JP4514133B2 - 配管装置 - Google Patents

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Description

本発明は、水素ガスの供給管と多層階の建築物に設置された複数の発電機器(例えば燃料電池、ガスエンジン等)との間を接続する配管装置に関する。
発電効率が高くしかもNOやSOなどの有害物質の排出がない燃料電池システムは、クリーンな分散型発電システムとして注目され、マンションや集合住宅あるいはオフィスビルなどへの適用が検討されている。この燃料電池システムにおいては、燃料(例えば都市ガス)を改質し、得られた水素ガスを空気中の酸素と反応させて水が生成される時に発生する電流を取り出して電力系統の補助電源として利用するとともに、その反応熱を利用することが検討されている。例えば、家庭に燃料電池を設置し、さらに燃料電池が排出した排熱の熱エネルギーを熱交換して湯を製造する発電機能付温水器を設けることが提案されている(特許文献1参照)。また都市ガスから水素ガスを生成する改質器を集合住宅の共用部に設置し、その水素ガスを水素ガス配管で共用部から各住戸に設置された燃料電池に供給し、燃料電池で発電される電力とそこから排出される温水を各住戸で使用する燃料電池システムが提案されている(特許文献2参照)。
この他、多層建築物の場合は、図7に示すような配管装置を備えた燃料電池システムが検討されている。同図において、100は多層階(4階建)のビルであり、各専有階10a……10dには、燃料電池1(1a……1d)及び貯湯タンク2(2a……2d)が設置され、地上には都市ガスの供給管31に接続された改質器3が設置され、この改質器3にはそこで生成された水素ガスを燃料電池1に供給するための主管32が接続されている。主管32は分岐継手4(4a……4d)及び接続管33a、33bを介して分配管5(5a……5d)に接続され、各分配管5の端部は各々、継手6(6a……6d)を介して燃料電池1(1a……1d)に接続されている。
改質器3と燃料電池1との間を接続するための水素ガス配管には、SGP鋼管又はステンレス鋼管などの耐熱性及び耐食性の大なる鋼管が使用され、配管を分岐する部分あるいは接続する部分は溶接で接合するのが一般的である。また半導体製造装置などで使用されている、一対の金属製筒体の間にガスケットを挟み込み、おすナットとめすナットで締付けるようにした特殊なメカニカル継手で配管を接続することも行われている。しかして水素ガスは分子径が小さく、微小な隙間にも侵入し、継手などの接続部から漏洩し易いので、住宅あるいはオフィスビルなどでは、ガス漏れによる災害を防止することが極めて重要である。そこで、通常は、継手6(6a……6d)に加えて、分岐継手4(4a……4d)の総てに、各々水素ガスの漏洩を検知するための水素ガス検出部材7(7a……7h)が設置されている。
しかしながら、図7に示すように漏洩が予測される部分の総てにセンサを設けると、多数のセンサを必要とし、配管コストの増大を招くので、実用的ではない。そこで、水素供給管の水素ガスの実圧力低下速度を測定し、それを水素ガスが漏洩していない場合の理論圧低下速度と比較することが提案されている(特許文献3参照)。
特開2000−18718号公報(第5頁、図2) 特開2004−95187号公報(第4〜5頁、図1) 特開2002−333381号公報(第2〜3頁、図1)
上記の漏洩検知システムによれば、減圧弁、圧力計、演算部(マイコン)を必要とするので、高価な配管システムとなるという難点がある。
従って、本発明の目的は、ガスの漏洩するリスクが小さい配管装置を提供することである。また本発明の他の目的は、低コストの設備で水素ガスの漏洩を検出することが可能な配管装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の配管装置は、水素ガスの供給源に接続されるヘッダーを有する分配ユニットと、内管と外管からなり、かつ前記ヘッダーと建築物の専有階ごとに設置された複数の発電機器との間に接続される複数の分配管を備え、前記分配ユニットは前記分配管が接続される部分が相互に仕切られた複数の小空間と、これらの小空間が連通する検出空間とを有し、前記検出空間及び前記分配管の下流側端部に水素ガス検出部材が設置されることを特徴とするものである。本発明において、前記検出空間に設置される前記水素ガス検出部材の数量は一個であることが好ましい。
本発明において、前記分配管は、樹脂層で被覆されたフレキシブル管であることが好ましい。
本発明において、前記分配管は、その下流側端部が差込み固定される継手を介して前記発電機器に接続されるとともに、前記樹脂層と前記フレキシブル管との隙間から流動した水素ガスが前記継手内部を通過して前記水素ガス検出部材に捕捉されることが好ましい。
本発明によれば、分配ユニットに内蔵されたヘッダーから分岐されかつ内部から漏洩した水素ガスが流動し得る隙間を有する複数の分配管から、水素ガスを燃料電池に供給するとともに、分配ユニットに分配管の隙間と連通する検出空間を設けるので、検出空間の一箇所と分配管の下流側の各端部に水素ガスを検出する部材を設置すればよく、その設置個数を従来よりも大幅に低減することができる。従って低コストの配管装置を実現することができる。
以下本発明の詳細を添付図面により説明する。図1は本発明の実施の形態に係る配管装置の配管系統を示す図、図2はヘッダーの断面図、図3は図2のA−A線断面図、図4は水素ガス管を模式的に示す断面図、図5は継手の断面図である。図1において図7と同一機能部分は同一の参照符号で示す。
図1に示すように、複数階(図では4階建て)のビル100の各専有階10a……10dには、燃料電池(発電機器)1a……1dとその廃熱で加熱される媒体が流動する熱交換器(不図示)を有する貯湯タンク2a……2dが設置されている。地上には、燃料の供給管31に接続されて、水素ガスを生成する改質器3が設置され、改質器3にはそこで得られた水素ガスを燃料電池1に供給するための主管32が接続されている。主管32は主管接続用継手9を介して分配ユニット8の内部に設置されたヘッダー81に接続されている。ヘッダー81には複数の分配管5a、5b、5c、5dが接続され、各分配管の端部は継手a……6dを介して、各専有階の燃料電池1a……1dに接続されている。また分配ユニット8には、水素ガス検出部材7eが取り付けられるとともに、継手6a……6dにも各々、水素ガス検出部材7a……7dが装着されている。上記の配管装置を構成する配管部材は、例えば次のように形成することができる。
図2及び図3に示すように、分配ユニット8は、密閉された直方体状の中空容器80と、その内部に収容されたヘッダー81を有し、ヘッダー81は複数の分岐部82a……82dを介して分配管5a……5dに接続されている。中空容器80は、平面からみて(図3参照)長辺方向に沿って伸長する仕切板83eとその端部(分岐部82a側)に固着された仕切板83aにより、分岐空間84と検出空間86とに区画され、さらに分岐空間84は、仕切板83b……83dにより4つの小空間85a……85dに区画されている。仕切板83eには、各小空間85a……85dごとに貫通孔87a……87dが設けられているので、各小空間85a……85dは検出空間86と連通するように構成されている。検出空間86の一箇所には、水素ガス検出部材7eが一個だけ設置されている。
図4(a)に示すように、分配管5(5a……5d)は、コルゲイト管からなるフレキシブル管51とその外周面に被せられた被覆樹脂53とを有し、フレキシブル管51にクラック54などの欠陥が発生した場合、両者の間に形成された隙間を水素ガスが流動し得るように構成されている。本発明においては、分配管は内管と外管を有しておればよく、例えば図4(b)に示すように、分配管5(5a……5d)は、直管52と被覆樹脂53とを有する樹脂被覆鋼管とすることもでき、直管52にクラック54などの欠陥が発生した場合、直管52と被覆樹脂53との間に形成された隙間を水素ガスが流動し得るように構成されていてもよい。フレキシブル管51又は直管52は、耐熱性及び耐食性を有する金属材料(例えばオーステナイト系ステンレス鋼)で形成されることが望ましい。
図5に示すように、継手6(6a……6d)は、一端に分配管5が挿入され、他端にオネジ部を有する金属材料からなる継手本体60とそこにねじ込まれるナット61を有する。継手本体60の内部には、奥から順に、円板状のガスケット62と、リング状の耐火パッキン63が装着されるとともに、ナット61に押されて分配管5を固定するためのリテーナ64を有する。リテーナ64は、コーン形状を有し、ガスケット62に対向する側の端部が内径側に折り曲げられてフレキシブル管51の先端の谷部に当接するように形成された締付けリング65とその内周面に嵌込まれるガイドリング66を有する。継手本体60の端部とナット61の間は、Oリング67でシールされている。ナット61の内部には内周面と外周面を連通する貫通孔611が形成され、そこに気体のみを選択的に透過する選択透過性部材68が封入されている。ナット61の端部は被覆樹脂53の外周面に当接するリップ部を有するパッキン69でシールされている。選択透過性部材68は、例えば、フッ素樹脂(例えばPTFE)、ポリオレフィン(PE、PP等)、アクリル系樹脂(例えばPMA)等の高分子重合体からなる、三次元的に連続した網目構造を有し、1〜50μm程度の気孔径を有する多孔質体で形成することができる。
上記の継手6は次の手順で分配管5と接続することができる。継手本体60にガスケット62及び耐火パッキン63を挿入し、ナット61に選択透過性部材68とパッキン69を挿入し、継手本体60とナット61との間にOリング67が挟着された状態で両部材を所定の締付け量(例えばフレキシブル管51の約1山分)を残して螺着し、分配管5を継手本体60の奥まで挿入した後、ナット61を締付けることにより、図5に示す状態となる。
この継手6によれば、ナット61の貫通孔611に水素ガス検出部材(図示を省略)を装着することにより、水素ガスを検出することができる。すなわちフレキシブル管51から漏出した水素ガスは、矢印で示す経路を辿って継手6の内部を流動し、選択透過性部材68を通過して水素ガス検出部材に捕捉される。
本発明において、配管部材以外の部材は、次のように構成することができる。
燃料電池1a……1dは、キャリアイオンの通過媒体となる電解質の種類によって、固体高分子形(PEFC)、固体酸化物形(SOFC)、りん酸形(PAFC)、溶融炭酸塩形(MCFC)に分類されるが、本発明においては、低温で動作し、出力密度が高いので、コンパクトで、取扱いが容易な、PEFCが好ましい。このPEFC形燃料電池においては、改質器で生成された水素ガスは燃料極に送られ、送風ファンで取り込まれた空気とセルスタックにおいて、反応して、水が生成され、この反応過程で直流電力が発生する。この直流電力は、インバータなどの電力変換装置により、交流に変換されて、ビルや家庭で利用することができる。
燃料電池1a……1dに水素ガスを供給する改質器3は、都市ガスに含まれている硫黄化合物(付臭剤)を除去する脱硫器と、都市ガスの主成分である炭化水素化合物(メタン)を、700℃程度に保温された触媒上で反応させ、水素を主成分とする(水素:70%、二酸化炭素:20%、その他:10%)改質ガスを得る水蒸気改質器及び一酸化炭素を10PPM〜1%になるように精製する一酸化炭素変性器とで構成される。
上記継手6及び分配ユニット8からの水素ガスの漏洩を検出する水素ガス検出部材7a〜7fとしては、公知の可燃性ガスを検出するためのセンサを使用することができる。例えば、センサ材料である半導体酸化物(酸化スズなど)の表面にガス分子を吸着させ、又はガス分子の表面での触媒燃焼によるセンサ材料の抵抗変化を検出する、半導体抵抗変化方式センサ、あるいは可燃性ガスと触媒材との触媒反応による発熱を、熱電変換効果により電圧信号に変換して、それを検出信号とする熱電変換方式センサなどを使用することができる。
上記の配管装置によれば、次のようにして燃料電池に水素ガスの供給が行われる途中で漏洩した水素ガスを検出することができる。供給管31から燃料ガス(例えば都市ガス)が改質器3に供給されると、そこで発生した水素ガスは、主管32から分配ユニット8に給送され、そこでヘッダー81から各分配管5a……5dを経て、各専有階の燃料電池1a……1dに供給されることにより、発電が行われる。また発電で生じた排熱で加熱された媒体は、給湯タンク2(2a……2d)に内蔵された熱交換器に送られ、タンク内に貯溜された水との熱交換が行われて温水が生成される。
長期間にわたって燃料電池1の運転が行われると、分配管5a……5dを構成するフレキシブル管51又は直管52が腐食して、クラック54が発生することがあるが、その場合には、水素ガスはフレキシブル管51(又は直管52)と被覆樹脂53との隙間を通り(図4参照)、分配ユニット8に戻る。この水素ガスは、分配管5a……5dと分岐部82a……82dの接続部の隙間などから中空容器80の内部に形成された小空間85a……85dに流入し、そこから検出空間86に流入する。検出空間86の内部に流入した水素ガスは、そこに装着された水素ガス検出部材7eにより検出され、その出力信号が警報器(不図示)に送られて、警報器が作動することよりガス漏れを感知することができる。また漏洩した水素ガスが継手6a……6dに流入した場合には、そこに装着された水素ガス検出部材7a……7dにより検出される。
上記のように、図1に示す配管装置によれば、燃料電池1a……1dの入口側に水素ガス検出部材1a……1dを設ける以外は、改質器3の下流側に分配ユニット8を接続しそこに一個の水素ガス検出部材を設けるだけで、分配管5a……5dから漏洩した水素ガスを確実に検出することができる。したがって配管コストの低減を図ることができる。
図6は本発明の他の実施の形態に係る配管装置の配管系統を示す図で図1と同一部分は同一の参照符号で示し、その詳細な説明を省略する。図6の配管装置は、改質器3に接続された分配ユニット8をビル100の屋上に設置し、その分配ユニット8の分配管5a……5dの端部を継手6a……6dを介して各階の燃料電池1a……1dに接続し、分配ユニット8に水素ガス検出部材7eを設置するとともに継手6a……6bに水素ガス検出部材7a……7dを設置した構造を有する。この配管装置によれば、図1のものと同様に、フレキシブル管51又は直管52から漏出した水素ガスはフレキシブル管51(又は直管52)と被覆樹脂53との隙間を通り(図4参照)、分配ユニット8又は継手6a……6dに流入するので、これらに設置された水素ガス検出部材7a……7eで水素ガスの漏洩を検出することができる。
本発明は、上記の実施の形態に記載された構造に限らず、要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能である。例えば、発電機器に燃料電池を使用する替わりにガスエンジンを使用してもよい。
本発明の実施の形態に係る配管装置の配管系統を示す図である。 ヘッダーの断面図である。 図2のA−A線断面図である。 (a)は分配管の一例を模式的に示す縦断面図、(b)は分配管の他の例を模式的に示す縦断面図である。 継手の断面図である。 本発明の他の実施の形態に係る配管装置の配管系統を示す図である。 従来の配管装置の配管系統を示す図である。
符号の説明
1a、1b、1c、1d:燃料電池(発電機器)、2a、2b、2c、2d:貯湯タンク、3:改質器、31:供給管、32:主管、4a、4b、4c、4d:分岐継手、5a、5b、5c、5d:分配管、51:フレキシブル管、52:直管、53:被覆樹脂、6a、6b、6c、6d:継手、7a、7b、7c、7d、7e、7f、7g、7h:水素ガス検出部材、8:分配ユニット、80:中空容器、81:ヘッダー、82a、82b、82c、82d:分岐部、83a、83b、83c、83d、83e:仕切板、84:分岐空間、85a、85b、85c、85d:小空間、86:検出空間、87a、87b、87c、87d:貫通孔、主管接続用継手:9、100:ビル、10a、10b、10c、10d:専有階

Claims (2)

  1. 水素ガスの供給源に接続されるヘッダーを有する分配ユニットと、
    内管と外管からなり、かつ前記ヘッダーと建築物の専有階ごとに設置された複数の発電機器との間に接続される複数の分配管を備え、
    前記分配ユニットは前記分配管が接続される部分が相互に仕切られた複数の小空間と、これらの小空間が連通する検出空間とを有し、
    前記検出空間及び前記分配管の下流側端部に水素ガス検出部材が設置されることを特徴とする配管装置。
  2. 前記検出空間に設置される前記水素ガス検出部材の数量は一個であることを特徴とする請求項に記載の配管装置。
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