JP4512418B2 - ダイス及びトランスファプレス機 - Google Patents
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Description
請求項1のダイスでは、加工孔を備えたダイス主体部材と、基台に固定される側部支持部材とがスリットによって分離されかつ架橋部によって部分的に連続形成されているので、ダイス主体部材と側部支持部材との位置関係に気を遣わずに、即ち、従来のように固定具とノード位置との位置決め作業を行うことなく、側部支持部材を基台に固定することができる。しかも、側部支持部材の取付孔は、側部支持部材のノード位置に配置されているので、側部支持部材自体の振動も許容され、固定用のボルトの締め付け強度によるダイス主体部材の振動状態への影響も緩和される。これらにより、本発明の構成によれば、従来よりも容易にダイスを基台に取り付けることが可能になる。また、従来では起こり得た固定具の位置ずれによる振動エネルギーのロスが生じ得ないので、振動エネルギーを効率よくプレス加工に利用することができる。
請求項2のダイスでは、架橋部をダイス主体部材と各側部支持部材との間にそれぞれ1対ずつ設けたので、1つだけ設けた場合に比べて各架橋部の肉厚を薄くすることができ、架橋部によるダイス主体部材への振動の影響を低減させることが可能になる。
請求項3のダイスでは、取付孔を各側部支持部材にそれぞれ1対ずつ設けたので、側部支持部材が基台に安定して取り付けられる。
請求項4のダイスでは、架橋部を配置するためにノード位置は、ダイス主体部材の両端部より約四分の1波長分、ダイス主体部材の中央側に位置することになる。そして、架橋部を側部支持部材の両端部に配置すると、ダイス主体部材の両端が架橋部の両端より超音波振動子の振動方向に突出した構造になる。即ち、側部支持部材をダイス主体部材と同じ長さにした場合に比べて、側部支持部材を短くすることができ、ダイスの小型軽量化が図られる。
本発明のダイスは、全体を超硬材料で構成してもよいし(請求項5の発明)、加工孔の近傍のみを超硬材料で構成して、他の部分を超硬材料以外の材料で構成してもよい(請求項6の発明)。また、加工孔の開口縁及び/又は内面にダイヤモンドコーティングを施した構成にすれば、ダイスの寿命を長くすることができる(請求項7の発明)。ここで、全体を超硬材料で構成した場合には、設計が容易になる。また、加工孔の近傍のみを超硬材料で構成し、他の部分を超硬材料以外の材料で構成した場合には、母材からダイスを削りだす際の加工が容易になる。
請求項8のダイスでは、スリットの端部に円形孔を形成したことにより、スリットの端部における応力集中を防ぐことができる。また、請求項9の構成によれば、その円形孔を、スリットを形成するためのワイヤカッタを挿通させるために利用することができる。さらに、請求項10のダイスのように、スリットの端部を円弧状に折り返して、応力集中を防いでもよい。
請求項11のダイスを基台に固定すると、側部支持部材に設けられた部分当接部のみが基台に当接してダイス主体部材全体が基台から浮いた状態になる。これにより、ダイス主体部材が容易に振動できるようになる。また、側部支持部材のうち部分当接部のみが基台に当接し、残りの部分が基台から浮いているので、側部支持部材も振動し易い状態に保持される。
請求項12のダイスの構成により、ダイス主体部材に3つのノード位置を設けることができる。そして、その真中のノード位置に加工孔を配置し、両側のノード位置に架橋部を配置することができる。
請求項13の発明に係るトランスファプレス機は、請求項1乃至12の何れかに記載のダイスを備えたことにより、ダイス主体部材が振動し易い構造となり、ダイス主体部材に超音波振動を効率よく付与することが可能となると共に、ダイスを容易に基台に固定すること可能になる。
請求項14及び15の発明に係るトランスファプレス機によれば、ワーク搬送方向に並んだ複数の加工孔に、1つの超音波振動子で楕円モードの超音波振動を付与することができ、コストダウンが可能になる。しかも、請求項15のトランスファプレス機によればトランスファプレス機の小型化も図られる。
本実施形態に係るトランスファプレス機10は、上型11と下型12とを上下に対向配置して備える。上型11の下面からは、複数のパンチ13が下方に向かって突出しており、それらパンチ13は水平方向に1列に並べられている。
L2=C1/f1/2
で求められている。この結果、超音波振動子23で与えられた超音波振動が、ダイス主体部材40内で往復伝搬されて増幅され、ダイス主体部材40は高効率で振動可能となっている。
超音波振動子23が作動し、しごき加工ダイス19に超音波振動が付与されると、しごき加工ダイス19の長手方向の伸縮と幅方向の伸縮とが交番状に発生し、楕円振動モードの超音波振動がしごき加工ダイス19に伝達する。そして、トランスファプレス機10を稼動すると、打抜きダイス15、深絞りダイス16、再絞り第1ダイス17、再絞り第2ダイス18を経て筒形に成形されたワークが、しごき加工ダイス19の加工孔19Aに押し込まれ、しごき加工が施される。これにより、ワークの筒壁が薄肉にされかつ表面が滑らかになる。ここで、しごき加工ダイス19には、楕円振動モードの超音波振動が付与されているので潤滑性が向上し、低粘度加工油を使用しても高精度なしごき加工を行うことができる。そして、しごき加工が施されたワークはトリミングダイス20でトリミングされ、トランスファプレス機10がワークに施す全ての工程が終了する。
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
13 パンチ
14 基台
19 加工ダイス
19A 加工孔
23 超音波振動子
40 ダイス主体部材
41 振動子固定面
43 スリット
48 架橋部
50 側部支持部材
51 取付孔
53 側方当接部(部分当接部)
54 下面当接部(部分当接部)
Claims (15)
- 楕円振動モードの超音波振動が付加された状態で絞り及び/又はしごき加工を行うためのダイスであって、
直方体状のダイス主体部材と、
前記ダイス主体部材に形成されてパンチが突入する加工孔と、
前記ダイス主体部材のうち前記加工孔の半径方向を向いた法線を有し、その法線方向に振動する超音波振動子が取り付けられる振動子固定面と、
前記ダイス主体部材のうち前記振動子固定面の両隣の1対の側面にそれぞれスリットを挟んで隣接配置されかつ前記スリットの両端又は途中部分に残された架橋部を介して前記ダイス主体部材に連続形成された1対の側部支持部材と、
前記各側部支持部材をダイス固定用の基台に固定するための取付孔とを備え、
前記架橋部は、前記ダイス主体部材のうち振動振幅が最も弱いノード位置に配置され、 前記取付孔は、前記側部支持部材のうち振動振幅が最も弱いノード位置に配置されたことを特徴とするダイス。 - 前記架橋部は、前記ダイス主体部材と前記各側部支持部材との間にそれぞれ1対ずつ設けられたことを特徴とする請求項1に記載のダイス。
- 前記取付孔は、前記各側部支持部材にそれぞれ1対ずつ設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載のダイス。
- 前記側部支持部材の両端に前記架橋部を備え、前記ダイス主体部材の両端を前記架橋部の両端より前記超音波振動子の振動方向に突出させたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のダイス。
- 全体が超硬材料で構成されたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のダイス。
- 前記ダイス主体部材に形成された下孔に超硬材料で形成された筒状のダイス本体を焼嵌し、そのダイス本体の軸心に貫通した孔を前記加工孔としたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のダイス。
- 前記加工孔の開口縁及び/又は内面にダイヤモンドコーティングを施したことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のダイス。
- 前記スリットの端部にはそのスリットの幅より直径が大きい円形孔が形成されたことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のダイス。
- 前記円形孔は、前記スリットを形成するためのワイヤカッタの端部を挿通可能な大きさであることを特徴とする請求項8に記載のダイス。
- 前記スリットの端部を円弧状に折り返したことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のダイス。
- 前記側部支持部材には、前記ダイス固定用の基台との間で互いに当接して、前記ダイス主体部材全体を前記基台から浮かせた状態に保持する部分当接部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載のダイス。
- 前記加工孔は、前記ダイス主体部材のうち前記加工孔の軸方向を法線とした平面の中心部に配置され、前記ダイス主体部材を前記超音波振動子の振動方向で長さL2,L1,L2の3つのブロックに区分した場合に、前記加工孔を中心に有した前記長さL1のブロックの固有振動数をf1、音速をC1、とすると、前記長さL2は、
L2=C1/f1/2
、となるように設定されたことを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載のダイス。 - 請求項1乃至12の何れかに記載のダイスを少なくとも1つ以上備えたことを特徴とするトランスファプレス機。
- 前記加工孔を1つずつ備えた複数の前記ダイス主体部材が、前記超音波振動子の振動方向に連続形成されかつ、それら複数のダイス主体部材がトランスファプレス機のワーク搬送方向に並べられたことを特徴とする請求項13に記載のトランスファプレス機。
- 前記ダイス主体部材のうち振動振幅が最も弱くなる複数のノード位置に複数の前記加工孔が設けられ、それら複数の加工孔がトランスファプレス機のワーク搬送方向に並べられたことを特徴とする請求項13又は14に記載のトランスファプレス機。
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