JP2004095187A - 建物用燃料電池装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】建物の各専用部における電力需要の大部分を燃料電池で発電することができ、共用部から各専用部までの温水または蒸気用保温配管を設ける必要のない建物用燃料電池装置を提供する。
【解決手段】建物用燃料電池装置5は、都市ガス4から水素ガス6を生成するための改質器7を集合住宅1の共用部2に設置し、改質器で発生した水素ガス6を水素ガス配管12で共用部2から各住戸3に供給し、水素ガス配管を流れた水素ガスから電力8を発生させる燃料電池9を改質器とは分離して各住戸ごとに設置し、燃料電池で発電されインバータ10で調整される電力と燃料電池から排出される温水13とを各住戸で使用可能にした。
【選択図】 図1
【解決手段】建物用燃料電池装置5は、都市ガス4から水素ガス6を生成するための改質器7を集合住宅1の共用部2に設置し、改質器で発生した水素ガス6を水素ガス配管12で共用部2から各住戸3に供給し、水素ガス配管を流れた水素ガスから電力8を発生させる燃料電池9を改質器とは分離して各住戸ごとに設置し、燃料電池で発電されインバータ10で調整される電力と燃料電池から排出される温水13とを各住戸で使用可能にした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池で電力を発生させてこの電力を各住戸など各専用部に供給するために、集合住宅など建物に設けられた建物用燃料電池装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
地球温暖化防止対策の一つとして、多種多様な燃料,大型電源および分散電源のベストミックス化が進んでいる。燃料電池は、その高い効率が二酸化炭素の排出削減に寄与するとともに、大気汚染や酸性雨の原因となるNOX,SOx,塵埃の排出がほとんどないクリーン性と静粛性などを備えているので、21世紀における最適なエネルギー変換装置として期待されている。
環境性に優れた燃料電池は家庭用の電源としても適しており、戸建住宅や集合住宅などに設ける燃料電池装置の開発が進んでいる。
【0003】
図5は、従来の建物用燃料電池装置を含むブロック図、図6は、この従来技術における水素必要量などの経時的変化を示すグラフ、図7は、他の従来の建物用燃料電池装置を含むブロック図である。
図5および図7に示すように、内部に共用部と複数の専用部とを有する建物としての多層建物101,101aは、共用部102と、複数の住戸(専用部)103により構成される住戸部とに区分されている。戸建住宅や多層建物などに使用される建物用燃料電池装置の燃料には、既にインフラが整備されている都市ガス104の使用が検討されている。
図5に示す建物用燃料電池装置(以下、燃料電池装置と記載)105は、戸建住宅用の燃料電池装置を多層建物にそのまま適用したものであり、この燃料電池装置105は各住戸103ごとに設置されている。
燃料電池装置105は、都市ガス104から水素ガス106を生成する改質器107と、水素ガス106から電力108を発生させる燃料電池109と、燃料電池109で発電された電力108を調整するためのインバータ110とを有している。この構成の燃料電池装置105は、全体がキャビネット等に収納されたユニット構造になっていることが多い。
【0004】
ところで、各住戸における電力需要は、経時的に変化するものであり、この変化の状況は住戸ごと,日ごとに異なっている。図6は、複数の住戸のうちのある住戸1のある一日を例にとって、経時的に変化する電力需要に見合う水素必要量120の経時的変化を示している。図6の横軸は時間、縦軸は住戸1の水素必要量を示している。
図6中の水素必要量120の曲線に示すように、この住戸1では朝,昼,夕方にそれぞれ電力需要が大きくなっており、水素必要量120がピークになる最大水素必要量Hは19時から20時のあいだで表れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この住戸1の電力需要の経時的変化に合わせて燃料電池装置105を制御し、電力需要の大部分を燃料電池109で発電する必要がある。各住戸における電力需要は急激に変動することが多いので、この電力需要をまかなうためにこれに見合った水素必要量も、曲線120に示すように急激に変化する。
ところが、改質器107が水素ガス106を生成する反応速度は比較的遅くて限界があるので、改質器107の能力を、電力需要に見合った水素必要量120を発生するものにしても、改質器107はこの水素必要量120の急激な変動に迅速に対応することができない。
そのため、改質器107の能力H0としては小さいものを選定せざるを得ない。通常の住戸では、たとえば、3〜5KWのピーク電力需要があるのに対して、ベース負荷に相当する1KW程度の発電能力を有する燃料電池装置105を設置することが考えられている。この場合の燃料電池装置105の発電量に相当する、改質器107による水素ガス106の供給量を曲線121で示している。
【0006】
水素ガス106の供給量121の曲線に示すように、各住戸の急激な電力需要の変動に対して、改質器107は、これに迅速に追従して水素ガス106の発生量を急激に変動させることができない。
その結果、改質器107で生成する水素ガス106が水素必要量120に対して不足している部分(各時間における、曲線120の値と曲線121の値との差)125では、不足分の電力を電力会社から購入する必要があるので、燃料電池装置105の利点を最大限に発揮することはできない。
すなわち、電力需要に見合った水素必要量120の曲線と、燃料電池109の発電量に相当する実際の水素供給量の曲線121とにより囲まれた部分125が、改質器107の反応速度が遅いために水素が不足している部分であり、電力会社から購入する電力量に相当している。このように、従来は、水素が不足している部分125がかなり大きかった。
【0007】
一方、図7に示す多層建物101aでは、ユニット化された大型の燃料電池装置105aを共用部102に設置しており、この場合には、燃料電池装置105aで発電した電力を、共用部102から各住戸103に供給することになる。
また、燃料電池109から排出される温水122は、貯湯槽103に貯留された後、温水または蒸気用保温配管104で、共用部102から各住戸103に供給するようになっている。
このように、ユニット化された燃料電池装置105aを共用部102に設置すると、共用部102から各住戸103までの温水または蒸気用保温配管124を設ける必要があり、かなり大がかりな配管工事が必要であった。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、建物の各専用部における電力需要の大部分を燃料電池で発電することができ、共用部から各専用部までの温水または蒸気用保温配管を設ける必要のない建物用燃料電池装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明にかかる建物用燃料電池装置は、内部に共用部と複数の専用部とを有する建物に設けられ、改質器,水素ガス配管および燃料電池を有し、燃料電池で電力を発生させてこの電力を各専用部に供給するための建物用燃料電池装置であって、共同で利用する共用部に改質器を設置し、改質器とは分離して燃料電池を個別電力消費部の近傍に設置し、改質器と燃料電池を水素ガス配管で接続している。
より具体的実施態様にかかる建物用燃料電池装置は、内部に共用部と複数の専用部とを有する建物に設けられ、燃料電池で電力を発生させてこの電力を各専用部に供給するための建物用燃料電池装置であって、各種燃料から水素ガスを生成するための改質器を建物の共用部に設置し、改質器で発生した水素ガスを水素ガス配管で共用部から各専用部に供給し、水素ガス配管を流れた水素ガスから電力を発生させる燃料電池を改質器とは分離して各専用部ごとに設置し、燃料電池で発電される電力と燃料電池から排出される温水とを各専用部で使用可能にしている。
さらに具体的実施態様にかかる建物用燃料電池装置は、内部に共用部と複数の専用部とを有する建物に設けられ、燃料電池で電力を発生させてこの電力を各専用部に供給するための建物用燃料電池装置であって、都市ガスから水素ガスを生成するための改質器を建物の共用部に設置し、改質器で発生した水素ガスを水素ガス配管で共用部から各専用部に供給し、水素ガス配管を流れた水素ガスから電力を発生させる燃料電池を改質器とは分離して各専用部ごとに設置し、燃料電池で発電されインバータで調整される電力と燃料電池から排出される温水とを各専用部で使用可能にしている。
前記建物用燃料電池装置では、各専用部で経時的に変化する電力需要に見合って経時的に変化する水素必要量が建物全体で合成されると、建物全体で経時的に変化する合計必要水素量となり、改質器は合計必要水素量の経時的変化にほぼ追従して水素ガスを生成可能であるのが好ましい。
なお、各専用部には、改質器で発生した水素ガスを供給するための水素ガス配管と商用電力の電線とが接続され、都市ガス用配管は接続されていない場合であってもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる実施の形態の一例を、図1ないし図4を参照して説明する。
図1は建物用燃料電池装置を含むブロック図、図2は本実施形態の変形例にかかる建物用燃料電池装置を含むブロック図、図3は、本発明における水素必要量などの経時的変化を示すグラフ、図4は、水素ガスのインフラが整備された後における建物用燃料電池装置を含むブロック図である。
【0011】
図1および図2に示すように、内部に共用部と複数の専用部とを有する建物としての集合住宅1,1aは、多層建物の一種であり、共用部2と、複数の専用部としての住戸3により構成される住戸部とに区分されている。
なお、内部に共用部と複数の専用部とを有する建物としては、集合住宅1,1a,事務所ビル,ホテルなど多層建物のほか、多層ではない建物たとえば工場の設備用建物や事務棟などであってもよい。また、本発明の建物は、一棟の場合が通常であるが複数棟からなる場合であってもよく、これらの場合も各建物は多層でも多層でなくてもよい。
集合住宅1,1aには、改質器7,水素ガス配管12および燃料電池9を有し、燃料電池9で電力8を発生させてこの電力8を各住戸(各専用部)3に供給するための建物用燃料電池装置(以下、燃料電池装置と記載)5が設けられている。
本発明の燃料電池装置5は、共同で利用する共用部2に改質器7を設置し、改質器7とは分離して燃料電池9を個別電力消費部(たとえば、照明器具や家庭用電気機器など)の近傍に設置し、改質器7と燃料電池9とを水素ガス配管12で接続している。
ここで、「燃料電池」は、水素と酸素を供給し、電気化学反応により水を発生する過程から電力を得る発電装置である。「改質器」は、都市ガス,天然ガス,LPG,メタノールなど各種燃料(本実施形態では、都市ガス)を水蒸気と混合し、高温で触媒(ニッケル系触媒など)と反応させ、水素を主成分とするガス(水素ガス)を生成する装置である。
【0012】
本実施形態にかかる燃料電池装置5では、各種燃料の一種である都市ガス4から水素ガス6を生成するための改質器7が、集合住宅1,1aの共用部2に設置されている。改質器7で発生した水素ガス6は、水素ガス配管12で共用部2から各住戸3に供給される。
水素ガス配管12を流れた水素ガス6から電力8を発生させる燃料電池9は、改質器7とは分離して各住戸3ごとに設置されている。燃料電池9で発電されインバータ10で調整される電力8と、燃料電池9から排出される温水13は、各住戸3で使用される。ここで、「インバータ」は、燃料電池から取り出す直流電力を、一般の用途に使用される交流電力に変換する装置である。
インバータ10で調整された電力は、各住戸3内に配線された電線15を介して、照明器具や家庭用電気機器などの電力8aとして使用される。なお、住戸3内で使用される電力が直流の場合には、インバータ10は不要である。このインバータ10を省略した場合には、燃料電池9で発電される電力8と燃料電池9から排出される温水13とを各住戸(各専用部)3で使用することになる。
各住戸3で消費される電力8aより、燃料電池9で発電する電力8の方が大きい場合には、電線15を介して電力会社に商用電力14として売電することも可能である。
集合住宅1,1aでは、各住戸3における電力需要の大部分を燃料電池装置5の燃料電池9で発電することができ、また、共用部2から各住戸3までの温水または蒸気用保温配管を設ける必要がなくなる。
【0013】
改質器7で発生した水素ガス6を各住戸3に供給するために、水素ガス配管12が共用部2から各住戸3に接続されている。共用部2に設置された改質器7には、都市ガス4が常時供給可能になっている。共用部2には、電力会社から供給される商用電力14が供給され、この商用電力14の電線15は各住戸3内の配線も含んでいる。
図1に示す集合住宅1では、都市ガス4は、共用部2から各住戸3に接続された都市ガス用配管16により各住戸3に供給される。各住戸3で都市ガス4は、調理や暖房用のガス4aとして使用されたり、給湯器17で温水13aを得ることなどに利用される。
燃料電池9が電力8を発生しているあいだ、温水13が燃料電池9から排出されるので、この温水13を貯湯槽18に一旦貯留している。給湯器17で温められた温水13aも、貯湯槽18に一旦貯留される。貯湯槽18の温水は、浴室や台所などで温水13bとして使用される。
こうして、燃料電池9から排出された温水13を浴室や台所などで任意の時に使用することができる。通常、燃料電池9から排出された温水13の量は、給湯器17で供給される温水13aの量と比べて少ないので、貯湯槽18に貯留されている温水の量や温度は、給湯器17から供給される温水13aの量や温度により制御すればよい。
【0014】
図2に示す集合住宅1aでは、各住戸3には、水素ガス配管12と商用電力14用の電線15とが接続されているが、都市ガス用配管は接続されていない。燃料電池9から排出される温水13は、貯湯槽18に一旦貯留されたのち電気温水器20で温められ、浴槽や台所などで温水13bとして使用される。
燃料電池9で発電された電力8は、電線15を介して電気温水器20に供給されて温水13を温め、また、個別電力消費部としてのIHヒーター(電磁調理器)21に供給されて調理が行われる。
この集合住宅1aでは、共用部2から各住戸3までの都市ガス用配管が不要なので、配管工事を簡略化することができ、利便性がよく且つ安全性が高い「オール電化住宅」にすることができる。
通常、オール電化住宅は、ピーク電力需要が大きいので電力基本料金も高くなりがちであるが、燃料電池装置5で発電する電力を使用するので、不足分の電力に関するピーク電力が小さくなる。したがって、不足分の電力のみを電力会社から購入すればよいので、電力基本料金が安価である。
【0015】
図1ないし図3において、各集合住宅1,1aの総戸数はn戸とする。図3(A),(B),(C)には、それぞれ、住戸1における水素必要量30,住戸2における水素必要量30a,住戸nにおける水素必要量30nの、各経時的変化(ある一日における経時的変化)を示している。図3(A)〜(C)において、横軸は時間、縦軸は各住戸の水素必要量を示している。
集合住宅1,1aにおける燃料電池装置5では、各住戸3で経時的に変化する電力需要に見合って経時的に変化する水素必要量30,30a,・・・,30nが集合住宅全体のn戸分合成されると、集合住宅1,1a全体で経時的に変化する合計必要水素量31となり、改質器7は、この合計必要水素量31の経時的変化にほぼ追従して水素ガス6を生成することができる。なお、電力需要や水素必要量30,30a,・・・,30nの各経時的変化は、生活の状況,季節などにより毎日変化するものである。
【0016】
住戸1における水素必要量30の経時的変化は、住戸1で経時的に変化する電力需要をまかなうためにこれに見合った曲線になっている。住戸2における水素必要量30aの経時的変化は、住戸2で経時的に変化する電力需要をまかなうためにこれに見合った曲線になっている。さらに、住戸nにおける水素必要量30nの経時的変化は、住戸nで経時的に変化する電力需要をまかなうためにこれに見合った曲線になっている。
住戸1,住戸2,・・・,住戸nなどn戸の住戸におけるそれぞれの最大水素必要量Hは、住戸ごとにその値や最大水素必要量Hの発生する時刻は異なっている場合が多い。
また、消費電力の比較的大きい照明器具や家庭用電気機器などのスイッチがオン,オフされると電力需要が急激に変化するので、各住戸における水素必要量30,30a,・・・,30nも急激に経時変化している。
【0017】
集合住宅1,1aにおける全戸の水素必要量30,30a,・・・,30nが合成されると、図3(D)に示すように、集合住宅1,1a全体で経時的に変化する合計必要水素量31となる。図3(D)の横軸は時間、縦軸はn戸分の合計必要水素量を示している。
合計必要水素量31は、集合住宅全体における電力需要曲線に見合って経時的に変化するなだらかな曲線になっている。これは、たとえば、消費電力の大きい個別電力消費部としての家庭用電気機器(たとえば、エアコン)のスイッチを全ての住戸で一斉にオン,オフするわけではないので、各住戸の電力需要を集合住宅全体で合成して重ね合わせると、集合住宅全体における電力需要の変動は縮小されるからである。
集合住宅全体での電力需要曲線に見合った合計必要水素量31は、そのなだらかな曲線に示すようにゆっくりと経時変化しており、ある時刻で最大水素必要量Haとなる。
【0018】
改質器7で生成される実際の水素供給量の経時的変化が、曲線32で表されている。この実際の水素供給量32は、燃料電池9で発電される発電量をまかなうためにこれに見合った量であり、改質器7は、合計必要水素量31の経時的変化にほぼ追従して水素ガス6を生成している。
すなわち、合計必要水素量31は、各住戸3における経時的に急激に変化する水素必要量30,30a,・・・,30nが集合住宅全体で合成されているので、合計必要水素量31の変動は緩やかである。
改質器7の反応速度が遅いので、改質器7による実際の水素供給量32は、合計必要水素量31の経時的変化に完全に追従することはできないが、若干の時間的遅れはあるものの合計必要水素量31の緩やかな経時的変化にほぼ追従することができる。その結果、改質器7の能力H0としてはこの最大水素必要量Haになるべく近い能力の改質器7を選定することができる。
【0019】
電力需要曲線に見合った合計必要水素量31の曲線と、実際の水素供給量32の曲線とにより囲まれた部分33が、改質器7の反応の遅れにより水素供給量が不足している部分であり、電力会社から購入する電力量に相当している。この水素の不足量は従来と比べて極めて少ないので、各住戸3における電力需要の大部分を燃料電池9で発電することができる。
このようにして、住戸ごとの電力需要を集合住宅全体で合成することにより、集合住宅全体における電力需要の変動が縮小されるので、改質器7の稼働率が向上する。
また、各住戸3の電力需要に見合った能力の燃料電池9の導入と発電制御が可能になる。これは、燃料電池9を改質器7とは分離したので、改質器7の能力に制限されることなく、燃料電池9のみの制御で発電量を制御できるからである。その結果、電力需要の大きい住戸には能力の大きい燃料電池9を設置し、電力需要の少ない住戸には小さい能力の燃料電池9を設置するというように、住戸ごとに最適な能力の燃料電池9を選定することができる。また、電力会社から購入する電力が小さくて済むので、各住戸3における電力基本料金を安価にすることができる。
【0020】
図4に示すように、公共の水素ガスを供給するインフラが将来的に整備されると、このインフラが整備された時点で、共用部2に設置されている改質器7を撤去するだけで、公共の水素ガス34を利用できる態勢に速やかに移行することができる。これは、改質器7と燃料電池9とを分離して、共用部2に設置された改質器7から各住戸3まで既に水素ガス配管12が設置されているからである。
このように、公共の水素ガス34の利用に移行する場合でも、各住戸3での変更工事は不要である。
【0021】
上述のように、本発明では改質器7を共用部2に設置したので、各住戸3における改質器の設置スペースが不要になり、各住戸の占有面積を拡大することが可能であり、能力の大きな改質器7を選定することができる。改質器7を住戸内に設置しないので、個別ユーザの要望に応じて、各住戸3ごとに異なる能力,サイズなど任意の燃料電池9を設置することができる。
燃料電池装置5による発電能力を最大限利用することができるので、電力会社から購入する電力量を低減して、各住戸における電力コストの低減効果を十分に発揮することができる。二酸化炭素排出量の少ない燃料電池装置5の利点を最大限に発揮できるので、地球全体としての二酸化炭素の排出量を低減することができる。
各住戸における水素必要量30,30a,・・・,30nを集合住宅全体で合成して合計必要水素量31としたので、経時的に異なる変化をする複数のデータの重ね合わせのメリットが発揮される。したがって、各住戸ごとに改質器を設置してこれを合計した場合と比べて、本発明の改質器7は全体として小型化することができる。
合計必要水素量31の経時的変化の曲線がなだらかなので、燃料電池装置5を合計必要水素量31のゆっくりした変化に追従させて、スムースな発電制御を行うことができる。
【0022】
共用部2から各住戸3までの温水または蒸気用保温配管を設ける必要がないので、温水または蒸気用の付帯設備(たとえば、温水メータ,熱交換機など)を設ける必要がない。
温水13を排出する燃料電池9が各住戸3にあるので、燃料電池9から浴室,台所までの距離が短くてすみ、温水13が流れるあいだの熱量損失が少なくて効率がよい。
なお、集合住宅では、全戸に燃料電池9を設置する場合を示したが、必ずしも全戸でなくてもよく、燃料電池を設置しない住戸がある場合でもよい。
以上、本発明の実施形態(変形例を含む)を説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲で種々の変形,付加などが可能である。
なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0023】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したので、建物の各住戸における電力需要の大部分を燃料電池で発電することができ、共用部から各住戸までの温水または蒸気用保温配管を設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1ないし図4は本発明の実施形態の一例を示す図で、図1は建物用燃料電池装置を含むブロック図である。
【図2】本実施形態の変形例にかかる建物用燃料電池装置を含むブロック図である。
【図3】本発明における水素必要量などの経時的変化を示すグラフである。
【図4】水素ガスのインフラが整備された後における建物用燃料電池装置を含むブロック図である。
【図5】従来の建物用燃料電池装置を含むブロック図である。
【図6】前記従来技術における水素必要量などの経時的変化を示すグラフである。
【図7】他の従来の建物用燃料電池装置を含むブロック図である。
【符号の説明】
1,1a 集合住宅(建物)
2 共用部
3 住戸(専用部)
4 都市ガス(各種燃料)
5 建物用燃料電池装置
6 水素ガス
7 改質器
8 電力
9 燃料電池
10 インバータ
12 水素ガス配管
13 温水
14 商用電力
15 電線
16 都市ガス用配管
21 IHヒーター(個別電力消費部)
30,30a,30n 水素必要量
31 合計必要水素量
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池で電力を発生させてこの電力を各住戸など各専用部に供給するために、集合住宅など建物に設けられた建物用燃料電池装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
地球温暖化防止対策の一つとして、多種多様な燃料,大型電源および分散電源のベストミックス化が進んでいる。燃料電池は、その高い効率が二酸化炭素の排出削減に寄与するとともに、大気汚染や酸性雨の原因となるNOX,SOx,塵埃の排出がほとんどないクリーン性と静粛性などを備えているので、21世紀における最適なエネルギー変換装置として期待されている。
環境性に優れた燃料電池は家庭用の電源としても適しており、戸建住宅や集合住宅などに設ける燃料電池装置の開発が進んでいる。
【0003】
図5は、従来の建物用燃料電池装置を含むブロック図、図6は、この従来技術における水素必要量などの経時的変化を示すグラフ、図7は、他の従来の建物用燃料電池装置を含むブロック図である。
図5および図7に示すように、内部に共用部と複数の専用部とを有する建物としての多層建物101,101aは、共用部102と、複数の住戸(専用部)103により構成される住戸部とに区分されている。戸建住宅や多層建物などに使用される建物用燃料電池装置の燃料には、既にインフラが整備されている都市ガス104の使用が検討されている。
図5に示す建物用燃料電池装置(以下、燃料電池装置と記載)105は、戸建住宅用の燃料電池装置を多層建物にそのまま適用したものであり、この燃料電池装置105は各住戸103ごとに設置されている。
燃料電池装置105は、都市ガス104から水素ガス106を生成する改質器107と、水素ガス106から電力108を発生させる燃料電池109と、燃料電池109で発電された電力108を調整するためのインバータ110とを有している。この構成の燃料電池装置105は、全体がキャビネット等に収納されたユニット構造になっていることが多い。
【0004】
ところで、各住戸における電力需要は、経時的に変化するものであり、この変化の状況は住戸ごと,日ごとに異なっている。図6は、複数の住戸のうちのある住戸1のある一日を例にとって、経時的に変化する電力需要に見合う水素必要量120の経時的変化を示している。図6の横軸は時間、縦軸は住戸1の水素必要量を示している。
図6中の水素必要量120の曲線に示すように、この住戸1では朝,昼,夕方にそれぞれ電力需要が大きくなっており、水素必要量120がピークになる最大水素必要量Hは19時から20時のあいだで表れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この住戸1の電力需要の経時的変化に合わせて燃料電池装置105を制御し、電力需要の大部分を燃料電池109で発電する必要がある。各住戸における電力需要は急激に変動することが多いので、この電力需要をまかなうためにこれに見合った水素必要量も、曲線120に示すように急激に変化する。
ところが、改質器107が水素ガス106を生成する反応速度は比較的遅くて限界があるので、改質器107の能力を、電力需要に見合った水素必要量120を発生するものにしても、改質器107はこの水素必要量120の急激な変動に迅速に対応することができない。
そのため、改質器107の能力H0としては小さいものを選定せざるを得ない。通常の住戸では、たとえば、3〜5KWのピーク電力需要があるのに対して、ベース負荷に相当する1KW程度の発電能力を有する燃料電池装置105を設置することが考えられている。この場合の燃料電池装置105の発電量に相当する、改質器107による水素ガス106の供給量を曲線121で示している。
【0006】
水素ガス106の供給量121の曲線に示すように、各住戸の急激な電力需要の変動に対して、改質器107は、これに迅速に追従して水素ガス106の発生量を急激に変動させることができない。
その結果、改質器107で生成する水素ガス106が水素必要量120に対して不足している部分(各時間における、曲線120の値と曲線121の値との差)125では、不足分の電力を電力会社から購入する必要があるので、燃料電池装置105の利点を最大限に発揮することはできない。
すなわち、電力需要に見合った水素必要量120の曲線と、燃料電池109の発電量に相当する実際の水素供給量の曲線121とにより囲まれた部分125が、改質器107の反応速度が遅いために水素が不足している部分であり、電力会社から購入する電力量に相当している。このように、従来は、水素が不足している部分125がかなり大きかった。
【0007】
一方、図7に示す多層建物101aでは、ユニット化された大型の燃料電池装置105aを共用部102に設置しており、この場合には、燃料電池装置105aで発電した電力を、共用部102から各住戸103に供給することになる。
また、燃料電池109から排出される温水122は、貯湯槽103に貯留された後、温水または蒸気用保温配管104で、共用部102から各住戸103に供給するようになっている。
このように、ユニット化された燃料電池装置105aを共用部102に設置すると、共用部102から各住戸103までの温水または蒸気用保温配管124を設ける必要があり、かなり大がかりな配管工事が必要であった。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、建物の各専用部における電力需要の大部分を燃料電池で発電することができ、共用部から各専用部までの温水または蒸気用保温配管を設ける必要のない建物用燃料電池装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明にかかる建物用燃料電池装置は、内部に共用部と複数の専用部とを有する建物に設けられ、改質器,水素ガス配管および燃料電池を有し、燃料電池で電力を発生させてこの電力を各専用部に供給するための建物用燃料電池装置であって、共同で利用する共用部に改質器を設置し、改質器とは分離して燃料電池を個別電力消費部の近傍に設置し、改質器と燃料電池を水素ガス配管で接続している。
より具体的実施態様にかかる建物用燃料電池装置は、内部に共用部と複数の専用部とを有する建物に設けられ、燃料電池で電力を発生させてこの電力を各専用部に供給するための建物用燃料電池装置であって、各種燃料から水素ガスを生成するための改質器を建物の共用部に設置し、改質器で発生した水素ガスを水素ガス配管で共用部から各専用部に供給し、水素ガス配管を流れた水素ガスから電力を発生させる燃料電池を改質器とは分離して各専用部ごとに設置し、燃料電池で発電される電力と燃料電池から排出される温水とを各専用部で使用可能にしている。
さらに具体的実施態様にかかる建物用燃料電池装置は、内部に共用部と複数の専用部とを有する建物に設けられ、燃料電池で電力を発生させてこの電力を各専用部に供給するための建物用燃料電池装置であって、都市ガスから水素ガスを生成するための改質器を建物の共用部に設置し、改質器で発生した水素ガスを水素ガス配管で共用部から各専用部に供給し、水素ガス配管を流れた水素ガスから電力を発生させる燃料電池を改質器とは分離して各専用部ごとに設置し、燃料電池で発電されインバータで調整される電力と燃料電池から排出される温水とを各専用部で使用可能にしている。
前記建物用燃料電池装置では、各専用部で経時的に変化する電力需要に見合って経時的に変化する水素必要量が建物全体で合成されると、建物全体で経時的に変化する合計必要水素量となり、改質器は合計必要水素量の経時的変化にほぼ追従して水素ガスを生成可能であるのが好ましい。
なお、各専用部には、改質器で発生した水素ガスを供給するための水素ガス配管と商用電力の電線とが接続され、都市ガス用配管は接続されていない場合であってもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる実施の形態の一例を、図1ないし図4を参照して説明する。
図1は建物用燃料電池装置を含むブロック図、図2は本実施形態の変形例にかかる建物用燃料電池装置を含むブロック図、図3は、本発明における水素必要量などの経時的変化を示すグラフ、図4は、水素ガスのインフラが整備された後における建物用燃料電池装置を含むブロック図である。
【0011】
図1および図2に示すように、内部に共用部と複数の専用部とを有する建物としての集合住宅1,1aは、多層建物の一種であり、共用部2と、複数の専用部としての住戸3により構成される住戸部とに区分されている。
なお、内部に共用部と複数の専用部とを有する建物としては、集合住宅1,1a,事務所ビル,ホテルなど多層建物のほか、多層ではない建物たとえば工場の設備用建物や事務棟などであってもよい。また、本発明の建物は、一棟の場合が通常であるが複数棟からなる場合であってもよく、これらの場合も各建物は多層でも多層でなくてもよい。
集合住宅1,1aには、改質器7,水素ガス配管12および燃料電池9を有し、燃料電池9で電力8を発生させてこの電力8を各住戸(各専用部)3に供給するための建物用燃料電池装置(以下、燃料電池装置と記載)5が設けられている。
本発明の燃料電池装置5は、共同で利用する共用部2に改質器7を設置し、改質器7とは分離して燃料電池9を個別電力消費部(たとえば、照明器具や家庭用電気機器など)の近傍に設置し、改質器7と燃料電池9とを水素ガス配管12で接続している。
ここで、「燃料電池」は、水素と酸素を供給し、電気化学反応により水を発生する過程から電力を得る発電装置である。「改質器」は、都市ガス,天然ガス,LPG,メタノールなど各種燃料(本実施形態では、都市ガス)を水蒸気と混合し、高温で触媒(ニッケル系触媒など)と反応させ、水素を主成分とするガス(水素ガス)を生成する装置である。
【0012】
本実施形態にかかる燃料電池装置5では、各種燃料の一種である都市ガス4から水素ガス6を生成するための改質器7が、集合住宅1,1aの共用部2に設置されている。改質器7で発生した水素ガス6は、水素ガス配管12で共用部2から各住戸3に供給される。
水素ガス配管12を流れた水素ガス6から電力8を発生させる燃料電池9は、改質器7とは分離して各住戸3ごとに設置されている。燃料電池9で発電されインバータ10で調整される電力8と、燃料電池9から排出される温水13は、各住戸3で使用される。ここで、「インバータ」は、燃料電池から取り出す直流電力を、一般の用途に使用される交流電力に変換する装置である。
インバータ10で調整された電力は、各住戸3内に配線された電線15を介して、照明器具や家庭用電気機器などの電力8aとして使用される。なお、住戸3内で使用される電力が直流の場合には、インバータ10は不要である。このインバータ10を省略した場合には、燃料電池9で発電される電力8と燃料電池9から排出される温水13とを各住戸(各専用部)3で使用することになる。
各住戸3で消費される電力8aより、燃料電池9で発電する電力8の方が大きい場合には、電線15を介して電力会社に商用電力14として売電することも可能である。
集合住宅1,1aでは、各住戸3における電力需要の大部分を燃料電池装置5の燃料電池9で発電することができ、また、共用部2から各住戸3までの温水または蒸気用保温配管を設ける必要がなくなる。
【0013】
改質器7で発生した水素ガス6を各住戸3に供給するために、水素ガス配管12が共用部2から各住戸3に接続されている。共用部2に設置された改質器7には、都市ガス4が常時供給可能になっている。共用部2には、電力会社から供給される商用電力14が供給され、この商用電力14の電線15は各住戸3内の配線も含んでいる。
図1に示す集合住宅1では、都市ガス4は、共用部2から各住戸3に接続された都市ガス用配管16により各住戸3に供給される。各住戸3で都市ガス4は、調理や暖房用のガス4aとして使用されたり、給湯器17で温水13aを得ることなどに利用される。
燃料電池9が電力8を発生しているあいだ、温水13が燃料電池9から排出されるので、この温水13を貯湯槽18に一旦貯留している。給湯器17で温められた温水13aも、貯湯槽18に一旦貯留される。貯湯槽18の温水は、浴室や台所などで温水13bとして使用される。
こうして、燃料電池9から排出された温水13を浴室や台所などで任意の時に使用することができる。通常、燃料電池9から排出された温水13の量は、給湯器17で供給される温水13aの量と比べて少ないので、貯湯槽18に貯留されている温水の量や温度は、給湯器17から供給される温水13aの量や温度により制御すればよい。
【0014】
図2に示す集合住宅1aでは、各住戸3には、水素ガス配管12と商用電力14用の電線15とが接続されているが、都市ガス用配管は接続されていない。燃料電池9から排出される温水13は、貯湯槽18に一旦貯留されたのち電気温水器20で温められ、浴槽や台所などで温水13bとして使用される。
燃料電池9で発電された電力8は、電線15を介して電気温水器20に供給されて温水13を温め、また、個別電力消費部としてのIHヒーター(電磁調理器)21に供給されて調理が行われる。
この集合住宅1aでは、共用部2から各住戸3までの都市ガス用配管が不要なので、配管工事を簡略化することができ、利便性がよく且つ安全性が高い「オール電化住宅」にすることができる。
通常、オール電化住宅は、ピーク電力需要が大きいので電力基本料金も高くなりがちであるが、燃料電池装置5で発電する電力を使用するので、不足分の電力に関するピーク電力が小さくなる。したがって、不足分の電力のみを電力会社から購入すればよいので、電力基本料金が安価である。
【0015】
図1ないし図3において、各集合住宅1,1aの総戸数はn戸とする。図3(A),(B),(C)には、それぞれ、住戸1における水素必要量30,住戸2における水素必要量30a,住戸nにおける水素必要量30nの、各経時的変化(ある一日における経時的変化)を示している。図3(A)〜(C)において、横軸は時間、縦軸は各住戸の水素必要量を示している。
集合住宅1,1aにおける燃料電池装置5では、各住戸3で経時的に変化する電力需要に見合って経時的に変化する水素必要量30,30a,・・・,30nが集合住宅全体のn戸分合成されると、集合住宅1,1a全体で経時的に変化する合計必要水素量31となり、改質器7は、この合計必要水素量31の経時的変化にほぼ追従して水素ガス6を生成することができる。なお、電力需要や水素必要量30,30a,・・・,30nの各経時的変化は、生活の状況,季節などにより毎日変化するものである。
【0016】
住戸1における水素必要量30の経時的変化は、住戸1で経時的に変化する電力需要をまかなうためにこれに見合った曲線になっている。住戸2における水素必要量30aの経時的変化は、住戸2で経時的に変化する電力需要をまかなうためにこれに見合った曲線になっている。さらに、住戸nにおける水素必要量30nの経時的変化は、住戸nで経時的に変化する電力需要をまかなうためにこれに見合った曲線になっている。
住戸1,住戸2,・・・,住戸nなどn戸の住戸におけるそれぞれの最大水素必要量Hは、住戸ごとにその値や最大水素必要量Hの発生する時刻は異なっている場合が多い。
また、消費電力の比較的大きい照明器具や家庭用電気機器などのスイッチがオン,オフされると電力需要が急激に変化するので、各住戸における水素必要量30,30a,・・・,30nも急激に経時変化している。
【0017】
集合住宅1,1aにおける全戸の水素必要量30,30a,・・・,30nが合成されると、図3(D)に示すように、集合住宅1,1a全体で経時的に変化する合計必要水素量31となる。図3(D)の横軸は時間、縦軸はn戸分の合計必要水素量を示している。
合計必要水素量31は、集合住宅全体における電力需要曲線に見合って経時的に変化するなだらかな曲線になっている。これは、たとえば、消費電力の大きい個別電力消費部としての家庭用電気機器(たとえば、エアコン)のスイッチを全ての住戸で一斉にオン,オフするわけではないので、各住戸の電力需要を集合住宅全体で合成して重ね合わせると、集合住宅全体における電力需要の変動は縮小されるからである。
集合住宅全体での電力需要曲線に見合った合計必要水素量31は、そのなだらかな曲線に示すようにゆっくりと経時変化しており、ある時刻で最大水素必要量Haとなる。
【0018】
改質器7で生成される実際の水素供給量の経時的変化が、曲線32で表されている。この実際の水素供給量32は、燃料電池9で発電される発電量をまかなうためにこれに見合った量であり、改質器7は、合計必要水素量31の経時的変化にほぼ追従して水素ガス6を生成している。
すなわち、合計必要水素量31は、各住戸3における経時的に急激に変化する水素必要量30,30a,・・・,30nが集合住宅全体で合成されているので、合計必要水素量31の変動は緩やかである。
改質器7の反応速度が遅いので、改質器7による実際の水素供給量32は、合計必要水素量31の経時的変化に完全に追従することはできないが、若干の時間的遅れはあるものの合計必要水素量31の緩やかな経時的変化にほぼ追従することができる。その結果、改質器7の能力H0としてはこの最大水素必要量Haになるべく近い能力の改質器7を選定することができる。
【0019】
電力需要曲線に見合った合計必要水素量31の曲線と、実際の水素供給量32の曲線とにより囲まれた部分33が、改質器7の反応の遅れにより水素供給量が不足している部分であり、電力会社から購入する電力量に相当している。この水素の不足量は従来と比べて極めて少ないので、各住戸3における電力需要の大部分を燃料電池9で発電することができる。
このようにして、住戸ごとの電力需要を集合住宅全体で合成することにより、集合住宅全体における電力需要の変動が縮小されるので、改質器7の稼働率が向上する。
また、各住戸3の電力需要に見合った能力の燃料電池9の導入と発電制御が可能になる。これは、燃料電池9を改質器7とは分離したので、改質器7の能力に制限されることなく、燃料電池9のみの制御で発電量を制御できるからである。その結果、電力需要の大きい住戸には能力の大きい燃料電池9を設置し、電力需要の少ない住戸には小さい能力の燃料電池9を設置するというように、住戸ごとに最適な能力の燃料電池9を選定することができる。また、電力会社から購入する電力が小さくて済むので、各住戸3における電力基本料金を安価にすることができる。
【0020】
図4に示すように、公共の水素ガスを供給するインフラが将来的に整備されると、このインフラが整備された時点で、共用部2に設置されている改質器7を撤去するだけで、公共の水素ガス34を利用できる態勢に速やかに移行することができる。これは、改質器7と燃料電池9とを分離して、共用部2に設置された改質器7から各住戸3まで既に水素ガス配管12が設置されているからである。
このように、公共の水素ガス34の利用に移行する場合でも、各住戸3での変更工事は不要である。
【0021】
上述のように、本発明では改質器7を共用部2に設置したので、各住戸3における改質器の設置スペースが不要になり、各住戸の占有面積を拡大することが可能であり、能力の大きな改質器7を選定することができる。改質器7を住戸内に設置しないので、個別ユーザの要望に応じて、各住戸3ごとに異なる能力,サイズなど任意の燃料電池9を設置することができる。
燃料電池装置5による発電能力を最大限利用することができるので、電力会社から購入する電力量を低減して、各住戸における電力コストの低減効果を十分に発揮することができる。二酸化炭素排出量の少ない燃料電池装置5の利点を最大限に発揮できるので、地球全体としての二酸化炭素の排出量を低減することができる。
各住戸における水素必要量30,30a,・・・,30nを集合住宅全体で合成して合計必要水素量31としたので、経時的に異なる変化をする複数のデータの重ね合わせのメリットが発揮される。したがって、各住戸ごとに改質器を設置してこれを合計した場合と比べて、本発明の改質器7は全体として小型化することができる。
合計必要水素量31の経時的変化の曲線がなだらかなので、燃料電池装置5を合計必要水素量31のゆっくりした変化に追従させて、スムースな発電制御を行うことができる。
【0022】
共用部2から各住戸3までの温水または蒸気用保温配管を設ける必要がないので、温水または蒸気用の付帯設備(たとえば、温水メータ,熱交換機など)を設ける必要がない。
温水13を排出する燃料電池9が各住戸3にあるので、燃料電池9から浴室,台所までの距離が短くてすみ、温水13が流れるあいだの熱量損失が少なくて効率がよい。
なお、集合住宅では、全戸に燃料電池9を設置する場合を示したが、必ずしも全戸でなくてもよく、燃料電池を設置しない住戸がある場合でもよい。
以上、本発明の実施形態(変形例を含む)を説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲で種々の変形,付加などが可能である。
なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0023】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したので、建物の各住戸における電力需要の大部分を燃料電池で発電することができ、共用部から各住戸までの温水または蒸気用保温配管を設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1ないし図4は本発明の実施形態の一例を示す図で、図1は建物用燃料電池装置を含むブロック図である。
【図2】本実施形態の変形例にかかる建物用燃料電池装置を含むブロック図である。
【図3】本発明における水素必要量などの経時的変化を示すグラフである。
【図4】水素ガスのインフラが整備された後における建物用燃料電池装置を含むブロック図である。
【図5】従来の建物用燃料電池装置を含むブロック図である。
【図6】前記従来技術における水素必要量などの経時的変化を示すグラフである。
【図7】他の従来の建物用燃料電池装置を含むブロック図である。
【符号の説明】
1,1a 集合住宅(建物)
2 共用部
3 住戸(専用部)
4 都市ガス(各種燃料)
5 建物用燃料電池装置
6 水素ガス
7 改質器
8 電力
9 燃料電池
10 インバータ
12 水素ガス配管
13 温水
14 商用電力
15 電線
16 都市ガス用配管
21 IHヒーター(個別電力消費部)
30,30a,30n 水素必要量
31 合計必要水素量
Claims (5)
- 内部に共用部と複数の専用部とを有する建物に設けられ、改質器,水素ガス配管および燃料電池を有し、燃料電池で電力を発生させてこの電力を各専用部に供給するための建物用燃料電池装置であって、
共同で利用する共用部に改質器を設置し、改質器とは分離して燃料電池を個別電力消費部の近傍に設置し、改質器と燃料電池を水素ガス配管で接続したことを特徴とする建物用燃料電池装置。 - 内部に共用部と複数の専用部とを有する建物に設けられ、燃料電池で電力を発生させてこの電力を各専用部に供給するための建物用燃料電池装置であって、
各種燃料から水素ガスを生成するための改質器を建物の共用部に設置し、改質器で発生した水素ガスを水素ガス配管で共用部から各専用部に供給し、水素ガス配管を流れた水素ガスから電力を発生させる燃料電池を改質器とは分離して各専用部ごとに設置し、燃料電池で発電される電力と燃料電池から排出される温水とを各専用部で使用可能にしたことを特徴とする建物用燃料電池装置。 - 内部に共用部と複数の専用部とを有する建物に設けられ、燃料電池で電力を発生させてこの電力を各専用部に供給するための建物用燃料電池装置であって、
都市ガスから水素ガスを生成するための改質器を建物の共用部に設置し、改質器で発生した水素ガスを水素ガス配管で共用部から各専用部に供給し、水素ガス配管を流れた水素ガスから電力を発生させる燃料電池を改質器とは分離して各専用部ごとに設置し、燃料電池で発電されインバータで調整される電力と燃料電池から排出される温水とを各専用部で使用可能にしたことを特徴とする建物用燃料電池装置。 - 各専用部で経時的に変化する電力需要に見合って経時的に変化する水素必要量が建物全体で合成されると、建物全体で経時的に変化する合計必要水素量となり、
改質器は合計必要水素量の経時的変化にほぼ追従して水素ガスを生成可能であることを特徴とする請求項1,2または3に記載の建物用燃料電池装置。 - 各専用部には、改質器で発生した水素ガスを供給するための水素ガス配管と商用電力の電線とが接続され、都市ガス用配管は接続されていないことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの項に記載の建物用燃料電池装置。
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