JP4510143B2 - スクロール式流体機械の組立方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば空気、冷媒等の圧縮機または真空ポンプ等として好適に用いられるスクロール式流体機械の組立方法に関する。
一般に、スクロール式流体機械は、電動モータ等の回転源で駆動軸を回転駆動し、旋回スクロールを固定スクロールに対し一定の偏心寸法をもって旋回運動させることにより、固定スクロールの外周側に設けた吸込口から空気等の流体を吸込みつつ、この流体を固定スクロールのラップ部と旋回スクロールのラップ部との間の各圧縮室内で順次圧縮し、固定スクロールの中心部に設けた吐出口から圧縮流体を外部に向けて吐出するものである。
そして、このような従来技術によるスクロール式流体機械としては、圧力流体(例えば、圧縮空気)量を増やすために下記の如く所謂ツインラップ型のスクロールとして構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−293966号公報
即ち、ツインラップ型のスクロール式流体機械は、筒状のケーシングと該ケーシングの長さ方向両側に設けられ鏡板の表面に渦巻状のラップ部がそれぞれ立設された第1,第2の固定スクロールとからなる固定側部材と、前記第1,第2の固定スクロール間に位置して前記ケーシングに設けられた回転源と、前記ケーシング内に回転可能に設けられた中空軸体からなり該回転源により回転駆動される回転軸と、該回転軸の内周側に隙間をもって挿通され該回転軸の軸線に対し予め決められた寸法だけ偏心した偏心軸と、前記回転軸の軸方向両側に位置して該偏心軸と回転軸との間に設けられ該偏心軸を旋回可能に支持する第1,第2の旋回軸受と、前記固定スクロールと対面する位置で前記偏心軸の両端側に固定して設けられ鏡板の表面に前記第1,第2の固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成するラップ部が立設された第1,第2の旋回スクロールとを備えて構成される。
そして、このようなスクロール式流体機械を圧縮運転するときには、電動モータ等の回転源に給電を行って回転軸を回転駆動することにより、偏心軸の両端側に連結された第1,第2の旋回スクロールを各固定スクロールに対して旋回運動させ、両者の間の各圧縮室を連続的に縮小させることによって空気等の流体を圧縮するものである。
ところで、上述した従来技術では、旋回スクロールを旋回駆動するときに捩り力が偏心軸に作用することになるので、この偏心軸を捩り剛性等が高い強度部材により形成しており、これによって偏心軸は、どうしても重量の重い軸となってしまうのが実状である。
しかし、スクロール式流体機械の組立工程においては、重量物である偏心軸を、先に第1,第2の旋回軸受を介して回転軸の内周側に組付け、その後に回転軸の外周側に電動モータのステータや筒状のケーシング等を予め決められた手順で組付ける構成としている。
このため、従来技術では、重量物である偏心軸を回転軸の内周側に組付けた状態で、その後の組立て作業を行う必要があり、これによって組立作業者の負担が大きくなり、装置全体を組立てるときの作業性を向上することができないという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、重量物である偏心軸の組付け作業を、ケーシングや回転源等の組付けよりも後の工程で行うことによって、組立作業者の負担を軽減でき、作業性を向上することができるようにしたスクロール式流体機械の組立方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用するスクロール式流体機械の組立方法は、筒状のケーシングと該ケーシングの長さ方向両側のうち少なくとも一方側に設けられ鏡板の表面に渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールとからなる固定側部材と、前記ケーシング内に回転可能に設けられた中空軸体からなる筒状回転体と、前記ケーシングと前記筒状回転体との間に位置して該筒状回転体を回転駆動する回転源と、前記筒状回転体の内周側に隙間をもって挿通され該筒状回転体の軸線に対し予め決められた寸法だけ偏心した偏心軸と、前記筒状回転体の軸方向端部に位置して該偏心軸と筒状回転体との間に設けられ該偏心軸を旋回可能に支持する旋回軸受と、前記固定スクロールと対面する位置で前記偏心軸の端部に固定して設けられ鏡板の表面に前記固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成するラップ部が立設された旋回スクロールとを備えてなるスクロール式流体機械において、前記旋回軸受は、前記筒状回転体の内周側に嵌合して設けられ該筒状回転体と一体に回転する外輪と、前記偏心軸の外周側に設けられ該偏心軸と一体に旋回動作する内輪と、該内輪と外輪との間に転動可能に設けられ前記外輪に対して抜止め可能に取付けられる複数の転動体とにより構成し、前記偏心軸の外径のうち、前記旋回軸受の各転動体の内側に挿通される箇所の最大径および前記内輪の外径は、前記旋回軸受の各転動体の内側の径よりも小さくなるように構成し、前記筒状回転体の内周側には予め前記旋回軸受の外輪と各転動体とを嵌合し、前記筒状回転体の外周側に前記回転源、ケーシングを組付けた後、前記偏心軸は、その外周側に前記旋回軸受の内輪を予め設けた状態で前記旋回軸受の外輪と各転動体との内側に挿通して組付けることを特徴としている。
一方、請求項の発明が採用するスクロール式流体機械の組立方法は、筒状のケーシングと該ケーシングの長さ方向両側に設けられ鏡板の表面に渦巻状のラップ部が立設されたそれぞれ第1,第2の固定スクロールとからなる固定側部材と、前記ケーシング内に回転可能に設けられた中空軸体からなる筒状回転体と、前記第1,第2の固定スクロール間であって、前記ケーシングと筒状回転体との間に位置して前記筒状回転体を回転駆動する回転源と、前記筒状回転体の内周側に隙間をもって挿通され該筒状回転体の軸線に対し予め決められた寸法だけ偏心した偏心軸と、前記筒状回転体の軸方向両側に位置して該偏心軸と筒状回転体との間に設けられ該偏心軸を旋回可能に支持する第1,第2の旋回軸受と、前記第1,第2の固定スクロールと対面する位置で前記偏心軸の両端側に固定して設けられ鏡板の表面に前記第1,第2の固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成するラップ部が立設された旋回スクロールとを備えてなるスクロール式流体機械において、前記第1,第2の旋回軸受は、前記筒状回転体の内周側に嵌合して設けられ該筒状回転体と一体に回転する外輪と、前記偏心軸の外周側に設けられ該偏心軸と一体に旋回動作する内輪と、該内輪と外輪との間に転動可能に設けられ前記外輪に対して抜止め可能に取付けられる複数の転動体とにより構成し、前記偏心軸の外径のうち、前記旋回軸受の各転動体の内側に挿通される箇所の最大径および前記内輪の外径は、前記旋回軸受の各転動体の内側の径よりも小さくなるように構成し、前記旋回軸受は、前記外輪を各転動体と一緒に前記筒状回転体の内周側に予め取付け、前記内輪を前記偏心軸の外周側に予め取付ける構成とし、前記筒状回転体の内周側に前記偏心軸を挿通するときに、該偏心軸に取付けた前記内輪を前記外輪と各転動体との内側に配置することを特徴としている。
上述の如く、請求項1に記載の発明によれば、偏心軸の外周側に旋回軸受の内輪を一体または別体に予め設けた状態で、この偏心軸を旋回軸受の外輪と各転動体との内側に挿通すると共に、前記偏心軸の外径のうち、前記旋回軸受の各転動体の内側に挿通される箇所の最大径および前記内輪の外径は、前記旋回軸受の各転動体の内側の径よりも小さくなるように構成し、筒状回転体の内周側には予め前記旋回軸受の外輪と各転動体とを嵌合し、前記筒状回転体の外周側に回転源、ケーシングを組付けた後、前記偏心軸は、その外周側に前記旋回軸受の内輪を予め設けた状態で前記旋回軸受の外輪と各転動体との内側に挿通して組付けているので、中空軸体(回転軸)からなる筒状回転体の外周側に回転源、ケーシング等を先に組付けた後に、筒状回転体の内周側に偏心軸を組付けることができ、重量物である偏心軸の組付け作業を後の工程とすることができる。これによって、組立作業者の負担を確実に軽減できると共に、組立時の作業性を向上することができる。
この場合、筒状回転体の内周側には予め旋回軸受の外輪と各転動体とを嵌合し、前記筒状回転体の外周側に回転源、ケーシングを組付けた後、前記偏心軸を組付けているので、中空軸体からなる筒状回転体の外周側に回転源、ケーシング等を先に組付けた後に、筒状回転体の内周側に偏心軸を組付けることができ、重量物である偏心軸の組付け作業を、回転源、ケーシング等の組付け作業よりも後の工程とすることができる。従って、スクロール式流体機械の組立作業者は、例えば回転軸となる筒状回転体の外周側に回転源、ケーシング等を組付ける作業を、重量物である偏心軸の組付け前に行うことができ、これによって、組立作業者の負担を確実に軽減できると共に、組立時の作業性を向上することができる。
また、請求項に記載の発明は、ケーシングの長さ方向両側に設けた第1,第2の固定スクロールの間には、前記ケーシング内に位置して電動モータ等からなる回転源を設ける構成とし、偏心軸の軸方向両端側には、前記第1,第2の固定スクロールと対面する位置に第1,第2の旋回スクロールを設けているので、例えば第1の固定スクロールと第1の旋回スクロールとの間には第1の圧縮室を画成することができ、第2の固定スクロールと第2の旋回スクロールとの間には第2の圧縮室を画成することができる。これにより、所謂ツインラップ型のスクロール式流体機械を構成でき、前記第1の圧縮室と第2の圧縮室を用いて圧縮空気等の圧力流体量を増大することができる。そして、このようなツインラップ型のスクロール式流体機械においても、組立作業者の負担を確実に軽減でき、組立時の作業性を向上することができる。
しかも、旋回軸受は、外輪を各転動体と一緒に筒状回転体の内周側に予め組付けた状態で該筒状回転体の内周側に偏心軸を挿通するときに、該偏心軸に設けた内輪を前記外輪と各転動体との内側に配置して組立てるようにしているので、請求項1に記載の発明と同様に重量物である偏心軸の組付け作業を、回転源、ケーシング等の組付け作業よりも後の工程とすることができ、組立時の作業性を向上することができる。
以下、本発明の実施の形態によるスクロール式流体機械の組立方法として、ツインラップ型のスクロール式空気圧縮機を例に挙げ、添付図面の図1ないし図10に従って詳細に説明する。
図中、1はスクロール式空気圧縮機の外枠を構成する筒状のケーシングで、該ケーシング1は、図1ないし図3に示す如く軸線O1 −O1 に沿って軸方向に延び、後述の固定スクロール7A,7Bと共に固定側部材を構成するものである。そして、ケーシング1は、軸線O1 −O1 を中心とした略円筒体からなる筒形ケース2と、該筒形ケース2の左,右両側に取付けられた左,右の側部ケース3A,3Bとにより構成されている。
この場合、筒形ケース2の軸方向一側(図1中の左側)に位置する第1の側部ケース3Aは、図2に示す如く、例えばボルト等の締結手段を用いて筒形ケース2の軸方向一側(左側)に着脱可能に固定して取付けられ、内周側に後述の回転軸受20Aが設けられた環状部4Aと、該環状部4Aの外周側から筒状をなして軸方向に延設された筒状部5Aとにより構成されている。
一方、筒形ケース2の軸方向他側(図1中の右側)に位置する第2の側部ケース3Bは、図3に示す如く、例えばボルト等の手段を用いて筒形ケース2の軸方向他側(右側)に着脱可能に固定して取付けられ、内周側に後述の回転軸受20Bが設けられた環状部4Bと、該環状部4Bの外周側から筒状をなして軸方向に延設された筒状部5Bとにより構成されている。
そして、第1,第2の側部ケース3A,3Bには、筒状部5A,5Bの先端側に後述する第1,第2の固定スクロール7A,7Bが一体または別体で固定して設けられている。また、側部ケース3A,3Bと固定スクロール7A,7Bとの間には、後述の冷却ファン36A,36Bと第1,第2の旋回スクロール29A,29Bとが収容されるものである。
ここで、ケーシング1の一側(左側)に位置する第1の側部ケース3Aは、第1の固定スクロール7A、第1の旋回スクロール29A等と共に低圧段の圧縮部である低圧スクロール部6Aを構成している。また、ケーシング1の他側(右側)に位置する第2の側部ケース3Bは、第2の固定スクロール7B、第2の旋回スクロール29B等と共に高圧段の圧縮部である高圧スクロール部6Bを構成しているものである。
なお、本実施の形態にあっては、低圧スクロール部6Aと高圧スクロール部6Bとが同一の構成要素を有しているので、以下の説明では、低圧スクロール部6Aの構成要素に符号「A」を付し、高圧スクロール部6Bの構成要素には符号「B」を付して説明する。また、低圧スクロール部6Aと高圧スクロール部6Bとで説明が重複するのを避けるため、主に低圧スクロール部6Aの構成要素について説明し、高圧スクロール部6Bの構成要素については説明を省略するものとする。
7Aはケーシング1の側部ケース3Aの筒状部5Aに設けられた低圧段の固定スクロールで、該固定スクロール7Aは、図1、図2に示す如く、略円板状に形成され、その中心がケーシング1の軸線O1 −O1 と一致するように配設された鏡板8Aと、該鏡板8Aの表面に立設された渦巻状のラップ部9Aと、鏡板8Aの外周側から該ラップ部9Aを取囲むように軸方向に突出した筒部10Aと、該筒部10Aから径方向外向きに突出し、側部ケース3Aの筒状部5Aにボルト等を用いて着脱可能に取付けられたフランジ部11Aとにより構成されている。
ここで、鏡板8Aの外周側には、例えば空気等の流体を吸込む吸込口12Aが図1、図2中に点線で示す如く設けられ、鏡板8Aの中心側には圧縮空気の吐出口13Aが設けられている。また、鏡板8Aの裏面には、複数の冷却フィン14Aが立設され、これらの冷却フィン14Aに沿って後述の冷却風が矢示A2 方向に流通するものである。
なお、図3に示す側部ケース3Bの筒状部5B側に設けられた第2(高圧段)の固定スクロール7Bについても、低圧段の固定スクロール7Aとほぼ同様に、鏡板8B、ラップ部9B、筒部10B、フランジ部11B等により構成され、鏡板8Bには、吸込口12Bと吐出口13Bとが設けられている。また、鏡板8Bの背面側には、冷却風の流れ方向(図1中の矢示B2 方向)に沿って垂直方向に延びる複数の冷却フィン14Bが立設されている。
15はケーシング1の筒形ケース2内に設けられた回転源としての電動モータで、該電動モータ15は、図1に示す如く、低圧段の固定スクロール7Aと高圧段の固定スクロール7Bとの間に配置され、筒形ケース2の内周側に固定された筒状のステータ16と、該ステータ16の内周側に回転可能に配設された筒状のロータ17等とにより構成されている。そして、電動モータ15は、外部から給電されることにより、後述の筒状回転体18を軸線O1 −O1 を中心として回転駆動するものである。
18はケーシング1に回転可能に設けられた筒状回転体で、該筒状回転体18は、図1に示す如く後述の回転軸19と左,右の偏心筒体21A,21Bとにより構成されている。そして、これらの偏心筒体21A,21Bは、軸線O1 −O1 を中心として回転軸19と一体に回転駆動されるものである。
19は筒状回転体18の主要部となる回転軸で、該回転軸19は、例えば段付円筒状の中空軸体からなり、軸方向の中間部位が電動モータ15のロータ17内に嵌着されている。そして、回転軸19は、電動モータ15により軸線O1 −O1 を中心としてロータ17と一体に回転駆動されるものである。
20Aは側部ケース3Aの環状部4A内に設けられた左側(第1)の回転軸受で、該回転軸受20Aは、例えば図1、図2に示すように玉軸受等により構成され、環状部4A内で回転軸19を回転可能に支持するものである。そして、回転軸受20Aは、その外輪側が環状部4Aの内周側にやき嵌め(ヤキバメ)等の手段を用いて固定され、内輪側は回転軸19の外周側に圧入等の手段を用いて固定されている。この場合、側部ケース3Bの環状部4B側に設けられる右側(第2)の回転軸受20Bについても、第1の回転軸受20Aと同様の構成を有するものである。
21Aは回転軸19の軸方向一側に設けられた左側(第1)の偏心筒体で、該偏心筒体21Aは、回転軸19の外周側に嵌合して設けられ、回転軸受20Aの内輪側を抜止め状態に保持している。そして、偏心筒体21Aは、ケーシング1の軸線O1 −O1 を中心として回転軸19と一体に回転駆動されるものである。
ここで、偏心筒体21Aの内周側には、後述する旋回軸受23Aの外輪24Aが固定して設けられ、旋回軸受23Aは、回転軸19等の軸線O1 −O1 に対して寸法δだけ偏心した偏心軸線O2 −O2 上に配置されるものである。また、回転軸19の軸方向他側に設けられる右側(第2)の偏心筒体21Bについても、第1の偏心筒体21Aと同様の構成を有するものである。
22は筒状回転体18の内周側に隙間をもって挿通された偏心軸で、該偏心軸22は、例えば捩り剛性等が高い段付円柱状の軸体(強度部材)により大きな重量をもって形成されている。また、偏心軸22の両端側は、回転軸19から軸方向に突出する小径円柱状のクランク部22A,22Bとなり、これらの間は中間軸部22Cとなっている。そして、これらのクランク部22A,22Bには、後述する旋回スクロール29A,29Bのボス部32A,32Bが固定して設けられる。また、偏心軸22は、中間軸部22Cの外径が、後述する内輪25A,25Bの外径よりも小さく形成されている。
ここで、偏心軸22は、筒状回転体18の偏心筒体21A,21B内に後述の旋回軸受23A,23Bを介して相対回転可能に取付けられ、回転軸19等の軸線O1 −O1 に対して寸法δだけ偏心した偏心軸線O2 −O2 上に配置されている。そして、偏心軸22は、筒状回転体18(回転軸19)が回転するときに、旋回スクロール29A,29Bと一緒に旋回運動するものである。
23Aは筒状回転体18の偏心筒体21A内で偏心軸22を回転可能に支持する左側(第1)の旋回軸受で、該旋回軸受23Aは、例えばローラ軸受、ニードル軸受等のころ軸受を用いて構成され、例えば玉軸受を用いた場合よりも径方向寸法を小さくし、小型化して形成できるものである。
そして、旋回軸受23Aは、偏心筒体21Aの内周側に圧入して設けられ偏心筒体21Aと一体に回転する外輪24Aと、偏心軸22(クランク部22A)の外周側にやき嵌め等の手段で嵌合して設けられ偏心軸22と一体に旋回動作する内輪25Aと、該内輪25Aと外輪24Aとの間に転動可能に設けられる転動体としての複数のローラ26Aとにより構成されている。
ここで、旋回軸受23Aの各ローラ26Aは、例えば保持器(図示せず)等を用いて外輪24Aの内周側に抜止め状態で取付けられ、旋回軸受23Aの内輪25Aは、各ローラ26Aの内側から容易に取外せるものである。即ち、旋回軸受23Aの内輪25Aは、図9に例示するように偏心軸22の軸線O2 −O2 に沿って軸方向に変位(スライド)させることにより、外輪24A、ローラ26Aの内周側から離脱されるものである。
また、偏心軸22の軸方向他側に設けられる右側(第2)の旋回軸受23Bについても、第1の旋回軸受23Aと同様に構成され、外輪24B、内輪25Bおよび複数のローラ26Bを有するものである。そして、第1,第2の旋回軸受23A,23Bは、偏心軸22のクランク部22A,22Bに内輪25A,25Bを予め取付けた状態で、図9に示す如く外輪24A,24B、各ローラ26A,26Bの内側に偏心軸22を挿通することにより、内輪25A,25Bが各ローラ26A,26Bの内側にすきま嵌めで組付けられる。この場合、偏心軸22の外径のうち、旋回軸受23A,23Bの各ローラ26A,26Bの内側に挿通される箇所の最大径(例えば、中間軸部22Cの外径)、内輪25A,25Bの外径は、旋回軸受23A,23Bの各ローラ26A,26Bの内側の径よりも小さくなるように構成されている。
即ち、第1,第2の旋回軸受23A,23Bは、前記外輪24A,24Bを各ローラ26A,26Bと一緒に偏心筒体21A,21Bの内周側に予め組付けた状態で、これらの内周側に偏心軸22を図9に示すように挿通するときに、偏心軸22のクランク部22A,22Bに取付けた内輪25A,25Bを外輪24A,24Bと各ローラ26A,26Bの内側に径方向で対向配置することにより組立てられるものである。
27Aは旋回軸受23Aの外輪24Aと共に偏心筒体21Aの内周側に嵌合して取付けられる第1のシール部材で、該シール部材27Aは、例えば環状のリップシール等により構成され、後述の摺接リング28Aに摺接することにより旋回軸受23Aをシール状態に保持している。即ち、シール部材27Aは、旋回軸受23A内の潤滑油(例えば、グリース等)が後述の旋回スクロール29A側に漏洩するのを防ぐと共に、外部の塵埃等が旋回軸受23A内に侵入するのを防ぐものである。
28Aは旋回軸受23Aの内輪25Aと共に偏心軸22のクランク部22Aの外周側に嵌合して設けられた第1の摺接リングで、該摺接リング28Aは、図2に示す如くシール部材27Aと径方向で対向する位置に配設され、その外周面にシール部材27Aが摺接するものである。そして、摺接リング28Aは、旋回軸受23Aの内輪25Aと同一または僅かに小さい外径をもって形成されている。
また、偏心筒体21Bの内周側に設けられる右側(第2)のシール部材27Bについても、第1のシール部材27Aと同様に構成されるものである。そして、第2のシール部材27Bは、図3に示す如く偏心軸22のクランク部22Bに設けた摺接リング28Bに摺接することにより、旋回軸受23Bをシール状態に保持するものである。
29Aは固定スクロール7Aと対面して側部ケース3A内に旋回可能に設けられた第1(低圧段)の旋回スクロールで、該旋回スクロール29Aは、図1、図2に示す如く略円板状に形成された鏡板30Aと、該鏡板30Aの表面に立設された渦巻状のラップ部31Aと、鏡板30Aの裏面に立設された筒状のボス部32Aとにより大略構成されている。また、鏡板30Aの裏面には、複数の冷却フィン33Aが立設されている。
ここで、固定スクロール7Bと対面して側部ケース3B内に旋回可能に設けられる第2(高圧段)の旋回スクロール29Bについても、第1の旋回スクロール29Aとほぼ同様に構成され、鏡板30B、ラップ部31B、ボス部32Bおよび冷却フィン33B等を有している。
そして、第1,第2の旋回スクロール29A,29Bは、そのラップ部31A,31Bが固定スクロール7A,7Bのラップ部9A,9Bと所定の角度(例えば、180度)だけずらして重なり合うように配設される。これにより、低圧スクロール部6A側では、ラップ部9A,31A間に複数の圧縮室34Aが画成される。また、高圧スクロール部6B側では、ラップ部9B,31B間に複数の圧縮室34Bが画成されるものである。
この場合、旋回スクロール29A,29Bのボス部32A,32Bは、偏心軸22のクランク部22A,22Bにそれぞれボルト(図示せず)等を用いて一体に固定されている。そして、旋回スクロール29A,29Bは、電動モータ15により筒状回転体18、偏心軸22および旋回軸受23A,23B等を介して駆動され、偏心量(寸法δ)に対応する一定の旋回半径をもって旋回運動を行う。これにより、各圧縮室34A,34B内では、後述の如く空気を順次圧縮するものである。
35は低圧段の固定スクロール7Aと旋回スクロール29Aとの間に設けられた自転防止機構としての補助クランクで、該補助クランク35は、固定スクロール7Aの周方向に離間して複数個(例えば、3個)設けられ、電動モータ15により旋回スクロール29A,29Bを旋回駆動するときに、これらの旋回スクロール29A,29Bが自転するのを防止するものである。
また、補助クランク35は、スラスト荷重受承手段を構成し、前記圧縮室34A,34B内に発生する圧縮空気の圧力差等で偏心軸22、旋回スクロール29A,29Bに発生する軸方向のスラスト荷重を受承するものである。このため、回転軸19の内側で偏心軸22が軸線O2 −O2 に沿って軸方向に変位することはなく、固定スクロール7A,7Bと旋回スクロール29A,29Bとの間のスラスト方向ギャップも、補助クランク35によってほぼ一定に保持されるものである。
36Aは筒状回転体18の軸方向一側に設けられた第1の冷却ファンで、該冷却ファン36Aは、例えば遠心ファン等からなり、図1、図2に示す如く偏心筒体21Aの外周側に嵌合して設けられている。そして、冷却ファン36Aは、軸線O1 −O1 を中心として偏心筒体21Aと一体に回転され、矢示A1 ,A1 方向の冷却風を発生させるものである。
また、筒状回転体18の軸方向他側には、第2の冷却ファン36Bが設けられている。そして、該冷却ファン36Bは、第1の冷却ファン36Aと同様に構成され、偏心筒体21Bと一体に回転することにより、矢示B1 ,B1 方向の冷却風を発生させるものである。この場合、冷却ファン36A,36Bは、ケーシング1内で側部ケース3A,3B内に収容され、電動モータ15と旋回スクロール29A,29Bとの間に配置されている。
37Aは側部ケース3A内に設けられた第1の仕切板で、該仕切板37Aは、例えば環状の金属板、樹脂板等からなり、旋回スクロール29Aと冷却ファン36Aとの間で矢示A1 方向に流れる冷却風の流れを調整するものである。また、側部ケース3B内には、第2の仕切板37Bが設けられている。そして、該仕切板37Bは、第1の仕切板37Aと同様に構成され、旋回スクロール29Bと冷却ファン36Bとの間で矢示B1 方向に流れる冷却風の流れを調整するものである。
ここで、側部ケース3A,3Bの筒状部5A,5Bには、冷却風の流通穴38A,38Bがそれぞれ複数個設けられ、これらの流通穴38A,38Bは、冷却ファン36A,36Bの回転により外気の流入口(図示せず)等から吸込んだ空気を、それぞれ矢示A1 ,B1 方向の冷却風として後述の固定スクロール用ダクト39A,39Bおよび冷却器40等に向け流通させるものである。
39Aは側部ケース3Aの下部側に設けられた第1(低圧段)の固定スクロール用ダクトで、該固定スクロール用ダクト39Aは、例えば中空のボックス状に形成され、下側の流通穴38Aを覆う位置から固定スクロール7Aの冷却フィン14Aの位置まで延びている。また、側部ケース3Bの下部側には、第2(高圧段)の固定スクロール用ダクト39Bが設けられている。
そして、該固定スクロール用ダクト39Bは、第1の固定スクロール用ダクト39Aとほぼ同様に、下側の流通穴38Bを覆う位置から固定スクロール7Bの冷却フィン14Bの位置まで延びている。この場合、固定スクロール用ダクト39A,39Bは、下側の流通穴38A,38Bから流出される冷却風を固定スクロール7A,7Bの裏面側にそれぞれ導くことにより、図1中の矢示A2 ,B2 方向に流れる冷却風で鏡板8A,8B等を冷却するものである。
40はケーシング1(筒形ケース2)の上側に設けられた冷却器で、該冷却器40は、例えば低圧段の圧縮室34Aから吐出されて高圧段の圧縮室34Bに吸込まれる中間圧の圧縮空気を冷却するインタークーラと、圧縮室34Bから吐出される高圧の圧縮空気を冷却するアフタークーラとを一体化したツインクーラとして構成されるものである。
この場合、低圧スクロール部6Aと高圧スクロール部6Bとの間には、例えば固定スクロール7A(低圧側)の吐出口13Aと固定スクロール7B(高圧側)の吸込口12Bとを接続する配管(図示せず)が設けられる。そして、この配管は、その途中部位を冷却器40内に配置することにより、前記中間圧の圧縮空気がインタークーラとしての冷却器40により冷却される。
そして、低圧スクロール部6Aと高圧スクロール部6Bとは、前記配管を介して互いに接続されることにより2段式の圧縮機を構成する。また、固定スクロール7B(高圧側)の吐出口13Bは、高圧配管を介して外部の空気タンク(いずれも図示せず)等に接続され、この高圧配管も、その途中部位を冷却器40内に配置することにより、高圧の圧縮空気を冷却し除湿作用等を与えるものである。
本実施の形態によるツインラップ型のスクロール式空気圧縮機は、上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
まず、電動モータ15に外部から給電を行うと、そのロータ17により筒状回転体18(回転軸19)が軸線O1 −O1 を中心として回転駆動される。これにより、筒状回転体18内に取付けられた偏心軸22が左,右の旋回軸受23A,23B、補助クランク35等を介して旋回運動を行い、その両端側に連結された旋回スクロール29A,29Bも、固定スクロール7A,7Bに対して寸法δの旋回半径をもった旋回運動を行う。
この結果、低圧スクロール部6A側では、固定スクロール7Aの外周側に設けた吸込口12Aから吸込サイレンサ(図示せず)等を介して空気を吸込みつつ、この空気を各圧縮室34A内で順次圧縮する。そして、低圧段の圧縮室34A内で圧縮された中間圧の圧縮空気は、固定スクロール7Aの吐出口13Aから前述した配管(図示せず)、冷却器40等を介して高圧スクロール部6Bへと吐出される。
また、高圧スクロール部6Bは、低圧スクロール部6Aで圧縮された中間圧の圧縮空気が冷却器40側から配管を介して固定スクロール7Bの吸込口12Bに供給されると、この圧縮空気を各圧縮室34B内でさらに圧縮し、高圧の圧縮空気を吐出口13Bから外部の空気タンク(図示せず)等に向けて吐出するものである。
次に、本実施の形態によるスクロール式空気圧縮機の組立点順について、図4ないし図10を参照して説明する。
まず、第1の組立工程では、回転軸19を図4に示すように製作、加工し、回転軸19の外周側には、電動モータ15(図1参照)のロータ17を圧入またはやき嵌め等の手段を用いて嵌合させ、ロータ17を回転軸19の外周側に一体的に固定する。
次に、図5に示す第2の組立工程では、回転軸19の外周側に左,右両側から回転軸受20A,20Bを圧入等の手段で嵌合して設け、さらに、回転軸19の左,右両側には偏心筒体21A,21Bをやき嵌め等の手段を用いて嵌着する。また、偏心筒体21A,21Bの内周側には、旋回軸受23A,23Bの外輪24A,24Bを圧入して設け、この外輪24A,24B内には、各ローラ26A,26Bを保持器等を介して抜止め状態に保持しておくようにする。
また、偏心筒体21A,21Bの内周側には、図5に示すように旋回軸受23A、23Bの外輪24A,24B等を取付けた後に、例えば環状のリップシール等からなるシール部材27A,27Bを、左,右両側から嵌合させるようにして取付ける。
次に、図6に示す第3の組立工程では、例えば側部ケース3Aの環状部4Aを回転軸受20Aの外輪側にやき嵌め等の手段を用いて嵌合し、側部ケース3Aにより回転軸受20Aを介して筒状回転体18(回転軸19)を回転可能に支持できるようにする。そして、その後は筒形ケース2を電動モータ15のステータ16と一緒にロータ17の外周側に挿通する。
次に、第4の組立工程では、筒形ケース2の端部を図7に示すように側部ケース3Aに衝合し、この状態で両者をボルト等で締結して筒形ケース2を側部ケース3Aに固定する。そして、筒形ケース2と回転軸19との間に電動モータ15を組込んだ状態で、その後は側部ケース3Bの環状部4Bを回転軸受20Bの外輪側に挿嵌するように組付ける。
次に、第5の組立工程では、側部ケース3Bの環状部4Bを図8に示す如く回転軸受20Bの外輪側にやき嵌め等の手段を用いて嵌合すると共に、側部ケース3Bの環状部4Bを筒形ケース2の端部に衝合し、この状態で両者をボルト等で締結して側部ケース3Bを筒形ケース2に固定する。これにより、筒形ケース2と左,右の側部ケース3A,3Bとからなるケーシング1を組立てると共に、筒状回転体18の両端側を回転軸受20A,20Bにより回転可能に支持する。
次に、図9に示す偏心軸22の組付け工程では、偏心軸22を筒状回転体18(回転軸19)の内周側に図9に示す軸線O2 −O2 に沿って挿通する。この場合、偏心軸22のクランク部22A,22Bには、図9に示す如く旋回軸受23A,23Bの内輪25A,25Bを予めやき嵌め等の手段で嵌合して設け、摺接リング28A,28Bも同様にクランク部22A,22Bの外周側に嵌合して取付けておくようにする。
そして、旋回軸受23A,23Bの内輪25A,25Bが図10に示すように各ローラ26A,26Bを挟んで外輪24A,24Bと径方向で対向する位置まで、偏心軸22を筒状回転体18(回転軸19)内へと軸方向に押込み、偏心軸22の組付け作業を行う。かくして、外輪24A,24B、各ローラ26A,26Bの内側に偏心軸22を挿通することにより、旋回軸受23A,23Bの内輪25A,25Bを、各ローラ26A,26Bの内側にすきま嵌めで組付けることができる。
このように、第1,第2の旋回軸受23A,23Bは、前記外輪24A,24Bを各ローラ26A,26Bと一緒に偏心筒体21A,21Bの内周側に予め組付けた状態で、これらの内周側に偏心軸22を図9、図10に示すように挿通するときに、偏心軸22のクランク部22A,22Bに取付けた内輪25A,25Bを外輪24A,24Bと各ローラ26A,26Bの内側に径方向で対向配置することにより組立てられる。
次に、ケーシング1内に回転軸受20A,20B等を介して回転可能に支持された筒状回転体18に対し、図10に示す如く偏心軸22を組込んだ後には、左,右の偏心筒体21A,21Bから軸方向に突出する偏心軸22のクランク部22A,22Bに、図1に示すように旋回スクロール29A,29Bのボス部32A,32Bを固定して設ける。
そして、その後は、固定スクロール7A,7Bを旋回スクロール29A,29Bに図1に示す如く対向配置して設け、固定スクロール7A,7Bのフランジ部11A,11Bを側部ケース3A,3Bの先端側(図10に示す筒状部5A,5Bの先端側)に、例えばボルト等を用いて着脱可能に取付けるようにする。
かくして、本実施の形態によれば、図4、図5に示すように回転軸19の左,右両側に偏心筒体21A,21Bをやき嵌め等の手段で嵌合して筒状回転体18を組立てると共に、偏心筒体21A,21Bの内周側には、旋回軸受23A,23Bの外輪24A,24Bを圧入して設け、この外輪24A,24B内には、それぞれのローラ26A,26Bを保持器等を介して抜止め状態に保持する構成としている。
そして、筒状回転体18の両端側を回転軸受20A,20Bにより回転可能に支持するケーシング1を、図8に示す如く筒形ケース2と左,右の側部ケース3A,3Bとにより組立て、筒形ケース2と回転軸19との間には電動モータ15を組込んだ状態で、偏心軸22を筒状回転体18(回転軸19)の内周側に図9に示す如く軸線O2 −O2 に沿って挿通し、偏心軸22の組付け作業を行う構成としている。
これにより、偏心軸22のクランク部22A,22Bに予め嵌合して設けた旋回軸受23A,23Bの内輪25A,25Bを、各ローラ26A,26Bの内側にすきま嵌めで組付けることができ、旋回軸受23A,23Bの外輪24A,24Bと内輪25A,25Bとを、図10に示す如く各ローラ26A,26Bを挟んで径方向で対向させることにより、旋回軸受23A,23Bを最終的に組立てることができる。
このように、スクロール式空気圧縮機の組立作業者は、筒状回転体18の外周側に電動モータ15、ケーシング1等を先に組付けた後に、筒状回転体18の内周側に偏心軸22を組付けることができ、重量物である偏心軸22の組付け作業を、電動モータ15、ケーシング1等の組付け作業よりも後の工程とすることができる。
即ち、スクロール式空気圧縮機等に用いる偏心軸22は、圧縮運転時の反力等によって旋回スクロール29A,29Bから捩りモーメントを受け、高い捩り剛性等が要求されるため、強度部材を用いて形成する必要があり、必然的に重量物となってしまう。
そこで、本実施の形態によるスクロール式空気圧縮機では、筒状回転体18の外周側に電動モータ15、ケーシング1等を組付ける作業を、重量物である偏心軸22の組付け前に行うものである。このため、筒状回転体18の外周側に電動モータ15、ケーシング1等を組付ける作業を、比較的軽い状態で行うことができ、その後に重量物である偏心軸22の組付け作業を行うことができる。
従って、重量物である偏心軸22の組付け作業を、電動モータ15、ケーシング1等の組付け作業よりも後の工程とすることにより、組立作業者の負担を確実に軽減でき、スクロール式空気圧縮機を組立てるときの作業性を向上することができる。
また、本実施の形態にあっては、筒状回転体18の偏心筒体21A,21Bと偏心軸22との間に設ける旋回軸受23A,23Bを、ローラ26A,26B等からなるころ軸受により構成しているので、例えば玉軸受に比較してより小さいサイズの軸受を採用することができ、装置の小型化が可能となる上に、旋回軸受23A,23Bの寿命を確実に延ばすことができる。
また、旋回軸受23A,23Bの内輪25A,25Bを、各ローラ26A,26Bの内側にすきま嵌めで組付けるため、例えば偏心軸22の軸方向にスラスト荷重が作用する場合でも、このスラスト荷重が旋回軸受23A,23Bの外輪24A,24Bと内輪25A,25Bとの間に付加されることはなく、旋回軸受23A,23Bとしての耐久性、信頼性等を高めることができる。
そして、低圧スクロール部6Aの圧縮室34Aと高圧スクロール部6Bの圧縮室34Bとに発生する圧縮空気の圧力差等により偏心軸22、旋回スクロール29A,29Bに発生する軸方向のスラスト荷重は、固定スクロール7Aと旋回スクロール29Aとの間に設けた補助クランク35によって受承することができ、例えば回転軸受20A,20B等にスラスト荷重が作用するのを防ぐことができる。
また、回転軸受20A,20Bと旋回軸受23A,23Bとは、図10にも示すように筒状回転体18の軸方向に関して互いに異なる位置に配置されているので、これらの回転軸受20A,20B、旋回軸受23A,23B間で発熱による熱影響が及ぶのを防止でき、これによっても軸受寿命を延ばすことができる。
しかも、回転軸19の左,右両側に偏心筒体21A,21Bをやき嵌め等の手段で嵌合して筒状回転体18を組立てる構成としているので、例えば回転軸19を軸線O1 −O1 を中心とした円筒体として形成でき、回転軸19の製作、加工を容易に行うことができる。また、偏心軸22についても軸線O2 −O2 を中心とした円形の軸体として形成でき、偏心軸22の製作、加工も容易に行うことができる。
なお、前記実施の形態では、ケーシング1の長さ方向両側に第1,第2の固定スクロール7A,7Bを設ける構成とした所謂ツインラップ型のスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば特開2003−328960号公報に記載されたスクロール式流体機械のように、ケーシングの長さ方向一側にのみ固定スクロールと旋回スクロールとを設ける構成としてもよいものである。
また、前記実施の形態では、旋回軸受23A,23Bの内輪25A,25Bを偏心軸22のクランク部22A,22Bに、例えばやき嵌め等の手段を用いて嵌合する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば偏心軸の両端側にそれぞれ環状凸部を一体に形成し、これらの環状凸部により旋回軸受の内輪を構成してもよいものである。
また、前記実施の形態では、ケーシング1の上側にツインクーラからなる冷却器40を設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば冷却器40を搭載しないスクロール式流体機械に適用してもよく、またインタークーラとアフタークーラのうち何れか一方のみを冷却器として搭載したスクロール式流体機械に適用してもよい。
さらに、前記実施の形態では、スクロール式流体機械を空気圧縮機として用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、冷媒を圧縮する冷媒圧縮機、真空ポンプ等を含めて他のスクロール式流体機械に適用してもよいものである。
本発明の実施の形態によるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。 図1中の低圧スクロール部を拡大して示す断面図である。 図1中の高圧スクロール部を拡大して示す断面図である。 図1中の回転軸にロータを取付けた状態を示す縦断面図である。 図4の回転軸に偏心筒体、回転軸受および旋回軸受の外輪等を組付けた状態を示す縦断面図である。 図5中の回転軸受に一方の側部ケースを取付けた状態を示す縦断面図である。 図6中の側部ケースに対して筒形ケース等を取付けた状態を示す縦断面図である。 図7に続くケーシングの組立工程を示す縦断面図である。 図8中の筒状回転体内に偏心軸を挿通する状態を示す縦断面図である。 図9中の筒状回転体内に偏心軸を挿通し、旋回軸受を組立てた状態を示す縦断面図である。
符号の説明
1 ケーシング
2 筒形ケース
3A,3B 側部ケース
6A 低圧スクロール部
6B 高圧スクロール部
7A,7B 固定スクロール
8A,8B,30A,30B 鏡板
9A,9B,31A,31B ラップ部
12A,12B 吸込口
13A,13B 吐出口
15 電動モータ(回転源)
18 筒状回転体
19 回転軸
20A,20B 回転軸受
21A,21B 偏心筒体
22 偏心軸
23A,23B 旋回軸受
24A,24B 外輪
25A,25B 内輪
26A,26B ローラ(転動体)
29A,29B 旋回スクロール
34A,34B 圧縮室
35 補助クランク(スラスト荷重受承手段)

Claims (2)

  1. 筒状のケーシングと該ケーシングの長さ方向両側のうち少なくとも一方側に設けられ鏡板の表面に渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールとからなる固定側部材と、
    前記ケーシング内に回転可能に設けられた中空軸体からなる筒状回転体と、
    前記ケーシングと前記筒状回転体との間に位置して該筒状回転体を回転駆動する回転源と、
    前記筒状回転体の内周側に隙間をもって挿通され該筒状回転体の軸線に対し予め決められた寸法だけ偏心した偏心軸と、
    前記筒状回転体の軸方向端部に位置して該偏心軸と筒状回転体との間に設けられ該偏心軸を旋回可能に支持する旋回軸受と、
    前記固定スクロールと対面する位置で前記偏心軸の端部に固定して設けられ鏡板の表面に前記固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成するラップ部が立設された旋回スクロールとを備えてなるスクロール式流体機械において、
    前記旋回軸受は、前記筒状回転体の内周側に嵌合して設けられ該筒状回転体と一体に回転する外輪と、前記偏心軸の外周側に設けられ該偏心軸と一体に旋回動作する内輪と、該内輪と外輪との間に転動可能に設けられ前記外輪に対して抜止め可能に取付けられる複数の転動体とにより構成し、
    前記偏心軸の外径のうち、前記旋回軸受の各転動体の内側に挿通される箇所の最大径および前記内輪の外径は、前記旋回軸受の各転動体の内側の径よりも小さくなるように構成し
    前記筒状回転体の内周側には予め前記旋回軸受の外輪と各転動体とを嵌合し、前記筒状回転体の外周側に前記回転源、ケーシングを組付けた後、前記偏心軸は、その外周側に前記旋回軸受の内輪を予め設けた状態で前記旋回軸受の外輪と各転動体との内側に挿通して組付けることを特徴とするスクロール式流体機械の組立方法
  2. 筒状のケーシングと該ケーシングの長さ方向両側に設けられ鏡板の表面に渦巻状のラップ部が立設されたそれぞれ第1,第2の固定スクロールとからなる固定側部材と、
    前記ケーシング内に回転可能に設けられた中空軸体からなる筒状回転体と、
    前記第1,第2の固定スクロール間であって、前記ケーシングと筒状回転体との間に位置して前記筒状回転体を回転駆動する回転源と、
    前記筒状回転体の内周側に隙間をもって挿通され該筒状回転体の軸線に対し予め決められた寸法だけ偏心した偏心軸と、
    前記筒状回転体の軸方向両側に位置して該偏心軸と筒状回転体との間に設けられ該偏心軸を旋回可能に支持する第1,第2の旋回軸受と、
    前記第1,第2の固定スクロールと対面する位置で前記偏心軸の両端側に固定して設けられ鏡板の表面に前記第1,第2の固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成するラップ部が立設された旋回スクロールとを備えてなるスクロール式流体機械において、
    前記第1,第2の旋回軸受は、前記筒状回転体の内周側に嵌合して設けられ該筒状回転体と一体に回転する外輪と、前記偏心軸の外周側に設けられ該偏心軸と一体に旋回動作する内輪と、該内輪と外輪との間に転動可能に設けられ前記外輪に対して抜止め可能に取付けられる複数の転動体とにより構成し、
    前記偏心軸の外径のうち、前記旋回軸受の各転動体の内側に挿通される箇所の最大径および前記内輪の外径は、前記旋回軸受の各転動体の内側の径よりも小さくなるように構成し
    前記旋回軸受は、前記外輪を各転動体と一緒に前記筒状回転体の内周側に予め取付け、前記内輪を前記偏心軸の外周側に予め取付ける構成とし、前記筒状回転体の内周側に前記偏心軸を挿通するときに、該偏心軸に取付けた前記内輪を前記外輪と各転動体との内側に配置することを特徴とするスクロール式流体機械の組立方法
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