JP4512746B2 - 金属微粒子分散複合体及びその製造方法 - Google Patents

金属微粒子分散複合体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4512746B2
JP4512746B2 JP2005013796A JP2005013796A JP4512746B2 JP 4512746 B2 JP4512746 B2 JP 4512746B2 JP 2005013796 A JP2005013796 A JP 2005013796A JP 2005013796 A JP2005013796 A JP 2005013796A JP 4512746 B2 JP4512746 B2 JP 4512746B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal fine
fine particles
fine particle
silver
target
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005013796A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006200009A (ja
Inventor
一真 栗原
淳二 富永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2005013796A priority Critical patent/JP4512746B2/ja
Publication of JP2006200009A publication Critical patent/JP2006200009A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4512746B2 publication Critical patent/JP4512746B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Description

本発明は、高周波スパッタリング装置、電子ビーム蒸着装置等の真空成膜装置を用いて、組成が均一で、粒度が揃い、且つ単分散性に優れた、ナノサイズの金属微粒子が分散した金属微粒子分散複合体及びその製造方法に関する。
一般に、微粒子を均一に分散させた組織を構成することは、各種センサー、磁気記録媒体、電子デバイス、触媒、その他の応用において大変に重要なものである。しかし、微粒子の存在構造を高精度に、かつ迅速に形成および制御することはそれほど簡単なことではない。
従来、ナノサイズ金属微粒子を作製する技術として各種の方法が知られている。たとえば、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法などが知られている。
また、微粒子(たん白質、酸化物、金属、ラテックス、ポリマー)を展開し、これを組織制御して構成する方法として、微粒子を平面に塗布する方法(スピンコート法など)や、微粒子を粉末として平面に散布する方法(噴霧法など)、分散媒から気液界面、液々界面に微粒子を析出する方法等が知られている。
しかし、そのための方法として、これまでに試みられているものには重大な欠点がある。例えば、真空成膜法では、島状構造が作成できる膜厚は100Å以下に限られるということ、また各縞状粒子の直径分布は数ナノメートルから数ミクロンとバラツキが大きいこと、さらに溶媒中に微粒子を分散させ、塗布する方法では、溶媒の蒸発時に大きな表面張力が発生し、同様に島状の分布が大きくなる等の問題がある。
公知技術には、例えば基板表面に蒸着法によって、金、銀又は銅の金属粒子を製造するに際して、ヨウ素を混在させて微粒子のサイズを小さくしようとする提案(特許文献1参照)があり、または真空雰囲気中で、第1の試料を蒸着する工程と、第2の試料を超微粒子状にイオンビームスパッタする工程を繰返し、基板上に第1の試料層に超微粒子状の第2の試料が分散した分散膜を形成する提案がなされている(特許文献2参照)。
しかし、これらはその製造方法から見ても、微粒子のサイズをコントロールすることは難しい技術である。このように、膜厚と均一性の制御が可能であり、微粒子のサイズを均一に作製する技術はこれまでに確立されていない。
特開平9−256140号公報 特開平5−117844号公報
本発明は、上記の問題点を解決することを目的とし、均一な成膜が可能である電子ビーム蒸着法やスパッタリング法等の真空成膜法を用い、かつ微粒子サイズが均一かつ微細に分散した薄膜を作製することができる、ナノサイズの金属微粒子分散複合体及びその製造方法を提供する。
上記課題に鑑み、下記の金属微粒子分散複合体を提供するものである。
1)真空成膜装置を使用して形成された透明又は不透明な膜中に、銀を主成分としランタノイド元素又はビスマスから選択した少なくとも1種類の元素を含んだ金属微粒子が分散していることを特徴とする金属微粒子分散複合体。
2)前記金属微粒子の直径が2〜20ナノメートルの範囲にあることを特徴とする請求項1記載の金属微粒子分散複合体。
3)前記ランタノイド元素又はビスマスから選択した少なくとも1種類の元素が0.3〜5.0原子%含有していることを特徴とする請求項1又は2記載の金属微粒子分散複合体。
4)真空成膜装置を使用して形成された透明または不透明な膜が、金属酸化物若しくは窒化物、半導体酸化物若しくは半導体窒化物又は非金属酸化物若しくは非金属窒化物から選択した少なくとも1種類の膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属微粒子分散複合体。
また、本発明は、次の金属微粒子分散複合体製造方法を提供する。
)金属酸化物若しくは窒化物、半導体酸化物若しくは半導体窒化物又は非金属酸化物若しくは非金属窒化物から選択した少なくとも1種類からなるターゲットと、ランタノイド元素又はビスマスから選択した少なくとも1種類の元素を含んだ銀を主成分とするターゲットを用いて、高周波スパッタリングにより、基板上に、前記金属酸化物若しくは窒化物、半導体酸化物若しくは半導体窒化物又は非金属酸化物若しくは非金属窒化物から選択した少なくとも1種類からなる透明又は不透明な膜中に、前記銀を主成分とする金属微粒子が分散した複合体を形成することを特徴とする金属微粒子分散複合体の製造方法。
)前記成膜された透明又は不透明な膜中に分散した銀を主成分とする金属微粒子の直径が2〜20ナノメートルの範囲にあることを特徴とする請求項記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。
7)前記銀を主成分とするターゲット中及び成膜された銀を主成分とする金属微粒子に、ランタノイド元素又はビスマスから選択した少なくとも1種類の元素が、0.3〜5.0原子%含有していることを特徴とする請求項又は記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。
)金属酸化物若しくは窒化物、半導体酸化物若しくは半導体窒化物又は非金属酸化物若しくは非金属窒化物から選択した少なくとも1種類からなるターゲットと、ランタノイド元素又はビスマスから選択した少なくとも1種類の元素を含んだ銀を主成分とするターゲットがモザイクターゲットであることを特徴とする請求項のいずれかに記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。
)前記高周波スパッタリングにおけるそれぞれのターゲットを蒸着源に替え、電子ビーム蒸着法による成膜法を使用して成膜することを特徴とする請求項のいずれかに記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。
本発明は、金属微粒子に微粒子の凝集抑制する材料を添加して金属微粒子の凝集を制御しながら成膜するものであり、真空製膜装置を用いて作製される金属微粒子の組成が均等で粒度が揃い且つ単分散性に優れた金属微粒子からなる金属微粒子分散複合体を得ることができるという優れた効果を有する。
本発明は、金属酸化物若しくは窒化物、半導体酸化物若しくは半導体窒化物又は非金属酸化物若しくは非金属窒化物から選択した少なくとも1種類からなるターゲット又は蒸着源と、ランタノイド元素又はビスマスから選択した少なくとも1種類の元素を含んだ銀を主成分とするターゲット又は蒸着源を用いて、高周波スパッタリング又は電子ビーム等の真空成膜装置を用いて、基板上に、前記金属酸化物若しくは窒化物、半導体酸化物若しくは半導体窒化物又は非金属酸化物若しくは非金属窒化物から選択した少なくとも1種類からなる透明又は不透明な膜中に、前記銀を主成分とする金属微粒子が分散した複合体を形成する。基板としては、一般に使用されているSiO2基板等を使用することができるが、特に制限はない。用途に応じてSi、アルミナを主成分とする無機材料、一般的なソーダガラス、SiNなどの窒化物やSiC等の各種の基板を用いて、これらに成膜することができる。
高周波スパッタリング法及び電子ビーム蒸着法は成膜法として良く知られた方法であるが、膜厚や膜厚均一性の制御にすぐれた薄膜を作製することができる有効な方法である。本発明においては、これらの成膜法を用いる。
このスパッタリング法又は電子ビーム蒸着法を用いて成膜する際に発生する最も大きな問題は、銀の微粒子が成膜中に自己凝集することである。
本発明において、この銀微粒子の自己凝集を抑制する手法として、ランタノイド元素(例えばネオジウム等)又はビスマスから選択した少なくとも1種類の元素を銀に添加することであり、これは本願発明の大きな特徴の一つである。
これらのランタノイド元素(例えばネオジウム等)又はビスマスから選択した添加元素は、成膜中における銀からなる微粒子の凝集を抑制し、金属微粒子サイズを均一化すると共にナノメーターサイズの粒子を均一に分散させる効果を有する。
このようにして形成された金属微粒子分散複合体のおける金属微粒子の直径は2〜20ナノメートルの範囲にすることができる。このように金属微粒子の直径のばらつきが少ないことは、膜特性を向上させる上で、極めて重要である。
前記銀を主成分とするターゲット中及び成膜された銀を主成分とする金属微粒子においては、ランタノイド元素又はビスマスから選択した少なくとも1種類の元素が、0.3〜5.0原子%含有していることが望ましい。0.3原子%未満であると銀微粒子の凝集を抑制する効果が弱く、また5.0原子%を超えると銀の微粒子を形成するという初期の目的外となるので、0.3〜5.0原子%の範囲とすることが好ましいと言える。なお、ランタノイド元素又はビスマスの添加に特に問題がなければ、それ以上の添加も可能である。用途に応じて、その添加量を任意に変更できることは理解されるべきである。
金属酸化物若しくは窒化物、半導体酸化物若しくは半導体窒化物又は非金属酸化物若しくは非金属窒化物から選択した少なくとも1種類の材料とランタノイド元素又はビスマスから選択した少なくとも1種類の元素を含んだ銀を主成分とする材料を、1個のターゲットとすることも可能ではあるが、ターゲットの製造上、一方の成分が極めて微量になるので、成分コントロールと偏析がなく均一なターゲットとすることは、複雑かつ精密な製造工程が必要となるので、むしろモザイクターゲットとすることが有効である。
この場合、基本成分となる金属酸化物若しくは窒化物、半導体酸化物若しくは半導体窒化物又は非金属酸化物若しくは非金属窒化物から選択した少なくとも1種類の材料ターゲット上に、ランタノイド元素又はビスマスから選択した少なくとも1種類の元素を含んだ銀を主成分とする材料からなるターゲットを載置するだけでも、容易に製作可能である。本発明のモザイクターゲットは、このようなターゲットを含むものである。
当然ではあるが、電子ビーム蒸着法による成膜法を使用して成膜する場合には、前記高周波スパッタリングにおけるそれぞれのターゲットを蒸着源に替えることにより容易に達成できる。
上記の真空成膜装置を使用して形成された透明又は不透明な膜中に、銀を主成分としランタノイド元素又はビスマスから選択した少なくとも1種類の元素を含んだ金属微粒子が分散した金属微粒子分散複合体を容易に得ることができる。この金属微粒子の直径は2〜20ナノメートルの範囲にあり、またランタノイド元素又はビスマスから選択した少なくとも1種類の元素は、成膜中に0.3〜5.0原子%含有しているが、これは金属微粒子分散複合体において、特に問題となる量ではない。
このようにして得られた金属微粒子分散複合体は、例えば光の波長350nm〜450nmの範囲において、著しい光吸収スペクトルを有することが分かった。
このような優れた特性を持つ本発明の金属微粒子分散複合体は、プラズモン光境界条件を用いた分子センサー、バイオセンサー、微粒子応用発光素子・受光素子などの狭光学スペクトル化等への適用が可能である。
次に、本発明の実施例について具体的に説明する。なお、以下の実施例は、あくまでも本願発明の理解を容易にするためのものであり、この実施例の条件に制限されるものではない。すなわち、本願発明の技術思想に基づく変形、実施態様、他の例は、本願発明に含まれるものである。
(実施例1)
膜厚と均一性の制御が可能であり、微粒子のサイズを均一に作製する方法として、RFマグネトロンスパッタ法を用いた。一方のターゲットとしてSiO2ターゲットを作製し、さらにその上に他方のターゲット、すなわち凝集制御材としてネオジウム(Nd)を0.4at%添加した銀合金チップからなるターゲットを、SiO2ターゲットの上に載置してSiO2基板上にスパッタリングした。
この結果、基板上にSiO2スパッタ膜にAg-Nd合金の金属微粒子が分散した複合体からなるスパッタ膜が形成された。
この場合の、SiO2ターゲットのサイズはφ76mmであり、銀合金チップは10mm×10mm角サイズのチップである。成膜雰囲気はアルゴン、成膜パワーは200Wを使用した。
図1に示すものは、銀微粒子の透過電子顕微鏡像である。
図1の(b)は凝集制御材としてネオジウムを添加した銀合金チップを用いて作製した銀微粒子である。図1の(b)より、凝集制御材としてネオジウムを添加した銀微粒子の直径サイズは10nm程度であり、極めて均一な銀微粒子が構成された薄膜が実現できることが確認できた。
さらに、本製造方法を用いて作製した薄膜の膜厚は、成膜時間に対して線形に膜厚が制御されるため、容易に膜厚制御が可能であり、成膜した薄膜の膜厚むらは3インチのサイズで、およそ5%以内であった。また、SiO2ターゲット以外にSiなどの他の材料を用いても同様のことが確認できた。
図2に、本実施例1にて作製した銀微粒子の光学特性を示す。本実施例1にて作製した銀微粒子は粒子サイズが極めて均一であるため、プラズモン光共鳴条件が均一になり、銀微粒子の光学スペクトルはより狭くなる事が確認できた。
これにより、本発明はエレクトロニクス、バイオマテリアル、セラミック、金属材料等の諸野において新たな機能性材料の創製において、有用な金属微粒子分散複合体を提供することができる。
(実施例2)
凝集制御材としてネオジウム(Nd)を0.7at%添加した銀合金チップからなるターゲットを、SiO2ターゲットの上に載置してSiO2基板上にスパッタ膜を形成した。成膜方法は実施例1と同様である。この結果、基板上にSiO2スパッタ膜にAg-Nd合金の金属微粒子が分散した複合体からなるスパッタ膜が形成された。
実施例1と同様に、凝集制御材としてネオジウムを0.7at%添加した銀微粒子の直径サイズは10nm程度であり、極めて均一な銀微粒子が構成された薄膜が得られた。
図2に、本実施例2にて作製した銀微粒子の光学特性を示す。本発明にて作製した銀微粒子は粒子サイズが極めて均一であるため、プラズモン光共鳴条件が均一になり、銀微粒子の光学スペクトルはより狭くなる事が確認できた。
(実施例3)
凝集制御材としてネオジウム(Nd)を1.0at%添加した銀合金チップからなるターゲットを、SiO2ターゲットの上に載置してSiO2基板上にスパッタ膜を形成した。成膜方法は実施例1と同様である。この結果、基板上にSiO2スパッタ膜にAg-Nd合金の金属微粒子が分散した複合体からなるスパッタ膜が形成された。
実施例1と同様に、凝集制御材としてネオジウムを1.0at%添加した銀微粒子の直径サイズは10nm程度であり、極めて均一な銀微粒子が構成された薄膜が得られた。
本実施例3にて作製した銀微粒子は粒子サイズが極めて均一であるため、図示しないが、実施例2と同様にプラズモン光共鳴条件が均一になり、銀微粒子の光学スペクトルはより狭くなる事が分った。
(実施例4)
凝集制御材としてネオジウム(Nd)を2.0at%添加した銀合金チップからなるターゲットを、SiO2ターゲットの上に載置してSiO2基板上にスパッタ膜を形成した。成膜方法は実施例1と同様である。この結果、基板上にSiO2スパッタ膜にAg-Nd合金の金属微粒子が分散した複合体からなるスパッタ膜が形成された。
実施例1と同様に、凝集制御材としてネオジウムを2.0at%添加した銀微粒子の直径サイズは12nm程度であり、極めて均一な銀微粒子が構成された薄膜が得られた。
本実施例3にて作製した銀微粒子は粒子サイズが極めて均一であるため、図示しないが、実施例2と同様にプラズモン光共鳴条件が均一になり、銀微粒子の光学スペクトルはより狭くなる事が分った。
(実施例5)
凝集制御材としてネオジウム(Nd)を3.0at%添加した銀合金チップからなるターゲットを、SiO2ターゲットの上に載置してSiO2基板上にスパッタ膜を形成した。成膜方法は実施例1と同様である。この結果、基板上にSiO2スパッタ膜にAg-Nd合金の金属微粒子が分散した複合体からなるスパッタ膜が形成された。
実施例1と同様に、凝集制御材としてネオジウムを3.0at%添加した銀微粒子の直径サイズは14nm程度であり、極めて均一な銀微粒子が構成された薄膜が得られた。
本実施例3にて作製した銀微粒子は粒子サイズが極めて均一であるため、図示しないが、実施例2と同様にプラズモン光共鳴条件が均一になり、銀微粒子の光学スペクトルはより狭くなる事が分った。
(実施例6)
凝集制御材としてネオジウム(Nd)を4.5at%添加した銀合金チップからなるターゲットを、SiO2ターゲットの上に載置してSiO2基板上にスパッタ膜を形成した。成膜方法は実施例1と同様である。この結果、基板上にSiO2スパッタ膜にAg-Nd合金の金属微粒子が分散した複合体からなるスパッタ膜が形成された。
実施例1と同様に、凝集制御材としてネオジウムを4.5at%添加した銀微粒子の直径サイズは15nm程度であり、極めて均一な銀微粒子が構成された薄膜が得られた。
本実施例3にて作製した銀微粒子は粒子サイズが極めて均一であるため、図示しないが、実施例2と同様にプラズモン光共鳴条件が均一になり、銀微粒子の光学スペクトルはより狭くなる事が分った。
(実施例7)
本発明の実地例1と同様にNdをBiに変更して実験を行った。
実施例1と同様に作成法として、RFマグネトロンスパッタ法を用いた。また、一方のターゲットとしてSiO2ターゲットを作製し、さらにその上に凝集制御材としてビスマスを添加した銀合金チップ(ターゲット)を、SiO2ターゲットの上に載置し、SiO2基板上にスパッタリングした。
この結果、基板上にSiO2スパッタ膜中にAg-Bi合金の金属微粒子が分散した複合体からなるスパッタ膜が形成された。
この場合の、SiO2ターゲットのサイズはφ76mmであり、銀チップは10mm×10mm角サイズのチップである。成膜雰囲気はアルゴン、成膜パワーは200Wを使用した。
その結果、凝集制御材を用いない銀微粒子は、直径およそ5nm〜200nmのサイズをもつ極めて不均一な銀微粒子が構成された薄膜であるが、凝集制御材をとしてビスマスを添加した銀微粒子の直径サイズは15nm程度であり、極めて均一な銀微粒子が構成された薄膜が実現できることが確認できた。
さらに、本製造方法を用いて作製した薄膜の膜厚は、成膜時間に対して線形に膜厚が制御されるため、容易に膜厚制御が可能であり、成膜した薄膜の膜厚むらは3インチのサイズで、およそ5%以内であった。また、SiO2ターゲット以外にSiなどの他の材料を用いても同様のことが確認できた。
上記実施例においては、Nd及びBiを用いたが、他のランタノイド元素、すなわちLa,Ce,Pr,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luを用いても同様の効果が得られた。
(比較例1)
比較のために、銀単独のチップからなるターゲットを作製し、同様にSiO2ターゲットの上に載置し、SiO2基板上にスパッタリングした。
この結果、基板上にSiO2スパッタ膜中にAgの金属微粒子が分散した複合体からなるスパッタ膜が形成された。他の条件は、実施例1と同様である。
図1の(a)に、凝集制御材を添加してない銀チップを用いて作製した銀微粒子の透過電子顕微鏡像を示す。この図1の(a)に示すように、凝集制御材を用いない銀微粒子は、直径およそ5nm〜200nmのサイズをもつ極めて不均一な銀微粒子を持つ薄膜となった。
(比較例2)
実施例1のNdをランタノド元素でないあるMnに変更して実験を行った。成膜法としてRFマグネトロンスパッタ法を用いた。また、一方のターゲットとしてSiO2ターゲットを作製し、さらにその上に凝集制御材としてMnを添加した銀合金チップ(ターゲット)を、SiO2ターゲットの上に載置し、SiO2基板上にスパッタリングした。
この結果、基板上にSiO2スパッタ膜中にAg-Mn合金の金属微粒子が分散した複合体からなるスパッタ膜が形成された。この場合の、SiO2ターゲットのサイズはφ76mmであり、銀合金チップは10mm×10mm角サイズのチップである。成膜雰囲気はアルゴン、成膜パワーは200Wを使用した。
しかし、凝集制御材を用いない銀微粒子は、直径およそ5nm〜200nmのサイズをもつ極めて不均一な銀微粒子が構成された薄膜であるが、凝集制御材をとしてMnを添加した銀微粒子の直径サイズは5〜150nm30nm程度であり、均一分散効果は認められなかった。極めて均一な銀微粒子が構成された薄膜が実現できることが確認できた。
さらに、本製造方法を用いて作製した薄膜の膜厚は、成膜時間に対して線形に膜厚が制御されるため、容易に膜厚制御が可能であり、成膜した薄膜の膜厚むらは3インチのサイズで、およそ5%以内であった。また、SiO2ターゲット以外にSiなどの他の材料を用いても同様のことが確認できた。
本発明は、金属微粒子に微粒子の凝集抑制する材料を添加して金属微粒子の凝集を制御しながら成膜するものであり、真空製膜装置を用いて作製される金属微粒子の組成が均等で粒度が揃い且つ単分散性に優れた金属微粒子からなる金属微粒子分散複合体を得ることができるという優れた効果を有する。
本発明はエレクトロニクス、バイオマテリアル、セラミック、金属材料等の諸分野における新たな機能性材料の展開又は創成において有用である。特に、プラズモン境界条件を用いた分子センサーや微粒子応用発光素子・受光素子などの、狭光学スペクトル化等への適用が可能である。
銀微粒子の透過電子顕微鏡像であり、 (a)は凝集制御材を添加してない銀チップを用いて作製した銀微粒子、(b)は凝集制御材としてネオジウムを添加した銀合金チップを用いて作製した銀微粒子である。 本発明により作製した銀微粒子の光学特性を示す図である。

Claims (9)

  1. 真空成膜装置を使用して形成された透明又は不透明な膜中に、銀を主成分としランタノイド元素又はビスマスから選択した少なくとも1種類の元素を含んだ金属微粒子が分散していることを特徴とする金属微粒子分散複合体。
  2. 前記金属微粒子の直径が2〜20ナノメートルの範囲にあることを特徴とする請求項1記載の金属微粒子分散複合体。
  3. 前記ランタノイド元素又はビスマスから選択した少なくとも1種類の元素が0.3〜5.0原子%含有していることを特徴とする請求項1又は2記載の金属微粒子分散複合体。
  4. 真空成膜装置を使用して形成された透明または不透明な膜が、金属酸化物若しくは窒化物、半導体酸化物若しくは半導体窒化物又は非金属酸化物若しくは非金属窒化物から選択した少なくとも1種類の膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属微粒子分散複合体。
  5. 金属酸化物若しくは窒化物、半導体酸化物若しくは半導体窒化物又は非金属酸化物若しくは非金属窒化物から選択した少なくとも1種類からなるターゲットと、ランタノイド元素又はビスマスから選択した少なくとも1種類の元素を含んだ銀を主成分とするターゲットを用いて、高周波スパッタリングにより、基板上に、前記金属酸化物若しくは窒化物、半導体酸化物若しくは半導体窒化物又は非金属酸化物若しくは非金属窒化物から選択した少なくとも1種類からなる透明又は不透明な膜中に、前記銀を主成分とする金属微粒子が分散した複合体を形成することを特徴とする金属微粒子分散複合体の製造方法。
  6. 前記成膜された透明又は不透明な膜中に分散した銀を主成分とする金属微粒子の直径が、2〜20ナノメートルの範囲にあることを特徴とする請求項記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。
  7. 前記銀を主成分とするターゲット中及び成膜された銀を主成分とする金属微粒子に、ランタノイド元素又はビスマスから選択した少なくとも1種類の元素が、0.3〜5.0原子%含有していることを特徴とする請求項又は記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。
  8. 金属酸化物若しくは窒化物、半導体酸化物若しくは半導体窒化物又は非金属酸化物若しくは非金属窒化物から選択した少なくとも1種類からなるターゲットと、ランタノイド元素又はビスマスから選択した少なくとも1種類の元素を含んだ銀を主成分とするターゲットがモザイクターゲットであることを特徴とする請求項のいずれかに記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。
  9. 前記高周波スパッタリングにおけるそれぞれのターゲットを蒸着源に替え、電子ビーム蒸着法による成膜法を使用して成膜することを特徴とする請求項のいずれかに記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。
JP2005013796A 2005-01-21 2005-01-21 金属微粒子分散複合体及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4512746B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005013796A JP4512746B2 (ja) 2005-01-21 2005-01-21 金属微粒子分散複合体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005013796A JP4512746B2 (ja) 2005-01-21 2005-01-21 金属微粒子分散複合体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006200009A JP2006200009A (ja) 2006-08-03
JP4512746B2 true JP4512746B2 (ja) 2010-07-28

Family

ID=36958267

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005013796A Expired - Fee Related JP4512746B2 (ja) 2005-01-21 2005-01-21 金属微粒子分散複合体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4512746B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR3065737B1 (fr) * 2017-04-28 2019-06-07 Saint-Gobain Coating Solutions Cible pour l'obtention d'un vitrage colore

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07248516A (ja) * 1994-03-11 1995-09-26 Agency Of Ind Science & Technol 非線形光学材料およびその製造方法
JPH08328059A (ja) * 1995-05-30 1996-12-13 Hoya Corp 非線形光学材料およびこれを用いた光スイッチ素子
JPH0915665A (ja) * 1995-06-30 1997-01-17 Hoya Corp 非線形光学材料および非線形光素子
JP2000250080A (ja) * 1999-03-02 2000-09-14 Hoya Corp 非線形光学材料の作製方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07248516A (ja) * 1994-03-11 1995-09-26 Agency Of Ind Science & Technol 非線形光学材料およびその製造方法
JPH08328059A (ja) * 1995-05-30 1996-12-13 Hoya Corp 非線形光学材料およびこれを用いた光スイッチ素子
JPH0915665A (ja) * 1995-06-30 1997-01-17 Hoya Corp 非線形光学材料および非線形光素子
JP2000250080A (ja) * 1999-03-02 2000-09-14 Hoya Corp 非線形光学材料の作製方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006200009A (ja) 2006-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6619216B2 (ja) 透光性磁性体
JP6616653B2 (ja) 電磁波吸収体及び膜形成用ペースト
JP6209490B2 (ja) ナノワイヤに基づく透明導電体
CN111201300B (zh) 包括经封装之纳米颗粒之墨水
CN110114439A (zh) 玻璃复合颗粒及其用途
JP2009024255A (ja) イオンプレーティング用蒸発源材料の原料粉末、イオンプレーティング用蒸発源材料及びその製造方法、ガスバリア性シート及びその製造方法
TW202124593A (zh) 3d列印天線
Sathaye et al. Modification of spin coating method and its application to grow thin films of cobalt ferrite
CN103490018A (zh) 有机电致发光器件及其制备方法
JP5011384B2 (ja) 化学的硬化によるナノ粒子の製造方法
CN101533199B (zh) 一种银、金纳米颗粒分散二氧化硅光学薄膜及制备方法
JP5057457B2 (ja) 磁気光学材料及びその製造方法
JP4512746B2 (ja) 金属微粒子分散複合体及びその製造方法
CN117651897B (zh) 磁光材料及其制造方法
JP2009143759A (ja) イオンプレーティング用蒸発源材料の原料粉末、イオンプレーティング用蒸発源材料及びその製造方法、ガスバリア性シート及びその製造方法
KR101302696B1 (ko) 투명 적색 형광막의 제조방법 및 이에 의하여 제조되는 투명 적색 형광막
Jaiswal et al. Fabrication and luminescent studies of near-spherical phosphor embedded epoxy-resin nanocomposite beads
JP2009138248A (ja) イオンプレーティング用蒸発源材料の原料粉末、イオンプレーティング用蒸発源材料及びその製造方法、ガスバリア性シート及びその製造方法
JP2014162998A (ja) 酸化亜鉛系スパッタリング・ターゲット、その製造方法、及びそれを用いて蒸着された遮断膜を有する薄膜トランジスタ
Demiryürek et al. Effect of Ag-doping process into the yttrium iron garnet (Y3Fe5O12) thin films on the structural, magnetic and optical properties
Nandi et al. Sulfonated polybutadiene random ionomer as stabiliser for colloidal copper nanoparticles
Rodríguez et al. 1D photonic band gap PbTe doped silica quantum dot optical device
CN1768401A (zh) 具有垂直磁各向异性的FePt磁性薄膜及其制造方法
KR100491973B1 (ko) ZnO계의 상온 투명 강자성 반도체 및 그 제조방법
JP2003289005A (ja) 高配向磁性薄膜の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070807

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090918

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090929

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100330

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100401

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130521

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130521

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130521

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130521

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140521

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees