JP4512754B2 - 工程設計支援システム及び工程設計支援方法 - Google Patents

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Description

本発明は、切削加工における工程設計支援システム及び支援方法に関する。
従来、消費者の「価値観の多様化」にともない、生産方式も大量生産から多品種少量生産へと移行し、製品が設計されて、市場に出るまでのリードタイムが極端に短くなってきており、複数の品種を様々な生産量で生産しても採算の合う次世代生産システムの構築が求められている。
切削加工を行う生産分野においては、NC(数値制御)方式の加工方法がフライス盤により初めて行われて以後、殆どの機械加工において採用され、加工工程の自動化、加工部品の高精度化に寄与している。一般的なNC工作機械により行われる機械加工の処理は、その一部を抜き出すと、図24に示すように、工程設計、作業設計、NCプログラム生成、機械加工の順番で進められる。工程設計の段階において、CAM(計算機援用生産)ソフトウェアが、CAD(計算機援用設計)ソフトウェアを用いて設計された製品形状データや製品仕様データを引き継ぎ、加工を特徴付ける領域を抽出し、その加工方法、及び加工順序を決定する。従来、この段階では対話型プログラミングと称して、熟練技能者により加工部位の選択、及びその加工方法と順序の決定が行われている。
次の作業設計の段階において、適切な切削工具や切削条件などが決定され、その出力として、NC工作機械を制御するためのNCプログラムが生成される。切削工具や冶具は、設備情報を一元的に管理するデータベースなどから、また、切削条件は試し削りを行って得た情報や過去の経験則などから、自動的に提案することが可能になっている。最後の機械加工の段階では、NC工作機械がNCプログラムを忠実に解釈・実行し、自動加工が実現され、被削材から所望の仕様を有する製品が得られる。このように、現状の機械加工では、「決定された切削条件からNCプログラムを生成する」、「NCプログラムに忠実に工作機械を制御する」といった個々の機能の自動化が実現されている。機械加工における工程設計及び作業設計(併せて、生産設計)の総合的な自動化は、実加工時間に対する生産設計の割合が大きくなる多品種少量生産に対して強く望まれている。
上述の工程設計において、製品の設計情報から製品生産のために生成する加工情報として、技術データと幾何データがある。技術データは、加工方式、加工箇所、使用工作機械、冶具、工具、及び加工条件などのデータである。幾何データは、生成されたオフセット面、工具と加工物などの干渉チェックを考慮して生成された工具経路、及びこれらを生成するもとデータなどのデータである。これらの加工情報は、CAD/CAMシステムにより各種のモデルに基づいて生成される。
近年、CAMシステムにおいて、製品の設計情報から工程設計に関する情報を自動抽出しやすいように、形状加工作業を特徴付ける領域、すなわち「加工フィーチャ」の概念が使われるようになった。この「加工フィーチャ」は、例えば、一本のドリルであけられる1つの穴、一本のエンドミルで切削される1つのまとまった領域など、1つの工具で加工されるひとまとまりの単位を指す。、図25に、ポケットMF1、穴MF2、ステップMF3を加工フィーチャの例として示す。
製品の設計情報から「加工フィーチャ」を抽出して認識する手法としては、モデル化された製品形状を言語・構文により表現し、それを基に解析する手法や、グラフ表現に基づいて加工フィーチャを抽出する手法、さらにこれらを複合した表現による認識手法などが提案されている。これらは、一般的に加工フィーチャや製品形状への過度の制約が前提となっている。また、多くの場合、加工フィーチャが加工除去領域から認識されずに、製品形状の幾何学的特徴に注目して製品形状から認識されている。
従来、CAMシステムにおいてオペレータが穴、ポケットなどがどこにあるかをグラフィック画面上で指定していたが、上述のような、加工フィーチャの導入により、コンピュータが製品形状を自動的に識別して、製品形状ごとに加工順序や使用工具、それをもとに工具経路などの加工データを作成することが可能となってきている。現状の市販のCAMソフトウェアでは、加工法に適した加工フィーチャの抽出・最適切削条件の決定・加工負荷を考慮した局所的な送り速度の修正などの加工ノウハウと直接的に結び付いた機能の充実に力を注いでいる。
また、加工工程の事例に基づいて加工順序を決めて加工工程を作成するための加工工程設計システムが提案されている。このシステムは、加工順序を決定するための知識を蓄積した知識ベースと、蓄積された知識に基づいて加工工程を作成する加工工程作成手段とを備えている。知識ベースは、各々所定の加工単位に対応する形状である複数の基本部位(これは加工フィーチャと見倣される)の組合せと部位間の配置関係の特徴を加工順序を規定する知識として蓄積している。配置関係の特徴は、分離、近接、接触、交差、接触、入れ子などに分類されている(例えば、特許文献1参照)。
上述の加工工程作成手段は、加工対象品に含まれる基本部位の組合せと部位間の配置関係の特徴を抽出し、知識ベースに蓄積された対応する知識により部位間の加工順序を決定して加工工程を作成する。加工順序の決定は、上述の配置関係の特徴の他、上位置加工から下位置加工へ、大容積加工から小容積加工へなどの一般的な加工の優先順位に基づいて行われる。この加工工程設計システムにおいて、加工工程作成部が、加工工程事例ベースを参照して事例を検索し、取込んだ加工製品設計情報の規定する加工製品と同じ製品事例が存在すれば、この事例に含まれる加工工程が加工工程とされ、類似の部品についての事例が存在していれば、例えば、この事例の加工工程を表示装置に表示して、工程設計者による修正を受け付けた後に、修正された加工工程が加工工程とされる。
また、工程設計者が効率良く製品の加工工程を設計し製品設計者が作成した製品形状データを有効利用するための工程設計支援装置及び方法が提案されている。この工程設計支援装置は、製品の立体的な形状を示す製品形状データを記憶する製品形状データ記憶部と、加工により除去される加工ブロックの立体的な形状を示す加工ブロックデータを各加工工程毎に記憶する加工ブロックデータ記憶部と、製品形状データ及び加工ブロックデータを用いて加工工程各々を経た後の立体的な中間形状を演算する演算部と、演算部にて演算された中間形状を表示する表示部とを備えている(例えば、特許文献2参照)。
特開平10−58280号公報 特開2003−58223号公報
しかしながら、高品位なNCプログラムを自動生成できるような近年のCAMソフトウェアにおいても、工程設計や切削条件の決定は、最終的にオペレータに依存している。さらに、オペレータの有する加工技術の知識の差により加工時間や加工精度に差が生じることがある。従来、熟練技能者が行ってきた、現有設備の環境に適した生産設計(工程設計・作業設計)を自動化することが困難であり、依然として実現していないことによる。
また、NCプログラムが介在する機械加工では、加工中の工作機械の全動作を加工前に予め決定するので、加工中に工具欠損やびびり振動などの切削トラブルが起さないように、NCプログラムが適切かどうか加工前に十分に確認する必要がある。しかし、現状のCAMソフトウェアの加工シミュレーション機能では、実加工での物理現象を十分にシミュレートしているとは言い難く、生成されたNCプログラムを、本来必要のない試し削りなどを行って予め精査する必要がある。実加工段階において、作業者による加工状況の監視と切削トラブルヘの対応や、切削トラブル発生の可能性を極力小さくするため切削条件を不本意に落とす対応が行われている。
機械加工分野において、加工ノウハウに深く関係する工程設計・作業設計は、未だに熟練技能者に強く依存しているのが実情であり、熟練技能者の減少、若者の製造業離れによるノウハウの断絶等により今後益々深刻な問題となることが予想され、品質の低下や納期の遅れを招き国際競争力の大幅な低下に繋がると危惧されている。また、工作機械に加工中の危険回避、加工トラブル後の対応といった機能が備わっていないため、加工現場に加工状況を判断し対応するための作業者が必要不可欠な存在となっており、生産コストの高止まりを引き起こす要因となっている。
さらに、CADシステムで入力された製品形状モデルのデータをそのままCAMシステムに利用して、CAMシステムからの各種要求を満たすことは困難であると考えられる。例えば、CADシステムからCAMシステムへと自動的に受け渡される情報は、一般的に設計者が加工についてあまり考慮しないため形状データが中心である。そこで工程設計に携わる技術者が、加工に関わる情報の入力や、加工の観点から設計モデルを見直すことを行い、製品形状の情報から「加工フィーチャ」を抽出することが必須となる。
一方、従来のCAMシステムは、加工方案を策定することのできるソフトではなく、加工データを出力する道具であって、加工部位に対して適用する加工法の決定を自動化しているだけであり、製品形状のどの部位を加工部位とするかは、工程設計者によって判断されている。そこで、製品形状の種類によっては、複数の加工フィーチャの組合せ候補が考えられる場合も多く、製品に求められる加工内容により、その組合せの最適解が異なってくる。例えば、図26に示す製品3の形状では、加工領域M1を加工し、その後、加工フィーチャM2を加工する場合と、加工フィーチャM3の加工の後、加工フィーチャM4を加工する場合では、加工の順序が変わり、加工フィーチャM2による加工と加工フィーチャM4による加工の仕上り結果が異なる可能性がある。
現実に行われている工程設計では、図26に示した例よりもさらに複雑な製品形状について加工フィーチャの認識を行わなければならず、より多くの選択肢の中から最適な解を選ぶ必要がある。そこで、切削加工に携わる熟練技能者は、図27に示すように、被削材となる素材2の形状データと、切削加工後の製品3の形状データから得られる加工除去領域4のデータをもとに、製品機能を認識し、現有の工作機械や保有工具による切削条件、加工時間を見積もる。このとき、過去に蓄積された技能が反映される。このように、CAMシステムにおける各種条件の最終決定は依然として熟練作業者に依存しているのが現状である。
また、上述の特許文献1に示される加工工程設計システムにおける工程設計では、取込んだ加工製品設計情報の規定する加工製品と同じ場合はともかく、類似の製品や形状の異なる製品については工程設計者の介在が必須要件となっている。
また、上述の特許文献2に示される工程設計支援装置及び方法は、所定の加工段階毎にディスプレイ上に、素材から加工ブロックを加工除去した状態を表示し、工程設計者が、表示された製品の中間形状を見て加工方法や加工に用いる工具の設定、必要となる治具の検討などを行い、次の加工段階の工程に適した形状であるか否かを判断し形状を修正する対話型のものであり、工程設計者の関与を無くすことができない。
本発明は、上記課題を解消するものであって、複数の加工工程案を提示でき、最終的な判断を熟練技能者に頼ることなく、また、特定の工作機械に依存することなく、加工時間や加工コストの観点で最良の工程設計案を選択でき加工作業や生産スケジュールの変動に柔軟に対応できる加工工程の設計が可能な工程設計支援システム及び工程設計支援方法を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために、請求項1の発明は、素材から加工除去領域を切削加工により除去して製品を得るための加工工程設計を支援する工程設計支援システムにおいて、素材形状データと製品形状データから加工除去領域を抽出する除去領域抽出手段と、前記により抽出された加工除去領域を、少なくとも前記加工除去領域が有する平面の延長平面により前記加工除去領域を分割して得られた最小除去領域の集合とする最小分割手段と、前記により分割された個々の最小除去領域を、加工作業の基本単位領域となる加工プリミティブを形成できる条件のもとで共通の分割面を介して互いに順次結合し、これらの加工プリミティブの集合として前記加工除去領域を再構成して加工用再構成除去領域とし、前記最小分割領域を結合する仕方の違いにより加工プリミティブの組合せが異なる複数種類の前記加工用再構成除去領域を得る除去領域再構成手段と、前記それぞれの加工用再構成除去領域内で加工用再構成除去領域を構成する加工プリミティブに加工順序を決定する加工順序決定手段と、前記により加工順序の決定された各加工プリミティブを、加工条件を付帯し形状加工作業を特徴付ける領域として予め複数種類定義した加工フィーチャのいずれかであると認識することにより、前記複数種類の各加工用再構成除去領域毎に各加工プリミティブから成る加工領域、及びその加工領域の加工順序と加工条件を定めて複数の加工工程候補を生成する加工フィーチャ認識手段と、前記により生成された加工工程候補を、少なくとも製品品質条件、工作機械条件、加工コスト条件、又は加工時間条件のいずれかの満足度について評価するとともに満足度に基づいて最適の加工工程を選択する加工工程評価手段と、を備えるものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の工程設計支援システムにおいて、前記最小分割手段は、切削加工に用いる切削工具の主軸に平行な面、及び/又は前記面に垂直な面を分割面として加工除去領域を分割するものである。
請求項3の発明は、請求項1に記載の工程設計支援システムにおいて、前記除去領域再構成手段は、切削加工に用いる切削工具の主軸方向における位置が等しいグループに最小除去領域を層別し、各層毎に最小除去領域を結合して加工プリミティブを形成するものである。
請求項4の発明は、請求項1に記載の工程設計支援システムにおいて、前記加工順序決定手段は、加工工程の進捗に伴って現れるオープンフェイスの数に基づいて、オープンフェイスの数を多く有する加工プリミティブを優先して加工するように加工順序を決定するものである。
請求項5の発明は、請求項1に記載の工程設計支援システムにおいて、前記加工順序決定手段は、円形状の加工プリミティブを円形状以外の加工プリミティブよりも後に加工するように加工順序を決定するものである。
請求項6の発明は、請求項1に記載の工程設計支援システムにおいて、前記加工フィーチャ認識手段は、加工工程の進捗に伴って現れる、加工プリミティブのオープンフェイスの数、稜線の数、及び頂点の数と配置条件を基に加工フィーチャを認識するものである。
請求項7の発明は、請求項1に記載の工程設計支援システムにおいて、前記製品品質条件は、少なくとも製品に対する平面精度、寸法精度、又は面粗さ精度のいずれかを条件として含むものである。
請求項8の発明は、素材から加工除去領域を切削加工により除去して製品を得るための加工工程設計を支援する工程設計支援方法において、素材形状データと製品形状データから加工除去領域を抽出する除去領域抽出工程と、前記工程により抽出された加工除去領域を、少なくとも前記加工除去領域が有する平面の延長平面により前記加工除去領域を分割して得られた最小除去領域の集合とする最小分割工程と、前記工程により分割された個々の最小除去領域を、加工作業の基本単位領域となる加工プリミティブを形成できる条件のもとで共通の分割面を介して互いに順次結合し、これらの加工プリミティブの集合として前記加工除去領域を再構成して加工用再構成除去領域とし、前記最小分割領域を結合する仕方の違いにより加工プリミティブの組合せが異なる複数種類の前記加工用再構成除去領域を得る除去領域再構成工程と、前記それぞれの加工用再構成除去領域内で加工用再構成除去領域を構成する加工プリミティブに加工順序を決定する加工順序決定工程と、前記工程により加工順序の決定された各加工プリミティブを、加工条件を付帯し形状加工作業を特徴付ける領域として予め複数種類定義した加工フィーチャのいずれかであると認識することにより、前記複数種類の各加工用再構成除去領域毎に各加工プリミティブから成る加工領域、及びその加工領域の加工順序と加工条件を定めて複数の加工工程候補を生成する加工フィーチャ認識工程と、前記工程により生成された加工工程候補を、少なくとも製品品質条件、工作機械条件、加工コスト条件、又は加工時間条件のいずれかの満足度について評価するとともに満足度に基づいて最適の加工工程を選択する加工工程評価工程と、を備えるものである。
請求項1の発明によれば、抽出した加工除去領域に対し、最小分割手段による分割と除去領域再構成手段による再構成とにより、加工プリミティブの組合せが異なる複数種類の加工用再構成除去領域を得て、その各加工用再構成除去領域を構成する各加工プリミティブに加工順序決定手段により加工順序を決めるとともに、加工フィーチャ認識手段により各加工プリミティブを加工フィーチャとして認識する処理を行うので、複数の加工工程候補(加工工程案)を生成できる。ここで、「加工プリミティブを加工フィーチャとして認識する」とは、幾何学的な形状情報としての加工プリミティブに、切削加工の観点から切削工具や、切削条件、切削方法などの加工条件(加工情報)を付帯し、加工プリミティブを特定の形状加工作業の対象として設定することである。認識後の観点では、「加工プリミティブに加工フィーチャを割り当てる」、とも表現できる。
また、生成した各加工工程候補を加工工程評価手段により満足度について評価するので、加工フィーチャの異なる組合せの数に相当する加工工程案に基づいて、最終的な判断を熟練技能者に頼ることなく、また、特定の工作機械に依存することなく、加工時間や加工コストの観点で最良の工程設計案を選択することが可能となる。すなわち、従来難しかった熟練作業者のノウハウを取り入れた工程設計の自動化が可能となる。
また、本発明のシステムを本願発明者らが開発した仮想倣い加工システム(「NCプログラムを必要としない機械加工のための仮想倣い加工システムの開発」日本機械学会論文集(C)、66巻644号、(2000−4)、PP.1368−1373)と統合することにより、予めNCプログラムを用意することなく、生産スケジュールの変化に動的に対応することが可能となる。
請求項2の発明によれば、切削加工において最も汎用性が広く3次元の切削加工が容易に行えるフライス盤による転削加工に適した分割面により加工除去領域を分割するので、実加工に適した加工工程案を生成することができる。
請求項3の発明によれば、通常の切削加工が上層から下層に向けて加工除去領域を切削除去しながら行われることに即して、切削工具の主軸方向における位置が等しいグループに最小除去領域を層別し、各層毎に最小除去領域を結合して加工プリミティブを形成するので、効率的な加工工程案を生成できる。すなわち、実際の切削加工において、切削条件が厳しく非効率となる深さ方向に長い加工フィーチャを回避できる。
請求項4の発明によれば、オープンフェイスを多く有する加工プリミティブに対し、切削工具が接近乃至離脱することが容易であるので、効率的な加工工程案を生成できる。
請求項5の発明によれば、例えばドリルによる穴は、切削加工を上方から行う場合、通常、加工除去領域の最下層から下方に突出した状態で存在しており、円形状加工プリミティブの加工順番を後にすることにより、自然な加工工程案が得られる。
請求項6の発明によれば、例えば、直方体形状のポケット、段差、溝などの加工プリミティブに対し、容易に加工フィーチャを認識することができる。
請求項7の発明によれば、加工の立場から加工プリミティブを特徴付けた加工フィーチャに対し、設計の立場、すなわち製品性能の立場から加工プリミティブを特徴付けた機能フィーチャである、平面精度、寸法精度、又は面粗さ精度を製品品質条件として加工工程候補を評価するので、従来難しかった熟練作業者のノウハウを取り入れた工程設計の自動化が可能となる。
請求項8の発明によれば、上述した効果を奏することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る工程設計支援システム及び方法について、図面を参照して説明する。図1は、工程設計支援システム1のブロック構成を示す。工程設計支援システム1は、被削材である素材から加工除去領域を切削加工により除去して製品を得るための加工工程の設計作業を支援するシステムであり、CPU(中央処理装置)を備えた中央制御手段10、表示装置や入力装置などを備えた入出力手段17、メモリや外部記憶装置を備えた記憶手段18などの一般的な構成を備えた、一般的な電子計算機上のプロセス又は機能の集合として構成される。
工程設計支援システム1は、素材形状データ及び製品形状データから加工除去領域を抽出する除去領域抽出手段11と、加工除去領域を分割して最小除去領域の集合とする最小分割手段12と、最小分割領域を結合して形成した加工作業の基本単位領域となる加工プリミティブの集合として加工除去領域を再構成して複数種類の加工用再構成除去領域を形成する除去領域再構成手段13と、各加工用再構成除去領域内で各加工プリミティブに加工順序を決定する加工順序決定手段14と、各加工プリミティブに加工フィーチャを割り当てて加工条件を付帯することにより複数種類の加工用再構成除去領域をそれぞれ加工工程候補とする加工フィーチャ認識手段15と、各加工工程候補を所定の満足度について評価して最適の加工工程を選択する加工工程評価手段16と、を備えている。
次に、図2を参照して、上記各手段を用いて本発明に係る工程設計支援方法を適用した工程設計処理の流れを説明する。まず除去領域抽出工程S1において、素材形状データと製品形状データから加工除去領域を抽出する。続く最小分割工程S2において、前記工程により抽出された加工除去領域を、少なくとも加工除去領域が有する平面の延長平面を分割面として分割して得られた最小除去領域の集合とする。
続く除去領域再構成工程S3において、前記工程により分割された個々の最小除去領域を、加工作業の基本単位領域となる加工プリミティブを形成できる条件のもとで共通の分割面を介して互いに順次結合し、結合できなかった最小分割領域は単独の加工プリミティブとし、これらの加工プリミティブの集合として加工除去領域を再構成して加工用再構成除去領域とする。このとき、最小分割領域を結合する仕方の違いにより加工プリミティブの組合せが異なる複数種類の加工用再構成除去領域が得られる。
続く加工順序決定工程S4において、それぞれの加工用再構成除去領域内で各加工用再構成除去領域を構成する各加工プリミティブに加工順序を決定する。このとき、各加工プリミティブの組合せに対して通常1通りの加工順序が決定される。但し、必要に応じて複数の加工順序を1つの加工プリミティブの組合せに対して設定してもよい。
続く加工フィーチャ認識工程S5において、前記工程により加工順序の決定された各加工プリミティブを、予め複数種類定義した加工フィーチャのいずれかであると認識する処理を行う。この認識処理により、幾何学的な形状情報としての加工プリミティブに、加工条件(加工情報)を付帯し、加工プリミティブを特定の形状加工作業の対象として設定することができる。つまり、この段階において、加工プリミティブをNC制御(数値制御)加工機により自動加工するためのNCプログラムが自動的に生成される状態になっている。以上に述べた工程処理により、複数種類の各加工用再構成除去領域毎に各加工プリミティブから成る加工領域、及びその加工領域の加工順序と加工条件が定められ、複数種類の加工用再構成除去領域のそれぞれが加工工程候補として生成される。
続く加工工程評価工程S6において、前記工程により生成された加工工程候補を、少なくとも製品品質条件、工作機械条件、加工コスト条件、又は加工時間条件のいずれかの満足度について評価するとともに満足度に基づいて最適の加工工程を選択する。このように、本発明の工程設計支援システム及び方法は、複数の加工工程候補(加工工程案)を提示でき、最終的な判断を熟練技能者に頼ることなく、また、特定の工作機械に依存することなく、加工時間や加工コストの観点で最良の工程設計案を選択でき、加工作業や生産スケジュールの変動に柔軟に対応できる加工工程の設計が可能である。
次に、工程設計支援システム及び方法を、素材形状と製品形状から加工フィーチャを認識して加工工程候補を生成するまでの工程について、具体例により詳細説明する。得られた複数の加工フィーチャの組合せ(加工工程候補)の中から適切な組合せを選択する評価方法については、その後に述べる。
(加工除去領域の抽出)
図3は切削加工処理の対象となる素材(被削材)2、製品3、及び加工除去領域4の例を示し、図4は加工除去領域の被削材形状に対する依存性を示す。加工除去領域4の抽出は、素材2の形状データと製品3の形状データを用いた差演算により行われれる。この差演算処理は、元来CADソフトウェアに備わっている機能を用いて容易に実現可能である。製品3の形状モデルをP、素材2の形状モデルをW、抽出される加工除去領域4の形状モデルをTRV(Total Removal Volume)と表すと、これらの関係は、TRV=W−P、となる。なお、図3に示した加工除去領域4は、直方体と円柱、及びドーム状の自由曲面FRにより構成された例を示しているが、より一般的な形状の加工除去領域についても、ここに示した加工除去領域の抽出処理、及び以下に示すそれぞれの処理が同様に可能である。また、図3に示した素材2、製品3、及び加工除去領域4が以下の説明において適宜参照される。
このような加工除去領域4を加工フィーチャの認識に用いることにより、製品3の形状モデルから加工フィーチャを認識する場合に発生する「実加工により除去すべき領域が不明確である」という問題を回避することができる。また、実加工中において、進捗状況に合わせて素材2の形状モデルWを逐次更新していくことにより、切削加工トラブルの発生後などのように、再度工程設計を行う必要がある場合に、加工の途中形状を素材形状と見なすことにより、削り残された加工除去領域を抽出して即座に加工フィーチャの認識と工程設計をして、生産スケジュールの変化に動的に対応することが可能となる。
また、図4に示すように、加工除去領域は、同じ製品形状を得る場合であっても加工工程が異なる要因となる素材形状の情報を有する概念である。従って、製品形状から加工フィーチャを認識する場合の「素材形状が考慮されておらず、認識結果が実作業にすぐに結びつかない」という問題を回避できる。図4において、素材2Aは素材2よりも上下方向の厚みが薄く、また素材2Bは素材2よりも横方向の幅が広い素材であり、それぞれの素材に対応して、加工除去領域4Aは上部の加工領域が少なく、加工除去領域4Bは横に除去領域が追加されたものになっている。
(加工除去領域の最小分割)
図5は、抽出された加工除去領域を分割する様子を示す。図5(a)は、図3に示した素材2と製品3をもとに抽出された加工除去領域4である。この加工除去領域4のように直交する平面や円柱軸を有するものは、各構成面や軸を図中に示した座標軸X,Y,Zに平行になるように配置される。ここで、座標軸Zは切削加工機、例えばフライス盤における切削工具を回転させながら上下に昇降するヘッドの主軸であり、座標軸X,Yはフライス盤におけるテーブル及びサドルの水平面内の移動方向である。以下において、この配置の座標軸X,Y,Zが参照される。
このように配置された加工除去領域4は、図5(b)に示すように、加工除去領域が有する平面の延長平面により分割(最小分割)され、分割して得られた最小除去領域の集合4aとされる。このように、加工除去領域自身の延長面でこれ以上分割される可能性のない領域が最小除去領域となる。
(加工除去領域の再構成)
最小分割で得られた最小除去領域を結合していくことで、加工作業の基本単位である加工プリミティブを形成し、これらの加工プリミティブの集合として加工除去領域を再構成する。再構成された加工除去領域を加工用再構成除去領域と呼ぶ。最小分割領域を結合する仕方の違いにより加工プリミティブの組合せが異なる複数種類の加工用再構成除去領域が得られる。言い換えると、「加工除去領域を加工プリミティブに分割したところ、その分割の仕方の違いにより複数種類の分割された加工除去領域、すなわち加工用再構成除去領域が得られた」、ということになる。
図6は、最小除去領域の結合手順の概要を示す。まず、最小分割した加工除去領域のデータが入力され(S11)、Z軸座標値の等しい最小除去領域が集められる(S12)。結合処理は、このように切削加工に用いる切削工具の主軸方向における位置(座標軸Zの座標値)が等しいグループに最小除去領域を層別することから行われる。続いて、層別した最小除去領域に識別番号(ID)を付ける(S13)。そして、後述するように各層毎に最小除去領域をIDで管理しながら結合処理して加工プリミティブを形成する(S14)。このような処理を全ての層別について行う(S15)。
図7は、Z軸方向について層別して最小分割した加工除去領域を示す。最小除去領域の結合処理の例を説明する。ここに示す加工除去領域は、前出の図5(b)に示したものであり、最小除去領域の集合4aは、Z軸方向において3層構成となっている。そこで、図7は、それぞれ上層から下層に向けて第1層L1、第2層L2、第3層L4に層別した、層別加工除去領域41、42、43と層別された最小除去領域の集合41a,42a,43aを示している。
層別された最小除去領域を、各層内で結合する方法を説明する。結合は各層内で行われるため2次元(XY平面内)の結合を考えればよい。結合の結果得られる加工プリミティブは、加工作業の基本単位領域であり、実加工に直接結びつく加工領域であるので、後述する加工フィーチャの形状に合致する形状に形成しなければならない。そこで、図3に示した製品の場合、加工プリミティブは直方体か円柱となる。直方体の加工プリミティブを形成する場合、共通の分割面を介して最小除去領域を結合していけばよい。結合の結果、結合面に直交する位置に形成された面積の大きな分割面が新たな分割面とされ、その中に含まれていた小面積の分割面は結合後には無視され、共通の分割面とは成り得ないものとする。
前述のステップS13,S14について詳述する。同じ層別内の各最小除去領域にそれぞれの幾何学的な位置とは無関係に識別番号(ID)を付与し、また、最小除去領域の有する各面に属性として付与していく。これらのIDは、コンピュータプログラムにおける配列データと1対1に対応づけられる。IDの付与された最小除去領域群とID配列をもとに結合処理を行う。結合処理は以下のルール(1)〜(3)に従って行われる。
(1)n個の最小除去領域に対して総当りで結合チェックを行う。すなわち、組合せの数回の結合チェックを行う。
(2)結合した後に加工フィーチャとして認識できる形である場合のみ、すなわち直方体又は円柱となる場合のみ結合する。但し、本発明はこのような場合に限定するものではない。
(3)全てのID配列において結合可能な領域が無くなれば結合処理終了とする。
図8は、上述のルールのもとで、5ヶの矩形の最小除去領域からなる加工除去領域を、結合の段階R1,R2,R3,Rnと進めて、加工除去領域を再構成する様子を示す。段階R2では2ヶの最小除去領域の結合が行われ、段階R3では2ヶずつ、及び3ヶの最小除去領域の結合が行われている。段階Rnでは全ての最小除去領域に対して結合が行われて結合処理が終了している。この段階RnのときのID配列をもとに各加工プリミティブの組合せが出力される。
図9は、上述の結合ルール(アルゴリズム)に従い、結合処理を行う際の処理フローを示す。このフローでは、最小除去領域の結合状態が同じものが現れた場合(図8参照)、これを削除することで計算負荷を軽減させている。
図10は、図7(b)に示した最小除去領域の集合42aを結合処理して形成される複数の結合の組合せ例を示す。2つの領域における2パターンと9パターンの加工プリミティブの組合せによる18パターンの組合せからなる加工用再構成除去領域が、最小除去領域の結合処理によって得られることが分かる。ここで得られた加工プリミティブから加工フィーチャを認識することで、従来考慮されなかった加工フィーチャの選択的な認識が可能となる。つまり、複数の選択肢を持った状態で作業設計に望むことができることになる。これにより、製品形状の幾何学的な条件のみならず工作機械や工具といった現有設備をも考慮に入れたフレキシブルな生産設計の実現に大きく寄与することができる。例えば、同一平面上に面精度の違う面が存在する場合や、加工する工作機等が変わり保有工具が変わった場合にも対応することが可能になる。
(加工順序の決定)
加工除去領域を最小分割し、再結合することで得られた加工プリミティブは、それぞれ加工を遂行するための加工順序が決定される。加工順序は、例えば以下のルール(1)〜(5)により決定することができる。ここで、オープンフェイス(Open Face)とは、加工プリミティブの面であって大気に触れているものを指す。一般に、オープンフェイスの数が多くなると、工具の接近が容易となり、使用可能な工具への制約も緩くなるため、加工が比較的容易な加工プリミティブとなる。
(1)加工プリミティブのZレベル(Z座標値)の大きい順、つまり上方に存在している加工プリミティブから加工する。
(2)同じZレベルである場合は、体積の大きい加工プリミティブから加工する。
(3)体積も同じ場合は、オープンフェイスの多い加工プリミティブから加工する。
(4)上述のルールにより加工順序が決定できない場合は、中心に近い加工プリミティブから順に加工する。
(5)円柱形状の加工プリミティブは最後に加工する。
図11は、これらのルールに基づく加工順序決定の処理フローを示す。また、図12は、図3に示した製品3を得るための切削加工順序の決定例を示す。
加工順序が決定された各加工プリミティブは、加工フィーチャを認識するため、それぞれオープンフェイスの情報が更新される。加工順序が決定された段階では、加工開始段階で外気に触れている面、すなわち当初の加工除去領域におけるオープンフェイスだけがオープンフェイスと定義されている。ところで、切削加工処理が進行すると、新たに外気に触れる面が現れるので、このような面にもオープンフェイスとして属性を付与する。
図13は、加工工程の進捗に伴って現れるオープンフェイスの例を示す。加工順序2番目の加工プリミティブP2が加工されることにより、それに隣接する加工順序4番目、5番目、9番目の加工プリミティブP4,P5,P9の面が新たにオープンフェイスOF1,OF2,OF3として認識される。このように、オープンフェイス数の再認識を行うことにより、オープンフェイス数を参照して認識される加工フィーチャが加工進行段階も加味した現実的なものとなる。またオープンフェイスの情報から、加工プリミティブに対する工具の接近や回避の方向が明示されるので、この情報は工程設計に引き続き行われる作業設計段階においても有用な情報源となる。
(加工フィーチャの認識)
オープンフェイス数が認識又は再認識された加工プリミティブは、加工プリミティブの有するオープンフェイス数と稜線及び頂点の情報を基に、加工フィーチャとして認識される。図14は、加工フィーチャの代表例と、そのオープンフェイス数の関係を示す。オープンフェイス数が同じ3である開ポケットと開溝は、3つのオープンフェイスの共有頂点が開ポケットにあり、開溝にはないことから区別される。加工プリミティブから加工フィーチャを認識する処理フローを、図15に示す。
前出の図12に示した各加工プリミティブP1〜P11は、上述したように、加工順序決定後の各加工段階においてオープンフェイス数を再認識され、これにより加工プリミティブから認識される加工フィーチャはより現実的なものとなる。このようにして再認識した各加工プリミティブP1〜P11の加工フィーチャを表1に示す。加工フィーチャ認識の材料は、各加工プリミティブの面における円の有無、自由曲面の有無、オープンフェイスの数と共有頂点の数である。
Figure 0004512754
以上の、加工除去領域の分割再構成から加工フィーチャの認識までの工程により、複数の加工フィーチャの組合せからなる複数の加工工程候補が生成される。次に、これらの加工工程候補の中から適切な組合せを選択する評価方法について述べる。
(製品機能と加工時間に着目した加工工程候補の評価)
上述したように、工程設計支援システム及び方法により、製品形状と素材形状から複数の加工フィーチャの組合せ(加工工程候補)を得ることができ、その候補が幅広い選択肢を有するので、実際の加工作業において工作機械の現有設備にあわせた作業設計が可能となる。実際に加工に移るには、ここで得られた複数の選択肢の中から適切な加工フィーチャの組合せを選択しなければならない。熟練作業者は製品形状(製品図面)だけでなく、加工環境や製品機能までも考慮に入れた上で適切な加工フィーチャの組合せを認識している。上述の工程設計支援システム及び方法で得られた複数の加工フィーチャの組合せは、幾何的な加工形状のみに着目した上で得たものであり、「製品機能」及び「加工時間」を評価項目として、熟練作業者の思考(ノウハウ)を取り入れた工程設計とする手法について以下に説明する。
(製品機能に着目した評価手法)
製品形状と設計意図との関連について説明する。設計者が設計を行う場合、設計対象物が何故そのように設計されたのかという情報である設計意図が存在する。設計意図は、設計対象物の属性が定義されたとき、何故そのような属性項目を考え、何故そのような属性値が与えられたのかという情報である。設計対象物の属性は設計対象モデルによって管理されているため、これらは設計対象物モデルのモデリングシステムに対して行った操作に対する理由と考えることができる。幾何形状モデルのモデリングシステムに対して機械部品の形状を決定する場合、このときの操作は設計者の設計意図と深い関連があり、また設計意図により機械部品の形状が決定されていく。このように、機械部品の設計において設計者は部品形状の決定を行うが、部品形状の中には穴や溝などといった部品として特徴的な形状が設計者の意図により設計されることがある。幾何形状における、このような形状の一部分で特徴のあるような形状を形状特徴と称する。
また、設計者は設計する機械部品に設計意図を満足するような機能を期待しているが、この機能は機械部品の形状あるいは形状特徴に依存することが多い。形状特徴に機能が期待されているとき、その機能と形状特徴を構成する形状要素をグルーピングしたものを機能形状と呼ぶ。すなわち、機能形状とは設計者の設計意図を伝達するための形状特徴ということができる。機能形状の例として、部品の位置決めを行うという機能形状、直線運動を案内するという機能形状、部品を固定するという機能形状などがあげられる。
CADシステムにおいて決定された幾何形状情報のみでは、設計者の設計意図を把握することは、通常困難である。しかし、CADシステムに設計対象物の幾何形状特徴とその形状の果たすべき機能との関係を機能形状として記述することにより、設計者の意図は明白に保存されることになる。これにより、機能形状は自身の形状の設計意図を伝達することが可能になり、加工時において設計者の意図を十分に反映することができる。これにより、異なる設計者間で行われる修正設計などにおいて非常に有効な情報となり、円滑なコミュニケーションを支援することにもなる。修正により機能形状の機能が損なわれる可能性を監視することも可能となる。このように、設計者が製品を設計する際には、製品の機能・目的を考慮に入れた上で設計を行うため、製品形状と設計意図には密接な関連があることが分かる。
具体的な設計意図については、製品形状の存在する意味を示す「要求機能」や製品形状の幾何偏差や寸法公差などのように製品や部品の幾何的性質に情報を示す「精度情報」などがある。機械における基本的な「要求機能」は、表2に示すように7つに分類される。
Figure 0004512754
後者の「精度情報」は、製品全体というよりも製品に含まれる形状要素や形状特徴を対象とし、またそれらの理想的な形状や位置の情報を必要とするため、他の技術情報に比べて幾何形状情報との関連が深い。精度情報は、幾何偏差・表面粗さ・寸法公差・角度交差・はめあい等に分類される。このように、設計者は様々な項目を考慮して製品に機能を持たせるための製品形状を設計する。このような形状に関する情報を設計情報に付加することにより、第三者の設計者がこれらの情報を有効に利用して設計作業を進めることができる。また、製品設計者が、このような情報を付加した状態で設計情報を生産設計者に渡すことにより、生産設計者が、製品設計者の意図を読み取り、真の要求を満たす製品を作る効率が向上すると考えられる。
上述の背景のもとで、機能フィーチャの概念を導入する。機能フィーチャは、「設計者の設計意図を実現するためのひとつのまとまった加工領域」と定義される。本システムでは、加工除去領域から「加工フィーチャ」を認識しているため、「機能フィーチャ」は、設計意図を実現するための加工除去領域中の一部領域となる。製品形状は、設計意図と密接に結び付いて設計されているため、加工の際には生産設計者が設計意図を考慮する必要がある。熟練作業者は、CAD情報や設計図から、今まで培ったノウハウに従い設計意図を読み取ることができが、製品形状のみから設計意図を汲み取ることは通常、困難であり、熟練作業者の存在が不可欠となる。熟練作業者に依存した状況を打破することで生産設計の自動化が実現される。そこで「機能フィーチャ」という概念を用いることで、熟練作業者のノウハウを取り入れた工程設計の自動化が可能となる。
「機能フィーチャ」が設計による機能の立場により特徴を表す概念であるのに対し、「加工フィーチャ」は加工の立場により特徴を表す概念である。ある1つの形状を表現するとき、機能に基づく理解と加工に基づく理解とでは異なる場合が存在する。形状を加工形状として捉えるには、その形状がどのような機能を持ち合わせて設計されたかを把握する必要がある。加工フィーチャと機能フィーチャは不可分であり、加工の結果得られた形状は機能を満たしていなければならない。加工除去領域に対して加工フィーチャの組合せが複数存在する場合、設計段階で要求された機能を発揮できる組合せを選択しなければならない。加工形状が機能を満たすために、機能フィーチャと加工フィーチャを同時に考慮することが不可欠である。以下において、機能フィーチャの例を説明する。
(平面度に関する機能フィーチャ)
平面度とは、製品形状の平面形状がいかに幾何学的に正しい平面に近いか、を表す度合いである。工作機械の被削材設置面が幾何学的に正しい平面であり、かつ、切削工具がこの接地面に平行な面内で走査されるとする。製品形状の中で特定平面の平面度を高くしたい、すなわち、より正しい平面にしたい場合、工具を交換することなく、1つの工具を走査して、その平面を含む領域を加工することが望ましい。
例えば、図16(a)に示す製品3において、平面度を高くしたいという情報が、溝を越えて離れている平面SF1,SF2に付与されている場合を想定する。平面SF1,SF2に対応する平面を含む(分割された)加工除去領域を「平面度の機能フィーチャ」と定義する。平面度を高くしたいという情報は、本工程設計支援システムにおいて、図16(b)に示す加工除去領域4aの最小除去領域p2,p4に継承される。そこで、最小除去領域p1,p2,p3,p4のいずれかを互いに結合した複数種類の組合せの加工プリミティブに対して加工フィーチャを認識した場合、本システムにおける加工工程評価手段は、複数の加工フィーチャの中から、図16(c)に示すように、平面SF1,SF2に対応する面を含む加工フィーチャ、すなわち機能フィーチャFFを選択する。機能フィーチャFFは、1つの工具で加工される加工除去領域であるので、面SF1,SF2について所望の平面度を得ることができる。
(寸法定義に関する機能フィーチャ)
寸法公差とは、製品形状における寸法誤差の許容上限である。許容寸法誤差の小さい稜線を含む領域は、1つの工具でまとまった領域として加工することが望ましい。例えば、図17(a)に示す製品3において、稜線A,B,Cに寸法情報a,b,cが付与されている場合、その情報は、図17(b)に示す加工除去領域4aの最小除去領域p1,p2、最小除去領域p3、最小除去領域p4,p5へと継承される。加工除去領域において、その稜線を含む領域を「寸法定義の機能フィーチャ」と定義する。この加工除去領域から複数の加工フィーチャの組合せを認識した場合、加工工程評価手段は、複数の加工フィーチャの中から、図17(c)に示すように、加工フィーチャ、すなわち機能フィーチャFF1,FF2,FF3の組合せパターンを選択する。
(表面粗さに関する機能フィーチャ)
表面粗さは、例えば製品形状の表面からランダムに抜き取った各領域における中心線平均粗さRaで定義される。同一平面上に表面粗さの違う領域が存在する場合は、同じ表面粗さの平面を含む領域ごとに加工することが望ましい。例えば、図18(a)に示す製品3において、表面SF3に表面粗さの要求が特に高い面であるとの情報が付与されている場合、その情報は、図18(b)に示す加工除去領域4aの最小除去領域p1,p2へと継承される。加工除去領域において、その平面を含む領域を「表面粗さの機能フィーチャ」と定義する。この加工除去領域から複数の加工フィーチャの組合せを認識した場合、加工工程評価手段は、複数の加工フィーチャの中から、図18(c)に示すように、加工フィーチャ、すなわち機能フィーチャFFの組合せパターンを選択する。
(同軸度に関する機能フィーチャ)
図19に示すような製品3の形状は、1本の丸軸6が、貫通孔C1,C2通るように設計されているものとする。1本の丸軸6を通すという機能を果たすためには、この2つの貫通孔C1,C2に所定精度の同軸度が要求される。この貫通孔C1,C2に対応する加工除去領域を「同軸度の機能フィーチャ」と定義する。このような同軸の穴加工を行う場合、1つの工具で一度に加工することが望ましい。このように同軸度の機能フィーチャを認識した場合、工具長や加工順序への制約条件が加わる。加工工程評価手段は、複数の加工フィーチャの中から、このような制約条件を満たす加工フィーチャ、すなわち機能フィーチャの組合せパターンを選択する。なお、このような設計情報をCADシステムによって出力された製品形状のみから自動的に認識することは困難であるため、設計段階でこれらの情報が稜線・平面といった領域に付加して処理される。
(加工時間に着目した評価手法)
上述の製品機能に着目した評価による加工フィーチャの組合せ、すなわち加工工程候補の絞込みを行っても、依然として複数の選択肢が存在する場合、加工時間による評価を行う。加工時間を算出するには、作業設計を行う必要があり、作業設計を行って加工時間を算出するまでの手順について説明する。
(使用工具の選定および加工モードの決定)
作業設計段階では、工程設計段階で得られた加工フィーチャの情報に基づき、まず各加工フィーチャを加工するための工具の種類及び径が決定される。各加工フィーチャに対応する工具種として、例えば、面や段差ではフェイスミル、盲穴や貫通孔ではドリル、自由曲面ではボールエンドミル、その他には通常のエンドミルなどが上げられる。工具種が決定されると、加工フィーチャの大きさと工作機械の保有する工具の関係に基づき、使用可能な工具情報が格納されているデータベースから通常行われている方法により、その加工フィーチャの加工にふさわしい工具径を選定して決定される。工具の種類及び径が決定された各加工フィーチャに対し、例えば図20に示すように、それらを加工するための加工モード、すなわち工具経路パターンが決定される。
(切削条件の推定)
加工時間の算出には、切削工具の送り速度や切込量等の切削条件を決定する必要がある。そこで、図21に示す加工事例ベースの切削条件推論システムを本システムにおける機能モジュールとして用いることにより、各加工フィーチャに対する切削条件の推定を行うことができる。切削条件推論システムの動作を説明する。切削条件推論システムは、加工内容が入力されると(S71)、要求された加工内容に対して事例データベースDBに蓄えられている加工事例から類似の事例を検索して抽出する(S72)。次に、抽出された加工事例を要求された加工内容に適応されるために修正を加える(S73)。最終的に、修正された加工事例から要求された加工内容にふさわしい加工事例が選別され、その事例に含まれる切削条件から加工内容にふさわしい切削条件が決定される(S74)。決定された切削条件は、加工工程評価手段に向けて出力される(S76)。さらに、決定された切削条件で実加工においても何ら問題が発生しなかった場合は、その切削条件は新たな加工事例として事例データベースDBに登録される(S75)。
(加工時間の算出)
各加工フィーチャに対する使用工具・加工モード・切削条件が決定すると、加工時間を算出することが可能となる。加工フィーチャの数がnのとき、総加工時間T(sec)は、各加工フィーチャ加工時間t(1),t(2),・・・,t(n)(sec)と工具交換に要する時間とtc(sec)との総和として(式1)で表される。各加工フィーチャ加工時間t(1)〜t(n)は、(式2)で示すように、各加工フィーチャの体積V(mm)と、(式3)で表される加工除去速度Q(i)(mm/sec)により計算できる。
T=t(1)+t(2)+・・+t(n)+m×tc (式1)
t(i)=V(i)/Q(i) (式2)
Q(i)=ad(i)×rd(i)×F(i)/60 (式3)
ここで、mは工具交換回数、adは軸方向切込量(mm)、rdは半径方向切込量(mm)、Fは工具送り速度(mm/min)である。各機能フィーチャによる評価を行った後に、加工工程候補に依然として複数選択肢が存在する場合は、加工工程評価手段は、ここで求めた総加工時間の最小の加工工程候補を最適な工程設計案として提案する。
(実施例)
次に、本発明の工程設計支援システム及び方法を用いて、同一の素材形状と製品形状の条件のもとで異なる製品要求に対して行った場合の工程設計について説明する。図22におけるケースC1は、製品機能の考慮なしの場合を示し、ケースC2は平面度の要求を考慮した場合を示す。また、図23におけるケースC3は寸法定義を考慮した場合を示し、ケースC4は表面粗さの機能要求を考慮した場合を示す。
(ケースC1:製品機能の考慮なしの場合の工程設計)
図22左上に示す製品3Aの形状に対し、加工に関わる設計意図がないという条件で本工程設計支援システムを用いて適切な加工フィーチャの組合せによる加工用再構成除去領域40Aを得た。製品3Aの加工除去領域には2種類のZレベルが存在し、上層のZレベルでの28パターン、下層のZレベルでの4パターンとなる加工プリミティブの組合せ数の積により、組合せ数112パターンからなる加工プリミティブの組合せが得られる。これらの加工プリミティブの組合せについて加工順序の決定と加工フィーチャの認識が行われ112種類の加工工程候補が生成された。設計意図が与えられていないため、加工時間による評価のみが行われた結果、最も加工時間が少ない加工用再構成除去領域40Aが、112パターンの加工工程候補から選択された。加工用再構成除去領域40Aの総加工時間は57.8(単位時間)であり、最悪の場合の総加工時間は104(単位時間)であった。
(ケースC2:平面度の情報が加えられた場合の工程設計)
製品3Aと同じ製品形状の製品3Bにおいて、面SF1,SF2に対し平面度の情報が設定された場合を説明する。この平面度の情報を基に、平面度の機能フィーチャFFを用いて加工工程候補の評価を行った結果、この機能フィーチャFFを有する加工フィーチャの組合せは8パターンに絞られ、その中で最も加工時間の少ない加工フィーチャの組合せとなる加工用再構成除去領域40Bが選択された。加工用再構成除去領域40Bの総加工時間は76.9(単位時間)であり、最悪の場合の総加工時間は96.0(単位時間)であった。
(ケースC3:寸法定義の情報が加えられた場合の工程設計)
製品3Aと同じ製品形状の製品3C(図23)において、特に厳しい寸法制約a,b,cが設定された場合を説明する。この寸法制約a,b,cの情報を基に、寸法定義の機能フィーチャFF1〜FF3を用いて加工工程候補の評価を行った結果、この機能フィーチャFF1〜FF3を有する加工フィーチャの組合せは24パターンに絞られ、その中で最も加工時間の少ない加工フィーチャの組合せとなる加工用再構成除去領域40Cが選択された。加工用再構成除去領域40Cの総加工時間は63.6(単位時間)であり、最悪の場合の総加工時間は104(単位時間)であった。
(ケースC4:表面粗さの情報が加えられた場合の工程設計)
製品3Aと同じ製品形状の製品3D(図23)において、面SF1,SF2に対し表面粗さの情報が設定された場合を説明する。この表面粗さの情報を基に、表面粗さの機能フィーチャFF1,FF2を用いて加工工程候補の評価を行った結果、これらの機能フィーチャFF1,FF2を有する加工フィーチャの組合せは8パターンに絞られ、その中で最も加工時間の少ない加工フィーチャの組合せとなる加工用再構成除去領域40Dが選択された。加工用再構成除去領域40Dの総加工時間は65.1(単位時間)であり、最悪の場合の総加工時間は102(単位時間)であった。
上述の図22、図23における加工用再構成除去領域40A〜40Dに対する総加工時間を比較して分るように、設計意図情報の有無に依存して工程設計の結果が異なる。加工除去領域を一度最小分割した後に再構成することにより、従来よりも多くの加工プリミティブの組合せを得ることができるので、各設計意図に合わせた加工フィーチャの組合せを得ることができる。すなわち、機能フィーチャの概念を用いている本工程設計支援システムにより、設計者の要求する機能を備えた製品を得る加工の工程設計が可能となる。上述の実施例では、各設計意図をそれぞれ単独で設定した例を示したが、複数の設計意図が設定された場合、それぞれの設計意図を満たす加工フィーチャの組合せの積集合をとることにより対応することができる。
実際の製品設計では様々な設計意図が複雑に絡んでいるが、その場合においても、設計意図を満たす加工フィーチャの組合せを自動的に選択することができる。これは、最小分割手段により加工除去領域を分割し、除去領域再構成手段により個々の最小除去領域を結合した加工プリミティブの集合として加工除去領域を再構成して加工プリミティブの組合せが異なる複数種類の加工用再構成除去領域を得る手法の効果である。また、本工程設計支援システムによると、多くの加工フィーチャの組合せを用意することができるので、設計意図の変更にも柔軟に対応できるとともに製品設計者と生産設計者との情報の壁をなくすことができ、製品が設計されて市場に出るまでのリードタイムの短縮に寄与することができる。なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。
本発明に係る工程設計支援システムのブロック構成図。 本発明に係る工程設計支援方法における工程設計の処理フロー図。 同上支援システムにおいて処理対象となる素材と製品と加工除去領域の斜視図。 同上支援システムにおいて処理対象となる加工除去領域の素材形状に対する依存性を説明する斜視図。 (a)は図3に示した加工除去領域の斜視図、(b)は同加工除去領域を最小除去領域に分割した斜視図。 同上支援システムにおける最小除去領域の結合処理フロー図。 (a)〜(c)は同上支援システムにおいて処理対象となる加工除去領域をZ軸方向に層別し、さらに最小分割した斜視図。 同上支援システムにおける最小除去領域の結合処理の模式説明図。 同上結合処理のフロー図。 同上結合処理において結合の組合せの違いにより複数種類の加工用再構成除去領域が生成される様子の説明図。 同上支援システムにおける加工順序決定の処理フロー図。 図3に示した製品を得るための切削加工順序の例を示す一覧図。 同上支援システムにおいて加工工程の進捗に伴い変化するオープンフェイスを考慮することの説明斜視図。 同上支援システムにおいて処理対象とされる加工フィーチャの例を示す一覧図。 同上支援システムにおける加工フィーチャ認識の処理フロー図。 (a)〜(b)は同上支援システムにおいて考慮される平面度に関する機能フィーチャを説明する図。 (a)〜(b)は同上支援システムにおいて考慮される寸法定義に関する機能フィーチャを説明する図。 (a)〜(b)は同上支援システムにおいて考慮される表面粗さに関する機能フィーチャを説明する図。 同上支援システムにおいて考慮される同軸性に関する機能フィーチャを説明する図。 同上支援システムにおいて各加工フィーチャに適用される加工経路パターンの例を示す一覧図。 同上支援システムにおける切削条件決定処理の説明フロー図。 同上支援システムにおいて特定の機能フィーチャに対する加工工程案の数と工程案により変動する加工時間を説明する一覧図。 同上支援システムにおいて特定の機能フィーチャに対する加工工程案の数と工程案により変動する加工時間を説明する一覧図。 従来の切削加工による生産工程の流れの説明図。 加工フィーチャの例を示す切削加工製品の斜視図。 加工フィーチャ認識の違いによる加工順序の変化を説明する製品斜視図と加工中の製品の断面図。 切削加工の熟練技能者による加工情報の認識の様子を説明する模式図。
符号の説明
1 工程設計支援システム
2,2A,2B 素材
3,3A〜3D 製品
4 加工除去領域
11 除去領域抽出手段
12 最小分割手段
13 除去領域再構成手段
14 加工順序決定手段
15 加工フィーチャ認識手段
16 加工工程評価手段
40 分割加工除去領域
40A〜40D 加工用再構成除去領域
OF1,OF2,OF3 オープンフェイス
p1〜p5 最小除去領域
P,P1〜P11 加工プリミティブ

Claims (8)

  1. 素材から加工除去領域を切削加工により除去して製品を得るための加工工程設計を支援する工程設計支援システムにおいて、
    素材形状データと製品形状データから加工除去領域を抽出する除去領域抽出手段と、
    前記により抽出された加工除去領域を、少なくとも前記加工除去領域が有する平面の延長平面により前記加工除去領域を分割して得られた最小除去領域の集合とする最小分割手段と、
    前記により分割された個々の最小除去領域を、加工作業の基本単位領域となる加工プリミティブを形成できる条件のもとで共通の分割面を介して互いに順次結合し、これらの加工プリミティブの集合として前記加工除去領域を再構成して加工用再構成除去領域とし、前記最小分割領域を結合する仕方の違いにより加工プリミティブの組合せが異なる複数種類の前記加工用再構成除去領域を得る除去領域再構成手段と、
    前記それぞれの加工用再構成除去領域内で加工用再構成除去領域を構成する加工プリミティブに加工順序を決定する加工順序決定手段と、
    前記により加工順序の決定された各加工プリミティブを、加工条件を付帯し形状加工作業を特徴付ける領域として予め複数種類定義した加工フィーチャのいずれかであると認識することにより、前記複数種類の各加工用再構成除去領域毎に各加工プリミティブから成る加工領域、及びその加工領域の加工順序と加工条件を定めて複数の加工工程候補を生成する加工フィーチャ認識手段と、
    前記により生成された加工工程候補を、少なくとも製品品質条件、工作機械条件、加工コスト条件、又は加工時間条件のいずれかの満足度について評価するとともに満足度に基づいて最適の加工工程を選択する加工工程評価手段と、を備えることを特徴とする工程設計支援システム。
  2. 前記最小分割手段は、切削加工に用いる切削工具の主軸に平行な面、及び/又は前記面に垂直な面を分割面として加工除去領域を分割することを特徴とする請求項1に記載の工程設計支援システム。
  3. 前記除去領域再構成手段は、切削加工に用いる切削工具の主軸方向における位置が等しいグループに最小除去領域を層別し、各層毎に最小除去領域を結合して加工プリミティブを形成することを特徴とする請求項1に記載の工程設計支援システム。
  4. 前記加工順序決定手段は、加工工程の進捗に伴って現れるオープンフェイスの数に基づいて、オープンフェイスの数を多く有する加工プリミティブを優先して加工するように加工順序を決定することを特徴とする請求項1に記載の工程設計支援システム。
  5. 前記加工順序決定手段は、円形状の加工プリミティブを円形状以外の加工プリミティブよりも後に加工するように加工順序を決定することを特徴とする請求項1に記載の工程設計支援システム。
  6. 前記加工フィーチャ認識手段は、加工工程の進捗に伴って現れる、加工プリミティブのオープンフェイスの数、稜線の数、及び頂点の数と配置条件を基に加工フィーチャを認識することを特徴とする請求項1に記載の工程設計支援システム。
  7. 前記製品品質条件は、少なくとも製品に対する平面精度、寸法精度、又は面粗さ精度のいずれかを条件として含むことを特徴とする請求項1に記載の工程設計支援システム。
  8. 素材から加工除去領域を切削加工により除去して製品を得るための加工工程設計を支援する工程設計支援方法において、
    素材形状データと製品形状データから加工除去領域を抽出する除去領域抽出工程と、
    前記工程により抽出された加工除去領域を、少なくとも前記加工除去領域が有する平面の延長平面により前記加工除去領域を分割して得られた最小除去領域の集合とする最小分割工程と、
    前記工程により分割された個々の最小除去領域を、加工作業の基本単位領域となる加工プリミティブを形成できる条件のもとで共通の分割面を介して互いに順次結合し、これらの加工プリミティブの集合として前記加工除去領域を再構成して加工用再構成除去領域とし、前記最小分割領域を結合する仕方の違いにより加工プリミティブの組合せが異なる複数種類の前記加工用再構成除去領域を得る除去領域再構成工程と、
    前記それぞれの加工用再構成除去領域内で加工用再構成除去領域を構成する加工プリミティブに加工順序を決定する加工順序決定工程と、
    前記工程により加工順序の決定された各加工プリミティブを、加工条件を付帯し形状加工作業を特徴付ける領域として予め複数種類定義した加工フィーチャのいずれかであると認識することにより、前記複数種類の各加工用再構成除去領域毎に各加工プリミティブから成る加工領域、及びその加工領域の加工順序と加工条件を定めて複数の加工工程候補を生成する加工フィーチャ認識工程と、
    前記工程により生成された加工工程候補を、少なくとも製品品質条件、工作機械条件、加工コスト条件、又は加工時間条件のいずれかの満足度について評価するとともに満足度に基づいて最適の加工工程を選択する加工工程評価工程と、を備えることを特徴とする工程設計支援方法。
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