 ± 10.7、AFP 試験群で 362.7 ± 31.1、p > 0.05、化合物 3 試験群で 472.2 ± 52.4、p > 0.05、複合体 AFP / 化合物 3 試験群で 716.4 ± 49.2、p < 0.02であった。全 AFC 量は、対照群で(40.5 ± 2.9).103、AFP 試験群で(40.3 ± 5.5).103、p > 0.05、化合物 3 試験群で(44.6 ± 3.9).103、p > 0.05、複合体 AFP / 化合物 3 試験群で(59.9 ± 3.7).103、p < 0.05であった。
【0153】
AFP および化合物 3 は単独で免疫原活性を示さない。同時に AFP / 化合物 3 複合体(1:100) 20 はかなりの免疫促進作用を示す。そして、複合体の注射5日後で、AFC の相対量の 76% の増加および全 AFC量の 48% の増加が、ヒツジ赤血球のみで免疫したマウスの細胞量に比して見られた。
【0154】
実施例39:ヒト AFP / 化合物 2a 複合体(1:100) の液素性免疫応答に対する作用
0.15 ml のヒト AFP / 化合物 2a 複合体 を C57BI/6 系の雌マウス 6匹 (体重 18-22 g)に、1匹につき用量、9 μg の AFP および 45.5 μg の化合物 2a で静脈投与した。化合物 2a 群では、45.5 μg の化合物 2a のみを静注した。AFP 群では、9 μg の AFP のみを静注した。対照群のマウスに同量の塩類液を静脈投与した。液素性免疫に対する複合体 AFP / 化合物 2a の作用を、Cunningham による脾臓中の AFC 量の計量(106 脾臓細胞につき、および脾臓につき) で分析した。
【0155】
注射 5 日後の AFC 相対量は、対照群で 303.3 ± 14.4、AFP 試験群で 334.5 ± 32.8、p > 0.05、化合物 2a 試験群で 264.5 ± 19.9、p > 0.05、複合体 AFP / 化合物 2a 試験群で 537.8 ± 32.4、p < 0.05であった。全 AFC 量は、対照群で(40.0 ± 3.7).103、AFP 試験群で(43.8 ± 6.2).103、p > 0.05、化合物 2a のみの試験群で(34.0 ± 2.6).103、p > 0.05、複合体試験群で(57.1 ± 4.0).103、p < 0.05であった。
【0156】
AFP および化合物 2a は単独で免疫原活性を示さない。同時に AFP / 化合物 2a 複合体(1:100) はかなりの免疫促進作用を示す。そして、複合体の注射5日後で、AFC の相対量の 77% の増加および全 AFC 量の 43% の増加が、ヒツジ赤血球のみで免疫したマウスの細胞量に比して見られた。
【0157】
実施例40:ヒト AFP / 化合物 10 複合体(1:200) の液素性免疫応答に対する作用
0.15 ml のヒト AFP / 化合物 10 複合体 を C57BI/6 系の雌マウス 6匹 (体重 18-22 g)に、1匹につき用量、9 μg の AFP および 91 μg の化合物 10 で静脈投与した。化合物 10 群では、91 μg の化合物 10 のみを静注した。AFP 群では、9 g の AFP のみを静注した。対照群のマウスに同量の塩類液を静脈投与した。液素性免疫に対する複合体 AFP / 化合物 10 の作用を、Cunningham による脾臓中の AFC 量の計量(106 脾臓細胞につき、および脾臓につき) で分析した。
【0158】
注射 5 日後の AFC 相対量は、対照群で 273.3 ± 20.4、AFP 試験群で 275.8 ± 12.3、p > 0.05、化合物 10 試験群で 326.2 ± 65.4、p > 0.05、複合体試験群で 513.6 ± 89.9、p < 0.05であった。全 AFC 量は、対照群で(31.3 ± 2.5).103、AFP 試験群で(33.6 ± 2.1).103、p > 0.05、化合物 10 のみの試験群で(34.7 ± 8.5).103、p > 0.05、複合体試験群で(55.9 ± 9.6).103、p < 0.05であった。
【0159】
AFP および化合物 10 は単独で免疫原活性を示さない。同時に AFP / 化合物 10 複合体(1:200) は免疫促進作用を示す。そして、複合体の注射5日後で、AFC 相対量の 88% の増加および全 AFC 量の 79% の増加が、ヒツジ赤血球のみで免疫したマウスの細胞量に比して見られた。
【0160】
実施例41:ヒト AFP / 化合物 14 複合体(1:200) の液素性免疫応答に対する作用
0.15 ml の AFP / 化合物 14 複合体 を C57BI/6 系の雌マウス 6 匹 (体重 18-22 g)に、1匹につき用量、9 μg の AFP および 91 μg の化合物 14 で静脈投与した。化合物 14 群では、91 μg の化合物 14 のみを静注した。AFP 群では、9 μg の AFP のみを静注した。対照群のマウスに同量の塩類液を静脈投与した。液素性免疫に対する複合体 AFP / 化合物 14 の作用を、Cunningham による脾臓中の AFC 量の計量 (106 脾臓細胞につき、および脾臓につき) で分析した。
【0161】
注射 5 日後の AFC 相対量は、対照群で 622.3 ± 19.1、AFP 試験群で 573.3 ± 63.6、p > 0.05、化合物 14 試験群で 645.8 ± 64.4、p > 0.05、複合体試験群で 967.3 ± 44.7、p < 0.05であった。全 AFC 量は、対照群で(71.9 ± 12.0).103、AFP 試験群で(69.8 ± 14.2).103、p > 0.05、化合物 14 のみの試験群で(80.8 ± 12.7).103、p > 0.05、複合体試験群で(110.1 ± 9.7).103、p < 0.05であった。
【0162】
AFP および化合物 14 は単独で免疫原活性を示さない。同時に AFP / 化合物 10 複合体(1:200) はかなりの免疫促進作用を示す。そして、複合体の注射5日後で、AFC 相対量の 55% の増加および全 AFC 量の 53% の増加が、ヒツジ赤血球のみで免疫したマウスの細胞量に比して見られた。
【0163】
実施例42:ラット AFP / 化合物 7 複合体(1:200) の液素性免疫応答に対する作用
0.15 ml の AFP / 化合物 7 複合体(1:200) を C57BI/6 系の雌マウス 6 匹 (体重 18-22 g)に、1匹につき用量、9 μg の AFP および 91 μg の化合物 7 で、静脈投与した。化合物 7 群では、91 μg の化合物 7 のみを静注した。AFP 群では、9 μg の AFP のみを静注した。対照群のマウスに同量の塩類液を静脈投与した。液素性免疫に対する複合体 AFP / 化合物 7 の作用を、Cunningham による脾臓中の AFC 量の計量 (106 脾臓細胞につき、および脾臓につき) で分析した。
【0164】
注射 5日後の AFC 相対量は、対照群で 498.6 ± 26.3、AFP 試験群で 521.4 ± 49.1、p > 0.05、化合物 7 試験群で 574.9 ± 39.6、p > 0.05、複合体試験群で 743.9 ± 65.4、p < 0.01であった。全 AFC 量は、対照群で(56.1 ± 4.3).103、AFP 試験群で(59.7 ± 5.1).103、p > 0.05、化合物 7 試験群で(60.4 ± 5.4).103、p > 0.05、複合体試験群で(82.7 ± 9.7).103、p < 0.05であった。
【0165】
AFP および化合物 7 は単独で免疫原活性を示さない。同時に AFP / 化合物 7 複合体(1:200) はかなりの免疫促進作用を示す。そして、複合体の注射5日後で、AFC 相対量の 49% の増加および全 AFC 量の 47% の増加が、ヒツジ赤血球のみで免疫したマウスの細胞量に比して見られた。
【0166】
実施例43:ラット AFP / 化合物 15 複合体(1:200) の液素性免疫応答に対する作用
0.15 ml の AFP / 化合物 15 複合体 を C57BI/6 系の雌マウス 6 匹 (体重 18-22 g)に、1匹につき用量、9 μg の AFP および 91 μg の化合物 15 で、静脈投与した。化合物 15 群では、91 μg の化合物 15 のみを静注した。AFP 群では、9 μg の AFP のみを静注した。対照群のマウスに同量の塩類液を静脈投与した。液素性免疫に対する複合体 AFP / 化合物 15 の作用を、Cunningham による脾臓中の AFC 量の計量 (106 脾臓細胞につき、および脾臓につき) で分析した。
【0167】
注射 5日後の AFC 相対量は、対照群で 556.8 ± 32.2、AFP 試験群で 507.2 ± 27.5、p > 0.05、化合物 15 試験群で 594.7 ± 41.4、p > 0.05、複合体試験群で 837.4 ± 69.3、p < 0.01であった。全 AFC 量は、対照群で(66.7 ± 5.4).103、AFP 試験群で(64.6 ± 6.8).103、p > 0.05、化合物 15 試験群で(70.8 ± 8.2).103、p > 0.05、複合体試験群で(99.0 ± 10.1).103、p < 0.05であった。
【0168】
AFP および化合物 15 は単独で免疫原活性を示さない。同時に AFP / 化合物 15 複合体(1:200) はかなりの免疫促進作用を示す。そして、複合体の注射5日後で、AFC 相対量の 50% の増加および全 AFC 量の 48% の増加が、ヒツジ赤血球のみで免疫したマウスの細胞量に比して見られた。
【0169】
実施例44:ラット AFP / 化合物 1 複合体(1:100) の液素性免疫応答に対する作用
0.15 ml の AFP / 化合物 1 複合体 を C57BI/6 系の雌マウス 6 匹 (体重 18-22 g)に、1匹につき用量、9 μg の AFP および 91 μg の化合物 1 で、静脈投与した。化合物 1 群では、45.5 μg の化合物 1 のみを静注した。AFP 群では、9 μg の AFP のみを静注した。対照群のマウスに同量の塩類液を静脈投与した。液素性免疫に対する複合体 AFP / 化合物 1 の作用を、Cunningham による脾臓中の AFC 量の計量 (106 脾臓細胞につき、および脾臓につき) で分析した。
【0170】
注射 5日後の AFC 相対量は、対照群で 374.5 ± 19.2、AFP 試験群で 346.1 ± 26.8、p > 0.05、化合物 1 試験群で 413.1 ± 31.5、p > 0.05、複合体試験群で 585.0 ± 51.7、p < 0.01であった。全 AFC 量は、対照群で(35.8 ± 3.6).103、AFP 試験群で(34.1 ± 3.3).103、p > 0.05、化合物 15 試験群で(38.4 ± 3.7).103、p > 0.05、複合体試験群で(51.2 ± 4.1).103、p < 0.05であった。
【0171】
AFP および化合物 1 は単独で免疫原活性を示さない。同時に AFP / 化合物 1 複合体(1:100) はかなりの免疫促進作用を示す。そして、複合体の注射5日後で、AFC 相対量の 56% の増加および全 AFC 量の 43% の増加が、ヒツジ赤血球のみで免疫したマウスの細胞量に比して見られた。
実施例45:化合物 1〜4、1a〜4a、5〜20 の AFP との複合体の調製
20mg の AFP (0.3 μmol) を 150 ml の塩類溶液に溶解した。30 mg の化合物 (1-4, la-4a, 5-16)を 5 ml の塩類溶液に溶解し、AFP 溶液に加えた。混合物を 30 分間室温で (20-25 ℃)インキュベートした。得た複合体を 10 ml に、高分子用の 20 000 Da 膜遮断を有する Sartocon(商標)Micro Unit (Sartorius)を用いて濃縮した。最終溶液をシリンジ・チップ Minisart(商標)-SRP Syringe Filter (Sartorius) の膜 22 μポア・サイズで無菌とした。無菌濃縮製剤を各 l ml のバイアル 10 本に分けた。バイアルにアルゴンを入れて密封し、48 ℃で保存した。
【0172】
実施例46:化合物 1〜4、1a〜4a、5〜20 との AFP 結合
ヒト AFP の化合物 1〜4、1a〜4a、5〜20 との親和性を調べるために、タンパク質結合部位からの [5,6,8,9,11,12,14,15-3H] アラキドン酸の競合的置換を用いた。0.05 nmol AFP の 0.1 M 重炭酸緩衝液 1 m および 0.7 pmol の[3H]アラキドン酸を含有する試験管に、増加する量 (5-5000 pmol) のアラキドン酸または表題化合物 1〜4、1a〜4a、5〜20 のいずれか1つを加えた。試験管を 2 時間室温でインキュベートした。[3H] アラキドン酸のタンパク質結合または遊離のフラクションを分離するために、試験管を 4 ℃で 15 分間、デキストラン被覆活性化炭素 (0.5% 懸濁) とともにインキュベートした。炭素を遠心分離 3000 xg で除き、アリコートを 10 ml シンチレイション混合物に加え、バイアルをβカウンターで測定した。
【0173】
アラキドン酸と化合物 (1〜4、1a〜4a、5〜16)の結合パラメーター、タンパク質分子当りの結合部位の数を Scatchard (Scatchard O., Ann.N.Y.Acad.Sci. 51., p 660 - 664, 1949)および Blondeau (Blondeau J.-P., et a1., Steroids, V. 32, N 5, P. 563-575, 1978)にしたがって計算した。
【0174】
3回の別個の測定によると、アラキドン酸を有する AFP の Ka 値は 6.107 M-1、n > 1.2 であった。表題化合物 1〜4、1a〜4a、5〜20についての阻害平衡関連定数 (Ki)は O.9.106 M-1〜4.106 M-1 の範囲にあった。
【0175】
実施例47:ヒト AFP と表題化合物との複合体の分子量の測定
複合体中の AFP と化合物 1〜4、1a〜4a、5〜20 とのモル比を調べるために、限外濾過および/またはゲル濾過・クロマトグラフィ−を行った。複合体の検出は 280 nm および 345 nm での吸収の測定で行い、放射活性標識 [125I]が AFP 分子に、[3H]が化合物 5〜8 ([3H]アラキドン酸を合成で使用した)にくみこまれているかを調べた。
【0176】
AFP の化合物 1〜4、1a〜4a、5〜20 との複合体についてゲル排除クロマトグラフィ−を、異なる量の成分で行った。すなわち、AFP 最大結合能の評価のために化合物 700、1400、2100 mol 当り 1 mol の AFP で行った。得たデータによると、複合体中の AFP/化合物のモル比率は、1/100 と 1/300 の間であった。さらに、複合体中の AFP/化合物のこのモル比率は、溶液中の化合物の最初の量に依存した。すなわち、最初の量が化合物 700 mol 当り 1 mol の AFP で複合体において 1/100 (AFP/化合物) に近い値を得、最初の量が化合物 1400 mol 当り 1 mol の AFP で複合体において 1/200 (AFP/化合物) に近い値を得、最初の量が化合物 2100 mol 当り 1 mol の AFP で複合体において 1/300 (AFP/化合物) に近い値を得た。
【0177】
合成の大要を下記する。
【化11】
Figure 0004515642
式中、Rは以下である:
【化12】
Figure 0004515642
【化13】
Figure 0004515642
式中、Rは以下である:
【化14】
Figure 0004515642
【化15】
Figure 0004515642
式中、Rは以下である:
【化16】
Figure 0004515642
【0178】
本発明を好ましい実施態様について記載したが、これらは本発明者にとって現在わかっている最良の形態をなすものにすぎず、当業者に明かな種々の変更および改変を、請求項に規定の範囲を逸脱せずになし得ることは当然である。

Claims (19)

  1. 下記の一般式を有する化合物:
    R-CONH-X-OPO(OH)
    [式中、R は下記より独立的に選択され、
    Figure 0004515642
    Figure 0004515642
    X は下記より独立的に選択される
    Figure 0004515642
    但し、N-アラキドノイル-O-ホスホ-2-アミノエタノールを除外する]。
  2. 下記の群から選択される化合物:
    N-(全トランス-レチノイル)-O-ホスホ-2-アミノエタノール
    N-(13-シス-レチノイル)-O-ホスホ-2-アミノエタノール
    N-(全トランス-レチノイル)-O-ホスホ-L-セリン
    N-(13-シス-レチノイル)-O-ホスホ-L-セリン
    N-(全トランス-レチノイル)-O-ホスホ-L-トレオニン
    N-(13-シス-レチノイル)-O-ホスホ-L-トレオニン
    N-(全トランス-レチノイル)-O-ホスホ-L-チロシン
    N-(13-シス-レチノイル)-O-ホスホ-L-チロシン。
  3. 下記の群から選択される化合物:
    N-リノレノイル-O-ホスホ-2-アミノエタノール
    N-リノレノイル-O-ホスホ-L-セリン
    N-リノレノイル-O-ホスホ-L-トレオニン
    N-リノレノイル-O-ホスホ-L-チロシン。
  4. 下記の群から選択される化合物:
    N-ドコサヘキサエノイル-O-ホスホ-2-アミノエタノール
    N-ドコサヘキサエノイル-O-ホスホ-L-セリン
    N-ドコサヘキサエノイル-O-ホスホ-L-トレオニン
    N-ドコサヘキサエノイル-O-ホスホ-L-チロシン。
  5. 下記の群から選択される化合物:
    N-エイコサペンタエノイル-O-ホスホ-2-アミノエタノール
    N-エイコサペンタエノイル-O-ホスホ-L-セリン
    N-エイコサペンタエノイル-O-ホスホ-L-トレオニン
    N-エイコサペンタエノイル-O-ホスホ-L-チロシン。
  6. 下記の群から選択される化合物
    N-アラキドノイル-O-ホスホ-L-セリン
    N-アラキドノイル-O-ホスホ-L-トレオニン
    N-アラキドノイル-O-ホスホ-L-チロシン。
  7. 医薬製造のための、請求項1の化合物の使用。
  8. 医薬製造のための、請求項2の化合物の使用。
  9. 医薬製造のための、請求項3の化合物の使用。
  10. 医薬製造のための、請求項4の化合物の使用。
  11. 医薬製造のための、請求項5の化合物の使用。
  12. 医薬製造のための、請求項6の化合物の使用。
  13. 医薬組成物が活性成分として請求項1の少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする組成物。
  14. 医薬組成物が活性成分として請求項2の少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする組成物。
  15. 医薬組成物が活性成分として請求項3の少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする組成物。
  16. 医薬組成物が活性成分として請求項4の少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする組成物。
  17. 医薬組成物が活性成分として請求項5の少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする組成物。
  18. 医薬組成物が活性成分として請求項6の少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする組成物。
  19. を処置するための、請求項1−6に記載のいずれかの化合物を含む医薬組成物。
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