JP4508662B2 - 窒化ガリウム系半導体発光素子 - Google Patents

窒化ガリウム系半導体発光素子 Download PDF

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本発明は窒化ガリウム系半導体発光素子に係り、特に、量子井戸構造を有する活性層を含む窒化ガリウム系半導体発光素子の改善に関する。
可視光短波長領域の発光素子として、化合物半導体を利用した発光素子が知られている。そして、化合物半導体発光素子の中でも、窒化ガリウム系半導体発光素子は直接遷移型であって発光効率が高く、かつ光の3原色の一つである青色を発光し得ることから、昨今では特に注目を集めている。そのような窒化ガリウム系半導体発光素子において、図8に示すようなエネルギバンド構造を有するレーザ素子が提案されている(特開2002−261395号公報参照)。
図8の模式的エネルギバンド図において、縦軸方向は電子エネルギレベルを表し、横軸方向は半導体積層方向の位置を表している。この図に示された従来のレーザ素子は多重量子井戸構造を有する活性層6を含み、その多重量子井戸構造は4層のInGaN障壁層7a、7b、7c、7dと3層のInGaN量子井戸層8a、8b、8cとを含んでいる。また、図8のレーザ素子は、n型GaN層10、p型AlGaNキャリアブロック層11、p型GaNガイド層12、およびp型AlGaNクラッド層13をも含んでいる。通常、窒化ガリウム系半導体層をp型導電性にするためにはMgがドーパントとして用いられており、図8の構造においては、p型AlGaNキャリアブロック層11から右側の層にMgがドープされている。また、p型AlGaNキャリアブロック層11のAl組成比は通常0.15から0.3程度に設定され、p層領域への電子キャリアの漏れを防止する効果を生じさせている。
なお、図8の構造に限らず、通常Mgはキャリアブロック層11から右側の層にドープされる。また、InGaN障壁層のIn組成比は、0.02に設定されている。図8の構造によれば、AlGaNキャリアブロック層11と量子井戸層8cとの間で、InGaN障壁層7dとGaN層10とが中間層として作用する。なお、本願明細書において、「中間層」とは、AlGaNキャリアブロック層11と最終量子井戸層8cとの間に介在する全ての層を意味するものとする。すなわち、顕著な光吸収作用を有するMgドープ層11−13がその中間層によって活性層6から遠ざけられているので、活性層6からMgドープ領域11−13への光の染み出しが低減され、レーザ素子の良好な光出力特性(SE)が得られる。
特開2002−261395号公報
上述の中間層による光出力特性改善効果の程度はその中間層の厚さに依存し、中間層を厚くするほどその改善効果を高めることができる。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、中間層が40nm以上に厚くなれば、図9に示されているように温度特性T0は逆に悪化することが明らかとなった。この図9のグラフにおいて、横軸は中間層厚(nm)を表し、縦軸は30℃から80℃への温度変化に対する温度特性T0(K)を表している。
ここで、温度特性T0は、次式(1)から求められる。
th=I0・exp(T/T0) ・・・(1)
この式において、Ithは温度T(K)におけるレーザ素子の閾値電流を表し、I0は定数を表わしている。そして、或るレーザ素子について異なる2つの温度Tのそれぞれにおいて閾値電流Ithを測定すれば、式(1)から、そのレーザ素子の温度特性T0を求めることができる。
なお、式(1)から理解されるように、レーザ素子の温度特性T0の値が大きいほど温度Tの一定変化量に対する閾値電流Ithの変化量が小さいくなり、そのレーザ素子の温度特性が優れていることになる。
図9から分かるように、中間層厚が40nm以上に厚くなれば、温度特性T0の値が低下することになる。すなわち、図8に示された従来の発光素子構造では、中間層の厚さを40nm以上に増大させてさらなる光出力特性の改善と温度特性T0の低下防止との両立を図ることは不可能である。
このような従来技術における状況に鑑み、本発明は、良好な光出力特性と共に良好な温度特性T0を有する窒化ガリウム系発光素子を提供することを目的としている。
本発明によれば、窒化ガリウム系半導体発光素子は量子井戸層とキャリアブロック層を含み、それらの量子井戸層とキャリアブロック層との間に中間層をさらに含み、その中間層は量子井戸層に接する側から順に第1のInGaN層、第2のInGaN層、およびGaN層を含んでいて40nm以上で150nm以下の総厚を有し、第1および第2のInGaN層の合計厚さが5nm以上50nm以下であり、第2のInGaN層のIn組成比が0.025以上0.04以下であり、第1のInGaN層のIn組成比が第2のInGaN層のIn組成比よりも低いことを特徴としている。
なお、中間層は、70nm以上の総厚を有することが好ましい。また、中間層に含まれる第2のInGaN層はn型不純物がドープされ、GaN層はノンドープであることが好ましい。
発光素子はリッジ構造を有し、そのリッジ構造の底面部が中間層中に位置していることが好ましい。また、発光素子は基板上に形成されていてかつリッジ構造を有し、そのリッジ構造の底面部が中間層よりも基板側に位置していてもよい。
発光素子の中間層に含まれるGaN層は、ランピング成長によって好ましく形成することができる。
以上のような窒化ガリウム系半導体発光素子用いることによって、安定で優れた記録再生性能を有する光ディスク装置を提供することができる。
本発明によれば、窒化ガリウム系半導体発光素子において、良好な温度特性T0を維持しつつ光出力特性を改善することができる。そして、そのように改善された窒化ガリウム系発光素子を用いることによって、光ディスク装置の高温条件における特性を改善することができる。
本発明者らは、図8に示された従来技術における前述の課題を解決するために詳細な検討を行った。その結果、中間層の厚さがT0に影響を及ぼすメカニズムが、以下のように明らかにされた。
まず、p型AlGaNキャリアブロック層11は、活性層6からp層領域への電子キャリアの漏れを防止する効果を有しており、中間層の厚さに関わらず常にその効果を保っている。しかしながら、InGaN障壁層7dとGaN層10との間において、伝導帯側の電子キャリアに対するエネルギ差が非常に小さいので、温度上昇に伴って電子キャリアが活性層6から中間層へ漏れ出してしまう。したがって、中間層の厚さが増すにしたがって、活性層6から中間層へ漏れ出す電子キャリア量も増える。その結果として、活性層6中の電子キャリア密度が低下して、発光素子の温度特性T0が悪化することが明らかとなった。
また、中間層はn型として形成されるので、ホールキャリアはこのn型中間層中を小数キャリアとして拡散により移動しなければならない。したがって、n型中間層の厚さが増すにしたがって、その中間層中のホールキャリアの拡散距離が増大して電子キャリアとの再結合確率が高まる結果として、T0が低下することが明らかとなった。すなわち、中間層の厚さを増すことによって、電子キャリアおよびホールキャリアの両観点からT0の低下を招いていることが明らかとなった。
本発明者らは、上述のようなT0の低下のメカニズムに鑑みて、引き続いてさらに詳細な検討を行った結果、T0の低下を防止しつつ発光特性をさらに改善し得る発光素子構造を見出すことができた。
図8に類似している図1は、本発明の一実施形態による発光素子に関するエネルギバンド図を模式的に示している。この図1の発光素子は、活性層6中の最終障壁層7dとGaN層10との間に付加的なInGaN層9をさらに含んでいることのみにおいて、図8の従来の発光素子と異なっている。
図2のグラフは、図1の発光素子において付加的InGaN層9のIn組成比がT0特性に及ぼす影響を示している。すなわち、このグラフの横軸は付加的InGaN層9中のIn組成比を表し、縦軸はT0(K)特性を表している。図2のグラフにおけるT0は式(1)を利用して算出されており、その算出のために30℃と80℃の温度Tにおいて発光素子の閾値電流Ithが測定された。なお、その測定においては、付加的InGaN層9のIn組成比は種々に変えられたが、InGaN障壁層7dの厚さは10nmに、付加的InGaN層9の厚さは20nmに、そしてGaN層10の厚さは40nmにそれぞれの一定値に設定されていた。
図2から分かるように、付加的InGaN層9のIn組成比を0.025以上にすることによって、発光素子のT0特性を改善することができる。
図2に類似している図3のグラフは、図1の発光素子において最終障壁層7dと付加的InGaN層9との合計厚さがT0特性に及ぼす影響を示している。すなわち、このグラフの横軸は、最終障壁層7dと付加的InGaN層9との合計厚さ(nm)を表している。この図3のグラフを得るための測定においては、最終障壁層7dと付加的InGaN層9との合計厚さは種々に変えられたが、GaN層10の厚さは40nmに設定され、付加的InGaN層9のIn組成比は0.025に設定されていた。
図3から分かるように、最終障壁層7dと付加的InGaN層9との合計厚さを50nm以下にすることによって、発光素子の良好なT0特性を得ることができる。なお、図3に示されたT0特性は、最終障壁層7dのIn組成比の変化にほとんど影響されることはなかった。また、最終障壁層7dとInGaN層9との厚さの組み合わせは任意であり、その合計厚さが50nm以下である限りにおいて良好なT0特性を得ることができる。
図4のグラフは、図1の発光素子においてGaN層10の厚さがT0特性に及ぼす影響を示している。すなわち、このグラフの横軸は、GaN層10の厚さ(nm)を表している。この図4のグラフを得るための測定においては、GaN層10の厚さは種々に変えられたが、最終障壁層7dのIn組成比は0.025に設定され、最終障壁層7dと付加的InGaN層9との合計厚さは50nmに設定されていた。
図4から分かるように、GaN層10の厚さが100nm以下であれば、発光素子の良好なT0特性を得ることができる。
すなわち、付加的InGaN層9のIn組成比を0.025以上とすることでGaN層10との間の伝導帯側の電子キャリアに対するエネルギ差を十分に大きくすることができ、高温時に活性層6から電子キャリアが中間層へ漏れ出すことを効果的に防ぐことができる。なお、最終障壁層7dと付加的InGaN層9との合計厚さが50nmを超えた場合、これらの最終障壁層7dと付加的InGaN層9へ電子キャリアが多く漏れ出し、活性層6中のキャリア密度が顕著に低下する。
したがって、付加的InGaN層9のIn組成を0.025以上にし、かつ最終障壁層7dと付加的InGaN層9との合計厚さを50nm以下にすることによって、高温時における活性層6中の電子キャリア密度の低下を効果的に防ぐことができる。また、中間層の厚さを150nm以下にすることによって、ホールキャリアの注入効率を良好に保つことができる。
以上から分かるように、付加的InGaN層9のIn組成比を0.025以上にして、最終障壁層7dと付加的InGaN層9との合計厚さを50nm以下とし、かつ中間層の厚さを150nm以下とすることによって、電子キャリアおよびホールキャリアの両方に関して生じていた問題を同時に解決することでき、発光素子の良好なT0特性を得るとともに良好な光出力特性を得ることができる。また、そのような条件を満たすことによって、発光素子の高温における寿命試験においても、良好な寿命特性を得ることができる。
なお、中間層の総厚を70nm以上にすれば、AlGaNキャリアブロック層11が活性層6に及ぼす歪の影響を特に効果的に取り除くことができ、また活性層6へのMgの拡散をも効果的に抑えることができるので好ましい。
図5のグラフは、InGaN障壁層7a、7b、7c、7dと付加的InGaN層9とのIn組成比が活性層6のPL(フォトルミネッセンス)発光強度に及ぼす影響を示している。すなわち、このグラフの横軸はInGaN障壁層7a、7b、7c、7dと付加的InGaN層9とのIn組成比を表し、縦軸はPL発光強度(a.u.:任意単位)を表している。なお、このPL発光強度が高いことは、活性層6の結晶性が高いことを意味している。
図5から分かるように、InGaN障壁層7a、7b、7c、7dと付加的InGaN層9とにおけるIn組成比を0.025から0.04の範囲内に設定することによって、特に良好な結晶性を有する活性層6を得ることができる。これによって、発光素子において、特に良好な寿命特性を得ることもできる。
また、付加的InGaN層9にSiを不純物としてドープしかつGaN層10をノンドープにすることによって、最終障壁層7dおよび付加的GaN層9との間の伝導帯側の電子キャリアに対するエネルギ差をさらに大きくすることができ、T0特性をさらに改善できるので好ましい。なお、本発明の効果はInGaN障壁層のIn組成比に影響を受けず、したがってそのIn組成比を自由に選択することができる。
ただし、InGaN障壁層のIn組成を大きくし過ぎれば、活性層6の光閉じ込めが大きくなり過ぎて、発光素子の寿命試験において端面劣化を起こしやすくなる。したがって、特に30mWを超えるハイパワー出力条件での発光素子仕様が求められる場合には、活性層から光を部分的に漏らすように、InGaN障壁層7a、7b、7c、7dのIn組成比を付加的InGaN層9に比べて低くすることが好ましい。
図6は、図1のエネルギバンド図に表された窒化ガリウム系半導体レーザ素子における半導体積層構造を示す模式的断面図である。この半導体レーザ素子は、サファイア基板1のc面上に順次積層されたGaNバッファ層2、n型GaNコンタクト層3、n型Al0.1Ga0.9クラッド層4、n型GaNガイド層5、4層のIn0.025Ga0.975N障壁層7a、7b、7c、7dと3層のIn0.10Ga0.90N量子井戸層8a、8b、8cとを含む多重量子井戸構造を有する活性層6、付加的In0.04GaN0.96層9、n型GaN層10、p型Al0.2Ga0.8Nキャリアブロック層11、p型GaNガイド層12、p型Al0.1Ga0.9Nクラッド層13、およびp型GaNコンタクト層14を含んでいる。ここで、In0.025Ga0.975N障壁層7dの厚さは10nmであって、付加的In0.04GaN0.96層9の厚さは20nmであり、n型GaN層10の厚さは50nmである。
また、図6のレーザ素子は、p側電極15、n側電極16、およびSiO2絶縁膜17をも含んでいる。このレーザ素子の共振器長は500μmで、その共振器における前面反射率が20%であって、後面反射率が90%である。
なお、図6の発光素子において、サファイア基板1の主面としては、c面以外に、a面、r面、またはm面等の他の面方位を利用することもできる。また、サファイア基板1の代わりに、SiC基板、スピネル基板、MgO基板、Si基板、またはGaAs基板をも用いることができる。特に、SiC基板は、サファイア基板に比べて劈開しやすいので、劈開によるレーザ共振器端面の形成が容易になるという利点をもたらす。バッファ層2としては、その上に窒化ガリウム系半導体層をエピタキシャル成長させ得るものであればGaNに限られず、例えばAlNやAlGaN3元混晶などの他の材料を用いてもよい。また、サファイア基板1およびGaNバッファ層2は、GaN基板で置き換えることも可能である。さらに、成長させられる窒化ガリウム系半導体層中のクラック発生を防止することを目的として、その窒化ガリウム系半導体層と基板との間にInGaN層を挿入してもよい。
n型クラッド層4およびp型クラッド層13は、Al0.1Ga0.9N以外のAl組成比を持つAlGaN3元混晶であってもよい。また、これらのクラッド層は少量の他の元素を含んだ4元以上の混晶半導体であってもよく、さらに、n型クラッド層4とp型クラッド層13とはそれらの混晶組成比が同一でなくてもよい。
ガイド層5、12の材料としてはGaNに限られず、活性層6中の量子井戸層のエネルギギャップとクラッド層4、13のエネルギギャップとの中間のエネルギギャップを有する材料であれば、例えばInGaN、AlGaN等の3元混晶、InGaAlN等の4元混晶などの他の材料を用いてもよい。
活性層6の多重量子井戸構造に含まれる3層のIn0.10Ga0.90N量子井戸層8a、8b、8cに関しては、望まれるレーザ発振波長に応じてその組成比を設定すればよく、発振波長を長くしたい場合にはIn組成比を大きくし、短くしたい場合にはIn組成比を小さくすればよい。
図6の窒化ガリウム系半導体レーザ素子は、MOCVD法(有機金属気相成長法)を利用して作製することができる。しかし、レーザ素子の作製方法としては、GaN系半導体層をエピタキシャル成長させ得る方法であればよく、MBE法(分子線エピタキシャル成長法)やHDVPE(ハイドライド気相成長法)等の他の気相成長法を用いることもできる。
まず、所定の結晶成長炉内に設置されたサファイア基板1のc面上に、トリメチルガリウム(TMG)とアンモニア(NH3)を原料に用いて、基板温度550℃でGaNバッファ層2を厚さ35nmに成長させる。
次に、基板温度を1050℃まで上昇させて、TMG、NH3、およびシランガス(SiH4)を用いて、厚さ3μmのSiドープn型GaNコンタクト層3を成長させる。続いて、原料ガスにトリメチルアルミニウム(TMA)を加えて、基板温度は1050℃のままで、厚さ0.7μmのSiドープn型Al0.1Ga0.9Nクラッド層4を成長させる。さらに、TMAを原料ガスから除いて、基板温度は1050℃のままで、厚さ0.05μmのSiドープn型GaNガイド層5を成長させる。
その後、基板温度を750℃に下げ、TMG、NH3、およびトリメチルインジウム(TMI)を原料に用いて、In0.025Ga0.975N障壁層7とIn0.10Ga0.90N量子井戸層8を交互に成長させることによって多重量子井戸構造の活性層6を形成する。障壁層7a、7b、7c、7dの各々は厚さ10nmに成長させられ、量子井戸層8a、8b、8cの各々は厚さ5nmに成長させられる。
次に、基板温度750℃のままで、付加的In0.04GaN0.96層9を厚さ20nmに成長させ、GaN層10を厚さ50nmに成長させる。続いて、TMG、TMA、NH3、およびシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いて、基板温度は750℃のままで、厚さ10nmのAl0.2Ga0.8Nキャリアブロック層11を成長させる。
さらに、基板温度を1050℃に再び上げて、TMG、NH3、およびシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いて、厚さ0.05μmのMgドープp型GaNガイド層12を成長させる。
ここで、n型GaN層10、p型キャリアブロック層11、およびp型ガイド層12は、次のような成長方法によっても形成することができる。すなわち、TMGとNH3を原料ガスに用い、その原料ガスの供給量を一定にしたままで基板温度を活性層の成長温度750℃から1050℃にまで連続的に上昇させながら、n型GaN層10を成長させる。このような成長方法は、本願明細書において、「ランピング成長」と称される。続いて、基板成長温度1050℃のままで、厚さ10nmのAl0.2Ga0.8Nキャリアブロック層11を成長させ、引き続いてTMG、NH3、およびシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いて、厚さ0.05μmのMgドープp型GaNガイド層12を成長させる。この場合、ランピング成長によってn型GaN層10の結晶性を改善し得るので、中間層におけるホールの再結合確率を下げることができ、発光素子のT0特性とSE特性をさらに改善できるので好ましい。
さらに続けて、TMAを原料ガスに加えて、基板温度は1050℃のままで、厚さ0.7μmのMgドープp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層13を成長させる。そして、TMAを原料ガスから除いて、基板温度は1050℃のままで、厚さ0.2μmのMgドープp型GaNコンタクト層14を成長させ、これによって窒化ガリウム系エピタキシャルウエハを完成させる。続いて、このウエハを800℃の窒素ガス雰囲気中でアニールして、Mgドープのp型層を低抵抗化する。
さらに、通常のフォトリソグラフィとドライエッチング技術を用いて、200μm幅のストライプ状にp型GaNコンタクト層14の最表面から、n型GaNコンタクト層3が部分的に露出するまでエッチングを行う。続いて、同様のフォトリソグラフィとドライエッチング技術を用いて、2μm幅のストライプ状にリッジ構造を形成するように、p型GaNコンタクト層14とp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層13を部分的にエッチングする。
次に、リッジの側面上とリッジの両側で露出されているp型クラッド層13の表面上に、厚さ200nmのSiO2絶縁膜17を形成する。このSiO2絶縁膜17とp型GaNコンタクト層14を覆うように、ニッケルと金からなるp側電極15を形成する。また、エッチングにって露出したn型GaNコンタクト層3の表面上に、チタンとアルミニウムからなるn側電極16を形成する。これによって、窒化ガリウム系LD(レーザダイオード)ウエハが完成する。
その後、このウエハをリッジストライプに垂直な方向に劈開してレーザの共振器端面を形成し、さらに個々のレーザチップに分割する。そして、各チップをステムにマウントし、ワイヤーボンディングによって各電極とリード端子とを接続して、窒化ガリウム系半導体レーザ素子が完成する。
以上のようにして作製された窒化ガリウム系半導体発光素子において、従来よりも優れた光出力特性とともに良好なT0特性を得ることができる。
なお、上述の実施形態では井戸層数が3にされたが、本発明の発光素子においてその井戸層数は適宜に変更し得ることは言うまでもない。また、本発明の発光素子におけるリッジ構造は、上述のようにフォトリソグラフィとエッチングを利用して形成する方法に限られず、例えば周知の選択成長法(特開2000−58461号公報参照)を利用して形成されてもよいことも言うまでもない。
さらに、上述の実施形態ではリッジ構造を形成するに際してp型GaNコンタクト層14とp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層13とを部分的にエッチングしたが、そのエッチング深さは自由に選択することができる。特に、最終井戸層8cとキャリアブロック層11との間のいずれかの位置にリッジの底面が一致するよう設定することによって、リッジ両脇部への電流漏れ量を減らすことができて、さらに良好なT0特性を得ることができる。また、その場合に、最終井戸層8cにまでエッチングが達していないので、エッチングによるダメージが活性層に及ぶことがなく、良好なリーク防止と高い素子歩留まりが得られる。他方、リッジの底面が最終井戸層8cよりも深くなるよう設定すれば、リッジの両脇部への電流漏れ量をさらに減らすことができ、特に良好なT0特性を得ることができる。
図7では、本発明によって得られる窒化物半導体発光素子を含む光ディスク装置における光ピックアップの主要光学部品が、模式的な斜視図で示されている。この光ピックアップにおいて、窒化物半導体発光素子18から出射した光は、トラッキングビーム生成用の回折格子19によって、2つのトラッキング用副ビームと信号読み出し用主ビームとの3つの光ビームに分けられる。そして、これらのビームは、ホログラム素子20を0次回折光として透過し、コリメートレンズ21で平行光に変換された後に、対物レンズ22にてディスク盤23上に集光される。
この集光された光は、ディスク盤23上に形成されたピットによって強度変調されて反射され、対物レンズ22およびコリメートレンズ21を透過した後に、ホログラム素子20により1次回折され、この1次回折光成分がD1からD5までの5分割の受光面からなる分割型受光素子24上に入射させられる。そして、これら5分割の受光面からの電気的出力を加減算することによって、信号読み出し用とトラッキング用の電気信号を得ることができる。
このような光ピックアップを有する光ディスク装置において、本発明によって光出力特性および温度特性T0が改善された窒化物半導体発光素子を使用すれば、特に高温度動作保証を必要とする光ディスク装置において良好な特性を発揮させることができる。
なお、本発明による発光素子は、図7に示された光学系を有する光ピックアップへの適用に限られず、他の種々の光学系を有する光ピックアップを含む光ディスク装置に適応可能であることは言うまでもない。
上述のように、本発明によれば、良好な光出力特性および良好な温度特性T0を有する窒化ガリウム系半導体発光素子を提供することができる。また、そのような発光素子を利用することによって、高温条件においても良好な特性を有する光ディスク装置を提供することができる。
本発明による窒化ガリウム系半導体発光素子に関する模式的なエネルギバンド図である。 図1の窒化ガリウム系半導体発光素子における付加的InGaN層9のIn組成比が温度特性T0に及ぼす影響を示すグラフである。 図1の窒化ガリウム系半導体発光素子における最終層障壁層厚7dと付加的InGaN層9の合計厚さが温度特性T0に及ぼす影響を示すグラフである。 図1の窒化ガリウム系半導体発光素子におけるGaN層10の厚さが温度特性T0に及ぼす影響を示すグラフである。 図1の窒化ガリウム系半導体発光素子におけるInGaN障壁層7a、7b、7c、7dと付加的InGaN層9とのIn組成比が活性層6のPL発光強度に及ぼす影響を示すグラフである。 図1のエネルギバンド図に表された窒化ガリウム系半導体レーザ素子における半導体積層構造を示す模式的断面図である。 本発明によって得られる窒化物半導体発光素子を含む光ディスク装置における光ピックアップの主要光学部品を示す模式的な斜視図である。 従来の窒化ガリウム系半導体発光素子のエネルギバンド図である。 図8の窒化ガリウム系半導体発光素子におけるGaN層10の厚さが温度特性T0に及ぼす影響を示すグラフである。
符号の説明
1 c面を主面として有するサファイア基板、2 GaNバッファ層、3 n型GaNコンタクト層、4 n型Al0.1Ga0.9Nクラッド層、5 n型GaNガイド層、6 多重量子井戸構造の活性層、7a、7b、7c、7d In0.025Ga0.975N障壁層、8a、8b、8c In0.10Ga0.90N量子井戸層、9 付加的In0.04GaN0.96層、10 n型GaN層、11 p型Al0.2Ga0.8Nキャリアブロック層、12 p型GaNガイド層、13 p型Al0.1Ga0.9Nクラッド層、14 p型GaNコンタクト層、15 p側電極、16 n側電極、17 SiO2絶縁膜、18 窒化物半導体発光素子、19 トラッキングビーム生成用の回折格子、20 ホログラム素子、21 コリメートレンズ、22 対物レンズ、23 光ディスク、24 分割型受光素子。

Claims (7)

  1. 量子井戸層とキャリアブロック層を含み、
    前記量子井戸層と前記キャリアブロック層との間に中間層をさらに含み、
    前記中間層は前記量子井戸層に接する側から順に第1のInGaN層、第2のInGaN層、およびGaN層を含み、
    前記中間層は40nm以上で150nm以下の総厚を有し、
    前記第1のInGaN層と前記第2のInGaN層との合計厚さが5nm以上50nm以下であり、
    前記第2のInGaN層のIn組成比が0.025以上0.04以下であり、
    前記第1のInGaN層のIn組成比が前記第2のInGaN層のIn組成比よりも低いことを特徴とする窒化ガリウム系半導体発光素子。
  2. 前記中間層の総厚が70nm以上であることを特徴とする請求項1に記載の窒化ガリウム系半導体発光素子。
  3. 前記第2のInGaN層にn型不純物がドープされており、前記GaN層がノンドープであることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化ガリウム系半導体発光素子。
  4. 前記発光素子はリッジ構造を有し、そのリッジ構造の底面部が前記中間層中に位置することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の窒化ガリウム系半導体発光素子。
  5. 前記発光素子は基板上に形成されていてかつリッジ構造を有し、そのリッジ構造の底面部が前記中間層よりも前記基板側に位置することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の窒化ガリウム系半導体発光素子。
  6. 請求項1からのいずれかに記載の窒化ガリウム系半導体発光素子を製造するための方法であって、前記GaN層はランピング成長により形成されることを特徴とする窒化ガリウム系半導体発光素子の製造方法。
  7. 請求項1からのいずれかに記載の窒化ガリウム系半導体発光素子を含むことを特徴とする光ディスク装置。
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