JP4512221B2 - ヒートシンクを備えた冷却装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、MPU等の電子部品を直接または間接的に冷却するヒートシンクを備えた冷却装置に関するものであり、特にヒートシンクをファン装置からの風で積極的に冷却するタイプの冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ヒートシンクとファン装置とが組み合わされて構成される電子部品冷却装置は、米国特許第5,910,694号、米国特許第5,615,998号等に見られるように公知である。
【0003】
米国特許第5,615,998号等に示されるように、従来の電子部品冷却装置の大部分は、ファン装置から吐き出され放熱フィンから熱を奪って暖まった空気がヒートシンクの全周から四方に吐き出される構造を有している。
【0004】
これに対して米国特許第第5,910,694号の第9図乃至第11図には、ヒートシンクの1辺から空気が吐き出される構造の冷却装置が示されている。
【0005】
また米国特許第5,615,998号や米国意匠特許第403,760号には、ファン装置をヒートシンクに対して取付けるときに、ファン装置のケースをヒートシンクに近付けるだけでファン装置のケースに設けた複数の係合部とヒートシンクに設けた複数の被係合部とが係合する係合構造を備えた電子部品冷却装置が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述の通り、米国特許第5,910,694号に示された従来のヒートシンクを備えた冷却装置では、ヒートシンクのベースはほぼ矩形状を呈している。そして空気の吐出口は、ヒートシンクの一辺に対応して形成されている。吐出口を一方向に限定するのは、冷却装置の周囲に温風に晒されるのが好ましくない部品が配置される場合や、電子機器のケースの外部に温風を排出する場合などに対応するためである。
【0007】
しかしながらこの従来の構造では、吐出口の大きさを大きくして風量を増大することに限界があった。またヒートシンクのベースの形状を小さくして、冷却装置をコンパクトに構成するのが難しかった。
【0008】
本発明の目的は、吐出口の大きさを従来よりも大きくすることができるヒートシンクを備えた冷却装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、従来よりもヒートシンクのベースの形状を小さくすることができるヒートシンクを備えた冷却装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明が改良の対象とするヒートシンクを備えた冷却装置は、輪郭形状が第1及び第2の辺を含む複数の辺を有するベースと、ベースから起立し且つ少なくとも前記第1及び第2の辺に沿って連続して延びる側壁部とを備えたヒートシンクと、ヒートシンクの側壁部が起立する側に配置されてヒートシンクに取付けられたファン装置とを具備する。ヒートシンクには、放熱フィンが設けれていてもいなくてもよい。
【0011】
ファン装置は、複数のブレードを有するインペラと、回転軸に固定されたロータに取付けられたインペラを回転させるモータと、インペラ及びモータを受け入れる開口部を備えたケースと、モータを開口部の中央部に位置決めするようにモータのハウジングとケースとを連結する複数本のウエブとを備えた構造を有している。
【0012】
本発明で用いるヒートシンクのベースは、第1の辺と第2の辺との間の角度がほぼ90°になる形状を有している。そしてヒートシンクの側壁部とファン装置のケースとは、組み合わされた状態で第1の辺及び第2の辺に対向する少なくとも1つの辺に対応する部分に開口部を通して吸引した空気を吐出す吐出口を形成するようにそれぞれ構成されている。
【0013】
このような構成を採用するとベースがほぼ矩形状であれば、第1及び第2の辺に対向する2つの他の辺に対応した部分に吐出口を形成することができ、吐出口の大きさを従来よりも大きくすることができる。
【0014】
また1つの辺に対応する部分に吐出口を形成する場合には、この吐出口に対向する位置に第1及び第2の辺が位置することになり、矩形状のベースを用いる場合よりも第1及び第2の辺が位置する部分のヒートシンクの形状寸法を小さくすることができる。
【0015】
なおベースには、吐出口側に位置して第1及び第2の辺に隣接する第3及び第4の辺を設けるのが好ましい。そしてこの場合には、側壁部に第3及び第4の辺に沿って延びる一対の延長部分を一体に設ける。このようにすると一対の延長部分の長さ及び形状を任意に定めることにより、吐出口の大きさを任意に定めることが可能になる。
【0016】
また一対の延長部分に一対の被係止部を形成する。そしてファン装置のケースには一対の被係止部に係止される一対のフックを一体に設ける。このようにすると、一対のフックを一対の被係止部に係止させるだけで、ファン装置をヒートシンクにしっかりと固定できる。
【0017】
ヒートシンクのベースには、第1及び第2の辺と連続し両者を連結する第5の辺を設けても良い。このようにするとベースの形状をさらに小さくすることができる。
【0018】
ベースが、第3及び第4の辺と連続し、第1及び第2の辺との間の角度がほぼ90°になる第6及び第7の辺を備えている場合には、第6及び第7の辺に対応した部分に吐出口を形成できるので、吐出口の大きさを従来の約2倍近くにすることができる。
【0019】
またベースを、第3及び第4の辺と連続し第5の辺とほぼ平行に延びる第6の辺を備えた形状にすると、第6の辺に対応した部分に吐出口が形成されることになる。このようにすると吐出口の大きさは、あまり大きくできないが、従来と比べてベースの形状寸法を小さくすることができる。
【0020】
ファン装置のケースは、ベースの輪郭形状とほぼ同じ形状でベースの第1乃至第5の辺に対応する第1及び第5の辺を有する輪郭形状を有しているものを用いるのが好ましい。そしてこの場合には、1つのウエブをケースの第5の辺に向かって延ばす。そしてこの1つのウエブ内にモータに電力を供給する電力供給用導体(ケーブル導体を含む)を収納する。このようにすると電力供給用導体を吐出口とは反対側から引き出すことができ、冷却装置の電子機器のケース内への装着が容易になる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。図1は本発明のヒートシンクを備えた冷却装置の実施の形態の一例の正面図、図2は図1のII−II線断面図である。図3(A)乃至(C)は、この実施の形態で用いることができるヒートシンクの正面図、平面図及び左側面図である。これらの図において、1で示す部材はMPU(電子部品)やヒートパイプ等の被冷却部材を直接冷却したり、電子機器のケースの内部の空気を外部に排出することにより電子機器のケースの内部を冷却するヒートシンクを備えた冷却装置である。3で示す部材はアルミニウム製のヒートシンクであり、5で示す部材は軸流送風機を用いたファン装置である。この冷却装置1は、ヒートシンク3にファン装置5が取付けられて構成されている。
【0022】
図3に示すようにヒートシンク3は、正面から見た輪郭形状が第1及び第2の辺7及び9を含む8つの辺7〜21を有するベース4を有している。第1の辺7と第2の辺9との間に挟まれる角度はほぼ90°(理想的には90°)である。ベース4は、第1及び第2の辺7及び9に隣接して第3及び第4の辺11及び13を備えており、また第1及び第2の辺7及び9の間に両者をつなげる第5の辺15を備えている。さらにベース4は、第1及び第2の辺7及び9と対向する位置に、これらの辺との間の角度が90°になる第6及び第7の辺17及び19を備えており、また第6及び第7の辺17及び19をつなげる第8の辺21を備えている。
【0023】
ヒートシンク3には、ベース4から起立し且つ第1及び第2の辺7及び9に沿って連続して延びる側壁部23が一体に設けられている。側壁部23は、第3及び第4の辺11及び13に沿って延びる一対の延長部分23a及び23bを一体に備えている。また第3及び第4の辺11及び13には、後に説明するファン装置5のケースに設けたフックが係止される一対の被係止部25及び27が形成されている。被係止部25及び27は、ベース4が延びる方向と平行な方向に延びる係止面25a及び27aを備えている。
【0024】
ファン装置5は、図1及び図2に示されるように、11枚のブレード29…を有するインペラ31と、回転軸30に固定されたインペラ31を回転させるモータ33と、インペラ31及びモータ33を受け入れる吸引用の開口部35を備えたケース37と、モータ33を吸引用の開口部35の中央部に位置決めするようにモータ33のハウジング34とケース37とを連結する3本のウエブ39〜43とを備えている。ファン装置5のケース37は、正面から見てベース4の輪郭形状とほぼ同じ形状でベース4の第1乃至第8の辺7乃至21に対応する第1及び第8の辺を有する輪郭形状を有している。そして1つのウエブ43は、ベース4の第5の辺15に対応するケース37の第5の辺に向かって延びている。そしてこの1つのウエブ43内には、モータ33に電力を供給するケーブル44がが収納されている。このようにするとケーブル44を後述する吐出口45とは反対側から引き出すことができる。
【0025】
この例では、ケース37、モータ33のハウジング34及び3本のウエブ39〜43は合成樹脂材料を主成分とする成形材料により一体に成形されている。なおモータ33の内部の構造は特開平8−83873号公報に詳しく説明されているので説明は省略する。
【0026】
インペラ31のブレード29…は、モータ33の回転軸の軸線方向の一方の方向から吸引用の開口部35を通してベース4側に吸引した空気を積極的にモータ33の回転軸30の径方向に吐き出すように構成されている。もちろんこのファンは軸流送風器であるため、吸引した空気の一部は当然にして軸線方向に(ベース4に向かって)流れる。
【0027】
ケース37は、ヒートシンク3のベース4の表面と間隔をあけて対向する平板形状を有している。そしてベース4に設けられた側壁部23とファン装置5のケース37とは、組み合わされた状態でベース4の第1の辺7及び第2の辺9に対向する第6乃至第8の辺17〜21に対応する部分に開口部35を通して吸引した空気を吐出す吐出口45を形成するようにそれぞれ構成されている。ケース37には、ヒートシンク3の側壁部23に形成された一対の被係止部25及び27の係止面25a及び27aに係止される一対のフック36及び38が一体に設けられている。なおこのフックを用いた係止構造については、米国特許第5,615,998号等に示されている。
【0028】
回転するブレード29…から吐き出された空気は、側壁部23に沿って流れて吐出口45から吐出される。なお図1には、ヒートシンク3から流れ出る空気の流れを矢印で示してある。理解を容易にするために、この実施の形態の冷却装置の六面図を図4に示す。図4(C)の正面図では、側壁部23の存在を破線で示してある。
【0029】
図5は本発明のヒートシンクを備えた冷却装置の第2の実施の形態の正面図、図6は図5のVI−VI線断面図である。図7(A)乃至(C)は、この実施の形態で用いることができるヒートシンクの正面図、平面図及び左側面図である。これらの図においては、図1乃至図3に示した部材と同様の部材には、図1乃至図3に付した符号に100の数を加えた符号を付してある。この実施の形態では、ヒートシンク103のベース104がいわゆる野球のベースに似た形状を有している。このヒートシンク103のベース104は、第3及び第4の辺111及び113の長さが長く、第6の辺121が第3及び第4の辺111及び113をつなぎ且つ第5の辺115と対向する位置にある。
【0030】
この例では、第6の辺121に対応した部分に吐出口145が形成されることになる。このようにすると吐出口145の大きさは、あまり大きくできないが、従来と比べてベース104の形状寸法を小さくすることができる。なお理解を容易にするために、この実施の形態の冷却装置の六面図を図8に示す。図8(C)の正面図では、側壁部123の存在を破線で示してある。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、ベースがほぼ矩形状であれば、第1及び第2の辺に対向する他の辺に対応した部分に吐出口を形成することができるので、吐出口の大きさを従来よりも大きくすることができる利点がある。
【0032】
また1つの辺に対応する部分に吐出口を形成する場合には、この吐出口に対向する位置に第1及び第2の辺が位置することになり、矩形状のベースを用いる場合よりも第1及び第2の辺が位置する部分のヒートシンクの形状寸法を小さくすることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヒートシンクを備えた冷却装置の実施の形態の一例の正面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】(A)乃至(C)は、この実施の形態で用いることができるヒートシンクの正面図、平面図及び左側面図である。
【図4】 (A)乃至(F)は、図1の実施の形態の冷却装置の平面図、左側面図、正面図、右側面図、底面図及び背面図である。
【図5】本発明のヒートシンクを備えた冷却装置の第2の実施の形態の一例の正面図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】(A)乃至(C)は、第2の実施の形態で用いることができるヒートシンクの正面図、平面図及び左側面図である。
【図8】 (A)乃至(F)は、図5の実施の形態の冷却装置の平面図、左側面図、正面図、右側面図、底面図及び背面図である。
【符号の説明】
1 冷却装置
3 ヒートシンク
4 ベース
7 第1の辺
9 第2の辺
11 第3の辺
13 第4の辺
15 第5の辺
17 第6の辺
19 第7の辺
21 第8の辺
23 側壁部
5 ファン装置
29 ブレード
31 インペラ
33 モータ
35 開口部
37 ケース
45 吐出口

Claims (4)

  1. 全体がほぼ矩形であり且つ対向する一対の角に面取りが施された輪郭形状を有して第1及び第2の辺を含む複数の辺を有するベースと、前記ベースから起立し且つ少なくとも前記第1及び第2の辺に沿って連続して延びる側壁部とを備えたヒートシンクと、
    前記ヒートシンクの前記側壁部が起立する側に配置されて前記ヒートシンクに取付けられたファン装置とを具備し、
    前記ファン装置が、複数のブレードを有するインペラと、回転軸に固定されたロータに取付けられた前記インペラを回転させるモータと、前記インペラ及び前記モータを受け入れる開口部を備えたケースと、前記モータを前記開口部の中央部に位置決めするように前記モータのハウジングと前記ケースとを連結する複数本のウエブとを備えた構造を有するヒートシンクを備えた冷却装置であって、
    前記ヒートシンクの側壁部と前記ファン装置の前記ケースとは、組み合わされた状態で前記第1の辺及び前記第2の辺とに対向する1以上の辺に対応する部分に前記開口部を通して吸引した空気を吐出す吐出口を形成するようにそれぞれ構成されており、
    前記ベースは前記吐出口側に位置して、前記面取りが施されて形成された、前記第1の辺に隣接するが前記第2の辺には隣接しない第3の辺と、前記第2の辺に隣接するが前記第1の辺には隣接しない第4の辺を備えており、前記ベースは前記第1及び第2の辺と連続し両者を連結する第5の辺を備え、さらに前記ベースは前記第3の辺と連続するが前記第4の辺とは連続しない第6の辺と、前記第4の辺と連続するが前記第3の辺とは連続しない第7の辺とを備えており、
    前記側壁部は前記第3及び第4の辺に沿って延びている一対の延長部分を一体に備えており、
    前記ケースに前記ファン装置が固定されていることを特徴とするヒートシンクを備えた冷却装置。
  2. 前記一対の延長部分には一対の被係止部が形成され、
    前記ケースには前記一対の被係止部に係止される一対のフックが一体に設けられ、
    前記ファン装置は前記一対のフックが前記一対の被係止部に係止された状態で、前記ヒートシンクに固定されていることを特徴とする請求項1に記載のヒートシンクを備えた冷却装置。
  3. 前記ベースは、前記第3及び第4の辺と連続し前記第5の辺とほぼ平行に延びる第の辺を備えている請求項に記載のヒートシンクを備えた記載の冷却装置。
  4. 前記ファン装置の前記ケースは、前記ベースの輪郭形状とほぼ同じ形状で前記第1乃至第5の辺にそれぞれ対応する第1乃至第5の辺を有する輪郭形状を有しており、
    1つの前記ウエブは前記ケースの前記第5の辺に向かって延びており、
    前記1つのウエブ内に前記モータに電力を供給する電力供給用導体が収納されている請求項に記載のヒートシンクを備えた冷却装置。
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