JP4514956B2 - 絆創膏 - Google Patents
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Description
本発明は、手や足の指先の患部を確実に内包して、水やバクテリア等の浸入を防止することができる絆創膏、さらに、前記絆創膏にパッドを配した救急絆創膏に関する。
背景技術
手や足の指先に使用する従来の救急絆創膏として、例えば、図7に示す形状のものがある。図7は、指先に使用する従来の救急絆創膏120を示す平面図である。また、図8(a)乃至(c)及び図9(a)乃至(c)は、従来の救急絆創膏120を手の指先に貼付する方法を示す図であり、図8は、指先の背側から見た平面図、図9は、指先の腹側から見た平面図である。以下、図7乃至図9を参照して、従来の救急絆創膏120について説明する。なお、図8及び図9において、説明の便宜上、繊維布103を点描で示している。
図7に示すように、指先に使用する従来の救急絆創膏120は、全体が略T字型に形成されており、繊維布103(図8及び図9参照)と前記繊維布103をラミネートするフィルム101とからなる基材と、前記基材の前記繊維布103側の表面に形成された粘着剤層(図示せず)と、前記粘着剤層(図示せず)上に設けられて、患部に着接するパッド102とからなる。また、前記救急絆創膏120は、前記粘着剤層(図示せず)側の面、すなわち、粘着面を覆う剥離紙を有している。なお、前記剥離紙については、後述する第2の粘着部117側を覆う
前記救急絆創膏120は、手や足の指先の背側、すなわち、爪側に粘着する第1の粘着部115と、前記背側から折り返されて前記第1の粘着部115と相対する状態で前記指先の腹側に粘着する第2の粘着部117とを有し、前記第1の粘着部115と前記第2の粘着部117との境界部である折り曲げ部116を中心に折り曲げることができる。また、前記パッド102は、前記折り曲げ部116に跨設されており、前記救急絆創膏120は、前記折り曲げ部116と直交する方向における仮想中心線Y−Yに対して対称な形状に形成されている。
前記第1の粘着部115は、粘着する指先に沿う方向、すなわち、前記折り曲げ部116に垂直な方向に長辺を有する略矩形形状に形成されている。一方、前記第2の粘着部117は、前記折り曲げ部116と平行な方向に長辺を有する略矩形形状になっており、前記仮想中心線Y−Yから前記折り曲げ部116と平行な両方向に向けて等しい長さずつ張り出して形成され、前記折り曲げ部116の幅より大きい部分が張出部117aになっている。
また、前記第1の粘着部115と、前記第2の粘着部117とにより前記救急絆創膏120の外部に形成される角度Xは、鈍角になっている。
次に、従来の前記救急絆創膏120を手の指先に貼付する場合の貼付方法について説明する。
a.図8(a)及び図9(a)に示すように、まず、前記第1の粘着部115側を覆っている前記剥離紙(図示せず)を剥がし、前記第1の粘着部115を指先の背側に粘着する。
b.図8(b)及び図9(b)に示すように、前記剥離紙119bを剥がし、前記第2の粘着部117を前記折り曲げ部116において前記背側から折り返して、前記第1の粘着部115と相対する状態で指先の腹側に粘着する。
c.図8(c)及び図9(c)に示すように、指先の側方、すなわち、前記折り曲げ部116と平行な両方向に突出した状態の前記第2の張出部117aを、それぞれ、前記腹側から前記背側に向けて折り返して指先に捲回する。
上記a.乃至c.により、従来の前記救急絆創膏120は、前記パッド102が手や足の指先の患部に着接した状態で貼付される。
次に、手や足の指先に使用する他の従来の救急絆創膏130について、図10及び図11を参照して説明する。図10は、従来の救急絆創膏130を示す平面図、図11(a)乃至(c)は、従来の救急絆創膏130を手の指先に貼付する方法を示す図であり、指先の背側から見た平面図である。
図10に示すように、従来の救急絆創膏130は、全体が略8の字状に形成されており、基材としてのフィルム121と、前記基材の一方の表面に形成された粘着剤層(図示せず)と、前記粘着剤層(図示せず)上に設けられて、患部に着接するパッド122とからなる。また、前記救急絆創膏130は、前記粘着剤層(図示せず)側の面、すなわち、粘着面を覆う剥離紙を有し、前記フィルム121には、通気孔121aを有している。なお、前記剥離紙については、後述する第2の粘着部127側を覆う剥離紙129bのみを図11(a)に図示している。
前記救急絆創膏130は、例えば、手や足の指先の腹側に粘着する第1の粘着部125と、前記腹側から折り返されて前記第1の粘着部125と相対する状態で前記指先の背側に粘着する第2の粘着部127とを有し、前記第1の粘着部125と前記第2の粘着部127との境界部である折り曲げ部126を中心に折り曲げることができる。前記第1の粘着部125及び前記第2の粘着部127は、互いに同形状に形成されており、前記救急絆創膏130は、前記折り曲げ部126及び前記折り曲げ部126と直交する方向における仮想中心線Y−Yに対して、それぞれ、対称な形状に形成されている。また、前記パッド122は、前記折り曲げ部126に跨設されている。
前記第1の粘着部125及び前記第2の粘着部127は、それぞれ、外周が曲線の略台形形状になっており、上底に相当する前記折り曲げ部126側が短辺になっている。すなわち、下底に相当する長辺側が前記仮想中心線Y−Yから前記折り曲げ部126と平行な両方向に向けて等しい長さずつ張り出した状態になっており、前記折り曲げ部126の幅より大きい部分がそれぞれ、第1の張出部125a及び第2の張出部127aになっている。
次に、従来の前記救急絆創膏130を手の指先に貼付する場合の貼付方法について説明する。
A.図11(a)に示すように、まず、前記第1の粘着部125側を覆っている前記剥離紙(図示せず)を剥がし、前記第1の粘着部125を指先の腹側に粘着するとともに、前記第1の張出部125aを前記腹側から折り返して、指先の側部に粘着する。
B.図11(b)に示すように、前記剥離紙129bを剥がし、前記第2の粘着部127を前記折り曲げ部126において前記腹側から折り返して、前記第1の粘着部125と相対する状態で指先の背側に粘着する。
C.図11(c)に示すように、指先の側方、すなわち、前記折り曲げ部126と平行な両方向に突出した状態の前記第2の張出部127aを、それぞれ、前記背側から前記腹側に向けて折り返して指先の側部に貼付する。
上記A.乃至C.により、従来の前記救急絆創膏130は、前記パッド122が手や足の指先の患部に着接した状態で貼付される。このとき、前記第1の粘着部125及び前記第2の粘着部127は、外周が曲線を有する略台形形状であり、指先に対して大型に形成されていることから、前記救急絆創膏130は、指先の形状に適合しやすく、かつ、指先を内包しやすいものになっている。
しかしながら、従来の前記救急絆創膏120及び前記救急絆創膏130は、次の点で改善が求められている。
すなわち、従来の前記救急絆創膏120は、前記第1の粘着部115及び前記第2の粘着部117が、それぞれ、略矩形形状に形成されていることから、前記第1の粘着部115と、前記第2の粘着部117とにより前記救急絆創膏120の外部に形成される角度Xが大きく、指先に貼付した際に、前記折り曲げ部116の端部116a近傍に隙間が生じやすいという問題がある。すなわち、水仕事や入浴等の際に前記隙間から、水等が浸入して前記パッド102が湿ってしまうという問題がある。
また、従来の前記救急絆創膏120は、前記第1の粘着部115及び前記第2の粘着部117が、それぞれ、略矩形形状であることから、曲面である指先の形状に適合しにくく、前記パッド102と患部との着接状態の低下などが生じやすいという問題がある。
一方、従来の前記救急絆創膏130は、前記第1の粘着部125及び前記第2の粘着部127が、それぞれ、外周が曲線の略台形形状に形成されていることから、前記第1の粘着部125及び前記第2の粘着部127の外周部曲線同士によって前記救急絆創膏130の外部に形成される間隔Xが比較的大きいものになっている。したがって、指先に貼付した際に、前記折り曲げ部126の端部126a近傍に隙間が生じることがあり、前記隙間から水が浸入して前記パッド122が湿ってしまう場合がある。
本発明は、従来技術の上記した点に鑑みてなされたものであって、手や足の指先の患部を確実に内包して水やバクテリア等の浸入を防ぐことができる絆創膏、特に前記絆創膏にパッドを配した救急絆創膏を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明の絆創膏は、基材と、前記基材の一方の面に粘着材層を有する絆創膏であって、前記絆創膏は、指先の腹側に粘着する第1の粘着部と、前記腹側から折り返されて前記第1の粘着部と相対する状態で指先の背側に粘着する第2の粘着部とからなり、前記第1の粘着部は、前記腹側から折り返されて指先の側部に粘着する第1の張出部を備え、前記第2の粘着部は、前記背側から前記腹側に向けて折り返されて指先に捲回する第2の張出部及び第3の張出部を有し、前記第1の粘着部及び前記第2の粘着部により指先を内包するものである。
また、本発明の絆創膏は、前記第1の粘着部と前記第2の粘着部との境界部に折り曲げ部を有し、前記折り曲げ部と直交する方向の仮想中心線に対して対称な形状である。
また、本発明による絆創膏の前記第2の張出部及び前記第3の張出部は、前記折り曲げ部と平行な方向に張り出して形成され、前記第2の張出部は、前記折り曲げ部を挟んで前記第1の粘着部と隣接しているものである。
また、本発明による絆創膏の前記第2の張出部と前記第3の張出部は、前記折り曲げ部と直交する方向に離間配置され、前記第2の張出部は前記折り曲げ部と略平行な直線部を有し、前記第3の張出部は略矩形形状である。
また、本発明による絆創膏の前記第1の張出部は、前記第2の張出部及び前記第3の張出部よりも前記折り曲げ部と平行な方向における長さが小であり、かつ、外周が曲線である。
また、本発明による絆創膏の前記第3の張出部は、前記第2の張出部よりも前記折り曲げ部と平行な方向における長さが大である。
また、本発明の前記絆創膏は、前記折り曲げ部に跨設されたパッドを有する救急絆創膏であってもよい。
また、本発明による絆創膏は、前記粘着材層側の面を覆う剥離紙を有するものであってもよい。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照して、本発明の実施例の一態様を説明する。
図1は、本発明の救急絆創膏1を示す平面図であり、図2(a)は、本発明の救急絆創膏1の粘着面側を示す平面図、図2(b)は、図2(a)において、粘着面を剥離紙が覆った状態を示す平面図である。また、図3は、図1におけるA−A断面を模式的に示す図である。以下、図1乃至図3を参照して本発明の救急絆創膏1について説明する。
図1乃至図3に示すように、救急絆創膏1は、熱可塑性繊維布12(図2(a)に図示)と前記熱可塑性繊維布12をラミネートするフィルム2とからなる基材と、前記基材の前記熱可塑性繊維布12側の表面に形成された粘着剤層14(図3に図示)と、前記粘着剤層14上に設けられて、患部に着接するパッド3とからなり、前記粘着剤層14側の面、すなわち、粘着面を覆う剥離紙9a及び剥離紙9bを有している。前記剥離紙9aは、後述する第1の粘着部5側を覆っており、前記剥離紙9bは、後述する第2の粘着部側を覆う状態に設けられている。なお、図2(a)において、説明の便宜上、前記熱可塑性繊維布12を点描で示している。
前記救急絆創膏1は、手や足の指先の腹側に粘着する第1の粘着部5と、前記腹側から折り返されて前記第1の粘着部5と相対する状態で前記指先の背側に粘着する第2の粘着部7とを有し、前記第1の粘着部5と前記第2の粘着部7は、折り曲げ部6を中心に折り曲げることができる。すなわち、前記第1の粘着部5及び前記第2の粘着部7は、一体として形成されており、その境界部である前記折り曲げ部6を中心に折り返されて指先に粘着する。また、前記パッド3は、前記折り曲げ部6に跨設されており、前記救急絆創膏1は、前記折り曲げ部6と直交する方向における仮想中心線B−Bに対して対称な形状に形成されている。
前記第1の粘着部5は、外周が略円形状の曲線になっており、前記仮想中心線B−Bから前記折り曲げ部6と平行な両方向に向けて突出する第1の張出部5aを有している。前記第1の張出部5aの前記仮想中心線B−Bからの長さ、すなわち、最大半径は、L1になっている。
前記第2の粘着部7は、前記仮想中心線B−Bから前記折り曲げ部6と平行な両方向に向けて張り出して形成され、かつ、前記折り曲げ部6と直交する方向において離間配置された第2の張出部7a及び第3の張出部7bを有している。
第2の張出部を設けることにより、本願絆創膏を装着時に隙間Xを挟む第2の張出部と対応する第1の張出部の粘着剤面同士が互いに接着することにより液の浸入を、より完全に防止する。
第3の張出部7bの2aに向かう側の外周は、本願絆創膏を装着時、第1の張出部5aの外周とほぼ一定幅で重なり、液の浸入を防止する。
前記第2の張出部7aは、前記折り曲げ部6を挟んで前記第1の粘着部5と隣接しており、前記仮想中心線B−Bから、それぞれ、長さL2ずつ張り出して形成され、前記折り曲げ部6に略平行な直線部17aを有し、先端部17bの外周が曲線になっている。また、前記第3の張出部7bは、前記仮想中心線B−Bから、それぞれ、長さL3ずつ張り出して形成され、外周が略矩形形状になっている。即ち、2つの第3の張出部は、本願絆創膏を装着時に、互いの方向から両者で指を一周して両張出部の先端が互いに重なる長さでなければならない。これにより指の付け根方向からの液の浸入を防止することができる。
前記第1の粘着部5と前記第2の張出部7とにより前記救急絆創膏1の外部に形成される隙間Xは、前記第1の粘着部5の外周が曲線であり第1の張出部を有し、前記第2の張出部7が前記折り曲げ部6に略平行な前記直線部17aを有することから、鋭角状の狭いものになっている。
また、前記第1の張出部5a、前記第2の張出部7a及び前記第3の張出部7bの前記仮想中心軸B−Bからの長さL1乃至L3に関して、次式(1)
L3>L2>L1 ・・・(1)
が成り立っている。
すなわち、前記第1の張出部5a、前記第2の張出部7a及び前記第3の張出部7bの前記折り曲げ部6と平行な方向における長さは、前記第3の張出部7bが最大であり、次いで前記第2の張出部7a、前記第1の張出部5aの順になっている。
次に、前記救急絆創膏1を構成する部材の素材について説明する。
前記熱可塑性繊維布12は、通気性と伸縮性を有しているものが好ましく、熱可塑性エラストマーから形成された繊維からなる織布及び不織布を含む。前記熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−イソプレン−スチレン型ブロック共重合体及びこれに水素添加した水添ブロック共重合体等のポリスチレン系エラストマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン等のポリオレフィン等があげられるが、特に限定されるものではなく、その他の原料も適宜選択可能である。また、織布及び不織布のいずれでも、適宜選択可能であるが、伸縮性等の物性の方向性が低い点で不織布が好ましい。
また、前記熱可塑性繊維布12に不織布を使用する場合には、前記不織布は、伸縮率が100%以上、50%伸縮時の回復率が70%以上が好ましい。また、目付は、ラミネートに使用するフィルムや不織布自体の性質及び粘着剤の性質によって適宜選択する必要があり、特に限定することはできないが、好ましくは20〜200g/m2、さらに好ましくは、30〜100g/m2である。また、前記不織布の厚さは、フィルムをラミネートして前記救急絆創膏1の基材とした場合に、十分な剛性が付与されていればよく、約20〜1000μm、好ましくは、50〜500μmの範囲である。
前記フィルム2は、前記熱可塑性繊維布12の通気性及び透湿性を大きく損なうことなく、前記救急絆創膏1に防水性を付与し、かつ、前記救急絆創膏1の適度の物性バランスを得るためのものであり、防水性を有するとともに、前記熱可塑性繊維布12とラミネートしても、なお十分な透湿性を有する素材を選択する必要がある。すなわち、水蒸気は透過させ、かつ、液状の水の透過を防止することができることが必要であり、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等が素材として使用可能である。この中では、高い透湿性と適度の柔軟性を有する点から、ポリウレタン系フィルム、ポリエステル系フィルム等が特に好ましい。
前記ポリエステル系フィルムとしては、デュポン社製のハイトレル(商標)、日合フィルム社製のフレクロン(商標)等をあげることができる。また、前記フィルム2は、十分な防水性を必要とするため、押出成形、ブロー成形等によって成形されたフィルムが好ましく、延伸フィルムも使用することができ、異なる素材のフィルムをラミネートした多層フィルムも使用可能である。
また、前記フィルム2は、素材が有する透湿度が低ければ、より薄く形成して透湿性を確保する必要があり、逆に、透湿度が高ければより厚く形成することができる。前記フィルム2の厚さは、前記熱可塑性繊維布12にラミネートしたときに適度の剛性を有している必要があることから、一般には、50μm以下が好ましく、2〜30μmが特に好ましく、さらに、5〜15μmであることがより好ましい。
前記粘着剤層14を形成する粘着剤は、皮膚に対する刺激が少なく、かつ、皮膚に対する感圧粘着性を有するものであれば特に限定されず、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、シリコン系粘着剤や、A−B−A型ブロック共重合体系粘着剤、例えば、スチレン−イソプレン−スチレン型ブロック共重合体系粘着剤等を使用することができる。
前記粘着剤層14の厚さは、25〜150μm、好ましくは、30〜60μmであり、前記粘着剤を前記フィルム2及び前記熱可塑性繊維布12からなる前記基材の全面に塗布して前記粘着剤層14を形成する、いわゆるフラットコーティングにすることもできるが、透湿性の低下を防止するために、多孔性の粘着剤を塗布するか、または、前記粘着剤を全面に塗布せずに、パターン・コーティングすることが好ましい。
前記粘着剤を多孔性にする方法としては、例えば、通気剤として高吸収性ポリマーを使用し、十分吸水させた後、前記粘着剤の溶液中に分散させ、コーティングした後に水分を蒸発させることにより多孔性にする方法などがある。また、前記パターン・コーティングは、前記粘着剤をコーティングするときに、例えば、スクリーンコーティング法、または、グラビアコーティング法を採用することにより、実施することができる。また、前記粘着剤を前記基材に塗布する方法としては、前記基材に直接塗布する方法や、前記粘着剤を剥離紙に塗布した後、前記基材に転写する方法等の公知の各種方法が採用可能である。
本実施例では、前記フィルム2及び前記熱可塑性繊維布12は、周縁部から一定幅、この場合、約1.5mmが全周にわたってヒートシールされた状態でラミネートされている。前記熱可塑性繊維布12に前記フィルム2をラミネートする方法は、特に限定されないが、熱融着による方法、接着剤を使用して接着する方法などを使用することができる。前記ラミネートは、前記基材に前記粘着剤層14を形成する前に行っても、前記粘着剤層14を形成した後に行ってもよい。
前記フィルム2及び前記熱可塑性繊維布12の周縁部近傍をヒートシールして形成されるヒートシール部2aは、前記フィルム2の周縁部から一定の幅、この場合、約1.5mmの幅で全周にわたって形成されている。前記ヒートシール部2aの幅に特に制限はないが、好ましくは、0.5〜4mmであり、特に好ましくは、1〜2mmである。
前記ヒートシールは、一定温度に保った平面の型で型押しする方法や、ロールで挟圧する方法などにより実施することができるが、特に限定されない。また、前記ヒートシールは、シール面全面をヒートシールする、いわゆる、フラットシールにより実施してもよいが、非シール部を残してシール面と非シール面とが例えば、海島状に分布する、いわゆる、パターンシールにより実施してもよい。パターンシールすると、シール部よりも非シール部の通気性、透湿性が高いために、前記ヒートシール部2aに対して、より高い通気性、透湿性を付与することができる。
前記ヒートシール部2aにより、前記熱可塑性繊維布12に前記フィルム2をラミネートして構成される前記基材の周縁端部が密封され、外部と前記パッド3を完全に遮断することができる。すなわち、前記救急絆創膏1は、外部からの水等の浸入を防止することができるものになっている。
また、前記フィルム2に、前記熱可塑性繊維布12より高い融点を有する素材を使用するとともに、前記ヒートシールの温度を前記フィルム2の融点より低く、かつ、前記熱可塑性繊維布12の融点よりも高い温度に設定すれば、前記基材のうち前記熱可塑性繊維布12のみを溶融圧着することができ、前記基材の切り出しと同工程で前記ヒートシール部2aを形成することができる。この場合、前記フィルム2と前記熱可塑性繊維布12は、同じ大きさに形成されることになり、前記熱可塑性繊維布12と前記フィルム2との位置合わせ等を省略することができる。例えば、前記フィルム2にポリウレタン(融点約160〜200℃)やポリエステル(融点約170〜210℃)を使用し、前記熱可塑性繊維布12に水添スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(融点約120℃)を使用する組み合わせは、この条件を満たしており、前記フィルム2の融点付近の温度でヒートシールすれば、前記熱可塑性繊維布12のみを溶融圧着することができる。
次に、前記救急絆創膏1を手や足の指先に貼付する方法について、図4及び図5を参照して説明する。
図4(a)乃至(c)及び図5(a)乃至(c)は、本発明の救急絆創膏1を手の指先に貼付する方法を示す図であり、図4は、指先の背側から見た平面図、図5は、指先の腹側から見た平面図である。なお、図4及び図5において、説明の便宜上、前記熱可塑性繊維布12を点描で示している。
▲1▼図4(a)及び図5(a)に示すように、まず、前記剥離紙9a(図2(b)参照)を剥がし、前記第1の粘着部5を指先の腹側に粘着するとともに、前記第1の張出部5aを前記腹側から折り返して、指先の側部に粘着する。このとき、指先が前記パッド3の中央に位置する状態で貼付することが好ましい。
▲2▼図4(b)及び図5(b)に示すように、前記剥離紙9bを剥がし、前記第2の粘着部7を前記折り曲げ部6において前記腹側から折り返して、前記第1の粘着部5と相対する状態で指先の背側に粘着する。
▲3▼図4(c)及び図5(c)に示すように、指先の側方、すなわち、前記折り曲げ部6と平行な両方向に突出した状態の前記第2の張出部7aの粘着面端部と、対向する第1の粘着部の粘着面端部とを接着し、それぞれ、前記背側から前記腹側に向けて折り返して指先に捲回する。このとき、前記第2の張出部7aを軽く引っ張りながら指先に捲回して貼付することが好ましい。
▲4▼▲3▼と同様に、指先の側方、すなわち、前記折り曲げ部6と平行な両方向に突出した状態の前記第3の張出部7bを前記背側から前記腹側に向けて折り返す。そして、第3の張出部7bの2a側の外周は、第1の張出部5aの外周とほぼ一定幅で重なり合うようにする。このとき、前記第3の張出部7bを軽く引っ張りながら指先に捲回して貼付することが好ましい。
上記▲1▼乃至▲4▼により、前記救急絆創膏1が手や足の指先に貼付される。このとき、外周が曲線である前記第1の粘着部5と、前記折り曲げ部6に略平行な前記直線部17aを有する前記第2の粘着部7とにより前記救急絆創膏1の外部に形成される間隔Xは小さく、前記救急絆創膏1は、指先に貼付しても前記折り曲げ部6の端部6aの近傍に隙間が生じにくいものになっている。すなわち、前記救急絆創膏1は、指先を前記第1の粘着部5及び前記第2の粘着部7によって挟み込んで外部から封止した状態になっており、水やバクテリア等の浸入を防止することができるものになっている。
また、前記救急絆創膏1は、前記第1の粘着部5及び前記第2の粘着部7が指先に対して大型に形成され、かつ、前記第3の張出部7b、前記第2の張出部7a、前記第1の張出部5aの順に前記折り曲げ部6と平行な方向における長さが大きく形成されていることから、曲面である指先の形状に適合しやすく、指先を確実に内包することができる。
また、前記救急絆創膏1は、前記パッド3が前記折り曲げ部6に跨設されていることから、前記第1の粘着部5及び前記第2の粘着部7によって挟み込まれた状態になっている指先の患部に前記パッド3が確実に着接することができるものになっている。
なお、本実施例では、前記パッド3を有する前記救急絆創膏1について説明したが、パッドを備えていない絆創膏にも適用可能である。また、前記救急絆創膏1を構成する前記基材の素材や製法は、種々のものが適用可能であり、本実施例に限定されるものではない。
また、本発明の絆創膏の形状は、本実施例に限定されるものではなく、例えば、図6(a)乃至(f)に示す形状であってもよい。図6(a)乃至(f)において、第1の粘着部及び第2の粘着部の境界部である折り曲げ部を二点鎖線で示している。なお、図6(e)及び(f)は、第1の粘着部側に第1の張出部からさらに突出する突出部を設けたものである。さらに、本発明の絆創膏は、本発明の基本構成を備えた絆創膏であればその他の種々の形状を採用することが可能である。
本発明のさらなる態様を以下に示す。
9.基材が熱可塑性繊維布と熱可塑性フィルムからなる前記請求項1から8までのいずれか一項に記載の絆創膏。10.熱可塑性繊維布がからなる前記10に記載の絆創膏。11.熱可塑性繊維布がスチレン−イソプレン−スチレン型ブロック共重合体からなる前記10に記載の絆創膏。12,熱可塑性フィルムがポリウレタンフィルムからなる前記9から11までのいずれか1に記載の絆創膏。13.粘着剤が多孔性である前記請求項1から12までのいずれか1に記載の絆創膏。14.基材の全周がシールされている前記9から13までのいずれか1に記載の絆創膏。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明の絆創膏によれば、手や足の指先の患部を確実に内包することが可能であり、パッドを有する救急絆創膏に適用してもパッドと患部との着接状態が低下したり、貼付する際に隙間が生じて水やバクテリア等が浸入することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の救急絆創膏1を示す平面図である。図2の(a)は、本発明の救急絆創膏1の粘着面側を示す平面図であり、(b)は、(a)において、粘着面を剥離紙が覆った状態を示す平面図である。図3は、図1におけるA−A断面を模式的に示す図である。図4の(a)乃至(c)は、本発明の救急絆創膏1を手の指先に貼付する方法を示す図であり、指先の背側から見た平面図である。図5の(a)乃至(c)は、本発明の救急絆創膏1を手の指先に貼付する方法を示す図であり、指先の腹側から見た平面図である。図6の(a)乃至(f)は、本発明による絆創膏の形状の他の実施例を示す平面図である。図7は、指先に使用する従来の救急絆創膏120を示す平面図である。図8の(a)乃至(c)は、従来の救急絆創膏120を手の指先に貼付する方法を示す図であり、指先の背側から見た平面図である。図9の(a)乃至(c)は、従来の救急絆創膏120を手の指先に貼付する方法を示す図であり、指先の腹側から見た平面図である。図10は、従来の救急絆創膏130を示す平面図である。図11の(a)乃至(c)は、従来の救急絆創膏130を手の指先に貼付する方法を示す図であり、指先の背側から見た平面図である。なお、図中の符号の1は救急絆創膏、2はフィルム(基材)、2aはヒートシール部、3はパッド、5は第1の粘着部、5aは第1の張出部、6は折り曲げ部、6は端部、7は第2の粘着部、7aは第2の張出部、7bは第3の張出部、9a、9bは剥離紙、14は粘着剤層、17aは直線部(第2張出部)、17bは先端部(第2張出部)を表示する。
Claims (10)
- 基材と、前記基材の一方の面に粘着材層を有する絆創膏であって、
前記絆創膏は、指先の腹側に粘着する第1の粘着部と、
前記腹側から折り返されて前記第1の粘着部と相対する状態で指先の背側に粘着する第2の粘着部とからなり、
前記第1の粘着部は、前記腹側から折り返されて指先の側部に粘着する第1の張出部を備え、
前記第2の粘着部は、前記背側から前記腹側に向けて折り返されて指先に捲回する第2の張出部及び第3の張出部を有し、
前記第1の粘着部及び前記第2の粘着部により指先を内包し、
前記第1の粘着部と前記第2の粘着部との境界部に折り曲げ部を有し、前記折り曲げ部と直交する方向の仮想中心線に対して対称な形状であり、
前記第1の張出部は、前記第2の張出部及び前記第3の張出部よりも前記折り曲げ部と平行な方向における長さが小であり、かつ、外周が曲線であり、
前記第3の張出部は、前記第2の張出部よりも前記折り曲げ部と平行な方向における長さが大であること
を特徴とする絆創膏。 - 前記第2の張出部及び前記第3の張出部は、前記折り曲げ部と平行な方向に張り出して形成され、前記第2の張出部は、前記折り曲げ部を挟んで前記第1の粘着部と隣接していることを特徴とする請求項1記載の絆創膏。
- 前記第2の張出部と前記第3の張出部は、前記折り曲げ部と直交する方向に離間配置され、前記第2の張出部は前記折り曲げ部と略平行な直線部を有し、前記第3の張出部は略矩形形状であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の絆創膏。
- 前記絆創膏は、前記折り曲げ部に跨設されたパッドを有する救急絆創膏であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1記載の絆創膏。
- 前記粘着材層側の面を覆う剥離紙を有すること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1記載の絆創膏。 - 前記基材が熱可塑性繊維布と熱可塑性フィルムからなる請求項1乃至請求項5のうちいずれか1記載の絆創膏。
- 前記熱可塑性繊維布がスチレン−イソプレン−スチレン型ブロック共重合体からなる請求項6に記載の絆創膏。
- 前記熱可塑性フィルムがポリウレタンフィルムからなる請求項6又は請求項7に記載の絆創膏。
- 前記粘着剤が多孔性である請求項1乃至請求項8のうちいずれか1記載の絆創膏。
- 前記基材の全周がシールされている請求項1乃至請求項9のうちいずれか1記載の絆創膏。
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